有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100FIDH
日本コンセプト株式会社 事業等のリスク (2018年12月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重大な事故等によるレピュテーションリスクの影響
当社グループは、液体及びフロンガスを始めとした各種ガスの大量且つ遠隔地間輸送が可能な輸送容器であるISO標準規格のタンクコンテナを長期間繰り返し使うことで、環境に優しい輸送サービスを国の内外を問わず提供するインフラ型企業であります。「公共性、信頼性、国際性を備え、社会に誇りうる会社」たるべく、特に事故防止と環境保全が経営の最重要事項であると認識しております。
この観点に立ち、設備の保守や更新、人材教育や社内規則の見直し等を通じた社内体制の改善に継続的に取り組んでおり、緊急事態が発生した場合に迅速かつ適切に対処できるような体制を会社の内外で整備しているほか、リスクの負担軽減を目的として損害に応じた付保等も充実させております。
しかしながら、不測の事態、とくに危険物の漏洩事故や社会的に大きな影響を及ぼす可能性がある環境汚染や想定外の事態等によりレピュテーションに関わる事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が大きな影響を受ける可能性があります。
(2) 化学品製造業界の市況変動や輸送需要の増減及び費用の変動等による影響
当社グループが取り組む国際複合一貫輸送事業においては、地域は問わないものの、輸送する貨物を獲得することによって初めて営業収益の確保が可能となります。従って、世界の化学品やガスの輸送需要の動向や海上運賃等の外部環境の大きな変化に伴い、輸送量及び単価、リース及びレンタル収入等が大きく変動する可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(3) 外国為替相場の変動による影響
当社グループが営む国際物流事業においては、売上代金の回収や費用の支払いを米ドル建とするのが取引慣行であり、タンクコンテナの購入代金やレンタル料の支払いも米ドル建で行います。海外連結子会社も現地通貨を使用しており、当社グループの業績は為替相場が変動する影響を受けております。
また、為替相場が変動することに伴い、当社の外貨建資産や海外連結子会社の外貨建の資産及び負債の邦貨換算額が変動することも、当社グループの業績に影響を与えています。
なお、相場の変動により過去多額の為替差損益を発生させた通貨オプション取引は2015年度末時点でゼロになっており、為替相場の変動が収益に及ぼす影響は以前より減少しております。
(4) 有利子負債について
当社グループは、更なる業容拡大を目指してタンクコンテナ及び国内・海外の物流洗浄拠点等に対する設備投資を継続しており、これら設備投資資金の多くを金融機関からの借入金等の有利子負債に依存しております。
①依存度
当社グループはタンクコンテナの取得や物流洗浄拠点の設立に必要な資金、並びに長期運転資金を主として金融機関からの借入れにより調達して参りました。その結果、総資産残高に対する有利子負債残高の割合が高く、有利子負債依存度は2016年12月末時点で43.1%、2017年12月末時点で38.8%でした。当社は、収益増加に伴い借入金残高の圧縮を進めてきており、2018年12月末時点の有利子負債依存度は34.7%に低下しております。今後もタンクコンテナ取得等の設備資金は借入金、ファイナンス・リース等により調達していく方針ではありますが、借入金残高を圧縮することにより有利子負債依存度を着実に引き下げることを目指しております。
②金融機関との関係
設備資金は、特定の金融機関に偏ることなく複数の大手金融機関から原則として、長期資金として調達しておりますが、これらの金融機関との関係が良好であることから必要資金の新規調達に現時点では懸念はございません。しかしながら、将来、当社グループの業績が急激に悪化した場合や、社会環境及び金融情勢に大きな変動が発生した場合等、何らかの理由により金融機関からの資金調達に支障が生じた場合、当社グループの事業展開は大きな制約を受ける可能性があります。
③財務制限条項
当社グループは、主に金融機関からの借入れをもとに大型設備投資を実施しておりますが、当該借入契約のなかには財務制限条項が設けられているものがあります。金融機関とは良好な関係を築いておりますが、連結決算及び単体決算のいずれかにおいて財務制限条項に該当することとなった場合には、金利が引き上げられる可能性があります。
④ 金利変動リスク
当社グループは、将来の利息支払額を予め確定するために固定金利で資金調達をすることを原則としておりますが、変動金利で資金調達をせざるを得ない場合には金利変動リスクにさらされる可能性があります。
(5) 法的規制の強化による影響
当社グループが運行するタンクコンテナは、消防法や関税法等の国内規制に加え、危険品の輸送に関する国際的な規則であるIMDGコード(注)や、関税に関するコンテナ条約等、内外の法的規制を受けております。今後各国において新たな法令等による規制が行われたり、条約が締結された場合、当社グループの事業展開に制限が加えられたり、事業費用が嵩むこととなり、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。特に、タンクコンテナ洗浄時に発生する廃棄物を正しく処理しなかったり、フロンガスを適切に取り扱わなかったことにより環境問題を発生させた場合、業務停止命令を含めた行政指導を受ける可能性があります。
なお、適用対象となる主要国内法令は次表に示すとおりであり、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」に基づく許認可以外に期限の定めはありません。現時点におきましては、許認可等の取消事由は発生しておりませんが、将来、各種法令に違反した事実が認められて事業の停止、許可の取り消し等の罰則を受けた場合、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。当社グループはコンプライアンスを最重要課題として位置付け、これらの法的規制に抵触することにより業務に影響を生じさせないよう全社一丸となって法令順守を徹底しております。
対象 | 法令等名 | 監督官庁 | 法的規制の内容 | 有効期限 | 主な 取消事由 |
利用運送事業 | 貨物利用運送事業法 | 国土交通省 | 貨物利用運送事業の適正かつ合理的な運営を図り、もって利用者の利益の保護、及びその利便の増進に寄与することを目的とした各種の規制が定められております。 | 期限の定めなし | 第12条 第16条 第28条 第33条 |
倉庫事業 | 倉庫業法 | 国土交通省 | 倉庫業の適正な運営を確保し、倉庫の利用者の利益を保護するとともに、倉庫証券の円滑な流通を確保することを目的とした各種の規制が定められております。 | 期限の定めなし | 第21条 |
消防法 | 総務省 | 消防法における危険物該当品の保管を行う際は、予め許可を得た危険物貯蔵所にて取り扱う旨定められております。 | 期限の定めなし | 第12条の2 | |
タンク コンテナ | コンテナーに関する通関条約及び国際道路運送手帳による担保の下で行う貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律 | 財務省 | 免税コンテナを輸入した場合、その輸入の許可の日から1年以内に再び国際輸送に使用(再輸出)せねばならないと定められております。 | 期限の定めなし | 第10条 |
消防法 | 総務省 | 消防法における危険物該当品を国内で輸送する場合、移動式タンク貯蔵所として届出を行い許可を受けるよう定めております。 | 期限の定めなし | 第12条の2 | |
タンク コンテナ 洗浄 | 廃棄物の処理及び 清掃に関する法律 | 環境省 | 洗浄時に発生する廃油、及び排水処理設備より排出される汚泥が産業廃棄物に該当し、その収集・運搬、及び処理について定められております。 | 期限の定めなし | 第14条の3 の2 |
貨物の積替 | 消防法 | 総務省 | 消防法における危険物該当品の容器間の積替、及び一時的留置を行う際は、予め許可を得た取扱所内において作業を行わなければならない旨、定められております。 | 期限の定めなし | 第12条の2 |
第一種 製造者 | 高圧ガス保安法 | 経済産業省 | 高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱、及び消費並びに容器の製造、及び取扱を規制するとともに、民間事業者、及び高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、公共の安全を確保することを目的とした各種の規制が定められております。 | 期限の定めなし | 第9条 第38条 |
第一種 フロン類 再生業者 | フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 | 経済産業省 | オゾン層の保護及び地球温暖化を防止するため、フロン類の使用の合理化、管理の適正化に関する指針、製造業者並びに管理者の責務等を定めるとともに、管理の適正化のための措置等を講じてフロン類の大気中への排出を抑制し、国民の健康で文化的な生活の確保、人類の福祉に貢献することを目的とした各種の規制が定められております。 | 5年 | 第55条 |
フロン類 破壊業者 | 第67条 |
(注) IMDGコード:International Maritime Dangerous Goods Code の略称で、特定の危険物に関する分類、及び
それら危険品を国際海上輸送する際の輸送容器、包装基準、積載方法、船積書類などについての基準を包括的
に定めた国際的な規則。
(6)自然災害または政治的、社会的非常事態などによる影響
当社グループの事業活動範囲は、日本、東アジア、東南アジア、オセアニア、欧州、中東、北米、及びそれらの周辺地域であります。これらの地域においては、一部に政情不安定な地域も含まれていることから、政治的、社会的非常事態が発生した場合には、顧客へのサービスの提供が一時的もしくは長期に亘って滞る可能性があります。また、当社グループの物流洗浄拠点は、港湾の周辺地域に立地しております。このため、自然災害等に対して定められた法令に応じた防災対策を施してはおりますが、地震、津波、台風、洪水等の大規模な自然災害が発生した場合は、直接、間接に甚大な被害を受ける可能性があります。こうした政治的、社会的非常事態や自然災害が発生し、通常の物流活動を妨げるような事態となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(7) タンクコンテナのオペレーションにかかるリスク
丈夫で安全な輸送容器であるタンクコンテナは、ステンレス鋼又は炭素鋼で製造されていることから高価ではあるものの、適切なメンテナンスを行うことにより長期間に亘り反復使用することができます。当社ではタンクコンテナの経済的耐用年数に合わせて20年かけて減価償却をしておりますが、継続して業容を拡大していくためには保有基数を恒常的に増やしていくことが必須であることから、当社グループ資産の大宗を占める(2018年12月31日時点で41.2%)タンクコンテナの減価償却は今後も続くことが見込まれます。
また、液体貨物の荷動きが長期に亘り鈍くなることにより稼働率が低下する場合に備えて保有基数の2~3割程度をレンタル方式で調達し、必要に応じてレンタルコンテナを返却してコストを削減することにより業況への影響を軽減する運営をしております。しかしながら、想定以上に稼働率が低下した場合やタンクコンテナの保管場所と輸送ニーズがある地域がアンバランスになることにより大量の空回送が必要となる場合は、減価償却費の負担に加えてタンクコンテナの保管や回送等にかかる費用が増加することにより、当社グループの経営成績が大きく影響を受ける可能性があります。
(8) 事業規模の拡大に伴うリスクについて
当社グループは、現時点においてグローバルネットワークを引き続き拡張してゆくことを基本方針としており、今後、北米地域やアジア諸地域等に対してさらなる事業展開を進めて参ります。
海外においては、現地の法律や規制の突然の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用や確保の困難さ等、事業を行ううえで直接影響を受ける事業継続リスクに加え、テロ、戦争、その他の要因による社会的または政治的混乱等が発生するリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することにより、海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画が影響を受ける可能性があります。
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