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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100GB5Q

有価証券報告書抜粋 株式会社リプロセル 事業の内容 (2019年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社グループは当社(株式会社リプロセル)及び米国子会社のREPROCELL USA Inc.、英国子会社のREPROCELL Europe Ltd.などの連結子会社6社、さらに関連会社3社の合計9社により構成されております。

当社の中核事業領域であるiPS細胞は、山中伸弥教授によるヒトiPS細胞の発明以降、世界中で研究が盛んに行われております。
最近では、iPS細胞を活用した病態解明や再生医療への応用など、実用的な研究開発が多く行われるようになりました。2017年には、希少難病の患者から作製したiPS細胞を活用して病態を解明し、新薬候補の治験へつなげた事例が報告され、さらに、再生医療に関しても、iPS細胞を使った加齢黄斑変性及びパーキンソン病に関する臨床研究及び治験が行われております。
当社では、前者のようにiPS細胞を病態解明や創薬研究に使用する事業を「研究支援事業」、後者の再生医療を「メディカル事業」と位置づけ、2つのセグメントに分け、推進しております。「研究支援事業」を短中期的な収益の柱として、「メディカル事業」を中長期的な成長事業として組み合わせることで、短期→中期→長期と、継続的な成長を目指します。

事業内容内容
研究支援事業 iPS細胞の研究に必要な試薬を大学や公的研究機関、製薬企業等に製造・販売しています。現在は研究用試薬だけではなく、再生医療にも応用できる臨床研究用試薬としてiPS細胞培養液「ReproMed iPSC Medium」や、細胞凍結保存液「ReproCryo RM」もラインナップしています。
さらに、当社グループが持つヒト細胞調達能力を活かし、ヒト細胞の提供及び創薬支援受託サービスを製薬企業やバイオテック企業へ提供しています。
受託サービスのひとつであるヒトiPS細胞の作製では、当社が保有する次世代RNAリプログラミング技術を使用し、皮膚や血液だけでなく尿からも、高品質なiPS細胞を作製しています。さらに、iPS細胞から心筋細胞や神経細胞、肝細胞を作製するサービスを組み合わせることにより、顧客の要望に応じたモデル細胞の提供も行っています。
また、欧州のREPROCELL Europe Ltd.内にはGLP(Good Laboratory Practice: 医薬品の非臨床試験の安全性に関する信頼性を確保するための基準)に準拠した施設「Centre for Predictive Drug Discovery」を保有しており、信頼性の高い受託サービスを実施しております。
新規事業として、2018年10月、遺伝子改変サービスを当社の投資先であるGenAhead Bio社と共同で開始いたしました。最先端のゲノム編集技術として注目されているCRISPR/Cas9の精度及び効率を飛躍的に向上するための付加技術であり、従来では困難であった難易度の高い遺伝子改変サービスを提供することができます。
加えて、2018年4月にBioserve Biotechnologies India Pvt. Ltd.を買収したことで、次世代シーケンシング受託ビジネスを、新規事業領域として追加いたしました。今後、疾患iPS細胞の遺伝子解析などへの応用を進めてまいります。
メディカル事業 再生医療関連では、再生医療製品の早期承認取得を目指して、2つのパイプラインを推進しております。
1つ目のパイプラインとして、ヒト体性幹細胞を用いた再生医療製品「ステムカイマル」の日本での治験準備を進めております。ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した、健常者ドナー由来の体性幹細胞を用いた再生医療製品です。当社はステミネント社と日本における共同開発及び販売に関する独占契約を締結しており、脊髄小脳変性症を対象とした国内での治験開始に向けて準備を進めています。
2つ目のパイプラインとして、米国Q Therapeutics Inc.(以下、Qセラ社)と共同で、中枢神経系疾患を対象として、再生医療製品となるiPS細胞由来神経グリア細胞(iGRP)の研究開発に取り組んでいます。
その他にも、臓器移植に関連した臨床検査の受託サービスを行っております。


事業セグメントと成長戦略
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(1) 研究支援事業
研究支援事業では、大学/公的研究機関及び製薬企業等の研究所を顧客として、研究試薬や細胞などの研究用製品及びiPS細胞作製受託などのサービスを提供しております。最先端技術を集約した製品・サービスを上記研究機関に提供することで、最終的には画期的な新薬や治療法の開発に貢献して参ります。
当社では、第3世代RNAリプログラミング技術など、ヒトiPS細胞に関する世界最先端の技術プラットフォームを保有しており、さらに、がん細胞やヒト組織を医療機関から調達する幅広いネットワークも保有しております。これら技術優位性の高い「ヒト細胞ビジネスプラットフォーム」を最大限活用することで、「動物実験からヒト細胞実験」へのシフトを先取りした事業を進めております。具体的には、iPS細胞研究用の研究試薬類、患者の組織からiPSを作製する病態モデル細胞の作製、ヒト組織を用いた新薬の薬効薬理評価、ヒト生体試料のバンキングなどがあります。このように、ヒト細胞に関する最先端の製品・サービスを幅広く提供している点が当社の最大の強みになります。

当事業年度では、新規事業として、2018年10月、遺伝子改変サービスを当社の投資先であるGenAhead Bio社と共同で開始いたしました。同社は、ゲノム編集技術の専門家チームであり、高精度かつ高効率にゲノム編集ができる独自技術「SNIPER」を保有しております。最先端のゲノム編集技術として注目されているCRISPR/Cas9の精度及び効率を飛躍的に向上するための付加技術であり、従来では困難であった難易度の高い遺伝子改変サービスを提供することができます。遺伝子改変細胞は創薬スクリーニングなど製薬企業で幅広いニーズがあり、今後これらのサービスを重点的に展開してまいります。
また、株式会社ファンケルと共同でヒトiPS細胞由来の感覚神経細胞の開発に成功し、2018年10月より、新規の受託製造サービスとして開始いたしました。
さらに、2018年4月にBioserve Biotechnologies India Pvt. Ltd.を買収したことで、次世代シーケンシング受託ビジネスを、新規事業領域として追加いたしました。次世代シーケンシングは、遺伝子解析を大量かつ高速に行う新規技術であり、今後、疾患iPS細胞の遺伝子解析などへの応用を進めてまいります。

このように、当事業年度は、地域的にも技術的にも積極的に事業を拡大いたしました。地域的には、従来の日本、米国、欧州に加えて、インドを含む4拠点とし、技術的にも、iPS細胞技術、ヒト細胞の調達能力、創薬スクリーニング技術に加え、新たに、遺伝子改変技術、次世代シーケンシング技術を加えました。今後とも、当社グループでは研究支援事業を短中期事業の収益の柱として積極的に推進してまいります。


研究支援事業の事業系統図

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(2) メディカル事業
再生医療分野においては、ヒト体性幹細胞やヒトiPS細胞の臨床応用を目指した研究が世界中で盛んにおこなわれており、将来、再生医療製品がグローバルで巨大産業に成長することが見込まれています。
特にiPS細胞は、体の様々な細胞に分化させる事が可能であることから、有効な治療法のない難病に対する臨床応用に大きな期待が寄せられています。iPS細胞を医療に応用する場合の最大の技術課題は安全性の確保ですが、当社では、遺伝子変異リスクを最小化し、外来遺伝子やウイルス残存リスクのない、高品質で臨床応用に適したiPS細胞を作製する「RNAリプログラミング技術」を開発・保有しております。特に、遺伝子変異につながる染色体異常の発生する頻度は、他のiPS細胞作製法と比べて顕著に低いことが論文でも報告されており、現在最も臨床に適した最新のiPS細胞作製技術だと言えます。
(a) 体性幹細胞製品 ステムカイマル
ヒト細胞加工製品 ステムカイマルは台湾のSteminent Biotherapeutics Inc.(以下、ステミネント社)が開発した再生医療製品であり、当社は脊髄小脳変性症を対象とした日本における独占的商業ライセンス契約を締結しております。
2018年7月に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出した、脊髄小脳変性症を対象とした日本における治験計画届について、所定の審査が終了いたしました。これにより、当社は今後日本においてステムカイマルの第II相臨床試験の実施が可能となり、治験を実施する国内の医療機関と所定の契約締結に向けた準備を進めるとともに、日本の制度を活用した早期の承認取得を目指してまいります。また、2018年12月に厚生労働省による大臣承認を経て、希少疾病用再生医療等製品として指定されました。これにより、今後、開発に係る経費の助成金(最大50%)、優遇税制措置、及び優先審査等の支援措置を受けることができます。
一方、ステミネント社は、台湾において当該疾患を対象としたステムカイマルの第II相臨床試験を進めております。また、2018年7月に米国においてもステムカイマルの治験申請(IND)が米国食品医薬品局(FDA)より承認されており、米国でも今後治験が進められます。
脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまう事により、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調が現れ、日常の生活が不自由となってしまう原因不明の希少疾患です。ステムカイマルによる同疾患による症状の進行抑制効果が期待されています。
当社では、病気と闘っている患者様へ少しでも早く新しい治療法が届けられるよう、本プロジェクトを積極的に推進してまいります。

(b) iPS神経グリア細胞製品
iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、中枢神経系疾患に対するiPS細胞再生医療製品として開発を行っております。本プロジェクトを加速させるため、2018年4月に、米国Q Therapeutics Inc.(キューセラピューティクス、以下、Qセラ社)との間で合弁会社「株式会社MAGiQセラピューティクス」を設立いたしました。Qセラ社は中枢神経系の再生医療に特化したベンチャー企業であり、Qセラの創業者であるMahendra Rao博士はアメリカ国立衛生研究所(NIH)再生医療センターの初代ディレクターも務めた、神経幹細胞の世界的に著名な研究者です。合弁会社では、当社のiPS細胞技術とQセラ社の中枢神経系の技術を組み合わせることで、iPS細胞由来神経グリア細胞の開発を加速してまいります。
さらに、本プロジェクトの研究開発を加速させるため、2018年12月、湘南ヘルスイノベーションパークに入居し、湘南研究所を開設いたしました。

また、メディカル事業では、これらの再生医療に加え、臓器移植に関連した臨床検査の受託サービスも行っております。当社の主力検査項目である臓器移植後の抗HLA抗体検査が2018年4月1日より保険収載となりました。当社の登録衛生検査所は、日本組織適合性学会により「認定組織適合性検査登録施設」へ認定されており、医療機関が当該臨床検査の外部委託を検討する際の、重要な要素をクリアしております。これにより、当事業年度は、検査依頼数、売上とも大幅に増加いたしました。

メディカル事業のパイプライン
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(参考情報)
※1:筋萎縮性側索硬化症(ALS)
体を動かすための神経系(運動神経)が変性してしまい、筋力の低下による運動障害や嚥下障害等の症状があらわれる病気です。運動神経のみが変性するため、意識や五感は正常であり、知能の低下もありません。病状の進行が極めて速い一方で、有効な治療法は確立されていません。日本では指定難病とされており、国内患者数は約1万人とされています。
※2:横断性脊髄炎(TM)
脊髄の一部分が横方向にわたって炎症を起こすことによって発生する神経障害です。通常、腰部の痛み、筋肉衰弱、つま先や脚の異常な感覚などの症状が突然発症することで始まり、その後急速に、麻痺や閉尿や排便制御の喪失などの深刻な症状がみられます。原因は特定されておらず、有効な治療法は確立されていません。国内患者数は約1.5万人とされています。


沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E27585] S100GB5Q)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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