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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G321

有価証券報告書抜粋 CYBERDYNE株式会社 事業の内容 (2019年3月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社は、社会が直面する様々な課題を解決するため、サイバニクスを駆使して、革新技術(イノベーション技術)の創生と基礎的研究開発から社会実装までを一貫した事業スキームとして事業展開し、革新技術の創生と新産業創出による市場開拓、これらの挑戦を通じた人材育成を上向きにスパイラルを描くように同時展開する未来開拓型企業です。
「テクノロジーは人や社会の役に立ってこそ意味がある」との理念のもと、HAL®に代表される「メイドインジャパンの革新的ロボット医療機器/革新的人支援機器/革新的医療機器」の研究開発・社会実装及び当該技術を核とした世界規模でのサービス産業を創出し、健康長寿社会を支える人支援産業(ロボット・ヘルスケア産業を含む)のリーディング企業として国際事業展開・市場開拓を行い、重介護ゼロ®社会の実現に挑戦します。今後、世界の先進各国は超高齢社会に直面しますが、そこには医療・福祉・生活(職場環境含む)分野での新たなサイバニクス産業創出の機会があり、1980年代に産業用ロボットが成し遂げた生産革命を超えるパラダイムシフト(サイバニクス革命)によって人や社会に役立つことが、当社グループの事業ミッションです。

(1) サイバニクス技術による事業分野
サイバニクスは、人とロボットと情報系が融合複合したトータルシステムを「基礎研究レベルから社会実装」に至るまで取り扱うことのできるものとなっています。当社グループは、このサイバニクス技術を駆使して、医療、福祉、生活(職場環境含む)分野の事業展開を行います。HAL®は、人・ロボット・情報系が融合複合したサイバニクスを駆使して研究開発された革新技術の代表的成果であり、これを中心として下記のような事業分野に展開しております。

1) 医療サービス分野:脳・神経・筋系疾患の患者へのサイバニクス治療サービスを提供する事業分野。
2) 医療機器分野:医療用HAL®に代表される脳・神経・筋系疾患の患者向けのサイバニクス治療を行う医療機器や動脈硬化や不整脈を捉える手のひらサイズの小型バイタルセンサーなどの研究開発・製造・販売及びそれらに関連する事業分野。
3) 生活支援サービス分野(介護福祉を含む):高齢者や障がい者への健康トレーニングを提供する事業分野。
4) 生活支援機器分野(介護福祉を含む):高齢者や障がい者の自立動作をサポートするHAL®福祉用(下肢タイプ)・自立支援用(単関節タイプ、腰タイプ)、作業者や介護者の重作業をサポートするHAL®作業支援用・介護支援用(腰タイプ)、人工知能AI搭載型の搬送ロボットや清掃ロボットなどの介護福祉・職場環境等を含む生活支援を行う生活支援ロボットの研究開発・製造・販売及びそれらに関連する事業分野。その他、災害現場でのレスキュー活動を支援する災害対策ロボットの研究開発及びそれに関連する事業分野。


(2) 中核技術としてのHAL®の動作原理と制御方法
HAL®は、人が装着して利用します。HAL®の技術は様々な分野で利用でき、当社グループの事業の中核となるものです。HAL®は、装着者の脳神経系からの動作意思を反映した微弱な生体電位信号(Bio-Electrical Signal:BES)で機能する「サイバニック随意制御系」、姿勢や重心バランス等の装着者の動作情報を人工知能処理し機能する「サイバニック自律制御系」、装着者の人間特性に適応調整される「サイバニックインピーダンス制御系」、及びこれらを組み合わせた「サイバニックハイブリッド制御系」などで構成される革新的サイバニックシステムです。
人が体を動かそうとする際、その運動意思は微弱なイオン電流の神経系指令信号として、脳、脊髄、運動神経、筋肉へと伝達され、最終的に筋骨格系が動くことになります。その際、微弱な生体電位信号が皮膚表面にも到達してくるので、これを検出できれば運動意思を捉えたことになります。HAL®はこの微弱な生体電位信号を装着者の皮膚表面に貼付けられたセンサーで検出し、これを活用して機能します。これにより、装着者が身体を動かそうとすると、その運動意思に従ってHAL®が駆動します。HAL®は身体に密着しているため、装着者の意思によって駆動すると同時に、脚などの装着部位を動かすことになり、筋紡錘(※1)からの求心性ニューロン(※2)の信号が感覚神経、脊髄を経て脳に戻る(フィードバックされる)ことになります。更に、このような体内の感覚神経系情報に加え視聴覚情報も脳にフィードバックされることになります。このようにして、「脳→脊髄→運動神経→筋肉→HAL®」、そして、「HAL®→筋紡錘→感覚神経→脊髄→脳」という脳と身体とHAL®との間でインタラクティブなバイオフィードバックが構成されることになります。
これが基本的な「サイバニック随意制御」であり、機能的に人間とロボットとを一体化させることに成功した新しい制御手法の動作原理の一つです。また、重度の運動機能障害を有する場合、特に、生体電位信号がまだ検出できないような状態では、「サイバニック随意制御」が機能しないため、人間の基本運動パターンや動作メカニズムの解析結果を元に予め準備されたプログラムによってロボットのように動作する「サイバニック自律制御」が機能します。また、HAL®の質量・慣性モーメント・粘性摩擦等の機械インピーダンスを補償し、装着感に関する物理パラメータを任意に調整することができるサイバニックインピーダンス制御も組み込まれています。目的に応じて、これらの制御を自在に組み合わせたサイバニックハイブリッド制御を構成できることがHAL®の大きな特徴となります。

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図1 HAL®の動作原理



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図2 HAL®の制御方法

※1.筋紡錘
筋肉の内部の紡錘型の筋繊維にらせん状に巻き付いている感覚受容器です。筋肉の長さや張力に応じて神経伝達物質が生じるため関節の角度や身体の姿勢や筋肉が発揮している力などの身体の内部の感覚を起こします。

※2.求心性ニューロン
末梢の感覚受容器からの刺激を脊髄や脳など中枢に伝達する知覚神経のニューロンです。

(3) 医療用HAL®の医療機器認証/承認と保険収載のプロセス
医療用HAL®は人種や民族により安全性や有効性に関する差異がでにくいという特徴があります。また、非侵襲でリスクレベルも高くないため、各国の各種保険制度にはほぼ共通の臨床データを利用することができます。したがって、高レベルの臨床データを蓄積することで(※1)、今後の展開を加速させてまいります。


当社の医療用HAL®は国内外の医療機関で実証された臨床データによって身体機能改善と臨床的な安全性が確かめられ、ロボット治療機器として世界で初めてEUにおける医療機器認証(CEマーキング)を取得しました。なお、適用疾患の範囲は脳・神経・筋系の疾患(具体的には、脳卒中・脊髄損傷に起因する運動麻痺、廃用、進行性疾患など)となっています。医療機器としての認証はEU圏内で効力を有するため、認証規制面でのプロセスは既にクリアしており、ドイツ、ポーランド、イタリアで医療用HALを用いた治療が進められています。
ドイツでは公的労災保険、ポーランドでは民間保険の適用が既に認められておりますが、保険適用の範囲をドイツの公的医療保険や民間保険、他国での保険適用へと拡大できるよう協議を進めております。


当社は、医療用HAL®(下肢タイプ)について、2017年12月に、FDA(米国食品医薬品局)より医療機器としての市販承認を取得しました。今回の市販承認は、脊髄損傷患者を対象としており、使用目的が、医療用HAL®による治療を行なった後の歩行機能の改善にあること、医学的治療効果として、医療用HAL®による治療後、医療用HAL®を装着しない状態での歩行機能の評価項目において「統計的に有意」かつ「臨床的意義のある」改善が認められていることなど、医療用HAL®の特徴が反映されたものとなりました。
患者自身の歩行機能の改善を使用目的とする医療用HAL®の市販承認に伴い、FDA 機器分類の定義が改定され、また、医療用HAL®は、神経系の分類である Neurological Devices及び理学療法系の分類である Physical Medicine Devices内に含まれる2つの機器分類にまたがる唯一の医療機器となりました。
米国においては、医療用HAL®の臨床試験に取り組むとともに、サイバニクス治療に対するメディケアの適用に向けた準備や、民間医療保険の適用に向けて複数の民間保険会社との協議を進めております。


当社は、2015年3月に医療用HAL®(下肢タイプ)について、筋ジストロフィーやALS等(※2)の希少性難治性の神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」としての製造販売承認申請を行い、2015年11月に医療機器として製造販売承認を取得しました。2016年1月に世界で初めて公的医療保険適用が決定し、2016年9月より神経・筋難病疾患の患者に対する公的医療保険による診療が開始されています。
また2014年9月より対象疾患を希少性難治性の脊髄疾患に拡大することを目的とした医師主導多施設共同治験が実施されています。さらには、単脚型の医療用HAL®についても医療機器の製造販売承認を取得するために、2016年9月から脳卒中後の歩行能力回復を目的とする医師主導多施設共同治験が実施されています。
今後は脊髄損傷などへの承認範囲の拡大を図り、臨床研究を進めております。さらに医療保険収載のプロセスについても、医療機器承認の範囲拡大と並行して進めてまいります。


サウジアラビアにおいては、2017年8月にサウジアラビア食品医薬品局(The Saudi Food and Drug Authority) より医療用HAL®に対する医療機器製造販売の承認を取得し、現在はアブドゥルラティフジャミール社の医療機関において医療用HAL®の臨床利用が積極的に行われると共に、2019年3月より、サウジアラビア保健省(MOH)の主導で複数の公的医療機関において、医療用HAL®を用いた脊髄損傷患者に対するパイロット試験が実施されています。
日本国外のAPAC(アジア太平洋地域)においては、2018年11月にマレーシア、2019年4月にはフィリピンでの運用が開始しています。また、東南アジア最大の医療市場であるタイにおいても、タイFDAによる医療機器承認審査が進行しています。

※1.主な学術論文は、下記の通りです。
(脊髄損傷)
・“Functional Outcome of Neurologic―Controlled HAL―Exoskeletal Neurorehabilitation in Chronic Spinal Cord Injury: A Pilot With One Year Treatment and Variable Treatment Frequency” Global Spine Journal (2017)
・“Against the odds: what to expect in rehabilitation of chronic spinal cord injury with a neurologically controlled Hybrid Assistive Limb exoskeleton. A subgroup analysis of 55 patients according to age and lesion level”Neurosurgical Focus (2017)
・“The Effectiveness and Safety of Exoskeletons as Assistive and Rehabilitation Devices in the Treatment of Neurologic Gait Disorders in Patients with Spinal Cord Injury: A Systematic Review” Global Spine Journal (2016)
・“Voluntary driven exoskeleton as a new tool for rehabilitation in chronic spinal cord injury ― A pilot study” The Spine Journal (2014)
・“Locomotion training using voluntary driven exoskeleton (HAL) in acute incomplete SCI” Neurology (2014)

(脳卒中)
・“Combined therapy using botulinum toxin A and single-joint hybrid assistive limb for upper-limb disability due to spastic hemiplegia”, Journal of the Neurological Sciences (2017)
・“Gait training with Hybrid Assistive Limb enhances the gait functions in subacute stroke patients: A pilot study”, NeuroRehabilitation (2017)
・“Gait training of subacute stroke patients using a hybrid assistive limb: a pilot study” NeuroRehabilitation (2017)
・“Tailor-made rehabilitation approach using multiple types of hybrid assistive limb robots for acute stroke patients: A pilot study”, Assistive Technology (2016)
・“Gait training early after stroke with a new exoskeleton ― the hybrid assistive limb: a study of safety and feasibility” Journal of Neuro Engineering and Rehabilitation (2014)
・“Pilot study of locomotion improvement using hybrid assistive limb in chronic stroke patients” BMC Neurology (2013)

(その他)
・“Feasibility of rehabilitation using the single-joint hybrid assistive limb to facilitate early recovery following total knee arthroplasty: A pilot study”, Assistive Technology (2017)
・“Feasibility of rehabilitation training with a newly developed wearable robot for patients with limited mobility” Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2013)

※2.医療機器製造販売承認申請の対象となった希少性神経・筋難病疾患は、下記の通りです。
脊髄性筋萎縮症(SMA)、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病(CMT)、遠位型ミオパチー、封入体筋炎(sIBM)、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

(4) 当社グループ製品の内容
当社グループでは、多様な技術分野において製品開発を推進しておりますが、現時点での当社グループの事業はHAL®が中心となっています。HAL®は、その使用目的別に、①医療分野での患者の身体機能改善/機能再生を目的としたロボット治療機器、②介護福祉分野での自立動作支援を目的とした福祉機器や生活支援機器、③介護施設や建設・工場など重作業現場での作業者に対する作業支援機器などとして、人が装着して活用することで様々な用途展開を可能とするものです。HAL®以外には、AIを搭載した搬送ロボットや清掃ロボットを製品化しています。また、HAL®で培ったセンシング技術を活用し、障がい者の方の意思伝達等に使用するCyin®や、病気を未然に防ぐための、動脈硬化や不整脈を捉える手のひらサイズの小型バイタルセンサー(心電脈波検査装置)などの製品化を行っています。

(5) 当社グループの事業系統図
以上に述べた事項を、以下の事業系統図に示します。なお、当社グループのセグメントはロボット関連事業のみの単一セグメントです。

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HAL®を製品として出荷するために、研究開発の手順から製造・管理に至るまで、高品質の研究開発・製造・管理体制を整備しつつ、①専門家ユーザー(利用施設:医療機関、介護福祉施設、企業等)向けに当社機器のレンタル・リース販売及び保守サービスを提供し、更に②エンドユーザー(患者等)向けにサイバニクス治療およびトレーニングサービスの提供を行っております。

沿革関係会社の状況


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