有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G26F
株式会社 神戸製鋼所 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、幅広い技術分野での高度な技術力を源泉として、当社グループならではの顧客価値を実現する製品の創出と、それに必要な「ものづくり力」の強化を中心に取り組み、また拡販のための技術支援、ソリューション提案など多くの成果をあげております。
当社技術開発本部では、各事業の基盤と競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・プロセスを具現化する高度で先端的な技術の開発も先導して行なっており、自動車分野、航空機分野、エネルギー分野、人工知能(AI)含むICT分野などでの新たなメニュー創出とそれらを支えるものづくり力を強化していきます。2018年10月に人工知能(AI)を活用して製品開発力とものづくり力の強化を目指す専任組織「AI推進プロジェクト部」を新設しました。産業界におけるAI技術の応用が急速に進む中、当社の幅広い事業分野で培われた多様な経験と専門性を持つ技術者約20名を専任者として配置し、事業競争力の根幹である材料や機械製品の開発とものづくりにおいて、他社との差別化が可能となる技術の確立を目指します。
当社各部門及び連結子会社の技術開発部門では、事業の競争力強化に直結する製品及び生産技術の開発を行なっております。今後とも、グループ全体にわたる研究開発への経営資源の投入を効果的に行なってまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、344億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行なっている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用97億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼]
鉄鋼では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)や建設分野を中心に特殊鋼や高強度鋼、鋳鍛鋼、チタン、鉄粉の商品力・強みを生かした商品開発と「ものづくり力」の強化に向けた生産技術の開発に引き続き注力して取り組んでおります。
特殊鋼分野では、自動車の電動化や燃費改善に貢献可能な鋼材の開発と、加古川製鉄所への上工程集約を起点とした生産技術力の強化を進めております。
厚板分野では、建設業を中心としたお客様の合理化と工期短縮の要望に対応するために、切断・曲げ・溶接等の厚板加工を高効率で行なうことができる熱加工制御(TMCP)鋼を商品化するとともに、それらの新商品の実現と安定生産の基盤となる圧延や冷却を始めとする生産技術の高度化に取り組んでおります。
薄板分野では、自動車ボディ骨格用高強度鋼板(ハイテン)の適用拡大やさらなる高機能化の要望に対応するために、高強度に加えて加工性、溶接性、衝突特性等を兼備したハイテンの新商品開発を推進しています。これらを具現化する高度なミクロ組織制御を実現するため新連続焼鈍設備の導入を決定し、2021年2月稼動に向けて建設を進めております。
鋳鍛鋼品については、舶用主機関や陸上発電機に使用されるディーゼルエンジンの燃料効率改善等に寄与することを目的として、クランク軸用高強度鋼の開発を進めてきました。その結果、新開発鋼の実機サイズでの特性評価が完了し、船級協会による承認を取得しました。
チタン分野では、航空機向けチタン鍛造品について内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を活用し、鍛造における形状並びに組織・材質予測技術を構築することで、品質・工程・設計技術をさらに向上させる取り組みを行ないました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、52億円であります。
[溶接]
溶接では、画期的な溶接プロセスである「REGARCTM」を搭載した小型可搬型溶接ロボット「石松」を開発しました。炭酸ガスアーク溶接の大電流域におけるスパッタ・ヒューム発生量を大幅に低減した「REGARCTM」プロセスと人が持ち運べる軽さの「石松」との組合せにより、溶接の自動化ソリューション提案力をさらに充実させました。建築鉄骨溶接ロボット型式認証は取得済みであり、2018年4月の「2018国際ウエルディングショー」でのプレスリリースを経て、2018年7月より受注を開始しました。
また、大型ロボット「ARCMANTM XLmkⅡ」の後継機である「ARCMANTM A80」を開発しました。特長として、下腕フレーム構造をシリアルリンク化することによって従来機を超えた広い動作範囲を実現、また、スリム化、軽量化、ケーブル経路の簡潔化ができております。さらに、新型CBコントローラと接続することにより、センシング動作時間を短縮し、タクトタイムの削減が可能となります。
さらに、溶接材料の面からも溶接の自動化を推進するために、造船大組立ロボット溶接システム専用の溶接ワイヤとして「FAMILIARCTM DW-100R」を開発しました。大組立工程では立向上進溶接が多く、加えて従来技術では溶接困難なルートギャップが自動化を阻害する要因となっていました。「FAMILIARCTM DW-100R」は、立向上進溶接の溶接時間を半減させ、また耐ギャップ性を向上しています。また、水平すみ肉姿勢でも良好なビード形状が得られ、立向/水平姿勢で兼用できるロボット専用ワイヤとなります。
加えて、造船の板継工程に用いられている当社「FCBTM」での溶接品質のさらなる向上、手直し時間の低減による効率化を実現させる「終端割れ防止技術」を開発しました。変形シミュレーションを駆使し、終端割れに影響する諸因子を抽出、引張の塑性ひずみを低減させ、終端割れを防止する施工法を確立しました。なお、本施工法はジャパン マリンユナイテッド(株)と共同で、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)の革新的造船技術研究開発事業で2017-2018年度に採択されており、その研究成果となります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、37億円であります。
[アルミ・銅]
アルミ・銅では、中長期事業競争力の強化に向け、自動車関連部材等「成長分野」への技術開発と品質及び生産技術の向上に注力して研究開発を進めております。また、缶用材料、電子機器材料等の「ボリュームゾーン」では、安定した生産性確保とさらなる品質向上を継続的に推進しています。
アルミ板分野では、自動車パネル材の需要が拡大しており、真岡製造所・神鋼汽車鋁材(天津)有限公司の両拠点での生産が増加しています。また、真岡製造所では熱処理・表面処理設備を建設中で、2020年から稼働開始する予定です。材料・表面処理技術に加えて、当社の特徴である接合や解析技術のソリューション提案力も高く評価されており、自動車へのアルミ板材の採用拡大に貢献しています。飲料缶材料では、進展する薄肉軽量化に対応した高強度・高成形性材料の開発を推進し、高い評価を得ており市場シェアの維持に貢献しています。
鋳鍛分野では、自動車サスペンション用アルミ鍛造部品において北米・中国を始めとしてグローバルに需要が拡大しており、サスペンション部品の生産性向上、さらなる品質向上のための技術開発を推進しています。また、他社との差別化を図るために、高強度合金開発と構造設計の両面から軽量化提案を行い、お客様から高い評価を得ています。さらに自動車分野以外でも、高性能な耐熱材料の開発や、競争力向上のためのプロセス技術の開発を行なっています。
押出分野では、アルミ製バンパーシステムや車両骨格部材などの自動車用押出形材に対して、軽量で衝突安全性に優れた材料のニーズが高まっています。当社では高強度でかつ耐応力腐食割れ性に優れた独自7000系合金押出形材を開発し、日本だけではなく米国でも溶解鋳造から押出、加工までの一貫生産を開始しています。将来の差別化・競争力強化に向けて、さらなる高強度合金開発やその生産技術開発にも注力しております。
銅板分野では、自動車向け電装部品用端子材料の需要が好調であり、低摩擦係数と耐熱性に優れた錫めっき(新リフローめっき)技術が高く評価され、国内外で採用が拡大しています。欧州につづき米国伸銅メーカーへも「新リフローめっき」技術のライセンスを供与し、現地からの供給を始めています。今後もさらなるグローバル供給体制の拡充を推進します。また、自動運転化に伴う電装化の進展から、端子の小型化、多極化に最適な高強度、薄板材料の開発を推進しています。さらに、スマートフォン用などの散熱部材への開発合金の採用も順調に増加しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、29億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面からさらなるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
圧縮機関連分野では、当社が開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、川崎汽船(株)の協力の下、約3年間の実船運用のフィールド試験を行ないます。本技術をグローバルに展開し、舶用業界における環境負荷低減に貢献してまいります。
産業機械関連分野では、樹脂用混練造粒装置のたゆまぬ技術開発がもたらす、優れた混練性能を評価いただき、当社のポリプロピレン向け装置としては過去最大生産規模の「LCM350EX」を受注しました。
加えて、当社子会社のQuintus Technologies ABにて航空機用チタン合金(Ti-6Al-4V)に適用できる高圧熱間成形(High Pressure Warm Forming)プロセスを開発しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、27億円であります。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、独自プロセス・技術のさらなる差別化、競争力強化に向けた開発を継続するとともに、将来の成長が見込まれる、環境、エネルギー等の有望分野において、積極的に開発を推進しております。
原子力関連分野では、原子力発電所の廃炉に伴う廃棄物の処理技術の開発に取り組んでおります。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREXプロセス:世界No.1シェア)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、新下水道ビジョンに沿ったバイオマスエネルギー利活用を目指し、高濃度汚泥消化技術など低LCC(ライフサイクルコスト)を実現できる技術開発を実施しています。また、ユーグレナグラシリスEOD-1の機能性の実証に取り組んでいます。
廃棄物処理関連分野では、AIやICTを活用した操業安定化によるプラント運転の省力化に継続的に取り組んでおります。また、従来よりも高温高圧の廃熱ボイラを備えた高効率発電を可能とする流動床式ガス化燃焼炉の第一号機を納入いたしました。
化学・食品機械関連分野では、機能性グラスライニングの開発をさらに進め、また粉体機器の改良など医薬品市場向けに競争力を高める開発や、撹拌式凍結乾燥機の商品化を進める開発に取り組んでおります。
水素関連分野では、水素発生装置において、メンテナンススペースを削減し操作性を向上させた新機種を上市し、従来機種についてもブラッシュアップ、リニューアルにより、コストダウンと省スペース並びに消費電力の削減を実現しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。
[建設機械]
建設機械では、広島大学と、「コベルコ建機夢源力共創研究所」を2018年4月に広島大学内に設置しました。本研究所は、複数の共同研究講座等を統括・マネジメントする機能を持った研究所として、今まで以上に高い次元での組織対組織の研究活動を可能とするとともに、産業・学術の両面で高い成果に結び付けていくものとなります。
クレーン関連分野では、ミニラフテレーンクレーン「LYNX130」(型式:RK130-2/RK130M-2)を2018年5月より国内向けに販売を開始しました。最新のディーゼル特殊自動車2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、従来の2ウインチからパワフルな1ウインチに集約することで、操作性・作業効率を大幅にアップしました。
また、テレスコピッククローラクレーン「TK550G(最大つり上げ能力55t)」(型式:TK550G)を2018年6月より国内向けに販売を開始しました。2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、クローラならではの安定性とつり上げ能力に、全段シリンダ伸縮のテレスコピックブームの作業性を兼ね備えたモデルとして、さまざまな基礎工事から相番作業まで幅広く活用いただけます。さらに輸送幅2.99mを達成し、最新の輸送規制に対応しました。
さらに、ショベル関連分野において後方超旋回ミニショベル「SK20SR-6」を2018年10月より販売を開始しました。省エネ運転機能である「エコモード」や「オートデセル機能」を標準装備しており、液晶ディスプレイを標準設定することで、機械のメンテナンス情報、異常情報などのマシン情報が一目で確認できるようになりました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、65億円であります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。さらに、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ用の配線に用いられる薄膜用のターゲット材料や半導体等の検査装置の開発に取り組んでいます。
当連結会計年度においては、各自動車メーカーはEV化開発を進めており、当社は「EV駆動モータの評価技術」の開発に取り組んでおります。また、パネルメーカーからのニーズであった、既存のIGZO(In-Ga-Zn-O)をさらに進化させた、8K-TV等の次世代高精細大型フラットパネルディスプレイの用途に適した高電子移動度酸化物半導体用スパッタリングターゲット材を上市しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、10億円であります。
当社技術開発本部では、各事業の基盤と競争力強化に向けた研究開発に加え、将来に向けた新製品・プロセスを具現化する高度で先端的な技術の開発も先導して行なっており、自動車分野、航空機分野、エネルギー分野、人工知能(AI)含むICT分野などでの新たなメニュー創出とそれらを支えるものづくり力を強化していきます。2018年10月に人工知能(AI)を活用して製品開発力とものづくり力の強化を目指す専任組織「AI推進プロジェクト部」を新設しました。産業界におけるAI技術の応用が急速に進む中、当社の幅広い事業分野で培われた多様な経験と専門性を持つ技術者約20名を専任者として配置し、事業競争力の根幹である材料や機械製品の開発とものづくりにおいて、他社との差別化が可能となる技術の確立を目指します。
当社各部門及び連結子会社の技術開発部門では、事業の競争力強化に直結する製品及び生産技術の開発を行なっております。今後とも、グループ全体にわたる研究開発への経営資源の投入を効果的に行なってまいります。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、344億円であります。なお、本費用には、当社技術開発本部で行なっている事業部門横断的又は基礎的研究開発などで、各事業区分に配分できない費用として計上する費用97億円が含まれております。
主な事業の種類別セグメント毎の研究開発活動の状況は、次のとおりであります。
[鉄鋼]
鉄鋼では、輸送機分野(自動車、船舶、航空機)や建設分野を中心に特殊鋼や高強度鋼、鋳鍛鋼、チタン、鉄粉の商品力・強みを生かした商品開発と「ものづくり力」の強化に向けた生産技術の開発に引き続き注力して取り組んでおります。
特殊鋼分野では、自動車の電動化や燃費改善に貢献可能な鋼材の開発と、加古川製鉄所への上工程集約を起点とした生産技術力の強化を進めております。
厚板分野では、建設業を中心としたお客様の合理化と工期短縮の要望に対応するために、切断・曲げ・溶接等の厚板加工を高効率で行なうことができる熱加工制御(TMCP)鋼を商品化するとともに、それらの新商品の実現と安定生産の基盤となる圧延や冷却を始めとする生産技術の高度化に取り組んでおります。
薄板分野では、自動車ボディ骨格用高強度鋼板(ハイテン)の適用拡大やさらなる高機能化の要望に対応するために、高強度に加えて加工性、溶接性、衝突特性等を兼備したハイテンの新商品開発を推進しています。これらを具現化する高度なミクロ組織制御を実現するため新連続焼鈍設備の導入を決定し、2021年2月稼動に向けて建設を進めております。
鋳鍛鋼品については、舶用主機関や陸上発電機に使用されるディーゼルエンジンの燃料効率改善等に寄与することを目的として、クランク軸用高強度鋼の開発を進めてきました。その結果、新開発鋼の実機サイズでの特性評価が完了し、船級協会による承認を取得しました。
チタン分野では、航空機向けチタン鍛造品について内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を活用し、鍛造における形状並びに組織・材質予測技術を構築することで、品質・工程・設計技術をさらに向上させる取り組みを行ないました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、52億円であります。
[溶接]
溶接では、画期的な溶接プロセスである「REGARCTM」を搭載した小型可搬型溶接ロボット「石松」を開発しました。炭酸ガスアーク溶接の大電流域におけるスパッタ・ヒューム発生量を大幅に低減した「REGARCTM」プロセスと人が持ち運べる軽さの「石松」との組合せにより、溶接の自動化ソリューション提案力をさらに充実させました。建築鉄骨溶接ロボット型式認証は取得済みであり、2018年4月の「2018国際ウエルディングショー」でのプレスリリースを経て、2018年7月より受注を開始しました。
また、大型ロボット「ARCMANTM XLmkⅡ」の後継機である「ARCMANTM A80」を開発しました。特長として、下腕フレーム構造をシリアルリンク化することによって従来機を超えた広い動作範囲を実現、また、スリム化、軽量化、ケーブル経路の簡潔化ができております。さらに、新型CBコントローラと接続することにより、センシング動作時間を短縮し、タクトタイムの削減が可能となります。
さらに、溶接材料の面からも溶接の自動化を推進するために、造船大組立ロボット溶接システム専用の溶接ワイヤとして「FAMILIARCTM DW-100R」を開発しました。大組立工程では立向上進溶接が多く、加えて従来技術では溶接困難なルートギャップが自動化を阻害する要因となっていました。「FAMILIARCTM DW-100R」は、立向上進溶接の溶接時間を半減させ、また耐ギャップ性を向上しています。また、水平すみ肉姿勢でも良好なビード形状が得られ、立向/水平姿勢で兼用できるロボット専用ワイヤとなります。
加えて、造船の板継工程に用いられている当社「FCBTM」での溶接品質のさらなる向上、手直し時間の低減による効率化を実現させる「終端割れ防止技術」を開発しました。変形シミュレーションを駆使し、終端割れに影響する諸因子を抽出、引張の塑性ひずみを低減させ、終端割れを防止する施工法を確立しました。なお、本施工法はジャパン マリンユナイテッド(株)と共同で、国土交通省が推進する海事生産性革命(i-Shipping)の革新的造船技術研究開発事業で2017-2018年度に採択されており、その研究成果となります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、37億円であります。
[アルミ・銅]
アルミ・銅では、中長期事業競争力の強化に向け、自動車関連部材等「成長分野」への技術開発と品質及び生産技術の向上に注力して研究開発を進めております。また、缶用材料、電子機器材料等の「ボリュームゾーン」では、安定した生産性確保とさらなる品質向上を継続的に推進しています。
アルミ板分野では、自動車パネル材の需要が拡大しており、真岡製造所・神鋼汽車鋁材(天津)有限公司の両拠点での生産が増加しています。また、真岡製造所では熱処理・表面処理設備を建設中で、2020年から稼働開始する予定です。材料・表面処理技術に加えて、当社の特徴である接合や解析技術のソリューション提案力も高く評価されており、自動車へのアルミ板材の採用拡大に貢献しています。飲料缶材料では、進展する薄肉軽量化に対応した高強度・高成形性材料の開発を推進し、高い評価を得ており市場シェアの維持に貢献しています。
鋳鍛分野では、自動車サスペンション用アルミ鍛造部品において北米・中国を始めとしてグローバルに需要が拡大しており、サスペンション部品の生産性向上、さらなる品質向上のための技術開発を推進しています。また、他社との差別化を図るために、高強度合金開発と構造設計の両面から軽量化提案を行い、お客様から高い評価を得ています。さらに自動車分野以外でも、高性能な耐熱材料の開発や、競争力向上のためのプロセス技術の開発を行なっています。
押出分野では、アルミ製バンパーシステムや車両骨格部材などの自動車用押出形材に対して、軽量で衝突安全性に優れた材料のニーズが高まっています。当社では高強度でかつ耐応力腐食割れ性に優れた独自7000系合金押出形材を開発し、日本だけではなく米国でも溶解鋳造から押出、加工までの一貫生産を開始しています。将来の差別化・競争力強化に向けて、さらなる高強度合金開発やその生産技術開発にも注力しております。
銅板分野では、自動車向け電装部品用端子材料の需要が好調であり、低摩擦係数と耐熱性に優れた錫めっき(新リフローめっき)技術が高く評価され、国内外で採用が拡大しています。欧州につづき米国伸銅メーカーへも「新リフローめっき」技術のライセンスを供与し、現地からの供給を始めています。今後もさらなるグローバル供給体制の拡充を推進します。また、自動運転化に伴う電装化の進展から、端子の小型化、多極化に最適な高強度、薄板材料の開発を推進しています。さらに、スマートフォン用などの散熱部材への開発合金の採用も順調に増加しています。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、29億円であります。
[機械]
機械では、環境、省エネ(CO2削減)をキーワードに、オンリーワン・ナンバーワン技術や商品を創出することで独自性を徹底追求するとともに、マーケット及び生産の両面からさらなるグローバル化を推進し、世界トップレベルの「ものづくり」の実現を目指しています。
圧縮機関連分野では、当社が開発中の「舶用バイナリー発電システム」について、川崎汽船(株)の協力の下、約3年間の実船運用のフィールド試験を行ないます。本技術をグローバルに展開し、舶用業界における環境負荷低減に貢献してまいります。
産業機械関連分野では、樹脂用混練造粒装置のたゆまぬ技術開発がもたらす、優れた混練性能を評価いただき、当社のポリプロピレン向け装置としては過去最大生産規模の「LCM350EX」を受注しました。
加えて、当社子会社のQuintus Technologies ABにて航空機用チタン合金(Ti-6Al-4V)に適用できる高圧熱間成形(High Pressure Warm Forming)プロセスを開発しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、27億円であります。
[エンジニアリング]
エンジニアリングでは、独自プロセス・技術のさらなる差別化、競争力強化に向けた開発を継続するとともに、将来の成長が見込まれる、環境、エネルギー等の有望分野において、積極的に開発を推進しております。
原子力関連分野では、原子力発電所の廃炉に伴う廃棄物の処理技術の開発に取り組んでおります。
還元鉄関連分野では、天然ガスを還元剤とした製鉄法(MIDREXプロセス:世界No.1シェア)の競争力維持・強化に向けた開発を継続しております。
水処理関連分野では、新下水道ビジョンに沿ったバイオマスエネルギー利活用を目指し、高濃度汚泥消化技術など低LCC(ライフサイクルコスト)を実現できる技術開発を実施しています。また、ユーグレナグラシリスEOD-1の機能性の実証に取り組んでいます。
廃棄物処理関連分野では、AIやICTを活用した操業安定化によるプラント運転の省力化に継続的に取り組んでおります。また、従来よりも高温高圧の廃熱ボイラを備えた高効率発電を可能とする流動床式ガス化燃焼炉の第一号機を納入いたしました。
化学・食品機械関連分野では、機能性グラスライニングの開発をさらに進め、また粉体機器の改良など医薬品市場向けに競争力を高める開発や、撹拌式凍結乾燥機の商品化を進める開発に取り組んでおります。
水素関連分野では、水素発生装置において、メンテナンススペースを削減し操作性を向上させた新機種を上市し、従来機種についてもブラッシュアップ、リニューアルにより、コストダウンと省スペース並びに消費電力の削減を実現しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、23億円であります。
[建設機械]
建設機械では、広島大学と、「コベルコ建機夢源力共創研究所」を2018年4月に広島大学内に設置しました。本研究所は、複数の共同研究講座等を統括・マネジメントする機能を持った研究所として、今まで以上に高い次元での組織対組織の研究活動を可能とするとともに、産業・学術の両面で高い成果に結び付けていくものとなります。
クレーン関連分野では、ミニラフテレーンクレーン「LYNX130」(型式:RK130-2/RK130M-2)を2018年5月より国内向けに販売を開始しました。最新のディーゼル特殊自動車2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、従来の2ウインチからパワフルな1ウインチに集約することで、操作性・作業効率を大幅にアップしました。
また、テレスコピッククローラクレーン「TK550G(最大つり上げ能力55t)」(型式:TK550G)を2018年6月より国内向けに販売を開始しました。2014年排出ガス規制適合エンジンを搭載しており、クローラならではの安定性とつり上げ能力に、全段シリンダ伸縮のテレスコピックブームの作業性を兼ね備えたモデルとして、さまざまな基礎工事から相番作業まで幅広く活用いただけます。さらに輸送幅2.99mを達成し、最新の輸送規制に対応しました。
さらに、ショベル関連分野において後方超旋回ミニショベル「SK20SR-6」を2018年10月より販売を開始しました。省エネ運転機能である「エコモード」や「オートデセル機能」を標準装備しており、液晶ディスプレイを標準設定することで、機械のメンテナンス情報、異常情報などのマシン情報が一目で確認できるようになりました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、65億円であります。
[その他]
(株)コベルコ科研では、エネルギー、自動車、エレクトロニクス、土木・建築、環境など広範囲にわたる分析・試験技術を蓄積するとともに、高度で先端的な評価・解析技術の開発を進めています。さらに、液晶テレビなどのフラットパネルディスプレイ用の配線に用いられる薄膜用のターゲット材料や半導体等の検査装置の開発に取り組んでいます。
当連結会計年度においては、各自動車メーカーはEV化開発を進めており、当社は「EV駆動モータの評価技術」の開発に取り組んでおります。また、パネルメーカーからのニーズであった、既存のIGZO(In-Ga-Zn-O)をさらに進化させた、8K-TV等の次世代高精細大型フラットパネルディスプレイの用途に適した高電子移動度酸化物半導体用スパッタリングターゲット材を上市しました。
なお、当連結会計年度における研究開発費は、10億円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01231] S100G26F)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。