有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100G6UU
日本冶金工業株式会社 研究開発活動 (2019年3月期)
当社グループの研究開発部門の主な業務は、戦略分野として位置づけている高機能材のプロセス技術開発、新製品開発、及び顧客への技術支援であり、より一層グループ全体の視野を持って研究開発を強化していくため、2019年4月より技術研究部を技術研究所へと改組しました。これによりグループで連携した開発強化を図ります。
プロセス技術開発では、中期経営計画2017のコンセプトである、高機能材のグローバル・トップサプライヤーを目指し、顧客の要望に対応した製造可能範囲拡大に注力してきました。新製品開発では当社ソリューション営業部と連携する他、当社グループ会社のナストーア(株)、ナス鋼帯(株)と連携し、今後一層その重要性を増してくると見られるエネルギー・環境・化学分野に多用される高耐食材、高耐熱材の開発に注力しております。市場開拓の一環である顧客への技術支援として、当社製品の耐食性、及び溶接性等に関するデータベースの一層の拡充を図り顧客ニーズへの対応力強化を図っております。
当連結会計年度における技術開発の主な成果は以下のとおりであります。
1.高ニッケル耐食合金 冷延帯・板の製造プロセス開発
2015年以降、高ニッケル耐食合金NASNW276(UNS N10276)、NASNW22(UNS N06022)、NAS625(UNS N06625)の4フィート幅コイルの製造に成功し、2017年度は、製造難度が高いため生産性の著しく低い5フィート幅冷延板の製造プロセスを改善し、供給能力を高めました。これら鋼種は、火力発電所の排煙脱硫装置、化学プラント、熱交換器など極めて過酷な腐食環境下で使用されており、溶接工数削減を目的として広幅冷延板の顧客ニーズが高まっています。また、国際海事機関の船舶排ガスSOx規制が2020年に強化される背景から、船舶向けに需要が急増しており、より生産性を高めるための設備改善を行いました。
2.耐食鋼種NAS254Nの海外醤油プラント受注
既開発のNAS254N の醤油醸造用タンクへの適用は2002年に国内大手醤油メーカーに初めて採用されました。それから10年以上の経過しておりますが、錆などの発生もなく、高い評価を受けています。その後、その実績が認められ2018年には韓国醤油メーカーに約180トン採用されました。今後も市場規模が大きく、成長が見込める海外の醤油・調味料醸造タンク向けにスーパーステンレスを拡販いたします。
研究開発活動には、全体で33名のスタッフが携わっており、これは総従業員の約2%にあたります。また、当連結会計年度における研究開発費は533百万円であります。
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