有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JAKV (EDINETへの外部リンク)
高砂熱学工業株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、あらゆるリスクの顕在化を未然に防止するとともに、リスクが顕在化した場合にはその損失を最小化すべくリスクマネジメントを行っております。リスク顕在化の未然防止にあたっては「リスク管理規程」に基づき、最高責任者を代表取締役社長COO(最高執行責任者)とし、取締役CFO(最高財務責任者)を委員長とする「リスク管理委員会」を設置し、リスクマネジメント体制の運用方針・計画を定めるほか、当社グループに重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、その対策の妥当性を評価しております。
1.事業環境に関するリスク
(1)民間設備投資の変動について
世界的な経済情勢の変化等の影響を受け、顧客の投資計画の中止・延期、内容の変更などにより、想定を上回る建設需要および空調設備需要が減退するなど、事業環境に著しい変動が生じる場合があります。かかる場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
経済情勢の変化は先行きの見通しの予測が困難であるものの、当社グループは固定費縮減等を含め、全社で総合的取り組みを行っていくことで対処します。
(2)調達コストに関するリスク
当社グループが施工工事を行うにあたり、経済環境から、ダクト、配管、断熱、冷媒など設備工事等に係る資機材価格が高騰する場合があります。これらを請負金額に反映することが困難な場合には、工事原価が想定以上に悪化し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
資機材の多くは、素材の相場の影響を受けることから、当該リスクが顕在化する可能性は常にありますが、これに対しては、購買の体制を強化し、全店集中購買を加速させることでスケールメリットを生かした調達機能を強化し、価格の上昇を抑制すること等で対処します。
(3)技術員・技能者の人手不足による工程遅延リスク
当社グループが施工工事を行うにあたり、協力会社を含めて施工に携わる技術員が不足し、定められた納期までに工事を完了させることができない場合、完工高が上がらず、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに想定を上回る水準での工数の増加によって、当該リスクが顕在化する可能性はあるものの、当社グループは、アウトソーシング体制の構築と活用、ITツールの活用、業務の標準化による生産性向上を図ることで対処していきます。また、特に技術員・技能者の不足については、委託工事会社の新規採用への注力、国交省の進める建設キャリアアップシステムの導入による技能職の確保によって対処していきます。
2.海外事業展開に伴うリスク
当社グループは、収益機会の拡大のため、これまで中国、東南アジア、インドを中心に海外への事業展開を図ってまいりました。
他方、当社グループの事業を海外展開していくにあたっては、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、経済的・政治的不安定性、商慣習の違い等の様々なリスクおよび特定の国や地域またはグローバルにおいて競争力を有する競合他社との競争が激化するリスクが存在します。更には、外国政府により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。当社グループが、これらのリスクに対処できない場合、当社グループの海外への事業展開、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国際事業部が海外グループ会社を管理・統括することにより、国際事業全体の戦略拠点の見直しを進めるとともに海外グループ会社と常時情報連携を図り、適切なモニタリングを行うことで迅速にリスク対応できる体制を整備しております。
3.事業の拡大に関するリスク
(1)事業領域の拡大について
当社グループは、本業の他に将来のグループを支える新たな事業と中長期的な企業価値向 上に資するフロンティアビジネスを創出する目的で、新規の事業領域への参入を行ってまいります。新規の事業領域へ参入するに当たっては、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、その領域固有のリスク要因が加わり、当社グループのリスク要因となる可能性があります。
新規に参入した市場で求められる技術と当社グループが保有する技術がマッチングしない場合や、市場の拡大スピードや成長規模、市場へ参入する難易度によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があります。かかる場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)M&A等について
当社グループは、成長市場への進出、新規顧客の獲得、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わずM&Aを行うことを計画しており、これらを経営の重要戦略として位置付けております。
もっとも、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性もあり、その結果当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、M&A実施後、収益計画と実績に大きな乖離が生じた場合には、のれんの減損損失計上を余儀なくされる可能性があります。
当社グループは、M&Aに積極的に取り組む方針としていることから、当該リスクが顕在化する可能性を常に認識しておく必要があります。これに対しては、対象企業の財務内容、契約関係、事業計画の精査等を行うことによって、極力諸リスクを低減するように努めております。
4.資金調達に関するリスク
今後の資金調達については、金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用力の悪化により格付機関から当社に付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできることは保証されておりません。そのような事態に至った場合、安定した資金繰りに支障が発生する等、当社グループの事業遂行の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
今般の新型コロナウィルス感染症拡大の事態が長期化または更なる感染拡大が進行すれば、当該リスクが顕在化する可能性は大きくなります。当社グループは、これらのリスクを回避するため、金融機関との対話および情報連携を常時行うよう努めるとともに、従来の短期融資枠に加え、コミットメントラインの導入の検討や追加の社債発行の検討により、資金調達の安定化・多様化に努めております。
5.施工中の事故、災害リスク
当社グループが施工工事を行うにあたって、施工中の災害または事故等の発生により、損害賠償責任、瑕疵担保責任等を負担する可能性があります。当社グループは不測の事態に備えて包括賠償責任保険に加入しておりますが、多額の損害賠償金が発生した場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
多数の施工現場を有する当社グループにおいては安全に向けて最大限の配慮を払うとともに安全衛生の現場指導、適正な労務環境の構築等による安全衛生管理の徹底等、未然防止策により低減に努めています。
6.人材確保に関するリスク
(1)国内の社員数の減少リスク
日本国内においては、定年退職者の増加により社員数の減少が見込まれており、将来の事業活動に支障をきたす可能性があります。このような場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、定年延長・再雇用制度を充実させる等、長く社員が勤め続けることができる人事制度を導入・浸透させるとともに、IoTの活用やデジタル化の推進などによる省人化・効率化により生産性を高めることによって、社員数減少に備えております。今後は海外の人材を含めたボーダーレスな人材活用を強化し、人材・スキルの確保に努めます。
(2)若手・専門性を有する人材の採用リスク
当社グループが若手や専門性を有する人材を継続的に確保することができず、円滑な事業活動に支障が出る場合は、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内の大学等に積極的に訪問し就職セミナーを開催し、またインターンシップを実施する等によって優秀な人材の確保に努めております。中途採用も積極的に行っており、専門性を有する人材の拡充も進めております。
7.無形資産(知的財産権等)に関するリスク
当社グループは、環境に貢献しうる技術を持ち、多くの特許等を保有しております。特許権その他の知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術等を保護できない場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社グループが、故意なく他者が持つ特許権その他の知的財産権等を侵害してしまい、被侵害者から損害賠償請求されることもあり得ます。この場合、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、知的財産権等に関する専門部署を設け、侵害特許調査の徹底や全部門間で常に情報共有を図る体制を確立することで、他者の知的財産権等を侵害することおよび他者による当社グループの知的財産権侵害の未然防止に努めています。
8.市場に関するリスク
(1)資産保有リスク
当社グループは、不動産や有価証券等の資産を保有していますが、取引先を中心とした市場性ある株式等は価格変動リスクを負っております。当連結会計年度末時点での市場価額との評価差額(税効果会計の適用前)は102億63百万円の含み益ですが、今後の時価の動向次第でこれらの数値は変動いたします。また、大幅な時価の下落が生じた場合、減損が発生し、特別損失として計上する可能性があります。このため、当該保有資産の時価の動向が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、経済動向を注視しつつ、定期的に取締役会で資産の保有意義の検証を行い、持続的に企業価値向上に資するものかどうかを検討しております。企業価値向上に資するものとはいえないと判断した資産については、売却する等、保有資産が価値減少するリスクの低減に努めております。
(2)為替変動リスク
当社グループでは国を跨いでの資機材の調達は少ないため、取引上における為替変動リスクは限定されたものですが、当社グループの海外連結対象会社の財務諸表について、現地通貨で作成したものを、円換算した上で連結財務諸表を作成する際、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、その結果、外国為替相場の変動が当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
9.情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、個人情報の保護、取引先の秘密情報の管理に最大限の注意を払い、また、建築設備等に関わるクラウド基盤およびその基盤上で提供するアプリケーションの開発、運用、保守業務における情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証の取得を受けるなど、グループ全体としてリスク管理を徹底し、適切な情報管理を行っております。しかしながら、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらが発生した場合に法的紛争に巻き込まれる可能性があるほか、内外監督官庁からの処分を受ける可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、個人情報および取引先からの秘密情報を保持して事業活動を継続していくため、情報システムへのサイバー攻撃対策や、ITガバナンスの強化を実施しています。また、情報リテラシーを高めるための社員教育等の対策も講じています。さらに、「情報セキュリティ方針」に基づき、業務上保有する情報資産を適切に保護し、新しく「情報管理規則」を施行し、より一層の顧客秘密保持を強化することに努めます。
10.コンプライアンスに関するリスク
(1)法的規制等の適用の可能性について
当社グループは、建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法、個人情報保護法等、国内外の各種法令・制度等の事業活動に関連する法的規制を受けております。
こうした法的規制の新設や改正、監督官庁による許認可の取消または処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定または改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受ける場合、または既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、グループ横断的なコンプライアンスに対する取り組みを進め、リスク管理委員会および取締役会へその取り組み状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長COO直轄の独立組織である内部監査室による内部監査を実施し、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っています。
(2)訴訟等の可能性について
当社グループが事業活動を展開する中で、環境、労務、知的財産権等、当社グループに対し様々な訴訟を提起される可能性、またはその他の請求を受ける可能性があります。
11.気候変動に関するリスク
気候変動は世界規模で影響を与える問題であり、気温の上昇や異常気象、これらに伴う自然災害などによって資機材の調達不全やコスト増、施工工事の停止等の事業活動の中断が生じる可能性があります。また、国内外において気候変動抑制のため、エネルギー使用の合理化や地球温暖化対策などの法令等の規制が強まった場合、当社グループにおいて、これらの規制の強化に伴う新たな負担、事業活動における資機材の変更等の対応費用が増加することで、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動に伴い発生する事象等を具体的に予測することは困難であるものの、当社グループは、既にあるリスク管理体制において、長期的な気候変動の影響の検討を進めてまいります。
12.災害等のリスク
当社グループが事業を展開する地域において、地震、台風、津波等の大規模自然災害、感染症の拡大(パンデミック)等の発生に伴い、工事の中断や大幅な遅延等の事態が生じた場合や、事業所において事業の継続に支障をきたす重大な損害が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、これらの災害等が発生した場合には、社会全体の経済活動が停滞し、建設需要そのものが低下する結果、これらが当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
大規模災害等は予測困難であるものの、当社グループにおいては、これらの災害等が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)マニュアルの精度向上を図り、有事の際の対応策を策定しております。
13.感染症拡大のリスク
今般世界的に感染が拡大した新型コロナウィルスについては、今後、事態が長期化または更なる感染拡大が進行すれば、景気悪化による建設需要の低下、現場閉所による工事の中断や遅延、資機材価格の高騰等が生じ、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、顧客、取引先、協力会社および社員とその家族の安全第一を考え、また更なる感染拡大を防ぐために、新型コロナウィルス感染対策本部を設置し、具体的な感染防止策の徹底を図っております。①テレワークの原則化、出張の制限、感染リスクが高い国や地域への渡航の原則禁止等、従業員の安全と健康を最優先にした対応の徹底、②感染者が発生した場合のBCP対策、③手元資金確保対策等を実施しております。これらの施策を通じて、新型コロナウィルス感染症拡大の影響の極小化を図っております。
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