有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LSIP (EDINETへの外部リンク)
東洋エンジニアリング株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
(EPC事業)
当連結会計年度において、当社グループは研究開発費2,346百万円を投入し、技術力強化方針として「新たなビジネス・商品開拓」、「基幹ビジネスの基盤強化」、「各事業部のビジネス戦略強化」につき、以下の研究開発活動を当社グループ内および産官学連携により実施いたしました。《新たなビジネス・商品開拓》
IoT分野では、デジタル基盤を介したプラント運営支援を目指し、DX-PLANT®のソリューション深化と拡販を進めています。そのためにシステム基盤を構築し、工場オーナーにとって導入しやすくその要求に柔軟に対応できる体制を整え、海外の5件の肥料工場と接続し運用中です。また、尿素プラント向け運転監視・最適化システム(PMOS®)や、エチレン分解炉の運転状態予測・最適化支援システム(RL-Tracker®)など、当社の知見を活かした高付加価値ソリューションの開発・実装を行いました。肥料のほかに石油化学プラントなど様々な産業設備へ適用のアプローチも進めており、更に技術支援サービスにおけるDX技術の活用など新しい顧客支援領域を拡張し、顧客のプラント運営の収益改善に貢献していきます。
環境・省エネ分野では、低炭素社会に貢献すべく、革新的省エネルギー蒸留システム“SUPERHIDIC®”の販売促進を国内外で本格化させています。また、2019年度に開発した、プラントを構成するプロセス系・用役系を、省エネ・GHG排出削減の観点から数学的に同時最適化する手法“HERO(Hybrid Energy system Re-Optimization)”についても商業化し、既に国内で数件受注しています。これにより、ヒトの発想だけでは困難な革新的な省エネ案を創出し、当社保有技術のSUPERHIDIC®と合わせて提案することにより、お客様の期待以上の価値を提供できるようになりつつあります。
電力分野では、当社敷地内に設置した産業用蓄電池を用いて、2019年度に引き続き経済産業省の2020年度需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業にリソースアグリゲーターとして参画し、各種の知見を得ることができました。
世界的に急速に加速している温室効果ガスのゼロエミッション実現に向け、エネルギーシフトも加速する今、CCSは二酸化炭素削減の不可欠な技術となっています。当社は、二酸化炭素の分離回収・貯留に関する技術分野において、日鉄エンジニアリング株式会社などの協業パートナーと連携を行い、CCUS案件の実現を図っています。当社が推し進めているアンモニアバリューチェーン事業においては、CCS/CO2-EORを組み合わせることにより、CO2排出ゼロのアンモニア燃料の実現を目指しております。CCUSの分野では、カーボンリサイクルを目指し、後述するようにCO2利活用の分野にも取り組んでおります。加えて、日本CCS調査株式会社への出資・派遣などの対外的な活動も引き続き実施しております。
次世代環境技術分野では、バイオマス燃料製造において、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託を受け、三菱パワー株式会社、株式会社JERA、およびJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同で、木質系バイオマス等を原料としたバイオジェット燃料を合成する一貫製造実証プロジェクトに参画しております。バイオジェット燃料合成装置では、パートナー企業との共同開発による小型FT(Fischer-Tropsch)合成技術(一酸化炭素と水素から触媒反応を用いて液体炭化水素を合成する)を採用しております。2020年度は、JERAの新名古屋火力発電所構内で、世界でも注目されている木質バイオマスからバイオジェット燃料留分までの一貫製造を実証しました。また、ここで得られた全てのバイオジェット燃料は、標準規格である米国ASTM D7566を満たすことを確認しました。今後は社会実装に向けて更なる開発を進めてまいります。
水素燃料キャリアとしてのアンモニア利用技術開発の一環として、CFAA(一般社団法人クリーン燃料アンモニア協会)に理事会員として参画しており、CO2フリーアンモニアサプライチェーン実証を目的として、石炭火力発電所等でのNH3混焼によるCO2排出低減について検討を継続して実施しております。当社独自案件としては、東シベリア-日本間のブルーアンモニアバリューチェーン事業化調査をイルクーツク石油会社(IOC)、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (JOGMEC)、伊藤忠商事株式会社の3者と共同で実施しております。
2020年度よりは、早期水素社会を構築することを目的とした水素バリューチェーン推進協議会に参画し、水素の社会実装に向けてプロジェクトの提案、需要創出、規制緩和等の政策提言などについて検討しています。
回収CO2の有効利用については、CO2とH2を原料とする新型メタノール合成やメタネーションを中心としたCO2固定化の検討を続けています。CO2とH2を原料とするメタノールは、g-MethanolTMとして国内外での具体的な案件創出を目指しています。SAF (Sustainable Aviation Fuel:原材料の生産から燃焼までの過程でCO2の排出量が少ない持続可能な供給源から製造されるジェット燃料)を供給するサプライチェーンにおける課題抽出や将来のビジネスモデルの検討を東芝エネルギーシステムズ株式会社、株式会社東芝、出光興産株式会社、全日本空輸株式会社、日本CCS調査株式会社と共同で実施しています。
低炭素化に向けた選択肢の1つとしての天然ガス利用に関して、技術的難易度が高いことから活用されていなかった酸性ガスについて低コスト処理可能で、分離CO2の貯留・利用への活用優位性のあるタート(TarT)プロセスに関しての包括協定書を米国8 RIVERS社と締結しました。
廃プラスチックリサイクルについては、廃プラのガス化および油化のケミカルリサイクルを中心に継続して検討を進めています。現在、数多くのガス化および油化プロセスが各社により開発、実証、導入が進められていますが、当社は当該プロセスについてテクノロジーホルダーとともに社会実装化を目指した検討を行っています。
原子力分野では廃炉先進国ドイツで使用済燃料や廃棄物の貯蔵技術、同施設運営の実績を有するGNS(ゲセルシャフト原子力サービス)社との協力関係を継続強化するとともに、新たに英国で同じく廃炉関連実績を有するJacobs社との協力関係を進め国内の廃炉分野で主にプロジェクト・マネージメント、エンジニアリングサービスに関する共同提案を行うなどの取組みを継続実施しています。
《基幹ビジネスの基盤強化》
ICT分野では、当社の基幹ビジネスであるEPC遂行力強化や競争力強化を加速するため、2019年7月にDXoT(Digital Transformation of Toyo)推進部を立上げ、2025年に向けたビジョンとロードマップ、それを実現させるためのICT中期戦略を策定しました。本ロードマップに基づき、Engineering, Procurement, Construction, Projectのそれぞれの分野において、デジタル技術を活用したデジタルツインを構築することによるマネジメント強化、設計品質の向上、納期遵守、工期短縮を図っています。具体的には、プロジェクトステータスのリアルタイムモニタリングを10プロジェクト(海外7 (内3つは海外拠点独自案件), 国内3)に適用、多大な工数をかけて人力で実施していた3D設計の品質チェックをシステム化、設計業務の自動化、建設現場のデジタル化、また工事/試運転からバックキャスティングしたエンジニアリングを実現する新たなEPCワークプロセスであるAWP(Advanced Work Package)を実プロジェクトに適用する体制が整備され、AWP実現に欠かせない材料の発注から現場での払出までの集中管理するサプライチェーンマネジメント導入も進めています。引き続き、パートナー企業、大学等と協力し、AIを利用した業務システムの構築や先端デジタル技術の業務への利用の検証を行い、海外拠点を含めた当社グループ全体のEPC業務・本社部門業務へ適用することで更に生産性と業務スピードの向上を目指します。また、全社的ICT化推進活動を通じて、高い変化への対応力、イノベーションを生み出せる文化の醸成を図っていきます。
工事技術分野では、上記のAWPや4D(3次元および時間軸)計画情報を使った施工性検討の実用化推進、工事材料管理手法の強化、半自動溶接の手法の実証検証、現場業務のDX(Digital Transformation)化、3次元レーザー測量技術を中心とした新技術の調査と実用化を進めています。
調達分野の技術では、品質管理機能において、検査業務の効率化ならびに高度化の観点から、最新検査技術の実用化研究を行っています。具体的には、レーザー測定技術を活用した塔槽類内部品の測定精度向上やスマートグラスを活用した遠隔検査技術の利便性向上などで進捗がありました。
《各事業部のビジネス戦略強化》
尿素プロセス“ACES21®”は、当社が開発した保有プロセスであり、大型化と省エネを図るためのプロセス改良に日々取り組んでいます。世界最大生産量となるナイジェリア向け尿素製造設備(4,000 t/日)の2号機は、2021年4月に引渡しに向けた試運転を開始しました。また、インド向け尿素製造設備(3,850 t/日)も2021年度内に稼働開始すべく工事が進んでいます。今後も一層のプロセス改良に取り組み、IoT技術との連携を推進することで設備の運転および保全の最適化にも貢献していきます。
鉄道分野では、鉄道システムインテグレーター(鉄道SI)としての技術・知見の獲得および市場調査を目的としたタスクチームを約10年前に立ち上げ、交通ビジネスへの取組みを本格的に開始しました。その成果として、当社初の鉄道EPCプロジェクトであるジャカルタMRTが2019年に完工し、同鉄道の延伸計画に係るプロポーザルにも引き続き取り組んでおります。更にはその他国内外の案件への取組みも開始し、着実に鉄道分野での取組みを拡大しています。今後も本プロジェクトの経験を活かし、海外鉄道プロジェクトのEPCに一括で対応できる鉄道SIビジネスに注力します。
バイオマス発電分野では、現在進行中の複数の50MW/75MW案件の知見・ノウハウを生かし、50MW/75MW案件と同じCFB(Circulating Fluidized Bed:Andritz社製)ボイラーとSTG(Steam Turbine Generator:Siemens社製)の組み合わせで112MW案件へのスケールアップへの取組みを開始しました。50MW/75MW同様に、まずはCFBボイラーの基本計画有償業務を実施し、その結果をもとにSTGおよびBOP(Balance of Plant:付帯設備)のスケールアップ検討を経て、112MWクラスバイオマス発電所の技術仕様として取り纏めていく予定であります。
海洋資源開発の分野では、近年急速に需要が高まるデジタル機器、再生可能エネルギー設備、ハイブリッドカーや電気自動車等の電池材料、磁気材料等に欠かせない、レアメタル、レアアース等の鉱物資源を、深海から回収しようとする国策技術開発の支援を行ってまいりました。内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)のもと、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)率いる日本勢は、大水深6,000mからレアアースを回収するというプログラムを進めています。当社は、これまで培ってきた、資源開発技術、サブシー技術、および協業パートナー(日鉄エンジニアリング株式会社・米国のベーカーヒューズ社・ノルウェーのアーカーソリューションズ社など)と取り組んできた海洋資源開発手法を活用してレアアース泥回収システムの技術開発に携わっています。具体的には、2019年度に引き続き、「レアアース泥回収システムの基本設計」業務をJAMSTECから受託し、2022年度に予定されている実証試験に向けたシステムの実現に取り組んでいます。加えて、従来のメタンハイドレート開発への取組みも継続すると共に、海洋資源開発に向けたビジネス強化を進めています。
医薬品分野では、テックプロジェクトサービス株式会社(100%出資子会社)が、医薬品製造企業の多様なニーズに応えるエンジニアリングサービスを提供すべく、将来を見据えた革新的な技術開発を行っています。低分子医薬品向けの原薬連続生産技術開発の進展に伴い、モジュール化装置および高薬理活性物質用移動式集塵装置を開発し、2020年度の実機納入に至りました。中分子・バイオ医薬品向けにシングルユース技術を活用した自動化装置開発を行い、精製工程連続化の運転設備を2020年度納入しました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01661] S100LSIP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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