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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JD1K (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 富士電機株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

持続的成長企業としての基盤を確立するため、パワーエレクトロニクス技術やパワー半導体技術のシナジーを生かした強いコンポーネントとシステム並びに要素技術を複合して顧客価値を創出するソリューションを生み出す研究開発に注力しています。
事業戦略に沿った新製品の開発や海外向け商材開発の現地化、技術マーケティングを活用したテーマ探索の強化、開発の生産性向上に取り組んでいます。
当連結会計年度における富士電機の研究開発費は34,457百万円であり、各部門の研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
また、当連結会計年度末において富士電機が保有する国内外の産業財産権の総数は12,956件です。

■パワエレシステム エネルギー部門
電力流通分野では、経済産業省の「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業」(2016年度~2020年度)の関西VPPプロジェクトに参加しています。需要家向け蓄電池システムの実証では、リアルタイムのフィードバック制御機能追加、サイバーセキュリティガイドラインV1.2対応、および、周波数制御機能の実装を行い、実証事業参加各社と試験を行い、目標機能や性能が得られたことを確認し、成果報告書としてまとめました。また、変電所におけるプロセスバスの適用に向け、「変電所保護制御システムのフルデジタル化に向けた開発研究」(2018年度~2019年度)を中部電力株式会社と共同で実施しています。IEC61850準拠の保護制御ユニットIED(Intelligent Electronic Device)およびデータ収集ユニットMU(Merging Unit)の試作と評価を完了し、量産化に向けた変電所全体のシステム構成と機能実装を検討しています。
変電分野では、海外向けに50MVAクラスの中容量変圧器を開発しました。絶縁設計の合理化、節油構造の徹底、巻線冷却の高効率化等を図り、世界最小クラスの体格を実現しました。
施設・電源システム分野では、大手クラウドプロバイダーの多い北米やアジアを中心に建設が増大しているハイパースケールデータセンター(超大型)向けに、大容量無停電電源装置(UPS)「7400WX-T3U」を開発し発売しました。本製品はモジュール型構造を採用し、1台330kVAのUPSユニットを4台組み合わせて単機容量で最大1,000kVAまで対応することができ、さらに、8機の並列運転が可能であるため最大8,000kVAの大規模システムを構築できます。また、独自開発した逆阻止IGBT(RB-IGBT)に加え、SiCパワーデバイスをUPS内の回路に採用し、業界最高レベルの97.4%の装置変換効率を実現し、負荷率25%においても96%以上の装置変換効率を達成しました。さらに本製品の最適負荷運転モードは自動でUPS各機の負荷率を判別し給電調整を行い、システム全体の効率改善に寄与し、データセンターの大容量化と省エネのニーズに応えます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は7,088百万円です。

■パワエレシステム インダストリー部門
低圧インバータ分野では、耐環境インバータ「FRENIC-eFIT」シリーズを開発し発売しました。本製品はSiCパワーデバイスを採用することにより全閉自冷構造を実現しています。腐食性ガスが発生する化学系プラント、塩害が懸念される沿岸部の工場、風雨に曝される屋外設備等にインバータ本体をそのまま設置して、10年間のメンテナンスフリーが可能です。本インバータは設置・運用コストの削減に貢献いたします。
小容量電源分野では、GXシリーズ用ネットワークカード「Web/SNMPカードⅡ」を開発し発売しました。従来よりも通信セキュリティーを強化し、業界初となるネットワーク規格GbE(ギガビットイーサネット)にも対応し、仮想化システムのシャットダウン処理速度を従来比30倍に高速化しました。また、IPアドレス自動設定機能や瞬低検出機能、Auto-MDIX機能を追加し、利便性の更なる向上を図りました。
また、産業機器向けAC/DC電源「FIP06シリーズ」を開発し発売しました。AC100V~240Vの入力電圧に対応します。12Vと24Vの出力ブロック基板を組み合わせて、お客様が希望する出力数と出力電圧を自由に選択できます。オプションの外付けバッテリによって、停電時に動作継続が必要な装置にも対応します。
FAコンポーネント分野では、発売済のサーボシステムALPHA7シリーズの汎用タイプ(パルス/アナログ/位置決め/Modbus)、SXバスタイプ、EtherCAT通信タイプの容量を5kWまで拡大し、発売しました。印刷機械、巻取り装置、搬送装置などの大型の機械装置の更なる高精度化・高機能化・生産性向上に貢献します。また、主に国内のインフラ設備向けに、システムを二重化することで信頼性を高めたコントローラ「MICREX-SX SPH5000H」を開発し発売しました。CPUとCPUを上位システムにつなぐ制御ネットワークを二重化しました。さらに、CPUと入出力ユニットをつなぐI/Oネットワークは二重化かつループ化することで、インフラ設備の安定稼働に貢献します。
計測機器・センサ分野では、クランプオン式で飽和蒸気の流量計測ができる蒸気用超音波流量計を世界で初めて開発し発売しました。この流量計は、配管工事が不要であるため蒸気ラインを止めずに設置でき、圧力損失もありません。飽和蒸気流量の見える化により、効率的な利用と省エネに貢献します。
また、船舶スクラバ用レーザ方式ガス分析計を開発し発売しました。盤体への収納を不要にして世界最小サイズを実現しました。採取部、検出部と制御部の各ユニットは、個別に壁面や床に設置できるので、制約の多い既存船でも容易に設置できます。また、安定性に優れるレーザ方式を採用したことから、交換部品が少なく、さらに、校正頻度を下げることができるため、ランニングコストは従来に比べ50%以下になります。
なお、船舶向けSOxスクラバは、より大容量の機種を開発し系列を拡大しました。独自のサイクロン技術によって、小型化と排ガス浄化(脱硫)性能を両立しています。この系列の拡大により、大型船(エンジン出力16~24MW)にも対応できるようになりました。
FAシステム分野では、大連富士氷山スマート制御システム有限公司(DFBCS)と共同で、産業分野の冷却システム向けのインテリジェントコントローラを開発しました。高性能と低コストを同時に実現したエッジコントローラであり、エネルギー運用の最適化手法を適用してエネルギー消費効率を最大化します。中国向けに対応した物流センター実行管理システムWES(Warehouse Execution System)を、DFBCSのシステム事業における物流分野への参入を狙いとして開発しました。これにより現場作業の省人化と効率化が行えます。
また、IoT(Internet of Things)による製造業のデジタル化を推進するため、現場型診断装置「SignAiEdge」を開発し発売しました。タッチオペレーションが可能な表示器一体型のこのエッジコントローラは、富士電機のアナリティクス・AI(MSPC)のほかに、現場情報の解析・診断に必要な機能を全て搭載しています。現場で誰にでも使いやすいこの診断装置を使って、これまで見えなかった問題点を可視化し、生産性の改善に貢献します。
駆動制御システム分野では、主に駆動制御を行う電機高速コントローラ「MICREX-View XX XCS-3000 Type E」を開発し発売しました。伝送容量の増大と業界最速の高速データ更新(最速0.5ms)により、鉄鋼/非鉄プラントを始めとするプラント設備で性能を発揮します。また、コントローラ間ネットワークおよびI/O機器間ネットワークをそれぞれループ接続することで、ネットワークの高信頼化を図り、産業プラントの安定操業に貢献します。
工業電熱分野では、国内外の輸送用機器や工作機械等の鋳物部品の生産向けに高効率高周波誘導炉「F-MELT100G」を開発し発売しました。本製品は3次元磁界解析シミュレーションを活用し、炉体及び電源構造を大幅に見直して電力原単位の削減や小型化を実現しています。環境対策が課題の鋳造工程の省エネに貢献します。
社会ソリューション分野では、オフィスビル向けに建物の挙動の三次元計測とそのデータの収集を行う「建物構造ヘルスモニタリングシステム」を開発し発売しました。地震発生時に建物の被災度を判定する別のシステムと連携することで、建物の安全性や損傷状況が速やかに判定できます。避難指示や事業継続の判断を支援してオフィスビル利用者に安全安心を提供します。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は8,712百万円です。

■電子デバイス部門
パワー半導体分野では、低損失及び高温動作保証を可能とした最新の第7世代IGBT技術を適用した製品の系列を拡大しています。第7世代IGBTモジュールは、1700V,1200V,650Vの標準製品の系列化を完了しました。また、大容量IGBTモジュールとしてPrimePACKTM製品の系列化を進め、風力発電や太陽光発電などの新エネルギー分野の装置への採用が進んでいます。
注)PrimePACKTMはInfineon Technologies社の登録商標です。
第7世代IGBT製品では、駆動機能や保護機能を備えたIPM(Intelligent Power Module)の系列化を進めています。最初の製品として定格650V/75A品を開発し、電力変換装置の小型化・高効率化・高信頼性化に貢献します。また、産業用途にRC−IGBT(逆導通IGBT)チップを開発し、産業用RC-IGBTモジュール1200V/50Aと1000Aを系列に加えました。RC−IGBTの採用によりパワー密度が向上し、チップ面積が大幅に縮小できます。これによりIGBTモジュールが小型化し、パワーエレクトロニクス装置の小型・軽量化に貢献します。
さらに、シリコンに代わる半導体材料として注目されているSiC(炭化ケイ素)を使った産業向けSiCモジュール製品の系列化を進めています。電鉄向けに低損失のSiC-SBDと第7世代IGBTを組み合わせた3300V/1200A,1800Aハイブリッドモジュールを開発しました。SiCチップの採用により、パワーエレクトロニクス装置の更なる電力効率の向上や小型化に貢献します。
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用される車載用直接水冷型パワーモジュールの供給先の拡大と新規のスペックインを継続しています。また、2020年モデル向けに、従来よりもオン電圧とスイッチング損失を低減したRC−IGBTを開発し量産を開始しました。EVやHEVシステム全体の小型軽量化や高効率化に貢献します。
産業用ディスクリート製品では、最新の低損失設計となる第7世代IGBT技術をディスクリート用に最適化した1,200Vの低損失ディスクリートIGBT XSシリーズの75A品を開発し系列に加えました。オン電圧を下げつつ、定常損失とスイッチング損失を同時に低減したので、小型UPSやソーラPCS、サーバとEV充電器など各種機器の損失低減、高効率化に貢献します。また、従来30~40Aクラスを並列接続で使用していた部分を75A品に置き換えることでシステムが小型になります。
車載向けディスクリート製品では、測定圧力レンジが350kPaの第6世代圧力センサを開発しました。これにより系列を拡大し、搭載可能な車種が増えました。エンジンの過給圧制御に使用して燃費の改善に貢献します。
感光体分野では、最新のオフィス向けカラー複写機用感光体を開発し発売しました。高精度素管の採用により高い色再現性を確保すると共に、摩耗耐性を持つ樹脂の採用により周辺部材からの機械的ストレス影響を抑制し、長寿命を実現しました。これにより長期間にわたり高い印字品質の維持が可能となります。
ディスク媒体部門では、データセンター等で活用されているニアライン用ハードディスクドライブ16TB機種用媒体(3.5インチ、ガラス基板、1.78TB/枚)を開発しました。磁性およびHDI(ヘッド・ディスクインタフェース)に新規技術を採用することで、高記録密度と高い信頼性を確保しています。本製品は第4四半期に生産を開始し、更なる改善を継続しています。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は10,871百万円です。

■食品流通部門
自販機分野では、レギュラーコーヒーのニーズが高まる中、シロップレス・コンパクトカップ自販機「FXA2」を開発し発売しました。前面扉の一部をシースルー化し調理シーンが見える斬新なデザインを採用しました。また、利用者の操作性に配慮し、商品ラベルや選択ボタンをレイアウトしました。更に自販機用通信モジュールを搭載し、自販機のIoT化を推進しています。これによりマーケティングデータの収集やオペレーション効率が向上します。
海外向けでは、東南アジアを中心に多く流通している背の高いスリーク缶や600mlペットボトルなどの大型商品に対応した缶・ペット自販機のシリーズ化を図りました。東南アジアでニーズの高い小容量のガラス瓶(ドリンク瓶)飲料を全コラムで販売できる販売機構を開発し、この機構を搭載したドリンク瓶販売機を発売しました。また、国内と同様に前面扉の一部をシースルー化し調理シーンが見える小型のコンパクトカップ機を開発し発売しました。
フード機器分野では、病院や介護施設などで人手不足が進む中、嚥下(えんげ)障害のある人が安心して飲めるお茶を提供する「とろみ給茶機」を開発し、量産を開始しました。障害のレベルに応じて、とろみ濃度(薄い・中間・濃い)が選択できます。車椅子の利用者が操作しやすいようにユニバーサルデザインを採用しています。
金銭分野では、検銭レベルを向上するとともに、保守作業時に2次元コードを読み取って簡単にオンラインマニュアルにアクセスできる新コインメックを開発し発売しました。また、2020年2月開催のスーパーマーケット・トレードショー(SMTショー)に、小型店舗の省力化をサポートする「小型釣銭機(ECS-Light)」を参考出品しました。現行の釣銭機と比べて約1/5の占有面積で設置できます。
店舗分野では、SMTショーにおいてコンビニの24時間営業問題などを解決する提案として「2WAY販売機」を参考出品しました。自動化技術を活用し夜間は自動販売機として無人販売、昼間はショーケースとして有人販売を一台で実現します。また、人手不足に対しては、商品の陳列作業を軽減する電動可動棚や新スライド棚を提案しました。このように、小売業界の課題を解決する商品を開発しています。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は4,395百万円です。

■発電プラント部門
火力発電分野では、二酸化炭素の排出量を削減するため、蒸気タービンの高効率化の技術を継続的に開発しています。また、運転中の発電機から発生するオゾンとNOxガスを測定して絶縁劣化が手軽に診断できる技術を開発しました。これにより、メンテなどの適切な提案ができます。
再生可能エネルギー分野では、地熱蒸気から析出したスケールの蒸気タービンへの付着を抑制するコーティング技術を開発しています。この技術が完成すると、地熱発電の発電能力が長期間維持できます。
太陽光発電では、現状で世界最高レベルの制御品質が求められている北海道電力の連系要件(蓄電池を併設して太陽光発電所との合成出力の変動を1%/分以下に緩和すること)に対応した蓄電池併設型メガソーラー(すずらん釧路町太陽光発電所、59.4MW)のEPC(設計・調達・施工)を請け負い、商業運転を開始しました。
また、風力発電における送電系統のシミュレーションを行う仕組みを構築しました。これにより、発電所と連系点間の長距離化に伴う送電問題を解決し、設備要件が検証できます。
当連結会計年度における当部門の研究開発費は3,294百万円です。


■新技術・基盤技術部門
プラントモデルを用いて将来の挙動を予測しながら、高精度な制御ができるモデル予測制御(MPC)を当社のプログラマブルロジックコントローラ(PLC)に搭載できる技術を開発しました。以前は高速な計算機が必要でしたが、数式処理技術を応用して事前に解析することで、PLCで動作できるようにしました。これにより、PID制御では考慮が難しい外乱の影響を受けにくい安定した制御を実現できます。今後、化学プラントを初め様々な対象への適用を進めていく予定です。
電力の安定供給に不可欠なガス絶縁開閉装置(GIS)などの高電圧装置の信頼性の向上や小型化を実現する高絶縁性の材料の開発をNEDOの助成を受けて行っています。絶縁電界にあわせて絶縁材料の誘電率を最適に制御する材料技術(誘電率傾斜技術)を開発し、実サイズのモデルを使い、従来よりも30%高い絶縁特性を持つことを実証しました。今後は、長期絶縁寿命特性の評価や量産技術の開発を行っていきます。

■その他部門
当連結会計年度における当部門の研究開発費は94百万円です。


事業等のリスク株式の総数等


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