有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IXLK (EDINETへの外部リンク)
オムロン株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)
当社グループは、技術の育成・強化を目的に中長期的視野に立った技術戦略を定め研究開発を実行しています。自社の強み、コア技術として「センシング&コントロール+Think」を位置づけ、進化させています。これを技術戦略の核として、全社的視点から当社のコーポレート研究所である技術・知財本部が基盤的な技術開発を担い、各事業部門がその応用技術開発や商品開発を実施しています。主力事業である制御機器事業をはじめ、ヘルスケア事業、社会システム事業に重点的に研究開発費を割当て、製品開発およびものづくり技術の強化を実施しています。 当期の取り組みとしては、センシング技術、制御技術、AI技術、ロボット技術、パワーエレクトロニクス技術などの自社コア技術の継続的な高度化に加えて、昨年度設立した全社イノベーションプラットフォームであるイノベーション推進本部において近未来デザインから戦略策定、事業検証までを一気通貫で行い、農業に関連した事業や地方都市の社会課題解決など新規事業の創出の加速を行いました。
知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図っています。併せて、知財を経営・事業へ積極的に生かすべく、事業や研究開発と連動させた知財戦略を策定・実行し、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させました。これらの活動の成果により、2017年から4年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Derwent Top 100グローバル・イノベーター2020」に選出されました
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は493億35百万円、当連結会計年度は459億88百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用85億53百万円が含まれています。
オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりです。
オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりです。
(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品や、商品を組合せた制御アプリケーションを通じて価値提供をおこなっています。
生産性の向上では、制御コントローラとロボットコントローラを統合し一体化した統合コントローラを開発し、ロボットを組み込んだ機械設備を高速に同期して動作させるとともに、機械設備の開発期間を大幅に短縮することを実現しました。また、AIを搭載した自律型のモバイルロボットの機種追加を行い、従来90Kgであった最大積載容量を250Kgまで拡張しました。加えて、従来から保有する画像検査機器に搬送装置との同期制御を行う制御アプリケーションを開発し、搬送の途中でも機器を止めることなく検査することを可能とし、生産時間を大幅に短縮することができました。
安全性の向上では、製造現場で作業者を検知するセーフティラインカーテンを刷新し、生産現場のあらゆる場所で使用できる機種の品揃えをおこないました。
品質歩留まり改善では、2次元コードリーダ、レーザーマーカー、コントローラを組み合わせた制御アプリケーションを開発し、従来必須であった上位サーバーを不要とする個体管理システムを開発しました。
(2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。
光技術においては独自の光技術を駆使し、4種類の非球面レンズを組み合わせたオムロン独自の「トロイダルレンズ構造」を採用し、鏡面や黒色、透明など、検出対象の色や素材に関わらず、広い検出範囲で安定検出を実現する業務用、産業用機器組み込み用の限定反射形センサを発売しました。検出物体ごとの設定変更、物体の色や背景による誤動作、検出物体の位置ズレによる不安定動作を低減し、様々な業務のオートメーション化を実現し、お客様の課題解決に貢献します。モジュール化技術においては世界で初めて「T型回路構造」を採用し、無接点で信号を出力する長寿命で小型の半導体リレーを複数組み合わせて、半導体試験装置で課題となっていた「漏れ電流」を極小化したリレーモジュールを発売しました。高精度な測定を行う箇所で用いられていた接点式リレーの強みと小型で長寿命な半導体リレーそれぞれの特長を兼ね備え、試験装置において長年の課題であった信頼性の向上とメンテナンスによるダウンタイム削減を両立させます。
(3) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいます。
また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を、大学などと共同で進めています。
(4) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、新たな血圧計測技術を搭載した血圧計の開発に取組んでいます。呼吸器事業においては、喘息発作の予兆や症状を計測する機器の開発に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。
(5) その他
その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれます。
環境事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システム用機器および太陽光発電用パワーコンディショナを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
知的財産活動においては、技術者の特許に対するスキルを向上させる特許道場を国内外の研究開発拠点で実行すると共に、発明褒賞制度の実行により、技術者の知財活動に対するモチベーションを向上させ、全社的に知財活動の底上げを図っています。併せて、知財を経営・事業へ積極的に生かすべく、事業や研究開発と連動させた知財戦略を策定・実行し、量、質ともに特許創出力を大幅に向上させました。これらの活動の成果により、2017年から4年連続でクラリベイト アナリティクス様が知財動向の分析をもとに世界の革新企業/機関トップ100を選定する「Derwent Top 100グローバル・イノベーター2020」に選出されました
グループ全体の研究開発に関する費用の総額は、前連結会計年度は493億35百万円、当連結会計年度は459億88百万円です。なお、研究開発費については、技術・知財本部で行っている技術開発費用85億53百万円が含まれています。
オペレーティング・セグメント別の研究開発費は、次のとおりです。
セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
金額(百万円) | |
インダストリアルオートメーションビジネス | 19,964 |
エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス | 4,921 |
ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス | 3,605 |
ヘルスケアビジネス | 6,842 |
その他 | 2,103 |
全社(共通) | 8,553 |
合計 | 45,988 |
オペレーティング・セグメント別の研究の目的、主要課題および研究成果は、次のとおりです。
(1) インダストリアルオートメーションビジネス(制御機器事業)
当セグメントは、製造業の生産現場や機械設備に関わる生産性や安全性の向上、品質歩留り改善に関して、さまざまな要素技術や生産技術を開発し、新商品や、商品を組合せた制御アプリケーションを通じて価値提供をおこなっています。
生産性の向上では、制御コントローラとロボットコントローラを統合し一体化した統合コントローラを開発し、ロボットを組み込んだ機械設備を高速に同期して動作させるとともに、機械設備の開発期間を大幅に短縮することを実現しました。また、AIを搭載した自律型のモバイルロボットの機種追加を行い、従来90Kgであった最大積載容量を250Kgまで拡張しました。加えて、従来から保有する画像検査機器に搬送装置との同期制御を行う制御アプリケーションを開発し、搬送の途中でも機器を止めることなく検査することを可能とし、生産時間を大幅に短縮することができました。
安全性の向上では、製造現場で作業者を検知するセーフティラインカーテンを刷新し、生産現場のあらゆる場所で使用できる機種の品揃えをおこないました。
品質歩留まり改善では、2次元コードリーダ、レーザーマーカー、コントローラを組み合わせた制御アプリケーションを開発し、従来必須であった上位サーバーを不要とする個体管理システムを開発しました。
(2) エレクトロニック&メカニカルコンポーネンツビジネス(電子部品事業)
当セグメントは、リレー、スイッチ、コネクタを中心としたエレクトロメカニカルコンポ商品および、顔認証等の組込画像ソフト技術、光技術、MEMS技術などを用いたセンシングコンポ商品、更にはモジュール化技術による高機能化を強みにお客様のニーズに応える新製品開発に取り組んでいます。
光技術においては独自の光技術を駆使し、4種類の非球面レンズを組み合わせたオムロン独自の「トロイダルレンズ構造」を採用し、鏡面や黒色、透明など、検出対象の色や素材に関わらず、広い検出範囲で安定検出を実現する業務用、産業用機器組み込み用の限定反射形センサを発売しました。検出物体ごとの設定変更、物体の色や背景による誤動作、検出物体の位置ズレによる不安定動作を低減し、様々な業務のオートメーション化を実現し、お客様の課題解決に貢献します。モジュール化技術においては世界で初めて「T型回路構造」を採用し、無接点で信号を出力する長寿命で小型の半導体リレーを複数組み合わせて、半導体試験装置で課題となっていた「漏れ電流」を極小化したリレーモジュールを発売しました。高精度な測定を行う箇所で用いられていた接点式リレーの強みと小型で長寿命な半導体リレーそれぞれの特長を兼ね備え、試験装置において長年の課題であった信頼性の向上とメンテナンスによるダウンタイム削減を両立させます。
(3) ソーシアルシステムズ・ソリューション&サービス・ビジネス(社会システム事業)
当セグメントは、駅や道路など、公共の場における利用者の安心・安全・快適に貢献する商品として、AI技術・IoT技術を組み込んだ人や車の動きを検知するセンサ・システム・ロボットの開発に取り組んでいます。
また、近年、社会課題となっている労働人口減少に対し、社会インフラにおける労働生産性を向上させる技術が求められる中、データサイエンス分野の技術力強化を、大学などと共同で進めています。
(4) ヘルスケアビジネス(ヘルスケア事業)
当セグメントは、マーケティング部門と研究開発部門が一体となり、パーソナライズ医療の実現に向けて、真のユーザーニーズの把握・創出に努め、一層の開発スピードアップを目指しています。また研究開発部門は、一人ひとりの健康ですこやかな生活の実現に向け、脳・心血管疾患の発症ゼロを目指す「循環器事業」、ぜんそく患者の重症化ゼロを目指す「呼吸器事業」、薬の力を借りずに痛みの緩和を目指す「ペインマネジメント事業」の3事業領域において新しい価値を提供できる新商品の創出を目指しています。
当期の主な開発テーマとして、循環器事業においては、新たな血圧計測技術を搭載した血圧計の開発に取組んでいます。呼吸器事業においては、喘息発作の予兆や症状を計測する機器の開発に取り組んでいます。ペインマネジメント事業においては、新たな疼痛緩和技術を搭載した低周波治療器の開発に取り組んでいます。
(5) その他
その他のセグメントは、事業の育成・強化や新規事業の探索・育成を目的とした事業を、本社直轄で担当しており、環境事業、バックライト事業などが含まれます。
環境事業では、再生可能エネルギーへの一層の関心の高まりに応えるため、蓄電システム用機器および太陽光発電用パワーコンディショナを中心に高効率化や小型軽量化などの技術開発並びに発電した電力の自家消費ニーズに応える商品創出などに継続して取り組んでいます。
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