有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IXLK (EDINETへの外部リンク)
オムロン株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績および財務状況(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには次のようなものがあり、投資家の皆様の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項と考えています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)新型コロナウイルス感染症
全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。
新型コロナウイルス感染症拡大に対して、当社グループは、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、社員の安全確保と事業継続に向けた対策をいち早く開始しました。その後、社長を対策本部長として、世界中に展開する当社グループ各社と連携し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先に、規制地域に勤務する社員に対する支援物質の手配や、IT環境の整備をはじめとした在宅勤務の拡充などに取り組んでいます。引き続き、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズ・コロナ」を前提に、社員の安全・安心の確保と地域への感染拡大防止を継続した上で、顧客への供給責任と社会的責任を果たしていきます。
2020年1月以降の感染拡大に伴い、当社グループにおいても、一時的に生産停止となる生産拠点がありましたが、5月には概ね通常稼働に回復することができています。一方で、顧客の事業活動の停止、設備投資の停滞や個人消費の低迷に伴う需要減は、現在も継続している状況です。
当社グループでは、売上減による事業悪化に備えて、年間200億円規模の固定費削減を前提とした運営を4月からスタートするとともに、適切な手元資金を保有し、資金流動性を確保することで有事における安定的な事業運営を行います。同時に、コロナショック後に生まれる新たな社会的課題を事業機会につなげる取り組みを加速していきます。
(2)経済状況
当社グループは、グローバルに事業展開しているため、各国・エリアのマクロ経済や関連市場の動向等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは、社会的課題を捉えた成長事業の創出とROIC経営を継続して推進することで、外部環境の変化に強い収益性と競争力を伴った事業構造の構築に取り組んでいます。具体的には、ファクトリーオートメーション、ヘルスケア、ソーシャルソリューションの3事業とこれらを支えるデバイス/モジュールに経営リソースを集中し、事業ポートフォリオの最適化を進めています。
(3)為替変動
当社グループの積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定しています。
米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え、新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、短期的には金融機関との為替先物予約による為替ヘッジを実行することに加えて、中期的には海外生産拡大や現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスを改善することで、為替レートの変動に強い収益構造作りに取り組んでいます。
(4)資金調達
当社グループは、設備投資やM&Aなどの資金需要が生じた場合には、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、当社の状況などを総合的に勘案し、必要な資金を調達することとしています。このため、金融市場の不安定化が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、経済・金融市場の状況に応じた手元資金の確保を行うとともに、金融機関との間のコミットメントライン契約締結等による資金流動性を確保しています。また、格付け機関から長期発行体格付として「安定的」の高格付けを獲得しており、高い調達力を維持しています。加えて、グループ内各社のグローバルの資金需要に対応できるように、グローバルベースのグループファイナンスを実現することにより、エリアを跨ぐ柔軟な資金供給体制を構築しています。
(5)気候変動による災害・感染症等に伴う事業継続リスク
当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。また、当社グループの部品等の仕入先もグローバルに存在しています。このように、当社グループは、グローバルなサプライチェーンのもとで事業活動をおこなっています。その中で、近年の気候変動に伴う災害の大規模化や、これまでに類を見ない感染症の発生などを考えると、想定していない規模の災害や感染症、それらによる広域での社会機能の停止などの発生も考えられます。また、予期できない災害(自然災害、取引先の火災等)や感染症により、仕入先からの部品等の調達や顧客への製品供給に支障をきたす可能性があります。このような災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、当社グループの事業活動の一部停止や縮小などが生じた場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、新型インフルエンザ感染症や新型コロナウイルス感染症などの感染症の発生や、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のため、生産はもとより、購買調達、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定して対策を進めています。また、有事を想定したシミュレーション・訓練を行うことにより、役員・従業員の危機意識を高めるとともに、事業継続計画(BCP)の内容の改定を行い、その実効性を担保するようにしています。さらに、部品等の生産地情報を一元的に管理し、災害や感染症の発生後、早期に部品等の供給リスクを把握する体制を整備しています。このため、災害や感染症が発生した場合は購買調達部門が直ちに部品等の調達に支障がないかを確認し、必要な対策を取る運用ができています。また、部品等については、重要度に応じて一定の在庫を確保するようにしています。
(6)情報セキュリティ
当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しています。これらの情報に関して、盗難・紛失などによる第三者の不正流用、法規制違反、想定を超えるサイバー攻撃、そのほか不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム停止等のインシデントが発生する可能性があります。これらの脅威は年々高まっています。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備のうえ、情報リテラシーを高めるための社員教育、委託先管理を含め、情報の取り扱いに関するモニタリング、リスク事案の分析、個人情報保護をはじめとする法規制強化への都度対応、技術対策の強化など、高度化するサイバー攻撃対策、ITガバナンスの強化等の対策を講じています。
(7)品質
当社グループの製品において、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきています。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっています。このため、製品欠陥による大規模なリコールの発生や、初動対応などの危機対応の失敗により当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性があります。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況、さらに当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、国際規格であるISO9001で認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供しています。
(8)法規制等
当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けています。規則・法令の新設・変更・解釈において年々厳格化が進んでおり、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受け、それにより経営成績および財務状況にも影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社では、「社会的責任を果たす企業経営」において、企業倫理・コンプライアンスをその活動の重要課題の一つとして位置付けています。特にカルテル等の反競争的行為、贈賄その他重要なリスクについては、その発生を未然に防ぐための対応を重点的に実施しています。具体的には、経営の方針として「オムロングループマネジメントポリシー」を定め、さらに当社グループの「社会的責任を果たす企業経営」を実践するための役員・従業員の具体的行動指針を示したものとして「オムロングループ倫理行動ルール」を制定のうえ周知し、法令遵守の徹底を図っています。さらに企業倫理・コンプライアンスに関する推進責任者を任命し、企業倫理・コンプライアンスの推進を行うため、企業倫理リスクマネジメント委員会を設置しています。また、社長自ら企業倫理・コンプライアンスの徹底に関する指示を定期的に発信し周知徹底の機会を設けると共に、カルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ、企業倫理・コンプライアンスに関して、役員および従業員への定期的な研修等を行っています。加えて、社内外に内部通報窓口を設置し、「オムロングループ倫理行動ルール」・就業規則・法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付けています。法令・社内規定に従って通報内容を秘密として保持し、通報者に対する不利益な取扱いを行いません。また、反社会的勢力の排除の基本方針を「オムロングループマネジメントポリシー」および「オムロングループ倫理行動ルール」において明確にしています。
(9)地政学リスク
当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。その中で、米中をはじめとする二国間関係や英国のEU離脱などの多国間関係など、国際関係は変化が増しています。関係国の政策や法律の変更、関税の引き上げ、製品供給や技術提供の制限などにより、生産、物流や営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、最新の状況を踏まえて対策を講じています。具体的には、主要国の関税の引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制、新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析と評価を行い、必要により取引形態やサプライチェーンの見直し等も行うことにより、事業影響の低減を図っています。また、製品を複数拠点で並行して生産することなどにより、リスクの分散を図っています。
(10)労働安全
当社グループの事業活動において、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生し、製品の供給やサービスの提供に支障をきたす事態となった場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また労働安全衛生の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。
そこで、労働安全衛生の管理において、当社は、従業員が安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、ISO45001など国際規格に基づく第三者認証の取得などを進め、当社グループの年間活動計画を策定し、それに基づき、拠点の労働安全衛生に関する法令順守等の点検、労働安全衛生を管理する人財配置、労働災害データの分析など、労働安全衛生管理をグローバルに運営・管理をしています。
(11)環境保全
当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けており、それらは当社グループが活動をおこなう世界各国で年々強化されてきています。将来の環境関連法令および規制等の順守、環境改善取り組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合、および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響、さらには当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループでは、ISO14001などの国際規格にもとづく環境保全システムを構築し、第三者認証を受け、環境関連法令や規制を順守するための取り組みを行っています。また、当社グループの長期ビジョンの実現に向け、オムロングループ環境方針を定め、そのもとで、製品の企画・開発・設計から、調達、製造、流通、販売、保守サービス、資源回収と再利用、そして廃棄にいたるまでのバリューチェーン全体について製品ライフサイクルの視点から環境負荷低減を進めています。
(12)部品等の調達
当社グループは、グローバルなサプライチェーンを通じて、仕入先から部品等の調達をおこなっています。仕入先の経営の不備から、経営状態等が悪化すれば、部品等の供給の停止などが生じ、それが商品等の供給停止につながれば、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点で、より高度な対応が求められています。部品等の仕入先に対応不備があれば、部品等の調達や商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。
そこで、当社グループは、第三者機関を活用し、仕入先の財務情報をはじめとする経営リスクを定期的に評価し、リスクレベルに応じた対策を実行しています。また、仕入先に対してサスティナブル調達のガイドラインを提示し、調達現場でのアセスメントなどを定期的に行うことで、ガイドラインの遵守状況を確認し、不備があれば改善を要請する仕組みを整備・運用しています。たとえば、近年社会的要請の高まっている紛争鉱物については、毎年調査を実施し、その取り組みをウェブサイトで開示するとともに、当該調査結果を顧客の求めに応じて開示しています。
(13)知的財産
当社グループが事業活動を行う中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性があります。また、発明者との間で発明褒賞について係争となる可能性があります。ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性があります。さらに、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性があります。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、研究開発および設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施しています。また、社員との関係においては、発明者に対する褒賞制度を整備し適切な対応を取っています。一方、近年海外にて増加している、第三者による当社グループのブランド名の不当使用に対しては、定期的に模倣品摘発活動を市場やECサイトなどで実施しています。さらに、悪意を持った当社グループのブランド名と類似した商標権の取得を阻止する対応も行っています。また、当社グループのブランド名と類似したドメインネームが使用され、かつ、ウェブサイトの内容に商標権等の侵害があれば、ドメインの使用阻止も含め必要な対策を行っています。
(14)危機対応
当社グループは、世界のさまざまな地域に拠点や取引先を持ち、グローバルなサプライチェーンを構築し、事業活動をおこなっています。その中に潜むリスクも変化していますが、顕在化すれば、当社グループにとっての危機となる場合がありえます。もし危機対応に失敗すれば、当社グループに発生する損害などが拡大する可能性があります。また、IT技術の進歩によって、不適切な情報開示を行えば、SNSなどの媒体を通じて情報が瞬時に社会に広がることで、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、またそれにより当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループでは、「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」において、危機対応の方針・体制・手順等を定めています。危機発生時には、当該ルールに定められた手順に従い、報告・情報伝達を行い、必要な対応チームを編成します。危機対応を含めたリスクマネジメントをグローバルで適切に行うため、各拠点にそれらを推進するリスクマネージャーを配置しています。危機に備えるために必要な事項は、企業倫理・リスクマネジメント委員会で審議しています。さらに、危機が発生した場合に迅速かつ適切に対応できるよう、危機対応訓練や研修等も実施しています。危機に適切に対処するため、メディアやSNSなどの動向の把握にも努め、適時・適切に情報の開示などができるようにしています。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月24日)現在において当社グループが判断したものです。
(1)新型コロナウイルス感染症
全世界へ急速に拡大した新型コロナウイルス感染症は、グローバルに事業展開する当社グループの事業活動に大きく影響しています。
新型コロナウイルス感染症拡大に対して、当社グループは、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、社員の安全確保と事業継続に向けた対策をいち早く開始しました。その後、社長を対策本部長として、世界中に展開する当社グループ各社と連携し、社員の健康と安全の確保、該当拠点地域への感染拡大防止を最優先に、規制地域に勤務する社員に対する支援物質の手配や、IT環境の整備をはじめとした在宅勤務の拡充などに取り組んでいます。引き続き、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズ・コロナ」を前提に、社員の安全・安心の確保と地域への感染拡大防止を継続した上で、顧客への供給責任と社会的責任を果たしていきます。
2020年1月以降の感染拡大に伴い、当社グループにおいても、一時的に生産停止となる生産拠点がありましたが、5月には概ね通常稼働に回復することができています。一方で、顧客の事業活動の停止、設備投資の停滞や個人消費の低迷に伴う需要減は、現在も継続している状況です。
当社グループでは、売上減による事業悪化に備えて、年間200億円規模の固定費削減を前提とした運営を4月からスタートするとともに、適切な手元資金を保有し、資金流動性を確保することで有事における安定的な事業運営を行います。同時に、コロナショック後に生まれる新たな社会的課題を事業機会につなげる取り組みを加速していきます。
(2)経済状況
当社グループは、グローバルに事業展開しているため、各国・エリアのマクロ経済や関連市場の動向等により、当社グループの経営成績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループは、社会的課題を捉えた成長事業の創出とROIC経営を継続して推進することで、外部環境の変化に強い収益性と競争力を伴った事業構造の構築に取り組んでいます。具体的には、ファクトリーオートメーション、ヘルスケア、ソーシャルソリューションの3事業とこれらを支えるデバイス/モジュールに経営リソースを集中し、事業ポートフォリオの最適化を進めています。
(3)為替変動
当社グループの積極的な海外市場への事業展開により、今後も海外事業比率は高まると想定しています。
米ドル、ユーロ、人民元などの主要通貨に加え、新興国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは為替レートの変動に対して、短期的には金融機関との為替先物予約による為替ヘッジを実行することに加えて、中期的には海外生産拡大や現地調達率向上など、外貨建支出の増加による収支の為替バランスを改善することで、為替レートの変動に強い収益構造作りに取り組んでいます。
(4)資金調達
当社グループは、設備投資やM&Aなどの資金需要が生じた場合には、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、当社の状況などを総合的に勘案し、必要な資金を調達することとしています。このため、金融市場の不安定化が生じた場合などには、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、経済・金融市場の状況に応じた手元資金の確保を行うとともに、金融機関との間のコミットメントライン契約締結等による資金流動性を確保しています。また、格付け機関から長期発行体格付として「安定的」の高格付けを獲得しており、高い調達力を維持しています。加えて、グループ内各社のグローバルの資金需要に対応できるように、グローバルベースのグループファイナンスを実現することにより、エリアを跨ぐ柔軟な資金供給体制を構築しています。
(5)気候変動による災害・感染症等に伴う事業継続リスク
当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。また、当社グループの部品等の仕入先もグローバルに存在しています。このように、当社グループは、グローバルなサプライチェーンのもとで事業活動をおこなっています。その中で、近年の気候変動に伴う災害の大規模化や、これまでに類を見ない感染症の発生などを考えると、想定していない規模の災害や感染症、それらによる広域での社会機能の停止などの発生も考えられます。また、予期できない災害(自然災害、取引先の火災等)や感染症により、仕入先からの部品等の調達や顧客への製品供給に支障をきたす可能性があります。このような災害や感染症などが発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、当社グループの事業活動の一部停止や縮小などが生じた場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、新型インフルエンザ感染症や新型コロナウイルス感染症などの感染症の発生や、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のため、生産はもとより、購買調達、物流、ITを含めたサプライチェーンの事業継続計画(BCP)を策定して対策を進めています。また、有事を想定したシミュレーション・訓練を行うことにより、役員・従業員の危機意識を高めるとともに、事業継続計画(BCP)の内容の改定を行い、その実効性を担保するようにしています。さらに、部品等の生産地情報を一元的に管理し、災害や感染症の発生後、早期に部品等の供給リスクを把握する体制を整備しています。このため、災害や感染症が発生した場合は購買調達部門が直ちに部品等の調達に支障がないかを確認し、必要な対策を取る運用ができています。また、部品等については、重要度に応じて一定の在庫を確保するようにしています。
(6)情報セキュリティ
当社グループは、事業上の重要情報および事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しています。これらの情報に関して、盗難・紛失などによる第三者の不正流用、法規制違反、想定を超えるサイバー攻撃、そのほか不測の事態によって重要データの破壊や改ざん、情報漏えいや流出、システム停止等のインシデントが発生する可能性があります。これらの脅威は年々高まっています。その結果、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備のうえ、情報リテラシーを高めるための社員教育、委託先管理を含め、情報の取り扱いに関するモニタリング、リスク事案の分析、個人情報保護をはじめとする法規制強化への都度対応、技術対策の強化など、高度化するサイバー攻撃対策、ITガバナンスの強化等の対策を講じています。
(7)品質
当社グループの製品において、想定が難しい多様な環境での製品の使用などにより、すべての製品で欠陥がなくリコールが発生しないという保証は、難しくなってきています。国内では、より消費者保護に配慮した対応が必要であるとともに、海外においても品質に対する関心が高まっています。このため、製品欠陥による大規模なリコールの発生や、初動対応などの危機対応の失敗により当社の信頼性やブランド力低下、売上減少といった可能性があります。これらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況、さらに当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、国際規格であるISO9001で認定された品質システムを構築し、それに従った各種商品・サービスの開発や製造を行い、品質チェック体制の整備を図り、品質監査を行うなどグループをあげてすべての商品・サービスの品質向上を継続的に努めることで、「顧客満足の最大化」を目指し、「品質第一」を基本によりよい製品・サービスを提供しています。
(8)法規制等
当社グループは、グローバルに事業展開しているため、労働、個人情報保護、安全保障貿易管理、贈収賄防止、独占禁止法令など、さまざまな法規制の適用を受けています。規則・法令の新設・変更・解釈において年々厳格化が進んでおり、当社グループがこれらの法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受け、それにより経営成績および財務状況にも影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社では、「社会的責任を果たす企業経営」において、企業倫理・コンプライアンスをその活動の重要課題の一つとして位置付けています。特にカルテル等の反競争的行為、贈賄その他重要なリスクについては、その発生を未然に防ぐための対応を重点的に実施しています。具体的には、経営の方針として「オムロングループマネジメントポリシー」を定め、さらに当社グループの「社会的責任を果たす企業経営」を実践するための役員・従業員の具体的行動指針を示したものとして「オムロングループ倫理行動ルール」を制定のうえ周知し、法令遵守の徹底を図っています。さらに企業倫理・コンプライアンスに関する推進責任者を任命し、企業倫理・コンプライアンスの推進を行うため、企業倫理リスクマネジメント委員会を設置しています。また、社長自ら企業倫理・コンプライアンスの徹底に関する指示を定期的に発信し周知徹底の機会を設けると共に、カルテル等の反競争的行為や贈賄をはじめ、企業倫理・コンプライアンスに関して、役員および従業員への定期的な研修等を行っています。加えて、社内外に内部通報窓口を設置し、「オムロングループ倫理行動ルール」・就業規則・法令に違反する行為、またはそのおそれのある行為について、通報を受け付けています。法令・社内規定に従って通報内容を秘密として保持し、通報者に対する不利益な取扱いを行いません。また、反社会的勢力の排除の基本方針を「オムロングループマネジメントポリシー」および「オムロングループ倫理行動ルール」において明確にしています。
(9)地政学リスク
当社グループは、中国・アジアをはじめとして海外にも生産拠点を持ち、各国の営業拠点等を通じて製品をグローバルの顧客に供給しています。その中で、米中をはじめとする二国間関係や英国のEU離脱などの多国間関係など、国際関係は変化が増しています。関係国の政策や法律の変更、関税の引き上げ、製品供給や技術提供の制限などにより、生産、物流や営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、グローバルで政治・経済情勢や法規制の動向を定期的にモニタリングし、最新の状況を踏まえて対策を講じています。具体的には、主要国の関税の引上げや安全保障貿易管理に基づく輸出規制、新興技術等に対する取引制限等の政策に対して分析と評価を行い、必要により取引形態やサプライチェーンの見直し等も行うことにより、事業影響の低減を図っています。また、製品を複数拠点で並行して生産することなどにより、リスクの分散を図っています。
(10)労働安全
当社グループの事業活動において、不測の事態により従業員や施設に影響を与える労働災害が発生し、製品の供給やサービスの提供に支障をきたす事態となった場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また労働安全衛生の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。
そこで、労働安全衛生の管理において、当社は、従業員が安全で健康に働ける労働条件と職場環境を実現するために、ISO45001など国際規格に基づく第三者認証の取得などを進め、当社グループの年間活動計画を策定し、それに基づき、拠点の労働安全衛生に関する法令順守等の点検、労働安全衛生を管理する人財配置、労働災害データの分析など、労働安全衛生管理をグローバルに運営・管理をしています。
(11)環境保全
当社グループは、気候変動、大気汚染、水質汚染、有害物質、廃棄物、商品リサイクルおよび土壌・地下水の汚染などに関する種々の環境関連法令および規制等の適用を受けており、それらは当社グループが活動をおこなう世界各国で年々強化されてきています。将来の環境関連法令および規制等の順守、環境改善取り組みの追加的な義務、環境規制への適応が極めて困難な場合、および不測の事態などによる環境に関連する費用の増加、環境規制違反による事業停止、環境規制への未対応による顧客喪失などの可能性があり、それらが発生した場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響、さらには当社グループの社会的評価に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループでは、ISO14001などの国際規格にもとづく環境保全システムを構築し、第三者認証を受け、環境関連法令や規制を順守するための取り組みを行っています。また、当社グループの長期ビジョンの実現に向け、オムロングループ環境方針を定め、そのもとで、製品の企画・開発・設計から、調達、製造、流通、販売、保守サービス、資源回収と再利用、そして廃棄にいたるまでのバリューチェーン全体について製品ライフサイクルの視点から環境負荷低減を進めています。
(12)部品等の調達
当社グループは、グローバルなサプライチェーンを通じて、仕入先から部品等の調達をおこなっています。仕入先の経営の不備から、経営状態等が悪化すれば、部品等の供給の停止などが生じ、それが商品等の供給停止につながれば、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、サプライチェーンを通して、社会からESG観点で、より高度な対応が求められています。部品等の仕入先に対応不備があれば、部品等の調達や商品の販売にも影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。
そこで、当社グループは、第三者機関を活用し、仕入先の財務情報をはじめとする経営リスクを定期的に評価し、リスクレベルに応じた対策を実行しています。また、仕入先に対してサスティナブル調達のガイドラインを提示し、調達現場でのアセスメントなどを定期的に行うことで、ガイドラインの遵守状況を確認し、不備があれば改善を要請する仕組みを整備・運用しています。たとえば、近年社会的要請の高まっている紛争鉱物については、毎年調査を実施し、その取り組みをウェブサイトで開示するとともに、当該調査結果を顧客の求めに応じて開示しています。
(13)知的財産
当社グループが事業活動を行う中で、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受け、係争となる可能性があります。また、発明者との間で発明褒賞について係争となる可能性があります。ブランド管理については、第三者が当社グループのブランド名を不当に使用し、当社商品と類似した商品を製造・販売することにより損害を受ける可能性があります。さらに、不正なドメインネームの登録について、その全てを把握し対処するのは難しいため、同一または類似のドメインネームを使われることで、当社グループの信頼を損ねるような商行為がなされる可能性があります。このような知的財産に関する重大な係争問題が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループは、研究開発および設計にあたって第三者の知的財産権の調査を実施しています。また、社員との関係においては、発明者に対する褒賞制度を整備し適切な対応を取っています。一方、近年海外にて増加している、第三者による当社グループのブランド名の不当使用に対しては、定期的に模倣品摘発活動を市場やECサイトなどで実施しています。さらに、悪意を持った当社グループのブランド名と類似した商標権の取得を阻止する対応も行っています。また、当社グループのブランド名と類似したドメインネームが使用され、かつ、ウェブサイトの内容に商標権等の侵害があれば、ドメインの使用阻止も含め必要な対策を行っています。
(14)危機対応
当社グループは、世界のさまざまな地域に拠点や取引先を持ち、グローバルなサプライチェーンを構築し、事業活動をおこなっています。その中に潜むリスクも変化していますが、顕在化すれば、当社グループにとっての危機となる場合がありえます。もし危機対応に失敗すれば、当社グループに発生する損害などが拡大する可能性があります。また、IT技術の進歩によって、不適切な情報開示を行えば、SNSなどの媒体を通じて情報が瞬時に社会に広がることで、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、またそれにより当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そこで、当社グループでは、「オムロングループ統合リスクマネジメントルール」において、危機対応の方針・体制・手順等を定めています。危機発生時には、当該ルールに定められた手順に従い、報告・情報伝達を行い、必要な対応チームを編成します。危機対応を含めたリスクマネジメントをグローバルで適切に行うため、各拠点にそれらを推進するリスクマネージャーを配置しています。危機に備えるために必要な事項は、企業倫理・リスクマネジメント委員会で審議しています。さらに、危機が発生した場合に迅速かつ適切に対応できるよう、危機対応訓練や研修等も実施しています。危機に適切に対処するため、メディアやSNSなどの動向の把握にも努め、適時・適切に情報の開示などができるようにしています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01755] S100IXLK)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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