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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100J1ER (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 ソニーグループ株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えております。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものです。

(1) 新型コロナウイルス感染拡大は、ソニーの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を及ぼし、その悪影響が今後も続く可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大は、ソニーの全ての分野の製品又はサービスの生産、開発又は制作、及び販売又は提供に悪影響を及ぼし、今後も悪影響が続く可能性があります。例えばG&NS分野では部品のサプライチェーン上の問題からハードウェアの生産に悪影響が出ています。音楽分野では、外出制限の影響により、CDやその他のパッケージメディアの売上が減少しています。また、コンサートその他のイベントが延期又は中止となっている日本などで、ライブ興行や物販、映像ビデオの制作・販売などが減少しています。映画分野では、全世界での映画館の閉鎖などにより、映画興行ビジネス全体に影響が出ており、ソニーにおいても既に製作が完了している作品について劇場でのリリースが基本的にできない状況にあります。EP&S分野では、現地政府の方針により特定の製造事業所が一定期間稼働を停止し、一部で供給が需要に追い付いていない状況が続いています。また、複数の製品カテゴリーに部品を供給している特定パートナーの稼働率が低下したことにより、一部の製品で部品不足による生産遅延が発生しました。金融分野では、日本政府の緊急事態宣言発出を受け、2020年4月から5月にかけてソニー生命のライフプランナーによる対面での営業活動が停止していました。これら及びその他の新型コロナウイルス感染拡大が、ソニーの分野ごとの製品又はサービスの生産、開発又は制作、及び販売又は提供に与える影響については、「第2事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
新型コロナウイルス感染拡大による悪影響を受ける期間や度合いは、今後の事態の進展、例えば、さらなる感染拡大や再流行により、大きく変動する可能性があります。また、各地域における外出制限等の状況に左右される可能性があります。
例えば、G&NS分野では、ハードウェアの生産やゲームソフトウェアの開発の遅れにつながる可能性があります。音楽分野では、新曲のリリースの遅れや世界的な広告活動の減少による悪影響を受ける可能性があります。映画分野では、新作映画の製作やテレビ番組作品の制作及びそれらの公開スケジュールの遅れ、ならびに世界的な広告の減少による悪影響を受ける可能性があります。EP&S分野では、製造事業所の稼働停止やサプライチェーンの混乱、製品の販売店舗の世界的な閉鎖や休業による悪影響を受ける可能性があります。I&SS分野では、最終製品であるスマートフォン市場の減速による悪影響を受ける可能性があります。金融分野では、ソニー生命のライフプランナーによる対面での営業活動の継続的な停止による悪影響を受ける可能性があります。
さらに、新型コロナウイルス感染拡大は、下記のリスク及び不確実な要素の多くに悪影響を与える可能性があります。

(2) ソニーは収益又は営業利益率の低下に繋がりかねない一層激化する競争を克服しなければなりません。
ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、単一又は数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にわたって、業界の既存企業や新規参入企業などの多くの企業と競争しています。また、潜在的には現在ソニーに製品を供給している企業も競合相手となる可能性もあります。これらの既存の及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、ソニーの財政状態及び業績は、当該既存及び新規参入の競合他社に効率的に対抗する能力にかかっています。
ソニーが直面する競合要因は業種により異なります。例えば、ソニーのエレクトロニクス事業は、競合他社との間で価格や機能を含む様々な要素で競争しています。また、ソニーの音楽分野及び映画分野では、アーティスト、作詞家、俳優、ディレクター、及びプロデューサーといった才能ある人材ならびに製作・制作、取得、ライセンス、又は配信されるエンタテインメント・コンテンツを得るため競争しています。競合他社との価格競争は、価格の下落に比例して費用が下落しない場合には利益率の低下につながり、また、才能ある人材と魅力的なコンテンツ獲得競争も、そのような才能ある人材やコンテンツの獲得に必要とされる費用の増加を増収により埋め合わせできない場合には、収益力の低下につながる可能性があります。さらに、イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を有していると考えられる製品においても、競合他社の技術力の向上により、ソニーがその優位性を保てなくなる可能性もあります。また、コンスーマーエレクトロニクス事業においては、絶えず変化し、一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、あるいは、消費者の多くが同種の製品をすでに保有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し、競争力ある価格と特長を有する、魅力的で差異化された製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々なコンスーマー製品において、一層激化する競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まり、小売業者の集約化、新規の販売・流通チャネルの構築、及び製品サイクルの短期化に直面しています。音楽分野及び映画分野における業績は、予測が困難である作品に対する世界中の消費者からの支持による影響、同時期もしくは近接した時期に公開された他の競合作品による影響、ならびに、ソニーの作品に代わり消費者が利用可能な娯楽及びレジャー活動に影響を受ける可能性があります。例えば、2020年の年初以降の新型コロナウイルス感染拡大を受け、世界各国で外出制限が行われたことにより、消費者行動への影響が出ています。
仮に、ソニーが、技術その他の競争力を持つ分野においてその優位性を保てなくなった場合、ソニーのコンスーマー製品に対して頻繁に影響を及ぼす継続的な価格下落又はその事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルや消費者の嗜好が変化した場合、又はソニーのコンスーマー製品の平均価格の下落スピードが当該製品の製造原価削減のスピードを上回った場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(3) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起し、製品及びサービスの革新を実現するために研究開発投資を行う必要があり、また新しい製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理しなければなりません。
ソニーは、製品及びサービスの競争力を強化するため、特にイメージセンサー及びG&NS分野といった成長分野において、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、ソニーとして、著しい成長可能性を持った製品及びサービス、ならびに市場動向を特定できなかった場合やそれらを把握できなかった場合、研究開発投資が成功しない可能性があります。加えて、ソニーの研究開発投資が革新的な技術を生み出さない可能性、想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、競争力のある新たな製品やサービスを商品化するソニーの機会を妨げる要因となり得ます。
ソニーは、コンスーマーエレクトロニクス、ネットワークサービス、及びスマートフォン事業において、継続的に製品及びサービスを導入し、これらを拡充させることにより、消費者の需要を喚起し続けていく必要があります。これらの製品及びサービスは、年末商戦における消費者需要に特に影響を受けます。G&NS分野の売上及び収益性には、ストリーミングを含め、プラットフォームの導入及び普及の成否が重要な影響を及ぼし、この成否は、魅力的なソフトウェアの品揃えとオンラインサービスが消費者に提供されるか否かに影響されます。しかしながら、外部のソフトウェアの開発事業者や開発・販売事業者、主要な協力業者がソフトウェアの開発や供給をし続ける保証はありません。加えて、ソニーは、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウェア、ソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ及びネットワークサービスの統合を促進させること、ならびにそのような統合の効果を達成するための研究開発への投資が不可欠であると考えています。しかしながら、この戦略は、ネットワークサービス技術のさらなる開発能力、ソニーの様々な事業ユニット・販売チャネル間の戦略上及びオペレーション上の課題の調整と適切な優先順位付け、ユーザーインターフェースを含むネットワークプラットフォームをシームレスに接続するための、消費者にとって革新的かつ価格競争力のある魅力的な高性能ハードウェアの継続的な提供に依存しています。そして、業界内やネットワークに接続可能なソニーの製品や事業間における技術やインターフェース規格の標準化を行う能力にも依存しています。加えて、G&NS分野、音楽分野及び映画分野では、消費者の支持を得られるかどうかが分かる前に、社内で開発されたソフトウェアのタイトル、アーティスト、カタログ取得、映画作品、テレビ番組の製作及び番組の放送に関連して、相当の先行投資を含め、多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画作品の初期の流通市場における業績と、その後の流通市場における業績には高い相関性がみられるため、初期の流通市場における映画作品の業績が想定を下回った場合、公開年及び将来におけるソニーの業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。
新製品及びサービスの導入ならびに切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裏に完了させること、市場における受け入れ度合、効果的なマーケティング戦略の企画及び実行、新製品の導入の管理、生産立ち上げ時における課題への対処、新製品向けアプリケーションソフトウェアが入手できること、品質管理、及び年末商戦における消費者需要の集中度など、数多くの要素に依存しています。研究開発への投資に対して想定した成果を達成できない場合、新製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理できない場合、新製品やサービスが消費者に受け入れられない場合、又は統合戦略を実行できない場合、ソニーの評判、業績、及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) ソニーの戦略的目的を達成するための買収、第三者との合弁、投資、資本的支出、組織再編成、構造改革は成功しない可能性があります。
ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁、資本的支出及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。例えば、ソニーは2019年11月18日、Game Show Network, LLCについて、ソニーが保有していなかった残りの42%の持分を取得し、完全子会社としました。
ソニーが買収を行う場合、多額の買収コスト又は統合費用の発生、シナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引き受けによって、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
ソニーが第三者と合弁会社を設立したり戦略的パートナーシップを構築する場合、ソニーの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略の相違又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取義務、ソニーが保有する合弁持分の売却義務、もしくはパートナーシップの解消義務、キャッシュ・フローの管理を含む不十分な経営管理、特許技術やノウハウの喪失、減損損失、及びソニーブランドを使用する合弁会社の行為又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、スマートフォンやその他の製品向けイメージセンサー用製造設備を含む生産設備や装置に多額の投資を行っています。ソニーは、競争環境、想定を下回る消費者需要、又はソニーの主要顧客の財政状態やビジネス上の意思決定の変更に起因して、これらの資本的支出の一部又は全部を計画した期間内に回収できない場合があります。ソニーは、イメージセンサーの生産能力増強などのために、2018年度及び2019年度にそれぞれ、1,289億円及び2,657億円の資本を投資しました。
さらに、ソニーは、収益力、事業の自律性及び株主価値を向上させるため、及びソニー全体の事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを明確にするため、構造改革及び事業構造変革の施策を実施しています。例えば、ソニーは電池事業を株式会社村田製作所グループへ2017年度に譲渡しました。しかしながら、社内外で生じるビジネス上の阻害要因や予想を上回る市況の悪化が原因となり、想定された収益性レベルの達成を含め、これら施策の実施によって期待される恩恵が得られない可能性があります。ソニーがこれらの戦略的施策を達成できない場合、ソニーの業績、財政状態、評判、競争力又は収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーでは2017年度、2018年度及び2019年度にそれぞれ224億円、331億円及び250億円が構造改革費用として発生しています。

(5) ソニーの売上や収益性は卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績の影響を受ける可能性があります。
ソニーは、製品の流通を卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、携帯電話キャリアを通して販売されるソニーのスマートフォンは、そのキャリアから補助金を受けている場合があります。これらのキャリアとの契約更新又は新しいキャリアと締結する契約において、今後もそのような補助金が同額で継続し、又は補助金そのものを継続的に受けられる保証はありません。映画分野では、映画配給においては第三者の映画館運営会社に、映画やテレビ番組の配信においてはケーブル、衛星、インターネット及びその他配信システムに依存しており、当該第三者からソニーが受領するライセンス料の減少が映画分野の売上に悪影響を与える可能性があります。映画分野における世界中のテレビネットワークを通じた配信も、第三者のケーブル、衛星及びその他配信システム経由で行われ、これらの第三者配信会社との契約を更新できない、又は不利な条件で契約を更新する場合は、これらの第三者ネットワークを通じた広告販売及び予約販売の実績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に対して、ソニー製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えることを目的としたプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムの提供が、消費者を競合他社の製品の代わりにソニー製品を買うように促し、結果的にソニーに大きな利益や追加収入をもたらすことを保証するものではありません。
多くの卸売業者、小売業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績及び財政状態は、特にオンライン小売業者との競争と景気の後退により悪影響を受けます。これらの業者の財政状態が継続的に悪化したり、ソニー製品を取り扱うことを中止したり、もしくはソニー製品に対する需要が不透明になるなどの要因によりこれらの業者がソニー製品の発注数やマーケティング活動、販売奨励金、又は販売を減少させたり縮小させたりするような場合、ソニーの業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。例えば、2020年の年初以降の新型コロナウイルス感染拡大を受け、販売店舗の世界的な休業などが発生したことで、ソニー製品の販売が減少するなどの影響が出ています。

(6) ソニーはグローバルに事業を展開しているため、多くの国々において広範な法規制の適用を受けるとともに、企業の社会的責任に関する消費者の関心の高まりに直面しています。これらの法規制や消費者の関心は大きく変わる可能性があり、その変化がソニーの事業活動費用の増加、事業活動の制約及びソニーの評判への悪影響につながる可能性があります。
ソニーはグローバルに事業を展開しているため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入、腐敗防止、反競争的行為、環境保護、プライバシー、データ保護、コンテンツや放送規制、労働、課税、外国投資規制、政府調達、為替管理、経済制裁、個人を識別できる情報(以下「個人情報」)の収集、使用、保有、保全及び移転に関する法規制を含む多数の地域における事業活動に影響を与える世界中の多くの国々の法規制の適用を受けます。
これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。これらの法規制は継続的に変更されるとともに、管轄ごとに異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。このような変更は、場合によっては頻繁に又は事前の通知なくして起こり、消費者にとってのソニー製品又はサービスの魅力の低下、新製品又はサービスの導入の遅延もしくは禁止、あるいはソニーの事業遂行の変更や制約に結びつく可能性があります。例えば、米国及びその他の地域における貿易制限措置及び報復措置の導入が、ソニーの製品に賦課される関税率の増加、部品の調達費用の増加、又は既存及び将来的なソニーの製品及びサービスの顧客への販売の制限又は中止につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、ソニーがオンライン上を含め事業を行う上で依拠又は適用を受ける法規制又はそれに関連する裁判所の解釈に変化が生じた場合や、ソニーがこのような変化を想定できなかった場合にも、ソニーの法的責任に対するリスクの増加、法規制遵守のための費用の増加又は一部の事業活動に対する制限、制約もしくは中止を含む事業活動の変更につながる可能性があります。
ソニー、ならびにソニーの従業員、第三者サプライヤー、ビジネスパートナー、及び代理人が法規制に違反すると、ソニーが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、ソニーの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まっており、また、これらの事項に関する情報開示の法的規制が強化されています。特に、アジア地域で操業する電子部品の製造事業者や製造/設計受託事業者又は「ODM/OEM」、製品の製造事業者における労働環境を含む労働慣行への注目が高まっています。ソニーは製品の製造に多くの部品や原材料を使用しており、それらの部品や原材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているものの、第三者サプライヤーの調達活動や雇用慣行を直接的には管理していないため、これらの領域における規制の強化や消費者の関心の高まりによって、ソニーの法規制の遵守にかかる費用が増加する可能性があります。さらに、かかる法規制の不遵守があった場合、又は消費者の関心の高まりに対してソニーが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているか否かにかかわらず、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7) ソニーは市況変動の大きい環境のなか、部品、ソフトウェア、及びネットワークサービスの在庫量、入手可能性、費用及び品質をコントロールするために第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーからの大量かつ広範な調達品を管理する必要があります。
ソニーの製品やサービスは、例えば、半導体、プレイステーションのゲーム機及びモバイル製品向けチップセット、ならびにモバイル製品、テレビ及びサービスに利用されている液晶パネルやアンドロイドOSを含め、部品、ソフトウェア、及びネットワークサービスに関して、第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーに大きく依存しています。第三者サプライヤーやパートナーの不足、当該第三者サプライヤーやパートナーから提供を受ける部品等の価格変動、品質問題、製造の中止、取引条件の変更、又は第三者サプライヤーやパートナーがエレクトロニクス分野以外の顧客あるいはソニーの競合他社を優先させた場合、ソニーの業績、ブランド、及び評判に悪影響を与える可能性があります。また、第三者のソフトウェア及び技術への依存は、競合他社の製品とソニーの製品との差異化をますます難しくする可能性があります。さらに、特にソニーが一社に部品の調達を依存している場合、特注の部品の生産能力に限界がある場合、もしくは新しい技術を使用する製品の初期生産能力に制約がある場合には、部品に供給不足や出荷遅延が生じ、その結果、ソニー又はビジネスパートナーの製造事業所における生産調整又は生産停止が起きる可能性があります。
ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品を発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不十分な在庫管理は、在庫不足もしくは過剰在庫を招き、その結果、生産計画に混乱が生じることにより売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品や製品が陳腐化したり、在庫レベルが使用見込み数量を上回ったり、もしくは在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合には、在庫の評価減を行います。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品の供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。

(8) ソニーの売上、収益性及び事業活動は、世界及び地域の経済動向及び政治動向ならびに情勢に敏感です。
ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済動向に敏感です。2019年度のソニーの売上高及び営業収入において、日本、米国、欧州における構成比はそれぞれ29.9%、22.6%、20.6%でした。これらの市場が深刻な景気後退に陥ると、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費が低迷して法人顧客の事業が悪影響を受け、その結果、ソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。例えば、映画分野においては、景気低迷を受けて広告市場全体の支出が減少する可能性があり、また、景気低迷を受けてテレビネットワークの収益創出力が低下した場合には、自社のネットワークにおける広告収入及びソニーのコンテンツに対して第三者のネットワークが支払うライセンス料が減少すると考えられ、映画分野の収入に悪影響を与える可能性があります。
また、ソニーは世界各地において事業活動を行っており、このような世界規模での事業遂行、特に一部の新興市場での事業遂行には困難がともなうこともあります。例えば、エレクトロニクス事業及びG&NS分野においては、中国やその他のアジアの国々・地域において製品及び部品を生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するために要する時間が長くなり、変化する消費者需要に迅速に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、通商政策の変更、期待される行動規範からの逸脱、及び十分なインフラの欠如などがあります。不安定な国際政治又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。
ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動による影響を受けます。例えば、エレクトロニクス事業においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料及び部品の調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域に分散して発生し、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、特に米ドルに対する大幅な円安及びユーロ安や、ユーロに対する大幅な円高、ならびに新興国通貨に対する米ドル高は、ソニーの業績に悪影響をこれまでも及ぼしており、今後も及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これらの地域の通貨の米ドル及び円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変動により、ソニーの経営資源のグローバルな配分が妨げられたり、ソニーが研究開発、資材調達、生産、物流、販売といった活動を、収益力を保った形で遂行する能力が低下したりする可能性があります。
また、ソニーは、短期の外貨建債権債務(純額)の一部を取引が発生する前にヘッジすることで為替リスクの低下に努めていますが、かかるヘッジ活動によっても、ヘッジされている為替について限られた期間に為替が不利に変動する場合に、全くもしくは一部しか財政状態への悪影響を解消できない可能性があります。
さらに、ソニーの連結貸借対照表は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドル及びユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。

(10) 格付けの低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。格付けの低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャルペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。
また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じたりする可能性があります。従来、ソニーは、営業活動によるキャッシュ・フロー、CP及び中長期債などのその他の債券の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金などにより資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。
その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却などの代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。

(11) ソニーの成功は、高い能力を持った人材との良好な関係の維持と、それら人材の採用・確保に依存しています。
ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、製品やサービスの開発、設計、製造、マーケティング及び販売を継続するためには、マネジメント人材、クリエイティブな人材、及びハードウェアやソフトウェアエンジニアなどのその他の高い能力を持った人材を含む内部及び外部の重要な人材を惹きつけ、確保し、それらの人材との間で良好な関係を維持することが必要となります。しかしながら、そのような人材には高い需要があります。加えて、事業譲渡や構造改革及びその他の事業構造変革施策の実施により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失又は流出してしまう可能性があります。また、特にエンタテインメント事業において、労働組合によるストライキが生じた場合、又はそのおそれがある場合、作品のリリースの遅れやコストの増加につながることもあります。もしこれらの事象が起きた場合、あるいは高い能力を持った人材や重要なマネジメント人材を惹きつけ、確保し、良好な関係を維持できなかった場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(12) ソニーの知的財産は不正利用や窃取の被害を受け、また、第三者が保有する知的財産のソニーによる利用が制限される可能性があります。
ソニーは、イメージセンサー等のエレクトロニクス事業の商品を含む製品やサービスに関連する知的財産の不正利用や窃取の被害を受ける可能性があります。例えば、デジタル技術、デジタルメディアの利用及び世界的なインターネットの普及は、ソニーが著作権で保護されたコンテンツを違法コピー及び偽造等から保護することを困難にさせ、正規製品の販売にも悪影響を与えます。ソニーは、知的財産権の保護のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。しかしながら、ソニーが行っているこれらの知的財産保護のための様々な取り組みが想定している効果を達成できない可能性があり、ソニーの競争上の地位や研究開発投資に悪影響を与えるおそれがあります。
さらに、ソニーの知的財産権は、これらに関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。
また、多くのソニー製品やサービスは第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的にビジネスに必要な様々な知的財産権のライセンス供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品又はサービスの設計変更や、マーケティング、販売、あるいは提供もしくは配信の断念を余儀なくされる可能性があります。
ソニーの製品やサービスに利用されている第三者の部品、ソフトウェア及びネットワークサービスを含め、ソニーの製品やサービスが、第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、また、今後もなされる可能性もあります。特に、新規技術やより高度な機能が製品及びサービスに導入されるにともない、競合他社又は第三者の権利者から、かかる主張がなされる可能性があります。かかる主張により、ソニーは和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いが必要となる可能性があり、差止命令、あるいはソニーの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。
ソニーの知的財産権の不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、ソニーの知的財産権が無効になる場合、又は第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合は、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(13) 新たな技術や配信プラットフォームによる消費行動の変化や、デジタル音楽配信会社の集中が高まることや配信会社自らがコンテンツを制作することは、音楽及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。
音楽分野及び映画分野で使用される技術、特にデジタル技術は進化を続け、デジタルコンテンツの配信、消費及び保存の方法は急速に変化しつつあります。このような技術の進歩は、消費者行動を変化させ、消費者が、デジタルコンテンツを消費するタイミング、場所及び方法を、これまでよりも消費者自身がコントロールすることを可能とさせています。
高性能なインターネットやその他新規メディアが普及した場合、パッケージメディアの需要が低下し続けるほか、従来のテレビ放送や劇場での映画鑑賞にも影響が及ぶことが考えられ、ソニーの映画分野の収入に悪影響を及ぼす可能性があります。
さらに、より多くの音楽や映像コンテンツがデジタルストリーミングのネットワークで消費されることにより、デジタル音楽配信会社の寡占度がさらに高まり、ソニーの音楽コンテンツに対する競争を減少させることで、ソニーの価格設定に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、デジタルの音楽や映像コンテンツの配信会社は自らのサービスのための自社制作コンテンツを増やす可能性があり、ソニーのエンタテインメント事業が制作するコンテンツに対する需要が減少する可能性があります。ソニーがこのような変化に適切に対応できない場合、又は新たな市場の変化に効果的に適応することができない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(14) 法令改正や金融市場の動向などが、ソニーの金融分野の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
ソニーの金融分野は、日本における保険や銀行といった法規制や監督の対象となる業界で事業を行っています。将来における法規制・政策などの改正・変更は、当該法規制や政策の遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。なお、当社は、当社の連結子会社であるSFHからの財務支援又は融資ローンの形態による資金の受け入れに関し、日本の監督官庁の指針による制約を受けています。
また、ソニーの金融分野においては、金利及び外国為替レートの変動ならびに日本国債、国内社債、米国債、株式、不動産及びその他の投資資産の価値変動が業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ソニーの生命保険事業では、保有契約から生じる長期の負債特性に見合うように、一般勘定資産のうち大部分を超長期日本国債及び国内社債ならびに超長期米国債に投資しています。生命保険事業では、上述の市況変動により投資ポートフォリオの利回りが低下する可能性がある一方で、残存する保険契約の予定利率を保証しています。また、ソニーの銀行事業では、住宅ローンが貸出金の大部分、総資産の過半を占めています。上述の市況変動及び債務者の信用状況の悪化により不良債権の増加や担保不動産価値の減少が生じ、貸倒引当金の積み増しが必要となり、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの生命保険事業及び損害保険事業においては、上述の市況変動とこれらの変動に対するソニーの管理体制、又は日本における大地震や感染症などの疫病、あるいはその他の大規模災害の発生が、費用計上額の増加につながり、又は保険契約債務を履行する保険事業の能力に悪影響を及ぼす可能性もあります。
保険事業における責任準備金や繰延保険契約費は、不確実な多くの保険数理上の前提にもとづいて計算されています。その前提が実績と大幅に乖離することで計算前提が変更された場合に、責任準備金の追加計上や繰延保険契約費の前倒し償却が必要となる可能性があります。具体的には、保険数理上の前提にもとづいて、保険料収入や購入される資産の運用益及び補償対象としている事象が発生した場合の支払額などの将来スケジュールを想定し、責任準備金や繰延保険契約費を計算しています。なお、保険数理上の前提は、毎事業年度に最低1回の見直しが求められています。

(15) 大規模な災害や停電などが生じた場合、ソニーの設備や事業活動は被害や損害を受け、それがサプライチェーンや、製造その他の事業遂行における混乱を引き起こし、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーの本社及び半導体のような最先端デバイスの製造拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内にあります。日本で大地震が起きた場合、特にソニーの本社がある東京、完成品の製造事業所が所在する東海地方、又は半導体製造事業所が所在する九州地方及び東北地方で起きた場合には、建物や機械設備、棚卸資産が被害を受けたり、製造事業所では生産活動が中断したりするなど、ソニーの事業は大きな被害を受ける可能性があります。例えば、2016年4月14日以降に発生した2016年(2016年)熊本地震の影響で、九州地方にある半導体製造事業所に損傷があり、その事業所における製造が中断しました。
また、原材料、部品、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売及び、オンラインやその他のサービスに使用される、ソニーやサプライヤー、外部サービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ行為、大規模停電、大規模火災などの予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、又はオフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。例えば、2020年の年初以降の新型コロナウイルス感染拡大により、ソニー及び製造委託先の製造事業所ならびに部品サプライヤーにおける稼働停止又は稼働率低下により、ソニーの一部製品の生産に遅れが生じました。さらに、ソニーは、原材料及び部品の価格高騰や、法人顧客の需要減少による影響を受ける可能性があり、これらの場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(16) ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業への悪影響が及ぶ可能性や、ソニーが法的な責任を追及される可能性があります。
ソニーならびに外部のサービスプロバイダ、サプライヤー及びその他のビジネスパートナーは、情報技術を広範に活用することで営業活動を行い、また顧客に対しネットワークサービスやオンラインサービスを提供しています。これらの事業及びサービス、ならびにソニーのビジネス情報は、国家が支援する組織を含む悪意をもった第三者、犯罪組織、ソニーの従業員、ソニーもしくは外部のサービスプロバイダ又はその他のビジネスパートナーの故意又は不注意により侵害を受ける可能性があります。そのような組織や個人は、悪意のあるソフトウェアをインストールしたり、情報技術の脆弱性を利用したり、ソーシャル・エンジニアリングを用いて従業員やビジネスパートナーのパスワードや機密情報を開示させたり、分散DoS(サービス停止)攻撃を仕組んだりするなど、様々な技術の組み合わせにより、サービスを停止させる可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化かつ自動化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、不正な侵入を防止あるいは検知したり、不正な侵入に対応したり、データへのアクセスを制限したり、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出を防止したり、そういった攻撃の悪影響を抑制したりするためにソニーが行っている対策、セキュリティへの取り組みや管理が、不正アクセスに対して、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人情報を含むソニーのビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又は承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、ソニー、あるいは外部のサービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの情報システム又は事業が破壊される可能性があります。また、悪意をもった第三者は、ソニーに知られることなく、ソニーの外部の事業パートナーを侵害するためのプラットフォームとしてソニーのネットワークに不正にアクセスする可能性があります。ソニーは過去に、高度かつ明確に標的を定めた攻撃の対象になったことがあります。例えば、2014年度に、ソニーの映画分野がサイバー攻撃の対象となり、従業員の情報やその他の情報を含むソニーのビジネス情報が不正にアクセス、窃取、漏洩され、データが破壊されました。また、ソニーのネットワークサービス、オンラインゲーム事業及びウェブサイトは、様々な動機や専門知識を持った団体もしくは個人による、不正アクセスやDoS(サービス停止)攻撃、顧客情報の窃取・漏洩などのサイバー攻撃の対象となったことがあります。
こうした情報セキュリティに対する事象によって、多額の復旧費用が発生する可能性があります。加えて、ソニーのネットワークやオンラインサービス、情報技術への破壊行為、その他のソニーの情報セキュリティに対する侵害行為によって、売上の喪失、ビジネスパートナー及びその他の第三者との関係の悪化、専有情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗などが生じ、その結果、ソニーの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。さらに、これらの破壊や侵害行為がマネジメントの関心や経営資源の分散につながる可能性があります。他にも、メディアの報道に悪影響をもたらし、ソニーのブランドイメージや評判を傷つける可能性があります。また、ソニーは、訴訟や、規制当局による調査や法的措置を含む法的手続きの対象となる可能性があります。ソニーが加入しているサイバー攻撃に対する保険は、発生する費用や損失の全額を填補できない可能性があり、その結果、ソニー又は外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対するそのような侵害その他の不正行為が、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(17) 訴訟及び規制当局による措置が不利な結果に終わった場合、ソニーの事業が悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による措置に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による措置により、ソニーは、多額かつ不確定な損害賠償や事業活動に対する制約を要求される場合がありますが、その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要することがあります。例えば、公正な競争に反する市場慣行に関して規制当局が行う調査が、訴訟や規制当局による措置につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による措置への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(18) ソニーは製品品質、製品セキュリティ及び製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。
急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、コンスーマー製品、ノンコンスーマー製品、部品、半導体、ソフトウェア、ならびにネットワークサービスなどのソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっており、また、多くの製品が常にインターネットやソニー又は第三者が提供するサービスに繋がっている環境におかれています。ソニーは、製品品質及び製品セキュリティを維持しながら、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、これにより、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、ソニーの評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービスなどの費用が発生する可能性があります。加えて、既存の製品及びサービスへの販売後のアップグレード、機能の拡充、又は新機能の導入に成功しない可能性や、既存の製品及びサービスを、他の技術及びオンラインサービスとの間で便宜的かつ効果的に連携させ続けることができない可能性があります。その上、インターネットに接続されている製品に対するサイバー攻撃は劇的に増加しており、ソニーの製品・サービスが他者からの攻撃にさらされる事態、顧客情報ならびにソニー及び他社の技術情報が流出する事態、又は製品・サービスが利用不能となる事態や他者への攻撃に悪用される事態が生じるおそれがあります。ソニーが導入したセキュリティ対策は、ソニーの製品及びサービスに対する侵害の防止を保証することはできません。
そのため、ソニーの既存の製品及びサービスについて、顧客満足を維持できない可能性や、需要の減少、競争力の低下、あるいは陳腐化を招く可能性があり、その結果、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、根拠の有無にかかわらず、ソニー製品に関するセキュリティ脆弱性、健康面や安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、ソニーのブランドイメージや、高品質な製品やサービスを提供する企業であるという評価に対して影響を与え、その結果として、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーがその製品を製造したか否かに関係なく、また、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体などのソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。

(19) ソニーの業績及び財政状態は退職給付債務により悪影響を受ける可能性があります。
ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの予測給付債務から年金制度資産の公正価値を差し引いた金額を未積立退職給付債務として認識しています。年金制度資産価値の減少や割引率の低下、その他の年金数理計算前提となる比率の変動による予測給付債務増加にともない未積立退職給付債務が増加し、その結果、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、ソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。法定の責任準備金などに対して年金制度資産の公正価値がこれを下回り、かつ法令もしくは特別な政令などにより認められた期間内にそのような状況が回復しないと見込まれる場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって年金制度資産の長期期待収益率などの前提を見直したことにより、年金制度への拠出金の水準が引上げられた場合、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。

(20) 繰延税金資産に対して評価性引当金を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、各国の法令にもとづく繰延税金資産の使用の制限、追加的な税金負債あるいは税率の変動がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じています。また、ソニーは、多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査も受けています。ソニーの税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む税金資産の帳簿価額の計算には高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)が必要です。追加的な証拠が入手可能になると、ソニーは、これら資産の残高の妥当性や評価性引当金による減額の妥当性について判断するため、これら資産の再評価を行います。2020年3月31日現在、総額で6,082億円の評価性引当金が計上されています。評価性引当金の増加は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。2020年3月31日時点において、ソニーは主に日本及び米国において評価性引当金を計上しています。さらに、充分な課税所得を適切な税務管轄内で生み出せないなど様々な理由により、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できない可能性があります。繰延税金資産が未使用のまま消滅した場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。
上記に加え、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又はロイヤルティや利息の損金算入制限、及び税額控除の使用制限を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更などにより不利な影響を受ける可能性があります。例えば、2017年米国税制改革法を遵守するためには、ソニーの財務諸表における見積りや税金引当額の計算における高度な判断が要求されます。米国税制改革法に関する規定やガイダンスは改訂されるため、ソニーは従来計上している金額に対して、ソニーの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性のある調整を行う可能性があります。

(21) ソニーは、営業権、無形固定資産もしくはその他の長期性資産の減損を計上する可能性があります。
ソニーは多くの営業権、無形固定資産ならびにエレクトロニクス事業における製造施設及び設備を含む長期性資産を保有しています。これらの資産については、業績の悪化や時価総額の減少、将来のキャッシュ・フローの見積額の減少、世界経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損を計上する可能性があります。営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産については、年に1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などが含まれます。なお、ソニーがさらされている国際的な競争環境の激化や技術動向の急激な変化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損の計上の可能性が増加することがあります。ソニーが保有しかつ使用する長期性資産及び処分予定の長期性資産の回収可能性は、個々の資産又は資産グループの簿価が回収できなくなる可能性を示す事象や状況(営業権や無形固定資産に関する上記の事象や状況を含む)の変化が生じた場合に検討されます。資産又は資産グループの帳簿価額が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損を認識します。例えば、2017年度、2018年度及び2019年度において、EP&S分野におけるスマートフォン事業資産グループの長期性資産の減損損失をそれぞれ313億円、192億円及び127億円計上しました。さらに、2018年度において、その他分野におけるストレージメディア事業資産グループの長期性資産及び営業権の減損損失129億円を計上しました。このような減損損失の計上は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01777] S100J1ER)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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