有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JC3Z (EDINETへの外部リンク)
曙ブレーキ工業株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)
当社グループでは、コア技術である音・振動解析技術を活かし、自動車のみならず、あらゆる交通機関、産業機械の各種ブレーキ製品を担う摩擦材・ブレーキの開発を進めております。また製品開発を支える基礎技術、解析の深化を重点的に行うための研究開発への投資と開発体制の充実を図っております。
開発戦略としては、音・振動に対する知見をさらに深化させ、低引き摺り化・軽量化・グリーン材料化などの環境対応技術開発、電動ブレーキ開発を始めとした自動運転対応技術開発、高性能車両向けのブレーキ開発を継続し、推進してまいります。これらの開発は日本・米国・欧州・中国・タイの開発拠点を中心として、地産地消を基本に現地開発、現地調達を更に促進し、グローバル拠点それぞれの特長を活かしながら、必要な技術を駆使してグローバル競争力を高めた次期製品開発に注力しております。
(日本)
ブレーキ摩擦材開発については、環境対応技術開発を軸に取り組みを進めております。グローバルなニーズ及び米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された銅に関する環境規制に対応する銅フリー摩擦材開発を中心に、高性能で音・振動特性に優れ、かつ昨今着目されてきているホイールダストの制御に挑戦しながら、環境に配慮した摩擦材原材料を使用した高品質な製品の開発を進めております。同時に、低コスト化についても、性能や環境へ配慮しながら開発を進めております。また、xEV車のブレーキ特性にあわせた摩擦材の開発を進めております。
ディスクブレーキの開発においても、高性能車両向け、環境対応、自動運転への対応、更には新構造ブレーキの開発取り組みを軸に開発に注力しております。
高性能車両向けアルミ合金製対向型ブレーキにおいては、F1用ブレーキ開発で培った技術を盛り込み、製品化を実現しております。コスト競争力を向上させつつ、新規開発へのリソースの配分を確保する事によって、差別化製品を提供してまいります。
環境に配慮した製品開発に対しても、車の燃費向上の観点から革新的な軽量化と引き摺り低減に取り組んでおります。自動運転に対応する為の電動化技術として、パーキングブレーキ機構を電動化した電動パーキングブレーキ製品及びサービスブレーキ機構も電動化した電動サービスブレーキ製品の技術開発を進めております。また、電動パーキングブレーキにおいては、量産立上げに向けた事業化準備も併せて展開しております。
ブレーキの基本構造を新たに開発した新構造ブレーキ開発も進めております。従来製品に対して、ブレーキが安定するほか、大幅な軽量化も狙っております。この開発を軸に低燃費車や電気自動車(EV)へのシフトに対応してまいります。
次世代コンセプトブレーキ開発として、摩擦ブレーキとは大きく異なる構造を持つMR流体(Magneto Rheological Fluid)を用いた新発想のブレーキの開発を展開しております。応答性、コントロール性向上、摩耗粉ゼロ・鳴き振動制御による低環境負荷・快適性の追求、構造設計・軽量素材による小型・軽量化を研究開発戦略として取り組んでおります。
また、グローバルでの供給を更に強化させる為、技術面とコスト面のベンチマークを徹底して行い、使用地域の独自性や使用状況に応じた製品造りへの技術開発を進めております。
㈱曙ブレーキ中央技術研究所においては、低環境負荷物質削減、脱枯渇資源・戦略物資、安全・快適性向上技術などの追求を中長期主要課題と捉え、課題解決技術の研究/開発に取り組んでいます。
環境負荷低減、脱枯渇資源に関してはセルロース、リグニン等の植物由来材料の利用拡大、安全・快適性向上に関しては有機、無機機能性材料の創製技術をベースとした摩擦材の機能向上、ブレーキの鳴き、振動抑制に向けた要素技術開発、過去の評価や特性データを活用したAIによる製品開発などに取り組んでおります。
今後も中長期を見据えた研究開発に取り組み、他社との差別化、優位性確保を図っていきます。
(北米)
北米自動車メーカー向けはもとより、グローバルなニーズに対応できる製品開発に取り組んでおります。日系自動車メーカー向けにおいても、開発から量産までの現地完結型開発を展開しております。国内開発拠点との緊密な連携により、グローバルでの連携を一段と進めております。米国ワシントン州を含む複数の州で条例化された環境規制に対応した、乗用車からピックアップトラック用まで高性能で音・振動特性に優れた材料開発を行っております。ブレーキの機構開発に関しては、新構造ブレーキ開発、電動ブレーキ開発を日本と連携しながら進めております。(欧州)
欧州における摩擦材開発に関しては、フランスの研究開発拠点を中心に、高速でのブレーキ特性に対応する高性能(効き、ジャダー)及び、音・振動特性など、環境規制の厳しい欧州市場に適合する摩擦材から日米市場向け輸出欧州車に適合する摩擦材まで幅広いお客様ニーズに対応できる開発を行っております。日系のお客様のみならず、欧州市場でのお客様に対する摩擦材の開発、生産の供給体制を整えております。現地調達原材料による材料の共通化により、コスト競争力の強化を目的とした開発も進めております。上記のほか、ドイツに開発機関(現地法人)を置き、よりお客様に密接したディスクブレーキ適用開発を進めております。
(中国)
新興国市場のニーズに合わせた製品を提供するため、現地のお客様の声を反映させた製品の開発・設計を進めております。摩擦材においては、部品・原材料の現地調達化と現地の環境に適したつくり方により、新興国市場で通用するコストと性能特性を有する製品開発を行っております。ディスクブレーキにおいては、中国市場のお客様の要求や使われ方を調査・分析し、必要な機能・性能を低コストで提供できる製品の開発と提案を行っております。
(タイ)
タイのブレーキ開発拠点を軸に、成長著しいASEAN諸国のニーズを的確につかむためのブレーキ評価を基軸とした開発活動を推進してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,991百万円であり、この他に日常的な改良に伴って発生した研究開発関連の費用は4,981百万円であります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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