有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100J0NG (EDINETへの外部リンク)
三菱自動車工業株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると経営者が認識しているリスクには以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内外の経済情勢及び社会情勢の影響
当社グループの前連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、日本の他、アセアン、オセアニア、北米、欧州等の各国で事業を展開しています。これらの地域で政治・経済情勢及び社会情勢が急激に変化し、当社の想定した範囲を超えて自動車需要が大きく悪化した場合、当社グループが掲げる経営戦略や事業計画の達成が困難となり、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、海外市場における事業展開には突発的な法制・税制・規制等の変更やテロ等の非常事態、この度の新型コロナウイルス感染症拡大のような伝染病の流行といった事前想定が困難なリスクも内在しており、当該リスクが顕在化することで、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)自動車業界の競争激化の影響
自動車業界では、足許の総需要の低迷、次世代技術開発競争の進展、異業種からの参入や新興企業の台頭などを背景に、世界的な規模で競争が熾烈化しています。当社グループは、主力地域であるアセアンを中心に、得意とするピックアップやSUVなどの魅力ある製品を投入することで販売台数やマーケットシェアの維持拡大に努めていますが、今後、顧客のニーズに即した新製品が適時・適切に提供できない場合や、競争力の維持拡大に向けた施策を効果的に講じることが出来ない場合などにおいて、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害や事故、感染症等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。これらは発生可能性が高く当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき事業継続計画・災害対策の取組整備を進めております。また、新型コロナウイルス対策の教訓からBCM委員会を新設し、今後の新たな脅威に備える体制としております。但し、想定を超える規模で発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4)法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合、改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じるなどの場合には当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動は、上述の法規制以外にも、内外の広範な法令の適用を受けております。例えば、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法、贈収賄防止法などの制約の下にあります。当社グループの事業は、場合によっては、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、又は包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。
これらの法令リスクに対応するため、当社グループは、法令等の遵守体制を整え、各担当部門が未然防止の対策を講じております。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える悪影響が発生する可能性を低減するよう努めております。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っております。市況変動については、アナリストなどの情報を元に先行き見通しを可能な範囲で予測を行い、当社収益への影響を織り込むようにしておりますが、需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替変動の影響
円と外国通貨の為替相場が変動すると、外貨建資産(売掛金等)や外貨建負債(買掛金等)の価値が増減し、円ベースの損益が変動します。円高になると外貨建債権の価値は低下し、円安になると増加します。外貨建負債ではその逆となります。海外売上高比率は約8割を占める当社グループでは米ドル、ユーロ、豪ドル等の外貨建債権を有しております。更にタイ子会社にてグローバルでの輸出生産を行っており、タイバーツを中心に外貨建債務も有しております。2019年度は、前連結会計年度比、ユーロ、豪ドルに対し、それぞれ7円、6円の円高となったこと、更には外貨建債務のタイバーツ高要因も加わり、合計451億円の連結営業利益悪化要因となりました。
現在、インドネシア生産車の輸出、タイ生産車の現地販売拡大等、為替影響低減のために必要な措置を適宜進め、中長期的に為替相場変動の影響削減に取り組んでおりますが、引き続き大幅な為替変動が当社グループの経営成績や事業計画の実現に大きく影響する可能性がある状況です。
(7)計画前提と現実との相違等により中期経営計画における目標を達成できない場合の影響
中期的な事業戦略である中期経営計画は、策定時点で当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいて作成しておりますが、経済・社会情勢の変化など本項記載の他のリスクが顕在化した場合、また、そういった前提の変動に対して当社グループが適切な施策を講じることが出来ない場合などにおいて、中期経営計画における目標を達成することができない可能性や当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年度を起点とする次期中期経営計画は現在策定中であります。
(8)製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
経営への影響を低減するために、製品品質の改善については市場からの情報に基づき関連部門が連携して迅速に原因究明及び対策を実施すること、また、潜在リスクの検証を適切に行うことに努めています。
(9)訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、また規制当局による法令順守に関する調査の対象となり、それらの結論によっては、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造物責任に関する損害賠償請求又は訴訟において原告側が勝訴した判決による債務及び訴訟費用について、製造物責任保険で十分にカバーできるような保険に加入していますが、当社の想定を越えた内容の判決が出た場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
個別の訴訟等について、当社は、2010年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されております。本訴訟につき、2010年10月26日に第一審裁判所、2012年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決がありましたが、原告がこれに対し、2012年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中であります。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断しております。
また、2020年1月21日に、当社のドイツ国内の研究開発拠点であるMitsubishi Motors R&D Europe GmbH及び販売拠点であるMMD Automobile GmbHが、同国フランクフルト検察の立入調査(以下「本立入調査」)を受けました。本立入調査は、欧州における排ガス規制「ユーロ5b」の2.2リットルディーゼルエンジン、および「ユーロ6b」の1.6リットルディーゼルエンジンと2.2リットルディーゼルエンジン(いずれも生産は終了)を搭載した乗用車を対象としたものであり、これらのエンジンによる窒素酸化物(NOx)の排出量を、認証試験で用いられる台上試験においてのみ規制値に適合させることを意図した、いわゆる「デフィートデバイス」をエンジンに装備した疑いがあるとされております。
当社は、社内調査を行うとともに、前記検察の調査に全面的に協力しております。
(10)特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しております。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがあります。また特別な技術を要する部品等については、提供できる調達先が限定されることがあります。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社製品の生産停止やコストの増加をもたらし、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
またこれらのリスクは、一次調達先、及び二次以降の調達先における予期せぬ事由の他に、自然災害やテロ等の非常事態、伝染病の流行などの影響により顕在化する可能性があります。この為当社グループは一次調達先と連携し、一次調達先、及び二次調達先以降を含むサプライチェーン情報の収集・更新していくことで、これらリスクが顕在化した際に迅速に対応し、この影響を抑えるように努めております。
(11)顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、販売業者や、販売金融事業による顧客・リース先等の取引先の信用リスクを有しております。
販売業者等の取引先については、カントリーリスクや取引先の財務状況に対する継続的な評価を行い適切な債権保全を図ることで、信用リスクの抑制に努めており、また、販売金融事業においては、独自の審査・回収管理を行うことで、破綻の発生並びに回収不能額の抑制に努めておりますが、外部環境等の悪化に伴い、かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売することや、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、当社グループによる予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品及びサービス等に利用する情報技術及びネットワークやシステムは、委託先によって管理されているものを含め、多岐にわたります。コネクティッドサービスやIoT技術の進展を踏まえ、当社グループは、ハードウェア及びソフトウェアの安全管理対策を実施しております。それにも関わらず、社外からのサイバー攻撃や当社グループ内部若しくは委託先での管理不備ないし人為的な過失により、当社技術情報等の機密情報・個人情報等の漏えい、重要な業務やサービスの停止、不適切な事務処理、又は重要データの破壊・改ざん等が発生する可能性があります。このような事態が起きた場合、当社グループのブランド・イメージや社会的信用の低下、法的請求、訴訟、賠償責任、制裁金又は罰金の支払義務が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(14)気候変動の影響
産業革命以降の世界の気温上昇を受けて、2015年にパリ協定が採択され、世界全体で平均気温の上昇を抑える努力をするように定められました。
当社は、当社グループ全体の環境に関する中長期的な取り組み方針を「環境ビジョン2020」で定めております。また、2018年にはマテリアリティ(重要課題)を特定し、気候変動・エネルギー問題への対応を最重要課題の一つに掲げ、排出ガスの少ない自動車や電気自動車の開発、事業所での省エネ活動、再生可能エネルギーの活用促進などに努めております。
気候変動が進行した場合、気象災害による工場の操業停止や、自動車の排出ガスに含まれる二酸化炭素量に関する規制強化に対応する投資などにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、気候変動に対する十分な対策を行わなかった場合、環境規制不適合による市場からの撤退やレピュテーションの低下により当社の売上高が減少するとともに、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)国内外の経済情勢及び社会情勢の影響
当社グループの前連結会計年度売上高に占める海外売上高比率は約8割であり、日本の他、アセアン、オセアニア、北米、欧州等の各国で事業を展開しています。これらの地域で政治・経済情勢及び社会情勢が急激に変化し、当社の想定した範囲を超えて自動車需要が大きく悪化した場合、当社グループが掲げる経営戦略や事業計画の達成が困難となり、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、海外市場における事業展開には突発的な法制・税制・規制等の変更やテロ等の非常事態、この度の新型コロナウイルス感染症拡大のような伝染病の流行といった事前想定が困難なリスクも内在しており、当該リスクが顕在化することで、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)自動車業界の競争激化の影響
自動車業界では、足許の総需要の低迷、次世代技術開発競争の進展、異業種からの参入や新興企業の台頭などを背景に、世界的な規模で競争が熾烈化しています。当社グループは、主力地域であるアセアンを中心に、得意とするピックアップやSUVなどの魅力ある製品を投入することで販売台数やマーケットシェアの維持拡大に努めていますが、今後、顧客のニーズに即した新製品が適時・適切に提供できない場合や、競争力の維持拡大に向けた施策を効果的に講じることが出来ない場合などにおいて、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)自然災害や事故、感染症等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。これらは発生可能性が高く当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき事業継続計画・災害対策の取組整備を進めております。また、新型コロナウイルス対策の教訓からBCM委員会を新設し、今後の新たな脅威に備える体制としております。但し、想定を超える規模で発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4)法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合、改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じるなどの場合には当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの事業活動は、上述の法規制以外にも、内外の広範な法令の適用を受けております。例えば、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、環境保護規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法、贈収賄防止法などの制約の下にあります。当社グループの事業は、場合によっては、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、又は包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。
これらの法令リスクに対応するため、当社グループは、法令等の遵守体制を整え、各担当部門が未然防止の対策を講じております。さらに、コンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える悪影響が発生する可能性を低減するよう努めております。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループの社会的信用や評判に悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っております。市況変動については、アナリストなどの情報を元に先行き見通しを可能な範囲で予測を行い、当社収益への影響を織り込むようにしておりますが、需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)為替変動の影響
円と外国通貨の為替相場が変動すると、外貨建資産(売掛金等)や外貨建負債(買掛金等)の価値が増減し、円ベースの損益が変動します。円高になると外貨建債権の価値は低下し、円安になると増加します。外貨建負債ではその逆となります。海外売上高比率は約8割を占める当社グループでは米ドル、ユーロ、豪ドル等の外貨建債権を有しております。更にタイ子会社にてグローバルでの輸出生産を行っており、タイバーツを中心に外貨建債務も有しております。2019年度は、前連結会計年度比、ユーロ、豪ドルに対し、それぞれ7円、6円の円高となったこと、更には外貨建債務のタイバーツ高要因も加わり、合計451億円の連結営業利益悪化要因となりました。
現在、インドネシア生産車の輸出、タイ生産車の現地販売拡大等、為替影響低減のために必要な措置を適宜進め、中長期的に為替相場変動の影響削減に取り組んでおりますが、引き続き大幅な為替変動が当社グループの経営成績や事業計画の実現に大きく影響する可能性がある状況です。
(7)計画前提と現実との相違等により中期経営計画における目標を達成できない場合の影響
中期的な事業戦略である中期経営計画は、策定時点で当社グループが合理的であると判断する一定の前提に基づいて作成しておりますが、経済・社会情勢の変化など本項記載の他のリスクが顕在化した場合、また、そういった前提の変動に対して当社グループが適切な施策を講じることが出来ない場合などにおいて、中期経営計画における目標を達成することができない可能性や当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年度を起点とする次期中期経営計画は現在策定中であります。
(8)製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
経営への影響を低減するために、製品品質の改善については市場からの情報に基づき関連部門が連携して迅速に原因究明及び対策を実施すること、また、潜在リスクの検証を適切に行うことに努めています。
(9)訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、また規制当局による法令順守に関する調査の対象となり、それらの結論によっては、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造物責任に関する損害賠償請求又は訴訟において原告側が勝訴した判決による債務及び訴訟費用について、製造物責任保険で十分にカバーできるような保険に加入していますが、当社の想定を越えた内容の判決が出た場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
個別の訴訟等について、当社は、2010年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されております。本訴訟につき、2010年10月26日に第一審裁判所、2012年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決がありましたが、原告がこれに対し、2012年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中であります。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断しております。
また、2020年1月21日に、当社のドイツ国内の研究開発拠点であるMitsubishi Motors R&D Europe GmbH及び販売拠点であるMMD Automobile GmbHが、同国フランクフルト検察の立入調査(以下「本立入調査」)を受けました。本立入調査は、欧州における排ガス規制「ユーロ5b」の2.2リットルディーゼルエンジン、および「ユーロ6b」の1.6リットルディーゼルエンジンと2.2リットルディーゼルエンジン(いずれも生産は終了)を搭載した乗用車を対象としたものであり、これらのエンジンによる窒素酸化物(NOx)の排出量を、認証試験で用いられる台上試験においてのみ規制値に適合させることを意図した、いわゆる「デフィートデバイス」をエンジンに装備した疑いがあるとされております。
当社は、社内調査を行うとともに、前記検察の調査に全面的に協力しております。
(10)特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しております。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがあります。また特別な技術を要する部品等については、提供できる調達先が限定されることがあります。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社製品の生産停止やコストの増加をもたらし、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
またこれらのリスクは、一次調達先、及び二次以降の調達先における予期せぬ事由の他に、自然災害やテロ等の非常事態、伝染病の流行などの影響により顕在化する可能性があります。この為当社グループは一次調達先と連携し、一次調達先、及び二次調達先以降を含むサプライチェーン情報の収集・更新していくことで、これらリスクが顕在化した際に迅速に対応し、この影響を抑えるように努めております。
(11)顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、販売業者や、販売金融事業による顧客・リース先等の取引先の信用リスクを有しております。
販売業者等の取引先については、カントリーリスクや取引先の財務状況に対する継続的な評価を行い適切な債権保全を図ることで、信用リスクの抑制に努めており、また、販売金融事業においては、独自の審査・回収管理を行うことで、破綻の発生並びに回収不能額の抑制に努めておりますが、外部環境等の悪化に伴い、かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売することや、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、当社グループによる予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(13)情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品及びサービス等に利用する情報技術及びネットワークやシステムは、委託先によって管理されているものを含め、多岐にわたります。コネクティッドサービスやIoT技術の進展を踏まえ、当社グループは、ハードウェア及びソフトウェアの安全管理対策を実施しております。それにも関わらず、社外からのサイバー攻撃や当社グループ内部若しくは委託先での管理不備ないし人為的な過失により、当社技術情報等の機密情報・個人情報等の漏えい、重要な業務やサービスの停止、不適切な事務処理、又は重要データの破壊・改ざん等が発生する可能性があります。このような事態が起きた場合、当社グループのブランド・イメージや社会的信用の低下、法的請求、訴訟、賠償責任、制裁金又は罰金の支払義務が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(14)気候変動の影響
産業革命以降の世界の気温上昇を受けて、2015年にパリ協定が採択され、世界全体で平均気温の上昇を抑える努力をするように定められました。
当社は、当社グループ全体の環境に関する中長期的な取り組み方針を「環境ビジョン2020」で定めております。また、2018年にはマテリアリティ(重要課題)を特定し、気候変動・エネルギー問題への対応を最重要課題の一つに掲げ、排出ガスの少ない自動車や電気自動車の開発、事業所での省エネ活動、再生可能エネルギーの活用促進などに努めております。
気候変動が進行した場合、気象災害による工場の操業停止や、自動車の排出ガスに含まれる二酸化炭素量に関する規制強化に対応する投資などにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、気候変動に対する十分な対策を行わなかった場合、環境規制不適合による市場からの撤退やレピュテーションの低下により当社の売上高が減少するとともに、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
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