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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IB70

有価証券報告書抜粋 キヤノン株式会社 研究開発活動 (2019年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。
1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。
2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。
3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、スタートアップとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。
ボストンに拠点を置くヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携し、超小型ファイバー内視鏡や画像誘導ナビゲーションソフトと穿刺ロボットで構成される穿刺補助システムなどの製品化に向けた開発を進めています。CMSCにおいては、AI技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応に関して、熊本大学及びボルドー大学との共同研究を進めています。また、キヤノングループと京都大学iPS細胞研究所は高品質な自己由来iPS細胞の実現に向けた共同研究を開始しました。
開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、298,503百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。

Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE Gen3 3rd Edition」シリーズが、不正プログラムの実行を防ぐ「起動時のシステム検証」と「ランタイムシステム保護」機能を新たに搭載します。さらに、大企業を中心に導入が進んでいるIT機器セキュリティー管理システム(SIEM)へ複合機の操作履歴などのログ情報を転送する機能を搭載し、脅威が生じた場合、管理者はSIEMから通知を受け取ることが可能です。業務を効率化する機能とともにセキュリティー機能を大幅に強化したことにより、多様化する脅威に対して多層的な防御を実現し、より安全なオフィス環境の構築に貢献します。
商業印刷向け大型複合機においては、「imagePRESS C165」が、新たに開発した紙搬送技術により高い表裏見当精度※1を実現し、大量印刷時にも用紙の種類やサイズを問わず、印字位置のずれを抑制します。また、毎分65枚(A4ヨコ)の高い生産性を有しており、パンフレットや名刺、ポスターなどの制作作業の効率化を図ることができます。
レーザープリンターにおいては、A3カラーレーザープリンターにおけるクラス最小サイズの「Satera LBP853Ci」をはじめとした「Satera」シリーズが、用途や業種にあった機能やサービスを組み合わせることで、一般オフィスに加え、流通・小売、医療・調剤など特定業務のニーズにも応じた業務の効率化に貢献します。
デジタル連帳プリンターにおいては、UVインクジェット方式の高速デジタルラベルプレス「Océ LabelStream 4000」シリーズにて、品質、パフォーマンス、高密度の3つの異なる印刷モードを提供します。品質モードでは高品位の印刷で毎分50mの高い生産性を実現、パフォーマンスモードでは1時間あたり最大1,845㎡の業界トップの生産性を実現します。また、高密度モードでは長時間のセットアッププロセスに代わるコスト効率の高い代替手段を提供します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、83,557百万円であります。

※1 両面印刷における表面と裏面の印刷位置精度のこと。


Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から16年連続で台数シェアNo.1※2を達成しました。また、レンズ交換式カメラEOSシリーズが2019年9月20日に累計生産台数1億台※3を達成することができました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。




新たなイメージングシステムである「EOS Rシステム」においては、キヤノンのレンズ交換式カメラEOSシリーズのフルサイズセンサー搭載モデルにおいて、最小・最軽量を実現した「EOS RP」や、フルサイズセンサー搭載のレンズ交換式カメラ用焦点距離70-200mm、開放F値2.8のレンズとして、世界最短・最軽量※4を実現した「RF70-200mm F2.8L IS USM」など「RFレンズ」6機種をラインアップに拡充し、「EOS RP」、「RF50mm F1.2 L USM」、が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2019」※5、及び「EISA アワード 2019-2020」※6の両賞を受賞しました。革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点で選定されました。
インクジェットプリンターにおいては、カラー複合機の「G7030」、モノクロ複合機の「GM4030」が、特大容量タンク「GIGA TANK」を搭載し、大量給紙などにより高生産性と高画質印刷を実現します。今後、「GIGA TANK」搭載モデルのラインアップを拡充し、幅広いユーザーのプリントニーズに応えていきます。また、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TA」シリーズを新たに展開します。ハイエンドモデルのコア技術を継承し、高画質プリントを実現します。また、内部構造の見直しやカッター性能の向上などにより静音化を図り、印刷時に発生する稼働音約42dbを達成しています。さまざまな印刷用途に一台で対応できるコストパフォーマンスに優れた本シリーズを投入することで、幅広い大判プリントニーズに応えます。
当事業セグメントに係る研究開発費は、73,087百万円であります。

※2 2019年3月現在(当社調べ)。
※3 映像制作用のシネマカメラを含む。
※4 世界最短はレンズ収納時。2019年10月現在(当社調べ)。
※5 2019年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より25年連続受賞、他に「EF400mm F2.8L IS Ⅲ USM」、「EF-M32mm F1.4 STM」が同時受賞。
※6 2019年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (29カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約55誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より31年連続受賞、他に「EF600mm F4L IS Ⅲ USM」、「RF24-105mm F4 L IS STM」、「RF28-70mm F2 L USM」が同時受賞。


Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニット
CT装置においては、新たなデュアルエナジー技術「Spectral Imaging System」をエリアディレクターCTに搭載可能となりました。これは1回のスキャンにおいて高低2種の管電圧を高速で切り替えての撮影及び、自動照射制御との併用が可能な独自の撮影技術「Spectral Scan」とディープラーニングを用いて設計された画像再構成法である「Spectral Reconstruction」から構成されます。従来のCT画像と比べ、アーチファクトの低減やコントラスト向上等の画質改善効果が得られるとともに、仮想単色X線画像の作成※7や、様々な物質の弁別が可能となります。
MRI装置においては、3テスラ「Vantage Centurian」が、AIを用いて設計したノイズ除去再構成技術「Advanced intelligent Cleer-IQ Engine(AiCE)」を世界で初めて搭載しました。ディープラーニングによって、ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性を予め解析しモデル化させることで、新たに得られた画像からノイズ成分のみを選択的に除去することが可能です。また、新たな圧縮センシング応用技術をはじめとする撮像の高速化技術を搭載し、高画質化と高速化を両立します。これにより、高分解能の画像診断が可能になり、高い臨床的価値を提供するとともに、検査時間の短縮化により患者さんの負担を軽減します。
眼科機器においては、ディープラーニング技術を用いて設計した独自の新画像処理技術「Intelligent denoise」を「OCT-A1」に搭載しました。眼底の血管形態を描出したOCTA※8画像からノイズを除去し、血管の細部まで可視化された高精細OCTA画像の生成が可能です。加えて、高性能GPUを搭載することで画像処理時間を高速化し、患者さんや医療従事者の負担を軽減します。また、この上位機種である「OCT-S1」には、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角撮影を実現します。広範囲かつ深部に至るまでの画像を一度の撮影でとらえることが可能となり、大学病院や専門性の高い眼科医療施設での研究や診断に貢献します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、38,762百万円であります。

※7 2つの異なるX線管電圧の投影データから仮想的に算出される単色X線相当の画像。
※8 Optical Coherence Tomography Angiographyの略。


Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置においては、レンズの刷新と多様なウエハーに対応した搬送システムを組み合わせたi線ステッパー「FPA-3030iWa」により、シリコンウエハーだけでなく、電気自動車に使われるパワーデバイスや5Gへの移行により需要の拡大が見込まれる通信デバイスなどに用いられる化合物半導体のウエハーも搬送できるようになりました。
ネットワークカメラにおいては、ディープラーニング技術を用いて群衆人数を算出する映像解析技術を開発しました。この技術はネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウエアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況でも、人数をカウントすることができます。また、指定した領域の中にいる人数の表示や、推移のグラフ表示ができるため、混雑状況の把握や分析に活用することができます。これにより、都市や公共施設、スタジアムなどの監視、イベント会場や店舗での集客状況の把握、広告効果の検証など、様々な用途での導入に期待されます。
デジタルシネマカメラにおいては、5.9Kフルサイズセンサーと新開発の映像処理プラットフォームを搭載した「EOS C500 MarkⅡ」が、最大で15+ストップの広いダイナミックレンジの実現により、明暗差の大きい環境でも、高画質な映像を撮影することが可能です。また、高速処理が可能な新開発の映像処理プラットフォーム「DIGIC DV7」の搭載により5.9KRAW/60P及び4K/60P記録を実現しているほか、2K/120P記録が可能です。
宇宙関連分野においては、キヤノンの新高感度CMOSセンサーを84台搭載した、東京大学木曽観測所の新観測システム「トモエゴゼン」が本格稼働を開始しました。「トモエゴゼン」の広視野動画カメラで使用されているのは、キヤノンの35mmフルサイズ超高感度CMOSセンサーです。このCMOSセンサーを84台並べることにより、合計すると約1億9,000万画素で、20平方度※9の超広視野を動画で観測することが可能です。これからもイメージングのリーディングカンパニーとして培ってきた技術力を生かして、科学技術の発展に寄与していきます。
映像ソリューションにおいては、「自由視点映像生成システム」がカメラ配置や撮影方法の改善、画像処理アルゴリズムとハードウエアの改良による画質の向上や映像生成時間の短縮など技術進化を遂げました。ラグビーワールドカップ2019TM においては、7試合において自由視点映像を撮影し、ハイライトシーン映像を提供しました。
当事業セグメントに係る研究開発費は、82,837百万円であります。

※9 天文学において、空の広さを表すために用いられる単位。20平方度は満月84個分の領域に相当。

また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は20,260百万円であります。

注:製品名は日本国内での名称です。


事業等のリスク株式の総数等


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