有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IXRR (EDINETへの外部リンク)
株式会社リコー 研究開発活動 (2020年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
この理念に基づき、当社グループは、第19次中期経営計画(2017年4月-2020年3月:以下、19次中計)において「リコー再起動」(2017年度)、「リコー挑戦」(2018年度~2019年度)を掲げ、成長戦略に立脚した技術戦略に基づく研究開発活動を推進してきました。
■成長戦略を支える技術開発の強化
「リコー挑戦」の最終年度となる2019年度においてはCTO(Chief Technology Officer)を配置することで、技術面だけでなく経営面からも当社グループ全体の成長と発展にむけた技術戦略を立案し、下記3つの戦略に即し技術基盤の整備・強化を行ってきました。
成長戦略0:これまで基盤事業としてきたオフィスプリンティング領域において、複合機の更なる進化、お客様のワークフロー改善、業務生産性向上を目指した技術開発に取り組んできました。
成長戦略1:当社の強みである電子写真、インクジェット、サーマル技術などを生かして紙媒体以外への印刷、表示する印刷から機能する印刷へと可能性を広げるための取り組みを外部技術も取り入れながら強化しております。
成長戦略2:これまでに培った約140万社の顧客基盤に新たな付加価値を乗せていくために、現場のワークフローのデジタル化に着手し、データ・画像のキャプチャリング技術や、画像処理技術をクラウド上で活用する取り組みを行っております。
第20次中期経営計画(2021年4月~2023年3月)からは当社グループの新たなステージとなる「リコー飛躍」を掲げ、従来のOAメーカーという枠組みを超えて「デジタルサービスの会社」へ企業価値を拡大し、人々のはたらく歓びを支援し、ワークプレイスを変化させていくサービスを提供するための技術開発をバックキャスト、フォアキャスト両視点から強化していきたいと考えております。
■新たな可能性につながる事業創発
一方 “新たな可能性につながる事業創発”に貢献する取り組みも進めております。成長戦略を支える技術開発のほか、これまでに培った材料技術、プロセス技術、インクジェット技術等のコア技術を応用し、ヘルスケア、AM(Additive Manufacturing)、環境分野など将来の成長に向け、広く社会に貢献していく技術開発・研究開発の取り組みを行っております。
当社グループでの研究開発の進め方としては、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調査・探索、研究・技術開発を行っております。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンスセンターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お客様と一体となった価値共創活動を展開しております。
さらに当社グループでは、大学・研究機関、企業の力を積極的に活用し、最先端技術の開発を効率的に進めております。インクジェット技術やマシンビジョン、画像処理技術などのコア技術を応用して、国が支援する最先端研究開発支援プログラムや大学、各種独立行政法人との共同研究開発へも積極的に参画しております。また、ベンチャー企業ともより良い関係を構築し、新規事業創出の加速を図っております。
2019年度は新規事業創出に向けた取り組みとして、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指す「RICOH ACCELERATOR 2019」を開始。社内外からそれぞれ100件以上、合計214件の応募の中からコンテストを実施し、選出された優秀なテーマには当社グループ内に登録されている約200名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用可能とし、チャレンジする人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。
また2019年度は、エリクサジェン・サイエンティフィック社(iPS細胞やES細胞をさまざまな細胞へ分化誘導が可能な技術を保有)、ドキュウェア社(企業のドキュメント管理やワークフローの自動化を支援するクラウド型・オンプレミス型CSP,Contents Service Platformのシステムを保有)、等の外部企業との提携、M&Aを行っております。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費(14,629百万円)を含む当連結会計年度の研究開発投資は 102,851百万円です。
(1) オフィスプリンティング分野
オフィス向け複合機やプリンターの電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウエア技術、オフィスソリューションを支えるアプリケーション技術の開発、環境負荷低減に向けた3R(リデュース、リユース、リサイクル)設計・技術開発を行っております。
また、昨今のクラウドサービス市場拡大に伴い、時間や場所の制約を受けずに働く環境が整備されてきており、働き方改革に代表されるようにワークプレイスが変化しつつあります。こうした環境を受け、オフィスサービス事業との連携により、クラウド型の統合プラットフォーム「RICOH Smart Integration」につながる親和性の高いオフィス機器を提供し、多様に変化するお客様のワークプレイスの生産性向上をサポートします。
また情報のデジタル化が進む中、中小企業では請求や受発注などの企業間取引において、いまだに紙文書による業務が多く残っており、人手を介して紙文書の情報をデジタル化する業務が生産性向上の障壁となっております。当社グループは、新世代複合機「RICOH IM Cシリーズ」などを、紙文書の情報をデジタルデータ化するためのゲートウェイとして活用し、さまざまなクラウドサービスとの連携を進めることで、業務のデジタル化・自動化・省力化を推進しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
A4モノクロ複合機/プリンターのラインアップを一新
~省スペースながら、業務効率を大幅に向上~
A4 モノクロ複合機「RICOH IP 500SF」を新発売
・高生産性を実現
・使いやすさを追求し、優れた操作性を実現
・お客様の業務をサポートする幅広い用紙対応力
・徹底した省エネ設計により、優れた環境性能を実現
・コンパクトボディに多彩な機能を搭載
A4 モノクロプリンター「RICOH P 501/501M/500/500M」を新発売
・高生産性と高耐久性を実現
・機器管理の負荷を軽減
・設置場所を選ばないコンパクト設計
・お客様の業務をサポートする幅広い用紙対応力
・使いやすさを追求し、優れた操作性を実現
・徹底した省エネ設計により、優れた環境性能を実現
新世代 A4 モノクロ複合機「RICOH IM 430F」を新発売
~組織生産性を革新するソリューション「RICOH Intelligent WorkCore」のラインアップを強化~
・コンパクトボディに多彩な機能を搭載
・高生産性を実現
・使いやすさを追求し、優れた操作性を実現
・お客様の業務をサポートする幅広い用紙対応力
・徹底した省エネ設計により、優れた環境性能を実現
どこでも印字できるハンディサイズのプリンター「RICOH Handy Printer」を新発売
~製造業や小売業、物流業など、さまざまな現場で活用できる新感覚プリンター~
・書きたい場所へ手軽に印字
・持ち運びに便利な手のひらサイズ
・QR コードやバーコード、画像の印刷が可能
・SDK(Software Development Kit, ソフトウエア開発キット)を公開
A4 カラーレーザープリンター/複合機「RICOH P C301 シリーズ」を新発売
~コンパクトボディながら高生産性を実現~
・使いやすさを追求した操作性
・多様なインターフェイスにより幅広い印刷手段に対応
・優れた環境性能により、環境負荷低減に寄与
A4 デジタルフルカラー複合機「RICOH IM C300」を新発売
~最新のクラウドサービスに対応したコンパクトな複合機で業務効率化に貢献~
・高い生産性でオフィス業務を効率化
・クラウド対応による拡張性とセキュリティ機能
・コンパクトな設計により狭小スペースにも設置可能
・ユーザーインターフェースの改善で使いやすさを向上
・出力機器のリモート管理サービスに対応
A3 モノクロレーザープリンターのラインアップを一新
「RICOH P 6030/6020/6010/6000 シリーズ」を新発売
~使いやすさと対応力で、業務効率を大幅に向上~
・コンパクトボディで、高生産性と高耐久性を実現
・幅広い用紙対応力により、お客様の業務をサポート
・使いやすさを追求し、優れた操作性を実現
・機器管理の負荷を軽減
・徹底した省エネ設計により、優れた環境性能を実現
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 41,694百万円です。
(2) オフィスサービス分野
近年、コミュニケーションや働き方が変わりつつある中、リモートワークを支援するSaaS型のクラウドサービスやモバイルサービスを活用した、時間や場所にとらわれない多様な働き方が求められております。一方、紙を中心としたワークフローにおいてはデジタル化による業務の効率化やセキュリティの強化が求められております。
このような動向を捉え、当社グループは、クラウドサービスやモバイルサービスと親和性の高い複合機、IWB(インタラクティブホワイトボード)、「RICOH UCS (RICOH Unified Communication System)」などのテレビ・Web会議システム等、オフィス機器の提供や、それぞれの機器がつながりお客様がいつでも最新のサービスを利用することが可能な統合プラットフォーム「RICOH Smart Integration」を提供しております。お客様の働く環境をトータルにサポートすることで、お客様の生産性向上、多様な働き方に寄与する価値提供を目指します。
パートナーとの連携もより一層強化し、当社の強みである顧客接点力やこれまで培ってきた技術・ノウハウと組み合わせることで、新たな価値を創造します。そして、オフィスと現場をデジタルでつなぐデジタルビジネスを推進し、“はたらく”をよりスマートにすることで、お客様のさらなる成長を支援してまいります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
ドキュウェア社CSPと当社製複合機・クラウドプラットフォームを組み合わせてお客様のワークフローを改善
~中小企業の業務のIT化、自動化、省力化による生産性革新の支援をグローバルで強化~
・ドキュメント管理やワークフローの自動化を支援するクラウド型・オンプレミス型CSP(Contents Service Platform)を開発・販売するDocuWare GmbH(ドキュウェア社)の全株式を取得
・商品力やコンサルテーション能力などを活かし、当社製の複合機やクラウドプラットフォームを組み合わせ、ドキュメント関連のワークフロー全体を改善するビジネスをグローバルに拡大
・サブスクリプションサービスの提供・運用に関する豊富なノウハウを活かし、中小企業におけるクラウド活用を促進
製品外観検査の省力化・自動化を支援するデジタルソリューションをRidge-i社と共同開発へ
~お客様の生産性向上や売上・利益拡大、現場の働き方改革への貢献を目指す~
・画像AIソリューションのコンサルティング及び開発・提供を行う株式会社Ridge-iと資本業務提携
・当社の強みである光学技術とRidge-i社の強みである画像AI技術を組み合わせ、製品外観検査の省力化・自動化を支援するデジタルソリューションを共同で開発・提供
社会インフラ向け点検サービス「リコー 路面モニタリングサービス」の提供を開始
~当社独自の光学技術とAIで道路インフラの維持・管理の効率化に貢献~
・ステレオカメラ撮影による路面3次元画像と輝度画像から、一般的な道路維持管理指標である「ひび割れ率」「わだち掘れ量」「平たん性」をAI算出し、総合的な指標であるMCI(Maintenance Control Index)の算出が可能
・測定から報告書の作成までを自動実行することで道路インフラ維持管理を効率化
・一般車両を用いるため、計測装置の製作及び維持管理費用を大幅削減でき、かつ従来の大型専用車両では計測が困難であった生活道などの細い路線にも対応でき、点検対象の拡大にも貢献
一般車両搭載型トンネル点検システムが国土交通省の公共工事等における新技術情報提供システムNETIS(New Technology Information System)に登録
~わずかな調整のみでトンネル壁面を走行撮影し、点検調書作成を支援~
・当社独自の被写界深度拡大カメラによるラインセンサ型計測システムにより簡単にトンネル壁面の走行撮影が可能
・トンネル展開画像を基に点検調書作成を支援するソフトウエアによりスケッチや写真撮影の工数を低減
・一般車両に搭載可能かつ、計測システムだけの輸送も可能なコンパクトさを実現
問い合わせ対応業務を効率化するAI搭載チャットボット「RICOH Chatbot Service」を新発売
~専門的な知識がなくても導入・運用できる簡単操作を実現~
・総務や経理、人事、IT部門といった社内からの問い合わせ対応や、販売サポートにおける顧客対応など、様々な問い合わせ対応業務を効率化するAI(人工知能)搭載チャットボット(自動会話プログラムの機能を持つ対話ロボット)
・独自の言語認識技術により、日本語の揺らぎや類義語・同義語を自動で高精度に認識できることに加え、会社独自の言い回しを追加登録することで、より的確な対応も可能
中小企業における請求・会計業務のデジタル化と生産性革新への支援を加速
~メイクリープス社との共同開発でクラウド型請求管理サービスと基幹システムとの連携機能を強化~
・クラウド型請求管理サービス「MakeLeaps」と基幹システムとの連携機能を、連結子会社であるメイクリープス株式会社(代表取締役CEO:ジェイ・ウィンダー)との共同で開発
・「販売管理連携 商奉行」「会計連携 勘定奉行」「会計連携 PCA会計」を、当社の連結子会社であるリコージャパン株式会社が全国で販売する「MakeLeaps」のオプションとして提供
・販売管理連携では「MakeLeaps」からワンクリックでセキュリティを保った状態で請求書を電子送付することで、従来より紙の請求書を郵送していた業務の効率化、コスト削減を実現
・会計連携では「MakeLeaps」で発行した請求書に対応した仕訳データを自動的生成し、会計業務の負荷を軽減
デジタルサイネージ向け小型・軽量セットトップボックス「RICOH Digital Signage STB Type1」を新発売
~広がりをみせるサイネージ市場に向けてかんたん設置、安心品質を提供~
・クラウド型サイネージ配信サービス「リコーデジタルサイネージ」に対応
・幅46mm×奥行き85.4mm×高さ14.9mm、重さ85gと小型・軽量のため、同梱の専用ケースでディスプレイの背面や取り付け金具等に直接貼り付けることが可能
・UI(ユーザーインターフェース)の刷新及び機能追加を実施することで、オフィスサイネージ市場を中心にお客様へより便利で使いやすいデジタルサイネージサービスを提供
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 6,786百万円です。
(3) 商用印刷分野
当社グループは印刷業のお客様に向けて、性能面・価格面に強みをもつ商品とワークフローソリューションを組み合わせた提案を行い、「Offset to Digital」を実現するとともに、大手商用印刷のお客様の新規獲得を目指します。
また、POD(Print On Demand)市場ではファイブステーション(トナーの5色刷りができる)機械に代表されるように、新しい表現での高付加価値印刷を提供し、印刷業のお客様の競争力強化に貢献しております。
当社グループは商用印刷分野における電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウエア技術の開発に加え、全世界で展開する販売体制とサービス網、お客様の多様な印刷物を支える加工機ベンダーとの幅広いアライアンスという強みを生かし、印刷のトータルソリューションの提供を目指します。
また、東京工業大学と「リコー次世代デジタルプリンティング技術共同研究講座」を開設。商用・産業用インクジェット印刷のインク着弾からメディア浸透、乾燥までの熱流動・材料挙動の基礎現象を解明し、次世代製品の開発につなげることを目指します。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
モノクロプロダクションプリンターの新製品5機種7モデルを新発売
~生産性、用紙対応力の向上と省スペースの実現で幅広いニーズに対応~
・モノクロプロダクションプリンターの新製品として、コピー/スキャナー機能も搭載した「RICOH Pro 8320S/8310S/8300S」と、プリンター機能のみの「RICOH Pro 8320Y/8320HT/8310Y/8310HT」を新発売
・連続プリント速度136ページ/分(A4ヨコ)の高速出力に加え周辺機器の強化により、さらなる生産性の向上を実現
・ノーカーボン紙の自動両面印刷、長尺用紙のコート紙・厚紙対応、インサートフィーダーによるコート紙・厚紙対応などを実現したことで、お客様の多彩な印刷・製本ニーズに対応
・設置面積の省スペース化によりこれまで導入が難しかった学校やオフィスのお客様の大量印刷ニーズにも対応
プロダクションプリンターの最上位機種「RICOH Pro VC70000」、日本市場で新発売
~新開発インク、新乾燥技術によりオフセット印刷に迫る高画質・高生産性を実現~
・新開発の「タイプDインク」により、アンダーコートやプロテクトコートといった処理なしに、オフセットコート紙へダイレクトに印刷することが可能。幅広い種類のコート紙への印刷を実現
・アンダーコート塗布用の装置やサプライが不要となり、イニシャルコスト、ランニングコストの削減に貢献
・再現できる色域、印刷濃度も大幅に拡大し、オフセット印刷に迫る高画質を実現
・インク、エンジン、乾燥機の基本性能を高めたことでマシン全体の構成がシンプルになり、省スペースを実現
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 23,664百万円です。
(4) 産業印刷分野
産業用インクジェットヘッドに対するニーズは多様化しております。製品や用途開発が積極的に進んでおり、今後の成長が有望視されている分野です。当社グループは高耐久性とインク対応力を持つMHシリーズヘッドの開発により多様なアプリケーションへの対応力を強化しております。
プリンティング技術の可能性を拡げる分野として今後成長が見込まれるのが、インクジェットコンポーネントなどの作像システム、産業プリンターです。プロセスのデジタル化によって、少量・多品種・低コストでのオンデマンド印刷が可能となります。
特に、服飾や布地などに直接印刷するテキスタイル市場は今後の大きな市場成長が予測されております。当社グループの「デジタルマイクロファクトリー」構想は、生地の選定からデザイン、印刷、裁断、縫製、検品、梱包、出荷までのアパレル生産プロセスをデジタル化してつなぎ、一つの工場で完結、もしくは複数の拠点をあたかも一つの工場であるかのように結びつけることで、生地在庫や廃棄の低減、納期短縮、印刷工程での排水ゼロ化などを目指すものです。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
大判UVフラットベッドインクジェットプリンター「RICOH Pro TF6250」を欧米市場で新発売
~多品種小ロット生産や短納期、オリジナルデザインの印刷など、産業印刷市場の多様な顧客ニーズに対応~
・独自の高密着UVインクにより、ガラス、金属、木材など幅広い基材に印刷が可能
・12個のインクジェットヘッドにより64m2/hの高生産性を実現
・印刷できる媒体の厚さは最大11cmまで対応。さまざまな建材への印刷を実現
・簡易なメンテナンス性を実現
ロールメディア向けプリンター「RICOH Pro L5160/5130」を欧米市場で新発売
~様々なサイングラフィックス印刷のニーズに応え、お客様のビジネスを支援~
・高耐久・長寿命のインクジェットヘッド「RICOH MH5441」を搭載し、高生産性と高品質を実現
・低臭気かつ水性ベースでVOC(揮発性有機化合物)が極めて少ない独自開発のラテックスインクにより、特別な換気を必要とせず、環境負荷の低減に貢献
・ラテックスインクの高発色性・高密着性により、紙や布だけでなく塩ビやターポリン、PETなど幅広い基材の壁紙、バナー、ポスター、大型のサイネージ等を高画質で制作可能
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 6,685百万円です。
(5) サーマル分野
世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指します。
また、新規事業立ち上げを目指す「レーザーソリューション」では非接触で繰り返し書き換え可能な「リライタブル・レーザーシステム」を開発中で、人の手によるラベルの貼り替えを不要にし、人手不足が深刻な物流現場における省人化や、製造業における自動化の進展を目指しております。
さらに、生産ライン上で高速に可変情報の記録を行いたいという市場要求に対応した、レーザー記録方式である「FC-LDAプリンター」装置についてもサンプル機貸出可能なレベルまで開発を完了し、顧客への試験導入に向けて活動中です。
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 1,334百万円です。
(6) その他分野
産業用光学部品・モジュール、電装ユニット、精密機器部品、デジタルカメラ、3Dプリント、環境、ヘルスケア、金融サービス等に関わる当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
■産業用光学部品・モジュール分野
自動車業界を含む産業機器分野において、これまで培ってきた光学技術とIoT、AI、センサーなどの最先端技術を融合し、データ認識処理による情報変換を通じた情報の見える化により事業を展開し、多くのビジネスパートナーと共に社会課題の解決に努めております。
オートモーティブ事業では車の自動制御の補助をする車載ステレオカメラやヘッドアップディスプレイの開発を進めております。また産業機器分野では、様々な生産設備のインテグレーション、検査ラインの生産・販売を行っております。
ファナック製ロボドリル向け振動モニタリングシステムを新発売
~広い周波数帯域を検知し、さまざまな種類の異常検出が可能~
・独自開発の振動センサーと専用コントローラを用い、これまで詳細に把握できなかった刃物の摩耗状態や加工状態を可視化。加工品質の低下を防ぎ、安定した設備稼働に貢献
・これまで検出が難しかった、より多種類の加工時の異常振動を検出
・AI技術を用いて、工具等の振動パワーの変化をスコアリング(数値化)。工具寿命を適切に把握することが可能
■ヘルスケア分野
高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消などが求められるヘルスケア分野を、社会課題の解決に取り組む分野の一つとして位置付け、「ヘルスケアソリューション」、「メディカルイメージング」、「バイオメディカル」の3つの領域を重点領域としております。すでに、統合医療介護連携システムなどの「ヘルスケアソリューション」領域、脳磁計などの「メディカルイメージング」領域で事業を展開しており、また、2019年度から「バイオメディカル」領域にも事業参入しました。
iPS細胞を活用したバイオメディカルの共同事業を北米中心に開始
~細胞分化誘導技術とバイオプリンティング技術を組み合わせた細胞関連商品を開発~
・エリクサジェン・サイエンティフィック(米国メリーランド州ボルチモア)と共同で、iPS細胞から分化させた細胞を用いた創薬(新薬開発)支援のバイオメディカル事業を北米中心に開始
・エリクサジェン・サイエンティフィック社独自の細胞分化誘導技術と、当社のインクジェット技術を応用したバイオプリンティング技術を組み合わせ、細胞チップ製造の高効率化や創薬開発のスクリーニング精度の向上を見込む
非侵襲(身体を傷つけることなく)で生体の神経活動を可視化する脊髄磁界計測システムを用いた腰部、頚部、末梢神経の生体磁界計測に成功
~東京医科歯科大学、金沢工業大学、当社でのオープンイノベーションで製品化を目指す~
・脊髄磁界計測システム「脊磁計」を用いて、これまで計測が困難とされてきた腰部についての神経磁界や、末梢神経の神経磁界の計測に成功
・成果がIFCN(国際臨床神経生理学会連合)の機関紙Clinical Neurophysiologyに掲載され、表紙にも選出
・脊髄疾患の障害部位の特定や定量的な評価などへの活用が期待され、実用化に向けて大きく前進
SARS-CoV-2新型コロナウィルス用のDNA標準プレート開発に着手
~PCR検査の検出限界を正確に測定し、微量なウイルスの検出を可能に~
・DNA標準プレート「RICOH Standard DNA Series」は独自のバイオプリンティング技術によりDNA分子数を1分子単位で規定して遺伝子検査用の容器に注入したもので、100分子以下の低濃度領域においてもPCR検査の検出性能を正確に測定可能
・当初はノロウイルス用のDNA標準プレートを提供してきましたが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)にもこの技術を適用。PCR検査の精度管理を厳密に行うことが可能となり、偽陰性患者を減らすことで感染拡大のリスク低減に貢献が見込まれる
■環境分野
当社グループは事業を通じて注力する重要社会課題の一つとして、脱炭素社会の実現を掲げております。その実現に向け、2050年にGHG(温室効果ガス)の自社排出ゼロを目指す「リコーグループ環境目標」を設定し、国内企業で初めてRE100(企業が自らの事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ)に参加するなど、徹底した省エネや再生可能エネルギーの積極活用に向けた取り組みを強化しております。
また、製品のエネルギー効率向上などに取り組むとともに、ビジネスパートナーや顧客にも協力を働きかけることで、バリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献することに取り組んでおります。
照明・空調制御システム「RICOH Smart MES」を提供開始
~クラウドで複数拠点の利用実態を可視化し、働き方・ワークプレイス改善に貢献~
・センサーを用いて人の所在や照度、室温をエリア単位で検知し、照明や空調機器、デマンド監視装置を統合的に自動制御することで、省エネと快適性・利便性を同時に実現
世界初、固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSCシリーズ」を新発売
~「RICOH EH DSSC5284」「同 DSSC2832」「同 DSSC1719」の3ラインアップを販売~
・室内照明のような微弱な光においても高い発電性能を発揮
・従来の液体型色素増感太陽電池における電解液を有機半導体材料などで構成、液漏れや腐食の課題を解決し、高い安全性と耐久性を実現
・IoTに用いる様々なセンサーや発光デバイス、スイッチなどのの自立型電源として活用可能
■デジタルカメラ分野
ユニークで魅力的なハードウエアとそのデータ活用により、新たな画像・映像表現を創造していきます。360°画像活用ビジネス「RICOH360」では、不動産、広告、店舗などの業種業務を始めとして、様々な産業を横断するプラットフォームを構築することを目指します。
ワンショットで360°の全天球イメージを撮影できるカメラ「RICOH THETA SC2」を新発売
~シンプルな操作と多彩な機能で気軽に使える360°カメラ~
・簡単な操作で誰でも手軽に高品質な全天球イメージ撮影ができるエントリーモデル
・4K30fpsの滑らかで臨場感あふれる動画撮影が可能。
・「顔」、「夜景」、「車窓」、「水中」等、多彩な撮影モードを搭載
・本体下部のOLED(有機ELディスプレイ)搭載により設定モードや電池残量などを一目で確認可能
・シーンや好みに合わせて選べるネイルカラー4色カラーバリエーションをラインナップ
ワンショットで360°の全天球イメージを撮影できるカメラ「RICOH THETA SC2 for Business」を新発売
~不動産業など、ビジネスユースで使いやすいモードを搭載~
・ビジネス向けモデル専用のグレーの本体色に、室内・車内の撮影に適したプリセット「Room」を搭載
・フロントレンズとリアレンズで時間差をつけて撮影できるため、室内を撮影されることが多い不動産業や、車内を撮影されることの多い自動車販売業などのビジネスユースのお客様の使い勝手を向上
JAXA、当社、宇宙空間で撮影した360°の全天球静止画・動画を公開
~国際宇宙ステーションから地球の撮影に成功~
・国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(理事長:山川 宏/以下、JAXA)と共同開発した小型全天球カメラが、宇宙船外での360°の全天球静止画・動画の撮影に成功
・民生品の360°カメラが宇宙船外で全天球型の撮影を行ったのは国内で初めて
・「RICOH THETA」をベースに、宇宙空間の温度、放射線などの耐環境性能を措置し実現
水深14mでの水中撮影が可能なコンパクトデジタルカメラ「RICOH WG-70」を新発売
~デジタル顕微鏡モードなど使いやすさを向上させた防水スタンダードモデル~
・水深14mで連続2時間の撮影が可能なタフネス設計
・使いやすさを向上させたデジタル顕微鏡モードを搭載。6灯のLED補助光で均一で明るい照明が可能
・広角28mmからの光学5倍ズームレンズで様々な撮影シーンを幅広くカバー
・使用環境に応じて最も見やすい明るさに簡単に調整できる「アウトドアモニター機能」を備えた液晶モニター
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 7,766百万円です。
(7) 基礎研究分野
各事業に分類できない基礎研究分野として、ナノテクノロジー、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)、計測・分析・シミュレーション等の基盤技術の研究開発、プリンティング技術の応用研究開発、新規機能材料やデバイスの研究開発、次世代画像表示・画像認識・画像処理技術とそれに必要なフォトニクス技術の研究開発、データの収集・解析技術の研究開発、人工知能の応用研究開発、システムソリューションの開発、生産技術開発の研究開発等を行っております。2019年度においては「nano tech 2020 第19回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」の出展者から選出される「nano tech大賞2020」において、「ナノマテリアル賞」を受賞しました。これは、固体型色素増感太陽電池を搭載した環境センサー、発電ゴムを利用した振動発電など、ユニークかつ先進的な材料技術開発を賞されたものです。
当連結会計年度の主な発表・成果は次のとおりです。
インクジェット印刷技術を応用したリチウムイオン二次電池のデジタル製造技術
~デジタル印刷で自由な形状の二次電池を製造~
・電極や、正極と負極を隔てるイオン透過性機能膜(セパレーター)の材料をインク化し、インクジェットでリチウムイオン電池を印刷製造
・電池の安全性向上のためのセラミック耐熱層である絶縁膜や、セパレーターを電極上の自由な位置に積層形成する技術を国際ナノテクノロジー展や国際二次電池展で発表
・先行して電池メーカーむけにサンプル提供を開始し、あわせて専用印刷装置も開発中
自然言語処理技術「ディープアライメント」の研究開発
~世界トップクラスの精度をもつAI文書比較技術~
・リコージャパンより発売の契約書の条項比較・チェックツール「RICOH Contract Workflow Service」に活用
・契約書のみならず、本質的には類似しているが言い回しや段落構成が異なる二つの文書の比較検討に広く応用可能
・今後も、さらなる精度向上や、企業法務に加えて保険業、不動産業界向けソリューションなどへの展開を検討中
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 14,922百万円です。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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