有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ITZM (EDINETへの外部リンク)
住友商事株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
当社の事業その他に関するリスクとして投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項には以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2020年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
(1) 新型コロナウイルスに係るリスク
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の停滞は、当社のさまざまな事業に大きな影響を与えていますが、感染症拡大による影響は不確定要素が多く、当社の今後の事業活動への影響の大きさを見通すことが困難な状況が続いています。感染が収束に向かわず長期化した場合、当社の業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、これらに対する対応方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
(2) 事業投資に係るリスク
① 全般
当連結会計年度末現在、当社は663社の連結子会社及び294社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む環境の変化や、パートナーの業績不振等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
(a) 新規投資実行時
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定については、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会および全社投融資委員会を開催します。それらの委員会において、戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、ならびに投資の成否を左右する諸条件について、早い段階から深く議論しています。
(b) 投資実行後
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件においては、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」がある他、全社投融資委員会のもとで業績改善の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「ポテンシャル先」「撤退候補先」の三つに分類しています。投資ポートフォリオにおける立ち位置を確認の上、改めて事業性の強弱をレビューします。レビュー結果に従って、事業価値最大化につながる具体策を通じて成長戦略の一つである「既存事業のバリューアップ」を図る一方、成長余地の乏しい事業からの撤退も促しています。これらの施策は、「中期経営計画2020」にて掲げる「既存事業のバリューアップ」を促進するためのものです。また、同中期経営計画にて掲げる「ガバナンスの高度化」を目的とし、2018年度には、当社及び事業会社の対話によって事業会社における内部統制プロセスを強化するための「グループガバナンス高度化プロジェクト」を立ち上げ、事業会社における業務品質の向上に取り組んでいます。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。
② 大型案件に係るリスク
(a) アンバトビー
当社は、2005年、マダガスカル共和国にて、ニッケル採掘から精錬までを一貫して手掛ける同事業に参画しました。当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.(本社:オランダ本国アムステルダム)を通じて、マダガスカルにおけるニッケル採掘事業会社であるAmbatovy Minerals S.A.及びニッケル精錬事業会社であるDynatec Madagascar S.A.(本社:マダガスカル共和国アンタナナリボ、以下両社を称して「プロジェクト会社」)に各47.7%の出資を行い、Sherritt International Corporation(本社:カナダオンタリオ州、出資比率12%)、Korea Resources Corporation(本社:韓国江原道、出資比率40.3%)と共に事業を行っています。
当社はプロジェクト会社への投資に対して持分法を適用しております。プロジェクト会社の有形固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が有形固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識します。プロジェクト会社における有形固定資産の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産状況、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率、新型コロナウイルス感染拡大による操業停止の期間といった重要な仮定が使用されており、これらの仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
当連結会計年度においては、コバルトの長期予想価格の見通しの下落、プロジェクト会社における設備トラブルに起因する不安定な操業状況および新型コロナウイルス感染拡大による操業への影響を踏まえ有形固定資産の減損の兆候を認識し、減損テストを実施しております。その結果、処分コスト控除後の公正価値がプロジェクト会社における有形固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しておりません。なお、操業停止期間に関しては、回復時期が見通せない状況ではあるものの、半年を超えない範囲で操業停止が継続すると仮定を置いた上で生産計画の見直しを行っております。
当連結会計年度末におけるプロジェクト会社に対する持分法投資の帳簿価額は約634億円となります。
(b) Fyffes
当社は、2017年、アイルランド青果物生産・卸売企業Fyffes社の全株式を約900億円で取得しております。Fyffes社は欧州、米国、カナダ、中南米などにおいて、バナナ、パイナップル、メロンおよびマッシュルームを中心に青果物の生産や流通、販売を幅広く手掛けています。なお、当社の取得価額には超過収益力が含まれており、当連結会計年度においては、のれん及びその他無形資産の帳簿価額は約728億円となっております。
Fyffes社ののれん及びその他の無形資産については、使用価値に基づき算定される回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失が認識されます。使用価値算定においては、販売数量・マージン・割引率等が重要な仮定として使用されており、これら仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
③ 鉱物資源、石油、ガス開発・生産事業に係るリスク
当社は、鉱物資源、石油、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
当社では、資源開発の知見に長けた人材からなる「資源・エネルギープロジェクト管理部」を立ち上げ、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。また、単一プロジェクトへの投資上限金額の設定や資源・エネルギーポートフォリオ中の生産未開始案件の割合を一定以下に保つ等のポートフォリオマネジメントを通じて、上記リスクの抑制に努めています。
(3) タイプ別リスク
① 信用リスク
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
② 商品市況の変動に係るリスク
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品毎の枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、予めヘッジポリシーを定め、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
③ カントリーリスク
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件毎に保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国毎のエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
④ 金利・為替の変動に係るリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
⑤ 株式市場の変動に係るリスク
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
⑥ 不動産等、固定資産の価値下落に係るリスク
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産の他、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに係るリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応出来るよう、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とする情報セキュリティ委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、関連規程を整備した上で情報資産の適切な管理に努めています。また、「中期経営計画2020」にて掲げる「ガバナンスの高度化」を推進するため、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
⑧ リーガル・コンプライアンスリスク
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、従来の当社の「コンプライアンス指針」を踏まえ、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナーなどの継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」および、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
⑨ 訴訟等に関するリスク
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や将来においてそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
⑩ 社会・環境リスク
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員などのステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
また、世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業において経営資源を再生可能エネルギーなど、より環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする等の取り組みを進めています。
⑪ 自然災害等に関するリスク
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水などの自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じておりますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
⑫ オペレーショナルリスク
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、夫々の組織において内部統制を適切に構築する必要があります。然しながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスクを、完全に防止することが出来る保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクを出来る限り抑えるために、当社では「中期経営計画2020」にて「ガバナンスの高度化」を掲げ、適切な内部統制の構築・グループガバナンスの高度化に取り組んでいます。
⑬ 資金の流動性に関するリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、「中期経営計画2020」にて掲げる「財務健全性の向上」を図ります。
⑭ 繰延税金資産に関するリスク
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 人材確保に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域・分野およびビジネスモデルは劇的に多様化しており、ビジネス環境は従来とは非連続に、そして相当なスピードで大きく変化しています。
変革期の世界で勝ち抜いていくためには、人材戦略として、多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かし、新たな「価値創造」につなげていくことが不可欠と考えています。当社グループでは、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しており、加えて、「中期経営計画2020」では、経営基盤の強化施策として、「人材戦略の高度化」を掲げており、人材戦略の基本コンセプトは「Diversity & Inclusion~多様な力を競争力の源泉に~」とし、グローバル連結ベースでの「適時・適所・適材」の人材配置の徹底、戦略的な人材登用・育成や組織作り、それを支える文化や意識の醸成などに取り組んでいます。然しながら、予期せぬ要因等により、多様な人材の登用・育成が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
(4) 集中リスク
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分するリスクアセット額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下の通りです。
・インドネシア等当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、エクスポージャー上限枠の設定並びに定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
なお、文中における将来に関する情報は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末日(2020年3月31日)現在における当社の判断、目標、一定の前提または仮定に基づく予測等であり、多くの要因によって実現しない可能性があり、また、予測等に基づき策定した中期経営計画を修正する可能性や達成できない可能性もあります。
(1) 新型コロナウイルスに係るリスク
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済の停滞は、当社のさまざまな事業に大きな影響を与えていますが、感染症拡大による影響は不確定要素が多く、当社の今後の事業活動への影響の大きさを見通すことが困難な状況が続いています。感染が収束に向かわず長期化した場合、当社の業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。なお、これらに対する対応方針につきましては、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を参照願います。
(2) 事業投資に係るリスク
① 全般
当連結会計年度末現在、当社は663社の連結子会社及び294社の持分法適用会社を有しています。当社では連結子会社及び持分法適用会社への投資に関しては、技術革新等を含む環境の変化や、パートナーの業績不振等により、計画した利益が獲得できず、投下資金の回収不能や撤退時における追加の資金負担といったリスクが考えられます。当社ではこれらリスクを管理するため、新規投資実行時及び実行後のモニタリングに大別して様々な制度を導入しています。
(a) 新規投資実行時
取り組みの初期段階から「投資テーマ」を明確にし、デューデリジェンスによって重点的に検証しています。加えて、当該事業リスクに応じた割引率を適用することにより、投資対象の「適正な価格」を算定するなど、定性・定量の両面から評価を実施しています。また、投資案件の意思決定については、案件の規模や重要性に応じて、検討・実行の各段階において、各事業部門の投融資委員会および全社投融資委員会を開催します。それらの委員会において、戦略上の位置付け、案件選定の背景・理由、ならびに投資の成否を左右する諸条件について、早い段階から深く議論しています。
(b) 投資実行後
投資後の支援にあたっては、投資の意思決定時点において課題を明確にし、投資後もスムーズに課題解決に取り組める体制を整えています。特に重要な案件においては、統合支援機能として「100日プラン(注)実行支援制度」がある他、全社投融資委員会のもとで業績改善の立案や実行をフォローする「重点フォローアップ制度」を設けています。更には、投資ポートフォリオの質の向上を目的とした新たなモニタリング制度「フルポテンシャルプラン」を2018年度に導入しました。主に定量的な指標をもとに投資先を評価し、「健全先」「ポテンシャル先」「撤退候補先」の三つに分類しています。投資ポートフォリオにおける立ち位置を確認の上、改めて事業性の強弱をレビューします。レビュー結果に従って、事業価値最大化につながる具体策を通じて成長戦略の一つである「既存事業のバリューアップ」を図る一方、成長余地の乏しい事業からの撤退も促しています。これらの施策は、「中期経営計画2020」にて掲げる「既存事業のバリューアップ」を促進するためのものです。また、同中期経営計画にて掲げる「ガバナンスの高度化」を目的とし、2018年度には、当社及び事業会社の対話によって事業会社における内部統制プロセスを強化するための「グループガバナンス高度化プロジェクト」を立ち上げ、事業会社における業務品質の向上に取り組んでいます。
(注) 投資実行直後の早い段階で、投資先のマネジメントと目標とすべき経営指標や財務指標を含めた事業価値最大化を図る中期計画の策定に向けた経営インフラ構築・整備活動。
② 大型案件に係るリスク
(a) アンバトビー
当社は、2005年、マダガスカル共和国にて、ニッケル採掘から精錬までを一貫して手掛ける同事業に参画しました。当社の100%子会社であるSummit Ambatovy Mineral Resources Investment B.V.(本社:オランダ本国アムステルダム)を通じて、マダガスカルにおけるニッケル採掘事業会社であるAmbatovy Minerals S.A.及びニッケル精錬事業会社であるDynatec Madagascar S.A.(本社:マダガスカル共和国アンタナナリボ、以下両社を称して「プロジェクト会社」)に各47.7%の出資を行い、Sherritt International Corporation(本社:カナダオンタリオ州、出資比率12%)、Korea Resources Corporation(本社:韓国江原道、出資比率40.3%)と共に事業を行っています。
当社はプロジェクト会社への投資に対して持分法を適用しております。プロジェクト会社の有形固定資産に減損の兆候が認められ、かつ、減損テストの結果、回収可能価額が有形固定資産の帳簿価額を下回った場合には、当社において持分相当額を持分法投資損失として認識します。プロジェクト会社における有形固定資産の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のいずれか高い方が採用され、その見積りには、プロジェクト会社の生産状況、将来の資源価格(主にニッケル及びコバルト等の長期予想価格)、可採埋蔵量、割引率、新型コロナウイルス感染拡大による操業停止の期間といった重要な仮定が使用されており、これらの仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
当連結会計年度においては、コバルトの長期予想価格の見通しの下落、プロジェクト会社における設備トラブルに起因する不安定な操業状況および新型コロナウイルス感染拡大による操業への影響を踏まえ有形固定資産の減損の兆候を認識し、減損テストを実施しております。その結果、処分コスト控除後の公正価値がプロジェクト会社における有形固定資産の帳簿価額を上回ったことから、減損損失を認識しておりません。なお、操業停止期間に関しては、回復時期が見通せない状況ではあるものの、半年を超えない範囲で操業停止が継続すると仮定を置いた上で生産計画の見直しを行っております。
当連結会計年度末におけるプロジェクト会社に対する持分法投資の帳簿価額は約634億円となります。
(b) Fyffes
当社は、2017年、アイルランド青果物生産・卸売企業Fyffes社の全株式を約900億円で取得しております。Fyffes社は欧州、米国、カナダ、中南米などにおいて、バナナ、パイナップル、メロンおよびマッシュルームを中心に青果物の生産や流通、販売を幅広く手掛けています。なお、当社の取得価額には超過収益力が含まれており、当連結会計年度においては、のれん及びその他無形資産の帳簿価額は約728億円となっております。
Fyffes社ののれん及びその他の無形資産については、使用価値に基づき算定される回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、減損損失が認識されます。使用価値算定においては、販売数量・マージン・割引率等が重要な仮定として使用されており、これら仮定の変動により当社の業績に重要な影響を与えるリスクがあります。
③ 鉱物資源、石油、ガス開発・生産事業に係るリスク
当社は、鉱物資源、石油、ガス等の開発事業を各国で展開しており、以下に例示するようなリスクを負っています。これらが顕在化することにより、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(a) 開発事業において、計画を超えた開発費用の増加や工期の遅延が起こること
(b) 事業参画前には専門家を起用して十分な地質調査を実施しますが、それにもかかわらず事業開始後に埋蔵量が変動すること
(c) 操業にかかわる技術的問題等に起因して、生産量が計画を下回り、あるいは生産コストが上昇すること
(d) 許認可の取得・更新の遅延、税制の変更、事業資産の接収や権利の侵害等、事業所在国の政府にかかわる事由に起因して計画が実現しないこと
当社では、資源開発の知見に長けた人材からなる「資源・エネルギープロジェクト管理部」を立ち上げ、当該事業のプロジェクトマネジメントの強化に努めています。また、単一プロジェクトへの投資上限金額の設定や資源・エネルギーポートフォリオ中の生産未開始案件の割合を一定以下に保つ等のポートフォリオマネジメントを通じて、上記リスクの抑制に努めています。
(3) タイプ別リスク
① 信用リスク
当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用供与を行っており、信用リスクを負っています。また、当社は、主としてヘッジを目的とするデリバティブ取引を活用しており、当該取引にも契約相手先の信用リスクが存在します。
当社では、内部格付制度に基づく取引先等の信用力チェックや担保・保証等の取得、取引先の分散等により、かかるリスクの管理に努めており、また、上記の信用リスクが顕在化した場合に備えるため、取引先の信用力、担保価値その他一定の前提、見積り及び評価に基づいて貸倒引当金を設定しておりますが、予期せぬ要因等によりこれら取引先、契約相手先が、支払不能、契約不履行等に陥る場合、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
② 商品市況の変動に係るリスク
当社グループは金属・エネルギーを始めとする各種商品の売買を行っており、当該商品の価格変動リスクを負っています。
当社は、商品毎の枠設定による管理体制の構築や、ヘッジ取引等によりリスクの軽減に努めており、主要な商品については、ポジション枠及び損失限度枠の設定、ミドル・バックオフィスの設置により職務分離を確保しています。
また、当社グループは直接・間接的に鉱物・原油及びガス資源権益を保有しており、生産物の価格変動リスクを負っています。これら事業については、予めヘッジポリシーを定め、デリバティブ取引等を用いてヘッジを実施することにより業績の下振れリスクを抑制しています。
③ カントリーリスク
当社は、日本を含む60ヶ国以上において商取引及び事業活動を行っており、関係各国の政治・経済・社会情勢等の事業環境の変化に起因して生じる事業遅延・停止等が当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
当社は、案件毎に保険を付保するなどのリスク回避策を講じるとともに、社内国格付に応じたエクスポージャーの上限目安額を設定し、国毎のエクスポージャー管理を実施することにより事業ポートフォリオが適切な分散を保つよう管理しています。
④ 金利・為替の変動に係るリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。また、当社は取引先に対し、売掛債権、前渡金、貸付金、保証その他の形で信用を供与する場合があります。これらの取引により生ずる収益・費用及び資産・負債の公正価値は、金利変動の影響を受ける場合があります。
また、当社が行う外貨建投資並びに外貨建取引により生ずる収益・費用及び外貨建債権・債務の円貨換算額、並びに外貨建で作成されている海外連結対象会社の財務諸表の円貨換算額は、外国為替レートの変動の影響を受ける場合があります。
当社ではこれら金利変動、外国為替レートの変動によるリスクを回避するため、デリバティブ等を活用していますが、これらによりリスクが十分に回避できる保証はありません。
⑤ 株式市場の変動に係るリスク
当社が保有する市場性のある有価証券は、日本企業が発行する株式への投資が大きな割合を占めており、日本の株式市場が今後低迷した場合には、有価証券の公正価値の変動によって、当社の業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、当社の企業年金では、年金資産の一部を市場性のある株式により運用しています。よって、株価の下落は年金資産を目減りさせるリスクがあります。
⑥ 不動産等、固定資産の価値下落に係るリスク
当社は、日本及び海外において、オフィスビルや商業用施設、居住用不動産の開発、賃貸、保守・管理事業等の不動産事業を行っており、不動産市況が悪化した場合には、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
また、地価及び賃貸価格の下落が生じた場合には、当社が保有する賃貸用の土地及び建物、並びに開発用の土地及びその他の不動産の評価額について、減損処理を行う必要が生ずる可能性があります。
不動産の他、当社が所有する他の固定資産についても減損のリスクに晒されており、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報セキュリティに係るリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識しており、関連規程の整備や役職員への啓発、情報セキュリティを確保するための技術的な対策等を施し、情報資産を管理することに努めています。また、当社は事業活動の多くを情報システムの機能に依存していることから、情報システム運営の上でも安全性の確保に努めています。しかしながら、予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、ウィルスやマルウェアの侵入、情報システムの機能不全等により、情報の漏洩・滅失・毀損、事業活動の一時的停止等、当社の事業活動が重大な悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクに適切に対応出来るよう、チーフ・インフォメーション・オフィサーを委員長とする情報セキュリティ委員会を中心に、2017年10月制定の「情報セキュリティ基本方針」に沿って、関連規程を整備した上で情報資産の適切な管理に努めています。また、「中期経営計画2020」にて掲げる「ガバナンスの高度化」を推進するため、外部からのサイバー攻撃や不正アクセス等に対してはシステム上の対策に加え、外部専門機関とも連携の上、最新情報を入手し、適切かつ迅速に対応できるように努めています。
⑧ リーガル・コンプライアンスリスク
当社は、日本及び海外において、多種多様な事業活動を手掛けているため、広範な法律及び規制に服しています。これらの法律及び規制は、事業及び投資認可、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)、競争法制、汚職・腐敗行為防止、為替管理、金融商品取引、個人情報・データ保護、人権保護、環境保護、消費者保護、関税及びその他の租税等の分野にわたることに加え、国によっては追加的または将来制定され得る関係の法律及び規制に新たに服する可能性があります。また、新興国においては、法令の欠如、法令の予期し得ない変更、並びに司法機関及び行政機関等による規制実務の変更によって、法令遵守のための当社における負担がより増加する可能性があります。
当社または当社グループに属する役職員が、現在または将来の法律及び規制を遵守できなかった場合には、罰金等のペナルティの対象になるとともに、事業が制約され、信用の低下を被る可能性があるため、当社の事業展開、業績、財政状態及び信用に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、コンプライアンスに関する最高責任者としてチーフ・コンプライアンス・オフィサーを置いており、チーフ・コンプライアンス・オフィサーは、コンプライアンス施策の企画、立案及びその実施につきコンプライアンス委員会から助言を受け、コンプライアンスに関する適切な施策を策定・実行しています。また、コンプライアンスの基本方針を住友商事グループ全体に明確に示すために、当社は、従来の当社の「コンプライアンス指針」を踏まえ、「住友商事グループ・コンプライアンスポリシー」を制定し、セミナーなどの継続的な啓発活動を通じて、グループ全体への「コンプライアンス最優先」および、万一、コンプライアンス上の問題が発生したときは直ちに上司あるいは関係部署に対して事態を報告し、最善の措置をとること、すなわち「即一報」の意識の浸透・徹底を図っており、コンプライアンス問題の発生防止に努めています。
⑨ 訴訟等に関するリスク
当社は、日本及び海外において訴訟等の係争案件に関わっています。また、事業遂行上、偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。
訴訟等に固有の不確実性を考慮すると、現時点において、当社の関わる訴訟等の結果を予測することはできません。また、これらの訴訟等で当社が勝訴するという保証や将来においてそれらの訴訟等による悪影響を受けないという保証はありません。
⑩ 社会・環境リスク
当社グループは、世界中の異なる国・地域で、複数の分野に跨り事業を展開しており、その事業活動は、地球環境や地域社会、顧客、役職員などのステークホルダーにさまざまな影響をもたらします。そのため、当社グループの事業活動が、人々の人権や地球環境に負の影響を与えた場合には、その影響の解消・緩和や損害の賠償等による追加的費用の発生や事業の停止等によって、財政状態の悪化、信用の毀損等の影響を受ける可能性があります。
当社は、社会・環境に配慮し、社会とともに持続的に成長することを目指し、「環境方針」「人権方針」「サプライチェーンCSR行動指針」を制定して、社会・環境問題に関する考え方を明確にしています。事業活動が与える社会・環境面への影響を適切に管理するために、新規投資の際には、各事業の社会・環境への関わりや影響、それらの管理の状況を確認し、投資実行後も、定期的なモニタリングを行うなど、社会・環境リスク管理の全社的なフレームワークを整えています。
また、世界的な重要課題である気候変動に関しては、事業を通じて、社会の持続可能な発展に必要な気候変動問題の解決、カーボンニュートラルな社会の実現に貢献する方針を掲げ、発電事業において経営資源を再生可能エネルギーなど、より環境負荷の低い発電ポートフォリオに継続的にシフトする等の取り組みを進めています。
⑪ 自然災害等に関するリスク
当社が事業活動を展開する国や地域において地震、津波、大雨、洪水などの自然災害、または新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合に、当社の事業に悪影響を与える可能性があります。当社では地震災害等に備え、災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)の作成、社員の安否確認システムの構築、災害用物資の備蓄、防災訓練、建物・システムの耐震化及びデータのバック・アップ等の対策を講じておりますが、これによって災害による被害を十分に回避できる保証はありません。
⑫ オペレーショナルリスク
当社は、事業部門、国内外の地域組織及び全世界のグループ会社を通じて、幅広い分野でビジネスを展開しており、夫々の組織において内部統制を適切に構築する必要があります。然しながら、当社が内部統制を適切に構築したとしても、役職員の事務処理ミスや不正行為などのオペレーショナルリスクを、完全に防止することが出来る保証はありません。事務処理ミスや不正行為が発生した場合、当社は財政状態の悪化、信用の毀損等の悪影響を受ける可能性があります。
これらのリスクを出来る限り抑えるために、当社では「中期経営計画2020」にて「ガバナンスの高度化」を掲げ、適切な内部統制の構築・グループガバナンスの高度化に取り組んでいます。
⑬ 資金の流動性に関するリスク
当社は、事業資金を金融機関からの借入または社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しております。金融市場の混乱や、金融機関が貸出を圧縮した場合、また、格付会社による当社の信用格付の大幅な引下げ等の事態が生じた場合、当社は、必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、調達コストが増加する可能性があり、当社の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
そのため、現預金、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、調達先の分散や調達手段の多様化に努めており、これにより、「中期経営計画2020」にて掲げる「財務健全性の向上」を図ります。
⑭ 繰延税金資産に関するリスク
当社及び連結子会社は繰延税金資産の回収可能性の評価を、有税償却に関する無税化の実現可能性やその時期、当社及び連結子会社の課税所得の予想など、現状入手可能な全ての将来情報を用いて判断しています。当社及び連結子会社は、回収可能性を見込めると判断した部分について繰延税金資産を計上していますが、将来における課税所得の見積もりの変更や法定税率の変更を含む税制改正などにより回収可能額が変動する可能性があります。
また、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより、将来の課税所得の見込みが、現在のタックス・プランニング上の見込みよりも低下した場合、繰延税金資産の回収可能額が減少し、繰延税金資産を減額することになり、当社及び連結子会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 人材確保に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域・分野およびビジネスモデルは劇的に多様化しており、ビジネス環境は従来とは非連続に、そして相当なスピードで大きく変化しています。
変革期の世界で勝ち抜いていくためには、人材戦略として、多様な価値観やアイデアを受け容れ、活かし、新たな「価値創造」につなげていくことが不可欠と考えています。当社グループでは、人材獲得のために新卒採用や経験者の通年採用を積極的に展開しており、加えて、「中期経営計画2020」では、経営基盤の強化施策として、「人材戦略の高度化」を掲げており、人材戦略の基本コンセプトは「Diversity & Inclusion~多様な力を競争力の源泉に~」とし、グローバル連結ベースでの「適時・適所・適材」の人材配置の徹底、戦略的な人材登用・育成や組織作り、それを支える文化や意識の醸成などに取り組んでいます。然しながら、予期せぬ要因等により、多様な人材の登用・育成が想定通りに進まない場合、当社の事業が悪影響を受ける可能性があります。
(4) 集中リスク
当社グループの商取引及び投資活動において、特定の国、分野、または取引先に対するエクスポージャーが集中するリスクがあります。事業環境の悪化等により当社が期待するリターンが得られない、もしくは損失を被る場合は、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、特定の国・地域に対するリスクエクスポージャーの過度な集中を防ぐために、カントリーリスク管理制度を設けています。また、特定分野への過度な集中を避け、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築するために、戦略会議や大型・重要案件の審議機関である投融資委員会において、事業部門やビジネスラインへ配分するリスクアセット額について十分なディスカッションを行っています。また、当社グループとして成約残及び債権残が高額になる取引先については定期的に状況をモニターしています。具体的な取り組みは以下の通りです。
・インドネシア等当社が抱えるエクスポージャーが大きい特定の国については、前述のカントリーリスク管理制度に則りきめ細かく管理しています。
・資源・エネルギー上流案件については、エクスポージャー上限枠の設定並びに定期的なプロジェクト価値のモニタリングを実施しています。
・定期的に大口債権残・成約残のある先との取引状況や当該取引先の経営状況等の情報を把握し、管理しています。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02528] S100ITZM)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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