有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IVIT (EDINETへの外部リンク)
株式会社 東北銀行 事業等のリスク (2020年3月期)
(リスク管理態勢)
当行では業務運営上発生が予想されるリスクについて、統合的リスク管理の考え方のもと、取締役会がリスク管理の基本方針及びリスク管理態勢を定めております。リスク管理の基本方針では、リスクを定量化し自己資本と対比して管理する「統合リスク管理」と、統合リスク管理以外の手法による「その他リスク管理」とに区分しております。前者は、資産・負債の総合管理、自己資本管理、流動性リスク管理に係る事項も含め、経営陣と関係部で構成するALM委員会において管理する態勢としております。後者は、リスクの種類ごとに主管部署を明確にし、当該主管部署ごとに管理態勢の堅確化に努め、リスクの顕在化を抑制する管理態勢としております。
(統合リスク管理)
統合リスク管理については、リスクの種類ごとにリスクの顕在化により発生が予想される損失額を統計的な方法で計測を行い、自己資本を原資として、信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクにリスク資本を配賦して、設定したリスク管理枠に収まるよう管理する手法としております。
経営陣と関係部で構成するALM委員会では、毎期リスク管理枠の設定を行い、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているかを毎月確認しており、定期的にストレステストを実施することにより、自己資本充実度の検証を実施しております。また、自己資本、リスク管理態勢、収益性、流動性を踏まえ、市場部門及び貸出金の一部において、ポジション枠を設定する態勢としております。
当行のリスク管理組織体制を図で示すと以下のようになります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、信用リスク及び市場リスクであります。
上記の統合リスク管理において定量的にリスク量を測定している信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクの中でも、信用リスク及び市場リスクはリスク量が大きいため、主要なリスクと認識しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
当行はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適正な対応に努めてまいります。
(主要なリスク)
(1)信用リスク
融資先の倒産や経営悪化のほか、不動産市場における流動性の欠如又は不動産価額の下落、有価証券価額の下落等により、債務不履行の状態にある債務者に対し担保権を設定した不動産もしくは有価証券を処分できないなどのさまざまな要因によって新たな不良債権処理費用が発生し業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当行は、融資先の状況や差し入れられた担保の価値及び経済状況に関する見積り等に基づいて、貸倒引当金を計上しております。2020年3月31日現在の金融再生法開示債権の保全状況は、担保保証等及び貸倒引当金による保全率が銀行単体で77.46%と高い比率となっております。また、非保全額を十分に上回る自己資本を有しております。しかし、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における見積り等と乖離した場合や担保価値が下落した場合、貸倒引当金が増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。
(信用リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)
当行では、財務内容やご返済の状況等の信用度に応じてお取引先を区分する信用格付を実施しており、格付区分毎のリスクの状況に基づいて信用リスクを定量的に把握しております。
具体的には、バリュー・アット・リスク(VaR)により信用リスク量を計測しており、信頼区間99.0%、保有期間1年として算出された最大損失から、平均的に発生が予想される期待損失(EL)を差し引いた値(=非期待損失、UL)を信用リスク量として認識しております。2020年3月31日現在の信用リスク量は、32億43百万円(2019年3月31日現在は25億99百万円)であります。
(リスクへの対応策)
当行の信用リスク管理では、融資規程(クレジット・ポリシー)において、信用リスク管理の基本方針として、信用リスク管理態勢の整備、与信審査の客観性の確保、問題債権の管理、与信ポートフォリオ管理による与信集中の排除、信用リスクの定量的把握、適正な収益確保等の方針を定め、実施しております。
さらに、信用リスク管理規定において、目的、定義、範囲、態勢、役割及び管理方法等を定め、適正な信用リスク管理が実現するような態勢を整備し実施しております。与信ポートフォリオについても、四半期ごとにALM委員会において経営に報告し、信用リスク額、リスク量及び予測最大損失額等の把握を行うとともに、改善策等を指示するなどの管理を行っております。
具体的な顧客管理手法としては、融資先支援・管理要領に基づき重点管理先を選定し、営業店のモニタリング等を基に年1回、営業店と本部で取組方針協議を実施し、支援及び管理を行っております。また、本部管理・指導が必要な先については、本部担当部署が直接顧客訪問を実施し、経営改善計画策定等の支援・指導を行っております。問題債権の管理としては、営業店からの月例の期日経過債権の報告や貸出金延滞報告により管理を強化し、条件変更による長期延滞の未然防止や問題解決に向けた取組を図っております。実質破綻先以下の管理は、毎年2月末、8月末を基準日として営業店より、債権管理報告を受け、問題解決に向けた方針協議を行い、再建支援や円滑な処理等への協力を含めた取組みを強化しております。
今後につきましても、信用リスク管理として、態勢を強化するとともに、管理の適正化を図り、取組方針協議を基に、これまで以上に本部が積極的に関与し、経営改善や事業再生の可能性が高いと見込まれる取引先を健全な企業に立て直すための支援を行ってまいります。
(2)市場リスク
① 金利リスク
当行は、主に預金により調達した資金を貸出金や有価証券等で運用しておりますが、運用調達期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより利鞘が縮小し、業績に悪影響を与える可能性があります。
② 価格変動リスク
当行は、市場性のある債券や株式等の有価証券を保有しておりますが、金利の上昇による債券価格の下落や、株価が長期間にわたって下落した場合には、保有する有価証券に減損又は評価損が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
(市場リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)
当行では、株式等の価格変動リスクについては、債券を含む投資有価証券全体について、株価や市場金利等の各リスク要因間の相関を考慮したうえで、市場リスク量として一体で計測しております。
市場リスク量はバリュー・アット・リスク(VaR)により計測しており、信頼区間は99.0%、保有期間は他のリスク(信用リスク、金利リスク等)との統一性を考慮し、債券、株式等とも240日(1年間)としております。2020年3月31日現在の市場リスク量は、75億3百万円(2019年3月31日現在は72億26百万円)であります。
(リスクへの対応策)
当行の市場リスク管理では、市場リスクの所在、市場リスクの種類・特性及び市場リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の重要性を認識し、適正な市場リスク管理態勢の整備・確立に向けて、リスク管理の方針及び管理態勢の整備をしております。
具体的には、毎期、資産・負債の総合管理や自己資本管理等に関わるALM運営方針を決定し、また、市場部門が当該方針に基づき検討する戦略目標について、経営陣と関係部で構成するALM委員会において協議を行い決定しております。ALM委員会では、市場部門の戦略目標について、毎期、市場運用業務等の方針を設定し、市場リスクを管理可能なリスクに限定する中で安定的な収益を確保することを確認しており、有価証券に関わる売買方針についても毎月確認を行っております。また、過去未確認のリスクを保有する商品を購入する場合には、ミドル部署の承認を必要とする態勢とし、フロント部署への牽制を行っております。
(その他重要なリスク)
(1)流動性リスク
金融システムが不安定になるなど市場環境が大きく変化したり、当行の信用状況が悪化した場合には、必要な資金の確保が困難になり、通常よりも著しく高い金利での資金調達により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
流動性リスク管理について、流動性リスクの所在、流動性リスクの種類・特性及び流動性リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の手法並びに流動性リスク管理の重要性を十分に認識し、リスク管理規程、ALM運営方針、流動性リスク管理規定、市場運用業務等の運用管理基準等の規定を定めております。月次のALM委員会において、資金の運用・調達状況の予測に基づく中長期的な資金動向の報告を行うほか、市場運用業務等の運用管理基準に日次・月次等の定例報告を定め、また、重要な事項については随時報告する態勢としております。
(2)オペレーショナル・リスク
オペレーショナル・リスクとは、内部プロセス・システム・人が不適切であることもしくは機能しないこと、又は外部要因に起因するリスクの総称であります。
当行では、統合リスク管理における各リスクの定量的な把握においては、自己資本比率算出におけるオペレーショナル・リスク相当額をオペレーショナル・リスク量として認識しております。
① 事務リスク
役職員が正確な事務を怠ったり、事務事故あるいは不正等を起こしたり、顧客情報等の重要情報を外部に漏洩した場合には、損害賠償等の経済的損失や社会的信用の低下により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムの停止又は誤作動等システム上の不備や、不正アクセス等コンピュータが不正に使用されることにより、当行の業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。
③ その他オペレーショナル・リスク
イ.規制・制度変更に関するリスク
当行は、現時点における法律・規則等に従い業務を遂行しておりますが、将来において法律・規則等の新設・変更・廃止によって生じる事態が、業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。
ロ.コンプライアンスリスク
役職員の法令等違反に起因した損失の発生や、当行に対する訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
ハ.風評リスク
取引先、投資家、報道機関、インターネット等を通じて、当行に対する悪評、信用不安につながる噂等が広まった場合、これらが正確な事実に基づいたものか否かにかかわらず、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
オペレーショナル・リスク管理については、事務リスク、システムリスク及びその他オペレーショナル・リスク(法務リスク・人的リスク・有形資産リスク・風評リスク)の区分ごとに主管部を定め、管理を行う態勢としております。
事務リスクについては、事務規程の整備、研修及び営業店事務指導等により、厳正な事務取扱の定着に努めております。システムリスクに関して、当行は基幹システムの運営・管理を外部へ委託しておりますが、新日本有限責任監査法人から委託業務に係る内部統制の状況を把握し、その有効性の評価に利用する報告書(日本公認会計士協会監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」に基づき、受託会社監査人が提供する保証業務)を毎年受領しモニタリングを実施するとともに、年1回基幹システムの運営・管理を委託している株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対しシステム監査を実施することにより、システムリスクの顕在化防止に努めております。その他、オペレーショナル・リスクについては、当該主管部署ごとに管理態勢の堅確化に努め、また、内部監査の実施により、リスクの顕在化を抑制しております。
(3)自己資本に関するリスク
当行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準4%以上に維持しなければなりませんが、連結・単体の自己資本比率が基準である4%を下回った場合には、金融庁から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な行政処分を受ける可能性があります。連結・単体の自己資本比率は、本項に記載した様々な不利益な展開に伴い自己資本が毀損した場合、自己資本比率の基準及び算定方法が変更された場合、繰延税金資産が会計上の判断又は何らかの制約により減額された場合において悪化する可能性があります。
自己資本の充実度に関する評価方法として、資本金をはじめとする自己資本は、銀行がさらされているリスクが損失として顕在化した場合の最終的な受け皿となることから、(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク)を定量的に把握したうえで、経営陣と関係部で構成するALM委員会において、市場リスク、信用リスク及びオペレーショナル・リスクの各リスクカテゴリー単位で自己資本を原資としたリスク管理枠を設定し、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているか、管理しております。
(4)地方経済の動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行は、岩手県を主要な営業地域としておりますが、岩手県経済が悪化した場合には、取引先の信用状況の悪化や貸出金の減少等により、業績に悪影響を与える可能性があります。
(5)銀行業免許に関するリスク
当行は、銀行法第4条第1項に基づく銀行業免許(免許番号 大蔵大臣 蔵銀第1075号)の交付を受け、銀行業務を行っております。銀行業の免許には、有効期間その他の期限が法令等で定められておりませんが、銀行法第27条及び第28条に免許の取消等の事由が定められております。
当行の主要な事業活動の継続には前述のとおり銀行業免許が必要ですが、現時点において、当行はこれらの免許の取消等の事由に該当する事実はありません。しかしながら、将来、何らかの理由により免許取消等があった場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。
(6)優先株式による希薄化リスク
当行は、当連結会計年度末現在において、第一種優先株式を4,000,000株発行しており、第一種優先株主は2037年9月28日までの間、当行に対し、当行普通株式と引換えに第一種優先株式の取得を請求することができます(以下、「第一種優先株式取得請求権」といいます。)。
当行は、2037年9月28日までに第一種優先株式取得請求権が行使されなかった第一種優先株式を、2037年9月29日をもって当行普通株式と引換えに取得致します(以下、「一斉取得」といいます。)。
以上のとおり、第一種優先株式に係る第一種優先株式取得請求権の行使及び一斉取得により、当行は最大で12,360,939株(当連結会計年度末現在の発行済普通株式数9,509,963株に対して129.97%)の普通株式を第一種優先株主に対し交付する可能性があり、その場合、当行普通株式の既存持分の希薄化が生じる可能性があります。
なお、当行は、2022年9月29日以降、取締役会が別に定める日が到来した時は、法令上可能な範囲で第一種優先株式の全部又は一部を取得することができます。
(7)新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、将来の経済環境は、より一層不確実性が増しております。また、当行グループの主要なお客さまである中小事業者におきましても事業活動への影響が深刻となってきております。このような中、上記(主要なリスク)に記載している信用リスク及び市場リスクがさらに増加する可能性があります。
信用リスクについては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2020年度中に収束すると仮定して貸倒引当金を計上しておりますが、実際の地方経済への影響、感染症拡大の規模及び収束時期などの不確実性によって債権の評価に関する見積りが変動する可能性があり、将来当行グループにおける貸倒引当金が増額又は減額する可能性があります。
市場リスクについては、金融市場の不安定さが増しており、保有する有価証券に減損又は評価損が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
当行では2020年2月10日より、「新型コロナウイルス感染症に関するご相談窓口」を全営業店に設置し、お客さまからのご相談をお受けしております。お客さまの業況の実態把握に努め、新規融資の積極的な実施や既往債務の条件変更の迅速かつ柔軟な対応をしております。
また、行内で感染者が発生した場合、業務継続に影響を与える可能性があります。当行では、4月に取締役頭取を本部長とする「BCP対策本部」を設置し、行内での感染症拡大防止及び感染者が発生した場合の業務継続についての態勢を整備しております。また、行員が発熱した場合及び感染症に罹患した場合の本部報告態勢を整備し、「スプリットオペレーション」(勤務フロアの分散)の導入やテレワークを導入するなど、行内における感染拡大防止策を講じております。
当行では業務運営上発生が予想されるリスクについて、統合的リスク管理の考え方のもと、取締役会がリスク管理の基本方針及びリスク管理態勢を定めております。リスク管理の基本方針では、リスクを定量化し自己資本と対比して管理する「統合リスク管理」と、統合リスク管理以外の手法による「その他リスク管理」とに区分しております。前者は、資産・負債の総合管理、自己資本管理、流動性リスク管理に係る事項も含め、経営陣と関係部で構成するALM委員会において管理する態勢としております。後者は、リスクの種類ごとに主管部署を明確にし、当該主管部署ごとに管理態勢の堅確化に努め、リスクの顕在化を抑制する管理態勢としております。
(統合リスク管理)
統合リスク管理については、リスクの種類ごとにリスクの顕在化により発生が予想される損失額を統計的な方法で計測を行い、自己資本を原資として、信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクにリスク資本を配賦して、設定したリスク管理枠に収まるよう管理する手法としております。
経営陣と関係部で構成するALM委員会では、毎期リスク管理枠の設定を行い、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているかを毎月確認しており、定期的にストレステストを実施することにより、自己資本充実度の検証を実施しております。また、自己資本、リスク管理態勢、収益性、流動性を踏まえ、市場部門及び貸出金の一部において、ポジション枠を設定する態勢としております。
当行のリスク管理組織体制を図で示すと以下のようになります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、信用リスク及び市場リスクであります。
上記の統合リスク管理において定量的にリスク量を測定している信用リスク、市場リスク及びオペレーショナル・リスクの中でも、信用リスク及び市場リスクはリスク量が大きいため、主要なリスクと認識しております。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
当行はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適正な対応に努めてまいります。
(主要なリスク)
(1)信用リスク
融資先の倒産や経営悪化のほか、不動産市場における流動性の欠如又は不動産価額の下落、有価証券価額の下落等により、債務不履行の状態にある債務者に対し担保権を設定した不動産もしくは有価証券を処分できないなどのさまざまな要因によって新たな不良債権処理費用が発生し業績に悪影響を与える可能性があります。
また、当行は、融資先の状況や差し入れられた担保の価値及び経済状況に関する見積り等に基づいて、貸倒引当金を計上しております。2020年3月31日現在の金融再生法開示債権の保全状況は、担保保証等及び貸倒引当金による保全率が銀行単体で77.46%と高い比率となっております。また、非保全額を十分に上回る自己資本を有しております。しかし、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における見積り等と乖離した場合や担保価値が下落した場合、貸倒引当金が増加し、業績に悪影響を与える可能性があります。
(信用リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)
当行では、財務内容やご返済の状況等の信用度に応じてお取引先を区分する信用格付を実施しており、格付区分毎のリスクの状況に基づいて信用リスクを定量的に把握しております。
具体的には、バリュー・アット・リスク(VaR)により信用リスク量を計測しており、信頼区間99.0%、保有期間1年として算出された最大損失から、平均的に発生が予想される期待損失(EL)を差し引いた値(=非期待損失、UL)を信用リスク量として認識しております。2020年3月31日現在の信用リスク量は、32億43百万円(2019年3月31日現在は25億99百万円)であります。
(リスクへの対応策)
当行の信用リスク管理では、融資規程(クレジット・ポリシー)において、信用リスク管理の基本方針として、信用リスク管理態勢の整備、与信審査の客観性の確保、問題債権の管理、与信ポートフォリオ管理による与信集中の排除、信用リスクの定量的把握、適正な収益確保等の方針を定め、実施しております。
さらに、信用リスク管理規定において、目的、定義、範囲、態勢、役割及び管理方法等を定め、適正な信用リスク管理が実現するような態勢を整備し実施しております。与信ポートフォリオについても、四半期ごとにALM委員会において経営に報告し、信用リスク額、リスク量及び予測最大損失額等の把握を行うとともに、改善策等を指示するなどの管理を行っております。
具体的な顧客管理手法としては、融資先支援・管理要領に基づき重点管理先を選定し、営業店のモニタリング等を基に年1回、営業店と本部で取組方針協議を実施し、支援及び管理を行っております。また、本部管理・指導が必要な先については、本部担当部署が直接顧客訪問を実施し、経営改善計画策定等の支援・指導を行っております。問題債権の管理としては、営業店からの月例の期日経過債権の報告や貸出金延滞報告により管理を強化し、条件変更による長期延滞の未然防止や問題解決に向けた取組を図っております。実質破綻先以下の管理は、毎年2月末、8月末を基準日として営業店より、債権管理報告を受け、問題解決に向けた方針協議を行い、再建支援や円滑な処理等への協力を含めた取組みを強化しております。
今後につきましても、信用リスク管理として、態勢を強化するとともに、管理の適正化を図り、取組方針協議を基に、これまで以上に本部が積極的に関与し、経営改善や事業再生の可能性が高いと見込まれる取引先を健全な企業に立て直すための支援を行ってまいります。
(2)市場リスク
① 金利リスク
当行は、主に預金により調達した資金を貸出金や有価証券等で運用しておりますが、運用調達期間のミスマッチが存在している中で金利が変動することにより利鞘が縮小し、業績に悪影響を与える可能性があります。
② 価格変動リスク
当行は、市場性のある債券や株式等の有価証券を保有しておりますが、金利の上昇による債券価格の下落や、株価が長期間にわたって下落した場合には、保有する有価証券に減損又は評価損が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
(市場リスクが顕在化する「可能性の程度」、「時期」及び「顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響の内容」)
当行では、株式等の価格変動リスクについては、債券を含む投資有価証券全体について、株価や市場金利等の各リスク要因間の相関を考慮したうえで、市場リスク量として一体で計測しております。
市場リスク量はバリュー・アット・リスク(VaR)により計測しており、信頼区間は99.0%、保有期間は他のリスク(信用リスク、金利リスク等)との統一性を考慮し、債券、株式等とも240日(1年間)としております。2020年3月31日現在の市場リスク量は、75億3百万円(2019年3月31日現在は72億26百万円)であります。
(リスクへの対応策)
当行の市場リスク管理では、市場リスクの所在、市場リスクの種類・特性及び市場リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の重要性を認識し、適正な市場リスク管理態勢の整備・確立に向けて、リスク管理の方針及び管理態勢の整備をしております。
具体的には、毎期、資産・負債の総合管理や自己資本管理等に関わるALM運営方針を決定し、また、市場部門が当該方針に基づき検討する戦略目標について、経営陣と関係部で構成するALM委員会において協議を行い決定しております。ALM委員会では、市場部門の戦略目標について、毎期、市場運用業務等の方針を設定し、市場リスクを管理可能なリスクに限定する中で安定的な収益を確保することを確認しており、有価証券に関わる売買方針についても毎月確認を行っております。また、過去未確認のリスクを保有する商品を購入する場合には、ミドル部署の承認を必要とする態勢とし、フロント部署への牽制を行っております。
(その他重要なリスク)
(1)流動性リスク
金融システムが不安定になるなど市場環境が大きく変化したり、当行の信用状況が悪化した場合には、必要な資金の確保が困難になり、通常よりも著しく高い金利での資金調達により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
流動性リスク管理について、流動性リスクの所在、流動性リスクの種類・特性及び流動性リスクの特定・評価・モニタリング・コントロール等の手法並びに流動性リスク管理の重要性を十分に認識し、リスク管理規程、ALM運営方針、流動性リスク管理規定、市場運用業務等の運用管理基準等の規定を定めております。月次のALM委員会において、資金の運用・調達状況の予測に基づく中長期的な資金動向の報告を行うほか、市場運用業務等の運用管理基準に日次・月次等の定例報告を定め、また、重要な事項については随時報告する態勢としております。
(2)オペレーショナル・リスク
オペレーショナル・リスクとは、内部プロセス・システム・人が不適切であることもしくは機能しないこと、又は外部要因に起因するリスクの総称であります。
当行では、統合リスク管理における各リスクの定量的な把握においては、自己資本比率算出におけるオペレーショナル・リスク相当額をオペレーショナル・リスク量として認識しております。
① 事務リスク
役職員が正確な事務を怠ったり、事務事故あるいは不正等を起こしたり、顧客情報等の重要情報を外部に漏洩した場合には、損害賠償等の経済的損失や社会的信用の低下により、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
② システムリスク
コンピュータシステムの停止又は誤作動等システム上の不備や、不正アクセス等コンピュータが不正に使用されることにより、当行の業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。
③ その他オペレーショナル・リスク
イ.規制・制度変更に関するリスク
当行は、現時点における法律・規則等に従い業務を遂行しておりますが、将来において法律・規則等の新設・変更・廃止によって生じる事態が、業務遂行や業績に悪影響を与える可能性があります。
ロ.コンプライアンスリスク
役職員の法令等違反に起因した損失の発生や、当行に対する訴訟の提起等により信用力の低下等が生じた場合には、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
ハ.風評リスク
取引先、投資家、報道機関、インターネット等を通じて、当行に対する悪評、信用不安につながる噂等が広まった場合、これらが正確な事実に基づいたものか否かにかかわらず、当行の業績に悪影響を与える可能性があります。
オペレーショナル・リスク管理については、事務リスク、システムリスク及びその他オペレーショナル・リスク(法務リスク・人的リスク・有形資産リスク・風評リスク)の区分ごとに主管部を定め、管理を行う態勢としております。
事務リスクについては、事務規程の整備、研修及び営業店事務指導等により、厳正な事務取扱の定着に努めております。システムリスクに関して、当行は基幹システムの運営・管理を外部へ委託しておりますが、新日本有限責任監査法人から委託業務に係る内部統制の状況を把握し、その有効性の評価に利用する報告書(日本公認会計士協会監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」に基づき、受託会社監査人が提供する保証業務)を毎年受領しモニタリングを実施するとともに、年1回基幹システムの運営・管理を委託している株式会社エヌ・ティ・ティ・データに対しシステム監査を実施することにより、システムリスクの顕在化防止に努めております。その他、オペレーショナル・リスクについては、当該主管部署ごとに管理態勢の堅確化に努め、また、内部監査の実施により、リスクの顕在化を抑制しております。
(3)自己資本に関するリスク
当行は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められた国内基準4%以上に維持しなければなりませんが、連結・単体の自己資本比率が基準である4%を下回った場合には、金融庁から、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な行政処分を受ける可能性があります。連結・単体の自己資本比率は、本項に記載した様々な不利益な展開に伴い自己資本が毀損した場合、自己資本比率の基準及び算定方法が変更された場合、繰延税金資産が会計上の判断又は何らかの制約により減額された場合において悪化する可能性があります。
自己資本の充実度に関する評価方法として、資本金をはじめとする自己資本は、銀行がさらされているリスクが損失として顕在化した場合の最終的な受け皿となることから、(信用リスク、市場リスク、オペレーショナル・リスク)を定量的に把握したうえで、経営陣と関係部で構成するALM委員会において、市場リスク、信用リスク及びオペレーショナル・リスクの各リスクカテゴリー単位で自己資本を原資としたリスク管理枠を設定し、経営体力に見合ったリスクテイクとなっているか、管理しております。
(4)地方経済の動向に影響を受けるリスク
地方銀行である当行は、岩手県を主要な営業地域としておりますが、岩手県経済が悪化した場合には、取引先の信用状況の悪化や貸出金の減少等により、業績に悪影響を与える可能性があります。
(5)銀行業免許に関するリスク
当行は、銀行法第4条第1項に基づく銀行業免許(免許番号 大蔵大臣 蔵銀第1075号)の交付を受け、銀行業務を行っております。銀行業の免許には、有効期間その他の期限が法令等で定められておりませんが、銀行法第27条及び第28条に免許の取消等の事由が定められております。
当行の主要な事業活動の継続には前述のとおり銀行業免許が必要ですが、現時点において、当行はこれらの免許の取消等の事由に該当する事実はありません。しかしながら、将来、何らかの理由により免許取消等があった場合には、当行の主要な事業活動に支障をきたすとともに業績に重大な影響を与える可能性があります。
(6)優先株式による希薄化リスク
当行は、当連結会計年度末現在において、第一種優先株式を4,000,000株発行しており、第一種優先株主は2037年9月28日までの間、当行に対し、当行普通株式と引換えに第一種優先株式の取得を請求することができます(以下、「第一種優先株式取得請求権」といいます。)。
当行は、2037年9月28日までに第一種優先株式取得請求権が行使されなかった第一種優先株式を、2037年9月29日をもって当行普通株式と引換えに取得致します(以下、「一斉取得」といいます。)。
以上のとおり、第一種優先株式に係る第一種優先株式取得請求権の行使及び一斉取得により、当行は最大で12,360,939株(当連結会計年度末現在の発行済普通株式数9,509,963株に対して129.97%)の普通株式を第一種優先株主に対し交付する可能性があり、その場合、当行普通株式の既存持分の希薄化が生じる可能性があります。
なお、当行は、2022年9月29日以降、取締役会が別に定める日が到来した時は、法令上可能な範囲で第一種優先株式の全部又は一部を取得することができます。
(7)新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、将来の経済環境は、より一層不確実性が増しております。また、当行グループの主要なお客さまである中小事業者におきましても事業活動への影響が深刻となってきております。このような中、上記(主要なリスク)に記載している信用リスク及び市場リスクがさらに増加する可能性があります。
信用リスクについては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が2020年度中に収束すると仮定して貸倒引当金を計上しておりますが、実際の地方経済への影響、感染症拡大の規模及び収束時期などの不確実性によって債権の評価に関する見積りが変動する可能性があり、将来当行グループにおける貸倒引当金が増額又は減額する可能性があります。
市場リスクについては、金融市場の不安定さが増しており、保有する有価証券に減損又は評価損が発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。
当行では2020年2月10日より、「新型コロナウイルス感染症に関するご相談窓口」を全営業店に設置し、お客さまからのご相談をお受けしております。お客さまの業況の実態把握に努め、新規融資の積極的な実施や既往債務の条件変更の迅速かつ柔軟な対応をしております。
また、行内で感染者が発生した場合、業務継続に影響を与える可能性があります。当行では、4月に取締役頭取を本部長とする「BCP対策本部」を設置し、行内での感染症拡大防止及び感染者が発生した場合の業務継続についての態勢を整備しております。また、行員が発熱した場合及び感染症に罹患した場合の本部報告態勢を整備し、「スプリットオペレーション」(勤務フロアの分散)の導入やテレワークを導入するなど、行内における感染拡大防止策を講じております。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E03544] S100IVIT)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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