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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IX8O (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社ヤクルト本社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、腸内菌叢(腸内フローラ)を構成する微生物のヒトへの役割を中心とした生命科学の追究により、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献するという企業理念の達成を目指しています。その中にあって当社研究開発部門は、長期的展望に立った基礎研究を行うとともに、それら基礎研究の成果を活かした飲料・食品、医薬品および化粧品などの研究開発に取り組んでいます。あわせて、事業戦略上求められる研究開発課題の解決や社会の要請に応じた商品の安全性確保と環境対策に関する研究にも力を注いでいます。
当連結会計年度の研究開発費の総額は8,968百万円で、セグメント情報にかかわる研究開発活動の概要は、次のとおりです。

(1) 基礎研究開発分野

基礎研究開発分野においては、腸内フローラとヒトの健康との関わりを明らかにするために、分子生物学・微生物学・免疫学・生理学・栄養学などの多面的な研究を行っています。プロバイオティクスとしての乳酸菌・ビフィズス菌がヒトの健康維持・増進に果たす役割の解明に重点をおくと同時に、新規の微生物や天然物の探索を行い、飲料・食品、医薬品および化粧品などへの利用を目指した機能性素材の開発に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究成果は次のとおりです。
① 東京都健康長寿医療センター研究所との共同研究で、群馬県吾妻郡中之条町の高齢者を対象に、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳製品の摂取頻度および日常的な身体活動と便秘リスクとの関係を疫学的に調査しました。その結果、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳製品の摂取頻度が高い高齢者や、1日7,000歩以上歩く高齢者は便秘になるリスクが低いことを明らかにしました。また、これらの組み合わせは便秘リスクの低減に効果的であることを明らかにしました。本研究により、高齢者の便秘対策のひとつとして、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳製品の高頻度の摂取と定期的な運動の組み合わせが有効であることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Frontiers in Microbiology」に掲載されました。
② 神奈川工科大学との共同研究で、高齢者福祉施設に入居している高齢者を対象に、ウイルス感染のリスクが高くなる冬季を含む6か月間、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳酸菌飲料の継続摂取試験を実施しました。その結果、乳酸菌飲料を継続摂取した群では、乳酸菌を含まないプラセボを継続摂取した群と比較して、摂取期間中の総発熱日数および発熱時の持続日数が有意に短いことを確認しました。本研究により、高齢者における感染症対策のひとつとして、「L.カゼイ・シロタ株(乳酸菌)」を含む乳酸菌飲料の継続摂取が有効であることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Bioscience of Microbiota, Food and Health」に掲載されました。

③ 国立病院機構下志津病院との共同研究で、スギ花粉症症状を有する方を対象に、「L.プランタルム YIT 0132(乳酸菌)」を含む発酵果汁飲料の継続摂取試験をスギ花粉飛散時期に実施しました。その結果、発酵果汁飲料を継続摂取した群では、乳酸菌を含まないプラセボを継続摂取した群と比較して、花粉飛散初期のスギ花粉症症状が有意に軽減されました。また、プラセボ飲用群で認められた花粉飛散に伴う制御性T細胞(Treg)の減少が発酵果汁飲料飲用群では認められませんでした。さらに、発酵果汁飲料飲用群の中で、摂取期間中にTregが増加した被験者群では、Tregが減少した被験者群と比較して、摂取期間中の鼻症状(鼻づまり、鼻水、くしゃみ)が軽減することを確認しました。本研究により、乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取が花粉飛散期におけるスギ花粉症症状を軽減すること、本効果にはTregの変化が関与することが示唆されました。本研究成果は、学術誌「Allergy」に掲載されました。
④ 順天堂大学および沖縄県立南部医療センター・こども医療センターとの共同研究で、低出生体重児(出生時体重1,500g未満)を対象に、初乳および母乳とともに「B.ブレーベ・ヤクルト株(ビフィズス菌)」の菌末を継続的に投与した場合の成長に及ぼす影響を調査しました。その結果、生後24時間以内に菌末投与を開始した群では、菌を含まないプラセボを投与した群と比較して、生後8週までに有意な体重増加が確認されました。また、菌末投与群では、プラセボ投与群と比較して、便中のビフィズス菌の検出率、総菌数、有機酸濃度が有意に高い値を示しました。本研究により、低出生体重児における「B.ブレーベ・ヤクルト株(ビフィズス菌)」の継続摂取には、ビフィズス菌優位の腸内細菌叢の早期形成と腸内の有機酸を介した成長促進が期待されます。本研究成果は、学術誌「Biomedicine Hub」に掲載されました。
⑤ 愛媛大学大学院との共同研究で、出生後に新生児集中治療室(NICU)で保育された早産児(在胎37週未満)と健康な正期産児(在胎37~42週)における腸内細菌叢の形成過程について調査しました。その結果、NICUで保育された早産児は、正期産児と比較して、ビフィズス菌の定着が遅れること、ブドウ球菌群が多いことを確認しました。また、ビフィズス菌優勢の腸内細菌叢が形成された産児では、腸内の有機酸濃度が上昇し、pHが低下することを明らかにしました。本研究により、NICUで保育される早産児の腸内細菌叢をビフィズス菌優勢の腸内細菌叢へ早期に導くことにより腸内環境が良好に保たれ、早産児が罹患しやすい疾病リスクの低減に繋がることが期待されます。本研究成果は、学術誌「Beneficial Microbes」に掲載されました。

今後も、最先端のバイオテクノロジーに基づく腸内フローラ研究を推進し、プロバイオティクスの健康維持・増進機能の検証と解明に取り組んでいきます。さらに、生活習慣病予防をターゲットとした次世代プロバイオティクスや新規機能性素材の研究開発に重点的に力を注いでいきます。
当分野の研究開発費は1,572百万円です。

(2) 飲料および食品製造販売事業分野

飲料および食品研究開発分野においては、ヒトの健康に積極的に寄与する商品開発を目指しています。特に、研究開発の対象としては、生活環境の変化や加齢によってバランスのくずれた免疫調節機能を正常化する生体防御面と、世代を超えて拡大している生活習慣病の予防に配慮した生理・代謝機能面に加え、近年の研究により明らかになってきた脳と腸が自律神経を介してお互いに密接に影響を及ぼしあう「脳腸相関」に着目しています。具体的には、プロバイオティクスのパイオニアとして「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」「B.ビフィダム Y株」などを利用し、作用領域を拡大した乳酸菌飲料等、自然界に存在する多くの機能性素材を利用した食品の研究開発に力を注いでいます。
また、より一層お客さまのニーズに応えるため、プロバイオティクスを使用した乳製品および清涼飲料のラインアップの充実を図っています。
当連結会計年度の成果は次のとおりです。
① 乳製品
ア.当社初の機能性表示食品で、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」の機能がある「Yakult(ヤクルト)1000」を昨年10月に関東1都6県で導入しました。
イ.ロングセラー商品である「ジョア」について、期間限定アイテムとして、「旬のピーチ」を昨年4月に、「南国パイン」を7月に、「贅沢オレンジ」を9月に導入しました。また、本年3月に栄養成分を強化して「ジョア」シリーズをリニューアルするとともに、新たに小容量(80ml)タイプを2品導入しました。

ウ. ソフトタイプヨーグルトとして、アロエ葉肉の食感とヨーグルトのなめらかな舌ざわりがマッチした「アロエヨーグルト」と、1日分の鉄と葉酸を含有し、ベリー系を主体とした4種の果汁とヨーグルトのなめらかさがマッチした「1日分の鉄&葉酸ヨーグルト」を昨年10月に導入しました。
エ.国内初の胃に関する機能性表示食品として、ビフィズス菌「B.ビフィダム Y株」を含む乳製品乳酸菌飲料「BF-1(ビーエフワン)」を昨年11月に導入しました。
オ.基幹商品である「ヤクルト400」のシリーズ品として、生きて腸内に到達する「乳酸菌 シロタ株」と腸内の乳酸菌を増やす「ガラクトオリゴ糖」を一緒に摂ることができる“シンバイオティクス”を訴求した「ヤクルト400W」を本年1月に九州地区限定で導入しました。
② 清涼飲料等
ア. 主に20~30代の女性に向けたブランド「三つ星Factory」商品として販売している美容ドリンク「CHOBI(チョビ)」について、新たに1日分のビタミンEを追加するとともに、より飲みやすいすっきりとした風味へリニューアルし、本年1月に導入しました。
イ. 袋入り即席めん「ヤクルト麵許皆伝」のシリーズ品として、ガーリックをきかせた旨みのあるとんこつ味の「ヤクルト麵許皆伝 とんこつ味」を昨年10月に導入しました。
③ その他海外事業支援
メキシコヤクルト株式会社が昨年5月に導入した、「ソフールLT ピーチ」の技術支援を行いました。
当分野の研究開発費は4,461百万円です。

(3) 医薬品製造販売事業分野

医薬品研究開発分野においては、抗がん剤を中心とした薬剤の研究開発を進めています。
ドイツの4SC社から導入したHDAC阻害剤「レスミノスタット」については、皮膚T細胞リンパ腫を対象とした第Ⅱ相国際共同臨床試験を実施中です。
米国のベラステム社から導入したPI3K阻害剤「デュベリシブ」については、再発または難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫を対象とした第Ⅰ相臨床試験および再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫を対象とした第Ⅱ相国際共同臨床試験を実施中です。また、その他血液がんに対する開発の可能性についても検討中です。
「結腸・直腸がん」「胃がん」などの標準的治療薬として広く用いられている抗悪性腫瘍剤「エルプラット」(一般名:オキサリプラチン)については、「進行・再発胃がん」の用法・用量の追加を目的とした第Ⅲ相臨床試験を大鵬薬品工業株式会社と共同で実施中です。
基礎創薬研究分野では、抗がん剤およびその周辺領域でのシーズを確保するための研究を引き続き実施しています。
当分野の研究開発費は2,343百万円です。

(4) その他事業分野

その他事業分野のうち化粧品研究開発分野においては、多様化するお客さまのニーズに応えることを目指し、「美」と「健康」の追究と当社独自の乳酸菌はっ酵技術を活かした「高機能・高品質で安全性の高い化粧品」の開発を志向しています。
基礎化粧品については、乳酸菌生まれの保湿成分である「S.E.(シロタエッセンス)」を配合した保湿効果の高い基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズのリニューアルを昨年7月に実施しました。また、当社独自の「浸透促進技術」により美白有効成分の効果を高め、輝く美しさへと導く薬用美白美容液「クリスタンス ホワイトリペア エッセンス」のリニューアルを本年3月に実施しました。
トイレタリー商品については、大人の髪悩み(パサつき、うねり、つや、ボリューム、ハリ・コシ、切れ毛、指通り感の悪さ)に応える“髪の健康”を考えたヘアケアシリーズ「ラミーヌ S.E.」として昨年12月にリニューアルを実施しました。
当分野の研究開発費は591百万円です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00406] S100IX8O)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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