有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IW0B (EDINETへの外部リンク)
東京海上ホールディングス株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
当社グル-プは、中期経営計画を推進していくための経営基盤として「リスクベース経営(ERM*1)」に取り組んでおります。具体的には、「リスク」・「資本」・「利益」の関係を常に意識し、リスク対比での「資本の十分性」や「高い収益性」を実現することにより、企業価値の持続的な拡大をめざしております。「資本の十分性」に関しては、AA格相当の資本を維持する方針としており、「高い収益性」に関しては、資本コスト*2(7%)を上回る資本効率を実現し、将来的に12%程度のROEをめざしております。
中期経営計画を、リスクベース経営(ERM)の観点で整理したものが、下図のフレームワークです。事業構造改革やグループシナジーの取組みにより「持続的な利益成長」を実現するとともに、生みだされた利益・資本を、健全性を維持しつつさらなるポートフォリオの分散や株主還元の充実といった「資本の有効活用」に振り向け、それを次のさらなる成長に繋げることをめざしております。
*1 ERM :Enterprise Risk Management
*2 資本コスト:投資家が投資先企業に期待する収益率のことをいいます。
当社グループでは、CAPM法(資本資産評価モデル)により算出しており、成果指標の策定や事業投資の判断に活用しております。
また、当社グループは、リスク軽減・回避等を目的とした従来型のリスク管理にとどまらず、リスクを定性・定量の両面のアプローチから網羅的に把握したうえで、これらのリスク情報を有効に活用し、当社グループ全体の「リスク」・「資本」・「利益」を適切にコントロールしております。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)定性的リスク管理
定性的リスク管理においては、環境変化等により新たに現れてくる「エマージングリスク」*3を含めたあらゆるリスクを網羅的に把握して経営に報告する態勢としており、グループを取り巻くリスクについて随時経営レベルで論議を行っております。
こうして把握したリスクについて、経済的損失額や発生頻度といった要素だけでなく、業務継続性やレピュテーションの要素も加え、総合的に評価を行い、グループ全体またはグループ会社の財務の健全性、業務継続性等に極めて大きな影響を及ぼすリスクを「重要なリスク」として特定しております。
*3 エマージングリスク:環境変化等により新たに現れてくるリスクであって従来リスクとして認識されていなかったもの、あるいは、リスクの程度が著しく高まったもの。
○エマージングリスクの洗い出しと重要なリスクの特定プロセス
○重要なリスクの主な想定シナリオ
(2)定量的リスク管理
定量的リスク管理においては、格付の維持および倒産の防止を目的として、保有しているリスク対比で資本が十分な水準にあることを多角的に検証しております。
具体的には、リスクをAA格相当の信頼水準である99.95%バリューアットリスク(VaR)*4で定量評価し、実質純資産*5をリスク量で除したエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)の水準により、資本の十分性を確認するとともに、事業投資機会や今後の市場環境の見通し等も総合的に勘案して資本政策を決定しております。
当社グループのESRのターゲットレンジは150~210%ですが、2020年3月末時点におけるエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)は153%となり、資本が十分な水準にあることを確認しております。
また、定性的リスク管理において特定した「重要なリスク」のうち、経済的損失が極めて大きい表中1から4の想定シナリオに基づくストレステストを実施することにより、事業継続および破綻回避の検証を行い、資本の十分性および資金の流動性に問題がないことを確認しております。
*4 バリューアットリスク(VaR):将来の一定期間のうちに、一定の確率の範囲内で被る可能性のある最大損失額のことをいいます。99.95%VaRとは、今後1年間の損失が99.95%の確率でその額以内に収まる金額水準であります。
*5 実質純資産 :財務会計上の連結純資産に、異常危険準備金、価格変動準備金等の資本性負債、生保保有契約価値等を加算する一方、株主還元予定額やのれん等を控除して算出します。
(3)BCPの策定
重大な災害が発生した場合においても、重要業務を継続し早期復旧を図るため、災害に関するBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定するとともに、定期的に訓練を実施するなどし、備えております。
(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響につきましては、保険引受面においては、経済活動の落ち込みに伴う保険料収入の減収、海外を中心とした新種保険等の保険金支払の増加、資産運用面においては、金利低下によるインカム利回りの低下や、株価下落等に伴う減損の計上等があります。
本有価証券報告書提出日現在において想定される主な影響は、次のとおりであります。
中期経営計画を、リスクベース経営(ERM)の観点で整理したものが、下図のフレームワークです。事業構造改革やグループシナジーの取組みにより「持続的な利益成長」を実現するとともに、生みだされた利益・資本を、健全性を維持しつつさらなるポートフォリオの分散や株主還元の充実といった「資本の有効活用」に振り向け、それを次のさらなる成長に繋げることをめざしております。
*1 ERM :Enterprise Risk Management
*2 資本コスト:投資家が投資先企業に期待する収益率のことをいいます。
当社グループでは、CAPM法(資本資産評価モデル)により算出しており、成果指標の策定や事業投資の判断に活用しております。
また、当社グループは、リスク軽減・回避等を目的とした従来型のリスク管理にとどまらず、リスクを定性・定量の両面のアプローチから網羅的に把握したうえで、これらのリスク情報を有効に活用し、当社グループ全体の「リスク」・「資本」・「利益」を適切にコントロールしております。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)定性的リスク管理
定性的リスク管理においては、環境変化等により新たに現れてくる「エマージングリスク」*3を含めたあらゆるリスクを網羅的に把握して経営に報告する態勢としており、グループを取り巻くリスクについて随時経営レベルで論議を行っております。
こうして把握したリスクについて、経済的損失額や発生頻度といった要素だけでなく、業務継続性やレピュテーションの要素も加え、総合的に評価を行い、グループ全体またはグループ会社の財務の健全性、業務継続性等に極めて大きな影響を及ぼすリスクを「重要なリスク」として特定しております。
*3 エマージングリスク:環境変化等により新たに現れてくるリスクであって従来リスクとして認識されていなかったもの、あるいは、リスクの程度が著しく高まったもの。
○エマージングリスクの洗い出しと重要なリスクの特定プロセス
○重要なリスクの主な想定シナリオ
重要なリスク | 主な想定シナリオ | |
1 | 国内外の経済危機、金融・資本市場の混乱 | ① リーマンショック級の世界金融危機が発生し、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 ② 地政学リスクの顕在化等により金融・資本市場の混乱が生じ、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 |
2 | 日本国債への信認毀損 | ① 政府の信用力低下により日本国債が暴落し、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 |
3 | 巨大地震 | ① 首都直下地震の発生により、多額の保険金支払が発生する。また、当社グループの事業継続に重大な影響が生じるほか、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 ② 南海トラフ等の海溝型巨大地震により、多額の保険金支払が発生する。また、当社グループの事業継続に重大な影響が生じるほか、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 |
4 | 巨大風水災 | ① 日本で巨大台風や集中豪雨による大規模な風水災害が発生し、多額の保険金支払が発生する。また、当社グループの事業継続に重大な影響が生じる。 ② 同一年度に複数の巨大ハリケーンが米国東海岸に上陸し、多額の保険金支払が発生する。 |
5 | 火山噴火 | ① 富士山の大規模噴火による多量の降灰により、広範囲で交通網寸断、停電、通信障害等が発生し、首都機能が麻痺する。また、当社グループの事業継続に重大な影響が生じるほか、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 |
6 | パンデミック | ① 新たな感染症の蔓延により多くの人が亡くなり、多額の保険金支払が発生する。また、当社グループの事業継続に重大な影響が生じるほか、当社グループ保有資産の価値が大幅に下落する。 |
7 | 革新的新技術による産業構造の転換 | ① コネクティッドカー、自動運転、カーシェアリング、電気自動車等の普及により、自動車保険を中心に収益が減少する。 ② 異業種の企業が保険業界に新規参入し、個人マーケットを中心に当社グループの営業基盤を侵食することで、収益が減少する。 ③ 当社グループが革新的新技術への対応遅れから競争優位性を失い、収益が減少する。 |
8 | サイバーリスク | ① サイバー攻撃により当社グループのシステムや販売チャネルのシステムで障害が発生し、当社グループの事業継続に重大な影響が生じる。また、レピュテーショナルリスクの顕在化によって企業価値を毀損する。 ② 顧客企業においてサイバー攻撃による被害が急増し、多額の保険金支払が発生する。 |
9 | テロ・暴動 | ① 当社グループの重要拠点近くで大規模なテロや暴動が発生し、当社グループの事業継続に重大な影響が生じる。 |
10 | コンダクトリスク | ① 当社グループや保険業界の慣行が世間の常識と乖離して不適切な企業行動とされ、レピュテーショナルリスクの顕在化によって企業価値を毀損する。 |
11 | 法令・規制への抵触 | ① 当社グループの取引きが国内外の法令・規制に抵触し、監督当局に対して多額の課徴金や和解金の支払いを余儀なくされる。また、レピュテーショナルリスクの顕在化によって企業価値を毀損する。 |
(2)定量的リスク管理
定量的リスク管理においては、格付の維持および倒産の防止を目的として、保有しているリスク対比で資本が十分な水準にあることを多角的に検証しております。
具体的には、リスクをAA格相当の信頼水準である99.95%バリューアットリスク(VaR)*4で定量評価し、実質純資産*5をリスク量で除したエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)の水準により、資本の十分性を確認するとともに、事業投資機会や今後の市場環境の見通し等も総合的に勘案して資本政策を決定しております。
当社グループのESRのターゲットレンジは150~210%ですが、2020年3月末時点におけるエコノミック・ソルベンシー・レシオ(ESR)は153%となり、資本が十分な水準にあることを確認しております。
また、定性的リスク管理において特定した「重要なリスク」のうち、経済的損失が極めて大きい表中1から4の想定シナリオに基づくストレステストを実施することにより、事業継続および破綻回避の検証を行い、資本の十分性および資金の流動性に問題がないことを確認しております。
*4 バリューアットリスク(VaR):将来の一定期間のうちに、一定の確率の範囲内で被る可能性のある最大損失額のことをいいます。99.95%VaRとは、今後1年間の損失が99.95%の確率でその額以内に収まる金額水準であります。
*5 実質純資産 :財務会計上の連結純資産に、異常危険準備金、価格変動準備金等の資本性負債、生保保有契約価値等を加算する一方、株主還元予定額やのれん等を控除して算出します。
(3)BCPの策定
重大な災害が発生した場合においても、重要業務を継続し早期復旧を図るため、災害に関するBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を策定するとともに、定期的に訓練を実施するなどし、備えております。
(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響につきましては、保険引受面においては、経済活動の落ち込みに伴う保険料収入の減収、海外を中心とした新種保険等の保険金支払の増加、資産運用面においては、金利低下によるインカム利回りの低下や、株価下落等に伴う減損の計上等があります。
本有価証券報告書提出日現在において想定される主な影響は、次のとおりであります。
分類 | 区分 | 主な影響 |
保険引受 | 国内 | 自動車保険:新車販売減少による減収の一方、交通量減少による事故減少で保険金支払が減少 |
傷害保険:旅行者数の減少に伴い、旅行傷害保険料が減少 | ||
海上保険:世界的な物流減に伴い、貨物保険料が減少 | ||
新種保険:感染症を明示的に補償する一部の特約(特定業種向け等)での保険金支払が増加 | ||
海外 | 興行中止保険:イベントの中止や延期に伴う保険金支払が増加 | |
休業利益保険:感染症を明示的に補償する一部の契約での保険金支払が増加 | ||
信用・保証保険:経済停滞の程度が大きくなった場合、保険金支払が増加 | ||
資産運用 | 金利低下に伴うインカム利回りの低下 | |
米国拠点で保有する株価下落に伴う米国会計基準上の評価損 | ||
デフォルト率上昇に伴う信用リスク資産の減損 |
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