有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IU71 (EDINETへの外部リンク)
ヤマトホールディングス株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、ヤマトグループの経営成績等に重要な影響を与えると認識している主要なリスクについて、経営への影響と顕在化する可能性の観点から重要なものを、事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスクと、事業運営に係るリスクに分類して、以下のように取り纏めております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
(1) 事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク
①市場・競争環境の変化によるリスク
ヤマトグループを取り巻く事業環境は大きく急速に変化しています。産業のEC化を背景に小口貨物が増加するとともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、従来の消費・産業構造に適応していた宅急便だけではこれらの環境変化に対応できない可能性があります。また、市場構造の変化に伴い、物流事業者との競争の激化のみならず、自社物流化を進めるECプラットフォーマーとの戦略的な関係性がより重要となるなど、競争環境も変化しています。ヤマトグループの連結営業収益に占めるデリバリー事業の構成比は当連結会計年度において約8割を占めており、特にデリバリー事業が市場・競争環境の変化に適切に対応できない場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、持続可能な社会の発展に向けた企業の関わりや課題解決がより重要となっており、持続可能性を伴わない企業活動を行う場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化すること、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2020年1月に中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定しました。宅急便を中心とした経営構造を変革し、「お客様・社会のニーズに正面から向き合う経営のさらなる強化」、「データ・ドリブン経営への転換」、「共創により物流のエコシステムを創出する経営への転換」という3つの基本戦略に基づき、様々な取組みを推進しております。また、ヤマトグループは、当プランにおいて、「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を基盤構造改革の一つとして位置づけ、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進しています。
②労働人口の減少によるリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。国内の労働人口の減少により労働需給がさらに逼迫し人材を十分に確保できない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社員が働きやすさと働きがいを持ち、イキイキと働くことができる労働環境を実現し、社員満足を高めるとともに多様な人材から選ばれる会社となるため、魅力ある人事制度の構築や、社員の自主・自律が評価されイキイキと働くことができる評価制度の導入、教育体系の再構築などを推進しています。また、宅急便のデジタルトランスフォーメーションを推進し、輸配送工程とオペレーション全体の最適化、標準化や、集配および幹線輸送の生産性向上に向けて、データ分析とAIの活用による需要と業務量予測の精度向上に取り組むとともに、物流ネットワーク全体の仕分け生産性向上に向けた、デジタル化とロボティクスの導入による仕分けプロセスの革新などを推進しております。
③テクノロジーの進化に係るリスク
ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマイルの変革等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、データ・ドリブン経営への転換を推進し、社内外のデジタル・IT人材を結集して先端テクノロジーの導入を進める専門組織を立ち上げるとともに、デジタル分野への直接投資やCVCファンドを通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオープンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。
④情報セキュリティに係るリスク
ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏洩した場合やデータ喪失が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデータ戦略に疑念が生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、組織的・人的な対策と多層防御による技術的対策に取り組んでいます。
⑤地域の過疎化によるリスク
ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化しており、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営体制を刷新します。そして、地域法人事業を担当する部門が主体となり、自治体を含めた地域のステークホルダーと連携の上、地域のインフラとしてのサプライチェーンを再構築し、地域社会の持続可能性に貢献する取組みを推進していきます。
⑥コンプライアンスに係るリスク
ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、商品管理規程に基づく商品管理プロセスの適切な運用や、社員への倫理教育の実施、内部通報制度及び協力会社・パートナーに対するアンケートを通じた不適正事案の早期発見と適切な対応など、グループガバナンスの強化に取り組んでいます。また、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営体制を刷新し、経営と第一線の距離を縮め、意思疎通の緊密化と意思決定の迅速化を図ることで、健全な企業風土の醸成に努めていきます。
(2) 事業運営に係るリスク
①感染症に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、社員の安全と健康を前提に事業を運営しております。予期せぬ感染症の流行等が発生した場合、社員の罹患等による人材の不足や、衛生用品の供与等に係る費用の発生、さらには事業継続が困難になることなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、現在進行中の新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、収束まで長期間を要する場合、法人顧客との取引減少等により経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けへの対応や接客時の感染防止対策の実施、ホームページなどを活用した情報発信などに取り組み、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に努めています。
②お客様の期待に沿わないサービス提供によるリスク
ヤマトグループは、これまで宅急便をはじめとした質の高いサービスの提供によりお客様の支持を得てまいりました。しかしながら、産業のEC化が急進展するとともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、これらの変化に適切に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2021年4月にグループ経営体制を刷新し、従来の機能単位の組織を、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4つの顧客セグメント単位に再編することで、お客様のニーズに向き合うとともに、CX(顧客体験)戦略の策定を推進しています。また、宅急便のデジタルトランスフォーメーションを推進し、セールスドライバーがお客様へのサービス提供により多くの時間を費やせる環境を構築しています。
③M&A及び資本業務提携に係るリスク
ヤマトグループは、持続的成長に向けて、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、海外物流事業者等との資本業務提携等を実施してきました。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、出資案件について、フィージビリティスタディの結果等を踏まえ目指すべきビジネスモデルを十分に検討した上で判断するとともに、出資後は、定期的なモニタリングを継続実施しています。
④災害、停電等に係るリスク
ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全と燃料、電気の安定供給等を前提に事業を運営しております。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員の被災等による人材の不足、車両・情報機器・施設等の損壊・水没、停電・断水や燃料・備品の供給不足等による事業停止、および車両、施設等の修理・買替費用等の発生により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態においても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。また、2011年に発生した東日本大震災等の経験を踏まえ、様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っています。そして、BCP訓練や施設の水害リスク評価等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えて集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。
⑤重大交通事故・労働災害に係るリスク
ヤマトグループは、デリバリー事業を中心に公道を使用して車両により営業活動を行っており、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社員等の労働安全を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントの推進や安全確保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全意識の浸透、労働安全の確保などに取り組んでいます。
⑥国際情勢等の影響によるリスク
ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、サプライチェーンの寸断等による物流の停滞や社員の避難等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、デリバリー事業をはじめとして、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠であります。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格が高騰した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、陸海空の多様な輸送手段を用いてお客様のニーズに対応するとともに、モーダルシフト、低公害車の導入、台車集配の推進等、使用燃料を抑制する施策を推進しています。
⑦金融市場の影響によるリスク
ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。今後の国内外の経済情勢により、金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇により支払利息が増大する可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強化するとともに、資金調達先および時期の適度な分散を図ってまいります。
⑧環境規制に係るリスク
ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しております。気候変動をはじめとした地球規模の環境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務が強化される場合、デリバリー事業を中心に、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「企業姿勢」に「環境保全の推進」を定め、事業を通じた環境課題の解決に取り組んでいます。特に気候変動のリスクや機会は、事業の成長に深く関わる重要な事項であるとの認識を持ち、CO2排出量削減の目標を設定した上で、エネルギー消費量の監視や原因分析を行い、省エネ施策を講じるとともに、ハイブリッド自動車や電気自動車などの低炭素車両へのシフト、市街地の集配において電動アシスト自転車や台車などを多用することなどにより、積極的にGHGの削減を進めています。また、事業の環境負荷を減らすだけではなくCO2排出量削減に資するサービスの在り方を追求するなど、気候変動の影響を緩和させる取組みと適応していくための取組みを進めております。
⑨労務関連法制に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度を整備するとともに、宅急便のデジタルトランスフォーメーションなどによる生産性の向上に取り組んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在においてヤマトグループが判断したものであります。
(1) 事業環境及びそれに対応した戦略に係るリスク
①市場・競争環境の変化によるリスク
ヤマトグループを取り巻く事業環境は大きく急速に変化しています。産業のEC化を背景に小口貨物が増加するとともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、従来の消費・産業構造に適応していた宅急便だけではこれらの環境変化に対応できない可能性があります。また、市場構造の変化に伴い、物流事業者との競争の激化のみならず、自社物流化を進めるECプラットフォーマーとの戦略的な関係性がより重要となるなど、競争環境も変化しています。ヤマトグループの連結営業収益に占めるデリバリー事業の構成比は当連結会計年度において約8割を占めており、特にデリバリー事業が市場・競争環境の変化に適切に対応できない場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、持続可能な社会の発展に向けた企業の関わりや課題解決がより重要となっており、持続可能性を伴わない企業活動を行う場合、お客様の支持が低下することや地域社会との関係が悪化すること、優秀な人材確保が困難になること、資金調達コストが上昇することなどにより、中長期的に、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2020年1月に中長期の経営のグランドデザインである経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定しました。宅急便を中心とした経営構造を変革し、「お客様・社会のニーズに正面から向き合う経営のさらなる強化」、「データ・ドリブン経営への転換」、「共創により物流のエコシステムを創出する経営への転換」という3つの基本戦略に基づき、様々な取組みを推進しております。また、ヤマトグループは、当プランにおいて、「サステナビリティの取組み~環境と社会を組み込んだ経営~」を基盤構造改革の一つとして位置づけ、持続可能な未来を切り拓く将来の姿として掲げた「つなぐ、未来を届ける、グリーン物流」、「共創による、フェアで、“誰一人取り残さない”社会の実現への貢献」という2つのビジョンの下、人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済によりよい物流の実現を目指し、特定した重要課題に対する取組みを推進しています。
②労働人口の減少によるリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。国内の労働人口の減少により労働需給がさらに逼迫し人材を十分に確保できない場合や、人材獲得競争の激化によりコストが大幅に増加した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社員が働きやすさと働きがいを持ち、イキイキと働くことができる労働環境を実現し、社員満足を高めるとともに多様な人材から選ばれる会社となるため、魅力ある人事制度の構築や、社員の自主・自律が評価されイキイキと働くことができる評価制度の導入、教育体系の再構築などを推進しています。また、宅急便のデジタルトランスフォーメーションを推進し、輸配送工程とオペレーション全体の最適化、標準化や、集配および幹線輸送の生産性向上に向けて、データ分析とAIの活用による需要と業務量予測の精度向上に取り組むとともに、物流ネットワーク全体の仕分け生産性向上に向けた、デジタル化とロボティクスの導入による仕分けプロセスの革新などを推進しております。
③テクノロジーの進化に係るリスク
ヤマトグループが事業を展開する物流業界において、AI・IoT・ビッグデータ等の活用によるリソースの最適化や、ロボティクスの活用による倉庫業務の自動化、ドローン・自動運転の活用による幹線輸送やラストワンマイルの変革等、テクノロジーの進化に伴う様々な変化が生じています。短中期的に見込まれる新たなビジネスモデルの出現に対してヤマトグループが適切に対応できない場合や、技術トレンドの誤った理解および先端テクノロジーの導入手法に不備が発生した場合、期待通りの投資効果を得られず、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、データ・ドリブン経営への転換を推進し、社内外のデジタル・IT人材を結集して先端テクノロジーの導入を進める専門組織を立ち上げるとともに、デジタル分野への直接投資やCVCファンドを通じて、ヤマトグループの脅威となりうるテクノロジーや事業モデルの早期察知、およびオープンイノベーションによる新たな成長モデルの創出に取り組んでいます。
④情報セキュリティに係るリスク
ヤマトグループは、営業上の機密情報に加え、物流業務や情報処理の受託等を通じて多くの個人情報・顧客情報を保有しています。サイバー攻撃や管理の不徹底等により情報が外部に漏洩した場合やデータ喪失が発生した場合、社会的信用の低下や損害賠償請求の発生、さらには推進しているデータ戦略に疑念が生じることなどにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、サイバー攻撃の高度化・巧妙化を想定した上で、組織的・人的な対策と多層防御による技術的対策に取り組んでいます。
⑤地域の過疎化によるリスク
ヤマトグループの主な市場である日本国内は、総人口が減少するとともに、地域生活、地域経済において様々な課題が発生しています。過疎化や高齢化が進む地域では、配送効率の低下や集配を担う人材不足が顕在化しており、今後、地域経済が縮小することにより地域社会インフラの衰退などの問題が深刻化する場合や、そのような地域における収益性が低下することで、中長期的な観点で全国をきめ細かくカバーする物流ネットワークの維持が困難になる場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営体制を刷新します。そして、地域法人事業を担当する部門が主体となり、自治体を含めた地域のステークホルダーと連携の上、地域のインフラとしてのサプライチェーンを再構築し、地域社会の持続可能性に貢献する取組みを推進していきます。
⑥コンプライアンスに係るリスク
ヤマトグループは、コンプライアンスを最優先とした経営を推進しています。しかしながら、商品・サービスや労働・安全、サプライチェーン全体におけるコンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、各種法令に抵触する事態が発生した場合、ヤマトグループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した事象に対する追加的な費用の発生等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、グループ経営の健全性を高めるため、商品管理規程に基づく商品管理プロセスの適切な運用や、社員への倫理教育の実施、内部通報制度及び協力会社・パートナーに対するアンケートを通じた不適正事案の早期発見と適切な対応など、グループガバナンスの強化に取り組んでいます。また、経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」に基づきグループ経営体制を刷新し、経営と第一線の距離を縮め、意思疎通の緊密化と意思決定の迅速化を図ることで、健全な企業風土の醸成に努めていきます。
(2) 事業運営に係るリスク
①感染症に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、社員の安全と健康を前提に事業を運営しております。予期せぬ感染症の流行等が発生した場合、社員の罹患等による人材の不足や、衛生用品の供与等に係る費用の発生、さらには事業継続が困難になることなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、現在進行中の新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的な製造業の生産活動や貿易の停滞、移動の制限によるインバウンド需要の急激な減少、サービス業を中心とした営業自粛など経済活動全般が縮小しており、収束まで長期間を要する場合、法人顧客との取引減少等により経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、お客様に安心して宅急便をご利用いただくため、社員の衛生管理に最大限留意するとともに、非対面での荷物のお届けへの対応や接客時の感染防止対策の実施、ホームページなどを活用した情報発信などに取り組み、お客様、社員の安全を最優先に、宅急便をはじめとする物流サービスの継続に努めています。
②お客様の期待に沿わないサービス提供によるリスク
ヤマトグループは、これまで宅急便をはじめとした質の高いサービスの提供によりお客様の支持を得てまいりました。しかしながら、産業のEC化が急進展するとともに、お客様の期待やニーズが多様化しており、これらの変化に適切に対応できない場合、お客様の支持が低下することなどによりヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、2021年4月にグループ経営体制を刷新し、従来の機能単位の組織を、リテール・地域法人・グローバル法人・ECの4つの顧客セグメント単位に再編することで、お客様のニーズに向き合うとともに、CX(顧客体験)戦略の策定を推進しています。また、宅急便のデジタルトランスフォーメーションを推進し、セールスドライバーがお客様へのサービス提供により多くの時間を費やせる環境を構築しています。
③M&A及び資本業務提携に係るリスク
ヤマトグループは、持続的成長に向けて、クロスボーダー物流の拡大に対応するため、海外物流事業者等との資本業務提携等を実施してきました。しかしながら、事業環境や競争状況の変化により期待する成果が得られない場合や、予期せぬ事業上の問題が発生する場合、経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、出資案件について、フィージビリティスタディの結果等を踏まえ目指すべきビジネスモデルを十分に検討した上で判断するとともに、出資後は、定期的なモニタリングを継続実施しています。
④災害、停電等に係るリスク
ヤマトグループは、車両による荷物の輸送が主要な業務であり、社員の安全と健康、車両や施設の保全と燃料、電気の安定供給等を前提に事業を運営しております。予期せぬ大規模自然災害や停電等が発生した場合、社員の被災等による人材の不足、車両・情報機器・施設等の損壊・水没、停電・断水や燃料・備品の供給不足等による事業停止、および車両、施設等の修理・買替費用等の発生により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、社会的インフラを担う企業グループとして、不測の事態においても安定したサービス提供が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。また、2011年に発生した東日本大震災等の経験を踏まえ、様々な緊急事態を想定し、グループ全体で危機管理体制の強化を図っています。そして、BCP訓練や施設の水害リスク評価等を行うとともに、発災後の対応や予期せぬ災害に備えて集配停止・保全作業等に係るマニュアルの継続的な見直しなどに取り組んでいます。
⑤重大交通事故・労働災害に係るリスク
ヤマトグループは、デリバリー事業を中心に公道を使用して車両により営業活動を行っており、重大交通事故を発生させてしまった場合は、社会的信用が低下するとともに、行政処分による車両の使用停止や、「違反点数制度」による事業所の営業停止、事業許可の取り消し等が行われ、事業の中断や中止の可能性があります。また、社員等の労働安全を損なう重大な労働災害を発生させてしまった場合も、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、人命の尊重を最優先に、運輸安全マネジメントの推進や安全確保のためのルールの策定・遵守と設備・システムの整備、社員への安全意識の浸透、労働安全の確保などに取り組んでいます。
⑥国際情勢等の影響によるリスク
ヤマトグループが営業活動を行っている地域や、主要な取引先が営業活動を行っている地域がテロ・戦争等の国際紛争や貿易摩擦の影響を被った場合、サプライチェーンの寸断等による物流の停滞や社員の避難等により、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、ヤマトグループは、デリバリー事業をはじめとして、車両による荷物の輸送を主要な事業としており、軽油等燃料が常時安定的かつ適正に供給されることは事業を行う上で不可欠であります。国際情勢等の影響により供給に制約が発生した場合や、燃料価格が高騰した場合、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、陸海空の多様な輸送手段を用いてお客様のニーズに対応するとともに、モーダルシフト、低公害車の導入、台車集配の推進等、使用燃料を抑制する施策を推進しています。
⑦金融市場の影響によるリスク
ヤマトグループは、事業継続および事業成長に対する投資計画に照らし、必要資金についてはグループ資金を活用するとともに、金融機関からの借入および社債発行により対応しております。今後の国内外の経済情勢により、金融市場が機能不全となった場合や、金融機関の貸出先選別により、資金調達が困難になる可能性や、金利上昇により支払利息が増大する可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、キャッシュ創出状況、保有現預金や自己資本比率水準等の財務の健全性を維持・強化するとともに、資金調達先および時期の適度な分散を図ってまいります。
⑧環境規制に係るリスク
ヤマトグループは、事業を行うにあたり多数の車両を使用しております。気候変動をはじめとした地球規模の環境問題がさらに深刻化し、温室効果ガス(GHG)の排出規制や削減義務が強化される場合、デリバリー事業を中心に、低炭素車両の導入や設備改修などの費用が増加し、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、「企業姿勢」に「環境保全の推進」を定め、事業を通じた環境課題の解決に取り組んでいます。特に気候変動のリスクや機会は、事業の成長に深く関わる重要な事項であるとの認識を持ち、CO2排出量削減の目標を設定した上で、エネルギー消費量の監視や原因分析を行い、省エネ施策を講じるとともに、ハイブリッド自動車や電気自動車などの低炭素車両へのシフト、市街地の集配において電動アシスト自転車や台車などを多用することなどにより、積極的にGHGの削減を進めています。また、事業の環境負荷を減らすだけではなくCO2排出量削減に資するサービスの在り方を追求するなど、気候変動の影響を緩和させる取組みと適応していくための取組みを進めております。
⑨労務関連法制に係るリスク
ヤマトグループの展開する事業は労働集約型の事業が多く、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠です。労働や社会保険等に係る法令や制度等が改正された場合、対応するための費用の大幅な増加などにより、ヤマトグループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、ヤマトグループは、法制度に適切に対応した労働環境や人事制度を整備するとともに、宅急便のデジタルトランスフォーメーションなどによる生産性の向上に取り組んでいます。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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