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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IYP5 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社大林組 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、社会及び顧客の多様なニーズに応えるため、環境保全、エネルギー対策等の社会に貢献する技術や、生産性向上、品質確保、コストダウン等に資する工法や技術のほか、事業領域の拡大を図るための技術開発など多岐にわたる分野の研究開発活動を実施している。
また、研究開発活動の幅を広げ、効率化を図るため、国内外の大学、公的研究機関、異業種企業との技術交流、共同開発も積極的に推進している。
当社グループの当連結会計年度における研究開発に要した費用の総額は約137億円であり、主な研究開発成果は次のとおりである。
なお、当社は研究開発活動を国内建築、海外建築、国内土木、海外土木、不動産及びその他の各セグメントには区分していない。

(1) 当社
① 床版乾式水平切断工法「サブマリンスライサー™」を開発
鋼橋の床版取替工事において床版ハンチ部(梁の接合部などで断面が他の部分より大きくなっている箇所)を水平に切断する工法「サブマリンスライサー™」を、㈱横河ブリッジ及びコンクリートコーリング㈱と共同で開発した。
従来、道路橋の床版取替工事では、床版をいくつかの部分ごとに鉛直に切断したうえで撤去していたため、施工ステップが多く撤去作業に時間がかかっていた。
本工法では、乾式のワイヤーソーを用いた乾式水平切断装置で、床版下から桁と床版の接合部をずれ止めも含めて水平切断することで、施工ステップを大幅に削減し、床版撤去に伴う交通規制の期間を短縮することが可能となった。

② シールド三次元線形管理システムを開発
現在、開発に取り組んでいるシールド自動化システム「大林インテリジェントシールド(OGENTS:Obayashi Intelligent Shield)」の要素技術であるシールド自動運転「OGENTS/DRIVE™」の基本システムとなる、シールド三次元線形管理システムを開発した。
シールドトンネルの線形を管理するために重要なシールド機の方向修正計画の立案において、従来の方法では、1リングごとに断面を抽出し、余掘り(シールド機を修正したい方向に大きく掘削して隙間を作ること)やクリアランス(シールド機とセグメントリングの間の隙間)が適正であることを二次元で確認していたが、実際の掘削では余掘りやクリアランスが不足し、シールド機やセグメントリングに無理な力がかかることがあった。
今回開発したシステムでは、三次元モデルにより余掘りの量やクリアランスの大小を色で識別し、立体的に表示することで、余掘り量やクリアランスを的確に把握して計画の妥当性を判断できるため、一層の品質向上を図ることが可能となった。

③ 洋上風力発電に関する建設技術を確立
洋上風車建設において、比較的水深が浅い場所に適した着床式と、水深が深い場所に適した浮体式それぞれの形式に適応した建設技術を確立した。
着床式では、実大規模の「スカートサクションⓇ」(※)を実際に洋上に設置および撤去することで、洋上風車基礎としての適合性を実証した。また、浮体式では、アンカーに「スカートサクションⓇ」を活用し、コンクリート製浮体を海底地盤に緊張係留する「テンションレグプラットフォーム型浮体式洋上風力発電施設」を考案し、一般財団法人日本海事協会からの設計基本承認を取得した。
※スカートサクションⓇ:円筒型の壁を海底地盤中に貫入して洋上風車の安定性を確保する構造体。ポンプによる排水によって沈下するため、無振動・無騒音で、大型の機械を使うことなく施工することができる。

④ 「5G」を活用した道路造成工事に係る一連の作業の遠隔操作及び自動化の実証試験に成功
第5世代移動通信システム「5G」を活用した道路造成工事の実証試験に、KDDI㈱及び日本電気㈱と共同で成功した。
本実証試験では、5Gを使った3台の建設機械の遠隔操作や、自動運転システムを搭載した振動ローラの同時連携に加え、工事に必要な施工管理データのリアルタイム伝送・解析を行うことで、一般的な道路造成工事に係る一連の作業を遠隔操作、自動化で実現することに成功した。
将来的には、オフィスに設置した遠隔施工管理室から複数の建設現場に連続してアクセスしたり、一人の熟練工が複数の建設現場で複数重機に同時に対応できるようになり、建設現場までの移動時間や工数の削減につながることが期待される。

⑤ 耐火被覆の吹付け作業を自動化する「耐火被覆吹付けロボット」を開発
建設技能者の不足が著しい耐火被覆工事において、作業負担の大きいロックウール等の吹付け作業を自動化することで省人化を実現するとともに、作業効率と作業環境の改善も実現する耐火被覆吹付けロボットを開発した。
今回開発した耐火被覆吹付けロボットは、あらかじめ登録した作業データに従って建設現場内を走行し、半日もしくは1日単位の吹付け作業を自動化する。また、最大吹付け幅が建設技能者と比較して約2倍となることで作業効率が3割程度向上する。さらに、ロックウールの飛散量を約7割低減する粉じん飛散防止ノズルや、センサー認識による安全機能を備え、ロボットと協働する建設技能者の作業環境を改善する。
2020年度中に同ロボットを建築現場へ実適用することとしている。

⑥ 建設現場のIoT化に対応した通信環境を簡便に構築する多機能分電盤「ノアキューブ™」を開発
建設現場に設置する分電盤に、さまざまな規格の通信機能やネットワークカメラなどを付加した多機能分電盤「ノアキューブ™」を開発し建設現場に導入した。
「ノアキューブ™」は、設置して電力線を配線するだけで、追加の作業を行うことなく通信環境を構築することができるため、多種多様なIoT機器を通信規格に捉われることなく利用することができる。また、付属のネットワークカメラが建設現場内を遠隔監視する他、火花の自動検知機能を持つため、火気作業に起因する災害発生リスクが低減する。それに加え、照明設備や工事用機械の消費電力量を一元的に監視し、利用状況に応じて遠隔で電源のON/OFF操作が可能なため、無駄な消費電力を減らして省エネに貢献する。
すでに全国の建設現場で「ノアキューブ™」の導入を進めており、今後も標準の分電盤として普及展開していく予定である。

⑦ セメント系材料を用いた3Dプリンターで国内最大規模となる構造物を製造
3Dプリンター用特殊モルタルで製造した外殻に超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリートⓇ」を流し込むことで、型枠や鉄筋を使用せずに複雑なデザインの構造物を製造する技術を確立した。
一般的に、コンクリート製の構造物は引張強度を保つために、鉄筋などと組み合わせることが必要だが、引張強度が高く単独でも構造物として使用できる「スリムクリートⓇ」は、3Dプリンターで製造した外殻に流し込むことで軽量かつ丈夫な構造となるため、曲面や中空のある複雑なデザインを可能とした。併せて、独自の積層制御技術および大型ロボットアーム(アーム長約3.0m)を用いた3Dプリンターの導入により、国内最大規模の構造物の製造を実現した。

⑧ AIによる構造物の振動制御技術を開発
AI技術の一つである強化学習をアクティブ・マスダンパー(AMD)(※)に適用する手法を㈱Laboro.AIと共同で開発し、大林組技術研究所本館内ブリッジに設置しているAMDに試験適用し、高い制振効果を得た。
今回の強化学習の適用において、実際のブリッジの揺れをコンピューターでシミュレーションする段階で、装置の能力や実際の環境などに合わせた振動の制御を、試行錯誤を重ねながら学習していった。その結果、徐々に揺れを抑えることが可能となり、従来の理論による結果を上回る振動の制御を実現した。
今後は、地震や風による高層建物の揺れを抑えることのできる建物頂部のAMDに強化学習を適用するための開発も進め、将来の実用化を目指していく。
※アクティブ・マスダンパー:対象構造物に取り付けた重りを能動的に動かすことで対象構造物の振動を低減する技術。

(2) 大林道路㈱
計量装置を搭載し、積載重量表示を可能とした「スケールダンプ」の開発
道路舗装の切削オーバーレイ工事等における切削廃材の積み込み時の積載量をデジタル表示する「スケールダンプ」を、大煌工業㈱、極東開発工業㈱と共同開発した。
「スケールダンプ」は、車体の3箇所に登載したロードセル(計量装置)で計測した積載量をリアルタイムで表示することを可能としたダンプトラックであり、路面切削機による切削材の積み込み作業時(概ね5~8km/hの低速走行時)も車内外の表示計で積載量を確認できる。
これにより、ダンプトラックの積載能力を最大限に活用した運用が可能となり、車両の稼働率の向上とともに、過積載による道路損傷の発生を抑制することができる。また、従来の切削オーバーレイ工事において、積載量を体積から算出するために行っていた路面へのマーキング作業が不要となり、現場作業の負担も軽減できる。

(3) 内外テクノス㈱
金属箔を用いた不燃化木材ボードの開発
天然木ツキ板とアルミ合金箔を木材の上に貼ることで、難燃薬剤を使用しない不燃化技術を当社と共同開発し、スギ基材で不燃認定を取得した。
従来の不燃化技術では、木材に水溶性の難燃薬剤を注入するため、薬剤による白華現象を防ぐために樹種は注入しやすい針葉樹に限定されていた。また、注入処理から乾燥まで製作に2ヶ月程度を要していた。
今回開発した不燃化ボードは、難燃薬剤を使用しないため白華現象が生じず、表面には広葉樹を含む幅広い樹種が採用可能となるため、意匠性が向上した。また、薬剤注入処理及び乾燥工程が不要で、接着加工のみで対応できるため、コスト削減が図れ、納期も2週間程度に短縮される。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00055] S100IYP5)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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