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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IZMU (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 東洋建設株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度は、国内土木事業、国内建築事業及び海外建設事業を対象に研究開発活動を行い、その総額は561百万円となりました。
総合技術研究所では「技術は人のため、地球に生きる皆のために使われるべきものであり、技術を使う我々は、それを理解し事業活動を持続していく」として、市場の要求を的確に捉え、社会に役立つ企画提案力を強化し、事業量の確保と利益向上を図ります。また、産・官・学との連携やオープンイノベーションを推進し、スピード感を持って技術の先端化(差別化)に取り組みます。
技術開発については、本社技術部門及び全国支店と連携し、即応可能な技術開発を行い、コスト低減、施工効率向上に資する設計・施工方法の変更を、迅速な現場支援により、利益向上及び瑕疵の縮減を図り、会社業績への貢献を常に希求しております。

(1) 洋上風力発電施設におけるサクションバケット基礎の施工技術実証への取り組み
サクションバケット基礎は、洋上風力発電施設の基礎として欧州で実績のある工法で、国内においても防波堤などで適用実績があります。国内の洋上風力発電施設への本工法の適用性について検証するとともに、大型化が進む風車にも対応可能な基礎形式、施工技術についても開発を行い、10MW級以上の風車の普及に備えるもので、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の風力発電等技術開発(洋上風力発電等技術研究開発)「洋上風力発電低コスト施工技術開発(施工技術実証)」の助成を受け、日立造船株式会社と共同で実施しております。

(2) 浮標画像追跡システム i-ByTs(アイ・バイツ)
海上工事では、据付中のコンクリート構造物や作業船に、航跡波や突発的な高波、うねりにより作業の支障となることがあり、目視による監視では、通過する船舶の見落としや、判別困難な波浪の襲来を検知することに限界がありました。
当社は東京大学大学院工学系研究科下園武範准教授のグループとの共同研究により、来襲波浪を簡易に計測・解析し、リアルタイムかつ安価に作業船の動揺を予測・警報するシステム「i-ByTs」を開発し、本体工やブロック類の据付作業等において、浮遊状態の躯体や作業船が大きく動揺することが想定された場合、本システムを用いて作業の中断や危険を回避するための情報を提供することが可能になりました。(本技術は第21回国土技術開発賞にて入賞しました)

(3) 大型海上クレーンに対応した吊荷上下動低減装置の開発
本装置は、海上クレーンで洋上作業を行う際に、吊荷の上下動を低減するものであり、国内では大型クレーンに対応するものはありませんでした。洋上風力発電所建設など、外洋での大型海上クレーンの作業海域は、静穏な港湾内とは違い、より厳しい波浪条件で作業となることから、作業時間が限られ、工期の延長に伴う費用増が課題でしたが、本装置により稼働率が向上することでコスト低減が期待できます。

(4) グラブ浚渫船「拓海」の装備開発・自動運転促進、ポンプ浚渫船の自動化
当社とグループ会社・タチバナ工業株式会社が共同で建造したグラブ浚渫船「拓海(たくみ)」は最新技術を搭載しておりますが、さらに当社独自に開発したグラブバケット回転制御装置を加え、浚渫余堀土量の低減による生産性向上や環境負荷低減に貢献するとともに、総合評価入札制度等における受注拡大を図ります。
グラブ浚渫、ポンプ浚渫における自動化、省力化の取り組みでは、熟練オペレーターの操作手順を電気信号に変換し収録しており、現在それらのデータ解析と運転指令制御装置の開発を行っております。なお、ポンプ浚渫船においてはラダーウインチ制御に続きスイングウインチの制御を開始し、2020年度中に部分的な自動化を完成、試験施工の予定です。

(5) 港湾域に立地する管理型廃棄物海面処分場の経済的な造成・閉鎖工法の開発
処分場の護岸内や底面掘削部の埋戻材として実績のある石炭灰を主材とした、土質系遮水材HCB-F(ハイブリッド・クレイバリアー・フライアッシュ)について、底面遮水材適用時の知見整備を行いました。また、埋立時にアルカリ化する処分場内の水を二酸化炭素等により中和する特許工法について、京都大学との共同研究にて有効性を確認したほか、大阪大学との共同研究にて石炭灰埋立地盤の強度発現傾向を評価した論文を発表しました。
これらの成果は石炭火力発電所を保有する電力会社等に技術紹介を行い、今後の管理型廃棄物海面処分場に適用されることで、環境負荷の低減と処分場跡地の早期高度利用に貢献できるものと期待されます。

(6) i-Construction 推進への取り組み
i-Construction を推進するため、研究開発委員会を設置し、建設ICTの研究・開発・普及推進を図る体制を構築しています。
建設ICTは、要素技術の研究、CIM等システムの構築、ソフトウエアの開発、機械装置の開発・改良、現場に合わせたカスタマイズ及び現場への普及促進など、多様な研究開発が必要です。当社では、それぞれの専門部署で研究開発を推進するとともに、同委員会で建設ICTの新規市場分野への適用と研究開発体制の運用を図っております。
2019年度は、三遠道路1号橋下部工事(愛知県)でのCIM活用工事の実施、大船渡フラップゲート設置での自動化技術、タブレットによる安全管理システムの導入により施工管理の効率化に貢献しました。

(7) 低炭素化社会へ貢献する環境配慮型コンクリートの実用化
建築構造物の躯体には、「普通ポルトランドセメント」を用いたコンクリートの使用が一般的ですが、高炉スラグ微粉末を混和材として使う環境配慮型コンクリートを適用可能とするために、ゼネコン13社の共同研究により、2019年度末に建築技術性能証明を申請しました。今後は合理的な製造方法と強度管理手法を確立し、建築構造物の躯体への適用を推進するほか、本コンクリートで使用される高炉スラグ微粉末は、製鉄の過程で廃棄物として排出される高炉スラグを微粉砕したものであり、廃棄物処理量を低減し、低炭素化社会へも貢献してまいります。

(8) ICT技術を活用した生コンクリート品質管理装置の実用化
コンクリート構造物の生産性と品質向上を図るには、コンクリートの品質の安定性と、品質管理の省力化が求められます。当社は、GNN Machinery Japan 株式会社、ゼネコン11社及び生コンクリート製造会社5社で構成する「情報通信技術を活用した生コンクリート品質管理装置の共同実験研究会」に参画し、出荷するコンクリートのアジテータ車位置や、ドラム内に設置したプローブによりスランプ、温度及び積載量を逐次測定・記録できる装置の精度検証を進め、実用化に至りました。
国土交通省が進めるi-Construction の一環で、生産性向上策の一つである「生コン情報の電子化」や「全数検査の実現」に向け、品質の安定性と品質管理の省力化を目指してまいります。

(9) 高遮音空間の短時間遮音性能測定システムの開発
音楽ホールやシネマコンプレックスなど、高遮音空間の遮音性能を測定する場合、JIS規定の方法では測定できないことが多く、その場合インパルス応答による方法で測定しておりますが、JIS規定に比べ時間がかかるという難点がありました。当社は、信号処理を工夫することによって、従来のインパルス応答法に比べ短時間で高遮音空間の遮音性能を測定するシステムを開発しました。(現在、特許申請中)

(10) オフィスビルにおけるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の取り組み
近年ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の考え方が急速に広まりつつあり、ZEBへ取り組み、その普及に貢献することは、ビルオーナーとテナント企業双方にとって企業評価の向上に繋がります。当社が行ったオフィスビルにおけるZEBの取り組みでは、エネルギー消費量を基準値から半減し、BELS認証*における「ZEB Ready(BEI≦0.5)」を実現しました。今後もZEBへの取り組みやその他認証の取得に向けてノウハウを蓄積、展開させてまいります。
BELS(ベルス)認証*: Building-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)の略。第三者が評価する建築物の省エネルギー性能表示制度。

(11) 設計施工一貫BIMプロセスの研究・開発
BIM-DPX*を推進し、クラウドコンピューティングをプラットフォームとした設計施工一貫BIMプロセスの研究・開発・普及促進を図るための基本プラットフォームの整備が完了し、普及・展開の段階に入りました。
2019年度は積算事務所、積算アプリケーションソフト開発会社及びBIM施工図作成会社と検証開発グループを組成し、躯体積算連携プロセスの開発を行いました。設計段階では、設計BIMモデルを活用した照度解析、熱流体解析及び歩行シミュレーション等を推進し、BIMによる設計エビデンス取得を強化することにより、顧客満足度の向上に寄与するものです。また、クラウド活用によるペーパーレス化により、更なるコスト削減とCO2排出量削減を目指してまいります。
BIM-DPX*(商標登録申請中): BIM–Digital Process Transformation の略で「BIMによるデジタルプロセスの浸透が、建設業の取り組みをあらゆる面でより良い方向に変化させること」と当社が新たに定義したもの。英語圏ではtransを「X」と略すことが多いことからDPXとしている。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00082] S100IZMU)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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