有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100ITYL (EDINETへの外部リンク)
東レ株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)の研究・技術開発は、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをコア技術とし、これらの技術をベースに、重合、製糸、繊維高次加工、製膜、有機合成など要素技術の深化と融合を進め、繊維、フィルム、ケミカル、樹脂、さらには電子情報材料、炭素繊維複合材料、医薬、医療機器、水処理事業とさまざまな事業分野で、先端材料を創出し事業化を実現している。
中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”では、「グリーンイノベーション」、「ライフイノベーション」事業に重点を置き新技術・新素材を創出するとともに、そうした技術・素材の持つ本質的価値を顕在化させるための取り組みを進めてきた。新たな中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022”でも「成長分野でのグローバルな拡大」と「競争力強化」という基本戦略は維持しつつ、将来の大型テーマにリソースを配分し、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」実現に貢献すると共に基盤技術と固有技術を融合した総合力の強化を推進していく。
当連結会計年度のセグメント別の研究・技術開発の概要は次のとおりである。
(1) 繊維事業
基幹事業としての安定収益基盤の強化と収益拡大に向け、極限技術追求による高機能製品や繊維先端材料の創出・拡大に主眼を置いた研究・技術開発を推進した。その成果として、複合繊維の断面形状を任意にかつ高精度に制御する革新複合紡糸技術NANODESIGN®を用いて、環境低負荷と撥水性能を高いレベルで両立する「ナノスリットナイロン」及び艶感、嵩高、絹鳴りといった天然シルクの特徴とプリーツ保持、防シワといったイージーケア性を両立する次世代シルキー素材「KinariTM」を開発した。また、部分植物由来であるPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)と、通常廃棄される工程屑をリサイクルしたPET原料を組み合わせることで、構成成分の約68%を環境配慮型素材とした、環境にやさしいストレッチ原糸を実現し、従来、一般的なリサイクルPET原料では、優れたストレッチ性の発現が困難であったが、東レのポリマ-品質制御技術と紡糸技術の組み合わせにより、リサイクルPET原料を用いた場合にもバージンPET使用時と同等レベルのストレッチ性を維持した、新しい環境配慮型Primeflex®の開発に成功した。(2) 機能化成品事業
基幹事業として安定収益基盤の強化、戦略的拡大事業として中長期での収益拡大に向け、新製品開発、高付加価値化を目指し、研究・技術開発に取り組んだ。その成果として、新規の光学設計に基づいた樹脂屈折率の高精度制御により、正面からの光を透過し、斜めからの光を反射するという全く新しい機能を発現させたナノ積層フィルム「PICASUS®VT」を開発した。今後AR(拡張現実)やMR(複合現実)用途におけるディスプレイ用フィルムなどへの展開が期待出来る。また、5G通信機器や、自動運転などに用いられるミリ波レーダーの高周波用電子部品に適したポリイミド材料を開発した。ポリイミドが持つ高い信頼性と、低誘電損失の性能を兼ね備えることで、高周波部品の性能向上に大きく貢献する。さらに、従来真球化が困難であった高融点ポリアミド(ポリアミド6、66)を簡便にマイクロレベルの真球粒子にする新しい技術を創出した。本技術により、高い耐熱性、強度を必要とする実用部品向けの造形物を3Dプリンターで実現することが期待出来る。(3) 炭素繊維複合材料事業
当社の代表的ナンバーワン事業であり戦略的拡大事業として、グリーンイノベーション事業拡大、アジア・新興国及び米州での事業拡大のための研究・技術開発に取り組んだ。その成果として、オートクレーブを使用せずとも高品位で力学特性に優れた炭素繊維強化プラスチック成形体を得ることが可能な新規航空機一次構造部材向けプリプレグを開発した。(4) 環境・エンジニアリング事業
機能化成品、炭素繊維複合材料に続く次の収益拡大の柱とするために、重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んだ。その成果として、水質を維持しつつ、世界最高レベルの造水性能を有する海水淡水化向け逆浸透(RO)膜を開発した。また、優れたイオン・有機物の選択分離性能を持ち、造水性能を3倍に高めた世界最高レベルの超高造水ナノろ過(NF)膜を創出した。(5) ライフサイエンス事業
重点育成・拡大事業として研究・技術開発に取り組んだ。その成果として、2017年3月よりがん免疫治療薬として米国2施設と仏国1施設で臨床試験を実施中の抗体医薬品「TRK-950」は、2019年4月より米国を5施設に拡大し、大腸がん、胆管がん、膀胱がん、卵巣がん、胃がん、腎臓がん、悪性黒色腫などを対象に臨床試験を継続中である。また、早期がん診断用に開発中の当社DNAチップを用いた膵臓・胆道がん検査キットが、2019年4月に厚生労働省の「体外診断用医薬品先駆け審査指定品目」に指定され、2020年度中の申請を目指す。さらに、敗血症又は敗血症性ショックの治療に使用されているエンドトキシン除去向け吸着型血液浄化用浄化器「トレミキシン®」について、カナダにおける新型コロナウイルス感染症の治療に対する暫定的な使用許可をカナダ保健省より取得した。上記セグメントに共通する取り組みとして、創業の地である滋賀事業場に新たな研究拠点として、未来創造研究センターを設立・開所した。同センターは、未来創造型研究の中枢として革新材料・デバイス・システムのアイデアを創出する融合研究棟と、そのアイデアを基に試作・評価・実証を推進する実証研究棟の2棟から構成されており、東レの研究のDNAである、極限追求、技術融合、超継続などを継承しつつ、最先端の技術を活用し、独自の高分子技術によるファインポリマー&ナノファブリケーションや、マテリアルインフォマティクス(MI)や人工知能(AI)等を駆使したコンピュータ&マテリアルサイエンスの融合により、先端医療、新エネルギー、分離システムなどグリーンイノベーション・ライフイノベーション分野における先端材料・デバイス・システムの創出に取り組むことで研究・技術開発を推進、強化する。
当連結会計年度の当社グループの研究開発費総額は、669億円(このうち東レ㈱の研究開発費総額は495億円)である。セグメント別には繊維事業に約9%、機能化成品事業に約28%、炭素繊維複合材料事業に約15%、環境・エンジニアリング事業に約7%、ライフサイエンス事業に約4%、本社研究・技術開発に約37%の研究開発費を投入した。
当連結会計年度の当社グループの特許出願件数は、国内で1,641件、海外で3,658件、登録された件数は国内で542件、海外で1,961件である。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00873] S100ITYL)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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