有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IZS7 (EDINETへの外部リンク)
パーソルホールディングス株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下の通りであります。当社経営者が認識する当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与えるリスクに関し、発生の蓋然性および事業への影響の度合いを鑑み、重要と考えられる順に記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年6月25日)現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。なお、当社グループは2020年4月1日より従来のセグメント体制から、SBU (Strategic Business Unit)体制に移行し、「Staffing」「Career」「Professional Outsourcing」「Solution」「Asia Pacific」の5つのSBU体制で運営致しております。
(1)景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク
当社グループが提供している人材サービスは、景気変動による影響を大きく受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態は大きな影響を受けます。特に、現在の経済はグローバル化が進み、他国の経済状況、国際政治情勢、国際金融市場等により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しております。通常の景気循環による山谷に対しては、グループ各社、SBU、コーポレート機能を担う当社においてコスト管理を行う等の経営努力により、当社業績に与える影響を抑制するよう努めております。しかしながら、2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。特に、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表の通りです。
(2)個人情報取り扱いに関するリスク
当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取り扱っておりますが、次のa、bに記載するリスクが考えられます。
a.情報漏えいのリスク
当社グループは、個人情報の漏えいを最重要リスクととらえ、情報セキュリティ対策として、個人情報取扱いに関する規程を定め、情報管理を徹底するための部署を設置し、定期的に教育を実施するなど、適切な情報管理体制の構築・維持に努めております。しかしながら、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした第三者によるセキュリティ侵害や、従業員の不正又は過失等によりこれらの個人情報が漏えいする事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、サービス利用者数の急減、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下や損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
b.法令違反・プライバシー侵害のリスク
当社グループで保有する個人情報の取り扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」等に準拠した取り扱いを行っております。これらの法規制は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりや、グローバル基準への適合に向けた動きにより内容が複雑化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を行っております。
一方、国内グループ各社では、保有する個人情報の共同利用によって働き方の多様化に合わせたサービス開発を検討しています。当社グループでは、法規制の遵守及び本人の同意の範囲内での活用に努めておりますが、意図せず法規制を違反した場合や同意の範囲外での活用を行った場合には、当局からの業務停止命令、個人データの提供者もしくは法人からの訴訟につながる可能性があります。また、現在の法規制の遵守及び本人の同意の範囲内で活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招いたときは、当社グループのブランドおよび企業イメージの価値低下や信用が毀損する可能性があります。
(3)自然災害等の有事に関するリスク
当社グループでは、地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、パンデミック、その他企業存続を脅かす事象(以下「危機」という。)の発生を想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を進めております。危機発生時は迅速かつ的確な対応を執るよう備えているものの、想定を超える危機が発生した場合、または、策定している事業継続計画が有効に機能しない場合には、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスの提供という事業性質上、危機発生時には顧客企業や就業者に対する安否確認や契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。特に、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しており、今後の感染拡大の収束や政府による行動制限の程度と継続期間次第では、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に大きくかつ長期的な影響を及ぼす可能性があります。2020年3月以降、国内事業につきましては、人材派遣事業では、マーケティング領域は店舗の営業時間短縮等の影響を受けておりますが、主力の事務領域では通常勤務に加え一部在宅勤務により稼働しております。人材紹介事業では、面談を対面式からオンラインに切り替えておりますが、企業の採用活動抑制の動きもあり、採用決定まで時間の長期化や、採用見送りの影響を受けております。海外事業につきましては各国の対応の違いにより、状況が大きく異なります。シンガポール、マレーシア、香港での人材派遣事業は在宅勤務が行われており、全般的に安定しております一方、中国は平常化に徐々に戻りつつありますが、主力の人材紹介事業は大幅な需要減が想定されます。豪州・ニュージーランドは、一部で外出制限の緩和はありますが、スタッフィング事業およびメンテナンス事業ともに影響を受ける見込みです。
(4)企業買収投資に伴うリスク
当社グループは、これまで企業買収や事業提携を通じて成長を遂げており、将来においても同様の手法を通じてさらなる企業価値の向上を企図しております。
企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、2020年3月期末において72,562百万円であり、そのうち、Career SBUに属する㈱インテリジェンスホールディングス(現:パーソルキャリア㈱)、Staffing SBUに属するパナソニック エクセルスタッフ㈱(現:パーソル パナソニック HRパートナーズ㈱)及びAPAC SBUのProgrammed Maintenance Services Limitedが大きな割合を占めております。2020年3月期において、2018年3月期に買収した前述のProgrammed Maintenance Services Limitedのスタッフィング事業等ののれんに関する減損損失として合計12,688百万円を計上いたしました。海外事業については、2018年3月期にPERSOLKELLY事業に係る買収子会社も同様に減損損失を計上している観点から、当面、海外での新規の大型企業買収の優先度を下げ、前述の企業を含むAPAC SBUの事業の最適化と収益基盤の確立に向けた取り組みを推進してまいります。加えて、新たなガバナンス体制の強化策として、多額の事業投資案件に関しては専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を設置しております。
また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定どおり進捗しない場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う追加の損失処理が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開のリスク
当社グループは、日本国内に加えAPAC地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等の人材サービス事業を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APAC地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立出来なかった場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす場合があります。
(6)法的規制及び法令遵守違反に関するリスク
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。特に、人材サービスを行う当社グループは、お客様の個人情報保護に次いで、労働関連法の遵守を重視しております。当社グループは、事業拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備など、コンプライアンス体制を整備するとともに、人事部門の主導による労働時間管理を行っていますが、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、売上の減少等、経営成績に悪影響を与える可能性があり、次のa、bに記載するリスクが考えられます。
a.人材派遣事業
当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)に基づき、労働者派遣事業の許可を受けて行っている事業であります。現時点において、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社並びにその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ派遣対象業務や派遣期間に係る規制や変更等の改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を採ってきております。今後、更なる改正が実施され大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
b.人材紹介事業
当社グループが行う人材紹介事業は、国内においては職業安定法に基づく有料職業紹介事業許可を受けて行っている事業であります。職業安定法においては、人材紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が有料職業紹介事業者としての欠格事由及び当該許可の取消事由に該当した場合には、事業の許可を取り消し、又は、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。今後何らかの理由により当社グループ各社並びにその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(7)技術革新によるリスク
当社グループの営む人材関連サービスは、特に情報技術(IT)の活用が不可欠な事業であります。当社グループでは、IT技術を用い、新規サービス開発やオペレーションシステムの改善に努めていますが、新規事業開発で高度な専門性を持つ技術者や企画者を確保または育成できない場合、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、または新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合、更にディスラプティブテクノロジー(disruptive technology)と言われるこれまでにない発想に基づく新たなプロダクトやサービスが急速にグローバルに普及し、既存のマーケットが破壊された場合等、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、企業における業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーとして、Robotic Process Automation(RPA)やArtificial Intelligence(AI)等の導入が急速に拡大しています。RPAの導入には一定のスキルが必要であることから、当社グループでもRPAスキル保有人材の派遣や、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、技術革新における高度な専門性を持つ技術者や企画者を確保または育成できない場合には、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、または新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(8)競合によるリスク
当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、もしくは当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供、もしくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループのシェアが下がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける派遣スタッフおよび求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や売上に影響を与える可能性があります。
(9)人口構造の変化に対応できないリスク
当社グループの提供するサービスは、事業を展開する国の人口動態の変化の影響を受けます。現在、国内において少子高齢化が急速に進んでおり、今後、生産年齢人口の減少が更に進む可能性があります。当社グループでは、生産年齢人口の減少が進むなか、女性、高齢者、外国人の労働参加率の向上に注目し、社会やユーザーのニーズに敏感に対応できるサービスの開発や新規事業展開に取り組むなど、労働市場の変化に対応した事業戦略を実行し、多様な働き方の提供と労働市場の拡大に努めております。また、労働者不足への対応として、企業におけるRPAやAI等のテクノロジーを活用した業務効率化が進んでおり、当社グループにおいても、「パーソルのRPA」という、RPAスキル保有人材の派遣、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供して、新たな企業ニーズに合わせたサービス展開を進めております。しかしながら、当社グループがかかる変化を適時適切に把握できない、意思決定の遅れから適切なタイミングでサービスを提供できない、若しくはかかるサービス開発に想定以上のコストを要する場合、または企業側の対応が積極的ではない場合には、労働市場の縮小が更に進展するとともに当社グループのユーザーが減少し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材の育成・確保におけるリスク
当社グループの中長期戦略の実行および持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現する為、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への愛着を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのIT技術者、デジタルトランスフォーメーション推進人材及びグルーバル人材等、一部の領域においては要件を満たす人材は市場においても希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材・育成が想定通りに進まず、当社グループの事業運営が計画通りに進まない可能性があります。
(11)システム障害等のリスク
当社グループの事業は、国内外を問わず、コンピューターシステム及びそのネットワークに多くを依存しており、またメンテナンス等の一部をクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しています。そのため、不測の事態に対しては、危機発生時の体制整備、システムセキュリティの強化、ハードウェアの増強等様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や、外部業者のトラブル等により、コンピュータシステム及びそのネットワーク設備にトラブルが発生した場合には、当該事態の発生地域の事業運営に直接被害が生じるほか、他地域の当社グループの事業運営に損害が生じる可能性があります。また、それが長期に亘る場合、顧客企業への労務の提供が事実上不可能になる可能性があり、当社グループが提供するサービスに対する信頼性の低下を招くなどの重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、2020年3月期において、当社海外子会社のKelly Services Australia Pty. Ltd.において、新規導入したシステムによる障害が発生しましたが、本トラブルは2019年12月に終息いたしました。
(1)景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク
当社グループが提供している人材サービスは、景気変動による影響を大きく受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの経営成績及び財政状態は大きな影響を受けます。特に、現在の経済はグローバル化が進み、他国の経済状況、国際政治情勢、国際金融市場等により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しております。通常の景気循環による山谷に対しては、グループ各社、SBU、コーポレート機能を担う当社においてコスト管理を行う等の経営努力により、当社業績に与える影響を抑制するよう努めております。しかしながら、2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。特に、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表の通りです。
想定される状況 | 影響度合 | 主要な該当セグメント | |
求人広告事業 | ・企業の採用予算の縮小、採用活動の抑制による求人広告出稿数の減少 ・競争の激化による広告単価の低下 | ・景気感応度は最も高い ・売上高の減少及び採算性の悪化 | ・Career SBU |
人材紹介事業 | ・顧客企業の採用抑制による転職決定者数の減少 ・内定決定までのリードタイムの伸長 | ・景気感応度は高い ・売上高の減少及び採算性の悪化 | ・Career SBU ・APAC SBU |
派遣事業および受託請負事業 | ・顧客企業の人件費全般の抑制に伴う派遣スタッフ契約数の減少 ・顧客企業の操業停止等による派遣契約の終了 ・取引規模の大きな顧客企業の業績悪化による売上の大幅な減少 ・業務受託業や人材派遣業等の常用雇用者を有する事業における、契約数の減少及び契約規模の縮小 ・顧客企業のコスト削減に伴う案件のキャンセル、予算の削減による受託案件の減少 | ・景気感応度は相対的に低く遅行する ・売上高の減少及び採算性の悪化 | ・Staffing SBU ・Professional Outsourcing SBU ・APAC SBU |
(2)個人情報取り扱いに関するリスク
当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取り扱っておりますが、次のa、bに記載するリスクが考えられます。
a.情報漏えいのリスク
当社グループは、個人情報の漏えいを最重要リスクととらえ、情報セキュリティ対策として、個人情報取扱いに関する規程を定め、情報管理を徹底するための部署を設置し、定期的に教育を実施するなど、適切な情報管理体制の構築・維持に努めております。しかしながら、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした第三者によるセキュリティ侵害や、従業員の不正又は過失等によりこれらの個人情報が漏えいする事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、サービス利用者数の急減、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下や損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
b.法令違反・プライバシー侵害のリスク
当社グループで保有する個人情報の取り扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」等に準拠した取り扱いを行っております。これらの法規制は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりや、グローバル基準への適合に向けた動きにより内容が複雑化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を行っております。
一方、国内グループ各社では、保有する個人情報の共同利用によって働き方の多様化に合わせたサービス開発を検討しています。当社グループでは、法規制の遵守及び本人の同意の範囲内での活用に努めておりますが、意図せず法規制を違反した場合や同意の範囲外での活用を行った場合には、当局からの業務停止命令、個人データの提供者もしくは法人からの訴訟につながる可能性があります。また、現在の法規制の遵守及び本人の同意の範囲内で活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招いたときは、当社グループのブランドおよび企業イメージの価値低下や信用が毀損する可能性があります。
(3)自然災害等の有事に関するリスク
当社グループでは、地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、パンデミック、その他企業存続を脅かす事象(以下「危機」という。)の発生を想定し、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を進めております。危機発生時は迅速かつ的確な対応を執るよう備えているものの、想定を超える危機が発生した場合、または、策定している事業継続計画が有効に機能しない場合には、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスの提供という事業性質上、危機発生時には顧客企業や就業者に対する安否確認や契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。特に、2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しており、今後の感染拡大の収束や政府による行動制限の程度と継続期間次第では、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に大きくかつ長期的な影響を及ぼす可能性があります。2020年3月以降、国内事業につきましては、人材派遣事業では、マーケティング領域は店舗の営業時間短縮等の影響を受けておりますが、主力の事務領域では通常勤務に加え一部在宅勤務により稼働しております。人材紹介事業では、面談を対面式からオンラインに切り替えておりますが、企業の採用活動抑制の動きもあり、採用決定まで時間の長期化や、採用見送りの影響を受けております。海外事業につきましては各国の対応の違いにより、状況が大きく異なります。シンガポール、マレーシア、香港での人材派遣事業は在宅勤務が行われており、全般的に安定しております一方、中国は平常化に徐々に戻りつつありますが、主力の人材紹介事業は大幅な需要減が想定されます。豪州・ニュージーランドは、一部で外出制限の緩和はありますが、スタッフィング事業およびメンテナンス事業ともに影響を受ける見込みです。
(4)企業買収投資に伴うリスク
当社グループは、これまで企業買収や事業提携を通じて成長を遂げており、将来においても同様の手法を通じてさらなる企業価値の向上を企図しております。
企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、2020年3月期末において72,562百万円であり、そのうち、Career SBUに属する㈱インテリジェンスホールディングス(現:パーソルキャリア㈱)、Staffing SBUに属するパナソニック エクセルスタッフ㈱(現:パーソル パナソニック HRパートナーズ㈱)及びAPAC SBUのProgrammed Maintenance Services Limitedが大きな割合を占めております。2020年3月期において、2018年3月期に買収した前述のProgrammed Maintenance Services Limitedのスタッフィング事業等ののれんに関する減損損失として合計12,688百万円を計上いたしました。海外事業については、2018年3月期にPERSOLKELLY事業に係る買収子会社も同様に減損損失を計上している観点から、当面、海外での新規の大型企業買収の優先度を下げ、前述の企業を含むAPAC SBUの事業の最適化と収益基盤の確立に向けた取り組みを推進してまいります。加えて、新たなガバナンス体制の強化策として、多額の事業投資案件に関しては専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を設置しております。
また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定どおり進捗しない場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う追加の損失処理が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開のリスク
当社グループは、日本国内に加えAPAC地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等の人材サービス事業を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APAC地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立出来なかった場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす場合があります。
(6)法的規制及び法令遵守違反に関するリスク
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。特に、人材サービスを行う当社グループは、お客様の個人情報保護に次いで、労働関連法の遵守を重視しております。当社グループは、事業拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備など、コンプライアンス体制を整備するとともに、人事部門の主導による労働時間管理を行っていますが、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、売上の減少等、経営成績に悪影響を与える可能性があり、次のa、bに記載するリスクが考えられます。
a.人材派遣事業
当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)に基づき、労働者派遣事業の許可を受けて行っている事業であります。現時点において、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社並びにその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ派遣対象業務や派遣期間に係る規制や変更等の改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を採ってきております。今後、更なる改正が実施され大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。
b.人材紹介事業
当社グループが行う人材紹介事業は、国内においては職業安定法に基づく有料職業紹介事業許可を受けて行っている事業であります。職業安定法においては、人材紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が有料職業紹介事業者としての欠格事由及び当該許可の取消事由に該当した場合には、事業の許可を取り消し、又は、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めております。今後何らかの理由により当社グループ各社並びにその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(7)技術革新によるリスク
当社グループの営む人材関連サービスは、特に情報技術(IT)の活用が不可欠な事業であります。当社グループでは、IT技術を用い、新規サービス開発やオペレーションシステムの改善に努めていますが、新規事業開発で高度な専門性を持つ技術者や企画者を確保または育成できない場合、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、または新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合、更にディスラプティブテクノロジー(disruptive technology)と言われるこれまでにない発想に基づく新たなプロダクトやサービスが急速にグローバルに普及し、既存のマーケットが破壊された場合等、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、企業における業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーとして、Robotic Process Automation(RPA)やArtificial Intelligence(AI)等の導入が急速に拡大しています。RPAの導入には一定のスキルが必要であることから、当社グループでもRPAスキル保有人材の派遣や、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、技術革新における高度な専門性を持つ技術者や企画者を確保または育成できない場合には、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、または新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等が生じた場合、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(8)競合によるリスク
当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、もしくは当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供、もしくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループのシェアが下がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける派遣スタッフおよび求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や売上に影響を与える可能性があります。
(9)人口構造の変化に対応できないリスク
当社グループの提供するサービスは、事業を展開する国の人口動態の変化の影響を受けます。現在、国内において少子高齢化が急速に進んでおり、今後、生産年齢人口の減少が更に進む可能性があります。当社グループでは、生産年齢人口の減少が進むなか、女性、高齢者、外国人の労働参加率の向上に注目し、社会やユーザーのニーズに敏感に対応できるサービスの開発や新規事業展開に取り組むなど、労働市場の変化に対応した事業戦略を実行し、多様な働き方の提供と労働市場の拡大に努めております。また、労働者不足への対応として、企業におけるRPAやAI等のテクノロジーを活用した業務効率化が進んでおり、当社グループにおいても、「パーソルのRPA」という、RPAスキル保有人材の派遣、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供して、新たな企業ニーズに合わせたサービス展開を進めております。しかしながら、当社グループがかかる変化を適時適切に把握できない、意思決定の遅れから適切なタイミングでサービスを提供できない、若しくはかかるサービス開発に想定以上のコストを要する場合、または企業側の対応が積極的ではない場合には、労働市場の縮小が更に進展するとともに当社グループのユーザーが減少し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材の育成・確保におけるリスク
当社グループの中長期戦略の実行および持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現する為、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への愛着を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのIT技術者、デジタルトランスフォーメーション推進人材及びグルーバル人材等、一部の領域においては要件を満たす人材は市場においても希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材・育成が想定通りに進まず、当社グループの事業運営が計画通りに進まない可能性があります。
(11)システム障害等のリスク
当社グループの事業は、国内外を問わず、コンピューターシステム及びそのネットワークに多くを依存しており、またメンテナンス等の一部をクラウドシステム業者を含む外部業者に委託しています。そのため、不測の事態に対しては、危機発生時の体制整備、システムセキュリティの強化、ハードウェアの増強等様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や、外部業者のトラブル等により、コンピュータシステム及びそのネットワーク設備にトラブルが発生した場合には、当該事態の発生地域の事業運営に直接被害が生じるほか、他地域の当社グループの事業運営に損害が生じる可能性があります。また、それが長期に亘る場合、顧客企業への労務の提供が事実上不可能になる可能性があり、当社グループが提供するサービスに対する信頼性の低下を招くなどの重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、2020年3月期において、当社海外子会社のKelly Services Australia Pty. Ltd.において、新規導入したシステムによる障害が発生しましたが、本トラブルは2019年12月に終息いたしました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E21261] S100IZS7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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