有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IUW5 (EDINETへの外部リンク)
武田薬品工業株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)
当年度の研究開発費の総額は4,924億円であります。
医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり、多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。
臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)、日本では厚生労働省、中国では国家食品薬品監督管理局(NMPA)です。
ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):
・臨床第1相(P-1)試験
少人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施
・臨床第2相(P-2)試験
少人数の志願患者を被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施
臨床第2相試験はP-2aとP-2bとの2つのサブカテゴリ―に分割されることがあります。P-2a試験は通常臨床上の有効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、P-2b試験は薬物が最少の副作用で生物学的活性を示す最適用量を探索するために行われます。
・臨床第3相(P-3)試験
大人数の志願患者を被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施
これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承認を取得した場合に上市します。NDAやMAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。
当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。革新的なバイオ医薬品に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。革新的なバイオ医薬品における重点疾患領域(オンコロジー、希少疾患、ニューロサイエンス、消化器系疾患)には高いアンメットメディカルニーズが存在し、当社はベストインクラスあるいはファーストインクラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。これまでの数年間、最近ではShire社の買収によってさらに強化されましたが、当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図ってまいりました。
自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。
当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:
・ 湘南ヘルスイノベーションパーク:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する湘南ヘルスイノベーションパーク(「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所として2011年に設立された、当社のニューロサイエンス研究の主要拠点です。2018年4月に、当社は、サイエンスイノベーションを推進し、多様な外部パートナーとのライフサイエンスエコシステムを構築するために、湘南アイパークを開所致しました。2020年4月に、当社はより多様なプレーヤーを招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、湘南アイパークの所有権を信託設定することを発表しました。当社は、アンカーテナントとして、信託先と20年間のリースバック契約を締結するとともに、今後も日本におけるライフサイエンス研究活性化にコミットします。
・グレーターボストン地区研究開発サイト:当社のボストン研究開発ハブは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルなオンコロジー(がん)、消化器系疾患領域および希少疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。最近開設された最先端の細胞療法の製造施設を備えた、当社の細胞療法研究の拠点です。
・ サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系疾患およびニューロサイエンス領域における研究開発を支援しています。本研究サイトは、バイオテックのような形態で研究を行う拠点であり、構造生物学および生物物理学などの社内技術を駆使し、社内外で行われる研究を促進します。
当社の2019年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。
研究開発パイプライン
オンコロジー
世界中のがん患者さんに革新的な新薬をお届けするために努力し、患者さんの生活を改善するという情熱をもって、画期的なイノベーションの探求に取り組んでいます。本疾患領域では、(1)既発売品である「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」のライフサイクルマネジメントならびに多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群およびその他血液がんのパイプラインへの継続的な研究開発投資を通じた、血液がんにおける基盤的な専門性の構築、(2)既発売品である「ALUNBRIG」を含む肺がんを対象とするパイプラインおよび標的を絞った肺がん患者さんを対象とする開発プログラムのさらなる拡充、(3)社外との提携による新規のがん免疫療法標的および次世代基盤技術の追求ならびに革新的な細胞療法の探索、にフォーカスしています。
[ニンラーロ 一般名: イキサゾミブ]
- 2019年6月、当社は、「ニンラーロ」について、再発又は難治性の全身性(AL)アミロイドーシス患者を対象とした臨床第3相試験である「TOURMALINE-AL1試験」において、2つの主要評価項目のうち最初の結果が主要評価項目を満たさなかったことを公表しました。「ニンラーロ」および「デキサメタゾン」の併用群は、医師が選択した標準治療群と比較して、血液学的奏効率において有意な改善はみられませんでした。解析の結果より、当社は本試験を中止することを決定しましたが、副次評価項目の有望なデータについては、12月、第61回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)年次総会のオーラルセッションにおいて発表されました。
- 2019年11月、当社は、「ニンラーロ」について、移植歴のない初発の多発性骨髄腫患者を対象としたファーストライン維持療法に関する臨床第3相試験「TOURMALINE-MM4試験」が主要評価項目を達成したことを公表しました。無増悪生存期間が統計学的に有意に改善され、本試験データはバーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて発表されました。
- 2020年3月、当社は、「ニンラーロ」について、国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照の臨床第3相試験である 「TOURMALINE-MM2試験」において、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成しなかったことを公表しました。本試験は、幹細胞移植が適応とならない初発の多発性骨髄腫の成人患者を対象として、「ニンラーロ」を「レナリドミド」および「デキサメタゾン」に併用することにより、PFSの中央値が13.5ヵ月(プラセボ群21.8ヵ月に対しニンラーロ群35.3ヵ月、HR=0.83、p=0.073)改善が認められましたが、統計的有意水準を満たしませんでした。「TOURMALINE-MM2試験」から得られた「ニンラーロ」の安全性プロファイルは、既報の添付文書と概ね同様でした。本試験結果は、本試験データはバーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて発表されました。
- 2020年3月、当社は、「ニンラーロ」について、多発性骨髄腫における自家造血幹細胞移植後の維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、ランダム化プラセボ対照二重盲検多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM3試験」の結果に基づくものです。本試験では、大量化学療法および自家造血幹細胞移植に奏効した成人の多発性骨髄腫患者さんを対象に、無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目として「ニンラーロ」の維持療法の有効性と安全性をプラセボと比較検討しました。
- 2020年5月、当社は、「ニンラーロ」について、多発性骨髄腫と診断された幹細胞移植歴の無い成人患者を対象としたファーストライン(一次)治療後の維持療法の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認の申請を厚生労働省に行ったことを公表しました。今回の申請は、主にランダム化プラセボ対照二重盲検の多施設共同国際臨床第3相試験である「TOURMALINE-MM4試験」の結果に基づくものです。
[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]
- 2020年5月、当社は、「アイクルシグ」について、バーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「OPTIC(Optimizing Ponatinib Treatment In CML)」の中間解析データを発表しました。「OPTIC試験」は、チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)による前治療へ抵抗性または不耐性を示す慢性期の慢性骨髄性白血病(CP-CML)患者に対する、有効性および安全性を最適化することを目的として、アイクルシグの3つの投与開始用量(45mg~、30mg~あるいは15mg~)における奏効に基づく投与量調整レジメンをプロスペクティブに評価する、進行中の無作為化非盲検試験です。
[ALUNBRIG 一般名:ブリグチニブ]
- 2019年11月、当社は、「ALUNBRIG」について、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害薬による前治療歴のない進行性未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)の非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対する「ALUNBRIG」とクリゾチニブを評価した臨床第3相試験「ALTA-1L試験」の最新情報を発表しました。試験結果では、2年以上の追跡後も、「ALUNBRIG」は、全患者においても病状進行または死亡リスクを57%低下させることを示しました (HR: 0.43、95%CI: 0.31-0.61)。また、登録時の治験責任医師評価において脳転移を有すると新たに診断された患者に対して、病状進行または死亡リスクを76%低下させることが示されました(HR: 0.24、95%CI: 0.12-0.45)。これらのデータは、欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology:ESMO)2019アジア大会のプレジデンシャルセッションで発表されました。
- 2020年2月、当社は、「ブリグチニブ」について、他の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)チロシンキナーゼ阻害剤での治療に不耐容もしくは同治療後に進行が認められたALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に対する治療薬として厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、主に国内第2相試験のBrigatinib-2001 (J-ALTA)および海外第2相試験のAP26113-13-201(ALTA)の結果に基づくものです。
- 2020年3月、当社は、「ALUNBRIG」について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、ALK阻害薬による前治療歴のない成人の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)進行性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する単剤療法として承認を推奨する肯定的見解を示したことを公表しました。続いて、2020年4月、欧州委員会(EC)より同適応での適応追加の承認を取得したことを公表しました。
- 2020年5月、当社は、「ALUNBRIG」について、米国食品医薬品局(FDA)が承認した検査により診断された成人の未分化リンパ腫キナーゼ遺伝子転座陽性(ALK陽性)転移性非小細胞肺がん患者に対する治療薬としてFDAより承認を取得したことを公表しました。今回の承認により、「ALUNBRIG」の適応症にファーストライン(一次)治療が追加されました。
[アドセトリス 一般名: ブレンツキシマブ ベドチン]
- 2019年12月、当社は、「アドセトリス」について、第61回米国血液学会(American Society of Hematology:ASH)年次総会において、「アドセトリス」のフロントライン治療としての有用性を検討した臨床第3相試験である「ECHELON-1試験」と「ECHELON-2試験」についての追加解析データを発表しました。
- 2019年12月、当社は、日本において、「アドセトリス」について、「CD30陽性末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)」に対する効能および用法用量、ならびに小児の「再発または難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫」に対する用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。
- 2020年5月、当社は、「アドセトリス」について、欧州委員会(EC)より、現在の条件付承認に加えて、未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の成人患者に対するCHP(シクロホスファミド・ドキソルビシン・プレドニゾン)との併用治療に関して適応追加の承認を取得したことを公表しました。ALCLは末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)のサブタイプです。
- 2020年5月、当社は、「アドセトリス」について、再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫またはCD30陽性ホジキンリンパ腫の成人患者に対する治療薬として、中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。
[カボメティクス 一般名: カボザンチニブ]
- 2020年1月、当社は、「カボザンチニブ」について、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、主に、プラセボ群と比較して「カボザンチニブ」の有効性が統計的に有意な結果を示し、かつ安全性プロファイルについても確認された二次治療以降の進行肝細胞癌患者を対象とした海外臨床第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験である「XL184-309試験」、ならびに日本人における有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験である「Cabozantinib-2003試験」の結果に基づくものです。
- 2020年3月、当社は、「カボメティクス」について、切除不能又は転移性の腎細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、血管内皮細胞増殖因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(VEGFR-TKI)による治療後に増悪した、根治切除不能または転移性の腎細胞癌患者さんを対象とした国際臨床第3相試験の「METEOR試験」、化学療法歴のない、根治切除不能または転移性の腎細胞癌患者さんを対象とした海外臨床第2相試験の「CABOSUN試験」、およびVEGFR-TKIによる治療後に増悪した日本人進行腎細胞癌患者さん35名を対象に有効性と安全性を検討した国内臨床第2相試験である「Cabozantinib-2001試験」の結果に基づくものです。
- 2020年4月、当社は、「カボメティクス」と小野薬品工業株式会社のヒト型抗ヒトPD-1(programmed cell death-1)モノクローナル抗体、「オプジーボ」(一般名:ニボルマブ)について、未治療の進行性又は転移性の腎細胞がんを対象に両製剤の併用療法を評価した多施設国際共同無作為化非盲検第3相試験である「CheckMate -9ER試験」のトップライン結果が得られたことを公表しました。本試験において、オプジーボとカボザンチニブの併用療法は、スニチニブと比較して、最終解析で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を、あらかじめ計画されていた中間解析で副次評価項目である全生存期間(OS)、および奏効率(ORR)を改善しました。
[一般名: ニラパリブ]
- 2019年11月、当社は、「ニラパリブ」について、卵巣がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、海外臨床第3相試験である「NOVA試験」、海外臨床第2相試験である「QUADRA試験」、ならびに日本人卵巣がん患者に対し安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2001試験」、日本人卵巣がん患者に対し有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験の「Niraparib-2002試験」の結果に基づくものです。
[開発コード: TAK-924 一般名:pevonedistat]
- 2020年5月、当社は、「pevonedistat」について、バーチャルで開催された第56回米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、臨床第2相試験「Pevonedistat-2001」の結果を発表しました。本試験では、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)を含む造血器腫瘍の患者を対象に、pevonedistatとアザシチジンの併用療法とアザシチジン単剤療法を比較しました。これらの結果より、pevonedistatとアザシチジンの併用療法は非常に有効であり、有望な治療法であることが示されるとともに、HR-MDS患者群においては、アザシチジン単剤療法と同様の安全性プロファイルであり、全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、完全寛解率(CR)および輸血非依存達成率を含む臨床的に意義のある複数の評価項目でも有用性が示されました。
[開発コード: TAK-788 一般名:mobocertinib]
- 2019年6月、当社は、「TAK-788」について、2019年米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)年次総会のオーラルセッションにおいて、新たなデータを発表しました。非盲検、多施設共同臨床第1/2相試験により、EGFR エクソン20挿入遺伝子変異を有する局所進行性あるいは転移性の非小細胞肺がん患者において、「TAK-788」の無増悪生存期間(PFS)の中央値が7.3ヵ月、客観的奏効率(ORR)が43%という結果が示されました。
- 2020年4月、当社は、プラチナ製剤をベースとした化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した上皮増殖因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する治療薬「mobocertinib (TAK-788)」を米国食品医薬品局(FDA)がBreakthrough Therapyに指定したことを公表しました。
[開発コード: TAK-007]
- 2019年11月、当社とThe University of Texas MD Anderson Cancer Centerは、臨床段階にある、既成のCAR-NK細胞療法製品「TAK-007」の開発を共同で加速することを公表しました。現在実施中の「TAK-007」の臨床第1/2a相試験から、2021年には主要臨床試験への患者登録を予定しています。「TAK-007」は外来患者に投与可能な初めてのCAR細胞療法となる可能性があります。
[開発コード: TAK-605]
- 2019年12月、当社とTurnstone Biologics(「Turnstone社」)は、Turnstone社が有する独自のワクシニアウイルスプラットフォームを用いて幅広い種類のがんを対象とした複数の製品を開発するための戦略的共同開発契約を締結したことを発表しました。同社のリードプログラムである「TAK-605」(TBio-6517, RIVAL-01)は、Flt3リガンド、抗CTLA-4抗体およびIL-12サイトカインに対する導入遺伝子をコードするワクシニアウイルスバックボーンから構成されています。
希少疾患
当社は、次の3治療分野に注力しています。(1)これまでの治療パラダイムを変え得る、最近上市された「TAKHZYRO」を含む希少免疫疾患(例:遺伝性血管性浮腫)、(2)幅広いポートフォリオを有する希少血液疾患、(3)希少代謝性疾患(ファブリー病、ハンター症候群、ならびにゴーシェ病治療薬への注力)。
[TAKHZYRO 一般名:lanadelumab-flyo]
- 2019年6月、当社は、「TAKHZYRO」の効果発現を評価する臨床第3相試験である「HELP試験」における投与0~69日データについて追加解析を行い、新たなデータを欧州アレルギー・臨床免疫学会(European Academy of Allergy and Clinical Immunology:EAACI)にて発表しました。追加解析により「TAKHZYRO」が、プラセボ群と比較して月間平均発作発現率を80.1%減少させ、初期治療期間中において遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症を防ぎ始めることが示唆されました。
- 2019年11月、当社は、12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者を対象に実施中の臨床第3相「HELP試験」(長期予防試験)の非盲検延長(OLE)試験より、「TAKHZYRO」注射剤の長期安全性および有効性を示す新たなデータを発表しました。2019年米国アレルギー喘息免疫学会(American College of Allergy, Asthma and Immunology:ACAAI)年次総会において発表された解析結果では、「TAKHZYRO」が継続的にHAE発作を予防しており、多くの被験者が平均19.7ヵ月(0 - 26.1ヵ月)の投与延長期間においても、ピボタル「HELP試験」でみられた予防頻度と同様の割合で発作が発現しなかったことを示されました。解析結果は、ACAAIの学会誌である「Annals of Allergy, Asthma & Immunology」の11月号に掲載されました。
- 2020年5月、当社は、「TAKHZYRO」のプレフィルドシリンジ製剤の一部変更承認申請(Type II Variation)について、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)より承認を推奨する旨の肯定的見解が示されたことを公表しました。TAKHZYROは、12歳以上の遺伝性血管性浮腫(HAE)患者における再発性発作の標準的抑制薬として、欧州では皮下投与製剤として承認されています。
[アディノベイト 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]
- 2019年7月、当社は、第27回国際血栓止血学会(International Society on Thrombosis and Haemostasis Congress:ISTH)年次総会において、「アディノベイト」の臨床第3b/4相試験である「PROPEL試験」の新たな成績を発表しました。「PROPEL試験」は重症血友病A患者を対象とし、2つの異なる第Ⅷ因子トラフ値をターゲットとして、薬物動態(PK)に基づく定期補充療法後に「アディノベイト」の安全性および有効性を比較する前向き無作為化多施設共同試験です。
[ボンベンディ 一般名:ボニコグ アルファ(遺伝子組換え)]
- 2020年3月、当社は、ヒトフォン・ヴィレブランド因子(VWF)製剤「ボンベンディ」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。フォン・ヴィレブランド病は、止血に重要な役割を果たす凝固タンパク質であるフォン・ヴィレブランド因子の消失あるいは欠損に起因する遺伝性疾患です。フォン・ヴィレブランド因子の補充療法は、最も効果的な治療法です。
[開発コード:TAK-620 一般名:maribavir]
- 2019年9月、当社は、経口投与可能な抗ウイルス性化合物である「TAK-620」の臨床第2相試験結果がThe New England Journal of Medicineに掲載されたことを公表しました。当試験は、造血幹細胞移植または固形臓器移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染患者を対象とし、無作為化、非盲検で12週間実施されました。CMVはベータヘルペスウイルスであり、臓器または幹細胞の移植者を含む免疫力が低下した患者では、死亡する可能性のある臨床的に対処が難しい合併症を引き起こします。
ニューロサイエンス
当社は、治療法が確立していない神経疾患を患っている患者さんに革新的な医薬品を提供することを目指しています。当社は、社内の専門知識やパートナーとの提携をいかして、アルツハイマー病、パーキンソン病といった神経疾患、ナルコレプシーやその他の睡眠障害、ハンチントン病といった希少中枢疾患に対するパイプラインを構築します。
[トリンテリックス 一般名:ボルチオキセチン]
- 2019年7月、当社は、第16回日本うつ病学会総会において大うつ病性障害治療薬「ボルチオキセチン」について、国内第3相無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験の結果を公表しました。本試験では、日本の成人再発うつ病患者さんを「ボルチオキセチン」10mg群、20mg群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、1日1回投与で有効性・安全性を評価しました。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースラインからの変化量で、プラセボ群との群間差が「ボルチオキセチン」10㎎、20㎎群でそれぞれ-2.66、-3.07であり、プラセボ群に対して統計学的に有意な低下が認められました(P値 0.0080, 0.0023)。
- 2019年9月、当社は、「トリンテリックス」について、厚生労働省よりうつ病・うつ状態に対する治療薬として、製造販売承認を取得したことを公表しました。
[インチュニブ 一般名:グアンファシン塩酸塩]
- 2019年6月、当社は、塩野義製薬が製造販売承認を有し、塩野義製薬と当社が情報提供を行っている注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ」について、厚生労働省より成人患者(18歳以上)に対する適応追加による一部変更が承認されたことを公表しました。
[BUCCOLAM 一般名:ミタゾラム]
- 2020年2月、当社は、「ミダゾラム」(口腔用液)について、てんかん重積状態の治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の申請は、けいれん性てんかん重積状態を発症した 18 歳未満の患者さんに対して本剤を頬粘膜投与した2つの国内第3相多施設共同介入無作為化非盲検試験の結果などに基づくものです。これらの介入試験において、本剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題はありませんでした。
[開発コード:TAK-925]
- 2019年9月、当社は、開発中のオレキシン2受容体選択的作動薬である「TAK-925」のナルコレプシータイプ1に対する臨床第1相POC(コンセプト実証)試験ならびに断眠した健康成人を対象とする臨床試験の結果データを発表しました。これらの試験において、「TAK-925」の9時間単回静脈内投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用が検討され、いずれの試験においても「TAK-925」はすべての用量において良好な忍容性を示しました。これらの試験結果は、2019年世界睡眠学会(World Sleep Congress)にて発表されました。
消化器系疾患
消化器系疾患・肝疾患の患者さんに革新的で人生を変えうる治療法をお届けすることにフォーカスしています。「エンティビオ」および「アロフィセル」といった炎症性腸疾患におけるフランチャイズのポテンシャルを最大化するとともに、「ガテックス」のスペシャリティ消化器系疾患領域におけるポジショニングを拡大させ、社外との提携を通じて消化管運動関連疾患、セリアック病、肝疾患およびマイクロバイオーム(腸内細菌)における機会を探索し、パイプラインの構築を進めています。
[エンティビオ/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]
- 2019年5月、当社は、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者に対する維持療法として「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請を米国食品医薬品局(FDA)に提出し、受理されたことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤型を申請しています。
- 2019年5月、当社は、「エンタイビオ」について、中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得したことを公表しました。
- 2019年5月、当社は潰瘍性大腸炎を対象とした2つの生物学的製剤を初めて直接比較し、「ベドリズマブ」が「アダリムマブ」に対し52週時点で有意に高い臨床的寛解(注1)を達成したVARSITY試験から得た新たな探索的データを米国消化器病週間(Digestive Disease Week:DDW)2019において発表しました。
(注1)主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
- 2019年8月、当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与製剤について、中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎に対する維持療法の治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったことを公表しました。当社は、「ベドリズマブ」の皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤型を申請しています。
- 2019年9月、当社は、「ベドリズマブ」が、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、「アダリムマブ」と直接比較したVARSITY試験において、主要評価項目である治療期52週時点での臨床的寛解(注1)について「ベドリズマブ」が有意に優れる結果を示したデータが、The New England Journal of Medicineに掲載されたことを公表しました。
(注1)主要評価項目である臨床的寛解は、完全Mayoスコア(潰瘍性大腸炎の疾患活動性を評価するための指標)が2ポイント以下、かつ全てのサブスコアが1ポイント以下と定義
- 2019年10月、当社は、診療記録を用いたレトロスペクティブ研究である「EVOLVE試験」の結果を発表しました。本研究は、過去に生物学的製剤の投与経験のない中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者またはクローン病患者を対象に、「ベドリズマブ」および抗TNFα抗体製剤による重篤な有害事象および重篤な感染症の発現の可能性を、実臨床の場において調査したものです。これらのデータは、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week: UEGW)2019のオーラルセッションにおいて発表されました。
- 2019年12月、当社は、米国において、成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎における維持療法としての「ベドリズマブ」の皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請に関し、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了報告通知を受領したことを公表しました。本報告通知において、FDAからは、生物学的製剤承認申請に用いられた主試験から得られた臨床データおよびその結論とは関連のない質問が提起されています。
- 2020年2月、当社は、中等症から重症の活動期クローン病成人患者に対して、「ベドリズマブ」の皮下注射製剤による維持療法を実施した第3相「VISIBLE 2試験」における有効性および安全性の評価結果を発表しました。本試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にてベドリズマブの点滴静注製剤による静脈内投与を2回行う導入療法を実施後、6週時点で臨床的改善(注1)が得られた患者に対して実施されました。本試験の結果、52週時点で臨床的寛解(注2)が得られた患者の割合は、ベドリズマブ皮下投与群でプラセボ投与群と比較して有意に高く(48.0%[n=132/275]対34.3%[n=46/134]、p=0.008)、本試験の主要評価目的を達成したことが示されました。本成績は、第15回欧州クローン病・大腸炎会議(Congress of European Crohns and Colitis Organisation: ECCO)のオーラルプレゼンテーションにて発表されました。
(注1)臨床的改善:クローン病活動指数(CDAI:Crohn's Disease Activity Index)のスコアがベースライン(0週)から70ポイント以上の減少と定義。
(注2)主要評価項目:臨床的寛解は、CDAIのスコアが52週時点で150以下と定義
- 2020年3月、当社は、「ENTYVIO」について、中国国家薬品監督管理局(NMPA)より承認されたことを公表しました。本剤は、標準療法又はTNFα阻害薬による治療のいずれかに対し効果不十分、効果消失がみられた、もしくは不耐性である中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病成人患者に対する治療薬として承認されました。「ENTYVIO」は、NMPAによる迅速承認のための「緊急に必要な」海外医薬品の、2018年の初回(first batch)のリストに含まれていました。
- 2020年4月、当社は、「ENTYVIO」の自己注射製剤について、カナダにおいて、既存療法または TNF-αアンタゴニスト infliximab に対して、効果不十分、効果消失、または不耐性であった、18歳以上の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者の在宅での維持療法として承認されたことを公表しました。本承認は、中等症から重症の、活動期潰瘍性大腸炎の成人患者を対象とする、「ENTYVIO」皮下注用製剤の維持療法の有効性および安全性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験である「VISIBLE 1試験」に基づくものです。
- 2020年5月、当社は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎またはクローン病成人患者に対する維持療法として、「ENTYVIO」の皮下注射(SC)製剤の製造販売について、欧州委員会より承認を取得したことを公表しました。「ENTYVIO」のSC製剤は、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤の両剤型で利用可能となります。
[ガテックス 一般名:teduglutide]
- 2019年5月、当社は、「ガテックス」について、追加の栄養もしくは液体の静脈投与(非経口栄養補給)が必要な短腸症候群の1歳以上の小児患者への投与が米国食品医薬品局(FDA)より追加で承認されたことを公表しました。
[キャブピリン:ボノプラザンと低用量アスピリンの配合剤]
- 2020年3月、当社は、「ボノプラザン」と低用量アスピリンの配合剤である「キャブピリン配合錠」について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。
血漿分画製剤
当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では製品のライフサイクル全体にわたってイノベーションを推進することにより、希少および複雑な疾患に対する血漿分画製剤による治療の価値を最大化させます。血漿分画製剤に特化した研究開発組織は、新たな治療ターゲットの特定、および、現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。PDTでは、世界中で、様々な希少疾患や、生命を脅かす、慢性および遺伝性疾患の患者さんに有効な治療を行う上で不可欠な治療薬を開発することに焦点を絞ります。
[開発コード:CoVIg-19 (旧 TAK-888)/ 一般名:抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤]
- 2020年3月、当社は、米国議会において、当社が新型コロナウイルスに感染されたハイリスク患者さんに対する治療薬として抗 SARS-CoV-2ポリクローナル高免疫グロブリン(H−IG)の開発を開始すること、および、当社の上市済みの製品およびパイプラインの中で感染者に対する有効な治療薬となり得るものを調査していることについて情報共有しました。SARS-CoV-2は、COVID-19の原因となるウイルスです。高度免疫グロブリンは、これまでに重症急性ウイルス性呼吸器感染症の治療薬として有効であることが示されている血漿分画製剤であり、COVID-19の治療選択肢となる可能性があります。
- 2020年4月、当社とCSL Behring社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬となり得る血漿分画製剤の開発に関する提携契約、「CoVIg-19 Plasma Alliance」を締結し、本提携にBiotest、BPL、LFB、Octapharmaの各社が参画したことを公表しました。本提携を通じ、COVID-19による重篤な合併症を有する患者さんの治療薬となり得るノーブランドの製品として、抗SARS-CoV-2ポリクローナル高度免疫グロブリン製剤の臨床開発に直ちに着手します。
- 2020年5月、「CoVIg-19 Plasma Alliance」は参画メンバーとして血漿分画製剤に携わる企業を10社に拡大し、また、COVID-19から回復されたより多くの人々に血漿を提供してもらえるようにするために重要なサポートを行う血漿分画製剤の企業以外のグローバル機関も参画したことを公表しました。本アライアンスの発足当初に発表されたBiotest、BPL、CSL Behring、LFB、Octapharmaならびに当社に加え、新たな業界メンバーとしてADMA Biologics、BioPharma Plasma、GC Pharma、およびSanquinが参画します。これらの企業が一丸となり、COVID-19の治療選択肢となり得る薬剤の開発と流通を加速させるという本アライアンスの目標に寄与するため、専門知識に基づく助言、技術指導および/または物資による支援を提供します。
ワクチン
ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱、ジカウイルス感染、ノロウイルス感染など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国、シンガポール)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。
[開発コード: TAK-003]
- 2019年11月、当社は、「TAK-003」について、現在進行中のグローバル臨床第3相試験である「TIDES試験」(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の主要評価項目の解析結果が、The New England Journal of Medicineに掲載されたことを公表しました。「TAK-003」は、4歳から16歳の小児・若年層において、デングウイルスの感染歴に関係なく、主要評価項目であるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果を示しました。「TAK-003」の初回接種3か月後に2回目を接種した後、12か月の追跡期間におけるワクチン有効率(VE)は80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%、p<0.001)でした。また、あらかじめ設定されていた副次評価項目の探索的解析では、デングウイルス感染歴のある被験者および感染歴のない被験者において同様の予防効果が示されました(それぞれVE:82.2%(95%信頼区間:74.5%~87.6%)、VE:74.9%(95%信頼区間:57.0%~85.4%))。
- 2019年11月、当社は、「TAK-003」について、「TIDES試験」の最新結果を、米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)第68回年次学術集会にて発表しました。「TAK-003」の初回接種3ヵ月後に2回目を接種した後、18ヵ月の追跡期間で得られたデータには、ワクチン有効率(VE)に関する最新情報と、デングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する副次評価項目の解析結果が含まれています。「TIDES試験」では解析に十分な発症例数を収集し、全ての副次評価項目を満たしました。18ヵ月間追跡におけるパート2のVEおよび安全性に関する結果は、12ヵ月間追跡における主要評価項目の解析で報告されたデータと一貫性のある結果を示しました[接種2回目以後18ヵ月間追跡におけるVE:73.3%(95%信頼区間:66.5%~78.8%)、接種2回目以後12ヵ月間追跡における主要評価項目解析時のVE:80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%)、p<0.001]。
- 2020年3月、当社は、「TAK-003」に関する2つの論文がLancetに掲載されたことを公表しました。これらの論文は、現在進行中の臨床第3相試験である「TIDES試験」の18ヵ月時点の解析結果および臨床第2相試験である「DEN-204試験」の最終的な48ヵ月の解析結果についての報告であり、既報における「TAK-003」の安全性、免疫原性および有効性データと一貫性のあるものでした。
パイプラインの現状
当社グループの各疾患領域および事業分野における研究開発活動の概要は、以下に示すとおりです。後出する主要な疾患領域および事業分野において開示されている当社グループパイプライン上の化合物は、それぞれ異なる開発段階にあり、現在開発中の化合物の開発中止や新規化合物の臨床ステージ入りにより、パイプラインの内容は今後変わる可能性があります。以下に示す化合物が製品として上市に至るかは、前臨床試験や臨床試験の結果、様々な医薬品の市場動向、規制当局からの販売承認取得の有無など、様々な要因に影響されます。以下の表記載は、米国・欧州・日本・中国に限定していますが、当社グループはその他の地域でも開発活動を行っています。以下、「グローバル」の表記は、米国・欧州・日本・中国を指します。
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループのオンコロジー領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
SGN-35 <brentuximab vedotin> アドセトリス (欧州、日本) | CD30モノクローナル抗体薬物複合体 (注射剤) | 末梢性T細胞リンパ腫(フロントライン適応) | 欧州 | 申請(2019/6) (注3) | 導入品 (Seattle Genetics社) |
再発・難治性のホジキンリンパ腫 | 中国 | 申請(2019/3) (注3) | |||
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL) | 中国 | 申請(2019/3) (注3) | |||
<brigatinib> ALUNBRIG (米国、欧州) | ALK阻害薬 (経口剤) | ALK陽性非小細胞肺がん(フロントライン適応) | 米国 日本 中国 | 申請(2020/1) (注3) P-III P-III | 自社品 |
ALK阻害薬投与歴のある患者におけるALK陽性非小細胞肺がん | 日本 | 申請(2020/2) | |||
クリゾチニブ投与歴のある患者におけるALK陽性非小細胞肺がん(アレクチニブとの直接比較試験) | グローバル | P-III | |||
第2世代チロシンキナーゼ阻害薬の投与歴のある患者におけるALK陽性非小細胞肺がん | グローバル | P-II | |||
<cabozantinib> カボメティクス (日本) | マルチターゲットキナーゼ阻害薬(経口剤) | 肝細胞がん(セカンドライン治療) | 日本 | 申請 (2020/1) | 導入品 (Exelixis社) |
腎がん(ファーストライン治療、ニボルマブとの併用) | 日本 | P-III | |||
<niraparib> | PARP1/2阻害薬(経口剤) | 卵巣がん(維持療法) | 日本 | 申請 (2019/11) | 導入品 (GlaxoSmithKline社) |
卵巣がん(サルベージ療法) | 日本 | 申請 (2019/11) | |||
MLN9708 <ixazomib> ニンラーロ (グローバル) | プロテアソーム阻害薬 (経口剤) | 自家造血幹細胞移植後の初発の多発性骨髄腫の維持療法 | 米国 欧州 | P-III P-III | 自社品 |
自家造血幹細胞移植未実施の初発の多発性骨髄腫の維持療法 | グローバル | P-III (注4) | |||
再発・難治性の多発性骨髄腫 (デキサメタゾンとの2剤併用療法) | 米国 欧州 | P-II P-II | |||
再発・難治性の多発性骨髄腫 (ダラツムマブとデキサメタゾンとの3剤併用療法) | グローバル | P-II |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
<ponatinib> ICLUSIG (米国) | BCR-ABL阻害薬 (経口剤) | フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病(フロントライン適応) | 米国 | P-III | 自社品 |
チロシンキナーゼ阻害薬の治療に抵抗性を示す慢性骨髄性白血病の患者を対象とする用量設定試験 | 米国 | P-II(b) | |||
TAK-924 <pevonedistat> | NEDD8活性化酵素阻害薬 (注射剤) | 高リスク骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、低ブラスト急性骨髄性白血病 | 米国 欧州 日本 | P-III P-III P-III | 自社品 |
移植非適応の急性骨髄性白血病 | グローバル | P-III | |||
TAK-385 <relugolix> | LH-RHアンタゴニスト (経口剤) | 前立腺がん | 日本 中国 | P-III P-III | 自社品 |
TAK-788 <mobocertinib> | EGFR/HER2 阻害薬 (exon20変異対応) (経口剤) | exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん (フロントライン適応) | グローバル | P-III | 自社品 |
exon20挿入変異を有する非小細胞肺がん (セカンドライン以降) | グローバル | P-II | |||
TAK-007 <-> | CD19 CAR-NK細胞療法(注射剤) | 再発・難治性のB細胞性悪性腫瘍 | - | P-I/II | 導入品 (MD Anderson Cancer) |
TAK-169 <-> | CD38-SLTA(注射剤) | 再発・難治性の多発性骨髄腫 | - | P-I | 導入品 (Molecular Templates社) |
TAK-573 <-> | 抗CD38抗体(IgG4)と活性減弱IFNαとの融合蛋白 (注射剤) | 再発・難治性の多発性骨髄腫 | - | P-I | 導入品 (Teva Pharmaceutical Industries社) |
TAK-981 <-> | SUMO阻害薬 (注射剤) | 複数のがん種 | - | P-I | 自社品 |
TAK-252/SL-279252 <-> | PD-1-Fc-OX40L (注射剤) | 固形がん又はリンパ腫 | - | P-I | 導入品 (Shattuck Labs社) |
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループの希少疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-743 <lanadelumab> TAKHZYRO (米国、欧州) | 血漿カリクレイン阻害薬 (注射剤) | 遺伝性血管性浮腫 | 中国 日本 | 申請(2018/12) P-III | 自社品 |
遺伝性血管性浮腫(小児) | グローバル | P-III | |||
TAK-672 <-> OBIZUR (米国、欧州) | 抗血友病因子(遺伝子組換え)(注射剤) | インヒビター保有先天性血友病A | 米国 欧州 | P-III P-III | 購入品 (IPSEN社) |
TAK-577/SHP677 <-> VONVENDI(米国) VEYVONDI(欧州) | フォン・ヴィレブランド因子 (遺伝子組換え) (注射剤) | フォン・ヴィレブランド病の予防 | グローバル | P-III | 自社品 |
フォン・ヴィレブランド病の出血時補充療法(小児) | グローバル | P-III | 自社品 | ||
TAK-660 <-> ADYNOVATE(米国) ADYNOVI(欧州) | 抗血友病因子(遺伝子組換え)、PEG修飾 (注射剤) | 血友病A(小児) | 欧州 | P-III | 自社品 |
TAK-755 <-> | 欠損したADAMTS13 酵素の補充 (注射剤) | 先天性血栓性血小板減少性紫斑病 | 米国 欧州 | P-III P-III | 導入品 (KMバイオロジクス社) |
免疫性血栓性血小板減少性紫斑病 | 米国 欧州 | P-II P-II | |||
鎌状赤血球症 | 米国 | P-I/II | |||
TAK-620 <maribavir> | ベンズイミダゾールリボシド系阻害薬 (経口剤) | 移植手術を受けた患者におけるサイトメガロウイルス感染症 | 米国 欧州 | P-III P-III | 導入品 (GlaxoSmithKline社) |
TAK-607 <-> | インスリン様成長因子/インスリン様成長因子結合タンパク (注射剤) | 早産児合併症 | - | P-II | 自社品 |
TAK-609 <-> | 髄腔内投与用ヒトイズロン酸-2-スルファターゼ (遺伝子組換え) (注射剤) | ハンター症候群(中枢性) | 米国 欧州 | P-II P-II | 自社品 |
TAK-611 <-> | ヒトアリールスルファターゼA (遺伝子組換え)(髄腔内投与) | 異染性白質ジストロフィー | - | P-II | 自社品 |
TAK-754 <-> | 内因性第Ⅷ因子発現の回復 (遺伝子治療) | 血友病A(第Ⅷ因子遺伝子治療) | - | P-I/II | 導入品 (Askepios Biopharmaceutical社) |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-079(注5) <-> | 抗CD38モノクローナル抗体 (注射剤) | 重症筋無力症 | - | P-I/II | 自社品 |
全身性エリテマトーデス | - | P-I/II | |||
TAK-834 <-> NATPARA(米国) NATPAR(欧州) | 副甲状腺ホルモン (注射剤) | 副甲状腺機能低下症 | 日本 | P-I (注6) | 自社品 |
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループのニューロサイエンス領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-815 <midazolam> BUCCOLAM (欧州) | GABAアロステリック調節薬(経口剤) | てんかん重積状態 | 日本 | 申請(2020/2) | 自社品 |
TAK-831(注7) <-> | D -アミノ酸酸化酵素阻害薬(経口剤) | 統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害 | - | P-II(a) | 自社品 |
TAK-935 <soticlestat> | CH24H阻害薬 (経口剤) | ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群 | - | P-II | 自社品 (Ovid Therapeutics社との共同開発) |
15q重複症候群、サイクリン依存性キナーゼ様5(CDKL5)遺伝子欠損症 | - | P-II | |||
複合性局所疼痛症候群 | - | P-Ⅱ | 自社品 | ||
WVE-120101 <-> | mHTT SNP1アンチセンスオリゴヌクレオチド(注射剤) | ハンチントン病 | - | P-I/II | 導入品 (Wave Life Science社) |
WVE-120102 <-> | mHTT SNP2アンチセンスオリゴヌクレオチド(注射剤) | ハンチントン病 | - | P-I/II | 導入品 (Wave Life Science社) |
TAK-041(注7) <-> | GPR139アゴニスト(経口剤) | 統合失調症に伴う陰性症状および認知機能障害 | - | P-I | 自社品 |
TAK-341/MEDI1341 <-> | 抗α-シヌクレイン抗体(注射剤) | パーキンソン病 | - | P-I | 導入品 (AstraZeneca社) |
TAK-418 <-> | LSD1阻害薬 (経口剤) | 歌舞伎症候群 | - | P-I | 自社品 |
TAK-653(注7) <-> | AMPA受容体ポテンシエーター(経口剤) | 治療抵抗性うつ病 | - | P-I | 自社品 |
TAK-925 <-> | オレキシン2Rアゴニスト (注射剤) | ナルコレプシー、その他の睡眠障害 | - | P-I | 自社品 |
TAK-994 <-> | オレキシン2Rアゴニスト(経口剤) | ナルコレプシー | - | P-I | 自社品 |
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループの消化器系疾患領域のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
MLN0002 <vedolizumab> エンティビオ (米国、欧州、日本) | ヒト化抗α4β7インテグリン モノクローナル抗体 (注射剤) | 皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎) | 米国 日本 | 審査完了通知受領(2019/12)(注8) 申請(2019/8) | 自社品 |
皮下投与製剤(クローン病) | 米国 日本 | P-III P-III | |||
同種造血幹細胞移植を受けている患者における 移植片対宿主病の予防 | 欧州 日本 | P-III P-III | |||
潰瘍性大腸炎・クローン病(小児) | グローバル | P-II | |||
Cx601 <darvadstrocel> ALOFISEL (欧州) | 同種異系脂肪由来幹細胞懸濁剤 (注射剤) | 難治性のクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔 | 米国 日本 | P-III P-III | 自社品 |
TAK-438 <vonoprazan> タケキャブ(日本) VOCINTI(中国) | カリウムイオン競合型アシッドブロッカ (経口剤) | 酸関連疾患(逆流性食道炎の維持療法) | 中国 | 申請 (2020/3) | 自社品 |
酸関連疾患(十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助) | 中国 | 申請(2020/4) | |||
口腔内崩壊錠 | 日本 | P-III | |||
TAK-633 <teduglutide> GATTEX(米国)/ REVESTIVE(欧州) | GLP-2アナログ (注射剤) | 短腸症候群(小児) | 日本 | P-III | 自社品 |
短腸症候群(成人) | 日本 | P-III | |||
TAK-721 <Budesonide> | 糖質コルチコステロイド (経口剤) | 好酸球性食道炎 | 米国 | P-III | 自社品 (UCSDおよびFortis Advisorsとの研究協力) |
TAK-906 <-> | ドパミンD2/D3受容体アンタゴニスト (経口剤) | 胃不全麻痺 | - | P-II(b) | 自社品 |
TAK-954 <-> | 5-HT4受容体アゴニスト(注射剤) | 術後消化器機能障害 | - | P-II(b) | 導入品 (Theravance社) |
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-101 (注9) <-> | Tolerizing Immune Modifying nanoParticle (TIMP)(注射剤) | セリアック病 | - | P-II(a) | 導入品 (Cour Pharmaceuticals社) |
TAK-018/EB8018 <-> | FimHアンタゴニスト(経口剤) | クローン病 | - | P-II | 導入品 (Enterome社) |
TAK-951 <-> | ペプチドアゴニスト | 悪心、嘔吐 | - | P-I | 自社品 |
TAK-671 <-> | プロテアーゼ阻害薬 (注射剤) | 急性膵炎 | - | P-I | 自社品 (Samsung Bioepis社との共同開発) |
TAK-062 (注10) <-> | グルテン分解酵素(経口剤) | セリアック病 | - | P-I | 自社品 |
TAK-039 <-> | 細菌コンソーシアム(経口剤) | クロストリジウム・ディフィシル感染症 | ― | P-I | 導入品 (NuBiyota社) |
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループの血漿分画製剤のパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-616 <-> CINRYZE (米国、欧州) | C1エステラーゼ阻害薬 (注射剤) | 遺伝性血管性浮腫 | 日本 | P-III | 自社品 |
TAK-771 <IG Infusion 10% (Human)w/ Recombinant Human Hyaluronidase> HYQVIA (米国、欧州) | 遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ含有免疫グロブリンG補充療法 (注射剤) | 原発性免疫不全症(小児適応) | 米国 | P-III | 自社品 (Halozyme社との提携) |
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎 | 米国 欧州 | P-III P-III |
2020年5月13日(決算発表日)における当社グループのワクチンのパイプラインは以下のとおりです。
開発コード 製品名 (国名/地域)(注1) | 薬効 (投与経路) | 適応症/剤型追加 | 開発段階(注2) | 自社品/導入品 | |
TAK-003 <-> | 4価デング熱ワクチン (注射剤) | デング熱の予防 | - | P-III | 自社品 |
TAK-214 <-> | ノロウイルスワクチン (注射剤) | ノロウイルスによる急性胃腸炎の予防 | - | P-II(b) | 自社品 |
TAK-021 <-> | EV71ワクチン | エンテロウイルス71により発症する手足口病の予防 | - | P-I | 自社品 |
TAK-426 <-> | ジカウイルスワクチン (注射剤) | ジカウイルス感染の予防 | - | P-I | 自社品 (米国政府Biomedical Advanced Research and Development Authorityとの共同開発) |
(注1)製品名および国名/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおいて何らかの適応症で承認を取得した品目の製品名および国名であり、当社が該当品目の販売権を有していることを意味します。
(注2)ここでの国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおける販売承認取得の意図をもって臨床試験が進行中または承認申請済みであることを示しています。
(注3)2020年5月に承認済み。
(注4)日本については2020年5月に申請済み。
(注5)再発・難治性の多発性骨髄腫の試験は試験終了まで継続。TAK-079は希少疾患の重症筋無力症および免疫性血小板減少性紫斑病で開発の予定(FSI(第一被験者の登録日)は2020年度前半の見込み)。
(注6)日本におけるP-Ⅰ試験が完了し、P-Ⅲ試験開始の時期を検討。
(注7)2020年6月16日に当社グループは、当社グループのTAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインの開発および製品化に関する、Neurocrine Biosciences, Inc.との戦略的提携について発表致しました。当社グループは一時金として現金を受け取り、また、一定の開発マイルストン、販売マイルストン、および売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有します。特定の開発段階において、当社グループは、すべての臨床試験プログラムについて、1つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができます。当社グループが50:50の利益配分の適用を受けるパイプラインについて、当社グループは開発または販売マイルストンを受領する権利を有しません。
(注8)米国FDAから受領した皮下投与製剤に対するComplete Response Letter(審査完了通知)は、臨床での安全性・有効性データに関連するものではなく、皮下投与製剤のデザインやラベルに関する内容です。本CRLの内の解決に向けて取り組んでおり、2020年前半にタイムラインを更新できることを期待しております。
(注9)TAK-101(旧「TIMP-GLIA」)のライセンスはCour Pharmaceuticals社より取得しました。
(注10)TAK-062を含むPvP Biologics社を買収しました。旧開発コードはKuma062です。
当社グループの承認取得の進捗状況は以下のとおりであります。
開発コード | 適応症/剤型追加 | 国/地域(注1) | 進捗情報(注2) | ||
MLN0002 <vedolizumab> | クローン病 | 日本 | 承認(2019/5) | ||
TAK-633 <teduglutide> | 短腸症候群(小児) | 米国 | 承認(2019/5) | ||
Lu AA21004 <vortioxetine> | うつ病・うつ状態 | 日本 | 承認(2019/9) | ||
SGN-35 <brentuximab vedotin> | 末梢性T細胞リンパ腫 | 日本 | 承認(2019/12) | ||
TAK-438 <vonoprazan> | 酸関連疾患(逆流性食道炎) | 中国 | 承認(2019/12) | ||
MLN9708 <ixazomib> | 自家造血幹細胞移植後の初発の多発性骨髄腫の維持療法 | 日本 | 承認(2020/3) | ||
<cabozantinib> | 根治切除不能又は転移性の腎細胞がん | 日本 | 承認(2020/3) | ||
TAK-577 | フォン・ヴィレブランド病 | 日本 | 承認(2020/3) | ||
MLN0002 <vedolizumab> | クローン病(静脈投与製剤) | 中国 | 承認(2020/3) | ||
MLN0002 <vedolizumab> | 潰瘍性大腸炎(静脈投与製剤) | 中国 | 承認(2020/3) | ||
TAK-438 <vonoprazan> | 低用量アスピリンとの配合剤 | 日本 | 承認(2020/3) | ||
<brigatinib> | ALK陽性非小細胞肺がん(フロントライン適応) | 欧州 | 承認(2020/4) | ||
MLN0002 <vedolizumab> | 皮下投与製剤(潰瘍性大腸炎、クローン病) | 欧州 | 承認(2020/5) |
(注1)国/地域の記載は、米国・欧州・日本・中国のいずれかにおいて、臨床試験が継続しているまたは販売承認申請がなされた国/地域を示しています。
(注2)2020年5月13日(決算発表日)後、以下の品目が承認されています。
・SGN-35 未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)(欧州、2020年5月承認)
・SGN-35 再発・難治性のホジキンリンパ腫(中国、2020年5月承認)
・SGN-35 再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)(中国、2020年5月承認)
・Brigatinib ALK陽性非小細胞肺がん(フロントライン適応)(米国、2020年5月承認)
ライセンスおよび共同研究開発契約
当社は通常の事業において、製品開発および商業化のために第三者とライセンス契約や業務提携を行うことがあります。当社の事業は、こうした個々の契約に大きく依存するものではありませんが、これらの契約は全体として、社内外のリソースを組み合わせて活用することで新製品の開発や上市を可能にするという当社の戦略の一部を構成しています。これまで製品上市に寄与してきた契約の一部に関する概要は以下の通りであります。
- アドセトリス:2009年、当社はSeattle Genetics(以下、「シアトルジェネティクス社」)と、「アドセトリス」のグローバル共同開発および世界各国(同社が本剤を販売している米国、カナダを除く)における販売の提携契約を締結しました。本提携関係に基づき、当社による開発ならびに販売の進捗に関してマイルストン支払が発生する可能性があります。また、契約対象地域における「アドセトリス」の正味売上高に基づき10%台半ばから20%台半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。当社とシアトルジェネティクス社は、本提携関係のもとで実施される選択された開発活動の費用を均等に共同で負担します。本提携関係は、いずれか一方の当事者による正当な事由または両者の合意をもって解除することができます。当社は本提携関係を自由に解除でき、シアトルジェネティクス社は一定の状況において本提携関係を解除できます。両社により提携解除がなされなかった場合、本契約は全ての支払い義務の満了をもって自動的に終了します。2020年3月31日現在、当社の「アドセトリス」提携契約に基づく開発およびコマーシャルマイルストンの残存支払見込額はありません。
- トリンテリックス:2007年、当社はH. Lundbeck A/S(以下、「ルンドベック社」)とライセンス、開発、供給および販売契約を締結し、同社の保有する気分障害・不安障害治療薬パイプライン上の複数の化合物について米国および日本における独占的な共同開発および共同販売権を取得しました。本契約に基づき、当社は米国および日本で「トリンテリックス」を販売しております。本契約に基づき、当社とルンドベック社は、開発資金の大部分を当社が負担することとし、関連化合物の共同開発に合意しました。「トリンテリックス」による収益は当社が計上し、当社はルンドベック社に対し売上の一部に加え、当社による本剤の売上に基づき10%台前半から半ばの割合で段階的なロイヤルティを支払います。本契約は無期限に存続しますが、両者の合意または正当な事由をもって解除することができます。2020年3月31日現在、当社の「トリンテリックス」提携契約に基づく開発および販売マイルストンの残存支払見込額は、約5百万米ドルです。
- アミティーザ:2004年10月、当社はSucampo Pharmaceuticals(後にMallinckrodtが買収、以下、「マリンクロット社」)と消化器系の適応症での「アミティーザ」の米国およびカナダにおける購買、開発および販売の契約を締結しました。本契約は2020年12月31日まで有効であり、当社により解除されるまで自動的に更新されます。本契約に基づき、当社はマリンクロット社から「アミティーザ」を合意された価格で購入し、北米における売上高に基づき10%台の毎年見直される割合で段階的なロイヤルティを支払います。2021年1月1日以降は、当社とマリンクロット社で「アミティーザ」ブランドの販売による年間正味売上高を均等に分配します。当社とマリンクロット社は、一部を除いて、規制当局の指示による治験を含む開発費用を当社が負担し、該当費用が合意された上限額を超えた場合は超過分を均等に負担することに合意しております。同社とは、日本および中国を除く、他の国と地域についても類似の契約を締結しています。当社は、本契約の期間において、売上目標達成を条件とした追加のコマーシャルマイルストンの支払いと、年間販売活動に対する最低額の出費に合意しました。これらの支払いは、本剤の後発品発売により減額される可能性があります。2020年3月31日現在、当社の「アミティーザ」提携契約に基づく販売マイルストンの残存支払見込額はありません。
将来に向けた研究プラットフォームの構築/研究開発における提携の強化
- 2019年7月、当社と京都大学iPS細胞研究所(「CiRA」(サイラ))は、新規iPS細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)1遺伝子改変T細胞療法(iCART)に関する研究成果が、両社の共同研究プログラムであるT-CiRAから当社に継承されたことを公表しました。本プログラムの臨床試験に向けたプロセス開発が開始されています。
- 2019年10月、当社とCOUR Pharmaceuticals Development Company, Inc.(「COUR社」)は当社がCOUR社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying Nanoparticleである「CNP-101/TAK-101」の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得したことを公表しました。COUR社の抗原特異的な免疫寛容技術を用いた「TAK-101」は、グルテン摂取により小腸の炎症・傷害を引き起こす重篤な自己免疫疾患であるセリアック病の異常免疫反応に対するファーストインクラスとなる可能性のある治療薬です。セリアック病患者34名を対象とし、「TAK-101」の有効性および安全性を示す可能性のあるマーカーを検討した、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である臨床試験の結果は、欧州消化器病週間(United European Gastroenterology Week: UEGW)2019のLate-breaking Abstractとして発表されました。良好にコントロールされ、生検によりセリアック病と診断された患者が本試験に登録され、その後、患者はグルテンチャレンジを実施しました。本試験の結果を受け、当社は「TAK-101」の独占的な全世界のライセンスを獲得するオプション権を行使しました。
- 2019年11月、当社とThe University of Texas MD Anderson Cancer Center (「MD Anderson」)は、B細胞性悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型キメラ抗原受容体を発現した臍帯血由来NK(CAR NK)細胞療法に関し、独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約を締結したことを公表しました。本契約に基づき、当社はMD AndersonのCAR NK基盤技術へのアクセス権と、CD19をターゲットとしたCAR NK細胞療法や、B細胞成熟抗原(BCMA)をターゲットとしたCAR NK細胞療法を含む最大4つのプログラムについての開発および販売に関する独占的権利を獲得します。当社およびMD Andersonはまた、これらのCAR NKプログラムの開発をさらに進展させるための共同研究を実施します。
- 2019年12月、当社とTurnstone Biologics(「Turnstone社」)は、Turnstone社が有する独自のワクシニアウイルスプラットフォームを用いて幅広い種類のがんを対象とした複数の製品を開発するための戦略的共同開発契約を締結したことを公表しました。両社はTurnstone社のリードプログラムである「RIVAL-01」(TAK-605)についてグローバルで共同開発・商業化を行うとともに、今後、ワクシニアウイルスプラットフォームに基づいた追加の新規治療薬候補を特定するための共同研究も併せて実施します。
- 2020年2月、当社は、コントロール不良のセリアック病の治療薬である「TAK-062(Kuma062)」の臨床第1相試験としてのproof-of-mechanism試験(作用機序の確認試験)の結果を受け、PvP Biologics, Inc.を買収したことを公表しました。「TAK-062」は、ベストインクラスとなり得る、極めて強力なスーパーグルテナーゼ(摂取したグルテンを分解するタンパク質)であり、グルテンの摂取によって小腸に炎症や損傷がもたらされる深刻な自己免疫疾患であるセリアック病の治療薬としてコンピュータで設計されました。臨床第1相試験では、健常人とセリアック病患者の両方で「TAK-062」の安全性と忍容性を検討しました。摂取したグルテンに対するTAK-062の分解能については、健常人を対象として検討しました。当社は、本臨床第1相試験の結果を、今後の医学会において発表するため、データを提出する予定です。
当社の上記以外の研究開発ライセンスおよび提携のパイプラインは下表のとおりですが、これらに限定されません。
提携先 | 国 | 提携の内容 |
オンコロジー(がん): | ||
Adimab LLC | 米国 | がん領域において、3つのモノクローナル抗体及び3つのCD3二重特異性抗体の創薬・開発・販売。 |
Centre d’Immunologie de Marseille-Luminy | フランス | 先天性生物学における専門知識を当社のBacTrap技術と組み合わせ、骨髄細胞における新規の標的および経路を検証。 |
あすか製薬株式会社 | 日本 | relugolix(一般名、開発コード:TAK-385)に関し、製品価値の最大化を目的に、日本における子宮筋腫の独占的販売権および子宮内膜症の独占的開発・販売権を、あすか製薬に導出するライセンス契約。 |
Crescendo Biologics Ltd. | 英国 | がん領域におけるHumabody®を用いた治療薬の創製、開発および販売。 |
CuraDev | 英国 | CuraDev社は新規低分子の Stimulator of Interferon Genes (STING) 作動薬(同社による呼称ではCRD5500) とその関連する特許を当社に導出。 |
Exelixis, Inc. | 米国 | がん治療薬cabozantinibに関して、日本における進行性腎細胞がん及び肝細胞がんをはじめ適応拡大を含めた独占的な開発・販売権を獲得。 |
GammaDelta Therapeutics Ltd. ("GammaDelta社") | 英国 | ヒト組織常在型のガンマ・デルタT細胞が有する独自の特性に基づくGammaDelta社の新規T細胞基盤技術を活用した、新たな免疫治療薬の研究開発。 |
HiFiBiO Inc. | 米国 | 消化器系疾患およびがん領域において新規の治療抗体を見出すためのハイスループット抗体探索基盤技術。 |
Heidelberg Pharma GmbH | ドイツ | 抗体薬物複合体に関する2標的とライセンスを含む研究提携(アルファアマニチン毒素及び独占権を有するリンカー)。 |
ImmunoGen, Inc. ("ImmunoGen社") | 米国 | ImmunoGen社が有するADC(抗体薬物複合体)技術を活用した抗がん剤(TAK-164)の開発・販売。 |
Maverick Therapeutics Inc. ("Maverick社") | 米国 | T細胞によるがん細胞認識および攻撃能力の有効性を向上させるために開発されたT細胞誘導療法の基盤技術開発。本契約に基づき、当社は5年後にMarverick社を買収する独占的オプション権を有する。 |
The University of Texas MD Anderson Cancer Center | 米国 | B細胞性の悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型の臍帯血由来キメラ抗原受容体を発現したNK(CAR NK)細胞療法に関する独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約。 |
Memorial Sloan Kettering Cancer Center | 米国 | 血液がん・固形がんに対する、新規のキメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)の細胞療法を研究・開発。 |
Molecular Templates, Inc. (“MTEM社”) | 米国 | 最初の提携契約では、MTEM社が有するengineered toxin bodies (ETB)基盤技術を治療標的候補(TAK-169)に活用。2つ目の契約では、多発性骨髄腫などの疾患を対象とするCD38を標的とするETBを共同開発。 |
Myovant Sciences Ltd. (“Myovant社”) | スイス | 日本とアジアの一部の国を除く全世界におけるrelugolix(TAK-385)の独占的権利、および全世界におけるMVT-602(TAK-448)の独占的権利をMyovant社に供与。 |
国立がん研究センター | 日本 | 抗がん剤の創薬やがん生物学の研究に携わる研究者、医師などの交流促進を通じて、基礎研究から臨床試験までの治療オプションを探索。 |
Nektar Therapeutics (“Nektar社”) | 米国 | Nektar社が保有する免疫治療候補薬であるNKTR-214(CD122-biased agonist)と、当社のがん領域における5つの開発品目との併用治療を検証する共同研究。 |
ノイルイミューンバイオテック株式会社 ("ノイルイミューン社") | 日本 | 山口大学玉田耕治教授により開発された次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法の研究開発。当社は本提携により創出されたノイルイミューン社のパイプラインや製品の開発・販売権を導入できる独占的オプションを有する。本共同研究の成果を受け、NIB-102とNIB-103を導入済み。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
オンコロジー(がん): | ||
Seattle Genetics | 米国 | CD30を標的とするADC(抗体薬物複合体)であるホジキンリンパ腫治療剤「アドセトリス」の共同開発。 現在は67カ国において承認済みであり、追加効能取得のための臨床試験を実施中。 |
Shattuck Labs Inc. ("Shattuck社") | 米国 | 免疫療法と単一薬剤の組み合わせを可能とするShattuck社独自のAgonist Redirected Checkpoint (ARC)™プラットフォーム技術を用いたチェックポイント融合蛋白の探索及び開発。 当社はTAK-252/SL-279252のさらなる開発や販売の権利を導入する独占的オプションを有する。 |
GlaxoSmithKline plc | 英国 | 新規がん治療薬niraparibに関して、日本における全てのがん、および韓国、台湾、ロシア、オーストラリアにおける前立腺がんを除く全てのがんに関する独占的開発・販売権を獲得。 |
Teva Pharmaceutical Industries Ltd. ("Teva社") | イスラエル | TEV-48573 (TAK-573) (CD38-Attenukine)の全世界の権利及びTeva社のAttenukineプラットフォーム技術を活用する複数のターゲットの研究提携。 |
Turnstone Biologics ("Turnstone社") | 米国 | TAK-605(RIVAL-01)(aCTLA4、IL12-mb、flt3Lを発現する新しい腫瘍溶解性ウイルス)を共同開発するグローバル提携。Turnstone社のワクシニアウイルスプラットフォームに基づいて追加の新規治療薬候補を特定する共同研究も併せて実施する。 |
希少疾患: | ||
AB Biosciences, Inc. | 米国 | 希少疾患を対象とする品目が開発される可能性を有する研究提携。自己免疫炎症性疾患にフォーカスし、特定の免疫状態を標的とする様々なタイプの受容体と相互作用する分子が研究の対象。 |
Asklepios Biopharmaceutical, Inc. | 米国 | 血友病AおよびBを対象とする第Ⅷ因子の遺伝子治療を目的とする複数の研究開発提携。 |
BioMarin Pharmaceutical Inc. | 米国 | イデュルスルファーゼの髄腔内投与により外因性イズロン酸-2-スルファターゼ補充を可能にする技術の導入。認知機能障害を伴うハンター症候群患者において、長期的な治療のために本酵素を中枢神経系に直接到達させることにより、認知機能障害の進行を遅らせる(TAK-609)。 |
Evox Therapeutics ("Evox社") | 英国 | 新規のタンパク質補充療法およびmRNA治療薬、ならびにEvox社独自のエキソソーム技術を活用した選択的な薬剤送達の開発を目的とした提携。最大5つの希少疾患をターゲットし、当社は臨床開発の責任を負う。 |
GlaxoSmithKline plc (“GlaxoSmithKline社”) | 英国 | GlaxoSmithKline社およびミシガン大学とのヒトサイトメガロウイルス感染症治療薬としてのTAK-620 (maribavir) 導入契約。 |
Harrington Discovery Institute at University Hospitals in Cleveland, Ohio | 米国 | 希少疾患治療薬の開発に関する提携。 |
IPSEN | フランス | 後天性血友病A治療薬としてのObizur開発のための譲渡(購入)契約。緊急および非緊急の手術におけるインヒビター保有先天性血友病A患者への適用開発も含む。 |
KMバイオロジクス株式会社 | 日本 | ADAMTS13欠損克服と臨床的寛解の誘導により、先天性血栓性血小板減少性紫斑病による病的状態と致死を低減させることを目的としたTAK-755の開発提携。 |
NanoMedSyn | フランス | NanoMedSyn社独自の合成誘導体AMFAを用いて酵素補充療法の可能性を評価する前臨床研究提携。 |
Novimmune SA | スイス | 血友病A治療を対象とした前臨床開発段階にある革新的な二重特異性抗体に関する独占的な全世界での開発および商用化の権利。 |
Rani Therapeutics | 米国 | 血友病治療として第Ⅷ因子を経口で送達するためのマイクロタブレットピルの評価を行う研究提携。 |
Ultragenyx Pharmaceutical Inc. | 米国 | 希少遺伝子疾患治療を対象とする開発および商用化契約。 |
Xenetic Biosciences, Inc. | 米国 | PolyXen(ポリシアル酸ポリマー)を用いた血友病第Ⅶ因子、第Ⅷ因子、第Ⅸ因子および第Ⅹ因子の送達技術に関する独占的研究開発ライセンス契約。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
ニューロサイエンス(神経精神疾患): | ||
AstraZeneca plc ("AstraZeneca社") | 英国 | パーキンソン病の治療薬候補として、alpha-synuclein抗体であるMEDI1341の共同開発・販売契約。 |
Denali Therapeutics Inc. ("Denali社") | 米国 | Denali社が有する脳へのバイオ治療薬移行性を高めるAntibody Transport Vehicle(ATV)プラットフォーム技術を用いた、3つの神経変性疾患治療薬候補の開発および販売に関する戦略的オプションを含む提携契約。 |
Lundbeck | デンマーク | Vortioxetineの共同開発・販売契約。 |
Mindstrong Health | 米国 | 特定の精神疾患(特に、統合失調症および治療抵抗性のうつ病)を対象としたデジタルバイオマーカーの開発。 |
Neurocrine Biosciences社 ("Neurocrine社") | 米国 | 当社の早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインの開発および製品化に関する戦略的提携契約。統合失調症、治療抵抗性うつ病、無快楽症に関し臨床試験段階にある3つのパイプラインを含む7つのパイプラインプログラムについて、Neurocrine社に対し独占的権利を付与。 |
Ovid Therapeutics Inc. ("Ovid社") | 米国 | CH24H阻害薬であるTAK-935(経口剤)の希少小児てんかんでの共同開発。当社とOvid社は開発・製品化にかかる費用を折半し、開発成功時の利益も折半。 |
Skyhawk Therapeutics | 米国 | 神経変性疾患をターゲットとするRNA調整治療薬の開発及び販売に関する共同研究・ライセンス契約。 |
StrideBio Inc. | 米国 | In vivoでAAVによるフリードライヒ運動失調症とその他二つの非開示ターゲットを対象とする治療法開発を行う共同研究・ライセンス契約。 |
Wave Life Sciences Ltd. | シンガポール | 神経疾患に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品の開発を目指した研究開発および販売に関する契約、ならびに複数のプログラムに関するオプション契約。 |
消化器系疾患: | ||
Ambys Medicines (“Ambys社”) | 米国 | 様々な肝疾患において、肝機能の回復および肝不全への進行抑制という差し迫った医療ニーズに対し、細胞治療、遺伝子治療、機能獲得薬物療法を含む新規モダリティを臨床応用。本契約に基づき、当社はIND申請に達する最初の4つの品目の米国以外での販売権を得るオプションを有する。 |
Arcturus Therapeutics, Inc. ("Arcturus社") | 米国 | 非アルコール性脂肪肝炎及び他の消化器系疾患において、Arcturus社が有するLUNAR™脂質媒体薬物送達システム及びUnlocked Nucleomonomer Agent (UNA)オリゴマーの化学的性質を活用し、RNAをベースとする治療薬を共同開発。 |
Beacon Discovery (“Beacon社”) | 米国 | 消化器系疾患に対するG蛋白質共役型受容体に関連する薬剤の創薬・開発プログラム。 本契約に基づき、当社は共同研究によって創出された品目のグローバルの開発・生産・販売権を有する。 |
Cerevance inc. (“Cerevance社”) | 米国 | 中枢神経系で発現する新規標的タンパク質を特定し、ある種の消化器系の障害に対する新しい治療法を開発するための複数年にわたる研究提携。提携の目標は、Cerevance社のNETSseq技術によって生成された遺伝子発現データセットから、ターゲットを選択、特定および検証すること。 |
Cour Pharmaceutical Development Company, Inc. (“Cour社”) | 米国 | Cour社からグリアジンタンパク質含有のImmune Modifying NanoparticleであるTIMP-GLIA(TAK-101)の全世界での独占的な開発および製品化の権利を獲得。 |
Enterome Bioscience SA | フランス | 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を含む消化器系疾患において重要な役割を担うと考えられる腸内細菌を標的とした新たな治療薬を創出・開発。また、EB8018/TAK-018のクローン病におけるグローバルのライセンス及び共同開発。 |
Finch Therapeutics Group, Inc. (“Finch社”) | 米国 | 炎症性腸疾患を対象とした腸内細菌移植試験における良好な臨床結果との関連が示唆される複数の細菌株を培養した前臨床段階の生菌カクテル製剤であるFIN-524の全世界を対象とした共同開発。本契約に基づき、当社はFIN-524のグローバル開発・販売権を獲得し、炎症性腸疾患に対する後継品権利も有する。 |
Hemoshear Therapeutics, LLC ("Hemosher社") | 米国 | 非アルコール性脂肪肝炎を含む肝臓の疾患において、Hemoshear社の創薬基盤技術であるREVEAL-TxTMを活用し、新規創薬標的および治療法を創出。 |
Janssen Pharmaceuticals, Inc. | ベルギー | 慢性便秘症治療薬prucaloprideの米国における開発・販売にかかる独占的ライセンス。本薬は2018年12月に製品名Motegrityとして米国で承認取得。 |
NuBiyota LLC (“NuBiyota社”) | カナダ | Microbial Ecosystem Therapeuticを活用した腸内細菌由来の治療薬の研究開発。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
消化器系疾患: | ||
Phathom Pharmaceuticals | 米国 | 当社は米国、欧州、カナダにおけるvonoprazan(酸関連消化器疾患)に関する開発権と独占的販売権をPhathom Pharmaceuticals社に導出。当社はその対価として契約一時金と株式を受領し、さらに将来達成されたマイルストーンに応じて金銭と正味売上に基づくロイヤルティーを受け取る。 |
Samsung Bioepis Co, Ltd | 韓国 | アンメットニーズの高い疾患領域における複数の新規生物学的治療薬への共同出資・共同開発を行う戦略的提携。本プログラムの最初の治療薬候補は重症膵炎への適応を企図とするTAK-671。 |
Silence Therapeutics plc (“Silence社”) | 英国 | Silence社が有するGalNAc-siRNA技術プラットフォームにアクセスできる技術評価契約。評価の目的は、当社独自の標的の発現を阻害するGalNAc結合siRNAの特定。 |
Theravance Biopharma Inc | 米国 | 消化管運動障害治療薬候補である5-HT4受容体アゴニストTAK-954のグローバルにおける提携契約。 |
UCSD/Fortis Advisors LLC | 米国 | UCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)からのライセンス技術を活用し、好酸球性食道炎治療薬としてブデソニド経口製剤(TAK-721)を開発。 |
血漿分画製剤: | ||
Halozyme Therapeutics, Inc. (“Halozyme社”) | 米国 | HyQviaの拡散と吸収を高めることを目的としたHalozyme社の独自基盤技術ENHANZE™の導入。進行中の開発活動は、原発性の免疫不全を対象とする小児効能追加(米国)および慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の効能取得を目的とするP-Ⅲ試験。 |
Kamada Ltd. | イスラエル | 静脈投与α1-プロテアーゼインヒビター(Glassia)の開発および商用化の導入契約。Glassiaの米国、カナダ、オーストラリアおよびニュージーランドにおける独占的供給および流通、実施中の市販後コミットメント臨床試験のプロトコール立案。 |
ProThera Biologics, Inc | 米国 | 急性炎症状態を対象とする、新規血漿由来インターアルファ阻害タンパク質(IATP)の開発を対象とするグローバルライセンス契約 |
ワクチン: | ||
Biological E. Limited (“Biological E.社”) | インド | インド、中国および低・中所得国において安価な混合ワクチンの開発を促進するため、既存の麻しんワクチンおよび無細胞性百日せきワクチンの原末生産技術を当社からBiological E.社へ移管。 |
米国政府 - The Biomedical Advanced Research and Development Authority ("BARDA") | 米国 | 米国や世界中の流行地域でのジカウィルス感染への取り組みとして、当社が有するジカ熱ワクチン(TAK-426)の開発をBARDAが助成。 |
Zydus Cadila | インド | 顧みられない新興感染症への取り組みとして、チクングニア熱ワクチン(TAK-507)を共同開発。 |
その他/複数の疾患領域: | ||
Bridge Medicines | 米国 | Tri-I TDIで採択された研究プロジェクトに対して、資金面、運用面、管理面での支援を行い、有効性やターゲットの創薬上の検証であるプルーフ・オブ・コンセプト(POC)試験から臨床試験への移行まで継続的に実施。 |
京都大学iPS細胞研究所(CiRA) | 日本 | 当社重点領域疾患(ニューロサイエンス、オンコロジー、消化器系)及びその他疾患領域でトランスレーショナルサイエンス探索のためのiPS細胞の臨床応用。 |
Charles River Laboratories | 米国 | Charles River Laboratories社が有するエンドツーエンドの創薬および安全性評価プラットフォーム活用に関する提携。当社の重点疾患領域における複数のプログラム群を候補化合物の段階まで進めるため提携。 |
Evotec GT | ドイツ | 当社で増加する研究段階の遺伝子治療創薬プログラムをサポートするための研究提携。 |
HitGen Ltd. ("HitGen社") | 中国 | HitGen社のDNAエンコードライブラリーデザイン、合成、スクリーニング技術によって発見された新規リード化合物に関して、当社は独占的ライセンスの権利を有する。 |
Portal Instruments, Inc. ("Portal社") | 米国 | 針を使わない医療用デバイスの武田薬品の開発中または承認済み生物学的製剤への応用開発および商品化。 |
提携先 | 国 | 提携の内容 |
その他/複数の疾患領域: | ||
Schrödinger, LLC ("Schrödinger社") | 米国 | 保有するin silico技術に基づく創薬力と当社の疾患領域に対する深い知見および構造生物学における専門性を融合した、複数の創薬標的に関する共同研究。 |
Seattle Collaboration | 米国 | SPRInT (Seattle Partnership for Research on Innovative Therapies):Fred Hutchinson Cancer Research Center及びWashington大学によるヒト疾患治療への先進的発見の促進(オンコロジー、消化器系疾患、ニューロサイエンスに注力)。 |
Stanford University | 米国 | 革新的な治療薬をさらに効率的に開発するために、Stanford Alliance for Innovative Medicines (Stanford AIM)を設立。 |
Tri-Institutional Therapeutics Discovery Institute (Tri-I TDI) | 米国 | 産学連携を推進し、革新的な医薬品を創出。 |
知的財産
特許や登録商標を用いて可能な限り自社の製品や技術を守ることは、当社グループの事業戦略において重要な部分を占めています。当社グループが市場競争力を維持し高めるためには、企業秘密、当社グループ独自のノウハウ、技術的イノベーションおよび第三者との契約が欠かせません。当社がビジネス上の成功を収めることが出来るかどうかは、強固な特許を取得し行使する能力や、企業秘密を保護し続ける能力、第三者の知的財産権を侵害することなく事業を行う能力、付与されたライセンスの条件を遵守する能力に依存する場合があります。新薬の開発は長期間にわたり、研究開発は多くの費用を必要します。また、新化合物のうち上市されるものはごくわずかであることから、知的財産の保護は新薬の研究開発への投資の回収において重要な役割を担っています。
当社グループは米国、日本、欧州の主要国において可能な限り当社独自の技術の特許保護を求めていきます。その他の国々についても、可能な国々において、選別したうえで特許保護を求めていきます。いずれの場合にも特許保護自体を取得するか、ライセンサーを通じて特許出願をサポートするよう努めています。特許は、当社グループが使用する技術を保護するための主要な手段です。特許は、医薬品に関する発明の使用から他者を排除する権利を保持者に付与します。当社グループの医薬品を保護するために、有効成分をカバーする物質特許、薬の用途、製造方法、製剤に関する特許等、様々な種類の特許を使用しています。当社グループの低分子化合物は、主に物質特許によって保護されています。通常は物質特許の存続期間終了をもって当該医薬品の市場独占権は失われますが、その後も当該物質の用途、用法、製造方法、新規組成または剤型に関する特許等の非物質特許によって、商業利益が保護されることがあります。物質特許が満了した場合でも、各国の関連法規制によるデータ保護制度により対象製品が保護されることもあります。当社グループのバイオ製品は1件以上の物質特許によって保護されることがありますが、製品によっては物質特許以外の特許または規制当局によるデータ保護、またはその両方が適用されることもあります。しかし、競合会社によって、同じ疾患に対する類似製品および(または)バイオシミラーが当社グループの特許を侵害することなく開発され、販売されることがあることから、バイオ製品にとって特許による保護の重要性は伝統的な医薬品に比べて低いと思われます。
米国では、原則として出願から20年で特許は満了しますが、米国特許商標庁の審査遅延による特許の発行遅延があ った場合は特許期間の調整が行われる可能性があります。また、製品、製品を使用した治療法、製品の製造方法に関する米国の医薬特許は、米国食品医薬品局(FDA)による製品の承認審査期間に応じて特許期間延長の対象となる場合があります。このような場合の存続期間の延長は5年を上限としており、製品の承認取得から14年を超える延長は認められません。FDAの遅延に基づく期間延長が認められるのは、1製品につき1件の特許のみです。FDAは、新規化合物または「オーファンドラッグ」に対しては、特許独占権に加えて、データあるいは市場の独占権を追加付与することがあり、これらは既にある特許保護期間と並行して存続します。データ保護規制またはデータ独占権は、ジェネリック医薬品を発売し得る競合他社が、先発品の安全性および有効性を確立する際にスポンサーが作成した臨床試験データを新規化合物については5年間、「オーファンドラッグ」については7年間使用できないようにするものです。市場独占権は、同一薬剤を同効(同じ適応症)に 対して販売することを禁止するものです。
日本では、有効成分については、特許庁が特許を付与します。用量や投与方法など、治療法は日本では特許の対象となりませんが、特定の用法・用量にて使用する医薬組成物や、医薬組成物の製造方法については、特許の対象となります。日本では原則として出願より20年で特許は満了します。医薬特許は、承認までの審査に要した時間により、5年を限度として延長されることがあります。また、日本ではデータ保護制度として「再審査期間」を設けており、その期間は新有効成分含有医薬品については8年、新効能・新医療用配合剤については4年から6年、オーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)については10年となっています。
欧州連合(EU)では、欧州特許庁(EPO)または欧州各国で特許を申請することができます。EPOの制度では、EU全体およびスイス、トルコ等のいくつかのEU非加盟国での特許を一括申請することができます。EPOが特許を付与すれば、特許権者が指定する国々において特許が有効となります。EPOまたは欧州諸国のいずれかが認める特許の存続期間は、延長や調整があり得ますが、原則として出願から20年です。医薬品の特許は、補充的保護証明書(SPC)制度のもと、さらに追加の独占期間を付与されます。SPCは、特許権者が欧州医薬品庁または各国の規制当局から販売承認を受けるのに要した時間を補償する制度です。SPCにより、特許期間とあわせて、欧州で最初の販売承認を取得した日から最長15年の独占権を与えられます。ただし、SPCの最長期間は5年です。認可された小児臨床試験計画によるデータが提出された製品であれば、6ヶ月の小児用医薬品に係る延長が認められます。SPC制度を含め、承認後の特許は、各国の法制度により運用されています。特許およびSPCに関する規制はそれぞれ欧州特許庁およびEUのレベルで作られましたが、国ごとの運用の違いにより、例えば、EU各国の国内裁判所で無効申立てされた場合など、必ずしも同じ結果にはつながりません。また、EUは承認されたヒト用医薬品につき、特許保護と並行してデータ独占権を与えています。現在承認されている医薬品に関する制度は、通常「8+2+1」と呼ばれています。これは、まず初めに競合他社が関連データに依拠することができないデータ保護期間が8年間、続いて競合他社が販売承認申請のために当該データを使用できるものの、競合品を上市することができない市場独占期間が2年間、さらに、スポンサーが最初のデータ保護期間8年間の間に、他の治療薬が存在しない適応症か「既存治療薬に比べて有意な臨床的有効性」が認められる新たな適応症を追加した場合、追加で1年間の市場独占権を認めるものです。これは各国での承認にもEUの中央審査による承認にも当てはまります。また、EUには米国の類似したオーファンドラッグの独占制度があります。医薬品がオーファンドラッグとして指定された場合、10年間の市場独占権が与えられ、この間当該医薬品と同じ適応症を持つ同様の医薬品には販売承認が付与されません。特定の条件下では、さらに2年間の小児用医薬品に係る延長が認められます。
当社グループ製品の関連特許満了後の後発品の市場参入や、競合他社によるOTC医薬品の発売等、当社グループは世界中で知的財産に関わる課題に直面しています。当社グループのグローバルジェネラルカウンセルは、知的財産権および法務の業務について監督責任を負っています。当社グループの知的財産部は、下記3つの優先事項に注力することにより、当社グループの全社的な戦略をサポートしています。
・疾患領域別ユニットの戦略に沿った自社製品および研究開発パイプラインの価値の最大化および関連
する権利の保護
・パートナーとの提携サポートによる外部イノベーションのよりダイナミックな活用の促進
・新興国市場を含む世界各国での知的財産権取得および保護
当社グループの知的財産権が侵害されることは、それらの権利から得ることが期待される収益が失われるリスクとなるため、当社グループは特許やその他の知的財産を管理するための内部プロセスを整備しています。このプログラムでは、第三者からの侵害に継続的に警戒するともに、当社グループの自社製品および活動が第三者の知的財産を侵害しないよう、製品開発 段階から注意を払っています。
通常の事業活動において、当社グループの特許は第三者から異議の申し立てを受ける可能性があります。当社グループは、当事者として知的財産権に関する訴訟等に関与しております。継続中の重要な訴訟の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメント及び偶発負債 (5)訴訟」をご参照ください。
下表では、記載された製品について、対象地域ごとに、存続している物質特許およびデータ保護期間(以下、「RDP」)(米国およびEU)もしくは再審査期間(以下、「RP」)(日本)ならびに満了日を記載しております。RDPとRPについてはそれらの制度的な独占期間が特許満了日後にも与えられる場合にのみ記載しています。特許期間の延長(PTE)、補充的保護証明書(SPC)、小児用医薬品に係る独占期間(以下、「PEP」)は当局により認められたものについては満了日に反映され、申請手続中で認められていないものについては、延長された満了日を別途記載しています。
当社グループのバイオ医薬品は、下記の特許満了期間に関わらず、同じ適応症に対する類似製品またはバイオシミラーを製造する他社との競争に直面するか、今後直面する可能性があります。また、欧州の特許の一部は、SPCにより、いくつかの国で下表に記載の満了期限を超えて対象製品に追加的な保護が付与されます。
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
消化器系疾患領域: | |||||
ENTYVIO エンティビオ/エンタイビオ | 特許:— RP: 2026年7月(注2) | 特許:2021年9月 RDP: 2026年5月 | 特許:2017年8月 (いくつかの国では2022年8月まで延長) RDP: 2024年5月 | ||
DEXILANT デクスラント | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
PANTOPRAZOLE パントプラゾール | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
TAKECAB タケキャブ(注3) | 特許: 2031年8月 RP: 2022年12月(注2) | 特許: — (注3) | 特許: — (注3) | ||
GATTEX/REVESTIVE | 特許: — | 特許: 2020年10月 (注5) | 特許: — RDP: 2024年9月 | ||
PENTASA(注4) | 特許: — (注4) | 特許: — | 特許: — (注4) | ||
LIALDA/MEZAVANT(注3) リアルダ/MEZAVANT(注3) | 特許: — (注3) RP: 2022年9月(注2) | 特許: — | 特許: — | ||
AMITIZA(注4) アミティーザ | 特許: — (注4) | 特許:2021年5月 (注6) | 未発売 | ||
RESOLOR/MOTEGRITY | 未発売 | 特許: — RDP: 2023年12月 | 特許: 2020年11月 RDP: 2020年10月 |
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
希少代謝性疾患領域: | |||||
ELAPRASE エラプレース | 特許: — | 特許:2019年9月 | 特許: — | ||
REPLAGAL リプレガル | 特許: — | 未発売 | 特許: — | ||
VPRIV ビプリブ | 特許: — RP: 2024年7月(注2) | 特許: — | 特許: — RDP: 2022年8月 | ||
NATPARA | 特許: — | 特許: — RDP: 2027年1月 | 特許: — RDP: 2029年4月 | ||
希少血液疾患領域: | |||||
ADVATE アドベイト | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
ADYNOVATE アディノベイト | 特許: 2026年1月 RP: 2024年3月(注2) | 特許: 2026年2月 RDP: 2027年11月 | 特許:認められれば2028 年1月 RDP: 2028年1月 | ||
FEIBA(注7) ファイバ | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
HEMOFIL M(注7) ヘモフィル | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
IMMUNATE(注7) | 特許: — | 未発売 | 特許: — | ||
IMMUNINE(注7) | 未発売 | 未発売 | 特許: — | ||
BEBULIN(注7) | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
PROTHROMPLEX(注7) | 未発売 | 未発売 | 特許: — | ||
FACTOR VII(注7) | 未発売 | 未発売 | 特許: — | ||
VONVENDI | 未発売 | 特許: 2030年12月 RDP: 2027年12月 | 特許: — RDP: 2028年8月 | ||
OBIZUR | 未発売 | 特許: 2020年10月 RDP: 2026年10月 | 特許: 2026年2月 RDP: 2025年11月 | ||
RIXUBIS リクスビス | 特許: — RP: 2022年12月(注2) | 特許: — RDP: 2020年1月 | 特許: — | ||
AGRYLIN/XAGRID アグリリン | 特許: — RP: 2024年9月(注2) | 特許: — | 特許: — | ||
RECONBINATE | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
遺伝性血管性浮腫領域: | |||||
FIRAZYR フィラジル | 特許: — RP: 2028年9月(注2) | 特許: 2019年7月 | 特許: — RDP: 2020年7月 | ||
TAKHZYRO | 特許:2031年1月 PTEが認められれば2034年11月まで延長 | 特許:2031 年12 月、2032 年2月、2032年3月 PTEが認められれば2032年8月まで延長 | 特許:2031年1月 (いくつかの国では2033年11月まで延長) | ||
KALBITOR | 未発売 | 特許:2023年12月 | 未発売 | ||
CINRYZE(注7) | 特許: — | 特許: — RDP: 2020年10月 | 特許: — |
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) | ||
血漿由来の免疫疾患治療領域: | |||||
GAMMAGARD LIQUID(注7) | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
HYQVIA(注7) | 未発売 | 特許: — RDP: 2026年9月 | 特許: — RDP: 2024年5月 | ||
CUVITRU(注7) | 未発売 | 特許: — RDP: 2028年9月 | 特許: — RDP: 2027年7月 | ||
FLEXBUMIN(注7) | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
ALBUMIN IN GLASS(注7) アルブミン | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
GLASSIA(注7) | 特許: —(注4) | 特許: — RDP: 2022年7月 | 特許: —(注4) | ||
ARALAST(注7) | 未発売 | 特許: — | 未発売 | ||
CEPROTIN(注7) | 未発売 | 特許: — | 特許: — | ||
ANTITHROMBIN III(注7) | 未発売 | 未発売 | 特許: — | ||
KENKETU-GLOVENIN-I(注7) 献血グロベニンーI | 特許: — | 未発売 | 未発売 | ||
KENKETSU-NONTHRON(注7) 献血ノンスロン | 特許: — | 未発売 | 未発売 | ||
KENKETU-ALUBMIN(注7) 献血アルブミン | 特許: — | 未発売 | 未発売 | ||
オンコロジー(がん)領域: | |||||
VELCADE(注3) ベルケイド | 特許: — (注3) | 特許: — | 特許: — (注3) | ||
LEUPLIN/ENANTONE リュープリン/ENANTONE | 特許: — | 特許: — | 特許: — | ||
NINLARO ニンラーロ | 特許: 2031年7月 RP: 2027年3月(注2) | 特許: 2029年11月 | 特許: 2031年11月 | ||
ADCETRIS(注4) アドセトリス | 特許: 2022 年4月、2026年4月 RP: 2024年1月(注2) | 特許: — (注4) | 特許: 2027年10月 | ||
ICLUSIG(注3) アイクルシグ | 特許: — (注3) | 特許: 2027年1月 | 特許: — (注3) | ||
ALUNBRIG) アルンブリグ | 特許: 2029年5月 PTEが認められれば2032年9月まで延長 | 特許: 2030年7月 PTEが認められれば2031年4月まで延長 | 特許: 2029年5月 SPCが認められれば2033年11月まで延長 | ||
VECTIBIX(注4) ベクティビックス | 特許: 2022年8月 | 特許: — (注4) | 特許: — (注4) |
製品名 | 特許満了日(日本) (注1)(注2) | 特許満了日(米国) (注1) | 特許満了日(EU) (注1) |
ニューロサイエンス(神経精神疾患)領域: | |||
VYVANSE バイバンス/ビバンセ | 特許: 2029年6月 RP: 2027年3月(注2) | 特許: 2023年2月 | 特許: 2024年6月 (いくつかの国では2028年2月または2029年3月まで延長) |
TRINTELLIX(注4) トリンテリックス | 特許: 2022年10月 PTEが認められれば2027年10月まで延長 RP: 2027年9月(注2) | 特許: 2026年6月 PTEが認められれば2026年12月まで延長 | 特許: — (注4) |
ADDERALL XR | 未発売 | 特許: — | 未発売 |
ROZEREM ロゼレム | 特許: 2022年3月 | 特許: — | 未発売 |
REMINYL レミニール | 特許: — | 特許: — | 特許: — |
INTUNIV インチュニブ | 特許: — RP: 2025年3月(注2) | 特許: — | 特許: — RDP: 2025年9月 |
COPAXONE(注4) コパキソン | 特許: — RP: 2025年9月(注2) | 特許: —(注4) | 特許: —(注4) |
AZILECT(注4) アジレクト | 特許: — RP: 2026年3月(注2) | 特許: —(注4) | 特許: —(注4) |
MYDAYIS | 未発売 | 特許: — RDP: 2020年6月 | 未発売 |
BUCCOLAM | 未発売 | 特許: — | 特許: — RDP: 2021年9月 |
EQUASYM | 未発売 | 特許: — | 特許: — |
CABATROL | 未発売 | 特許: — RDP: 2021年10月 | 未発売 |
その他: | |||
AZILVA アジルバ | 特許: — RP: 2021年10月(注2) | 未発売 | 未発売 |
NESINA ネシーナ | 特許: 2028年4月 | 特許: 2028年6月 | 特許: 2028年9月 |
ULORIC(注4) ユーロリック | 特許: — (注4) | 特許: — | 特許: — (注4) |
COLCRYS コルクリス | 未発売 | 特許: — | 未発売 |
ENBREL(注4) エンブレル | 特許: — | 特許: — (注4) | 特許: — (注4) |
LOTRIGA(注4) ロトリガ | 特許: — RP: 2020年9月(注2) | 特許: — (注4) | 特許: — (注4) |
(注1) 表中の「―」は物質特許の満了または該当なしを表します。
(注2) 日本では、後発品の承認申請は、先発品の再審査期間終了後に行われ、規制当局による審査の後、承認、薬価収載されます。したがって、後発品は再審査期間の満了後から一定の期間を経て市場に参入します。
(注3) 本製品は、第三者への導出契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。
(注4) 本製品は、特定の地域限定で第三者からの導入契約を締結しているため、全ての地域で当社グループが販売を行っているわけではありません。詳細については「ライセンスおよび共同研究開発契約」をご参照ください。
(注5) ANDA申請者との合意により、2023年3月以降に後発品が発売される可能性があります。
(注6) ANDA申請者との合意により、2021年1月以降(または一定の状況下でより早期)に後発品が発売される可能性があります。
(注7) これらの医薬品は血漿分画製剤です。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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