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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IUW5 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 武田薬品工業株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動



当社の業績は、現在および将来において様々なリスクにさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績の変動を被る可能性があります。以下では、当社が事業を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いたします。なお、以下に記載したリスクは当社の全てのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「グローバルリスク管理ポリシー」に基づき、全社規模のリスク管理を行っており、主要なリスクおよびその低減策等について、リスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティーおよび取締役会に適宜報告される体制を整えています。具体的には、当社の業績に与えうる影響の程度と発生の蓋然性の両面から主要なリスクを識別し、これらを含むあらゆる損失危険要因について、各部門の責任者は、計数面および定性面から管理を行うとともに、リスクの程度・内容に応じた対応策・コンティンジェンシープランに基づきリスクの回避措置、受けうる影響の低減措置を行っています。また、リスクが顕在化した場合の事業への影響を最小化するため、その影響度に応じて事業継続計画を策定しています。
なお、本項目に含まれる将来に関する事項およびリスクは、当年度末現在において判断したものです。

(1)研究開発に関するリスク
当社は、研究開発機能の向上および社外パートナーとの提携等により研究開発パイプラインを強化すると共に、世界各国の市場への一日も早い新製品の上市を目指し、質の高い革新的な研究開発パイプラインを構築することで研究開発の成功確率を高める等により効率的な研究開発活動に努めております。しかしながら、医薬品は、自社創製候補物質、導入候補物質にかかわらず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審査により承認されてはじめて上市可能となります。
研究開発の途上において、当該候補物質の有効性・安全性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場合、その時点で当該候補物質の研究開発を途中で断念、または追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修正を余儀なくされる可能性があります。

(2)知的財産権に関するリスク
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の特許によって、一定期間保護されております。
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、当社が事業を行う市場における知的財産権や第三者からの侵害状況を継続的にモニタリング、評価および分析し、知的財産権に関するリスクの回避と、受けうる影響の低減を図っていますが、当社の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した場合には製造販売の差止めおよび損害賠償等を請求される可能性があります。

(3)特許権満了等による売上低下リスク
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサイクルを延長する努力をしておりますが、多くの製品について、特許が満了すれば、後発品の市場参入は避けられず、米国や欧州では後発品が参入すれば通常、短期間で先発品から後発品へ切り替わり、先発品の収益が大きく減少します。国内では、当局が後発品の使用促進を積極的に進め、また、長期収載品のさらなる価格引下げが行われています。これに加え、競合品の特許満了によるその後発品、および競合品のスイッチOTC薬の出現などによって、国内外の競争環境は格段に厳しいものになってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売上低下を招く可能性があります。
なお、特許権満了時期等の詳細については「第2 事業の状況 5 研究開発活動 知的財産」をご参照ください。


(4)副作用に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て発売されます。当社は発売後の医薬品について安全性情報を収集し有効性とリスクのバランスを評価することを含め、安全性監視活動とリスク最小化活動を実施し、より安全、有効に医薬品を使用できるようファーマコビジランス活動を推進し、副作用に関するリスクの回避と受けうる影響の低減に努力しておりますが、市販後の使用成績が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作用が確認されることがあります。新たな副作用が確認された場合には、添付文書の「使用上の注意」への記載を行う、使用する対象患者を制限する、使用方法を制限するなどの処置が必要となるほか、重篤なケースが認められた場合には、販売中止・回収等を余儀なくされることもあり得ます。また、このような場合において、当社は製造物責任を負うとともに、金銭的、法的および社会的信頼に関する損害を負う可能性があります。

(5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
最大市場である米国では、医薬品価格を下げるための医療計画や仲介機関による取り組みに加え、継続的な法令および規制の制定により先発品への価格引き下げ圧力が一層高まっています。日本においては、政府による一層の後発品の使用促進に加え、医療保険制度における多くの製品の公定薬価が、2021年より毎年引き下げられることが計画されております。欧州においても、薬剤費を抑制し、価格透明性を高め、国際価格を参照する政策により、医薬品価格が低下しております。当社は、各国の薬剤費抑制策の詳細な分析やモニタリングを行い、医薬品の価格状況を管理する組織体制を構築することでリスクの回避と影響低減の努力を行うと共に、各国政府や医療サービス供給者・保険者等と協力して、革新的な医薬品に対する適切な報酬制度を確立するために、価値に基づく新しい価格設定モデル等の解決策を追求しておりますが、これら各国の薬剤費抑制策による価格引き下げにより、当社製品の価格が影響を受け、当社の業績および財務状況に悪影響が生じる可能性があります。

(6)企業買収に関するリスク
当社は、持続的な成長を加速させるため、必要に応じて企業買収を実施しております。世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。取得した資産の価値が下落し、評価損等が発生した場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、のれんおよび無形資産等の減損損失の計上等により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、2019年1月にShire社の買収を完了しました。当社は、Shire社の買収提案を行うにあたり慎重にリスク分析を行い、また、買収後も統合によるシナジー効果を最大限発揮する事業モデルを構築し、統合の進捗状況をモニタリングしていますが、Shire社との統合後の事業において、買収により取得した製品(開発中のパイプラインを含む)から得られる成長機会もしくは統合によるコスト削減を含むシナジー効果等の買収の成果が当初の想定通りに実現されない場合、または、Shire社との統合プロセスやShire社の事業から生じる法規制および税制上のリスク等を適切に管理できない場合には、Shire社買収に伴い計上した多額ののれんおよび無形資産等の減損損失の計上により、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、Shire社の買収に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当社は、利益の創出および選択的なノン・コア資産の売却等を通じてレバレッジの速やかな低下を進めておりますが、将来の当社の財務状況が悪化した場合には、信用格付けが引き下げられ、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れ、その他資金調達の条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社の債務には制限条項が付されているものがあり、かかる制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7)安定供給に関するリスク
当社は、販売網のグローバル化に確実に対応する供給ネットワークと品質保証体制を強化しており、具体的には、可能な限り複数のサプライヤーと適切な在庫水準を確保するための製造供給戦略の策定、代替サプライヤーの選定、当社内の製造ネットワークに係る危機管理規則の制定、事業継続管理システムの導入および定期的な内部監査等を行っています。しかしながら、当社または委託先の製造施設・物流施設等において、技術上もしくは法規制上の問題、原材料の不足、または地震、火災その他の災害や感染症等により、製商品の安定的供給に支障が発生する可能性があります。その動向によっては、当社の業績、財務状況および社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

(8)IT セキュリティ及び情報管理に関するリスク
当社は大規模かつ複雑なIS/IT システム(アウトソーシング企業のシステムを含む)を利用しておりますが、従業員またはアウトソーシング企業の不注意または故意の行為、あるいは悪意をもった第三者による攻撃(サイバーアタック)により、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生する可能性があります。当社は、これらのリスクを低減するため、包括的なポリシーや手続きを整備するとともに、リスク評価を通じた事業リスク分析および監査や第三者によるリスク低減テストを通じて、セキュリティ戦略の形成と効果的なテクノロジーへの投資を行うことによりセキュリティの継続的な強化に努めておりますが、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、当社の事業活動への悪影響、個人情報や知的財産等の重大な機密情報の流出や喪失、業績および財務状況の悪化、法的な損害ならびに信用の失墜を招く可能性があります。

(9)コンプライアンスに関するリスク
当社は事業の遂行にあたって、薬事規制や製造物責任等の様々な法的規制の適用を受けています。当社は、グローバルエシックス&コンプライアンス部門を設置し、グローバルでコンプライアンスを推進する体制を整備し、当社の事業活動が法令および社内規定を遵守して実施されていることをモニタリングしていますが、当社の従業員や、当社が関係する医療従事者、委託先等の第三者がこれらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動をとった場合、法令による処罰や制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、社会的な信頼を失うとともに金銭的損害を負う可能性があります。

(10)進出国および地域におけるカントリーリスク
当社は、グローバルな事業展開に伴い、進出国や地域における政治不安、経済情勢の悪化、新興感染症の拡大、社会混乱等の潜在的なリスクに対応する体制を構築しており、患者さんの医薬品へのアクセスを保護することを優先事項として、リスクの抑止策や発生時の対処法を検討する等のリスク管理に努めております。しかしながら、不測の事態が生じた場合には、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11)為替変動に関する影響
当社の当年度における海外売上収益は2兆6,984億円であり、連結売上収益全体の82.0%を占めており、そのうち米国での売上収益は1兆5,959億円にのぼり、連結売上収益全体の48.5%を占めております。従って、売上収益については円安は増加要因ですが、一方、研究開発費をはじめとする海外費用が円安により増加するため、利益に対する影響は双方向にあります。また、機能通貨以外で実行される事業上の取引、金融取引および投資に関して為替変動リスクにさらされています。当社は為替リスクを集約的に管理し、外貨建取引に係る取引リスクをヘッジするためにデリバティブ取引を行っておりますが、為替レートが当社の想定を超えて変動した場合には、当社の業績および財務状況に影響が生じる可能性があります。

(12)訴訟等に関するリスク
当社の事業活動に関連して、現在関与している訴訟のほか、将来、医薬品の副作用、製造物責任、労務問題、公正取引等に関連し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては、当社の業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、継続中の重要な訴訟の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債 (5)訴訟」をご参照ください。

(13) 環境に関するリスク
当社は、環境法規制に対する継続的な準拠と、環境課題と持続可能な社会の実現に向けた当社の貢献に対するステークホルダーからの期待に応えるため、環境マネジメントシステムおよび社内プログラムを整備するとともに、これらが有効に運用されていることを確保するための内部監査手続を定めております。しかしながら、万が一、有害物質による予期せぬ汚染やそれに伴う危害が顕在化した場合には、著しい改善措置実施の義務などの行政措置の対象となることや、保険の適用範囲外または補償金額を超える費用、支払、法的責任を負うことにより、当社の事業活動に悪影響が生じるとともに、社会的信頼を著しく損なう可能性があります。また、環境法規制の改正や社会の期待の変化により、より厳しいコンプライアンス要件の遵守や環境課題への対応が課せられ、当社の研究、開発、製造その他の事業活動が制限される可能性があり、かかる要件の遵守や課題への対応が行われない場合には、法規制上の責任を負い、当社の社会的信頼に影響を及ぼすとともに、当社の業務遂行能力に悪影響が生じ、投資家に対する魅力が低下する可能性があります。
また、当社は、地球温暖化に伴う気候変動の影響を、人々の健康に大きな影響を及ぼす重要な環境課題として認識しており、2040年にバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成するという目標に向けて、省エネルギー活動の展開、オンサイト発電、再生可能エネルギーの購入や再生可能エネルギーに対する投資、実証済みのカーボンオフセット等を通じ、CO2排出量を削減する取り組みを推進しております。さらに、当社は水管理と廃棄物を最大限削減することを、持続可能な社会において注力すべき環境課題として認識しており、引き続き、水資源の消費削減に取り組むとともに、廃棄物の埋め立て処分ゼロおよびプラスチック廃棄物を最大限削減することを目的とした社内プログラムを確立しております。
このようなサステナビリティ課題に取り組むことは、企業活動を通じた長期的な収益を実現する基盤となりますが、適切な情報開示を含め、対応を怠った場合、または当社の目標を達成できない場合には、当社に対する患者さんや社会からの信頼が損なわれ、また、投資家からはサステナビリティ・リスクが高いとして投資対象から外されるなどの事態が生じ、その結果、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(14)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に関するリスク
当社は、COVID-19の拡大に関連して、さまざまな取り組みを行っていますが、COVID-19による影響が深刻化または長期化した場合には、原材料の調達や製品供給の滞り、臨床試験の遅延の拡大等、これらに限定されず、当社事業に更なる影響が及ぶ可能性があり、もしくは、当社に適用のある規制の遵守が困難になる可能性があります。現時点では、COVID-19の流行拡大がどの程度続くか明らかではありませんが、COVID-19の流行拡大が減速または収束した場合であっても、当社の事業、財政状態および経営成績に対して、長期間継続して影響が及ぶ可能性があります。中期的な業績影響も明らかではありませんが、失業者数の増加や保険支払構造の変化、政府による医療費削減施策の導入の可能性等が影響を及ぼすことが考えられます。
将来の事業等にかかるリスクを最小化するため、当社は引き続き状況を注視し、必要な対策を講じてまいります。COVID-19の拡大による影響と当社の取り組みの詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による影響と当社の取り組み)」をご参照ください。

従業員の状況研究開発活動


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