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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100JRLO (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社キャンバス 事業の内容 (2020年6月期)


沿革メニュー関係会社の状況

当社は、抗癌剤の基礎研究(創薬コンセプトの検討、当該コンセプトに基づき構築した手法による医薬品候補化合物の選別、簡易動物実験、既に開発段階に進んだ抗癌剤候補化合物に関する基礎データの収集・解析等)および早期臨床開発(臨床試験開始申請直前に実施する「前臨床試験」ならびに臨床試験の前半部分)に取り組んでいる創薬企業です。なお、当社は、医薬品事業の単一セグメントです。

(1) 基本戦略
当社は、自社独特の創薬アプローチを活かした抗癌剤の基礎研究および臨床開発に取り組む、創薬ベンチャー企業です。
特定領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬基盤技術(「創薬エンジン」とも呼ばれます)を基に実施することで技術とプロダクトの両方を自社で創出するのが「創薬企業」であり、創薬プラットフォームを持たず開発途上の化合物を外部から導入して一定の開発ののち製薬企業へ導出する企業とは大きく異なるビジネスモデルを志向しています。
この付加価値の高いビジネスモデルを完成させ、企業価値の最大化を図るための、当社の基本戦略は次のとおりです。
・当社独自の創薬アプローチを活かした研究開発に特化集中する。
・当社の有する薬剤スクリーニング法により創出・獲得した複数の医薬品候補化合物によって、開発パイプラインを構築する。
・抗癌剤の開発経験が豊富で当社の開発戦略に合致するCRO等の外部専門機関、科学顧問団を活用する。
・当社の権利を最大限確保するため、開発段階と当社の財務体力等に応じた適切な戦略提携を製薬企業等との間で行うことによって、価値連鎖を補完・完結する。

当社は、上記の戦略を適切に実行することにより、医薬品候補化合物の開発を速やかに進め、いち早く上市して当社の企業価値を高めるとともに、当社の開発リスクを分散低減していきたいと考えています。

(2) 創薬事業
一般に創薬(新薬の創出)は、
(ア) 創薬コンセプト(科学的根拠に立脚し、ある方法によって疾患を治療し得ると考え、その作用を有する化合物等が新しい医薬品になり得るとする仮説)に基づいて候補化合物を探索・選別する「探索」段階
(イ) (ア)で獲得された候補化合物について試験管内や動物での実験を実施し候補化合物の分子構造等を調整する「最適化」段階
(ウ) 臨床試験開始申請に必要なデータを揃える前臨床試験を実施する「前臨床試験」段階
(エ) 規制当局の許可を得て臨床試験(医薬品としての承認を得るために行うヒト試験)を実施する「臨床試験」段階
の順に進行します。
臨床試験段階はさらに、主に候補化合物の安全性を確認する第1相試験、比較的少数の患者様で候補化合物の有効性・安全性および用法用量を探索的に検討する第2相試験、医薬品として薬効を証明する第3相試験に大別されます。
通常の医薬品において臨床第1相試験は健康なボランティアを被験者としますが、当社が開発を目指す抗癌剤の領域では、抗癌剤に多い重篤な副作用への懸念から、末期癌患者ボランティアの方を被験者として臨床第1相試験を実施します。このため、第1相試験の前半では主に安全性を確認しつつ薬効の手応えのある癌腫を選定し、当該癌腫に絞り込んで薬効を探る「拡大相試験」を第1相試験の後半に実施する手法が多く採られます。当社の進めているCBP501臨床第1b相試験も、提携先Stemline社の進めているCBS9106(SL-801、felezonexor)臨床第1相試験も、この手法によるものです。

(3) 当社の開発パイプライン
「開発パイプライン」とは、創薬製薬領域において、開発中の医薬品候補化合物群を指す語です。
一般に医薬品開発は成功確率が低く、リスク分散の意味でいかに豊富で有望なパイプラインを継続的に有するかが製薬企業や創薬企業の中長期的な企業価値の基本となります。
新たなパイプラインを確保する方法は、当社のような創薬企業にとっては専ら自らの創薬コンセプトに基づいた新規候補化合物の「探索」「最適化」となります。製薬企業等においては、自社による創出のほか、創薬企業等との提携に基づくライセンスによるパイプライン獲得が図られます。
創薬企業の長期的な目的は新薬の承認獲得とその売上による収益獲得ですが、それに至るために必要な長期間かつ莫大な資金(一般にひとつの医薬品を開発するために必要な期間は約15年・必要な資金は数百億円といわれます)を独力で確保することは難しく、多くの場合、短期中期的な目標として、自社で開発中の候補化合物について製薬企業等との提携を成立させ当該候補化合物を相手方開発パイプラインのひとつとすることによるライセンス収益の獲得と財務基盤の安定・強化を目指します。

当社の開発パイプラインは次のとおりです。
《CBP501》
創業時からの創薬アプローチに基づいた探索から獲得された、当社の主要パイプラインです。多様な細胞機能に関わる蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により抗癌活性を示す独特の抗癌剤(カルモジュリンモジュレーター)です。
過去に、既存の抗癌剤シスプラチンおよびペメトレキセドとの併用で悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除きます。)を対象とする臨床第2相試験を完了しており、その試験で得られた新たなデータから、免疫系抗癌剤との併用により薬効を高める効果が期待できることがわかったことから、現在は抗癌剤シスプラチンと免疫系抗癌剤ニボルマブ(商品名:オプジーボ)との併用による臨床第1b相試験(最初の臨床第1相試験と内容の異なる試験なので区別のため呼称にbを付しています)を2017年10月から実施中です。
2018年中に臨床第1b相の前半の試験を終え、この試験の手応えを踏まえ、現在は対象を膵臓癌と直腸大腸癌に絞り込んだ「拡大相」試験を実施中です。

《CBS9106》
当社が創出した可逆的CRM1(XPO1)阻害剤であるCBS9106は、前臨床試験を終了した段階で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を米国Stemline Therapeutics, Inc(以下「Stemline社」といいます。)に供与するライセンス契約を締結しました。
現在は、Stemline社が進めている臨床第1相試験の支援を行い、これに伴う技術アドバイザリーフィー収益を得ています。

《次世代化合物》
上記2つの臨床開発段階のパイプラインのほか、当社は、癌免疫に着目した独自のスクリーニングによる新たな薬剤候補化合物の探索と、既存パイプラインの化合物に関する基礎研究の成果を活かした改良等により、次世代化合物の創出を図っています。
多数のアプローチで創出を図る中、CBP501に改良を加えて「最適化」段階を進めた結果、マウスを用いた動物実験で抗癌活性においてCBP501を上回る次世代候補化合物CBP-A08を2017年6月に獲得できています。

化合物併用対象探索
創出
最適化前臨床
試験
臨床試験提携・
共同研究
第1相第2相第3相
CBP501シスプラチン・
ペメトレキセド
悪性胸膜中皮腫■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
非小細胞肺癌■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
シスプラチン・
ニボルマブ
固形癌
(拡大相:膵臓癌・
直腸大腸癌)
■■■■■■■■■■■■■■■
CBS9106
(SL-801)
なし固形癌■■■■■■■■■■■■□□□Stemline社
CBP-A08未定■■■■■■■■
CBP-B未定■■■■■■■
IDO/TDO阻害剤未定□□□□■■静岡県立大
非公表非公表■■■ファルマバレー
非公表非公表■■富士フイルム
※表中の■は自社による進捗、□は他社による進捗を示す。
(4) 当社事業の当面の課題と施策
当社事業における当面の課題と施策は、概ね優先順位順に次のとおりです。
① CBP501について製薬企業等との提携を獲得する。
当社は現在、CBP501にかかる製薬企業等との提携関係を有していません。
製薬企業等との提携を獲得して当社の中長期的開発基盤を強化し短期中期的な収益に寄与するためには、これまでの提携企業獲得活動を継続するほか、世界的な注目の集まる免疫系抗癌剤との併用試験のひとつである現在の臨床第1b相試験の拡大相を迅速に進めて良好なデータを獲得し、提携候補製薬企業等にとっての魅力を示すことが必要です。

② 基礎研究を継続し、既存パイプラインに関する知見を深め、次世代パイプラインの創出を図る。
当社は、臨床開発段階のプロジェクトのほか、前述のとおり、基礎研究活動を絶えず実施しています。
また、研究開発にかかる知的財産権の管理等の費用も継続的に発生しています。
これらの取組みは、短期中期的には既存パイプラインの提携魅力を向上させるほか、当社の長期的な収益獲得と企業価値向上に欠かせないものですが、それらの成果による現実の収益を獲得するまでには一定の期間を要することから間接金融による資金調達は極めて困難であり、当面は直接金融による継続的な資金調達によらざるを得ません。

(5) 製薬企業との戦略提携
医薬品の開発プロセスは、通常、長い期間と莫大な費用を必要とします。当社のような創薬企業が、基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップなどを単独で行うことは困難であることから、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、固定費の増加を回避しつつ将来の継続的な開発・承認・上市に至る体制の確保を図るのが一般的な戦略です。
創薬企業と製薬企業等とがこのような役割分担を行うようになった背景として、分子生物学を主体とした生命科学の発達により、従来とは異なり、個々の研究テーマに対する専門性の高い研究力が求められるようになったことが挙げられます。実際に米国などでは、有力な新薬の多くが創薬企業によって開発され、または創薬企業からのライセンス供与などの形で創薬企業と戦略提携した製薬企業等によって開発されており、この役割分担の形は世界的な標準となっていると言えます。
また、創薬企業と製薬企業等との戦略提携は、両者のリスク分担や利益配分などの考え方を反映し、特許等の排他的な実施権を供与する対価としてロイヤルティを得る形態(いわゆるライセンスアウト)のみならず、さまざまなバリエーションが存在します。
CBP501に関しては、当社は、2007年3月に武田薬品工業株式会社との間でCBP501に関する共同事業化契約を締結し共同開発を進めていましたが、2010年6月に本契約を解消しています。その後、当社は、悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする海外での臨床第2相試験を当社単独で進めてきました。現在は、新規提携パートナーの早期獲得を目指しつつ、その確率を高めるために、新たな併用組み合わせによる臨床試験(フェーズ1b試験)を進めています。
CBS9106については、2014年12月、Stemline社と全世界(当初は日本および中国・台湾・韓国を除いていましたが、2018年8月にこれら除外地域をなくす修正を実施しました。)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。現在同社は、CBS9106(同社における開発コード:SL-801、一般名felezonexor)の臨床第1相試験を実施しています。

(6) 研究開発における外部機関との連携
当社は、癌領域に絞り込んだ創薬を自社独自の創薬エンジンを基に実施する創薬企業として、基礎研究から臨床開発・上市に至る各ステップにおいて、外部との提携関係(委受託関係を含みます)を活用しています。
基礎研究および最適化の段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成業務を、この領域において経験豊富な企業に委託しています。また前述の次世代化合物の創出に向けて、東京大学医学部附属病院およびファルマバレープロジェクト(一般財団法人ふじのくに医療城下町推進機構、静岡県立大学)、富士フイルム株式会社との共同研究を進めています。
臨床開発においては、抗癌剤の臨床開発に専門性を持つ大手CROとの緊密な提携関係を構築しています。
また、当社は、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり多数の抗癌剤の臨床試験に携わっています。同氏を議長とするSABミーティングは、2002年3月の発足以来、概ね年2回定期的に開催され、当社の研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。

沿革関係会社の状況


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E23487] S100JRLO)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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