有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100IZ0K (EDINETへの外部リンク)
ハリマ化成グループ株式会社 研究開発活動 (2020年3月期)
当社グループは松から得られる植物資源であるトールロジンとガムロジンの2種類のロジンを、日本国内をはじめブラジル、アルゼンチン、ニュージーランド等においてグローバルに生産するメーカーです。この強みを更に活かす為に、ロジンや脂肪酸の成分や純度をコントロールできる技術開発や、松由来の天然資源の生成メカニズムの探索や工業的活用に発展させることを視野に外部機関や大学と連携し研究開発を推進しています。
新規分野については、喫緊の課題となる環境負荷問題に対し、プラスチックフィルムの減容化を目的に表面を機能化する材料開発を進めています。また、有害物質の使用量削減の観点からは、有機溶剤の代わりに水を用いることが増えると予想されます。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かせる水系化技術の領域に着目して取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,634百万円、特許の登録件数は国内11件、海外が16件、国内の出願件数は8件でした。
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム148万トン、塗料162万トン、印刷インキ31万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社グループは、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持ち建築外装に適した耐久性を持つ樹脂を開発しました。また、建築外装以外の水系塗料に価値を与えるべく複数用途での開発に着手しました。
印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場に対して海外拠点での生産を見据えた新製品を複数完成させ、まずは国内ユーザーにて採用いただいています。また、平版用UV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品の販売を開始しました。さらに堅調に推移しているフレキソ、グラビアインキ向けに、当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用した水系向けの樹脂開発を進めています。
粘接着剤用樹脂においては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用添加剤に関しては、各種ゴムの要求特性、例えば振動吸収性や摩擦性などに適した様々な新規ロジン誘導体の開発を進め、一部用途では採用に向けた市場テストに入っています。また、ゴムの特性を変えるメカニズムを解明しながら開発を進めており、新たな用途に価値を創造できる製品開発を進め、顧客評価へ移行していく段階になっています。
機能性樹脂分野においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については、耐候性をより高めた製品の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は554百万円でありました。
(2)製紙用薬品
水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナスで推移しています。これは電子化等の影響によって、出版・広告向けの印刷用紙が減少したことが原因となっています。一方、日常生活で使用される衛生用紙、段ボール等のパッケージングに使用される板紙については、堅調な推移を示しています。2020年も、印刷用紙は減少となる一方で、衛生用紙や段ボール原紙の伸びが続くと予想されています。国内の製紙会社は工場の統廃合を進めると同時に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を加速させています。
このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。ポリアクリルアミド系紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適した製品の開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)についても実績が出てきました。現在、高品質のパルプを生産いただくために必要な薬剤として、お客様である製紙会社様に認められつつあります。さらに、食品包装用途の紙・板紙に安心してご使用いただくため、海外法規制にも対応可能な間接食品添加物としての製品の拡充を進めています。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズは、新たにドイツのBfRによる食品接触材料に対する推奨基準や中国国家衛生・計画生育委員会によるGB9685といった認証を取得しました。またポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズについても、米国に加えて中国の認証を取得しています。これらは、北米や東南アジア地域に加え、紙製包装材料への関心が高まっている日本のお客様でも実績が出てきています。
海外では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億0,996万トン/2018年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点で事業展開を進めています。また世界第二位(7,206万トン/2018年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国では、それぞれの地域において薬剤に要求される機能が異なっており、適合する技術開発や法規制に対応できる製品を開発しています。今後は、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は774百万円でありました。
(3)電子材料
主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向について、新車販売台数は新興国市場を中心に中長期的には成長が予測される一方で、2019年度は米中貿易摩擦や景気減速の影響により前年を下回る実績、加えて新型コロナウィルスによる世界的な経済への影響など直近は厳しい市場環境となっています。
こうした環境の中、当事業では自動車内に搭載される電子機器の小型化、高機能化を推進し安全で快適な運転の実現に貢献する自動車用接合材料として、大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ対応の鉛フリーペーストの販売が本年度も順調に増加し、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しました。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加を計画しています。
また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示され、当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を加速し、早期の実績化に向けた準備を進めています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上は景気減速の影響を受け低調な推移となりました。しかしながら、自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望は大きく、熱交換器の小型化、高機能化に大きな期待が持たれています。接点の微細化や形状の変化へ対応するため、多様化する塗布工法に適したろう付け材製品群の拡充を図ると共に、環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発を推進しています。さらには、自動車用熱交換器だけでなく、給湯器やルームエアコンに用いられる熱交換器向けのろう付け材料の開発にも注力しています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は723百万円でありました。
(4)ローター
印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのSunPine ABで製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成㈱の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進めており、ハリマ化成㈱の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は582百万円でありました。
新規分野については、喫緊の課題となる環境負荷問題に対し、プラスチックフィルムの減容化を目的に表面を機能化する材料開発を進めています。また、有害物質の使用量削減の観点からは、有機溶剤の代わりに水を用いることが増えると予想されます。そこで当社が有する乳化技術、分散技術を活かせる水系化技術の領域に着目して取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発費は、2,634百万円、特許の登録件数は国内11件、海外が16件、国内の出願件数は8件でした。
(1)樹脂化成品
当事業においては、塗料用樹脂、印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、機能性樹脂、合成ゴム乳化剤及び脂肪酸誘導体の研究開発を行っています。関連市場の生産量は、合成ゴム148万トン、塗料162万トン、印刷インキ31万トン、粘接着剤92万トンで、何れも成熟産業であり市場は低調に推移しています。このような状況下当社グループは、お客様や社会、環境に貢献できる新製品開発を進めており、今年度は次のような成果が出ています。
塗料用樹脂においては、建築外壁用に環境に配慮した弱溶剤型樹脂の開発を進めるとともに、より環境に配慮した水系塗料用の樹脂開発に取り組みました。高光沢で高付着性、耐水性を併せ持ち建築外装に適した耐久性を持つ樹脂を開発しました。また、建築外装以外の水系塗料に価値を与えるべく複数用途での開発に着手しました。
印刷インキ用樹脂においては、縮小傾向が続く平版インキ市場に対して海外拠点での生産を見据えた新製品を複数完成させ、まずは国内ユーザーにて採用いただいています。また、平版用UV硬化型インキ向けにロジンを使用した新製品の販売を開始しました。さらに堅調に推移しているフレキソ、グラビアインキ向けに、当社の強みであるロジン、脂肪酸を使用した水系向けの樹脂開発を進めています。
粘接着剤用樹脂においては、より高温などの使用環境下への適用も可能とする耐熱性を高めた新規タッキファイヤーを開発中です。また、ゴム用添加剤に関しては、各種ゴムの要求特性、例えば振動吸収性や摩擦性などに適した様々な新規ロジン誘導体の開発を進め、一部用途では採用に向けた市場テストに入っています。また、ゴムの特性を変えるメカニズムを解明しながら開発を進めており、新たな用途に価値を創造できる製品開発を進め、顧客評価へ移行していく段階になっています。
機能性樹脂分野においては、光学フィルム用の屈折率調整ハードコート剤の製品改良を進めており、顧客へ提案しています。また、同フィルム裏面に塗布するハードコート剤の開発も進めており、表裏とも当社品での採用を目指しています。また、自動車の塗装を保護する目的で貼られるペイントプロテクションフィルムと呼ばれるフィルムに、傷・汚れ防止機能を付与するコート剤については、耐候性をより高めた製品の開発を進めています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は554百万円でありました。
(2)製紙用薬品
水性樹脂の合成をコア技術として、段ボール等に使用される板紙の強度を高めるポリアクリルアミド系紙力増強剤、紙や板紙の吸水性を制御して水性インクのにじみ防止や耐水性を付与するロジン系サイズ剤、紙や板紙の表面に塗ることで印刷適性や撥水性を付与する表面紙力増強剤や表面サイズ剤といった、製紙工程で使用される機能性薬剤に関する開発を行っています。
日本国内における紙・板紙の内需は、2011年以降、マイナスで推移しています。これは電子化等の影響によって、出版・広告向けの印刷用紙が減少したことが原因となっています。一方、日常生活で使用される衛生用紙、段ボール等のパッケージングに使用される板紙については、堅調な推移を示しています。2020年も、印刷用紙は減少となる一方で、衛生用紙や段ボール原紙の伸びが続くと予想されています。国内の製紙会社は工場の統廃合を進めると同時に、海外事業、エネルギー事業、ケミカル事業、ヘルスケア事業やパッケージ事業といった成長分野への事業展開を加速させています。
このような製紙業界の動向を踏まえ、パッケージング用途で使用される板紙の中性抄紙化や軽量化に対応できる製品やアプリケーションの開発を進めています。ポリアクリルアミド系紙力増強剤は紙力効果と共に中性サイズ剤の機能向上が期待できる新製品、ロジン系サイズ剤では併用するAlumの使用量削減に繋がる使用法(Co-mingle®法)と本使用法に適した製品の開発を進めています。また、紙の原料となるパルプを生産する工程において、操業性や生産性を改善する工程薬剤(ピッチコントロール剤)についても実績が出てきました。現在、高品質のパルプを生産いただくために必要な薬剤として、お客様である製紙会社様に認められつつあります。さらに、食品包装用途の紙・板紙に安心してご使用いただくため、海外法規制にも対応可能な間接食品添加物としての製品の拡充を進めています。米国のFDAから間接食品添加物としての認証を取得したアニオン性ロジンエマルションサイズ剤のNeuRoz®シリーズは、新たにドイツのBfRによる食品接触材料に対する推奨基準や中国国家衛生・計画生育委員会によるGB9685といった認証を取得しました。またポリアクリルアミド系乾燥紙力増強剤のハーマイドKSシリーズについても、米国に加えて中国の認証を取得しています。これらは、北米や東南アジア地域に加え、紙製包装材料への関心が高まっている日本のお客様でも実績が出てきています。
海外では、北南米、中国、東南アジア地域における製紙用薬品の市場拡大に力を入れています。紙・板紙の生産量が世界第一位(1億0,996万トン/2018年)の中国では、浙江省の杭州杭化哈利瑪化工有限公司を中心として、広東省の東莞市杭化哈利瑪造紙化学品有限公司、山東省の山東杭化哈利瑪化工有限公司の三拠点で事業展開を進めています。また世界第二位(7,206万トン/2018年)の米国では、Plasmine Technology,Inc.によるFDA認証取得製品を軸とした事業展開、東南アジアやオセアニア地域では、日本からの技術支援による事業展開に取り組んでいます。これら諸外国では、それぞれの地域において薬剤に要求される機能が異なっており、適合する技術開発や法規制に対応できる製品を開発しています。今後は、海外展開に対応できる製品開発と、個別顧客の要求に対応できる技術開発を加速させることにより、更なるグローバル展開を進めていきます。
当セグメントに係る研究開発費の金額は774百万円でありました。
(3)電子材料
主として自動車業界と電子機器・情報産業向けのはんだ付け材料、及び自動車用熱交換器等の組み立てに用いるろう付け材料の事業を展開し、お客様に安心してご使用いただけるように地球環境への配慮と信頼性を重視した製品の開発に注力しております。
昨今の自動車産業の動向について、新車販売台数は新興国市場を中心に中長期的には成長が予測される一方で、2019年度は米中貿易摩擦や景気減速の影響により前年を下回る実績、加えて新型コロナウィルスによる世界的な経済への影響など直近は厳しい市場環境となっています。
こうした環境の中、当事業では自動車内に搭載される電子機器の小型化、高機能化を推進し安全で快適な運転の実現に貢献する自動車用接合材料として、大手自動車部品メーカーと共同で開発したファインピッチ対応の鉛フリーペーストの販売が本年度も順調に増加し、ソルダペースト全体の販売増加に寄与しました。今後もグローバル拠点への展開と新製品への採用活動の推進による販売量増加を計画しています。
また、多くの自動車制御装置メーカーでは、低燃費化、高機能化の実現に向けて新型の電子制御装置の開発が必要となっています。これら装置においては、はんだ付け箇所に大きなストレスがかかることから高い耐久性を有するはんだを使用する方向性が示され、当社もこのような市場要求に応えるため高耐久性鉛フリーソルダペースト開発を加速し、早期の実績化に向けた準備を進めています。
もう一つの主力製品である自動車用熱交換器に使用されるろう付け材料の売上は景気減速の影響を受け低調な推移となりました。しかしながら、自動車の低燃費化や電気自動車を想定した場合の自動車重量の軽量化への要望は大きく、熱交換器の小型化、高機能化に大きな期待が持たれています。接点の微細化や形状の変化へ対応するため、多様化する塗布工法に適したろう付け材製品群の拡充を図ると共に、環境負荷物質である有機溶剤成分を含まない無溶剤型材料の開発を推進しています。さらには、自動車用熱交換器だけでなく、給湯器やルームエアコンに用いられる熱交換器向けのろう付け材料の開発にも注力しています。
当セグメントに係る研究開発費の金額は723百万円でありました。
(4)ローター
印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂、道路標識塗料用樹脂、合成ゴム用乳化剤及びアロマケミカルの研究開発を行っています。
出版インキ市場は、デジタル化の進展により世界的に市場規模が縮小していますが、欧州においては、当社が出資するスウェーデンのSunPine ABで製造されたトールロジンを活用し、安定した品質で価格面でも優位性を持たせた樹脂の開発を推進しています。枚葉インキ用途では、特に食品包装関連の法規制が年々厳しくなってきており、製品の品質だけでなく、製造工程や、原材料の選別、保管管理に関しても対応できる生産体制が必要になってきております。当分野においては、食品にインキ成分が紙を通じて移行せず、食品の安全性や味覚に影響を与えないような低マイグレーション、低臭気ワニスの開発を進めております。
フレキソ、グラビアインキ市場は、主に新興国の食品包装材料需要と電子商取引の伸張により、今後も成長が期待されています。特に、水系フレキソインキでは、持続可能な社会の創造を標榜する末端顧客からは、包装容器に使用されるインキ、コーティング剤にも天然由来成分を原料とした製品を使用したいとの要望が高くなっており、ロジンをベースにしたフレキソインキ用樹脂ディスパージョン(商品名:SnowpackTM)は一部の顧客に採用され、今後の展開が期待されています。このような顧客からの要求に応えるべく、当社では、独自のロジン変性技術と水分散技術によって、高性能でかつ環境にやさしい包装インキ用樹脂の開発を進めています。
粘接着剤用樹脂の分野では、水系粘着付与剤樹脂の高いグローバルシェアを維持しつつ、得意とする汎用紙ラベル用途だけでなく、産業用テープ向け粘着付与剤樹脂市場への拡大を目指しています。特に、自動車などの部品に供される当分野の製品については、顧客からのBCP(事業継続計画)策定を強く求められるようになっており、ハリマ化成㈱の日本国内拠点とローターのグローバル拠点において、共通の製品づくりができる体制へ向けた研究開発を推進しています。
さらに、イノベーション部門の開発チームでは、既存の印刷インキ用樹脂、粘接着剤用樹脂中心の製品から、ロジンや脂肪酸などバイオマス原料の機能を追求し、今後市場伸長が見込める事業への新規開発投資を推し進めており、ハリマ化成㈱の研究開発カンパニーと連携の上、戦略的な技術開発、マーケティングを進めております。
当セグメントに係る研究開発費の金額は582百万円でありました。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01020] S100IZ0K)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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