有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100J16G (EDINETへの外部リンク)
三菱製鋼株式会社 事業等のリスク (2020年3月期)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)感染症リスク
新型コロナウイルス感染拡大による世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞により、世界経済が大きく減速することが懸念されております。当社の主要な取引先である自動車、建設機械、産業機械業界等の活動にも大きな影響が及んでおりますが、現段階では感染拡大による影響や収束の時期を見通すことができない状況にあります。
当社グループといたしましては、主要な取引先の稼働状況に合わせて生産計画を柔軟に見直すとともに、原価低減活動のさらなる推進により、生産コストをミニマム化してまいります。BCP(事業継続計画)に関する施策としてサプライチェーンのリスクを想定し、国内外の供給体制を維持してまいります。また、感染予防対策としては、時差出勤・フレックスタイム制度の有効活用・在宅勤務・有給休暇取得の奨励、Web会議推進等を進めております。
(2)中期経営計画の未達
当社グループは2016年5月に発表した中期経営計画の進捗状況を踏まえて同計画の見直しを実施し、2020年5月に「2020中期経営計画」を策定、公表いたしました。策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれており、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。
「2020中期経営計画」に掲げた具体的諸施策を推進し、事業環境の変化やその他の要因に柔軟に対応し、新中期経営計画達成に向け、グループ一丸となってまい進してまいります。
(3)設備投資、コスト改善の取り組み
当社グループは、「2020中期経営計画」期間内において最適生産体制の構築のため、約150億円の設備投資を計画しています。様々な外部要因や内部要因等により、新たな設備が計画通りに立ち上がらず効果が十分に発揮されない場合や、コストを計画通り改善することができない場合、固定資産の減損損失の計上等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
設備投資については、「2020中期経営計画」の重点施策の1つである「モノづくり向上」を通じて、国内のマザー機能を強化し、事後解決型から問題の未然防止型の体制へシフトすることで、投資効果を確実に回収してまいります。また、コーポレート部門を横断したメンバーで構成する投融資委員会を設け、中立的立場から妥当性やリスクを精査する体制を整えております。同委員会の意見をもとに、重要案件は経営会議もしくは取締役会でも審議するとともに、その進捗や立ち上げ後の改善効果の計画対比についても適宜フォローしていくことで、損失の発生を未然に防いでまいります。
(4)競争優位性及び新技術・新製品の開発・事業化に係るリスク
当社グループが展開する各事業においては、当社グループと同種の製品を供給する競合会社が存在しております。顧客ニーズの把握、新技術・新製品の開発・事業化に努めておりますが、顧客ニーズの変化に適切に対応できなかった場合や新技術・新製品の開発・事業化が長期化した場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社業績に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、素材となる特殊鋼から製品までを一貫して製造するメーカーである競争優位性を維持できるよう、各事業に分散していたR&D機能を集約し、かつ開発要員の強化を図り、適切な開発のための設備投資を行っています。また、千葉製作所内にアドバンスト・マテリアルズ・センターを新設し、材料開発から製品量産を加速していきます。さらに、マーケティング力を強化し顧客ニーズに合った製品をタイムリーに開発するため、営業戦略室を新設いたしました。今後も、技術開発を加速させ自動車業界の大変革期にも対応してまいります。
(5)製品需要の変動
当社グループの製造する特殊鋼鋼材は、国内外の需要分野の需給や市況等、需要分野の動向によって数量、価格とも影響を受けます。また、中国の粗鋼生産膨張や新興国の増産が世界の鋼材価格の引き下げ要因となり、当社グループの生産活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要製品の多くは、主に自動車・建設機械業界に納入されており、日本、北米、中国、アジアを含む当社グループの主要市場における、同業界の景気後退及び需要の縮小は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社といたしましては、素材となる特殊鋼から製品までを一貫して製造するメーカーであることを強みとし、顧客のニーズに対応した製品に対応してまいります。
(6)原材料価格の上昇
当社グループの主要製品は、鉄鉱石、石炭を使用して生産される溶鋼及び合金鉄を主要原料としており、これらを外部調達しております。また、電極・耐火物等の副資材につきましても同様であり、さらには電力・ガス等のエネルギーを消費しております。これらの主要原料及び副資材等の価格上昇分につきましては売価転嫁に努めておりますが、市況の高騰分を売価転嫁できなかった場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。2020年度は、特殊鋼鋼材事業における原材料供給元である関連会社の北海製鉄株式会社において、高炉改修のための操業休止を予定しており、原材料価格の上昇が見込まれております。室蘭コンビナートとして、これらの生産変動に適した操業に迅速に対応し、操業の効率化に取り組むことでコスト低減を進めてまいります。
(7)海外拠点におけるリスク
当社グループは、北米・欧州・中国・東南アジア等に海外事業拠点を有しております。当該国における政治・経済・社会的混乱や法的規制等、更には国際的な貿易規制や関税の変更、国家・経済圏間における貿易協定に起因する影響を受けるリスクがあり、これらの影響を受けた場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
貿易規制や関税の変更等に対しては、適切な対応を行うとともに、各拠点の調達構造改革を進めることで影響の軽減に努めております。当該国における政治・経済・社会的混乱や法的規制等につきましては、各拠点の内部管理並びにガバナンス等に係る体制の整備及び強化を行っていきます。
(8)外国為替相場の変動
当社グループは、原材料等の輸入及び製品等の輸出において外貨建取引を行っております。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受けることとなります。ヘッジ契約等の対応をしておりますが、為替相場変動のリスクを完全に排除することは困難であり、変動影響を大きく受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(9)金融市場の変動や資金調達環境の変化
当社グループは、事業活動に必要な資金を金融機関からの借入により調達しており、金利情勢、その他の金融市場の変動が業績等に影響を与える可能性があります。また、健全な財務体質の維持に努めておりますが、景気の後退や金融市場が悪化した場合や、当社グループの信用低下等により必要な資金を必要な時期に適切な条件で調達できない場合には、資金調達コストが増加することにより、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(10)災害・事故等の発生
当社グループは、大規模な自然災害等不測の事態の発生に備え、耐震面の強化など防災対策を強化しております。また、当社グループの生産設備の中には、高温、高圧での操業を行っている設備があり、高熱の生産物等を取り扱っている事業所もあります。対人・対物を問わず、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には、当社グループの生産活動等に支障をきたし、業績に影響が生じる可能性があります。
(11)法令・公的規制
当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。当社グループは、内部統制体制の充実を図り、従業員に向けての周知、徹底を行い、法令・公的規制の遵守に努めておりますが、万が一、遵守できなかった場合、課徴金や行政処分を課されるなどにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、これら法令・公的規制が改正もしくは変更される場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(12)環境規制等の影響
当社グループでは、事業活動において廃棄物、副産物等が発生いたします。環境マネジメントシステムを構築・運用し国内外の法規制を遵守し、環境保全活動を行っています。過去、現在、将来の事業活動に関し、環境に関する責任リスクを有しており、関連法規制の強化等によっては対応するための費用が発生する可能性があります。また、関連法規制の強化等によって、売却した工場跡地等であっても土壌汚染の浄化のための費用が発生するなど、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(13)製品の瑕疵・欠陥に係るリスク
当社グループの製品には、重要保安部品に該当するもの等、高い信頼性を要求されるものが存在し、各製造拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しています。製品の製造に当たっては、瑕疵・欠陥の生じた製品、及び顧客とあらかじめ取り決めた仕様に満たない製品が市場に流出することのないよう厳格な品質管理体制を構築しております。また、本社管理部門にリスク管理室を新設し、この組織が主幹となり、品質データー改ざん・偽装防止が効果的にかつ確実に実施されることを目的とする監査マニュアルを作成し、それに基づいた各拠点の監査を開始いたします。それでも尚、瑕疵・欠陥のある製品又は顧客とあらかじめ取り決めた仕様に満たない製品が万が一市場へ流出し、製品の補修、交換、回収、損害賠償請求又は訴訟等に対応する費用が発生した場合には、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(14)情報システムの障害、情報漏洩等
当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、情報システムの利用とその重要性は増しております。震災等による情報システムのBCP対策としてシステムのクラウド化または二重化等でより安定的なシステム運用の取り組みを行っています。また、自社及び顧客・取引先の営業機密や技術情報、個人情報等の機密情報を保有していますが、機密情報の漏洩対策については最重要の経営課題として認識し、システムによる防御対策に加えて従業員への教育を含む、情報セキュリティ強化を行っています。しかしながら、当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からのウイルス感染等のサイバー攻撃により、システム停止、機密情報の外部漏洩や棄損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、知的財産における競争優位性の喪失、訴訟、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(15)人材確保に係るリスク
当社グループは、事業の維持、成長のため、必要な人材の確保に努めておりますが、今後、少子化、景気回復による労働市場の需給バランスの変化や人材の流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、就業制度の充実等を行い、優れた人材の獲得及び定着に対する取り組みを進めております。
(16)有価証券の価格変動
当社グループは個別の政策保有株式について保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に検証し、保有の適否を判断しております。その結果を踏まえ、相手企業との関係強化を図るために販売・仕入に係る取引先やその他の会社の株式を保有しており、投資先の業績や株価の変動により当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(17)退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。金利の変動や制度資産の公正価値が変動した場合、及び退職金制度を変更した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(18)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、当連結会計年度において、事業計画の見直しに伴い海外子会社における固定資産に係る減損損失を計上したことにより、当連結会計年度の末日における連結の貸借対照表の純資産の部の金額が、2018年3月期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額の75%の金額以上に維持する規定に違反していることにより、当社を借入人とする財務制限条項付きのタームローン契約のうち、短期借入金5,000百万円が抵触している状況にあります。
当社は、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しておりますが、金融機関からは、期限の利益請求喪失事由の発生により貸付人が取得した契約上の借入人としての当社に対する権利を放棄することについて了承を得ております。従いまして、当社グループとしては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
なお、減損損失に対する改善施策は以下のとおりです。
特殊鋼鋼材事業におけるインドネシア子会社につきましては、品質改善と大幅な人員削減を伴うコストダウンに加え、顧客への承認活動も進展しております。今後さらに丸鋼の拡販を進め、あわせてばね事業とのシナジーによる平鋼の拡販により、事業を再生してまいります。
ばね事業における海外子会社につきましては、拠点の統廃合を含め、事業の再構築を進めてまいります。
素形材事業におけるタイ子会社つきましては、千葉マザー工場を活用して競争力を強化し、ガソリン用ターボチャージャー部品の拡販に注力して、業績改善に努めてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)感染症リスク
新型コロナウイルス感染拡大による世界的な消費の落ち込みや生産活動の停滞により、世界経済が大きく減速することが懸念されております。当社の主要な取引先である自動車、建設機械、産業機械業界等の活動にも大きな影響が及んでおりますが、現段階では感染拡大による影響や収束の時期を見通すことができない状況にあります。
当社グループといたしましては、主要な取引先の稼働状況に合わせて生産計画を柔軟に見直すとともに、原価低減活動のさらなる推進により、生産コストをミニマム化してまいります。BCP(事業継続計画)に関する施策としてサプライチェーンのリスクを想定し、国内外の供給体制を維持してまいります。また、感染予防対策としては、時差出勤・フレックスタイム制度の有効活用・在宅勤務・有給休暇取得の奨励、Web会議推進等を進めております。
(2)中期経営計画の未達
当社グループは2016年5月に発表した中期経営計画の進捗状況を踏まえて同計画の見直しを実施し、2020年5月に「2020中期経営計画」を策定、公表いたしました。策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれており、事業環境の悪化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。
「2020中期経営計画」に掲げた具体的諸施策を推進し、事業環境の変化やその他の要因に柔軟に対応し、新中期経営計画達成に向け、グループ一丸となってまい進してまいります。
(3)設備投資、コスト改善の取り組み
当社グループは、「2020中期経営計画」期間内において最適生産体制の構築のため、約150億円の設備投資を計画しています。様々な外部要因や内部要因等により、新たな設備が計画通りに立ち上がらず効果が十分に発揮されない場合や、コストを計画通り改善することができない場合、固定資産の減損損失の計上等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
設備投資については、「2020中期経営計画」の重点施策の1つである「モノづくり向上」を通じて、国内のマザー機能を強化し、事後解決型から問題の未然防止型の体制へシフトすることで、投資効果を確実に回収してまいります。また、コーポレート部門を横断したメンバーで構成する投融資委員会を設け、中立的立場から妥当性やリスクを精査する体制を整えております。同委員会の意見をもとに、重要案件は経営会議もしくは取締役会でも審議するとともに、その進捗や立ち上げ後の改善効果の計画対比についても適宜フォローしていくことで、損失の発生を未然に防いでまいります。
(4)競争優位性及び新技術・新製品の開発・事業化に係るリスク
当社グループが展開する各事業においては、当社グループと同種の製品を供給する競合会社が存在しております。顧客ニーズの把握、新技術・新製品の開発・事業化に努めておりますが、顧客ニーズの変化に適切に対応できなかった場合や新技術・新製品の開発・事業化が長期化した場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、当社業績に影響が生じる可能性があります。当社グループでは、素材となる特殊鋼から製品までを一貫して製造するメーカーである競争優位性を維持できるよう、各事業に分散していたR&D機能を集約し、かつ開発要員の強化を図り、適切な開発のための設備投資を行っています。また、千葉製作所内にアドバンスト・マテリアルズ・センターを新設し、材料開発から製品量産を加速していきます。さらに、マーケティング力を強化し顧客ニーズに合った製品をタイムリーに開発するため、営業戦略室を新設いたしました。今後も、技術開発を加速させ自動車業界の大変革期にも対応してまいります。
(5)製品需要の変動
当社グループの製造する特殊鋼鋼材は、国内外の需要分野の需給や市況等、需要分野の動向によって数量、価格とも影響を受けます。また、中国の粗鋼生産膨張や新興国の増産が世界の鋼材価格の引き下げ要因となり、当社グループの生産活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要製品の多くは、主に自動車・建設機械業界に納入されており、日本、北米、中国、アジアを含む当社グループの主要市場における、同業界の景気後退及び需要の縮小は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社といたしましては、素材となる特殊鋼から製品までを一貫して製造するメーカーであることを強みとし、顧客のニーズに対応した製品に対応してまいります。
(6)原材料価格の上昇
当社グループの主要製品は、鉄鉱石、石炭を使用して生産される溶鋼及び合金鉄を主要原料としており、これらを外部調達しております。また、電極・耐火物等の副資材につきましても同様であり、さらには電力・ガス等のエネルギーを消費しております。これらの主要原料及び副資材等の価格上昇分につきましては売価転嫁に努めておりますが、市況の高騰分を売価転嫁できなかった場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。2020年度は、特殊鋼鋼材事業における原材料供給元である関連会社の北海製鉄株式会社において、高炉改修のための操業休止を予定しており、原材料価格の上昇が見込まれております。室蘭コンビナートとして、これらの生産変動に適した操業に迅速に対応し、操業の効率化に取り組むことでコスト低減を進めてまいります。
(7)海外拠点におけるリスク
当社グループは、北米・欧州・中国・東南アジア等に海外事業拠点を有しております。当該国における政治・経済・社会的混乱や法的規制等、更には国際的な貿易規制や関税の変更、国家・経済圏間における貿易協定に起因する影響を受けるリスクがあり、これらの影響を受けた場合には、業績に影響が生じる可能性があります。
貿易規制や関税の変更等に対しては、適切な対応を行うとともに、各拠点の調達構造改革を進めることで影響の軽減に努めております。当該国における政治・経済・社会的混乱や法的規制等につきましては、各拠点の内部管理並びにガバナンス等に係る体制の整備及び強化を行っていきます。
(8)外国為替相場の変動
当社グループは、原材料等の輸入及び製品等の輸出において外貨建取引を行っております。また、当社グループの外貨建取引及び連結財務諸表作成のための海外子会社の財務諸表数値は、外貨から円貨への換算において、為替相場変動の影響を受けることとなります。ヘッジ契約等の対応をしておりますが、為替相場変動のリスクを完全に排除することは困難であり、変動影響を大きく受けた場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(9)金融市場の変動や資金調達環境の変化
当社グループは、事業活動に必要な資金を金融機関からの借入により調達しており、金利情勢、その他の金融市場の変動が業績等に影響を与える可能性があります。また、健全な財務体質の維持に努めておりますが、景気の後退や金融市場が悪化した場合や、当社グループの信用低下等により必要な資金を必要な時期に適切な条件で調達できない場合には、資金調達コストが増加することにより、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(10)災害・事故等の発生
当社グループは、大規模な自然災害等不測の事態の発生に備え、耐震面の強化など防災対策を強化しております。また、当社グループの生産設備の中には、高温、高圧での操業を行っている設備があり、高熱の生産物等を取り扱っている事業所もあります。対人・対物を問わず、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には、当社グループの生産活動等に支障をきたし、業績に影響が生じる可能性があります。
(11)法令・公的規制
当社グループは、日本国内および事業展開する各国において、環境、労働・安全衛生、通商・貿易・為替、知的財産、租税、独占禁止法等の事業関連法規、その他関連する様々な法令・公的規制の適用を受けております。当社グループは、内部統制体制の充実を図り、従業員に向けての周知、徹底を行い、法令・公的規制の遵守に努めておりますが、万が一、遵守できなかった場合、課徴金や行政処分を課されるなどにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、これら法令・公的規制が改正もしくは変更される場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(12)環境規制等の影響
当社グループでは、事業活動において廃棄物、副産物等が発生いたします。環境マネジメントシステムを構築・運用し国内外の法規制を遵守し、環境保全活動を行っています。過去、現在、将来の事業活動に関し、環境に関する責任リスクを有しており、関連法規制の強化等によっては対応するための費用が発生する可能性があります。また、関連法規制の強化等によって、売却した工場跡地等であっても土壌汚染の浄化のための費用が発生するなど、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(13)製品の瑕疵・欠陥に係るリスク
当社グループの製品には、重要保安部品に該当するもの等、高い信頼性を要求されるものが存在し、各製造拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しています。製品の製造に当たっては、瑕疵・欠陥の生じた製品、及び顧客とあらかじめ取り決めた仕様に満たない製品が市場に流出することのないよう厳格な品質管理体制を構築しております。また、本社管理部門にリスク管理室を新設し、この組織が主幹となり、品質データー改ざん・偽装防止が効果的にかつ確実に実施されることを目的とする監査マニュアルを作成し、それに基づいた各拠点の監査を開始いたします。それでも尚、瑕疵・欠陥のある製品又は顧客とあらかじめ取り決めた仕様に満たない製品が万が一市場へ流出し、製品の補修、交換、回収、損害賠償請求又は訴訟等に対応する費用が発生した場合には、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(14)情報システムの障害、情報漏洩等
当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、情報システムの利用とその重要性は増しております。震災等による情報システムのBCP対策としてシステムのクラウド化または二重化等でより安定的なシステム運用の取り組みを行っています。また、自社及び顧客・取引先の営業機密や技術情報、個人情報等の機密情報を保有していますが、機密情報の漏洩対策については最重要の経営課題として認識し、システムによる防御対策に加えて従業員への教育を含む、情報セキュリティ強化を行っています。しかしながら、当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からのウイルス感染等のサイバー攻撃により、システム停止、機密情報の外部漏洩や棄損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、知的財産における競争優位性の喪失、訴訟、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(15)人材確保に係るリスク
当社グループは、事業の維持、成長のため、必要な人材の確保に努めておりますが、今後、少子化、景気回復による労働市場の需給バランスの変化や人材の流動化の進展等により、人材の確保が想定どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。当社グループといたしましては、就業制度の充実等を行い、優れた人材の獲得及び定着に対する取り組みを進めております。
(16)有価証券の価格変動
当社グループは個別の政策保有株式について保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に検証し、保有の適否を判断しております。その結果を踏まえ、相手企業との関係強化を図るために販売・仕入に係る取引先やその他の会社の株式を保有しており、投資先の業績や株価の変動により当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(17)退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。金利の変動や制度資産の公正価値が変動した場合、及び退職金制度を変更した場合には、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。
(18)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は、当連結会計年度において、事業計画の見直しに伴い海外子会社における固定資産に係る減損損失を計上したことにより、当連結会計年度の末日における連結の貸借対照表の純資産の部の金額が、2018年3月期の末日における連結の貸借対照表における純資産の部の金額の75%の金額以上に維持する規定に違反していることにより、当社を借入人とする財務制限条項付きのタームローン契約のうち、短期借入金5,000百万円が抵触している状況にあります。
当社は、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しておりますが、金融機関からは、期限の利益請求喪失事由の発生により貸付人が取得した契約上の借入人としての当社に対する権利を放棄することについて了承を得ております。従いまして、当社グループとしては継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
なお、減損損失に対する改善施策は以下のとおりです。
特殊鋼鋼材事業におけるインドネシア子会社につきましては、品質改善と大幅な人員削減を伴うコストダウンに加え、顧客への承認活動も進展しております。今後さらに丸鋼の拡販を進め、あわせてばね事業とのシナジーによる平鋼の拡販により、事業を再生してまいります。
ばね事業における海外子会社につきましては、拠点の統廃合を含め、事業の再構築を進めてまいります。
素形材事業におけるタイ子会社つきましては、千葉マザー工場を活用して競争力を強化し、ガソリン用ターボチャージャー部品の拡販に注力して、業績改善に努めてまいります。
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