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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LGFP (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社大気社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当連結会計年度における研究開発費は1,122百万円であります。
当社は、技術開発センター(神奈川県)、テクニカルセンター(神奈川県)、植物工場実証開発センター(東京都)の3研究開発組織において、空調設備及び塗装設備の各分野における技術開発を前期に引き続き精力的に実施し、多くの成果を得ました。また、Geico S.p.A.(イタリア・ミラノ都市圏・チニゼッロ・バルサモ)は、パルディスイノベーションセンターにおいて、塗装設備の分野における技術開発と改良を精力的に実施し、多くの成果を得ました。

セグメントごとの研究開発は以下のとおりであります。

(1)環境システム事業


当連結会計年度における研究開発費の金額は433百万円であります。

① ベジファクトリーの拡充
当社では、完全人工光型・水耕栽培植物工場「ベジファクトリー」を展開しており、これまで照明や空調など栽培設備の最適化や植物工場の自動化装置の開発により栽培コストの低減のみならず植体の品質向上に取り組んでまいりました。
当連結会計年度は、自社で開発しました栽培パネルを自動で出し入れする移載機に合わせ、栽培パネルおよび栽培ベッドの材質、形状を刷新して植物工場の自動栽培システムを開発し、栽培室の無人化による低生菌数化が可能となりました。また栽培品種、栽培日数及び栽培密度の研究や気流の改良による生理障害抑制の取り組みにより、植体の品質向上と収量増加の両立が可能となりました。
今後は、育成状況監視システム、外気からのCO2供給装置、さらなる空調設備の最適化、省エネ化など、「ベジファクトリー」事業の拡大を支える技術開発に取り組んでまいります。

②直膨空調システムの拡充
当社では、冷凍機の冷媒で空気を直接冷却する直膨空調システムの開発を進め、主に環境試験室用途に導入してまいりました。
当連結会計年度は、環境試験室の実機検証ルーム構築に着手いたしました。近年、試験内容の高精度化に伴い、試験室の負荷変動に対する室内条件の安定性や試験条件変更に伴う追従性など試験環境に対する要求も高くなってきております。また、省エネルギー性能に対しても一段と高いレベルでの実現が要望されております。空調システムに新たな制御方法を組み込み、これらの実現に向けた技術開発及び実機検証を行ってまいります。
これら実証試験を通じて得た技術は環境試験室用途のみでなく、オフィスビルや工場などへ展開してまいります。
試験室空調設備の運転状況可視化として複合現実(mixed reality)技術を導入し性能の差を分かりやすく表現することで、お客様へ技術PRを行い、更なる販売拡大を進めてまいります。

③ RTO(蓄熱式直接燃焼脱臭装置)予兆保全システム
当社では、VOC(揮発性有機化合物)の排気処理装置の主力商品としてRTOを販売しております。RTOは燃焼排熱を蓄熱材に蓄熱し、これを処理ガスの予熱に再利用し、燃料消費量の低減を図る省エネルギー性の高い装置であります。
当連結会計年度は、運転状態見える化と運用改善提案、異常発生時のトラブル早期解決、予兆検知から保全提案が行えるようRTO予兆保全システムを開発しました。
このシステムは、エネルギー使用量の見える化による効率改善に寄与し、お客様の事業(製造)機会損失を抑制し生産性向上に貢献します。さらに、装置の予期せぬ故障・停止を未然に防ぎ、環境負荷物質の流出リスクを低減し、地球環境保全に貢献します。
今後は、システムの導入拡大を図り、遠隔サポートサービスと高精度な予兆/異常診断サービスを展開し、RTOの受注拡大を図ってまいります。


④ 移動式高性能エアバリアユニット「Air Infection Block Plus」の開発
当社では、新型コロナウイルス感染症対策として、これまで培ってきた気流制御技術を活用して、社会貢献ができないかという観点から、医療従事者向け感染防止装置の開発に着手いたしました。
当連結会計年度は、移動式高性能エアバリアユニット「Air Infection Block Plus(通称AIB⊕ )」を開発し、販売を開始いたしました。
これは、中央部に開口部を有する可動式パーティション構造とすることで、医療従事者と患者が対面となる診察時やPCR検査などの検体採取時に、医療行為の自由度を確保しつつ、開口部にプッシュプル式エアカーテンを設けることで、新型コロナウイルス感染者から医療従事者への飛沫感染リスクを低減させます。補助噴流と吸気口への積極誘引を行うなどの気流制御技術を駆使し、小粒径飛沫・飛沫核による汚染濃度を大幅に低減させ、医療従事者を守ります。また、殺菌効果をプラスしたHEPAフィルターの採用で2次感染を抑制します。
模擬呼気、咳・くしゃみ発生装置を試作し、呼気が効果的に遮断されていることを気流可視化技術により検証しております。
今後もさまざまな技術を活用し、新型コロナウイルス感染症対策など社会貢献を進めてまいります。

(2)塗装システム事業


当連結会計年度における研究開発費の金額は689百万円であります。

① 塗着効率100%を実現する静電霧化塗装システム「i-ESTA100TE」の開発
自動車塗装工場における塗装ブース設備のCO2排出量は、工場全体で使用するエネルギーのおよそ46%となっております。これは塗装品質を安定させるためにブース内の温湿度の調整や、被塗物に塗着しなかった塗料ミストを捕集する際に大量のエネルギーを消費するためです。
当社はこの課題を解決すべく、静電気の力で塗料を微粒化する静電霧化塗装システム「i-ESTA100TE」をトヨタ車体株式会社と共同で開発しました。
従来の塗装機は圧縮エアーを用いて塗装しており、塗料粒子を圧縮エアーの気流に乗せて車体に塗着させます。そのため、車体表面に沿って流れる気流によって塗料粒子が吹き飛ばされてしまい、塗着効率は70%程度に留まっておりました。これに対し新型の静電霧化塗装システムは、圧縮エアーを使わず、静電気の力だけで塗料の微粒化と塗料粒子の車体への塗着を行います。これにより塗着効率100%を実現することができ、ブース関連設備の簡略化・エネルギー削減に加え、環境負荷の低減が可能となりました。
2021年6月にはお客様の生産ラインへの納入が計画されており、また多くのお客様に導入の検討をいただいております。今後とも省エネルギー・環境負荷低減技術での社会への貢献を目標に「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた開発を推進してまいります。

② 自動ティーチングシステム「i-ART」の開発
自動車製造工場では塗装研磨工程において「労務コストの削減」や「品質の安定化」の観点で産業用ロボットによる作業の自動化が一般的になっておりますが、自動車以外の製造現場では、現在自動化が進んでいない状況となっております。その大きな理由としてはロボットのティーチングを行える専門技術者が少ないこと、ワークの種類が非常に多いため膨大なティーチング時間が必要となってしまうことの2点が挙げられます。このような背景から当社では上記専門技術者を必要とせず、自動でティーチング作業を行うことができる強力な支援ツールである「i-ART」を開発いたしました。
従来は専門技術者によるティーチングプログラム作成が一般的であり、非常に多くの時間と労力を必要としておりましたが、i-ARTを使うことで、ロボットによる塗装・研磨・シーリング作業を誰でも簡単に短時間でティーチングを行うことが可能となり、専門技術者が不在の状況でもティーチング作業工数の低減、品質の安定化といった大きな効果が得られます。
現在、国内の鉄道車両、建設機械や住宅機器など様々な分野のお客様に対し、導入に向けた検証テストを実施中であります。今後も様々な分野のお客様のニーズに応えられるようにi-ARTの機能の拡張をさらに進め販売拡大を推進してまいります。


③ 多目的簡易シェルター「バリアーキューブ」の開発
近年、新型コロナウイルス感染症拡大により、災害時における避難所や人が密集するところでは、感染リスクを低減させる為の対策が求められるようになっております。当社ではこれら社会のニーズに応える為、感染の不安や避難時のストレスの低減に有効なシェルターの開発を2020年4月から開始し、避難所等での一時的な隔離の用途の他に簡易診察室としての利用も可能なシェルターである「バリアーキューブ」を商品化し同年7月に販売を開始いたしました。
バリアーキューブは、組み立て式簡易シェルターとなっており、大人2人で簡単に組み立てることができ、天井および側パネルにより完全に仕切られた個室の形となるため、高いプライベート性を確保しながら感染リスクを有効に低減することができます。また、構造体には採光性が高いプラスチック段ボール(プラダン)を採用し、閉塞感を感じることのないよう配慮した設計としております。プラダンは耐久性,耐薬性,耐水性に優れ、除菌スプレーをかけるなどの除菌処理が可能であるため、長期間の使用においても感染リスクの低減効果を維持することができます。
さらに大きな特長としては、ファン付HEPAフィルター(High Efficiency Particulate Air filters)を装備している点です。シェルター内外の空気をHEPAフィルターでろ過しクリーンな空気を供給または排気することができるため、ウイルス感染リスクを確実に低減させることができます。今後もこのバリアーキューブの普及を通じて、さらに社会に貢献できる活動を進めてまいります。

④ 塗装ラインの仮想試運転テクノロジーの導入
Geico S.p.A.は、当連結会計年度においてプラントでの試運転期間の短縮化を可能にするシステムの開発を開始しました。そしてこの開発の為に必要となるすべての制御ハードウェアを組み込んだ仮想試運転ルーム(Virtual Commissioning Room)をミラノ市内にあるパルディスイノベーションセンターに設置しました。
この仮想試運転ルームでは実装置を使って実際に試運転やシステムの検証を行うのと同じように、仮想モデル上でPLC(Programmable Logic Controller)ソフトウェアを動作させ、プログラムバグの確認や制御ロジックの不具合の是正を行うことができます。この事前検証により実設備での試運転作業の大幅なスピードアップ化を図ることができます。
現在Geico S.p.A.ではこの仮想試運転ルームを二つの目的で使用しております。一つは塗装工場の建設プロジェクトを実際に計画する際に用いる場合であり、もう一つは社内の研究開発の為のツールとして利用する場合です。当初は塗装工場建設プロジェクト向けとしての使用を想定しておりましたが、これに加えて現在はGeico S.p.A.が新しく開発する装置のプロトタイプを仮想モデル化し、実際に製作する前にそのロジックの動作や機能を評価するツールとしても使用しております。この時に作成した仮想モデルと設計情報は実際の塗装工場建設プロジェクトの際に用いることができます。
翌連結会計年度では、この仮想試運転ルームを使った検証をヨーロッパの2つのプロジェクトで実施します。
またこのテクノロジーを導入したことで、ユニット統合型の電気式オーブン、DryCar(段ボールフィルタ式塗料ミスト捕集装置)、LeanDip(前処理/電着工程向け回転式コンベア)などの開発品を含め、今まで以上にスピーディな開発が可能になっております。
今後もお客様のさまざまなニーズに応えるため、この仮想試運転テクノロジーを活用し更なる受注拡大を図ってまいります。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00183] S100LGFP)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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