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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LOQ2 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 株式会社 東芝 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、エネルギーシステムソリューション、インフラシステムソリューション、ビルソリューション、リテール&プリンティングソリューション、デバイス&ストレージソリューション、デジタルソリューション領域を中心に、人々の暮らしと社会を支える事業領域に注力し、確かな技術で、豊かな価値を創造し、持続可能な社会に貢献してまいります。
エネルギーシステムソリューションでは、火力や原子力などの基幹電源のさらなる安全・安定供給と効率の良い活用を進めます。また、水素を含むクリーンエネルギーをつくる、おくる、ためる、かしこくつかう機器・システム・サービスを提供することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。インフラシステムソリューションでは、公共インフラ、鉄道・産業システムなど、社会と産業を支える幅広いお客様に信頼性の高い技術とサービスを提供し、安全・安心で信頼できる社会の実現を目指します。ビルソリューションでは、スマートで品質の高い昇降機、空調機器、照明機器やサービスを提供することにより、快適なビル環境を提供します。リテール&プリンティングソリューションでは、お客様にとっての価値創造を原点に発想し、世界のベストパートナーとともに優れた独自技術により、確かな品質・性能と高い利便性を持つ商品・サービスをタイムリーに提供します。デバイス&ストレージソリューションでは、機器の省エネ化やビッグデータ社会のインフラ作りを目指し、産業、車載、データセンター領域などに向け、高付加価値な半導体製品やストレージ製品の先端開発を進めてまいります。デジタルソリューションでは、産業ノウハウを持つ強みを生かしたIoT/AI(人工知能)を活用したデジタルサービスをお客様と共創してまいります。
当期における当社グループ全体の研究開発費は1,505億円であり、各事業セグメント別の主な研究成果及び研究開発費は次のとおりです。

(1) エネルギーシステムソリューション
東芝エネルギーシステムズ㈱が中心となって、従来エネルギー及び水素を含むクリーンエネルギーをつくる、おくる、ためる、かしこくつかうための機器・システム・サービスを提供することを通じて培った技術により、エネルギーの安定供給や低炭素な社会インフラを実現する研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・バーチャルパワープラント(VPP)に関するサブスクリプション(※1)方式のサービスとして、発電事業者及び小売事業者向けに「PV(※2)発電量」及び「電力需要」の2種類の予測機能のサービス提供を開始しました。気象条件に影響される再生可能エネルギー電源の急増に伴い、その発電量を含めた電力の需給管理が求められています。本サービスでは、電力消費量・気象情報・PV発電量などの様々なデータを用いて高精度なPV発電量や電力需要予測を実施し、そのデータを顧客ニーズに応じて必要な形式でタイムリーに提供することが可能です。今回サービスを行う、「PV発電量予測」及び「電力需要予測」では、当社グループが長年研究を行い、培ってきたAI技術を搭載しています。今後も、エネルギー機器メーカーとして培ってきたノウハウにデジタル技術を組み合わせることで、付加価値の高いサービスを提供していきます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は154億円です。

(2) インフラシステムソリューション
東芝インフラシステムズ㈱が中心となって、公共インフラ、鉄道・産業システム領域におけるお客様の本業の価値を高める製品及びシステムを継続的に提供するための研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・物流センターの業務効率向上に貢献する直交型荷降ろしロボットを開発しました。独自の2面把持機構と荷物の引き出し方式による「丁寧な荷降ろし」、高精度な自動認識技術と計画・制御技術により1時間あたり600個の荷降ろしが可能な「高速処理」、サイズ幅2,200mm×奥行き3,400mm×高さ2,700mmとコンパクト設計による「設置面積が省スペース」が特徴です。作業者に代わり30kgまでの重い荷物(箱物)を、パレットからコンベヤへ荷降ろしする作業を行います。今後、物流センター内のピッキング作業現場で、棚搬送ロボット(AGV)、ワーキングステーション、可動棚で構成される棚搬送ロボットシステムなどと連携させ、業務の見える化、そこから得られたデータの分析をすることにより、倉庫内全体の効率的な運用を進め、最適制御(WES:Warehouse Execution System)を提案し、物流センター全体の業務改善に貢献していきます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は209億円です。

(3) ビルソリューション
東芝エレベータ㈱、東芝キヤリア㈱、東芝ライテック㈱が中心となって、ビルの価値を高める製品及びサービスを継続的に提供するための研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・ビル用マルチエアコン冷暖切替型スタンダードクラスの新モデルとして「スーパーマルチuシリーズ高効率仕様」(全22機種)を2020年10月に発売しました。新モデルでは、ビル用マルチエアコン冷暖切替型スタンダードクラスとしてトップクラスの省エネ性能(※3)と業界トップのコンパクト室外機(※4)を実現。更には、業界初の部分更新対応(※5)や、スマートフォンでの簡易点検ツール等のサービス機能を充実させる他、室外機の筐体構造を強化し、耐震性・耐風性をアップしました。また、この新モデル「スーパーマルチuシリーズ」は一般財団法人省エネルギーセンター主催の2020年度省エネ大賞の製品・ビジネスモデル部門において最高賞の経済産業大臣賞を受賞しました。今後も豊かな価値を創造すると同時に、環境影響低減のために「地球温暖化の防止」「資源の有効活用」「化学物質の管理」の3つの課題に取り組むことで、地球との共生を図っていきます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は205億円です。

(4) リテール&プリンティングソリューション
東芝テック㈱が中心となって、リテール&プリンティングソリューション分野における新しい製品やサービスを提供するための研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・新型RFIDハンドリーダー「UF-3000」シリーズを開発。ハンディ型と差し込み型という2通りのハンドグリップ取り付け方法に加え、ハンドグリップを外した据置型、三脚を取り付けた簡易ゲート型、棒を取り付けた高所読取型など、1台で複数パターンに形状を変えることができます。また、読取速度は、従来機種より約1.5倍向上し約800枚/秒、さらに読取距離は最大約9mと業界No.1の読取性能を実現しました(※6)。更に、防塵・防滴はIP54相当となっており、屋外でも使用できます。「UF-3000」シリーズは、多様なシーンで使用しやすいトランスフォーム形状を実現したことで、国内の小売、製造、物流などの現場での業務の効率化を実現できます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は218億円です。

(5) デバイス&ストレージソリューション
東芝デバイス&ストレージ㈱が中心となって、データセンター向けなどのストレージ製品や、車載、産業向けなどの新しい半導体製品を提供するための研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・サーバーやストレージシステム、データセンターなどで使用される大容量の3.5型ニアラインHDDとして、当社グループで初めてのFC-MAMR(Flux Control-Microwave Assisted Magnetic Recording: 磁束制御型マイクロ波アシスト磁気記録方式)を採用し、CMR(従来型磁気記録)方式で業界最大容量18TB(※7)(※8)を達成した、ヘリウム充填HDD「MG09シリーズ」を開発しました。「MG09シリーズ」は、MAMRの書き込み磁極からの磁束制御によるアシスト効果などを用いて、記録密度を高めています。これらの技術により、記憶容量は、当社グループ前世代品の16TBに比べ12.5%増となる18TBの大容量化を実現しました。今後も、大容量ニアラインHDDをはじめとした顧客のTCO(※9)削減に寄与する製品群を積極的に展開し、情報化社会の基盤強化に貢献していきます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は417億円です。

(6) デジタルソリューション
東芝デジタルソリューションズ㈱が中心となって、IoTやAIなど企業のデジタル化を支えるための研究開発を行いました。
主な成果としては次のものが挙げられます。
・自動車メーカーや部品サプライヤーで普及が進んでいるモデルベース開発を進化させ、サイバー空間上で企業の枠を超えた車載システムの共同デジタル試作を可能にする「分散・連成シミュレーションプラットフォーム」(以下「VenetDCP」(※10)という。)を2020年7月に販売を開始しました。VenetDCPは、自動運転や先進安全システムなどの大規模で複雑な車載システムの開発において、自動車メーカーと部品サプライヤーが“分散”して保有するモデルとシミュレーションツール同士を、サイバー空間上で一つにつなぎ“連成”させることで、開発の初期段階からシミュレーションを繰り返し実施することを可能にし、設計の手戻り作業の削減、品質の改善、生産性の向上を実現します。サイバーとフィジカルを融合させるCPSテクノロジーにより、自動車メーカーと部品サプライヤーがサイバー空間上で車載システムの共同デジタル試作を行うための世界標準プラットフォームを提供し、アフターコロナの自動車産業の発展に貢献していきます。
当セグメントに係る当期の研究開発費は53億円です。

(7) その他
研究開発センターを中心に、将来に向けた先行・基盤技術の研究開発を行いました。当期の主な成果としては次のものが挙げられます。
・二酸化炭素(CO2)を燃料や化学品の原料となる一酸化炭素に電気化学変換するCO2資源化技術「Power to Chemicals」において、変換する電解セルを当社独自の技術で積層(スタック)することで単位設置面積あたりの処理量を高め、郵便封筒(長3)サイズの設置面積で、年間最大1.0t-CO2の処理量を達成しました。これは、常温環境下で稼働するCO2電解スタックにおいて世界最高の処理速度(※11)となります。今後、今回開発したCO2電解スタックのスケールアップ(電解セル積層数の増加・大型化)及びシステムへの組み込み実証を進め、再生可能エネルギーを活用してCO2の資源化を行うPower to Chemicalsの実用化を目指します。なお、本成果の一部は、環境省委託事業「人工光合成技術を活用した二酸化炭素の資源化モデル事業」により行われました。
・新薬の開発、配送ルート計画や投資ポートフォリオの作成など、様々な社会課題に現れる組合せ最適化問題を解く当社独自の「シミュレーテッド分岐マシン」の速度・精度・規模を大幅に向上させることができる2つの新アルゴリズムを開発しました。2つのうち一方の新アルゴリズムにより、発表当時世界最速を記録した従来アルゴリズム(※12)に比べて約10倍の高速化を達成するともに、より大規模な問題の最適解獲得に成功しました。また、もう一方の新アルゴリズムにより、16台のGPU(※13)から成る世界最大規模の100万変数のマシンを実現し、通常の計算機で約1年2か月かかる大規模な計算を約30分で行うことに成功しました。さらに、新アルゴリズムによる計算速度と規模(取扱い可能な最大問題サイズ)の両方を向上するスケールアウト(分散協調)技術を開発しました。加えて、オンプレミス版(※14)を開発し、研究用途向けに提供を開始しました。今回開発した新たなシミュレーテッド分岐アルゴリズムを活用して、オンプレミス版及びGPUを用いたクラウド版のシミュレーテッド分岐マシンを今後サービス提供し、効率的で持続可能な社会の実現に貢献していきます。
当期の研究開発費は249億円です。

(注)※1:製品やサービスを一定期間ごとに一定の金額で提供するというビジネスモデル。
※2:PV(Photovoltaics):太陽光発電
※3:2019年12月現在。ビル用マルチエアコンにおいて。当社グループ調べ。
※4:2019年12月現在。20馬力相当室外機(P560形)における幅寸法1,290mm。当社グループ調べ。
※5:2019年12月現在。ビル用マルチエアコンにおいて。当社グループ調べ。
※6:2021年3月現在。当社グループ調べ。
※7:2021年2月18日現在。当社グループ調べ。
※8:記憶容量:1TB(テラバイト)=1兆バイトですが、利用可能なストレージ容量は、動作環境やフォーマットによって異なる場合があります。利用可能な容量は、ファイルサイズ、フォーマット、セッティング、ソフトウェア、オペレーティングシステム、プリインストールされたソフトウェアアプリケーション、メディアコンテンツによって異なります。フォーマット容量とは異なる場合があります。
※9:TCO(Total Cost of Ownership):システムの導入、維持、管理などにかかる総所有コストのこと。
※10:VenetDCP(DCP:Distributed Co-simulation Platform)、ベネットDCP
※11:2021年3月現在。当社調べ。
※12:当社プレスリリース:https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1904_01.htm; H. Goto, K. Tatsumura, A. R. Dixon, Science Advances 5, eaav2372 (2019). https://advances.sciencemag.org/content/5/4/eaav2372 (American Association for the Advancement of Science)
※13:Graphics Processing Unitの略称。画像処理向け集積回路で,多数の演算処理部を含む。複数のGPUを相互接続したものをGPUクラスタと呼ぶ。
※14:現場設置又は所有の可能な形態。遠隔設置・共有であるクラウドコンピューティングの形態としばし対比される。

事業等のリスク株式の総数等


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