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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LP1N (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 パナソニックホールディングス株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは、主要領域の成長戦略に基づき、将来を担う新技術や新製品の開発に注力しました。加えて、IoT・人工知能(AI)等の技術開発や、ニューノーマル時代の社会課題の解決、環境エネルギーへの貢献にも積極的に取り組みました。カンパニーや事業部などの組織を横断した主な取り組みと成果は、以下のとおりです。

・ニューノーマル時代に向けたロボティックモビリティソリューションを開発
安定・低遅延なAV伝送技術とハッキング対策セキュリティ技術を融合した、無人搬送サービスソリューションを開発しました。独自のAI監視システムにより、公道における搬送サービスでは国内で初めて、搬送ロボット2台を1人で遠隔監視及び制御することを可能としました。早期実用化を目指し、Fujisawaサスティナブル・スマートタウンにおいて、街にお住まいの皆様や企業様とともに、複数のサービス実証を進めています。
今後、深刻化する人手不足や労働負荷軽減、非対面・非接触などへの需要に応えることで、便利でいきいきとしたくらしの実現に貢献してまいります。

・北米でのV2X(Vehicle-to-Everything)向け交通管理システム(Cirrus)の開発
次世代モビリティ社会に向けて、車両OEM向け事業で培ったノウハウを生かし、北米でV2X技術を活用した新たな交通管理システム「Cirrus」を開発しました。無線通信技術やクラウドベースのデータプラットフォーム技術などにより、車両同士、または車両と路側機とが通信することで、安全性を高めるとともにCO2排出量及び渋滞を削減することができます。また、車両端末から収集する車の安全に関わるデータを中心に、リアルタイムデータを交通管理機関へ提供。天候・渋滞状況の把握や事故発生箇所の特定に加え、設置機器の遠隔モニタリングやソフトウェアアップデートなど交通局側オペレーションの効率化に貢献します。当社は、本プラットフォームの構築に留まらず、実際に交通管理車両や路側機へ搭載する情報端末ハードのデザインから設置、メンテナンスに至るまでシステムを総合的に手掛け、ユタ州をはじめ複数の州と協働開発を推進しています。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、4,198億円となりました。主な内訳は、「アプライアンス」1,070億円、「ライフソリューションズ」550億円、「コネクティッドソリューションズ」708億円、「オートモーティブ」1,141億円、「インダストリアルソリューションズ」694億円です。
各セグメント及び本社イノベーション推進部門の主な成果は、以下のとおりです。

(1) アプライアンス
主に当社の研究開発部門を中心として、白物家電や情報家電、空調機器、燃料電池をはじめとするデバイス等の研究開発を行っています。
主な成果としては、
・家電で培った技術群を進化・展開させ、公衆衛生・空調空質の新たな社会課題に挑戦
冷蔵庫などの省エネ化に寄与してきた真空断熱パネルの製造技術を進化させ、箱型の立体形状に一体成型する独自の加工技術を開発。継ぎ目を無くすことで冷気漏れの課題を解決し、ドライアイスなどの保冷剤を用いて、-75℃±15℃を最長18日間保持できる真空断熱保冷ボックス「VIXELL」を開発しました。これによりワクチンなど医薬品の輸送に求められる厳格な温度維持が可能となりました。
また空気中の水分に高電圧を加えることで生成されるOHラジカルを含んだ帯電微粒子水(ナノイーX)の研究にも長年取り組み、細菌、真菌、ウイルスやアレルゲンの抑制効果を確認してきました。今回、世界的に感染が拡大する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)について第三者機関とともに所定の条件下で試験を行った結果、帯電微粒子水(ナノイーX)による抑制効果を確認できました。
今後も、家電で培ってきた技術群を活かして、公衆衛生・空調空質の新たな社会課題に挑戦し、世界中の人々が健やかに過ごせる社会づくりに貢献してまいります。

・世界初、ルームエアコンの熱エネルギーを冷房へ有効活用する「新・エネチャージシステム」を開発
当社のルームエアコン「エオリア」は、2011年より排出される熱エネルギーを暖房時の霜取り運転に活用していましたが、今回、コンプレッサーの排熱を顕熱蓄熱する回路構成を見直して「新・エネチャージシステム」を開発しました。世界で初めて、今まで活用されていなかった熱エネルギーを蓄えて、冷房運転時にも有効活用します。運転のON/OFFを繰り返さずに、設定温度をキープしながら除湿もし続ける「快湿制御」により無駄な電力消費を抑え、省エネ性が約10%向上しました。さらに、暖房運転時には、加湿空気清浄機が連動運転するIoT連携で「うるおい暖房」を実現し、「健康で快適な空気」を提供します。

(2) ライフソリューションズ
主に当社の研究開発部門を中心として、電設資材や住設建材等の研究開発とともに、それらの連携によりお客様へ快適をお届けする空間ソリューションの研究開発を行っています。
主な成果としては、
・人起点の価値創出を目指したアップデート型ワークプレイス空間を実現する技術を開発
ニューノーマル時代のワークプレイス実現に向け、オフィスなどの空間内での人やモノの情報を可視化するとともに、温湿度・CO2・音などの環境センシング情報及びオフィス内の稼働率や入退履歴管理データをクラウド上で解析し、密回避や空質・照明などの設備管理を最適化していくことで、オフィスワーカーがいきいきと健やかに働けるウエルネス環境構築技術を開発しました。センサーなどで取得・蓄積したデータは、人の状態を正確に推定し、設備状態の異常を予見することで新たな価値創出へと繋げていくことができます。東京汐留地区に開設したライブオフィス「worXlab(ワークスラボ)」にて、さまざまなパートナーとの共創活動の加速も図ってまいります。こうした取り組みを通じて、ニューノーマル時代のアップデート型ワークプレイス空間実現を目指してまいります。

・「調湿」「除菌」「気流」を最適制御するIAQ(Indoor Air Quality)技術を開発
空質4要素(湿度・温度・清浄度・気流)と感性3要素(除菌・脱臭・香り)をコントロールすることで室内空間価値を向上させるIAQ技術を開発しました。高速回転するドラムから遠心方向に吹出した水滴を壁面にぶつけて微細化し、空調で加熱した空気に含ませる当社独自の「遠心破壊加湿技術」により、加湿量を細かく制御できる「調湿ユニット」を新たに開発しました。このユニットに次亜塩素酸生成ユニットで作り出した次亜塩素酸を供給することで、加湿効果に加えて除菌効果が期待できる空間を提供することが可能となりました。これにより、空質4要素と感性3要素を、さまざまな空間に合わせて自在にコントロールが出来ます。こうした最新のIAQ技術をパッケージ化し設備システム化することで、スッキリとした空間を提供するソリューションを構築し、お客さまの声をお聞きしながら商品化を目指してまいります。

(3) コネクティッドソリューションズ
主に当社の研究開発部門を中心として、企業・法人向けの機器やIoTソリューションの研究開発を行っています。
主な成果としては、
・従来比10倍の高速化を実現した顔認証技術をコアにした非接触認証ソリューションを開発
世界最高水準の顔認証技術をさらに進化させ、認証速度を当社従来比で最大10倍高速化した認証システムを開発しました。これにより1時間あたり10万回以上の照合回数への対応が可能になりました。またアルゴリズムの改善によりマスク着用時等の顔認証率を当社従来比2.2倍に向上でき、これらをコアエンジンにした非接触認証ソリューションの提供を開始しました。
昨今の新型コロナウイルス感染症拡大を受け、非接触センシングのニーズは急速に高まっており、今後も顔認証技術の進化を加速してまいります。

・AIや3次元データ解析を駆使した溶接外観検査の自動化・省人化技術を開発
溶接現場では溶接点数が多く検査の作業負荷が大きく、また人による目視検査によりビード(溶接痕の盛り上がり)検査基準がばらつく課題がありました。今回、「人による目視検査」を自動化・省人化して作業負荷を低減し、検査基準の統一とともに、検査結果をデジタル化してトレーサビリティを確保する技術を開発しました。 当社がこれまで蓄積してきた溶接実績を予め学習させたAIエンジンによる外観検査に加え、良品となる形状比較をする検査機能も搭載しました。デジタルデータとして蓄積・解析することで、溶接欠陥の多い箇所は溶接条件を見直すことが出来るようになります。こうした技術を、3次元データ解析技術を有するリンクウィズ株式会社と共同開発し、外観検査ソリューション「Bead Eye(ビードアイ)」を発売し、溶接後の検査工程の自動化・省人化に貢献してまいります。

(4) オートモーティブ
主に当社の研究開発部門を中心として、車載向けのコックピットシステム、HUD(ヘッドアップディスプレイ)、先進運転支運システム(ADAS)、リチウムイオン電池などの研究開発を行っています。
主な成果としては、
・地球温暖化対策による電気自動車需要拡大に向けリチウムイオン電池の高容量化技術を開発
1つの電池の中にどれだけの電気を蓄えられるかを表す「エネルギー密度」を飛躍的に向上させる新技術を開発し、安全性を維持しつつ体積当たりのエネルギー密度を当社従来比で5%向上しました。さらに今後5年以内には、当社従来比20%まで向上できる見込みです。加えて、高コストな素材であるコバルトの使用量ゼロを実現する技術も既に確立し、今後2~3年以内に商品化の見込みです。
世界が温室効果ガスの削減に向け取り組む中、電気自動車のキーデバイスであるリチウムイオン電池開発を通じ、今後も地球温暖化対策に貢献してまいります。

・大画面・低歪の映像投影を可能にすると同時に、HUD本体の小型化を実現
デジタルカメラの開発で培ったレンズ設計・レンズ成形技術を活用し、高精度のフル自由曲面ミラーを開発し、低歪で明るく鮮明な映像投影を可能にすると同時に、HUD本体の小型・軽量化を実現しました。また、液晶ディスプレイの照明技術を応用した独自のHUD向けバックライト設計により、太陽光下やサングラス越しのような表示が見えにくい状況においても、鮮明な画像を表示します。当社は、コンバイナタイプから大画面までのHUDを展開しており、今後もさまざまなニーズに対応し、安全・安心な快適ドライビング環境に貢献してまいります。

(5) インダストリアルソリューションズ
主に当社の研究開発部門を中心として、二次電池をはじめとした電子部品、電子材料等の研究開発を行っています。
主な成果としては、
・業界最高の低損失・高耐電圧の磁性材料を用いた車載用パワーチョークコイルを開発
独自の金属磁性材料を用いたメタルコンポジット材料をベースに、大電流、低損失かつ高耐電圧の磁性材料を新たに開発しました。またこの新磁性材料を採用し、排ガス規制やCO2低減目標により燃費の改善が求められる内燃機関(エンジン)搭載のガソリン車やディーゼル車、ハイブリッド車などの車載電子制御ユニット(ECU)の電源回路に適したパワーチョークコイルを開発しました。これにより、損失電力を従来品比で半減させ、2倍の高耐電圧を実現するとともに、体積を当社従来品の直噴用パワーチョークコイルと比べ40%減少させ、高性能化による搭載員数の削減にもなることからECUの省スペース化が可能です。加えて、独自の巻線及び成型技術により、端子の引出し位置の高さを当社従来品比1/2に低減しました。これを実装基板に近い位置に配置することで優れた耐振性を実現し、振動補強が不要となり実装工程の合理化にも貢献します。

・業界初、高調波センサとAIの組み合わせによる 「AI設備診断サービス」を開発
独自に開発した高調波センサとクラウド上のAIの組み合わせによって設備の状態変化を検知する「AI設備診断サービス」を、業界で初めて開発しました。専用の高周波センサにより、一般的な電流センサでは難しかった、機械要素部品の状態変化が現れやすい電流内の高調波領域の波形変動をクリアに取得することが可能になります。本サービスでは、AI分析の前に、設備の動作特性に基づいてデータの重要部分の判定・抽出処理を実施するため、AIの学習期間の短縮と分析結果の精度向上を実現します。また、センサを設備本体ではなく、制御盤内に設置することで設備を止めることなく導入が可能になるため、幅広い製造現場での生産性向上に寄与します。

(6) イノベーション推進部門
主に、技術・モノづくり・デザインに関わる全社戦略の統括、中長期視点での先端技術開発、生産技術・要素技術開発及びくらしアップデート業への貢献に向けた取り組みの推進などを行っています。
主な成果としては、
・植物由来の繊維を活用し、石油由来の樹脂使用量を削減した環境配慮型材料の複合/成形加工技術を開発
素材の持つ自然感を生かしながら、セルロースファイバー濃度をこれまでの55%から70%の高濃度で樹脂に均一に混ぜ込む複合加工技術を開発しました。セルロース原料の最適化、混練方法の改良により、車載機構部材にも適用可能な高剛性タイプ、及び高濃度な中でも従来の55%濃度と同等の薄肉成形加工が可能で家電筐体や日用品に展開可能な高流動タイプの2種類の複合樹脂成形材料の開発にも成功しています。さらに着色自由度が高く、着色剤なしでも素材そのものを褐色化させることで色むらを制御することが可能で、木質感などの高いデザイン性も実現できます。
今後は、材料特性や素材優位性をさらに高めることで幅広い商品への展開を加速し、石油由来の樹脂使用量の削減を通して持続可能社会の実現に向けた企業活動を推進してまいります。

・バッテリーの状態をリアルタイムに把握し安心して電動モビリティを利用できるクラウド型サービスを提供
クラウドに収集したバッテリーログを学習データとして、これまでの電池開発で培った知見とノウハウを盛り込んだAIを活用するバッテリー状態推定技術を開発しました。本技術により様々なバッテリーに対して高精度な電池残量推定モデルを構築することで、正確な電池残量を把握できるため、予期しない電欠を防止できます。また運用するバッテリーの状態をクラウド経由で遠隔から即時に把握できることから、モビリティ事業者にとっては利用者への適切な電池交換案内、シェアリング事業者にとっては効率的な充電オペレーションなど、適切なサービス運用も行うことができます。
本サービスの提供を通じて、電動モビリティ利用者への提供価値向上に繋がるソリューション、電動モビリティ事業者の抱える運用上の課題解決に貢献するソリューションを継続的に拡充・提供してまいります。


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E01772] S100LP1N)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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