有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LP1N (EDINETへの外部リンク)
パナソニックホールディングス株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
当社グループでは、リスクを的確に把握し、対策を実施することにより、経営への影響の低減を図る為、全体のリスクマネジメントを推進する「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会」を設置しています。当社グループの経営幹部の中から任命される全社リスク管理担当役員を委員長とし、メンバーは本社、カンパニー、地域統括会社の「グローバル&グループ リスクマネジメント委員会委員」で構成されています。年1回、事業活動に影響を与える可能性のある外部要因・内部要因に基づくリスクを網羅的に洗い出し、共通の評価軸(経営、社会への影響度や発生可能性等)で評価を行い、対策すべきリスクの優先順位を決定するというサイクルでリスクアセスメントを実施しています。これに基づき重要と判断したリスクは、当該リスクを担当する委員が中心となって、対策を立案、実行し、対策状況をモニタリングし、継続的に改善する活動を実施しています。グローバル&グループ リスクマネジメント委員会は上記サイクルに基づき、重要リスク項目並びに対策、モニタリング結果を定期的に取締役会に報告しています。
事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において判断したものです。
(1) 経済環境に関するリスク
経済状況の変動
当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2021年度の経営環境は、各国の政治・金融情勢、貿易停滞のリスク、またワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、世界経済の先行きも見通しにくい状況が続きます。日本でも、こうした国際経済の影響を少なからず受けるとみられます。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、2020年度第1四半期はオートモーティブを中心に全セグメントにおいて、主に需要面で大きな影響を受けたものの、その後は回復に転じています。2020年度下期には、コネクティッドソリューションズの航空業界向け事業等や、その他一部の事業を除いて需要面への影響は概ね解消しました。航空業界向け事業については、2021年度の航空旅客需要の回復は限定的となる見込みであり、航空業界向け事業への影響は継続する見通しです。これらの状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。
また、世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
そのような状況を踏まえ、2019年度からスタートした中期戦略をベースとしたポートフォリオマネジメントと、固定費削減を含む経営体質強化の取り組みを継続しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大等を契機とした中長期的な社会変化を踏まえ、事業を通じた社会課題解決への取り組みを推進しています。
具体的には、アプライアンス、ライフソリューションズの「くらし」の領域では、空調空質等に関する需要拡大を受け、コアデバイスであるナノイー、ジアイーノの価値訴求を強化しています。当社が有する技術力と、その価値に対する認知度を向上させることで、関連する商品のさらなる普及を目指してまいります。
コネクティッドソリューションズの「現場プロセス」の領域では、サプライチェーン領域において、新型コロナウイルス感染症の拡大による極端な需要変動、物流の負担増などの課題が山積しています。当社は、Blue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)との成長戦略を加速し、お客様の経営課題を解決するとともに当社のオペレーション力を強化し、エネルギー消費量の削減や資源の有効活用を通じ、サスティナブルな社会の実現に貢献してまいります。
また、オートモーティブの「車載電池」の領域では、気候変動への対応の観点から、EV需要の拡大に応え、持続可能な世の中に貢献するため、引き続き、北米工場の生産能力拡大、国内工場の活用拡大を進めてまいります。
インダストリアルソリューションズの「デバイス」の領域では、車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の高成長領域において、特に3つのコア事業(コンデンサ、電子材料、FAソリューション)に集中し、将来への仕込み、投資を拡充してまいります。
為替相場の変動
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2020年度は、前年度と比較してユーロ、中国元が円安に動いたものの、ドルと一部の新興国通貨が円高に動いたことにより、全体として業績に対し悪影響を及ぼしました。また、為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」などにより、経営への影響の軽減を図っています。
金利の変動
金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による経済情勢の変化や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
資金調達環境の変化
当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、または悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業収益力の強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組むなど、資金創出力の強化に努めています。なお、2018年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額7,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しましたが、契約期限となる2021年6月に期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約を新たに締結しています。現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。
(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約
株式価値の下落
当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
(2) 当社グループの事業活動に関するリスク
競合他社との競争
当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。
製品価格の下落
当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
国際的な事業活動における障害
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、昨年度の新型コロナウイルス感染症拡大当初の、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限などは、当社の事業に影響を及ぼしました。既に一部の国では制限は緩和されていますが、国・地域によって感染拡大・ロックダウンも続いており、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新・業界標準における競争
当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。
有能な人材確保における競争
当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
他社との提携・企業買収等の成否
当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。
当社グループは、2021年4月23日の取締役会において、米国のサプライチェーン・ソフトウェアの専門企業であるBlue Yonderの80%分の株式を追加取得し、同社を完全子会社化することについて決議し、Blue Yonderならびに同社の実質的な株主との間で最終合意に至ったことを公表しています。これにより、2020年7月に取得済の20%分の株式と合わせて全株式を取得することになります。
当社グループは、本件取引により、Blue Yonderの様々なサイバー分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また両社のシナジー最大化を図ってまいりますが、キーマネジメントメンバーを含め優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持できない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、本件取引の実行に伴い、相当額ののれん及び無形資産が連結財政状態計算書に計上されますが、事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(7)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。
当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進してまいります。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランの実行準備を推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図ってまいります。
事業再編の成否
当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
当社グループは、より中長期的な視点での当社事業の競争力強化に向けて、当社を分割会社とする会社分割を実施し、2022年度から当社を親会社とする持株会社制へ移行する予定です。持株会社制への移行により分社化される各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、競争力の大幅な強化に取り組む一方、持株会社は、各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、グループ全社視点での成長戦略を推進し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。しかしながら、現在及び将来における再編において、持株会社制への移行及び移行後における事業運営上の課題や、組織の多層化による意思決定スピードの低下、各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加などにより、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
そのようなリスクに対し、2022年4月1日からの新事業法人での円滑な事業運営に向けて、カンパニー制を廃止し、2021年10月に新事業法人の体制を見据えた新たな体制へ再編する予定です。こうした再編を通じて、グループ運営上必要な調整を行うとともに、持株会社制への移行に当たっての課題の見極めや対応の検討・実行を通じて、持株会社制への移行及び移行後の事業運営におけるリスクの低減に努めてまいります。
ガバナンスに関しては、徹底的な事業競争力の強化に向けて、必要な権限は事業会社へ委譲し意思決定の専門性とスピードを強化して行くとともに、これまで実施してきたグループ全体としてのガバナンス強化の視点は変えずに、適切な情報収集を行い、それに基づくガバナンスを実行するための具体的な体制や制度を検討・構築してまいります。また、今回の持株会社制への移行に際し、間接機能の重層化や機能の重複を解消し、軽量化を行います。プロフェッショナルサービス(間接部門)を担う会社を新たに設置(2022年度予定)し、プロフェッショナル機能及びオペレーション機能として間接機能の提供価値を全社で見える化するとともに、間接業務の効率化・高度化を推進することで、間接固定費の高効率化に努めてまいります。
原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、2020年度の流行拡大の当初、2次購入先も含め影響のある購入先、品目のすべてにわたり、一斉に購入先調査を行い、対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先及び拠点の確保に取り組んでまいりました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在ではほぼ供給の継続が実現できています。一方で、新型コロナウイルス感染症による急激な需給環境の変化により、一部部品の供給に支障が生じる可能性があります。
当社グループはこうしたリスクに対し、購入先との緊密な関係構築、国内及び海外主要拠点におけるBCP(事業継続計画)の遂行による事業中断リスクへの対応力強化、グループ全体としての調達機能の活用・強化により、リスクの低減に取り組んでいます。
顧客の資金状況・財政状態
当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 将来の見通し等の未達リスク
当社グループは、2019年度からスタートした中期戦略の実現に向けた具体施策を推進しております。これらの戦略は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しておりますが、2021年度の世界経済は、ワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、先行きも見通しにくい状況が続いております。今後、こうした世界経済の影響、その他の要因により、期待される成果が実現に至らない可能性があります。中期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定
期的な進捗管理と課題の見極め、適時適切な対策の検討・実践などを通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。
(4) 法的規制・訴訟に関するリスク
製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、全社の安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
知的財産権に関連した損害
当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
会計基準・税制の変更等
当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
環境に関する規制や問題の発生
当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、クリーンなエネルギーでより良く快適に暮らせる社会を目指し、使用するエネルギーの削減と、その使用を上回るエネルギーの創出・活用を進めています。一方で、当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、それらの規制への対応を実施していますが、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
その他の法的規制等による不利益及び法的責任
当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、「パナソニック行動基準」において、「社会の公器」として公正な事業慣行に取り組むことを定め、法令と企業倫理の順守を明記して、当社の基本姿勢を全取締役・社員に共有・徹底するとともに、「競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対しては、グローバル規程に基づくコンプライアンスの徹底に取り組んでいます。また、従業員に対しては、年間を通じて、各種リスクに対応したコンプライアンスの取り組みを実施し、倫理・法令順守意識の強化に努めています。さらに、一元的な内部通報窓口として、国内外の拠点や取引先からも通報ができるグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。
(5) 災害・事故等に関するリスク
当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、BCP(事業継続計画)の見直しを定期的に実施しています。また、緊急時を想定した「全社緊急対策本部」訓練を毎年実施しており、非常時における対応力の強化を図っています。特に、新型コロナウイルス感染症に関しては、従業員の感染防止のため、テレワークを推進していますが、2020年度より災害対策訓練についても、災害発生時に在宅勤務者が多数いることを前提とした、リモート会議での訓練を実施しています。
(6) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
前述の一部業界の需要減による影響を除き、これまで新型コロナウイルス感染症による、当社グループ全体への大きな悪影響は発生しておりませんが、引き続き感染拡大が続いており、依然として本感染症が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、自然災害や疫病など事業経営の継続に大きな影響を与える事象に備えて全社緊急対策規程を設けています。本規程に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日に全社緊急対策本部を発足しました。また、これに合わせて、事業を運営している各カンパニーにおいても対策本部を設置し、各カンパニー対策本部が全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。従業員の健康維持と事業の継続の観点からは、国内外の感染状況や各国の行政のガイドラインをふまえ、きめこまかく全社通達を行う等の対策を実施しております。また、対策本部の中で職能を中心とする経営、調達、広報などのチームを編成し、それぞれの課題に専門的に対応することにより、事業の安定継続に取り組んでいます。従業員に対しては、職場内外での感染防止対策の徹底のほか、間接部門においては出来る限りの在宅勤務を実施するなどの感染防止対策を引き続き実施してまいります。
(7) その他のリスク
退職給付に係る負債
当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわら
ず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
繰延税金資産の認識
当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
持分法適用会社の業績・財政状態
当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
事業活動に影響を与える可能性のあるリスクのうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。当社グループの事業、業績及び財政状態は、かかるリスク要因のいずれによっても著しい悪影響を受ける可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2021年6月25日)現在において判断したものです。
(1) 経済環境に関するリスク
経済状況の変動
当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国または地域の経済状況の影響を受けるため、世界の市場における景気後退及びこれに伴う需要の減少により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。2021年度の経営環境は、各国の政治・金融情勢、貿易停滞のリスク、またワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、世界経済の先行きも見通しにくい状況が続きます。日本でも、こうした国際経済の影響を少なからず受けるとみられます。
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については、2020年度第1四半期はオートモーティブを中心に全セグメントにおいて、主に需要面で大きな影響を受けたものの、その後は回復に転じています。2020年度下期には、コネクティッドソリューションズの航空業界向け事業等や、その他一部の事業を除いて需要面への影響は概ね解消しました。航空業界向け事業については、2021年度の航空旅客需要の回復は限定的となる見込みであり、航空業界向け事業への影響は継続する見通しです。これらの状況に対処するため、新たに事業構造改革の実施が必要となった場合、それによる費用増大等の可能性があります。
また、世界経済が想定以上に悪化する場合や、急激な社会の構造的変化、消費者の消費行動変化が起こる場合などには、当社グループを取り巻く経営環境が現在の予想よりも厳しくなる可能性もあり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
そのような状況を踏まえ、2019年度からスタートした中期戦略をベースとしたポートフォリオマネジメントと、固定費削減を含む経営体質強化の取り組みを継続しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大等を契機とした中長期的な社会変化を踏まえ、事業を通じた社会課題解決への取り組みを推進しています。
具体的には、アプライアンス、ライフソリューションズの「くらし」の領域では、空調空質等に関する需要拡大を受け、コアデバイスであるナノイー、ジアイーノの価値訴求を強化しています。当社が有する技術力と、その価値に対する認知度を向上させることで、関連する商品のさらなる普及を目指してまいります。
コネクティッドソリューションズの「現場プロセス」の領域では、サプライチェーン領域において、新型コロナウイルス感染症の拡大による極端な需要変動、物流の負担増などの課題が山積しています。当社は、Blue Yonder Holding, Inc.(以下、「Blue Yonder」)との成長戦略を加速し、お客様の経営課題を解決するとともに当社のオペレーション力を強化し、エネルギー消費量の削減や資源の有効活用を通じ、サスティナブルな社会の実現に貢献してまいります。
また、オートモーティブの「車載電池」の領域では、気候変動への対応の観点から、EV需要の拡大に応え、持続可能な世の中に貢献するため、引き続き、北米工場の生産能力拡大、国内工場の活用拡大を進めてまいります。
インダストリアルソリューションズの「デバイス」の領域では、車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の高成長領域において、特に3つのコア事業(コンデンサ、電子材料、FAソリューション)に集中し、将来への仕込み、投資を拡充してまいります。
為替相場の変動
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。加えて、海外の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは総じて、現地通貨に対する円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響を及ぼしますが、一部通貨に対する円安は、輸入商品価格の上昇を通じて、事業によっては業績に悪影響を及ぼすこともあります。2020年度は、前年度と比較してユーロ、中国元が円安に動いたものの、ドルと一部の新興国通貨が円高に動いたことにより、全体として業績に対し悪影響を及ぼしました。また、為替相場に過度な変動があった場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、事業活動を通じて得た外貨を同一外貨建ての支出に充てる「為替マリー」や、将来における外貨の売却価格もしくは購入価格と数量を事前に契約しておく「為替予約取引」、消費地に近い地域で製品の生産を行う「地産地消型製造」などにより、経営への影響の軽減を図っています。
金利の変動
金利の変動により支払利息、受取利息あるいは金融資産及び負債の価値が影響を受けるため、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また当社グループは事業資金等を円及び他通貨での有利子負債等により調達しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による経済情勢の変化や金融政策の変化等により金利が上昇した場合、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
資金調達環境の変化
当社グループは、事業資金等を社債・コマーシャルペーパーの発行等により調達しています。当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等、様々な外的要因により金融市場が不安定となり、または悪化した場合、あるいは格付機関による当社の信用格付の引下げ等の事態が生じた場合、必要な資金を必要な時期に適当と考える条件で調達できない等、資金調達が制約されるとともに、資金調達コストが増加する可能性があり、それにより、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループでは、事業収益力の強化や運転資本の圧縮等を通じて、事業からのキャッシュ・フロー創出力向上を図るとともに、保有資産の見直し等、バランスシートからの資金創出に継続的に取り組むなど、資金創出力の強化に努めています。なお、2018年6月に複数の金融機関との間で期間を3年間とする総額7,000億円のコミットメントライン契約(注)を締結しましたが、契約期限となる2021年6月に期間を3年間とする総額6,000億円のコミットメントライン契約を新たに締結しています。現金及び現金同等物の残高とあわせて十分な流動性を確保することで経営への影響の軽減を図っています。
(注)コミットメントライン契約:金融機関との間で予め契約した期間・融資枠の範囲内で融資を受けることを可能とする契約
株式価値の下落
当社グループは、金融資産の一部として国内外の企業等の株式を保有していますが、株価下落等の株式価値の減少により、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
(2) 当社グループの事業活動に関するリスク
競合他社との競争
当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発・生産・販売を行っており、国際的な大企業から小規模ながら急成長中の専門企業まで、さまざまなタイプの企業と競合しています。当社グループは、戦略事業への投資を推進していますが、特定の事業に対する投資を、競合他社と同程度に、またはタイムリーに、場合によっては全く実施できない可能性もあります。また、競合他社がそれぞれの競合事業において当社グループよりも大きな財務力、技術力及びマーケティング資源を有している可能性があります。
製品価格の下落
当社グループは、国内外の市場において激しい競争にさらされており、当社グループにとって十分に利益を確保できる製品価格を設定することが困難な場合があります。当社グループはコスト削減、高付加価値商品の開発に取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力は、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与えるものであり、この影響は特に製品の需要が低迷した場合に顕著となります。BtoC(一般消費者向け)分野においては、新興国市場・低価格品への需要シフト等の市場構造変化が進むなか、デジタル家電機器をはじめとする当社グループの事業分野で製品価格が下落する可能性があります。他方、BtoB(企業向け)分野においては、依存度の高い特定の取引先からの企業努力を上回る価格下落圧力や製品需要の減少・設備投資圧力等により、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
国際的な事業活動における障害
当社グループは、海外市場での事業拡大を戦略のひとつとしていますが、海外では為替リスクに加え、政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む)、経済動向の不確実性、宗教及び文化の相違、現地における労使関係等のリスクに直面する可能性があります。また、売掛金の回収や、取引相手との関係構築・拡大などの点で、海外での商慣習に関する障害に直面する可能性があります。さらに、投資規制、収益の本国送金に関する規制、現地産業の国有化、輸出入規制や外国為替規制の変更、税率変更等を含む税制改正及び移転価格課税等の国際課税リスクといったさまざまな政治的、法的あるいはその他の障害に遭う可能性があります。輸出製品については、関税その他の障壁、あるいは輸送費用により、当社グループの製品の競争力が弱まる可能性があります。また海外事業の拡大においては、投資利益の実現までに長い期間と多額の資金を要することがあり、投資による費用の増加が収益の増加を上回る可能性があります。また、昨年度の新型コロナウイルス感染症拡大当初の、各国の緊急事態宣言、ロックダウンや外出制限などは、当社の事業に影響を及ぼしました。既に一部の国では制限は緩和されていますが、国・地域によって感染拡大・ロックダウンも続いており、今後の感染拡大によっては再び経済活動の制限が強化され、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新・業界標準における競争
当社グループは、新製品やサービスをタイムリーに開発・提供していく必要があります。当社グループの主要事業においては、BtoC(一般消費者向け)分野及びBtoB(企業向け)分野のいずれにおいても技術革新が重要な競争要因になっており、当社グループが将来の市場ニーズを把握しきれず、これに応えるための新技術を正しく予想し開発できない場合や、当社グループが開発・提供した技術が業界において主流とならず、競合他社が開発した技術が業界標準となった場合には、新しい市場での競争力を失う可能性があります。
有能な人材確保における競争
当社グループの将来の成功は、研究・開発・技術・製造、マネジメント分野などでの優秀な人材の確保に大きく依存しています。しかし、各分野での有能な人材は限られており、日本の生産人口は減少傾向にあるため、人材確保における競争は高まっています。こうした状況下、人材確保のための魅力的な企業文化の継続と新たな創出が必要であり、在籍している従業員の流出の防止や有能な人材の獲得ができない場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
他社との提携・企業買収等の成否
当社グループは、新しい製品やサービスの提供等を目指し、他社との業務提携や合弁会社設立、他社への戦略投資などの戦略的提携に加え、他社の買収などを行っており、これら戦略的提携や企業買収の重要性は増加傾向にあります。当社グループでは、重要な戦略的提携については、検討の段階に合わせて所定の審議を実施しており、事業戦略との整合性、検討の抜け漏れの有無確認、価格や契約内容の妥当性、リスクの洗い出し、統合プラン等の検証を実施していますが、相手先とのコラボレーションが円滑に進まない可能性や、当初期待した効果が得られない可能性、投資の全部または一部が回収できない可能性があります。また、事業展開の過程で相手先が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があります。加えて、これらの相手先が事業戦略を変更した場合などには、当社グループは提携関係を維持することが困難になる可能性があります。企業買収については、買収にかかる多額の費用が発生する可能性や、買収後の事業統合・再編等にあたり、期待した成果が十分に得られない、または予期しない損失を被る可能性があります。
当社グループは、2021年4月23日の取締役会において、米国のサプライチェーン・ソフトウェアの専門企業であるBlue Yonderの80%分の株式を追加取得し、同社を完全子会社化することについて決議し、Blue Yonderならびに同社の実質的な株主との間で最終合意に至ったことを公表しています。これにより、2020年7月に取得済の20%分の株式と合わせて全株式を取得することになります。
当社グループは、本件取引により、Blue Yonderの様々なサイバー分野でのケイパビリティを取り込むことで、現場プロセスイノベーションの実現を加速し、また両社のシナジー最大化を図ってまいりますが、キーマネジメントメンバーを含め優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持できない場合、事業環境や競合状況の変化等により、Blue Yonderの競争力が大きく低下する場合、重要な顧客やその他関係者との良好な関係を維持できない場合等により、これらの期待した効果が十分に得られない可能性があります。また、本件取引の実行に伴い、相当額ののれん及び無形資産が連結財政状態計算書に計上されますが、事業環境や競合状況の変化等により期待した効果が得られないと判断され、回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(詳細は「(7)その他のリスク」の「非金融資産の減損」を参照)。
当社グループは、Blue Yonderの事業成長及び両社のシナジー最大化に向けて、PMI(買収後の経営統合)を着実に推進してまいります。具体的には、両社間において新たな経営体制・協業プランの実行準備を推進し、本件取引完了後のリスク軽減を図ってまいります。
事業再編の成否
当社グループは、多くの子会社及び関連会社等を有していますが、経営の効率化と競争力の強化のため、グループ事業体制を再編(他社への事業または株式の譲渡や、グループ内の組織または拠点再編などを含む)することがあります。しかし、現在及び将来における再編において、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
当社グループは、より中長期的な視点での当社事業の競争力強化に向けて、当社を分割会社とする会社分割を実施し、2022年度から当社を親会社とする持株会社制へ移行する予定です。持株会社制への移行により分社化される各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、競争力の大幅な強化に取り組む一方、持株会社は、各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、グループ全社視点での成長戦略を推進し、グループとしての企業価値向上に努めてまいります。しかしながら、現在及び将来における再編において、持株会社制への移行及び移行後における事業運営上の課題や、組織の多層化による意思決定スピードの低下、各社で独立した管理業務が発生することによるコスト増加などにより、当初期待した成果が十分に得られない可能性があります。
そのようなリスクに対し、2022年4月1日からの新事業法人での円滑な事業運営に向けて、カンパニー制を廃止し、2021年10月に新事業法人の体制を見据えた新たな体制へ再編する予定です。こうした再編を通じて、グループ運営上必要な調整を行うとともに、持株会社制への移行に当たっての課題の見極めや対応の検討・実行を通じて、持株会社制への移行及び移行後の事業運営におけるリスクの低減に努めてまいります。
ガバナンスに関しては、徹底的な事業競争力の強化に向けて、必要な権限は事業会社へ委譲し意思決定の専門性とスピードを強化して行くとともに、これまで実施してきたグループ全体としてのガバナンス強化の視点は変えずに、適切な情報収集を行い、それに基づくガバナンスを実行するための具体的な体制や制度を検討・構築してまいります。また、今回の持株会社制への移行に際し、間接機能の重層化や機能の重複を解消し、軽量化を行います。プロフェッショナルサービス(間接部門)を担う会社を新たに設置(2022年度予定)し、プロフェッショナル機能及びオペレーション機能として間接機能の提供価値を全社で見える化するとともに、間接業務の効率化・高度化を推進することで、間接固定費の高効率化に努めてまいります。
原材料等の供給不足・供給価格の高騰
当社グループの製造事業にとって、十分な品質の原材料、部品、機器、サービス等をタイムリーに必要なだけ入手することが不可欠であり、当社グループは、信頼のおける供給業者を選定しています。しかし、災害・事故や供給業者の倒産などにより、供給が不足または中断した場合や業界内で需要が増加した場合には、供給業者の代替や追加、他の部品への変更が困難な場合があります。それにより当社グループの事業が悪影響を受ける可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応については、2020年度の流行拡大の当初、2次購入先も含め影響のある購入先、品目のすべてにわたり、一斉に購入先調査を行い、対策を実施しました。その中で、課題のある購入先や品目を洗い出し、代替購入先及び拠点の確保に取り組んでまいりました。その結果、当初は一部部品の供給難に陥りましたが、現在ではほぼ供給の継続が実現できています。一方で、新型コロナウイルス感染症による急激な需給環境の変化により、一部部品の供給に支障が生じる可能性があります。
当社グループはこうしたリスクに対し、購入先との緊密な関係構築、国内及び海外主要拠点におけるBCP(事業継続計画)の遂行による事業中断リスクへの対応力強化、グループ全体としての調達機能の活用・強化により、リスクの低減に取り組んでいます。
顧客の資金状況・財政状態
当社グループの顧客のなかには、代金後払いの条件で当社グループより製品・サービスを購入している場合があります。当社グループが多額の売掛債権を有する顧客の財政状態が悪化し、期限どおりの支払いを得られない場合、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(3) 将来の見通し等の未達リスク
当社グループは、2019年度からスタートした中期戦略の実現に向けた具体施策を推進しております。これらの戦略は、設定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定しておりますが、2021年度の世界経済は、ワクチンの接種状況次第ではあるものの、新型コロナウイルス感染症の状況などにおいて不確実性が依然として高く、先行きも見通しにくい状況が続いております。今後、こうした世界経済の影響、その他の要因により、期待される成果が実現に至らない可能性があります。中期戦略の推進にあたっては、世界経済や事業環境の動向を踏まえ、定
期的な進捗管理と課題の見極め、適時適切な対策の検討・実践などを通じて、未達リスクの最小化に努めてまいります。
(4) 法的規制・訴訟に関するリスク
製造物責任や補償請求による直接・間接費用の発生
当社グループでは、製品安全に対する知見や不安全事象の未然防止策を、全社の安全規格へ盛り込むと共に、日々のリスク管理を行っています。しかしながら、製品の欠陥による品質問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む)に対して、当社グループは生産物賠償責任保険で十分補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
知的財産権に関連した損害
当社グループは、自らが出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による十分な保護が得られない可能性があります。加えて、国によっては知的財産権の一部またはすべてが保護されない場合があります。また、第三者が保有している知的財産権については、その技術を利用したい場合でも利用できないことや不利な条件で利用せざるをえないこともあり得ます。現状、第三者からのライセンスを受けて第三者の特許その他の知的財産権を使用しているものがありますが、将来使用できなくなったり、ライセンス条件が不利に変更されたりする可能性があります。加えて、当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起されたり、当社グループが自らの知的財産権保全のために訴訟等を提起しなければならない可能性があります。かかる訴訟等には、多額の費用と経営資源が費やされる可能性があり、また当社グループが第三者の知的財産権を侵害しているとの申し立てが認められた場合には、当社グループが重要な技術を利用できない可能性や多額の損害賠償責任を負う可能性があります。
会計基準・税制の変更等
当社グループに適用のある会計基準や税制の新たな導入・変更により、当社グループの業績や財政状態が悪影響を受ける可能性があります。また、税務申告における税務当局との見解の相違により、当社グループに予想以上の税負担が生じる可能性があります。
環境に関する規制や問題の発生
当社グループは、「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向け、クリーンなエネルギーでより良く快適に暮らせる社会を目指し、使用するエネルギーの削減と、その使用を上回るエネルギーの創出・活用を進めています。一方で、当社グループは、気候変動、資源、水、生物多様性、化学物質、廃棄物、製品リサイクル及び土壌・地下水・大気汚染などに関するさまざまな環境関連法令の適用を受けており、それらの規制への対応を実施していますが、環境に関連する費用負担や賠償責任が発生する可能性があります。また、将来、環境に関する規制がより厳しくなり、有害物質等を除去する義務がさらに追加された場合や、CSRに対する意識の高まりなどから当社グループが環境問題への取組みを一層推進する場合には、法令違反による賠償やかかる取り組みへの支出により当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業の過程で、顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客の個人情報を含む)を入手することや、他社等の機密情報を受け取ることがあります。また、顧客や他社等の情報以外に、当社自身の営業秘密(当社グループの技術情報等)を取り扱っています。これらの情報は、システムの不正アクセスやサイバー攻撃を含む意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。また、当社の製品やサービス、生産設備は、インターネットを利用するものが増加しており、当社として外部の脅威から守るためセキュリティ対策に取り組んでいますが、製品やサービスへのネットワークを介した予期せぬ侵入、不正操作などによる個人情報の漏洩、外部への情報流出、サービス停止、工程への影響などが発生する可能性があります。これらの事象が生じた場合には、それに起因して被害を受けた方に対して損害賠償責任を負ったり、多大な対策費用等が発生するほか、当社グループの事業やイメージが悪影響を受けたりする可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
その他の法的規制等による不利益及び法的責任
当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行っています。法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業者への課税に関する法規制に加え、事業及び投資を行うために必要とされる政府の許認可、電気通信事業及び電気製品の安全性に関する法規制、国の安全保障に関する法規制及び輸出入に関する法規制等があります。より厳格な法規制が導入されたり、当局の法令解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点などから当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業の継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を順守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。さらに、当社グループがこれらの法規制等に違反し、または法令遵守のための内部統制体制が不十分であったと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、課徴金等の行政処分、刑事処分または損害賠償訴訟の対象となり、また当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、「パナソニック行動基準」において、「社会の公器」として公正な事業慣行に取り組むことを定め、法令と企業倫理の順守を明記して、当社の基本姿勢を全取締役・社員に共有・徹底するとともに、「競争法違反」や「贈収賄・腐敗行為」等の重大なリスクに対しては、グローバル規程に基づくコンプライアンスの徹底に取り組んでいます。また、従業員に対しては、年間を通じて、各種リスクに対応したコンプライアンスの取り組みを実施し、倫理・法令順守意識の強化に努めています。さらに、一元的な内部通報窓口として、国内外の拠点や取引先からも通報ができるグローバルホットラインを設け、適切な社内調査を通じて問題の早期発見と是正を図っています。
(5) 災害・事故等に関するリスク
当社グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。地震、津波、洪水等の自然災害(気候変動によって発生するものも含む)や火災・爆発事故、戦争、テロ行為、感染症の流行などが発生した場合に、当社グループの拠点の従業員、設備、情報システム等が大きな損害を被り、その一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延する可能性及び損害を被った設備等の修復費用が発生する可能性があります。加えて、これらの災害・事故等が、部品等の供給業者や製品納入先等といった当社グループのサプライチェーンにおいて発生した場合には、供給業者からの部品等の供給不足・中断、製品納入先における生産活動の休止または低下等により当社グループの生産活動・販売活動等が大きな悪影響を受ける可能性があります。
当社グループでは、こうしたリスクを低減するため、BCP(事業継続計画)の見直しを定期的に実施しています。また、緊急時を想定した「全社緊急対策本部」訓練を毎年実施しており、非常時における対応力の強化を図っています。特に、新型コロナウイルス感染症に関しては、従業員の感染防止のため、テレワークを推進していますが、2020年度より災害対策訓練についても、災害発生時に在宅勤務者が多数いることを前提とした、リモート会議での訓練を実施しています。
(6) 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
前述の一部業界の需要減による影響を除き、これまで新型コロナウイルス感染症による、当社グループ全体への大きな悪影響は発生しておりませんが、引き続き感染拡大が続いており、依然として本感染症が当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、自然災害や疫病など事業経営の継続に大きな影響を与える事象に備えて全社緊急対策規程を設けています。本規程に基づき、新型コロナウイルス感染症についてはWHOの緊急事態宣言を受け、2020年1月31日に全社緊急対策本部を発足しました。また、これに合わせて、事業を運営している各カンパニーにおいても対策本部を設置し、各カンパニー対策本部が全社緊急対策本部と連携し対策にあたっています。従業員の健康維持と事業の継続の観点からは、国内外の感染状況や各国の行政のガイドラインをふまえ、きめこまかく全社通達を行う等の対策を実施しております。また、対策本部の中で職能を中心とする経営、調達、広報などのチームを編成し、それぞれの課題に専門的に対応することにより、事業の安定継続に取り組んでいます。従業員に対しては、職場内外での感染防止対策の徹底のほか、間接部門においては出来る限りの在宅勤務を実施するなどの感染防止対策を引き続き実施してまいります。
(7) その他のリスク
退職給付に係る負債
当社グループは、一定の受給資格を満たす日本国内の従業員について外部積立による退職年金制度を設けています。当社及び一部の国内子会社は、確定給付年金制度から、各々の移行日以降の積立分(将来分)及び移行日以前の積立分(過去分)の一部について確定拠出年金制度へ移行していますが、確定拠出年金制度に移行していない部分については、今後も金利の低下により確定給付制度債務に関する割引率を引き下げる必要が生じる可能性や、株価の下落により制度資産の公正価値の減少をもたらす可能性があり、その結果、退職給付に係る負債が増加し、親会社の所有者に帰属する持分が減少する可能性があります。
非金融資産の減損
当社グループは、有形固定資産、のれん、無形資産及び使用権資産など、多くの非金融資産を保有しています。非金融資産(棚卸資産及び繰延税金資産等を除く)については、当該資産または資金生成単位(以下、「当該資産」)の減損の兆候の有無を判定し、減損の兆候がある場合には、当該資産の回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわら
ず、毎期減損テストを実施しています。減損テストの結果、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識する可能性があります。なお、回収可能価額の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
繰延税金資産の認識
当社グループは、繰延税金資産について、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。認識された繰延税金資産については、期末日に見直しており、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分を減額することにより、法人所得税費用が増加する可能性があります。なお、将来課税所得の見積りには、新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定が含まれていますが、会計上の見積りの参考となる前例がなく、今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。
持分法適用会社の業績・財政状態
当社は、複数の持分法適用会社の株式を保有しています。各社は各々の事業及び財務に関する方針のもとで経営を行っており、当社はその方針決定に関与することができる重要な影響力を有していますが、支配には至らないため、通常、方針そのものの決定は行いません。これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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