有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LO2C (EDINETへの外部リンク)
株式会社名村造船所 事業等のリスク (2021年3月期)
当企業集団の経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性があるリスクには以下のようなものがあります。しかし、以下の記載が事業等のリスクをすべて網羅するものではありません。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当企業集団(当社および連結子会社)が判断したものであります。
① 政治・経済情勢
グループの中核である新造船事業におきまして、新造船の需要は海運市況に大きく左右されるため、世界経済の悪化や地政学的リスクの高まりなどの影響により海運市況が低迷した場合、新造船需要が後退し、受注の確保が難しくなります。また、修繕船事業や鉄構・機械事業におきましても、国内外の政治・経済情勢の動向を受けて受注環境が変化します。
② 事業環境・競争環境
2016年以降は継続して新造船の受注量が竣工量を下回り、過剰船腹の調整が進んできましたが船主にとって環境規制厳格化を背景とした新造船の陳腐化やコロナ禍による世界経済の低迷と米中摩擦などに海上荷動量の減少などが懸念材料となり新規発注を手控えていたこともあり厳しい状況が続きました。2021年に入ると漸くにして海上荷動量の回復により、船腹の需給バランスが改善されたことから海運・造船の事業環境は顕著な改善を見せております。
造船業界においては国内外造船所との熾烈な受注競争に晒されおり、世界的に統合・再編と供給力調整の動きが活発化しております。
当企業集団におきましては、経営資源の「選択と集中」をキーワードにグループの抜本的構造改革を決断し、その一環として連結子会社である佐世保重工業株式会社では新造船事業を既受注船の最終引渡(2022年1月予定)をもって休止、前身である海軍工廠時代から主力業務であった修繕船事業に船舶関連の経営資源を集約して、機械事業との両輪経営に転換することといたしました。今後は同社の強みでもある修繕船事業を柱として機械事業との両輪による安定収益体制の構築を図ってまいります。
新造船事業においては、受注から竣工引渡しまで通常およそ2~3年の期間を要します。厳しい受注環境下において仕事量確保のためやむを得ず受注する場合や将来を見据えて戦略的に受注する場合などは赤字受注となることもあり、受注時点で工事損失引当金を計上する場合があります。船価の建値はほぼ米ドルであり、売上高及び工事損失引当金の計上額は、為替レート変動の影響を受けます。
当期におきましても、戦略的な受注活動を行い、当連結会計年度末の工事損失引当金は10,550百万円となり、前期末と比較して65百万円増加しております。
厳しい新造船市場の環境下、当社グループ建造船の性能面や品質面での差別化を図るとともにコスト合理化策を進め、損失をミニマイズするように努めてまいります。
③ 環境規制
地球温暖化が世界的な問題であることに対応して、船舶から排出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)、二酸化炭素(CO₂)などに対して、国際海事機関(IMO)は年限で具体的な排出制限目標を定めております。そのため今後建造される船舶に関しては、本船に新たな機器の据付や舶用燃料の切り替えなどの対策を施す必要があり、設計部隊と営業部隊と共同で海運会社を訪問し、排出制限に伴うニーズや顧客の要望事項を的確に情報収集し、複数の具体的な船型開発に取り組んでおります。また、自動運航等の次世代技術の適合を目指す研究開発は急務となっており、規制に対応するための技術革新や船型開発・設計等を中心として製造コストが大幅に上昇しております。
研究開発体制および生産体制をより一層強化する一方で効率化を図るとともに、関連する舶用機器メーカーの協力も得つつ、コストダウンにつなげてまいります。
④ 為替動向
新造船事業は輸出比率が高く、受注の大半は米ドル建ての契約であり、売上高および入金額や工事損失引当金は為替レートの変動の影響を受けます。
当連結会計年度における売上計上の米ドル額は697百万米ドル、その平均レートは1米ドル当たり106円76銭であり、グループ全体の連結売上高の約75%を占めております。
為替レート変動の影響を軽減する対策として、為替動向を考慮しながら取締役会で定めた一定の方針に基づき計画的に為替予約を実施しております。しかしながら、急激な円高が生じた場合には、業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 個別受注契約
新造船事業では受注から竣工引渡しまでの期間が長期間に亘るため、その間の経済情勢の変化の影響を受けて、当初見積もりより建造コストが増加する可能性があります。また、建造船は、顧客ごとの仕様要求に応じた受注生産となっているため、受注契約時に十分な事前検討を行っておりますが、当初予期されなかった事柄が後日発生し設計変更や工程遅延等により、建造コストが増加する可能性があります。
また、当社は受注に際して顧客の信用力や風評について情報を収集し、案件によっては商社を主契約者として顧客の信用リスクを軽減するなど、個別の対応を行っております。
⑥ 資材調達
主要な原材料・資機材において、価格の急激な変動、国際情勢の急変や災害等による供給不足の問題が生じた場合、製造原価が上昇するのみならず、調達品の納期遅れによる工程遅延等の問題が発生する可能性があります。
特に新造船事業においては船殻構造規則の強化や環境規制に関するルール改正に伴い製造原価が上昇する傾向が続いており、また主要原材料である鋼材価格の動静が製造原価の大きな変動要因になっております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一時的に不安定となっておりました資機材の調達環境は、当社グループ各社の製造工程に大きな混乱を与えることなく解消いたしましたが、足元では新造船の主材料である鋼材の価格が中国での需要急拡大や国内自動車産業の生産回復等の影響を受け、上昇圧力が強まっております。
そのため、日頃より市場動向を注視し、取引先各社と連携して長期安定調達体制を確保するとともに、価格面においてもVA/VE活動等を幅広く行い、製造原価削減に取り組んでおります。
⑦ 人材確保・育成
当社グループにおいて人材は重要な経営資源であり、将来を担う人材の採用・育成と円滑な技術・技能の伝承に努めておりますが、労働市場の動向によっては計画通りの人材確保ができず、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 品質保証
当社グループは、品質や安全に関する法令等を遵守し、製品の品質向上に常に努めておりますが、性能に起因する大規模な事故や不具合が発生した場合、損害賠償や訴訟費用等により多額の費用が発生し、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 労働安全衛生
当社グループは、事業所及び建設工事現場等における労働安全衛生管理に様々な対策を講じていますが、不測の事故等により重大な労働災害や健康被害が発生した場合には、生産活動に支障をきたし、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 災害
当社グループは、大規模な地震や風水害等の自然災害や火災・その他の災害等の発生に備えて設備の点検、訓練の実施、連絡体制の整備などを進めておりますが、このような災害等による生産設備の損壊、物流機能の麻痺等の直接的な被害や、電力不足が解消されないこと等の間接的な被害が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 情報セキュリティ
当社グループは、事業を通じて入手した取引先等の機密情報や当社グループの設計・技術・営業等に関する機密情報を保有しており、これらの情報の保護に努めておりますが、コンピュータウィルスの感染や不正アクセス等によりこれらの情報が流出あるいは消失した場合、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 投資有価証券の減損
当社グループが保有する投資有価証券のうち、時価のあるものについては時価が著しく下落した場合に、時価のないものについては実質価額が著しく低下した場合に、投資有価証券評価損を計上することがあります。
当連結会計年度においては8百万円の投資有価証券評価損を特別損失として計上しております。
保有する投資有価証券については継続保有に資するかを毎年検討しており、保有の意義・合理性が乏しくなったと判断される株式については、適宜、縮減を図ってまいります。
⑬ 固定資産の減損
当社グループが保有する固定資産について、経営環境の変化等により将来キャッシュ・フローの見通しが低下した場合等に減損損失を計上することがあります。
当連結会計年度においては、佐世保重工業株式会社の新造船事業について2022年1月をもって休止することを決定したことから、8,269百万円の減損損失を特別損失として計上しております。
新造船事業を取り巻く環境は厳しい状況が続いておりますが、グループの事業構造の改革を強力に推し進め、収益力向上と将来キャッシュ・フローの改善につなげてまいります。
⑭ 感染症の蔓延によるリスク
当社グループの従業員が新型コロナウイルスなどの感染症に罹患した場合、工場の操業停止などにより当社グループの事業活動に支障をきたし、業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
これら感染症の感染防止のため、当社グループではテレワーク・時差出勤の拡大や国内外の出張禁止・自粛、工場における検温の実施等の感染症対策を実施しております。
⑮ 重要事象等
当社グループは、中核である新造船事業において、世界的な需給ギャップから生じた競争環境の激化と市場価額低迷、環境規制強化への対応、新型コロナウイルス感染症の影響などにより新造船事業を取り巻く環境は非常に厳しく推移し、当連結会計年度において5期連続の営業損失およびマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しました。
このような状況下、当社グループにおきましては、経営資源の「選択と集中」により、グループの事業構造の改革を強力に推進するため、佐世保重工業株式会社の新造船事業を2022年1月に休止することを決定いたしました。今後は同社の強みでもある艦艇修繕船事業を柱として機械事業との両輪による安定収益体制の構築を図ってまいります。
また、本年3月に中期経営計画を見直し、2021年度から2024年度までの4ヶ年の事業再構築計画を策定しております。当社グループは、事業ポートフォリオの最適化・経営資源再配分による収益安定化を図るため修繕船事業を中心に新造船の需要変動に対応する船主業への取組みや鉄構・機械事業など非造船事業の強化を図るとともに新造船事業における勝ち残り戦略を策定し、受注戦略とコスト競争力向上を柱に品質・調達や研究開発等においても強化する方針です。
なお、足元では新型コロナウイルス感染症拡大による新造船事業への悪影響は緩和され、新造船需要や船価水準は改善傾向にあり、受注環境は顕著な改善を見せております。
これらのことから、事業再構築計画を確実に実施することで業績回復に努めるとともに、当連結会計年度末の資金残高の状況および今後の資金繰りを検討した結果、国内金融機関とシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結するなど取引金融機関とは良好な関係が維持されており、翌連結会計年度末までの資金繰りに懸念はないものと判断しております。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02129] S100LO2C)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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