有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LU0G (EDINETへの外部リンク)
日産自動車株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループは、将来にわたって持続性のあるモビリティ社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は5,035億円であった。
当社グループの研究開発体制及び活動成果は次のとおりである。
(1) 研究開発体制
当社グループの日本における研究開発は、日産テクニカルセンター(神奈川県厚木市)を中心に車両開発を日産車体(株)、(株)日産オートモーティブテクノロジー、ユニット開発をジヤトコ(株)などの関係各社が担当し、当社と密接な連携のもとで推進している。米欧地域においては、米国の北米日産会社、メキシコのメキシコ日産自動車会社、英国の英国日産自動車製造会社、スペインの日産モトール・イベリカ会社において、一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。また、米国のアライアンス イノベーション ラボ シリコンバレーにおいて、自動運転車の研究、最先端のICT(Information and Communication Technology)技術開発を行っている。
アジア地域では、中国の日産(中国)投資有限公司、東風汽車集団股份有限公司との合弁会社である東風汽車有限公司、台湾の裕隆汽車製造股份有限公司との合弁会社である裕隆日産汽車股份有限公司、タイのアジア・パシフィック日産自動車会社及びインドのルノー日産テクノロジー&ビジネスセンターインディア社において一部車種のデザイン及び設計開発業務を行っている。また、ルノーとの合弁会社 アライアンス研究開発(上海)有限公司を2019年に設立し、自動運転車、電気自動車、コネクテッドカーに重点を置いた研究開発を行っている。
また、南米地域のブラジル日産自動車会社、南アフリカの日産サウスアフリカ会社においても現地生産車の一部開発業務を行っている。
ルノー、三菱自動車工業(株)及び当社は2020年5月に発表したアライアンスの取組みにより、さらなる経営資源の効率化を目指し、次世代技術、プラットフォーム、パワートレインの開発を分担し共用化を推進している。また、ダイムラーと戦略的協力関係を継続している。
(2) 新商品の開発状況
国内にて、新型「日産キックス e-POWER」「ノート e-POWER」を発売した。海外では、北米において新型「ローグ」、インドにおいて新型「日産マグナイト」、タイ・中南米において新型「日産ナバラ」、「日産フロンティア」を発売した。
(3) 新技術の開発状況
環境面においては、引き続き、中期環境行動計画「ニッサン・グリーンプログラム2022」のもと、新車からのCO2排出量を2022年までに2010年比40%削減することを目指しており、車両の電動化をはじめとするモノづくりの技術革新により、燃料消費量やCO2排出量を削減していく。さらに、より高い目標に取り組んでいくため、日産は2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクルでのカーボンニュートラルを目指すこととし、その実現に向けたマイルストーンとして2030年代早期より、主要市場で投入する新型車全てを電動車両とする。電気自動車(EV)では、60ヵ国・地域に投入されている「日産リーフ」の販売台数は着実に増加している。2020年で販売開始から10周年を迎えた「日産リーフ」のグローバル累計販売台数は52万台を突破、「e-NV200」、「シルフィ ゼロ・エミッション」、ヴェヌーシア「e30」、「D60EV」、「T60EV」、東風ブランドを含めた電気自動車全体のグローバル累計販売台数では70万台を超えた。2018年度には「日産リーフe+」が日本、米国で追加され、より幅広いお客様ニーズにこたえている。
また、2020年にこれまで培った電動化技術を更に進化させた、日産初のクロスオーバーEV「日産アリア」を発表した。新開発されたモーターは高速巡行時の消費電力を低減し、最大610km(2WD 90kWhバッテリー搭載モデル WLTCモード 社内測定値)の航続距離を実現した。また、水冷式バッテリー温度調節システムを搭載した。これにより、出力130kW以上の急速充電器を使用した場合、30分で最大375km分を充電することが可能となった。
車両の電動化では、2016年度に「ノート」に初搭載した「e-POWER」を、2018年3月には「セレナ」、2020年6月には「日産キックス」に拡大採用している。「日産キックス」は日本自動車研究者・ジャーナリスト会議(RJC)主催の「第30回(2021年次)RJC カー オブ ザ イヤー」において「RJCカー オブ ザ イヤー 6ベスト」を受賞した。同時に、「日産キックス」に搭載されている「e-POWER」も「RJCテクノロジー オブ ザ イヤー」を受賞するなど、高い評価を受けている。「e-POWER」搭載の「日産キックス」は、日本のみならず海外市場へ展開している。
2020年12月には第2世代へと進化した「e-POWER」を搭載した新型「ノート」を発売し、欧州で発売される「キャシュカイ」へも「e-POWER」搭載モデルを設定するなど、搭載車種をさらに拡大している。
「e-POWER」はガソリンエンジンとモーターを融合した新しいパワーユニットで、ガソリンエンジンで発電した電力を利用したモーターの力で走行する。
今後も「e-POWER」は環境性能と走行性能を高い次元でバランスさせながら、幅広い車種に搭載可能な技術として進化を続けていく。EV同様、コストのさらなる低減に向け、発電専用エンジンの開発及び定点運転に特化するシステムの簡素化に取り組む。さらに次世代の「e-POWER」向け発電専用エンジンでは、世界最高レベルの熱効率50%を実現する技術を開発し、一層のCO2排出量の削減(燃費向上)を目指す。
2023年度までに8車種を超える電気自動車を投入する計画は順調に推移している。さらに、「e-POWER」をグローバル市場のB、Cセグメントに拡大していく。これにより電動化率を2023年度までに日本60%/中国23%/欧州50%へと向上させ、年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指す。
車両の軽量化も燃費向上に向けた重要な取り組みのひとつであり、材料、工法、構造合理化の3つの手法により推進している。材料では、高強度と高成形性を両立できる超ハイテン材の採用拡大をいち早く進めており、軽自動車からインフィニティなど、幅広い車種の車体骨格部材に採用している。2018年に衝突時のエネルギー吸収性を高めた980MPa級高成形性ハイテン材をインフィニティ「QX50」に採用し、2019年にSAE International「SAE/AISI Sydney H. Melbourne Award for Excellence in the Advancement of Automotive Steel Sheet」を受賞するなど高い評価を受けている。2020年「ローグ」では980MPa級高成形性ハイテン材を拡大採用するとともに、クローズドループ・リサイクルプロセスを適用したアルミニウム材をフード、ドアなどに採用している。廃アルミニウムをリサイクルすることで、原材料から同程度のアルミニウムを作るのに必要なエネルギーの90%以上を節約することができる環境に配慮した技術である。2020年「ノート」には強度を1,470MPaまで高めた超ハイテン材を採用した。これらの技術については、幅広い車種への採用拡大を進め軽量化を推進するとともに、材料使用量低減やリサイクルの活用によりエネルギー使用量の削減に貢献している。
また、材料、工法面での技術進化に加え、構造合理化により新設計したモーター、インバーターを適用した「e-POWER」システムを2020年発売の新型「ノート」に採用した。6%の出力向上を図りながら、モーターでは15%、インバーターでは30%の軽量化を実現している。
当社グループは「電気自動車を作って売る」だけでなく、環境の整備をはじめEVのある生活・社会をより豊かなものにするための様々なソリューション「ニッサン エナジー」を提供しており、それらを合わせた「EVエコシステム」を構築してきた。「ニッサン エナジー」は次の3つの領域で構成される。
・ニッサン エナジー サプライ:安心・便利なEVライフのための各種充電ソリューションを提供
・ニッサン エナジー シェア:電気自動車のバッテリーに貯めた電力を、住宅と「シェア」することで、新たな価値を提供。さらにビル、地域社会へ拡大する取り組みを推進
・ニッサン エナジー ストレージ:日産の電気自動車のバッテリーはクルマで使用された後でも高い性能を有しており、電気自動車がさらに普及する将来を見据え、二次利用のためのソリューションを提供
2019年度は、西日本電信電話(株)、(株)NTTスマイルエナジーと共同で、EV(V2B)を活用したオフィスビルでのエネルギーコスト・CO2削減トライアルの実証プロジェクトを実施し、電力料金等の削減効果を確認した。
また、フォーアールエナジー(株)と協働で神奈川県内のセブン‐イレブン10店舗で「日産リーフ」の中古バッテリーを活用した「定置型蓄電池」、太陽光パネルと卒FIT電力を活用した「再生エネルギーによる電力調達の実証実験」も開始している。加えて、電気自動車を活用し日本が抱える地球温暖化や災害対策等の課題を解決するための活動、日本電動化アクション『ブルー・スイッチ』に取り組んでおり、災害時に停電が発生した際、当該地域の日産販売会社が保有する「日産リーフ」を自治体の避難所等に派遣し、「日産リーフ」から給電器を介して電力供給することを主軸とした災害時の連携のほか、「日産リーフ」を活用したエネルギーマネジメントや観光なども含むブルー・スイッチ活動として、120件以上と連携している。(2021年3月時点)
安全面においては、日産車がかかわる死者数を2015年までに1995年比で半減させることを目指し、日本、米国、英国で達成した。また、2020年までに日本、米国、英国でさらに半減させるという高い目標に向かって活動を続けてきた。2019年時点では、日本で目標達成に至っているが、米国、英国ではさらなる活動が必要な状況である。目標の達成に向けて、事故そのものの削減が重要と考え、「クルマが人を守る」という考え方“セーフティ・シールド”に基づき、人を危険に近づけないようクルマがサポートする技術開発を進めている。
日本では、予防安全性能アセスメント(JNCAP)にて「日産デイズ」が最高評価となるASV+++と、衝突安全性能評価ファイブスター賞、事故自動通報システム機能評価でSOS+を獲得した。米国では、米国新車アセスメントプログラム(US-NCAP)にて「日産リーフ」、「日産リーフe+」、「ムラーノ」、「マキシマ」、「アルティマ」、「セントラ」(2021モデルイヤー)が最高評価となる5つ星を獲得した。米国道路安全保険協会(IIHS)にて、「セントラ」が「2021トップセーフティピック(TSP)」、「アルティマ」、「マキシマ」、「セントラ」が「2021トップセーフティピック+(TSP+)」を獲得した。欧州では、欧州新車アセスメントプログラム(ユーロNCAP)にて、新型「日産ジューク」が最高評価となる5つ星を獲得した。中国では、中国新車アセスメントプログラム(C-NCAP)にて、「シルフィ」、「ティアナ」が最高評価となる5つ星を獲得した。
さらに、当社グループは交通事故低減に大きな効果が期待できる運転支援技術の採用を推進している。2016年8月には、「プロパイロット」を「セレナ」に搭載した。2019年9月には、高速道路の複数車線をナビゲーションシステムと連動して設定したルートを走行し、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じ直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて、同一車線内でハンズオフが可能となる世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を新型「スカイライン」のハイブリッド車に標準装備として搭載し、2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいてイノベーション部門賞、RJCカー オブ ザ イヤーにおいてRJCテクノロジー オブ ザ イヤーを受賞した。
当社グループは「プロパイロット」の採用をグローバルに進めており、これまでに日本では「セレナ」、「エクストレイル」、「日産リーフ」、「日産デイズ」、「日産ルークス」に、米国では「ローグ」、「ローグスポーツ」、「日産リーフ」、「アルティマ」、インフィニティ「QX50」に、欧州では「日産リーフ」、「キャシュカイ」、「エクストレイル」、「日産ジューク」に、中国では「アルティマ」、「エクストレイル」、「キャシュカイ」、インフィニティ「QX50」に搭載、2021年3月末までに「プロパイロット」搭載車のグローバル累計販売台数は111万台を突破した。
当社グループは「プロパイロット」を20車種に搭載し、20の市場に投入する計画を発表しており順調に推移している。2023年度末までに「プロパイロット」搭載車の販売台数が年間150万台になると見込んでいる。
当社グループは、NISSAN NEXTを目指し、今後も競争力のある商品、将来に向けた先端技術等のための研究開発活動に積極的に取り組んでいく。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02142] S100LU0G)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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