有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LQ0A (EDINETへの外部リンク)
カヤバ株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
(1) 目的
当社では、モノづくりを通して豊かな社会づくりに貢献する信頼のブランドを確立していくため、昨年度よりスタートした新中期経営計画の「取り戻そう信頼と誇り」をスローガンとして、KYBグループ一丸となり研究開発活動を今後も精力的に推進してまいります。現行製品の性能向上はもとより、高機能化やシステム化への対応および軽量化や省エネルギー、環境負荷物質削減などを通して世界中の至る所で地域の人々の暮らしを支え、安心・安全・快適さを提供するための新製品開発と革新的なモノづくりに挑戦し続けています。また、グローバル化の加速に伴い、国際感覚を身につけた人財の育成やマネジメントシステムの構築も進め、グローバル生産・販売・技術の一体活動でイノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、企業価値の向上に繋げ、技術の持続的成長を目指します。
(2) 体制
当社では、基盤技術研究所と生産技術研究所を中核として、独創性に優れた先行技術の研究開発を行っています。研究所では基礎研究や要素技術開発を、各事業の技術部門は新製品および性能向上や低コスト化など商品力向上のための開発を担うとともに、全社を横断して研究所と各事業技術部門が一体となったプロジェクト活動も推進しています。また、研究開発からモノづくりまでを無駄なく連続的に、スムーズかつタイムリーに実施していくために、長期的な環境変化とそれに伴う社会ニーズや顧客ニーズの調査、分析、予測に基づいた将来技術のあるべき姿とそこに向けた持続的成長戦略を、ロードマップとして明確に定め、活動を進めています。また、工機センターでは、先進性に溢れた信頼性の高い設備や金型の内製化に取り組んでおり、生産技術研究所で開発された新しい工法や各工場で培われたノウハウの具現化を推進しています。
一方で、従来からの研究開発および製品化に向けた体制に加え、新しい時代に対応するための取組みも始めています。
まず、欧州 の技術者駐在員事務所を活用し(欧州テクニカルセンターと同敷地内)、自動車、油圧機器を問わず、欧州地区をはじめとする世界の最先端情報を収集することで、技術トレンドの把握と社内の研究開発テーマへのブレークダウンを行っています。
更に、AIやIoTなどのデジタル技術の全社的推進ならびにこれらの醸成を目的とし、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進部を創設しています。当社グループのIoTプラットフォームの構築をはじめ、生産性や品質の向上、AIを活用したモノづくりをはじめ、製品開発や新サービスの展開により、今まで以上にお客様に安心してお使いいただける製品のご提供を目指していきます。
当社グループの関係会社は、主に自動車機器・油圧機器・電子機器の製造販売および製品の改良開発を行っています。そして、課題の解決にあたっては、当社の研究所をはじめとする機能部門や、各事業の技術・生産・品質部門が支援、協業する体制をとっています。
製品の高機能化やシステム化におきましては、当社独自の取組みは勿論のこと、お客様あるいは関連機器サプライヤーとの共同研究開発を推進するとともに、効率的な研究開発推進のために産学交流による最先端技術開発にも積極的に取り組んでいます。また、昨今、製品機能の高度化・複雑化に対応すると共に、開発効率の向上を図るため、全社的にモデルベース開発(MBD)の推進に取り組んでいます。これにより、開発期間の短縮と共にお客様からのニーズに素早く対応し、ご高評をいただけるように努めていきます。
(3) 成果
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発活動の金額は5,368百万円であります。① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
四輪車用の油圧緩衝器では、極微低速減衰力のコントロールが可能なSwing Valveの採用拡大を図っており、同技術が自動車技術会賞を受賞しました。また、世界最小の減衰力調整部により車両搭載性に優れ、かつ世界トップレベルの性能を有する電子制御サスペンションにおいて更なる性能向上を果たしました。減衰力調整部に用いる比例ソレノイドは当社関係会社であるタカコと共同開発し、世界初となる機構の採用により減衰力の設定自由度を向上しました。また減衰力調整バルブにも改良を加え、圧倒的な静粛性と乗り心地・操縦安定性の高次元での両立を果たしました。この結果、トヨタ自動車様のLexus LSにご採用頂き高評価を頂いております。欧州テクニカルセンターでは、電子制御サスペンション(制御ソフト開発を含めたシステム提供)やProsmooth技術(摺動部品改良)、DHS(Double Hydraulic Stop)の採用拡大を推進しています。現在、多数のお客様より開発依頼をいただき、量産化に向けた各種評価に取り組んでいます。トヨタ自動車様のヤリスにご採用頂いたProsmooth技術は2020年2月から量産化をはじめ、高い評価を頂きました。また、並行してお客様のご要望のもと、性能向上や軽量化等の要素部品開発や新構造の電子制御サスペンションの開発にも着手しております。
そして、第11回 国際ミュンヘン・シャシー・シンポジウムにおいて、当社が独自に開発しているショックアブソーバ用オイルの性能向上に関する技術を紹介し、大きな反響を呼びました。
二輪車用の油圧緩衝器でも、四輪車用と同様に高性能・高機能化に加え、電子制御式サスペンションの開発を進めてまいりました。この度、ヤマハ発動機様の2021年度モデルに採用となり、高い評価を頂きました。更にボンバルディアグループ社様のスノーモービルの2022年度モデルにも採用予定となりました。当社独自開発による制御システムと新開発サスペンションを組み合わせた新システムを、お客様と一体となり、それぞれの車両の特徴にあった特性に進化させ、商品化に至りました。今後、システムに磨きを掛けることで、モデル展開のみならず、電動ステアリングの技術を融合した新用途への製品展開を目指しています。
四輪車用電動パワーステアリング機器では、当社関係会社であるKYBトロンデュールで生産するコントローラ一体型モータ(MCU)による高出力、内製によるソフトウェア対応自由度の高さを活かして、新製品への採用拡大を推進しています。新規のお客様としてオフロード車両(ROV)世界シェア№1のポラリス社様への量産提供機種が増え、日系メーカー様も従来製品から新製品への切替も決定いただきました。また、MCUは変速機制御用にも採用が決まり、ステアリングに留まらない販路開拓にも力を入れています。
四輪用トランスミッション用オイルポンプ製品では、CVT(無段変速機)で世界トップシェアを持つジヤトコ様向け新機種CVT用ベーンポンプ(6K3)を開発し量産化いたしました。従来製品と比較して、騒音の改良及び小容量化、アルミ製カバー採用による軽量化を実現し、車両の静粛性、燃費向上に貢献しています。このベーンポンプは日本生産を初め、海外でも生産され、世界中の同社様製のCVT搭載車両へ展開されていきます。
一方では、将来の自動運転に向けて、電子制御サスペンションと電動ステアリングの技術を融合した統合システムの開発を進めています。また、イスラエルのスタートアップ企業であるREE社様と技術提携を行い、新しい車両プラットフォーム(スケードボードシャシー)のサスペンション開発(コーナーモジュール)を開始しました。加えて、当社の基盤技術研究所とタイアップして道路モニタリングシステムの開発も進めており、CASE/MaaSに向けて新用途・新商品開発を目指しています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は3,648百万円であります。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
建設機械、農業機械の情報化施工や自動化が進む中で、これに対応するため油圧機器の電子制御化モデルの開発とラインアップ化を継続して進めています。また2021年3月より中国に技術者を駐在させ、現地で図面作成を含む技術対応を可能とすることで中国市場に対応した製品開発とスピードアップを図っています。
また、電子制御化に対応した3トン~4トンミニショベル用ロードセンシングシステムPSVL-42(ポンプ)とKVSX12C(バルブ)をセット開発し、2020年6月から量産を開始しました。農業機械用としては一体型HST(Hydro-Static Transmission)HVFD23F-R35を開発、更に2020年度よりインド向けに量産化、小型車両用に対応したタンデムポンプPSVH2-30の電子制御化も開発を完了し、現在無人走行車両への搭載テストを実施、製品化に向け活動を展開中です。鉄道用製品として2019年より量産化したフルアクティブサスペンションに、センサーを搭載しサスペンションの動作、車両の動作をリアルタイムに監視するシステムを開発中で安全・安心を提供、お客様より高い評価を得ています。
当セグメントにおける研究開発費の金額は1,506百万円であります。
③ システム製品
システム製品は、舞台装置の主幹製品である舞台機構操作卓の機能拡充として、エンドユーザー様が直接手に触れる操作系デバイスの開発に注力しております。当セグメントにおける研究開発費の金額は43百万円であります。
④ 航空機器事業
航空機器事業は、防衛省および民間航空機向けの製品開発を実施しております。Boeing社様で開発中のB777Xが2020年より飛行試験を継続して実施しており、当社はアクチュエータやブレーキアキュムレータを供試しています。当セグメントにおける研究開発費の金額は60百万円であります。
⑤ 特装車両事業および電子機器等
特装車両事業は、環境対応型(省エネ・低騒音・排ガス削減)電子制御ミキサ車(eミキサⅢ)を開発中で、機器のメンテナンス時期や現在の車両の状況を通知できる表示機を搭載し、2021年度にモニタ評価を行います。更に、ユーザー様のニーズにお応えするために、軽量化ミキサ、安全設計ミキサの開発に注力していきます。
当セグメントにおける研究開発費の金額は111百万円であります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02147] S100LQ0A)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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