有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LPLR (EDINETへの外部リンク)
三菱自動車工業株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があると経営者が認識しているリスクには以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、当社グループの経営成績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場及び事業に係るリスク(オペレーショナルリスク)
① 新型コロナウイルスの感染拡大の影響
昨年初めより、世界的に感染が広がった新型コロナウイルス感染症については、外出規制などの感染拡大防止策による経済活動の制限により、世界経済及び自動車需要に大きな影響を及ぼしました。
足許では、ワクチン接種が始まり徐々に落ち着きを取り戻しつつありますが、当社が主力地域とするアセアンなどの一部の国では、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大などにより依然厳しい状況が続いており、未だ予断を許さない状況です。今後、同感染症の世界的な再流行等により、新たな外出規制やサプライチェーンへの影響が発生し、想定を上回る経済活動の停滞が続いた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しております。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがあります。また特別な技術や性能を要する材料、部品等については、供給可能な調達先が限定されることがあります。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社製品の生産停止やコストの増加をもたらし、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
またこれらのリスクは、一次調達先、及び二次以降の調達先における予期せぬ事由の他に、自然災害や火災、テロ等の非常事態、新型コロナウイルス感染症などの感染症の流行などの影響により顕在化する可能性があります。この為当社グループは一次調達先と連携し、一次調達先、及び二次調達先以降を含むサプライチェーン情報の収集・更新していくことで、これらリスクが顕在化した際に迅速に対応し、この影響を抑えるように努めております。
足許では、世界的な半導体の供給不足が、当社を含めて自動車の製造に大きな影響を及ぼすことが予測されております。当社としては、サプライチェーンとの連携を強化し、影響を極小化すべく努めておりますが、想定を上回る需給の逼迫やこの影響が更に長期化した場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っております。また、パラジウムやロジウムなど、産出量が少ないだけでなく、産出が特定の国や地域に限られる希少金属も使用しているため、需給状況の急激な変動や、災害、産出国における政情の変化等のリスクにさらされており、材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながります。市況変動については、アナリストなどの情報を元に先行き見通しを可能な範囲で予測を行い、当社収益への影響を織り込むようにしておりますが、予測を超えた需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
経営への影響を低減するために、製品品質の改善については市場からの情報に基づき関連部門が連携して迅速に原因究明及び対策を実施すること、また、潜在リスクの検証を適切に行うことに努めています。
⑤ 訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、また規制当局による法令順守に関する調査の対象となり、それらの結論によっては、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造物責任に関する損害賠償請求又は訴訟において原告側が勝訴した判決による債務及び訴訟費用について、製造物責任保険で十分にカバーできるような保険に加入していますが、当社の想定を越えた内容の判決が出た場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
個別の訴訟等について、当社は、2010年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されております。本訴訟につき、2010年10月26日に第一審裁判所、2012年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決がありましたが、原告がこれに対し、2012年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中であります。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断しております。
⑥ 法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において排出ガス、燃費、騒音、化学物質、リサイクル、水資源等の環境に係る様々な法律や政府による規制の適用を受けています。当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合や改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じるなどの場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、上述の法規制以外にも、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法、贈収賄防止法など内外の広範な法令の適用を受けております。当社グループの事業は、場合によっては、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、又は包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。
これらの法令に対応するため、当社グループは、法令等の遵守体制を整え、各担当部門が未然防止の対策を講じております。さらに、当社グループの従業員として厳守すべきことを「三菱自動車グローバル行動規範」として定め、グループで統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進するとともにコンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える悪影響が発生する可能性を低減するよう努めております。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループのコンプライアンス・レピュテーションに悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売することや、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、当社グループによる予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品及びサービス等に利用する情報及びこれを保存するネットワークやシステム等の情報技術は、委託先によって管理されているものを含め、多岐にわたります。コネクティッドサービスやIoT技術の進展を踏まえ、当社グループは、ハードウェア及びソフトウェアの安全管理対策を実施しております。それにもかかわらず、社外からのサイバー攻撃や当社グループ内部若しくは委託先での管理不備ないし人為的な過失により、当社技術情報等の機密情報・個人情報等の漏えい、重要な業務やサービスの停止、不適切な事務処理、又は重要データの破壊・改ざん等が発生し、当社グループのブランド・イメージや社会的信用の低下、販売の減少、法的請求、訴訟、賠償責任又は制裁金や罰金の支払義務が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業戦略や競争力維持に係るリスク(戦略リスク)
① 営業戦略、競合他社動向への対応の影響
自動車業界では現在、世界的な規模で激しい競争が展開されています。また、新興企業の台頭や次世代技術開発に係る異業種からの参入などを背景に、今後さらに競争が熾烈化する可能性があります。当社グループは、厳しい競争環境においても持続的な成長を実現すべく、「選択と集中」の基本概念に沿って、主力地域のアセアンやオセアニアを中心とした地域戦略を進めるとともに、当社グループが強みを持つ電動化技術やSUV技術をベースとした商品・技術開発に注力し、販売台数やマーケットシェアの維持拡大に努めています。然しながら、今後、そういった戦略が想定通りに進まず、競合他社に対して優位な施策を講じることが出来ない場合などにおいて、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 商品・技術開発の影響
脱炭素化に向けた世界規模での急速な動き、カーシェアリング化伸長の傾向、また特に日本ではドライバーの高齢化が進むなど、自動車メーカーに求められる技術や姿勢が急激に変化している中においては、お客様の価値観とニーズに対応した有用かつ現実的で使いやすい新技術や新商品を、三菱自動車ならではの魅力を加味した上で、タイムリーに投入することが重要と考え、開発に日々取り組んでいます。しかし、きめ細かな調査に基づく研究・開発であっても、お客様の価値観とニーズを十分にとらえることができない可能性があります。また、お客様の価値観とニーズを十分にとらえることができたとしても、内部・外部的な要因により、新技術や新商品を、タイムリーに開発しお客様に提供することができない可能性があり、その場合には、販売シェアの低下から、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
また、当社は、主力地域であるアセアンを中心に将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資していることで、その他地域における環境の変化やニーズの変化との間にアンマッチが生じ、アセアン地域以外のお客様にその新技術が受け入れられない可能性があり、その結果、上記同様に、販売シェア低下から、売上と利益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはなりません。この目的のため当社グループは、主力地域であるアセアンを中心に将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資しています。しかしながら、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人事労政戦略の影響
当社グループは、業界を取り巻く激しい環境変化に対応し、持続的な成長を実現していくために、高度な専門性を持つ人材の確保と、活躍機会の提供が極めて重要であると考えています。そのために、要員構成の是正による適切な人員配置、役割に基づいた処遇制度の整備、多様な働き方を支える風土の醸成と、個々の成長を促す仕組みづくりを推進しています。
しかしながら、採用難や労働市場の流動性の高まりにより、計画通りの採用や定着化が進まなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動の影響
産業革命以降の世界の気温上昇を受けて、2015年にパリ協定が採択され、世界全体で平均気温の上昇を抑える努力をするように定められました。昨今、日本、米国、欧州各国などが2050年カーボンニュートラルを宣言するなど、グローバルで脱炭素社会に向けた動きが加速しています。
当社グループは、2018年にマテリアリティ(重要課題)を特定し、気候変動・エネルギー問題への対応を最重要課題の一つに掲げており、2020年10月には中長期的な方針と目標を「新環境計画パッケージ」として策定するとともに、排出ガスの少ない自動車や電動車の開発、事業所での省エネ活動、再生可能エネルギーの活用促進などに努めております。
気候変動が進行した場合、気象災害による工場の操業停止などの物理的リスクにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルに気候変動対策が進み、当社のマーケットである国・地域において、燃費/CO2排出規制や電動車販売比率の規制等の更なる強化・導入が進んだ場合、これに対応するための投資や規制不適合による市場からの撤退などの移行リスクにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)金融・経済に係るリスク(財務リスク)
① 為替変動の影響
円と外国通貨の為替相場が変動すると、外貨建資産(売掛金等)や外貨建負債(買掛金等)の価値が増減し、円ベースの損益が変動します。円高になると外貨建債権の価値は低下し、円安になると増加します。外貨建負債ではその逆となります。海外売上高比率が約8割を占める当社グループでは米ドル、ユーロ、豪ドル等の外貨建債権を有しております。更にタイ子会社にてグローバルでの輸出生産を行っており、タイバーツを中心に外貨建債務も有しております。2020年度は、前連結会計年度比、米ドルに対し、4円の円高となった一方、ユーロと豪ドルに対してはそれぞれ3円、2円の円安となり、また外貨建債務のタイバーツ安もあり、合計37億円の連結営業利益改善要因となりました。
現在、インドネシア生産車の輸出、タイ生産車の現地販売拡大等、為替影響低減のために必要な措置を適宜進め、中長期的に為替相場変動の影響削減に取り組んでおりますが、引き続き大幅な為替変動が当社グループの経営成績や事業計画の実現に大きく影響する可能性がある状況です。
② 顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、販売業者や、販売金融事業による顧客・リース先等の取引先の信用リスクを有しております。
販売業者等の取引先については、カントリーリスクや取引先の財務状況に対する継続的な評価を行い適切な債権保全を図ることで、信用リスクの抑制に努めており、また、販売金融事業においては、独自の審査・回収管理を行うことで、破綻の発生並びに回収不能額の抑制に努めておりますが、外部環境等の悪化に伴い、かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金の流動性の影響
当社グループは、金融機関からの借入に加え、CPの発行等により資金調達を行っています。しかしながら、経済・金融危機等の発生もしくは当社グループの信用格付けの引き下げ等により、金融市場から適切な条件で必要とする金額の資金調達が出来なくなった場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、未使用のコミットメントライン約1,500億円に加えて、今年度には、単体において新たに2,000億円の資金調達を行うと共に、海外子会社においても約1,000億円の資金調達枠の設定や資金調達を実施し、十分な流動性を確保しておりますが、そのような事態に対処するため、メインバンクをはじめ取引金融機関との良好な関係性の維持に努めております。
(4)事業の継続に係るリスク(ハザードリスク)
① 自然災害や事故、感染症等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。これらは発生可能性が高く、当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき、BCM委員会において事業継続計画を策定するとともに、定期的な訓練による有効性検証を行い、今後の新たな脅威に備えております。また、新型コロナウイルス感染症などの感染症への対策としては、感染拡大防止と事業継続の体制維持の観点から、従業員等の健康・安全確保のため対応要領を作成・周知し、これに則った行動を要請するとともに、在宅勤務、オフピーク出勤の推進、出張の厳格運用、接待・贈答、イベント開催を原則禁止とするなどの対策を行っております。
但し、想定を超える規模で自然災害や事故、感染症等が発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、将来に関する事項については別段の記載のない限り、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)市場及び事業に係るリスク(オペレーショナルリスク)
① 新型コロナウイルスの感染拡大の影響
昨年初めより、世界的に感染が広がった新型コロナウイルス感染症については、外出規制などの感染拡大防止策による経済活動の制限により、世界経済及び自動車需要に大きな影響を及ぼしました。
足許では、ワクチン接種が始まり徐々に落ち着きを取り戻しつつありますが、当社が主力地域とするアセアンなどの一部の国では、新型コロナウイルスの変異株の感染拡大などにより依然厳しい状況が続いており、未だ予断を許さない状況です。今後、同感染症の世界的な再流行等により、新たな外出規制やサプライチェーンへの影響が発生し、想定を上回る経済活動の停滞が続いた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 特定調達先への依存の影響
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達しております。より高い品質、技術をもったものをより競争力のある価格で調達しようとする場合、発注が特定の調達先に集中することがあります。また特別な技術や性能を要する材料、部品等については、供給可能な調達先が限定されることがあります。そのため、予期せぬ事由によりそれらの調達先からの供給が停止した場合又は適時に競争力のある価格で調達ができない場合、当社製品の生産停止やコストの増加をもたらし、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
またこれらのリスクは、一次調達先、及び二次以降の調達先における予期せぬ事由の他に、自然災害や火災、テロ等の非常事態、新型コロナウイルス感染症などの感染症の流行などの影響により顕在化する可能性があります。この為当社グループは一次調達先と連携し、一次調達先、及び二次調達先以降を含むサプライチェーン情報の収集・更新していくことで、これらリスクが顕在化した際に迅速に対応し、この影響を抑えるように努めております。
足許では、世界的な半導体の供給不足が、当社を含めて自動車の製造に大きな影響を及ぼすことが予測されております。当社としては、サプライチェーンとの連携を強化し、影響を極小化すべく努めておりますが、想定を上回る需給の逼迫やこの影響が更に長期化した場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 製品の原価変動の影響
当社グループは、多数の取引先から原材料及び部品等を購入し、製品の製造を行っております。また、パラジウムやロジウムなど、産出量が少ないだけでなく、産出が特定の国や地域に限られる希少金属も使用しているため、需給状況の急激な変動や、災害、産出国における政情の変化等のリスクにさらされており、材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながります。市況変動については、アナリストなどの情報を元に先行き見通しを可能な範囲で予測を行い、当社収益への影響を織り込むようにしておりますが、予測を超えた需要及び市況変動により当社製品の製造原価が上昇した場合、当社グループの経営成績又は財政状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 製品の品質・安全性の影響
当社グループによる製品の品質向上及び安全性の確保の努力にかかわらず、製品の欠陥又は不具合によるリコール又は改善対策等が大規模なものとなり、又は大規模な製造物責任を追及された場合には、多額の費用負担、当社製品への評価及び需要の低下等により、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
経営への影響を低減するために、製品品質の改善については市場からの情報に基づき関連部門が連携して迅速に原因究明及び対策を実施すること、また、潜在リスクの検証を適切に行うことに努めています。
⑤ 訴訟等の影響
当社グループが、事業を遂行していく上で、ユーザー、取引先や第三者との間で訴訟等が発生し、また規制当局による法令順守に関する調査の対象となり、それらの結論によっては、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点で係争中の訴訟等についての判決等が当社グループの主張や予測と異なる結果となった場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造物責任に関する損害賠償請求又は訴訟において原告側が勝訴した判決による債務及び訴訟費用について、製造物責任保険で十分にカバーできるような保険に加入していますが、当社の想定を越えた内容の判決が出た場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
個別の訴訟等について、当社は、2010年2月20日、当社のエジプトにおける旧販売会社であるMASRIA Co., Ltd(以下「原告」)から、当社による同社との販売店契約の解約について、9億米ドルの損害賠償請求を含む訴訟(以下「本訴訟」)を提起されております。本訴訟につき、2010年10月26日に第一審裁判所、2012年7月3日に控訴審裁判所において、それぞれ、本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にはないことを理由として原告の訴えを却下する旨の判決がありましたが、原告がこれに対し、2012年7月21日付でエジプト最高裁判所に上告したため、本訴訟は上告審に係属中であります。
本訴訟の裁判管轄がエジプトの裁判所にないことは、前記販売店契約上明らかであること、また、実質的にも、当社による販売店契約の解約は、当該契約の定めに従ってなされた合法的なものであり、原告の請求原因には合理性がないことなどから、現時点において、本訴訟は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼすものではないと判断しております。
⑥ 法規制等の影響
当社グループは、事業を展開する各国において排出ガス、燃費、騒音、化学物質、リサイクル、水資源等の環境に係る様々な法律や政府による規制の適用を受けています。当社グループが当該法規制に適応し又はこれを遵守できない場合、またそれにより制裁を受けた場合や改正・強化された新たな規制への適応又は遵守のために多額の費用が生じるなどの場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、上述の法規制以外にも、消費者保護規制、事業及び投資に対する許認可、労働規制、外国為替規制、安全保障目的を含む輸出入貿易規制、各種税法、独占禁止法、贈収賄防止法など内外の広範な法令の適用を受けております。当社グループの事業は、場合によっては、十分に整備されていない法基盤の下で遂行されることがあり、又は包括的な法令体系の欠如や、一貫性のない法令の適用及び解釈、監督当局による規制措置の一方的変更などに対応する費用負担が増大することがあります。また、これらの事業が供給する製品或いはサービスに賦課される税率、環境規制に係る技術的要件、所得税及び関税、投資元本及び配当の還流に関する為替規制などの諸法令などについて、予想外の変更が行われることがあります。
これらの法令に対応するため、当社グループは、法令等の遵守体制を整え、各担当部門が未然防止の対策を講じております。さらに、当社グループの従業員として厳守すべきことを「三菱自動車グローバル行動規範」として定め、グループで統一的に運用するなど、社内ルールの浸透と徹底、規範遵守の企業風土の醸成と、そのための社内体制や仕組みの構築を推進するとともにコンプライアンスに係る案件を察知した場合には速やかに対応する体制も整備しており、当社グループの社会的信用や評判に与える悪影響が発生する可能性を低減するよう努めております。しかしながら、将来にわたって法令違反が発生する可能性は皆無ではなく、法令違反の事実、あるいは対応の内容や迅速性等が不十分な場合には、当社グループのコンプライアンス・レピュテーションに悪い影響を及ぼし、当社グループの経営成績又は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産権侵害の影響
当社グループは、他社製品との差別化のため、技術・ノウハウ等の知的財産を保護するとともに、第三者の知的財産権に対する侵害の予防に努めております。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似商品を製造・販売することや、世界各国における法規制上、当社グループの知的財産権の保護に限界があることで販売減少や訴訟費用が発生した場合、あるいは、当社グループによる予期せぬ第三者の知的財産権侵害のために製造販売の中止、賠償金支払、当社製品への評価及び需要の低下等が生じた場合、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報技術及び情報セキュリティの影響
当社グループの運営や製品及びサービス等に利用する情報及びこれを保存するネットワークやシステム等の情報技術は、委託先によって管理されているものを含め、多岐にわたります。コネクティッドサービスやIoT技術の進展を踏まえ、当社グループは、ハードウェア及びソフトウェアの安全管理対策を実施しております。それにもかかわらず、社外からのサイバー攻撃や当社グループ内部若しくは委託先での管理不備ないし人為的な過失により、当社技術情報等の機密情報・個人情報等の漏えい、重要な業務やサービスの停止、不適切な事務処理、又は重要データの破壊・改ざん等が発生し、当社グループのブランド・イメージや社会的信用の低下、販売の減少、法的請求、訴訟、賠償責任又は制裁金や罰金の支払義務が発生し、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業戦略や競争力維持に係るリスク(戦略リスク)
① 営業戦略、競合他社動向への対応の影響
自動車業界では現在、世界的な規模で激しい競争が展開されています。また、新興企業の台頭や次世代技術開発に係る異業種からの参入などを背景に、今後さらに競争が熾烈化する可能性があります。当社グループは、厳しい競争環境においても持続的な成長を実現すべく、「選択と集中」の基本概念に沿って、主力地域のアセアンやオセアニアを中心とした地域戦略を進めるとともに、当社グループが強みを持つ電動化技術やSUV技術をベースとした商品・技術開発に注力し、販売台数やマーケットシェアの維持拡大に努めています。然しながら、今後、そういった戦略が想定通りに進まず、競合他社に対して優位な施策を講じることが出来ない場合などにおいて、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 商品・技術開発の影響
脱炭素化に向けた世界規模での急速な動き、カーシェアリング化伸長の傾向、また特に日本ではドライバーの高齢化が進むなど、自動車メーカーに求められる技術や姿勢が急激に変化している中においては、お客様の価値観とニーズに対応した有用かつ現実的で使いやすい新技術や新商品を、三菱自動車ならではの魅力を加味した上で、タイムリーに投入することが重要と考え、開発に日々取り組んでいます。しかし、きめ細かな調査に基づく研究・開発であっても、お客様の価値観とニーズを十分にとらえることができない可能性があります。また、お客様の価値観とニーズを十分にとらえることができたとしても、内部・外部的な要因により、新技術や新商品を、タイムリーに開発しお客様に提供することができない可能性があり、その場合には、販売シェアの低下から、売上高と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
また、当社は、主力地域であるアセアンを中心に将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資していることで、その他地域における環境の変化やニーズの変化との間にアンマッチが生じ、アセアン地域以外のお客様にその新技術が受け入れられない可能性があり、その結果、上記同様に、販売シェア低下から、売上と利益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが開発する技術は、世の中のニーズに即し、有用かつ現実的で使い易いものでなくてはなりません。この目的のため当社グループは、主力地域であるアセアンを中心に将来のニーズを予測し、優先順位をつけ、新技術の開発に投資しています。しかしながら、予測を超えた環境の変化や世の中のニーズの変化、相対的な開発競争力の低下により、最終的にお客様にその新技術が受け入れられない可能性もあり、その結果、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人事労政戦略の影響
当社グループは、業界を取り巻く激しい環境変化に対応し、持続的な成長を実現していくために、高度な専門性を持つ人材の確保と、活躍機会の提供が極めて重要であると考えています。そのために、要員構成の是正による適切な人員配置、役割に基づいた処遇制度の整備、多様な働き方を支える風土の醸成と、個々の成長を促す仕組みづくりを推進しています。
しかしながら、採用難や労働市場の流動性の高まりにより、計画通りの採用や定着化が進まなかった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動の影響
産業革命以降の世界の気温上昇を受けて、2015年にパリ協定が採択され、世界全体で平均気温の上昇を抑える努力をするように定められました。昨今、日本、米国、欧州各国などが2050年カーボンニュートラルを宣言するなど、グローバルで脱炭素社会に向けた動きが加速しています。
当社グループは、2018年にマテリアリティ(重要課題)を特定し、気候変動・エネルギー問題への対応を最重要課題の一つに掲げており、2020年10月には中長期的な方針と目標を「新環境計画パッケージ」として策定するとともに、排出ガスの少ない自動車や電動車の開発、事業所での省エネ活動、再生可能エネルギーの活用促進などに努めております。
気候変動が進行した場合、気象災害による工場の操業停止などの物理的リスクにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルに気候変動対策が進み、当社のマーケットである国・地域において、燃費/CO2排出規制や電動車販売比率の規制等の更なる強化・導入が進んだ場合、これに対応するための投資や規制不適合による市場からの撤退などの移行リスクにより、当社グループの経営成績又は財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3)金融・経済に係るリスク(財務リスク)
① 為替変動の影響
円と外国通貨の為替相場が変動すると、外貨建資産(売掛金等)や外貨建負債(買掛金等)の価値が増減し、円ベースの損益が変動します。円高になると外貨建債権の価値は低下し、円安になると増加します。外貨建負債ではその逆となります。海外売上高比率が約8割を占める当社グループでは米ドル、ユーロ、豪ドル等の外貨建債権を有しております。更にタイ子会社にてグローバルでの輸出生産を行っており、タイバーツを中心に外貨建債務も有しております。2020年度は、前連結会計年度比、米ドルに対し、4円の円高となった一方、ユーロと豪ドルに対してはそれぞれ3円、2円の円安となり、また外貨建債務のタイバーツ安もあり、合計37億円の連結営業利益改善要因となりました。
現在、インドネシア生産車の輸出、タイ生産車の現地販売拡大等、為替影響低減のために必要な措置を適宜進め、中長期的に為替相場変動の影響削減に取り組んでおりますが、引き続き大幅な為替変動が当社グループの経営成績や事業計画の実現に大きく影響する可能性がある状況です。
② 顧客、取引先等の信用リスクの影響
当社グループは、販売業者や、販売金融事業による顧客・リース先等の取引先の信用リスクを有しております。
販売業者等の取引先については、カントリーリスクや取引先の財務状況に対する継続的な評価を行い適切な債権保全を図ることで、信用リスクの抑制に努めており、また、販売金融事業においては、独自の審査・回収管理を行うことで、破綻の発生並びに回収不能額の抑制に努めておりますが、外部環境等の悪化に伴い、かかる信用リスクに基づく損失が当社グループの想定を上回る場合には、当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金の流動性の影響
当社グループは、金融機関からの借入に加え、CPの発行等により資金調達を行っています。しかしながら、経済・金融危機等の発生もしくは当社グループの信用格付けの引き下げ等により、金融市場から適切な条件で必要とする金額の資金調達が出来なくなった場合、当社グループの経営成績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は、未使用のコミットメントライン約1,500億円に加えて、今年度には、単体において新たに2,000億円の資金調達を行うと共に、海外子会社においても約1,000億円の資金調達枠の設定や資金調達を実施し、十分な流動性を確保しておりますが、そのような事態に対処するため、メインバンクをはじめ取引金融機関との良好な関係性の維持に努めております。
(4)事業の継続に係るリスク(ハザードリスク)
① 自然災害や事故、感染症等の影響
当社グループは、日本及び世界各地に製造拠点等の設備を有しており、当該各地で大規模な地震・台風・洪水等の自然災害や火災等の事故、感染症の発生により、当社グループ又はその取引先の操業の中断等の重大な支障をきたす場合があります。これらは発生可能性が高く、当社グループ事業へ影響が大きいと想定されるシナリオに基づき、BCM委員会において事業継続計画を策定するとともに、定期的な訓練による有効性検証を行い、今後の新たな脅威に備えております。また、新型コロナウイルス感染症などの感染症への対策としては、感染拡大防止と事業継続の体制維持の観点から、従業員等の健康・安全確保のため対応要領を作成・周知し、これに則った行動を要請するとともに、在宅勤務、オフピーク出勤の推進、出張の厳格運用、接待・贈答、イベント開催を原則禁止とするなどの対策を行っております。
但し、想定を超える規模で自然災害や事故、感染症等が発生した場合は当社グループの経営成績又は財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02213] S100LPLR)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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