有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LL9I (EDINETへの外部リンク)
オリンパス株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、積極的かつ健全なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。
当社グループのリスクマネジメント体制においては、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクを管掌する執行役を明確にし(リスクアシュアランスの確立)、各執行役は担当するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制、プロセス整備、重点施策など)を遂行します。
また、当社グループでは、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価および対応策設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重点リスクについてはその対応状況を定期的にモニタリングし、グループ経営執行会議および取締役会へ報告しています。
これらのリスクマネジメントの取り組みにより「経営の基本方針」を実現していきます。
以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)医療行政の方針変更及びリプロセスに関する規制強化に係るリスク
(2)マクロ経済等に係るリスク
(3)市場競合状況に係るリスク
(4)販売活動に係るリスク
(5)生産・開発活動に係るリスク
(6)為替変動に係るリスク
(7)業務提携及び企業買収等に係るリスク
(8)投資全般に係るリスク
(9)情報セキュリティに係るリスク
(10)内部統制に係るリスク
(11)法的規制に係るリスク
(12)訴訟に係るリスク
(13)資金調達に係るリスク
(14)事業構造改革に係るリスク
(15)その他のリスク
(16)新型コロナウイルス感染症に係るリスク
当社グループのリスクマネジメント体制においては、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクを管掌する執行役を明確にし(リスクアシュアランスの確立)、各執行役は担当するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制、プロセス整備、重点施策など)を遂行します。
また、当社グループでは、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価および対応策設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重点リスクについてはその対応状況を定期的にモニタリングし、グループ経営執行会議および取締役会へ報告しています。
これらのリスクマネジメントの取り組みにより「経営の基本方針」を実現していきます。
以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)医療行政の方針変更及びリプロセスに関する規制強化に係るリスク
リスク |
医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者様の生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。 今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針変更や予測できない環境変化などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 FDAより、十二指腸内視鏡の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力をしながら市販後の調査研究を完了し、2020年2月に市販後調査の最終報告書を提出しました。現在は2020年に米国で販売を開始した後継機種に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、安全な商品の開発と選定、法規制に適合した商品開発、各国への提出資料の共有化などに取り組んでいます。また、当社では品質及び法規制対応関連部門等、当社グループ内部の人材の育成や対応力の強化を通じて、定期的な監査、検証の手順を継続しながら、市場の変化に速やかに対応できるよう、是正処置及び予防処置に係るプロセスを改善していきます。さらに、規制関連の事項について、定期的なモニタリングを実施し経営陣に対して状況のアップデートを行い、関連法令に対する理解を徹底させるとともに、ベストプラクティスを共有するなど、関連業務に従事する従業員に対して定期的なトレーニングを実施していきます。 |
(2)マクロ経済等に係るリスク
リスク |
先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えています。また、新興国においては、経済成長に伴い医療に対するニーズも高まっています。一方で、主に先進国では、増加する医療費に対して、医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められており、これらの変化は当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 また、地政学的リスクの顕在化による経済環境の変化により、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、内視鏡事業、治療機器事業、科学事業等において製品及びサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。 医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 科学事業のライフサイエンス分野では、国公立の研究機関向けの販売の割合が高く、各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方、産業分野では、自動車産業・航空産業・石油関連産業向けの販売の割合が高く、企業の設備投資動向が収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。詳細は「新型コロナウイルス感染症に係るリスク」に記載しています。 |
対応策・機会 |
当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、新興国では内視鏡を操作できる医師を増やすことが重要なことから、内視鏡医の育成をサポートしています。 医療分野及び科学事業のライフサイエンス分野については、政策等により関連国家予算が増加した場合、また、科学事業の産業分野についても、顧客企業の事業環境の変化等により設備投資需要が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 |
(3)市場競合状況に係るリスク
リスク |
当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や当社シェアの侵食、代替技術・製品の出現等が考えられます。その競争環境において、技術、品質等において競争力を有する製品を適時に市場へ投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策・機会 |
当社では市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。また、社内での開発のみならず、アライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。 市場環境の変化、代替技術や市場に投入される製品の動向をキャッチアップし、適時に競争力のある製品を市場へ投入できた場合には、販売単価の上昇や当社シェアの拡充等による収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 |
(4)販売活動に係るリスク
リスク |
当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関及び公務員と取引を行っています。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業活動が制限される可能性があります。 |
対応策 |
当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底させており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、中国では、代理店を対象に法規制遵守等に係るトレーニングも実施しています。 |
(5)生産・開発活動に係るリスク
リスク |
特定の供給元に依存する製品及び部品について、その供給元の事情により、調達に制約を受ける場合には、生産及び供給能力に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な市況の変化等に柔軟に対応ができない場合には、当社グループの収益確保及びサプライチェーンに影響が生じる可能性があります。 製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 技術的な進歩が速く、市場の変化を適切に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。 |
対応策・機会 |
取引先の動向把握の推進や取引先との関係強化施策、バックアップ計画の検討等により、供給上の課題の軽減を目指しています。また、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。 医療分野では、当社内での技術開発に加えM&A等を通じて製品ポートフォリオの拡充および新技術の獲得を推進しています。近年では、感染管理等への意識の高まりとともにニーズの高まっているシングルユース内視鏡、AIを用いた診断などに期待が高まっており、当社としても製品開発に積極的に取り組んでいます。 競争力のある製品を継続的に上市することができた場合には、成長機会の獲得につなげることができます。 また、生産・開発活動にあたっては、自社のコア・テクノロジーを見極めた上で、社内あるいは社外のどちらのリソースを用いるか、戦略的に検討を行っています。検討の結果を踏まえた最適なリソースの活用を通じて、さらなるコスト削減と利益率の向上を目指します。 |
(6)為替変動に係るリスク
リスク |
当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、海外売上高比率(連結ベース)は、2021年3月期において約83%です。円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
為替変動リスクを軽減することを目的として、主に先物為替予約を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 |
(7)業務提携及び企業買収等に係るリスク
リスク |
技術及び製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業及び買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、事業売却損、事業清算損、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。 当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価及び評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。 当社は、連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分譲渡に向けた活動を継続していますが、その活動の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策・機会 |
M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直しを定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。 適切な対応策の下で行われる業務提携及び企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。 |
(8)投資全般に係るリスク
リスク |
当社グループは、事業に係る様々な領域で投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
投資前には投資評価の妥当性を審議、投資の可否を判断しています。 |
(9)情報セキュリティに係るリスク
リスク |
当社製品やサービスを継続的に提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、機密情報やステークホルダーの個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜につながることに加えて、影響を受けるステークホルダーに対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ・進化したサイバー攻撃により、顧客の環境において、当社製品の使用やその保守作業を通じて患者様の情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなる、また当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続出来なくなるといった事象が発生すること ・情報セキュリティ対策の不備や内部不正による、当社内に保管される技術情報・顧客情報の漏えいまたは毀損 ・個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本における「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」、米国カリフォルニア州の「カリフォルニア州消費者保護法(CCPA: California Consumer Privacy Act)」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起されること |
対応策 |
当社グループでは、チーフ情報セキュリティオフィサーの下、情報セキュリティに係るリスクに適切に対処するための体制を構築し、情報セキュリティリスクの低減を推進しています。その中で、以下の対策を行っています。 ・製品のセキュリティレベルの向上による顧客環境でのサイバーリスクの低減、事業活動や顧客接点におけるセキュリティリスクの低減のために、製品セキュリティマネジメントシステムを導入し、リスク分析と評価に基づき、脆弱性に対処し、インシデント対応体制を整備しています。 ・機密情報や個人情報を含む外部への情報流出のリスク低減する為に、セキュリティマネジメントシステムを導入し、各種アクセスログの収集、分析による異常の早期検知などの対策を講じています。 ・個人情報保護の専任部門を設置し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社とともに個人情報の保護に関する国外の法令に対応するための体制を整備し、対処方針の制定やモニタリングを行っています。 |
(10)内部統制に係るリスク
リスク |
有効な内部統制システムを構築している状況においても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動など、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、また当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じることにより、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。 内部統制システム構築時点では想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化に対して、社内の組織・機能が適切に対応できないなど、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための体制を整備・運用し、継続的な改善を図っています。また、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても、整備・運用しており、継続的な改善を図っています。 |
(11)法的規制に係るリスク
リスク |
当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。 当社は、米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において「当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」という義務が課されています。今後の実施状況によっては、米国司法省によりさらなる措置が取られる可能性があります。 当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しています。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。 |
(12)訴訟に係るリスク
リスク |
国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発及び生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投资发展有限公司から2016年12月23日付で訴訟を提起され、2018年7月30日付で判決が出されています。当社はこの第一審判決を不服として2018年8月17日付で控訴しておりました。2020年7月1日付で広東省高級人民法院から、安平泰側が請求の根拠とする事実関係が不明確であるなどとして、第一審判決を取り消し、本案の審理を差し戻す裁定が下されましたが、今後の経過によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。 |
(13)資金調達に係るリスク
リスク |
当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。 また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 |
(14)事業構造改革に係るリスク
リスク |
当社グループは、2019年1月に企業変革プラン「Transform Olympus」を公表しました。また、2019年11月に経営戦略を公表し、製品(売上原価、研究開発)、コマーシャル(セールス・マーケティング、保守サービス)、コーポレート(コーポレート機能の間接費)の分野で大規模な効率改善を見込む、全社横断的な効率改善プログラムも推進し、持続的な成長と収益性を伴う真のグローバル・メドテックカンパニーを目指しています。 これらのプログラムの進展に遅れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
企業変革プラン「Transform Olympus」においては、担当する役員(チーフトランスフォーメーションオフィサー)を任命するとともに、各プロジェクトにプロジェクトリーダーをおき、各施策にゲートプロセスやマイルストーンを設定して、月次で各施策の進捗をモニタリングしています。なお、重大な遅れが生じた場合は、プロジェクトリーダーからチーフトランスフォーメーションオフィサーに必要な報告がなされ、全社として課題を解決するプロセスを構築しています。 |
(15)その他のリスク
リスク |
当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となること、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省に対するFCPA遵守に関する自主的な開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響が生じる可能性があります。 また、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 その他、自然災害、疾病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。 |
対応策 |
当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、リスクマネジメントの一環として、戦略および年度目標の達成におけるリスクを同一のプロセス/基準で抽出/評価した上で、リスクの重要度に応じた重点施策を効率的、有効的に策定し、年間を通じて施策の実行状況をモニタリングしています。 重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直し及びBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。 |
(16)新型コロナウイルス感染症に係るリスク
リスク |
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、経済活動の再開は段階的に進められているものの、感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として厳しい状況が続いています。 当社グループの事業活動においては、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。医療機関が新型コロナウイルスへの対応を優先せざるを得ない状況において、当社の事業に関連する医療行為が減少した場合、当社グループの販売活動にさらなる影響を及ぼす可能性があります。また、特定の製品及び部品調達に制約が生じた場合、当社グループの生産及び供給能力ひいては収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、感染防止対策の徹底に努めており、職場でのフィジカルディスタンスの確保やマスク着用の徹底、施設の換気、出張やイベントの自粛等の措置を講じています。また、確実な事業継続のために必要に応じてグローバルタスクフォースを設置します。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、当社グループではオンラインでのトレーニングやデモンストレーション、セミナーを継続的に実施している他、新たな環境に対応したソリューションの提供に努めています。 |
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