シェア: facebook でシェア twitter でシェア google+ でシェア

有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L2I7 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 キヤノン株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行ってきました。また、成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウ―品質、コスト、納期を支える技術―を価値創造基盤技術としてコアコンピタンスマネジメントに組み込んでいます。
研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取組みを進めています。
1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、既存事業の高効率化に貢献します。並行して事業グループがもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、既存事業の強化と新事業グループの成長に向けたコアコンピタンスマネジメントを推進します。
2.では、その一例として、インク・トナー材料の基礎となる機能材料技術を生かした新機能材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に新たに取り組むなど、技術多角化を通して、新事業領域の開拓を進めます。
3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、高度なサイバー技術をアライアンスなども活用しながら取り込み、一歩先を行くサイバー&フィジカル技術を開発します。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、272,312百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。


Ⅰ.オフィスビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX」シリーズが、業界最高クラスの高速・高品質スキャナーにより、ファイルのメール添付送信や共有フォルダ―への格納などの紙文書の電子化を促進し、さらにユーザビリティーを追求したシンプルな操作パネルにより、お客様の業務の効率化に貢献します。新シリーズに搭載された新ADFは、読み取り画像の傾きを自動補正するデジタル斜行補正機能を採用することで、両面読み取りスピード最大270ページ/分※1を実現しました。
また、この技術により機械的に斜行を補正する際の紙の衝突音を軽減し、高速性と静音性を両立しています。重送検知機能や汚れ防止を搭載し、原稿から情報の欠落、劣化を防ぎ、読み取りの正確性向上に貢献しています。
新スキャナーと新ADFによる高速、高品質の新シリーズは、キヤノンのクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」の進化に対応可能な複合機です。機能拡張との組み合わせで、さらなる業務の効率化、生産性の向上をサポートし、オフィスのデジタルトランスフォーメーションの加速を促進します。
商業印刷向け大型複合機においては、「imagePRESS C10010VP/C9010VP」は、従来機種※2の高画質・高信頼性・高生産性を継承し、さらに長尺用紙や厚紙、合成紙などの用紙への対応力を強化しました。重厚感のある厚紙の名刺、合成紙を用いた耐水・耐久性に優れた飲食店のメニューなど、さまざまなグラフィックアーツ成果物を作成できます。また、長尺用紙の自動両面印刷および1,000枚の大量給紙にも新たに対応しました。三つ折りメニューのような両面の長尺成果物を大量に印刷する場合でも、給紙の手間をかけずに容易に作成できます。これらの機能拡充により、商業印刷を営むお客様のビジネス拡大を支援します。
中小規模事業所向けレーザー複合機(MFP)及びレーザープリンタでは,「Satera MF260」シリーズが、さらなる省スペース化と高速化を実現したA4モノクロレーザー複合機です。設置場所に限りのある在宅勤務などのテレワークをはじめ、中小規模オフィスや医療機関、店舗、窓口などでの業務において、設置場所の自由度の向上、出力時間の短縮などによりユーザーの業務効率化に貢献します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、75,618百万円であります。

※1 従来機種「imageRUNNER ADVANCE C5500」シリーズ(2019年1月発売)と比べ約70%アップ。A4サイズ普通紙両面カラー原稿読み取り時。
※2 「imagePRESS C10000VP/imagePRESS C8000VP」(2015年10月発売)。出力速度はそれぞれ毎分100枚、毎分80枚(ともにA4ヨコ)。


Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から17年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。
2018年に導入した「EOS Rシステム」では、キヤノンのレンズ交換式カメラEOSシリーズのフルサイズミラーレスカメラにおいて、新開発のフルサイズCMOSセンサーを搭載し、さらなる高速連写や8K動画撮影を可能としたミラーレスカメラ「EOS R5」や、フルサイズセンサー搭載のカメラ用交換レンズとして、「RFマウント」の特長である大口径・ショートバックフォーカス※4を生かした設計により、焦点距離100mmから500mmのズーム全域で高画質を実現した「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」など「RFレンズ」8機種をラインアップに加えました。また、革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点から、「EOS-1D X Mark III」、「EOS 90D」、及び「RF70-200mm F2.8 L IS USM」の3製品が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2020」※5、及び「EISA アワード 2020-2021」※6の両賞を受賞しました
インクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS TS8430/TS7430/XK90」が、QRコードをスマホで読み取るだけでプリンターとダイレクト接続することができる新機能「QRコードダイレクト接続」を搭載、更に「新しい生活様式」にむけて、自宅業務での書類や資料、オンライン学習の課題や解答用紙、家族で楽しめるペーパークラフトなどの多様なプリントを自宅で簡単・便利に印刷できる新しいサービスに対応しています。また、写真やアート作品、商業広告などのグラフィックアート市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO 6100/4100/2100/6100S/4100S」は、ロール紙を給紙部に置くだけで、自動で用紙を給紙・搬送し印刷可能な状態に調整する「自動ロール紙セット」機能を搭載、日々の作業を効率化し生産性向上に貢献しています。
当事業セグメントに係る研究開発費は、52,258百万円であります。

※3 2020年3月現在(当社調べ)。
※4 最後部のレンズ面の頂点から撮像面までの光軸上の距離が短いこと。
※5 2020年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より26年連続受賞、他に「RF85mm F1.2 L USM DS」、「PowerShot G7 X Mark III」が同時受賞。
※6 2020年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (29カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約55誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より31年連続受賞、他に「EOS R5」、「RF24-70mm F2.8L IS USM」、「RF600mm F11 IS STM」、「RF800mm F11 IS STM」が同時受賞。


Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニット
CT装置においては、大開口径80列マルチスライスCT「Aquilion Exceed LB」ではディープラーニングを用いて設計された画像再構成法であるAdvanced intelligent Clear-IQ Engine-integrated (AiCE-i) を搭載することで、治療計画をはじめ、通常の診断用としても高画質を実現することが可能となり、被ばく線量の低減にも貢献します。また、放射線治療時に患部に正確かつ効率的に放射線を照射できるように、900mmの大開口径により、治療時と同じ体位で固定器具と共にCT撮影が可能となります。
MRI装置においても、ディープラーニングを用いて設計したSNR向上技術「AiCE」により、高画質と撮像時間短縮の両立に必要なSNRを最大3.2倍に引き上げることができます。1.5テスラMRIと比較した3テスラMRIのSNRが理論上2倍であるため、Vantage Gracianでは3テスラMRIに匹敵する高いSNRを得ることができます。これにより、日常検査において従来の3テスラMRIのような高分解能の画像診断が可能になり、より確実な診断を支援します。
読影ワークフローの効率化を図る読影支援ソリューション「Abierto RSS」として、マルチベンダによるアプリケーションが搭載できるプラットフォーム「Automation Platform」を開発、第1弾としてAIの技術の一つであるディープラーニング等を用いて設計・開発した脳卒中向けアプリケーションを提供しています。頭部単純CT画像から周囲と比べ低コントラスト及び高輝度の領域を自動で強調表示することができ、画像診断のワークフローを大幅に改善できるため、病院搬送後の迅速な治療方針の決定に役立つことが期待されます。
新型コロナウイルス抗原定性検査キット「Rapiim SARS-CoV-2-N」は、公立大学法人横浜市立大学(神奈川県横浜市)との共同研究をもとに開発しました。鼻咽頭ぬぐい液に加え、医療従事者の管理下で患者様自身が採取可能な鼻腔ぬぐい液にも対応し、医療従事者への感染リスクを低減可能です。横浜市立大学が開発した抗SARS-CoV-2抗体を採用し、近縁ウイルスであるSARS-CoV、MERS、また、風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスや、A型インフルエンザウイルス(H1N1、H3N2)、B型インフルエンザウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルス等、37種類のウイルスや細菌で交差反応を示しません。これにより、偽陽性の発生リスクを低減させています。Rapiim独自の高感度検出技術を、インフルエンザウイルス、RSウイルスに続き、SARS-CoV-2に採用し、6.64pg/mLの抗原※7、203RNAコピー/テストのウイルス※8を15分で検出します。また、多量のウイルスでは、4分で陽性を判定します。
眼科機器においては、ディープラーニング技術を用いて設計した独自の新画像処理技術「Intelligent denoise」を「OCT-A1」に搭載しました。眼底の血管形態を描出したOCTA※9画像からノイズを除去し、血管の細部まで可視化された高精細OCTA画像の生成が可能です。加えて、高性能GPUを搭載することで画像処理時間を高速化し、患者さんや医療従事者の負担を軽減します。また、この上位機種である「OCT-S1」には、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角撮影を実現します。広範囲かつ深部に至るまでの画像を一度の撮影でとらえることが可能となり、大学病院や専門性の高い眼科医療施設での研究や診断に貢献します。
当事業セグメントに係る研究開発費は、39,927百万円であります。

※7 組換えSARS-CoV-2抗原
※8 SARS-CoV-2 JPN/TY/WK-521(国立感染症研究所株)
※9 Optical Coherence Tomography Angiographyの略。


Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット
半導体露光装置においては、キヤノンの半導体露光装置として初めて大型四角基盤に対応した後工程向け露光装置「FPA-8000iW」により、高い解像力と広画角の露光、高い生産性を達成してきました。これにより半導体パッケージングのさらなる微細化と大型化、コストダウンを実現しています。
FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板サイズに対応した中小型ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-E903T」により、解像力1.2マイクロメートル(Line and Space)での露光を実現してきました。これによりディスプレイの更なる高精細化に貢献しています。
ネットワークカメラにおいては、群衆人数カウントや顔認証などのディープラーニングを用いた映像解析技術の開発を推し進めました。群衆人数カウント技術はネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウエアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況でも人数をカウントすることができます。また、キヤノンが開発している顔認証エンジンは、研究・開発を行う企業や研究所において客観的指標として用いられているNIST※10の評価にて高い顔認証精度が認められており、今後実用化を進めてまいります。
デジタルシネマカメラにおいては、RFマウントを採用した「EOS C70」は、小型・軽量設計に加えて、4Kスーパー35mmのCMOSセンサー「DGO(Dual Gain Output)センサー」を搭載し、CanonLog2ガンマと組み合わせることで、16+ストップの広いダイナミックレンジの高画質な映像を撮影可能です。また、高速処理が可能な映像処理プラットフォーム「DIGIC DV 7」により、4K/120Pのハイフレーム動画記録や多彩な記録モードによる撮影が可能です。
更にCinema EOS Systemのカメラとして初めてディープラーニング技術による被写体認識アルゴリズムを搭載し、「デュアルピクセルCMOS AF」時に被写体の頭部を検出して安定した追尾を行うほか、タッチパネル操作で素早く撮影設定を変更でき、快適な映像制作ワークフローを実現しています。
映像ソリューションにおいては、サッカーやラグビーの映像を提供した「自由視点映像システム」の技術を応用し、3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現する「ボリュメトリックビデオスタジオ」を川崎事業所内に開設しました。画像処理ハードウエアとアルゴリズムの改良により映像生成時間の短縮と精細度向上を進め、自由視点映像によるテレビ番組制作やインターネット配信を実現しました。
当事業セグメントに係る研究開発費は、78,956百万円であります。

※10 NIST(National Institute of Standards and Technology | 米国国立標準技術研究所)

また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は25,553百万円であります。

注:製品名は日本国内での名称です。

事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02274] S100L2I7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。