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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L2I7 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 キヤノン株式会社 事業等のリスク (2020年12月期)


従業員の状況メニュー研究開発活動

当グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2021年3月30日)現在において判断した記載となっております。
事業特有の重要性が高いリスク

1.事務機市場におけるプリント環境の変化に関連するリスク
複合機やレーザープリンターなどの事務機市場においては、顧客のコスト削減や環境意識の高まりに加え、オフィスのワークフローのデジタル化やリモートワークの普及が進むことで、顧客のプリント機会が減少する可能性があります。
こうしたリスクに対して、当社は、依然として高いニーズがあるオフィス業務の効率化に資する高機能機のほか、クラウド連携やセキュリティを強化した製品・サービスの提供に取り組んでおります。また、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的に成長が見込まれる商業印刷の分野においても、特に成長期待の高いグラフィックアーツやパッケージングの領域に注力し需要の取り込みを図っております。
当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方で、市場変化に対応した製品やサービスを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

2.デジタルカメラ業界における競争に関連するリスク
スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しています。その結果、デジタルカメラの市場は価格と性能の競争が激化しながら、縮小しています。
このような状況下、当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの差別化を一層図り、特にプロやハイアマチュアユーザー向けモデルを中心に製品力の更なる強化を進めております。また、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。
当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方で、競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク
画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っていますが、各国における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。
また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。加えて、新興国の医療インフラ整備が進む中で世界的には市場が拡大・成長していますが、一方、高齢化が進行する国では、社会保障費の増大が課題となっており、医療費削減政策による影響を大きく受ける事業環境にあります。
当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。また、当社は、詳細な検討及び予測に基づいて投資及び研究開発を行っておりますが、今後の新技術・新製品の臨床効果及び事業環境の変化を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク
半導体・FPD業界のビジネスサイクルには時期、期間、変動が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資は大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は現在の競争力を維持するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。
このような状況下、当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化や販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進め、収益基盤の安定化を図っています。また、自社の生産設備への投資については、急激な需要変動を前提に慎重を期しており、既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じています。
当社は市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。一方、市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

5.販売に関連するリスク
当社は、当社のOEMパートナーであるHP Inc.との関係及び当社製品を販売する大手ディーラーとの関係に支障が生じた場合や、競合他社による買収が行われた場合に、販売計画の達成等に影響を与える可能性があります。
さらに、インターネットビジネスの急速な普及により、従来の流通プロセスが通用しなくなる可能性があり、このような環境の変化は、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築していますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、当社と取引がある大手ディーラーとも良好な関係を構築しています。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、インターネットビジネスの急速な普及を踏まえ、従来の流通プロセスに加え、さまざまなチャネルを活用したオンライン販売を展開し、注力しておりますが、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。


事業横断的な重要性が高いリスク

6.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク
当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。当社は、社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っておりますが、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。また、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。

7.国際政治経済に関連するリスク
当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生、急激な為替レートの変動と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。
当社は日本、アメリカ、ヨーロッパ及びアジアなどの主要な市場において景気が後退した場合や米中貿易摩擦の問題がさらに深刻化した場合など、政治、外交問題または不利な経済状況の発生時には、消費の低迷や投資の抑制が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社の事務機や診断機器、産業機器などのコーポレート向けまたは医療機関向け製品の需要は顧客の経営状態に影響され、経営状態の悪化により顧客が投資を抑制する場合があります。一方で、カメラやインクジェットプリンターのようなコンシューマ向け製品の需要は、個人消費の動向に左右されます。さらに、このような事態が発生した場合、当社製品の売上が急激に低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そして、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。
加えて、世界の各国・各地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。
政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しています。
急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施し、直近の為替水準を反映した価格で製品を市場に投入するなどの対策を講じております。
予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しています。
上記の対応にもかかわらず、当社が国際的な企業活動を行う際に伴う様々なリスクについて対処していくことができない場合は、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

8.サプライチェーンに関連するリスク
当社は製品を開発し、原材料及び部品を購入して製品を生産し、全世界で販売することを主な事業としております。その事業活動の中で、原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めていますが、原材料及び部品の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めています。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図ることにより、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めています。
また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っています。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っています。
一方で、当社は、品質、効率及び環境の面で当社の厳密な基準を満たす製品に使用する重要な部品や材料を、外部の特定サプライヤーに依存しています。製品ラインアップで横断的に使用されている部品や材料のサプライヤーに不測の事態が発生する場合、またその部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が製品を世界各国に供給できるかどうかは、物流サービスがどれだけ有効に機能するかにかかっておりますが、コンピュータ化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。

9.自然災害・感染症に関連するリスク
当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、あるいはブランド価値を傷つける可能性があり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しています。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っています。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムついては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。
また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大は、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼしています。発生当初は世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、当社は一部の工場で一時的に操業を停止し、減産するなどの対応を取りました。その後、日本政府の緊急事態宣言や世界各地のロックダウン、外出規制など、経済活動制限の影響により、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などを背景に、当社の販売活動も悪影響を受けております。当社は対策チームを設置し、社内外大規模イベントの中止や時差出勤・リモートワークの実施など、感染拡大の防止に努める一方で、このような外部環境の変化に対応し、国内・海外における生産活動及び販売活動の回復に取り組んでおります。
COVID-19の収束時期についてはいまだ見通しが立っておらず、感染がさらに拡大、長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、今後も当社のビジネス及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

10.人材の確保に関連するリスク
当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。
また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。
こうしたリスクに対し、当社は、有能な人材にとって魅力ある場を提供するため、従業員それぞれの個性や価値観を生かし、一人ひとりが高いモチベーションを持ち、能力を最大限に発揮できる職場環境づくりに取り組んでいます。中でも、グローバルに事業活動を展開する上で、各国・地域の労働関連法令の遵守を徹底し、人権を尊重するとともに、さまざまな研修制度を整備して従業員の能力向上を支援しているほか、国際舞台でリーダーシップを発揮できる人材の育成を強化しています。また、一部の技能については、計画的な後継者育成を行っております。
しかし、有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。これらの結果、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。


11.環境に関連するリスク
当社は、気候変動対策、製品リサイクルを含む資源保全、有害物質の使用削減、大気汚染防止、水質保護及び廃棄物処理等環境における様々なリスクを認識し、また日本、外国の環境に関する規制の適用を受けているため、これらのリスク及び規制の強化により環境に関する費用負担や賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は、現在所有あるいは操業している事業所、また以前に所有あるいは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。
このようなリスクに対し、当社はグループを挙げて省エネ活動、省エネ製品開発等、気候変動対応に取り組むと同時に高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化を進めています。また、グリーン調達による化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進しています。さらに、日本及び外国の環境に関する規制に準拠するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。
しかしながら、このような対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12. 情報セキュリティに関連するリスク
当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。
これらの電子データの利用に関しては、データのアクセス制限やセキュリティ対策をはじめ、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修などを全社で行い、管理体制の継続的な改善を図り、安全対策に努めているものの、ハッカーやコンピュータウィルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地に渡っております。日本国内及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。
このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



一般的なリスク

13.有価証券に関連するリスク
当社の資産には、有価証券への投資も含まれております。その結果、金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じさせる可能性があります。
これらのリスクに対し当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、グループ内の経営資源で実現することが困難で、体制の強化に有益と判断したものについてのみ、中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。
しかし、結果として株式及び債券市場の変動によって影響を受け、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

14.消耗品市場における独占禁止法に関連するリスク
当社の売上高の一部は、製品販売後に発生する消耗品の販売及びサービスの提供から構成されております。このような消耗品やサービスは競合者によっても商品化され、その競合者も多数存在しております。これらのアフター・セールス事業の地位をさらに確固たるものにするためには、当社より低価格で製品やサービスを提供している競合者に打ち勝つ必要があります。このような競合者の増加にもかかわらず、現在も当社は消耗品市場で高いシェアを占めております。それに伴い、当社は独占禁止法規制関連の訴訟、調査、訴訟手続を受ける可能性があります。
これらのリスクに対し、当社は、本社所管部門が中心となって、関連部門の従業員に対する定期的な研修の実施等のリスクマネジメント活動を実施しています。
しかし、訴訟、調査が発生した場合の一連の手続には費用が嵩み、結果として当社の経営成績あるいは評判に悪影響を与える可能性があります。

15.ブランド価値 (品質、模倣品、コンプライアンス)に関連するリスク
当社が市場において成功するためには、当社のブランド価値を維持・発展させることが重要です。このブランド価値を毀損する主な要因として、製品の品質不良、模倣品の流通、コンプライアンスの不徹底が存在しております。製品の品質に関して、当社は当社製品を構成するハードウェア及びソフトウェア個々の機能性に加え、それらの組み合わせを含め、当社製品の品質責任問題から発生するあらゆるリスクの最小化を目指す取り組みをしております。しかし、これらの問題の発生、及びそれに伴う損害を完全に排除もしくは減少させることができるという保証はありません。当社の営業活動に悪影響を及ぼすような要因、例えば、製品リコール、サービス及び賠償金などの追加費用等が発生し、ブランド価値が毀損した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社は模倣品の増加を防止するための施策をとっておりますが、その生産や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、法令や規制の遵守のため、当社グループにおけるコンプライアンス体制を整備しておりますが、コンプライアンスが徹底されない場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。また、当社グループのサプライチェーン上で発生した問題により、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性もあります。

16.新製品への移行に関連するリスク
当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しておりますが、新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。当社は、上記のリスクに対応するため、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給する体制を有しておりますが、競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。


17.訴訟に関連するリスク
当社は、通常の事業活動から生じる、種々の要求及び法的行為にさらされております。現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。しかし当社にとって不利な結果が生じた場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

18.知的財産に関連するリスク
頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。
このリスクに対し、当社は自らが開発した技術を軸に事業運営を行う中で、知的財産専門の組織を設置し、関係部門と連携の上、特許、商標及びその他の知的財産権を組み合わせ、技術及び知的財産の保護に努めております。
一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。
当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。
また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。
また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。
上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

19.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク
当社は、繰延税金資産に対して、将来の課税所得の予測などに照らし、定期的に回収可能性の評価を行っております。しかし、経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積もりの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
また近年、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が、政治問題化したことを契機として、各国が協調し、税制度の調和を図るべくG20により委託を受けたOECDにおいてBEPSプロジェクト(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)が発足しました。2013年7月にBEPS行動計画が公表され、この行動計画に基づき検討が進められ、2015年10月にBEPSに関する最終報告書がOECDにより公表されました。各国は、この報告書を踏まえ、国内税法や租税条約の改正や見直しを行っております。このOECDの各種報告書や世界的なデジタル課税の方向性などを踏まえ、当社は、当社の移転価格に係る方針などを見直しております。
しかしながら、各国の税務当局との見解の相違が生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

20.退職給付会計に関連するリスク
当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

従業員の状況研究開発活動


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