有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LKDZ (EDINETへの外部リンク)
株式会社リコー 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供しつづけることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の中でのスタートとなり、「危機対応」と「変革加速」の1年の位置づけとなりました。研究開発分野においては、アフターコロナを見据えた変革加速として、「OAメーカーからの脱皮」及び「デジタルサービスの会社への転換」に力をいれてまいりました。
体制面では、2019年度に配置したCTO(Chief Technology Officer)のもと、技術面・経営面の両面から技術開発に取り組んでおりますが、2020年度においてCDIO(Chief Digital Innovation Officer)を新たに配置し、社内外でのデジタルとデータを活用した基盤及び価値創出の機能を強化しました。お客様のカスタマーサクセスを当社グループの提供価値と定め、既存ビジネスの深化と新たな顧客価値の創出、及びこれらを持続的に可能にする社内外でのデータ活用基盤、機能を強化しております。グローバルに広がる約140万社の顧客基盤を生かし、デジタルサービスの会社としてさらなる拡大を目指しております。
これまで基盤事業としてきたオフィスプリンティング分野では、オペレーショナル・エクセレンスを追求し、引き続き高効率・高生産性のものづくりを目指しております。これまで培ってきた電子写真技術・光学技術に加え、材料技術、プロセス技術、インクジェット技術等のコア技術を応用し、ヘルスケア、AM(Additive Manufacturing)、環境分野、社会インフラなど、広く社会に貢献していく技術開発・研究開発の取り組みを行っており、2020年度では、新たに事業インキュベーション組織を配置することを決定するなど、新規事業創出に向けた開発体制を強化しております。
中長期的な成長を支える技術戦略では、2020年度において「ワークプレイスではたらく人の働き方を進化させるデジタルツイン」と「マスカスタマイゼーション時代のデジタルプリンティング」の2つの領域を定めました。
当社グループは2036年ビジョン「“はたらく”に歓びを」の実現に向け、デジタルサービスの会社として、ワークプレイスを変化させていく商品やサービスを提供してまいります。
研究開発の進め方としては、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調査・探索、研究・技術開発を行っております。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンスセンターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お客様と一体となった価値共創活動を展開しております。
オープンイノベーションにおいては、大学・研究機関、企業の力を積極的に活用し、最先端技術の開発を効率的に進めております。インクジェット技術やマシンビジョン、画像処理技術などのコア技術を応用して、国が支援する最先端研究開発支援プログラムや大学、各種独立行政法人との共同研究開発へも積極的に参画しております。また、ベンチャー企業ともより良い関係を構築し、新規事業創出の加速を図っております。
また、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を実施しております。2020年度では2019年度の214件を上回る243件の応募の中からコンテストを実施し、選出された優秀なテーマには当社グループ内に登録されている約250名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用可能とし、チャレンジする人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費(11,194百万円)を含む当連結会計年度の研究開発投資は 90,387百万円です。
(1) オフィスプリンティング分野
世界的にワークスタイルの変化が加速する中、在宅ワークでも安心して活用できるプリンティング環境の提供や、それを実現する技術開発、市場の変化を見通し先行するための開発プロセスの構築に力を注いでおります。
当社グループの強みであるイメージコミュニケーション分野では、特徴的なクラウド型統合プラットフォームである「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES プラットフォーム」との親和性を重視したオフィス機器の開発など、時間や場所の制約を受けずに働くための環境を実現するクラウドサービスへのご要望にお応えしてまいります。
また、並行して新型コロナウイルス感染症後のオフィス回帰の動向も踏まえ、オフィス向け複合機やプリンターにおいても、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、次世代作像エンジン要素技術など、常に最新の機能をご利用いただけるソフトウエア技術「RICOH Always Current Technology」、環境負荷低減に向けた3R(リデュース、リユース、リサイクル)設計・技術開発を継続して行っております。
一方、インタラクティブホワイトボード(電子黒板)、プロジェクター、テレビ会議・Web会議システムなど、働き方改革を実現するためのビジュアルコミュニケーションの商品開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
高速デジタルフルカラー複合機「RICOH IM C8000/C6500」を新発売
~最新のクラウドサービス対応と使いやすさ向上で業務効率化に貢献~
・オフィスワークの自動化・省力化を推進する「RICOH Intelligent WorkCore」に対応
・オフィス向けデジタルフルカラー複合機の最上位機種として80ページ/分(A4ヨコ)の高い生産性を実現
・画面との段差をなくしたフルフラットパネルにすることで、端部のアイコンも押下など、操作性を向上
・導入後も基本性能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」に対応
環境負荷を低減したモノクロ複合機「RICOH IM 9000/8000/7000」を新発売
~クラウド対応と省資源・省エネ設計で業務効率化とサステナビリティに貢献~
・オフィスワークの自動化・省力化を推進する「RICOH Intelligent WorkCore」に対応
・オフィス向けデジタルモノクロ複合機の最上位機種として90ページ/分(A4ヨコ)の高い生産性を実現
・画面との段差をなくしたフルフラットパネルにすることで、端部のアイコンも押下など、操作性を向上
・導入後も基本性能を最新の状態にアップデートできる「RICOH Always Current Technology」に対応
・リサイクル材の使用や、組み立て工程で使用するすべての電力を再生可能エネルギー由来の電力で賄うなど、環境に配慮した設計と生産体制により、脱炭素社会、循環型社会の実現に貢献
「RICOH Interactive Whiteboard」(IWB)の3機種を新発売
~高い表現力と充実の機能でワークプレイスの価値創造を支援~
・IWBの新製品として、55インチ・65インチのラインアップを刷新するとともに、新たに75インチを追加
・4K(3840×2160)対応の高精細なディスプレイを搭載し、図面・図表などの細部表示が可能
・IP5X相当の防塵仕様により、オフィスだけでなく、工場や建設現場など、様々なワークプレイスで利用可能
・クラウドアプリケーションを介してMicrosoft 365TMなど多様な製品・サービスと連携しお客様のワークフロー変革をより強力にサポート
・サイネージ機能を組み込み、災害発生時には地震や津波など緊急災害情報を自動配信することも可能
超短焦点モデルからレーザー光源のハイエンドモデルまで、各種プロジェクターを新発売
~設置場所や機能、投写距離など、お客様の用途に応じワークスタイル変革を支援~
・投写面までの距離わずか約11.7cmで48型の投射サイズを実現した縦置き可能な超短焦点プロジェクター「RICOH PJ WX4153/WX4153N」を新発売
・レーザー光源採用により長期間運用・高信頼性を実現した短焦点プロジェクター「RICOH PJ WXL4760」を新発売
・手のひらに収まるサイズで持ち運び可能な短焦点ハンディ・プロジェクター「RICOH PJ WXC1210」を新発売
「RICOH Unified Communication System Apps for Rooms」を提供開始
~簡単操作で企業の拠点間の遠隔会議を実現~
・専用機のようなわかりやすいユーザーインターフェースで、遠隔会議を実現
・周辺機器との組み合わせにより、お客様のご利用条件に合わせて最適なテレビ会議環境を構築可能
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 36,796百万円です。
(2) オフィスサービス分野
当社グループでは、お客様への提供価値を「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES」と定め、働く現場のデジタルトランスフォーメーションを支援することで、お客様の業務効率化や生産性向上に貢献しております。
近年、リモートワークを支援するSaaS型のクラウドサービスやモバイルサービスを活用した、時間や場所にとらわれない多様な働き方が求められており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策をきっかけに、その要望は飛躍的に大きくなっております。当社グループでは、ペーパーレス化だけでなく、業間取引業務を支援するトレードエコシステム、遠隔機器による現場作業支援、人出不足が課題となっている社会インフラ点検業務の効率化など、様々なワークフローにおいて、デジタルトランスフォーメーションによりお客様の課題解決に貢献できるサービス開発に取り組んでおります。
当社グループでは、クラウドサービス等と親和性の高いMFPをはじめとした各機器がつながり、お客様がいつでも最新のサービスを利用可能な統合プラットフォーム「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES プラットフォーム」を提供しております。また、お客様のワークフローをデジタル化するコンテンツ管理ソフトウエアの「DocuWare」に加えて、お客様のオフィスの利用効率を上げ、生産性を向上させる「RICOH Spaces」を提供しております。お客様の働く環境をトータルにサポートすることで、お客様の生産性向上、多様な働き方に寄与する価値提供を目指しております。
一方、2020年度ではデジタルサイネージなどのビジュアルコミュニケーション分野を拡大しました。さらに音声コミュニケーション分野では、成長企業との業務提携など、パートナーとの連携もより一層強化しております。今後も「画像・映像・音声」により新しい価値を提供し、お客様のコミュニケーションを支えるような製品やサービスの開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
「DocuWareバージョン 7.3」を提供開始
~より安全かつ高速にデータ、プロセス、ドキュメントを管理~
・新たに2ヵ国語を追加し言語対応をトータル18言語に拡大
・関連コンテンツのみの保存など、より柔軟な保存方法が可能なメールアーカイブ機能
・バーコード構成機能の拡張により、ドキュメントの索引付けや情報検索の高速化を実現
・ワークフローからのメール送信時にウェブクライアントと同じフォーマットを利用できるなど、アノテーション機能を強化
ワークプレイスマネジメントソフトウエア「RICOH Spaces」を欧州市場にて提供開始
~オフィス活用を最大化し、アフターコロナでの安全なオフィスの実現をサポート~
・デスクや会議室などの割り当てや各種センサーを活用したオフィスの状況把握・管理が可能
・従業員の健康状態やトレーサビリティーのデータを取得し管理が可能
・オフィス内のデジタルサイネージを活用し、どこにいてもリアルタイムなダッシュボードの配信が可能
業務ポータルソフトウエア「RICOH Desk Navi」を提供開始
~中小企業の情報共有・共同作業の活性化を支援~
・従来の中小企業向け文書管理ソフトウエア「Ridoc Desk Navigator V4」の文書管理機能や複合機連携はそのままに、新たにグループワーク機能やメーラー機能、横断検索機能、新たなエッジデバイス連携などを追加
・「かんたんキャビネット」や「おしごとルーム」などの新機能によりお客様の業務効率化に貢献
社会インフラ向け点検サービス「リコー トンネルモニタリングサービス」を提供開始
~デジタルの力でインフラの維持・管理の効率化に貢献~
・複数の被写界深度拡大カメラとライン照明によるシステムにより40km/時程度でのトンネル壁面の走行撮影を実現
・最小幅0.3mmのひび割れや漏水・チョーキングなどの変状やねじのゆるみが判別可能
・高精度な展開画像により変状図や調書の作成を可能にし、工数及び誤記や漏れなどのミスを削減し、トンネル維持管理の効率化に貢献
デジタルサイネージ向けエッジデバイス「RICOH Digital Signage STB Type2」を新発売
~高コストパフォーマンスのリコーブランド最上位モデル~
・前身機種に比べ、大きさが70%、重さが54%の小型軽量で設置性に優れ、ストレージ容量を拡大したモデルを発売
・最上位モデルとしてよりリッチなコンテンツを扱うことができ、デジタルサイネージとして多彩な表現が可能
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 3,832百万円です。
(3) 商用印刷分野
当社グループは印刷業のお客様に向けて、性能面・価格面に強みをもつ商品とワークフローソリューションを組み合わせた提案を行い、「Offset to Digital」を実現するとともに、大手商用印刷のお客様の新規獲得及び顧客の現場デジタルトランスフォーメーションを目指しております。
また、POD(Print On Demand)市場ではファイブステーション(トナーの5色刷りができる)機械に代表されるように、新しい表現での高付加価値印刷を提供し、印刷業のお客様の競争力強化に貢献しております。
当社グループは商用印刷分野における電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウエア技術、の開発に加え、全世界で展開する販売体制とサービス網、印刷のDXを推進するハイデルベルグ社(ドイツ)との長年のパートナーシップをはじめとした、多様な印刷物を支える加工機ベンダーなどとの幅広いアライアンスを生かし、印刷のトータルソリューションの提供を目指しております。
また、東京工業大学と「リコー次世代デジタルプリンティング技術共同研究講座」を開設し、商用・産業用インクジェット印刷のインク着弾からメディア浸透、乾燥までの熱流動・材料挙動の基礎現象を解明し、次世代製品の開発につなげることを目指しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
カラープロダクションプリンター「RICOH Pro C5310S/C5300S」を新発売
~生産性と画像品質、用紙対応力を強化し、POD印刷の幅広いニーズに対応~
・厚紙の生産性を強化し、最大256g/㎡の厚紙をカラー/モノクロともに80ページ/分(A4ヨコ)で出力可能
・スキューやレジスト精度を向上する機構を新たに搭載し、従来機よりも高い表裏見当精度を実現
・用紙対応力を強化し、52.3~360g/㎡の全紙厚の自動両面印刷に対応
トランザクション市場向け 高速インクジェット・プリンティング・システム「RICOH Pro VC40000」を国内展開
~基幹業務印刷システムとして高い生産性を実現~
・最高印刷速度150m/分を実現し、前身機の128m/分から飛躍的な生産性向上を実現
・片面機2台での同時印刷が可能なデュアルシンプレックス構成を搭載し、幅広い業務への対応が可能
・本体内蔵のスキャナーにより、濃度ムラや印字位置など印刷品質を自動で調整
カラープロダクションプリンターのスペシャルカラーとしてゴールドとシルバーを提供開始
~特色対応を強化し、多彩なメタリックカラーの表現を実現~
・「RICOH Pro トナー ゴールド C7200」「RICOH Pro トナー シルバー C7200」を新発売
・高い光輝性により印刷物へのアイキャッチ効果を高め、高級感の付加が可能
・既存のカラートナー、ブラックトナーとかけ合わせて使用することで様々なメタリックカラーの表現が可能
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 23,134百万円です。
(4) 産業印刷分野
産業用インクジェットヘッドに対するニーズは多様化しております。世界各地で製品や用途開発が進んでおり、今後の成長が有望視されている分野であります。当社グループでは、高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評を頂いているMHシリーズヘッドに加え、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドを新たに発売し、多様なアプリケーションへの対応力を強化しております。
プリンティング技術の可能性を拡げる分野として今後の成長が見込まれるのが、産業プリンター分野であります。2020年度では、サイン&ディスプレイ市場・インテリア市場向けにクラス最速の印刷速度を実現したUVインク搭載の大判フラットベッドプリンター「Pro TF6251」、幅広いメディア対応力をもつラテックスインク搭載の大判インクジェットプリンター「Pro L5160e/5130e」をそれぞれ発売し、ラインアップを強化しております。
衣料印刷市場向けには、クラス最高の印刷生産性を実現したガーメントプリンター「Ri 2000」を北米・欧州地域で発売し、「Ri 100」「Ri 1000」と合わせ、お客様の用途に幅広く応じた製品提供を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
産業用インクジェットヘッド「RICOH TH5241」を新発売
~新たに、薄膜ピエゾアクチュエーター搭載のインクジェットヘッドをラインアップ~
・MEMS技術を活用した高集積設計により、小型ヘッドを実現
・微細な液滴吐出により最大1200dpiの高精細印刷に対応
・UV、溶剤、水性のすべてに対応したインクにより、サイングラフィックス、テキスタイルなど幅広い用途に対応
UVインクを搭載した大判フラットベッドプリンター「RICOH Pro TF6251」を新発売
~大判フラットベッドプリンターとしてクラス最速の印刷速度を実現~
・スチレンボードパネルや金属の標識、段ボールの包装材、建材やインテリアなど幅広いメディアへの印刷に対応
・最速で時間あたり116㎡の印刷速度を実現
・業界で最大となる厚さ110mmまでのメディアへの印刷が可能
・健康的な室内空気環境のための化学物質放散規格であるGreenguard認証に準拠した臭いの少ないUVインクを採用
ラテックスインク搭載の大判インクジェットプリンター「RICOH Pro L5160e/L5130e」を新発売
~サインディスプレイ・インテリア市場で求められる高い生産性と幅広いメディア対応力を強化~
・特徴的なインクジェットヘッド配列とラテックスインクの採用により前身機比較で約2倍の印刷速度を実現
・VOC(揮発性有機化合物)が極めて少ないラテックスインクにより、屋内でも壁紙などの高速印刷が可能
・CMYK4色に加えオレンジとグリーンのインクを搭載し、POPなどでの華やかな印刷表現を実現
・ホワイトインクを下地とすることで、PET(PolyEthylene Terephthalate)などの透明素材でも色鮮やかさを表現可能
高速かつ大量の産業用印刷を可能にするガーメントプリンター「Ri 2000」を欧米市場で新発売
~小ロットから大量生産まで、お客様のニーズに合わせた衣料印刷を実現~
・「ColorGATE RIPソフトウエア」により、最速36秒でのインク吐出が可能、高速印刷を実現
・独自のインクジェットヘッドを搭載。自動ヘッドクリーニング機能により、大量生産における信頼性を向上
・自動昇降テーブル、タッチスクリーン操作パネルを搭載し、使いやすさを向上
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 5,899百万円です。
(5) サーマル分野
世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指しております。
また、長年にわたり培ってきた光学系の独自技術を生かし、半導体レーザー光を用いた「レーザーソリューション」を事業展開し、人手不足が深刻な物流現場における省人化や製造業における自動化の進展に貢献しております。
さらに、生産ライン上で高速に可変情報の記録を行いたいという市場要求に対応した、レーザー記録方式である「FC-LDAプリンター」装置についても顧客の試験導入レベルまで開発を完了し、商品化を目指しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
リライタブル レーザーシステム「RICOH Rewritable Laser System L3000 / C3000」を新発売
~非接触で繰り返し書き換え可能な高耐久ラベルで物流・製造業のデジタル化を支援~
・独自の光学技術を応用し、ラベルを対象物に貼り付けたまま非接触にて高速印字/消去が可能
・紫外線と酸素を高レベルで遮断する層構成により、屋外環境での劣化を防ぐリライタブルレーザーラベルを実現
・従来、別々であった消去機とマーカを一体化することで、設置スペース及び導入コストの削減を実現
・ラベルの貼り替えや廃棄作業を不要にし、物流業などで業務効率化と環境負荷低減に貢献
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 1,255百万円です。
(6) その他分野
産業用光学部品・モジュール、ヘルスケア、環境、スマートビジョン、電装ユニット、精密機器部品、AM、金融サービス等に関わる当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
■産業用光学部品・モジュール分野
自動車業界を含む産業機器分野において、これまで培ってきた光学技術とIoT、AI、センサーなどの最先端技術を融合し、データ認識処理による情報変換を通じた情報の見える化により事業を展開し、多くのビジネスパートナーと共に社会課題の解決に努めております。
オートモーティブ事業では自動車、物流・建機車両の自動制御や安全補助をするステレオカメラ開発を進めております。また産業機器分野では、様々な生産設備のインテグレーション、検査ラインの生産・販売を行っております。
■ヘルスケア分野
当社グループでは高齢化社会への対応、医療費削減、地域間の医療水準格差解消、ウイルス等の感染拡大防止などが求められるヘルスケア分野を、社会課題の解決に取り組む分野の一つとして位置付けております。
統合医療介護連携システムなどの「ヘルスケアソリューション」領域 、脳磁計・脊磁計などの「メディカルイメージング」領域、独自のインクジェット方式を活用したバイオプリンティング技術を生かした「バイオメディカル」領域の3つの領域を重点領域とし技術開発に取り組んでおります。
新型コロナウイルス用のDNA標準プレート「RICOH Standard DNA Series」を提供開始
~検査装置や試薬の検出限界や感度の検証が可能となり、PCR検査の精度向上に貢献~
・独自のバイオプリンティング技術により、新型コロナウイルス感染症に特徴的な遺伝子配列を組み込んだDNA分子を1分子単位で任意の個数にコントロールして注入することが可能
・100分子以下の低濃度領域においてもPCR検査の検出性能の正確な測定を実現
神経の薬剤応答が測定可能なヒト神経薬効・毒性評価プレートを提供開始
~新薬開発のコスト低減と開発期間短縮に貢献~
・エリクサジェン・サイエンティフィック(米国メリーランド州ボルチモア)と共同で、神経疾患の薬剤評価において、臨床試験以前の段階で使用できるヒト神経薬効・毒性評価プレートを開発
・エリクサジェン・サイエンティフィックの分化誘導技術と当社グループのバイオ3Dプリンター技術で培った細胞接着コーティング技術で電極への接着性を向上
■環境分野
当社グループは事業を通じて注力する重要社会課題の一つとして、脱炭素社会の実現を掲げており、国内企業で初めてRE100に参加するなど、徹底した省エネや再生可能エネルギーの積極活用に向けた取り組みを強化しております。
製品のエネルギー効率向上、リサイクル材や植物由来原料を用いた素材開発など、技術開発を介して環境負荷の削減に取り組んでおり、2020年度では、植物由来のポリ乳酸(PLA)を活用した発泡PLAシートにおいて、独自のCO2微細発泡技術にてしなやかさと強度を持たせることを実現し、「PLAiR(プレアー)」ブランドでの市場開発を開始しました。ビジネスパートナーや顧客にも協力を働きかけることで、バリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献することに取り組んでおります。
固体型色素増感太陽電池を搭載した「RICOH EH 環境センサーD101」を新発売
~温湿度・照度・気圧の環境情報を電池レス・配線レスで取得~
・独自開発の固体型色素増感太陽電池モジュールを搭載し、LED照明や蛍光灯などの室内光を利用して発電
・電池交換や電池の廃棄作業も発生しないメンテナンスフリーな環境センシングを実現
・電気工事や配線が不要なため、工場、倉庫、オフィスや商業施設など必要な場所に容易に設置することが可能
■スマートビジョン分野
品質に定評があるカメラ機器に加え、全天球カメラなどユニークで魅力的なハードウエアとそのデータ活用により、新たな画像・映像体験を創造していきます。360°画像活用ビジネス「RICOH360」では、不動産、建設、広告、店舗などの業種業務を始めとして、様々な産業を横断するプラットフォームを構築することを目指しております。
建設現場の状況共有を効率化する「RICOH360 Projects」を提供開始
~360°画像を活用したデータサービス「RICOH360」に新ラインアップを追加~
・360°画像により重要な箇所の撮影漏れを防止。現場に行かないと分かりづらい周辺の様子も臨場感をもって把握可能
・安全管理面等での是正指示を360°画像に直接書き込める等、日々の業務の情報共有を簡単にクラウド共有可能
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 8,825百万円です。
(7) 基礎研究分野
当社グループでは差別化の核となる基礎研究分野として、フォトニクス技術、MEMS、画像認識・画像処理技術を融合した高度なセンシング技術・エッジデバイス技術、分析・シミュレーション等の基盤技術と機能性材料、プリンティング技術の応用研究開発、またお客様の業務の効率化や時間、場所に捉われない新しい働き方に貢献するためのデータ収集・解析技術、人工知能を応用したシステムソリューション開発を進めております。
協業パートナーとの共創も積極的に促進しており、2020年度では十数の協業パートナーと価値検証を実施致しました。共創のためのコラボレーションスペース「RICOH Collaboration Hub」では遠隔からの訪問者に対しVR空間のアバターを用いた技術紹介やミーティングを行う等、活動プロセスにおいても新しい手法を積極的に活用し、パートナーにとっても魅力ある企業となることを目指しております。
当連結会計年度の主な発表・成果は次のとおりです。
薄型・軽量な両眼視タイプのスマートグラスの研究開発
~リコー独自の薄型プラスチック導光板を採用し、長時間の着用が可能に~
・レンズ部分に独自開発の薄型・軽量のプラスチック導光板を採用し、両眼視タイプとして世界最軽量の49gを実現
・1m先に約30インチの画面が見える広い視野角で、軽量・広視野を両立
・特殊な光学系によるディスプレイユニット配置で、快適な着け心地を実現
インクジェット技術による二次電池の量産向け製造プロセス技術
~IoTデバイスなどに向けた多種多様な電池提供を目指す~
・リチウムイオン二次電池に用いられているほとんどの種類の電極材料や、安全性を付与するセラミック材料やセパレータのインク化に成功
・狙った場所に狙った塗布量をデジタル印刷することで、高品質かつ柔軟に形状や膜厚を調整することが可能
・量産プロセスに適用可能なインクジェット印刷装置を開発中。電池製造に関わるお客様に製造プロセス提案を開始
・電池電極上へのセラミック層印刷技術、セパレータ印刷技術を、第12回国際二次電池展で発表
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 10,646百万円です。
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