ジーエルサイエンス株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)

当社グループは、研究開発を事業展開上の重要課題と位置づけ、積極的な研究開発活動を進めております。その分野は分析機器事業、半導体事業、自動認識事業のセグメントに分かれ、多様化、高度化、複雑化する顧客ニーズに対し、質の高い製品を提供するため、それぞれの分野ごとに独自性のある技術力を高めながら新技術の習得、導入及び品質、生産性の向上を目指して新製品の開発に努めております。
なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、753百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

(分析機器事業)
当事業では、主力ブランド「イナートファミリー」のラインアップの充実を継続して図っています。中でもHPLC用カラムは、高速化、多様化するニーズに応え、微粒子充填カラム、コアシェル型充填カラム、モノリス型カラムの開発を行っており、国内だけでなく海外にも広く展開を行っています。
また、GC用キャピラリーカラムとしてEthanol分析に特化した製品を市場に投入し、消毒用エタノールの分析ニーズの高まりに的確に対応しております。
さらに、生産部門の増設に伴い、より効率的かつ安定したカラムの製造技術の開発にも注力し、世界一のカラムメーカーに向け着実な歩みを進めています。
装置分野では、シンプルで手軽なFID専用GCやHPLC用オーブンを市場の要求に合わせて早期開発・リリースを行いました。
また、COVID-19関連では、呼気凝縮装置・採取器具を迅速に設計・製品化し、コロナ禍の中にあって当事業の強みを活かすことで社会貢献を行っております。このように、分離主体である消耗品と、そのパフォーマンスを存分に発揮させる装置の両面から顧客にトータルソリューションを提供し、あらゆる分析を支えております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、664百万円であります。

(半導体事業)
当事業では、微細加工技術の応用製品開発として、従来の石英ガラスやシリコン材料に加え多孔質自立膜の表面にも、サブミクロンから数百ミクロンの微細パターンを形成した製品を開発しています。研究及び分析用のチップといった小型製品だけでなく、比較的大きな製品も開発対象としています。コーティング、接合及びモジュール化までを対象として開発していることが当事業の強みです。取引先の開発部門や研究部門と密接な連携をはかり、課題を解決する製品を開発してまいります。
当事業のコア技術である石英ガラス拡散接合技術については、産学連携した改良技術に関する共同研究を開始しました。次世代の要求に応えるため、より低温で接合を行うことや石英ガラス以外の素材も接合対象とするなど実用化に向けて技術開発を進めてまいります。
また、多孔質自立膜の製品化については、半導体製造用途のみならず様々な業種への応用が期待され、評価用サンプル出荷及び取引先との共同開発を行っています。併せて、多孔質体の材料や気孔率等の製品ラインナップを広げることで更なる用途開発を進めてまいります。
さらに、表面処理による石英ガラス製品の高機能化として、石英ガラス加工技術と種々の表面処理技術を融合した高機能製品を開発し製品化しています。取引先の要求に応じて、仕様提案、試作及び評価を進めており、多様な高機能石英ガラス製品を開発してまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、3百万円であります。

(自動認識事業)
当事業では、RFIDに特化した開発技術で特殊カード対応の製品開発を進めており、免許証、在留者カードなどに対応したATM組込ユニットを製品化し客先への納品を果たしております。
また、新たなBluetooth Low Energy(以下BLE)開発として、今まで対応できていなかった製品に対して、BLEを搭載したサンプル機を製作しております。
従来からのRFID製品に関しては、セキュリティを高めたセキュアマイコン搭載製品の開発が進んでおり、次期より市場拡販を計画しております。
さらに、マイナンバーカードや、特殊タグの読取り、小型・大型アンテナなど様々な用途に向けて柔軟な顧客対応を行ってまいります。スマートウォッチ対応のBLEインターフェース製品の開発も実施して、RFID製品、BLEの応用製品、OS搭載の情報端末製品を展開し、柔軟な市場対応を行う事によって市場での高い優位性を訴求してまいります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、85百万円であります。