有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LJCT (EDINETへの外部リンク)
伊藤忠エネクス株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
当社グループの事業には、国内事業基盤の縮小などによる長期的かつ緩やかに影響を受けるリスクや自然災害など比較的短期的な影響に留まると思われるリスクが存在しますが、取り巻く様々なリスクに対応するため、リスク取組基準、管理体制及び管理手法の整備により、リスクを統括的かつ個別的に管理しております。また、経営の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、影響度と発生頻度などから経営に影響を及ぼす重要なリスクを洗い出し・分析、対策、発生・顕在化の予防・周知といったリスクマネジメントを実施しながら、継続的に管理を強化することでリスクの軽減を図っております。
これらを前提として、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを以下7つに選定し、それらに対する現時点における影響度、発生可能性とその時期、並びに対応策を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)事業基盤縮小によるリスク
(2)感染症の大流行(パンデミック)によるリスク
(3)自然災害によるリスク
(4)商品価格変動によるリスク
(5)固定資産の減損に係るリスク
(6)情報セキュリティ及び情報システムに係るリスク
(7)コンプライアンスに係るリスク
(1)事業基盤縮小によるリスク
①リスク内容
当社グループは日本国内を中心とした石油製品販売、LPガス・産業用ガス販売、電力販売、熱供給、車両販売等のビジネスを展開しており、国内人口の減少による顧客減少や省エネルギー化、電気自動車の増加等により、取扱商品の販売量減少等の影響を受け、この傾向は今後も継続的に変わらないものと想定されるため、何ら対策を講じない場合には、毎年一定の減収が続くことが見込まれます。
また、エネルギー市場では、自動車のEV化の加速によるガソリン需要減や地球温暖化対策の一環として脱炭素社会の実現に向けた環境配慮への対応が不可避であると同時に、事業展開において今後、炭素税の導入や温室効果ガス排出規制などの様々な制約を受ける可能性があるため、様々なグローバル基準が標準化・規格化される中において当社グループの事業はこれまで以上の競争に晒されることが予測されております。
②対応策
当社グループの対応策として、新規事業や海外事業展開を強化し、新たな顧客基盤獲得を推進しております。また、当社では事業部門制を採用しており、各々の事業部門毎の事業基盤縮小への対応策のうち、重要性の高いものは以下のとおりです。また事業の推進にあたり、環境負荷低減を掲げる「環境方針」のもと、より良い地球環境と社会との共生を目指して継続的な環境改善に努めています。中期経営計画『SHIFT!2022』の基本方針のひとつに位置付けているとおり、エネルギーの安定供給を核に脱炭素社会に向け、持続可能なスマートエネルギー社会に貢献していくとともに、これまで培った事業基盤やネットワークを利・活用することで、こうした環境問題を新たなビジネスチャンスに変えるべく対応してまいります。
(※)LPWA(=Low Power Wide Area)とは、消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式です。顧客のガスメーターに専用機器を設置しLPWAを用いることで、検針や配送の合理化を進めております。
(参考)
(注)CS数は2021年3月末時点、販売数量は2020年度の実績数値であるが、電力販売(小売)については取次分を含む速報値である。
こうした気候変動問題や地球環境問題に対応すべく、2021年4月より社長直轄部署「エネルギー・環境対策室」並びに「サステナビリティ推進室」を新設しました。また同年5月に発足した「サステナビリティ委員会」は、経営会議の諮問機関として、様々な環境・社会課題を審議・モニタリングし、グループ全体のサステナビリティ経営戦略を実行・牽引するための基軸となるものであります。
(2)感染症の大流行(パンデミック)によるリスク
①リスク内容
2020年初頭より、急速に世界中に広まった新型コロナウイルス感染症は、健康被害だけでなく経済活動の大規模な停滞を招き、企業の根幹を揺るがす事態に発展しました。国内においても緊急事態宣言による外粛自粛、テレワークの推進など、働き方や生活様式が一変する事態となりました。想定されるリスクについても直接的な被害への対策だけでなく、長期にわたり間接的に影響を及ぼしかねない、社会環境の急激な変化を想定する必要が出てきました。そのような中、当社グループにおいても社員及び取引先、関係者の健康被害とこれに伴う社会的・経済的影響の継続が危惧され、事業活動の継続が困難になるリスクを有しております。また、経済動向により、ガソリン等の需要減の影響はありますが、社会生活に不可欠なビジネスである石油・LPガス・電力・熱供給等の事業に関しては、例えば、外出自粛によりガソリン需要やオフィス等の熱需要が減少する一方、在宅により家庭用電力・LPガス等の需要が増加するなど、事業間の好不調の補完関係がある程度成立し、短期的には大きな影響はないものと考えております。一方で自動車ビジネスに関しては消費者の不要不急の購買行動に根差してきており、経済状況によっては苦戦が予想されます。新型コロナウイルスの様な大規模感染症による事業別の想定されるリスクは以下のとおりであります。
②対応策
当社では感染症が発生し国内がパンデミックとなった場合に備え、雇用の確保や事業継続の観点及び公共性ある企業としてステークホルダーに対する社会的責任を果たしてまいります。更に社内で感染者が発生した場合においても感染拡大防止を図るために、以下のとおり発生段階別基本対応を定めております。
(発生段階別の基本行動)
ステージ1(エリア発生初期)
発生状況により以下の段階で通達を発布する。
・感染予防・拡大防止策を周知、来客者に対して手指消毒を徹底
・時差出勤の奨励、行事・会議・研修の自粛
・行事・会議・研修の制限強化(中止・延期・自粛)
ステージ2(エリア感染期)
・感染者が発生した際の初動ガイドラインに基づき行動、在宅勤務率を柔軟に対応できる体制とする。また、全国における事業分野毎の状況をモニタリングしつつ、想定されるリスクに対する対策準備を行う。
ステージ3(非常事態)
・非常事態に備える体制を整備し緊急事態宣言地域は原則在宅勤務とする。
・国内外の出張を禁止、会議はWEB会議を活用し、従業員の感染防止に努める。
・継続した事業毎のモニタリングに基づき、必要に応じてパンデミックに係る事業継続計画を発動するとともに、事業に対する影響を注視し、必要に応じて対策本部にて対策を講じる。
(3)自然災害によるリスク
①リスク内容
当社グループは国内全域に事業展開しており、CS(給油所)、石油・ガス・アスファルト基地、ガス・熱供給設備、発電所、自動車販売店舗等で1,491億円の有形固定資産・投資不動産(内IFRS第16号適用による使用権資産含む)を有しております。国内に広範囲な大規模自然災害(地震、台風、水害等)が発生した場合、その資産毀損が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本社等の主たる機能が首都圏に多いことから、当該エリアで大規模自然災害が生じた場合には事業継続が困難となるリスクを有しております。
②対応策
1.設備毀損対策
当社グループが保有する資産は日本全国各エリアに分散保有しており、自然災害によって毀損するリスクも分散されております。また、保有設備の耐震構造については、関連法令等に示される耐震基準に従い建設、維持しており、これまでの大規模自然災害においても、大きな被害は生じておりません。
更に、保険付保による対策を講じており、火災保険については大部分の設備に付保しております。一方、地震保険については、経済性も考慮し、石油基地、アスファルト基地等一部の設備への付保としております。
2.事業継続
当社ではあらゆる地域で大規模災害が生じた場合に備え、全国の支店及びグループ会社でBCPを策定しております。また、実効性を高めるための訓練を定期的に実施し、課題を洗い出しながら、継続的に見直しを図るマネジメント体制も構築しております。
(当社グループのBCP体制)
当社の経営理念である「社会とくらしのパートナー」としての責務を果たすため、当社では事業継続の脅威となる大規模な地震や火災・爆発、津波や洪水等によるエネルギーの供給停止や通信の遮断、物流の寸断などの不測の事態が発生した場合に備え、策定したBCP基本方針に基づき、体制整備に努めております。
■エネクスグループの事業継続に向けた基本方針
■BCP体制図
当社では、非常時の事業継続に迅速に対応するために、災害対策本部、部門対策本部、支店・エリア・グループ対策本部の3階層としており、的確に情報収集ができる体制としております。また本社被災時には代替拠点として、九州支店と中四国支店へ本部機能や重要業務を移管することで、事業継続の体制を維持しております。
■石油製品等の受注・発注業務におけるBCP体制
不測の事態発生に対応するため、2013年から受発注センターを東西に分割しました。これにより、一方の受発注センターの機能が消失した場合であっても、他方の受発注センターを活用して、速やかに国内全域をカバーできる体制に切り替えが可能です。また定期的に人材交流を実施し、両エリアに対応できる人材を育成し、体制整備に努めております。
(参考)防災への取組
当社では災害にいち早く対応するインフラ体制構築の一環として、「災害用発電設備CS」を141か所配備、「中核充填所」を14か所配備し、非常時に病院・避難所などへの電力の優先的供給、緊急車両等への給油など災害対応能力の強化を図っております。
人材面では全国に約250名の防災士・約2,700名の危険物取扱者・約1,500名の液化石油ガス設備士を有し、防災ネットワークを支える人材として地域の生活インフラを支えております。また各地域の消防や自治体等と連接して、災害対応に取り組むべく協定を締結し、有事の際に備えております。
(4)商品価格変動によるリスク
①リスク内容
当社グループでは石油製品、LPガス、電力の取引において、以下の商品価格変動によるリスクを有しております。
1.石油製品
ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルト、GTL燃料で年間販売量9百万KL超(月間販売量約1百万KL)の取扱いがあり、その取引においては、相場動向を考慮したうえで先物取引等による買越及び売越ポジションを持つことがあります。更に、ヘッジ目的で商品先物・先渡契約等を行っております。その結果商品バランス(※)を生じ、市況変動によって損益に影響を及ぼす可能性があります。
(※)商品バランスとは売約残と買約残の差のことであり、売約残とは販売先と契約して未だに引渡ししていない固定価格の売り契約残及び先物取引の売り建玉のことです。また、買約残とは仕入先と契約して未だに引き取りをしていない固定価格の買い契約残及び先物取引の買い建玉、現物在庫のことです。
2.LPガス
LPガスは、一般家庭や業務用店舗等への小売販売を中心として、年間販売量450~550千トンの取扱いがあり、主として顧客の軒先に設置されている容器内の在庫(軒先在庫)や一部のグループ会社で有している備蓄在庫が価格変動リスクに晒されております。
また、市況価格はCP(※)との相関が高くなっております。
(※)CP(Contract Price)とは、LPガスの最大の輸出国であったサウジアラビアが1994年10月から導入した、輸入国の取引先と交わす契約価格。世界のLPGスポット落札価格・世界市場の相場・有力情報誌の市況情報を参考に、サウジアラビアの国営企業であるサウジアラムコ社の価格決定委員会にて決定されます。現在はMB(Mont Belvieu=米国テキサス州モントベルビュー市場での取引価格)を織り込んだ価格フォーミュラを導入しており、以前に比べCPによる価格影響は弱まっているものの、現在もLPガス輸入価格の主要指標となっております。
3.電力
電力(小売)は、法人及び一般消費者向けに年間約2,480GWh(取次分含む)を販売しておりますが、これらの大半が1年間固定価格での販売となっております。一方、当社は自社発電、相対契約、SPOT(JEPX等)から電源を調達しており、SPOT価格が高騰した場合は当社の売買損益に影響を及ぼします。
②対応策
1.石油製品
石油製品は仕入価格に連動する販売価格を設定し、原則的には価格変動リスクを負わないビジネスモデルとなっております。加えて行き過ぎた買越及び売越ポジション、商品先物・先渡契約等を抑制するため、「商品バランス管理規程」を策定し、その中で商品バランス枠(最大±160千KL)及び部署毎に年間損失限度額を設定し、管理しております。これらは、商品取扱い部門の主管部署において毎週損益状態のモニタリングを実施し、管理部門でその状態を再チェックするなど、不測の損失が発生しない体制を構築しております。
2.LPガス
CP等と連動する販売価格フォーミュラを設定し、顧客への価格転嫁を図ることで、価格変動リスクの抑制を図っております。一部のグループ会社で保有する備蓄在庫(11万トン、4か月程度保有)の評価損益が期間損益に与える影響は避けられませんが、中長期的な視点では価格変動による損益は収斂されるため、経営に大きな影響を与えるものでなく、一過性のものとして判断しております。
3.電力
大手電力会社とのアライアンスや電力先物取引市場等のデリバティブ活用により、SPOT市況変動リスクの抑制を図っております。昨年末より続くSPOT市況高騰により、当社グループの電力事業においても調達単価が上昇いたしました。当社の基本方針として、これまで電力価格変動リスクを抑制するための策を講じてまいりましたが、今後はその適用範囲を拡大してまいります。
(5)固定資産の減損に係るリスク
①リスク内容
当社グループは事業活動上、様々な事業に係る店舗用不動産、エネルギー供給設備、発電用設備等を保有、賃借しております。これらの当社グループの保有する有形固定資産は1,363億円(内IFRS第16号適用による使用権資産含む)、投資不動産は128億(同左)、無形資産は197億円、のれんは5億円となっております。事業等のリスクが顕在化したこと等により、それらの資産価値や収益性が低下した場合には、減損処理が必要となり、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループの保有する固定資産は複数事業に分散し、かつ日本全国各地に分散して保有していることから、一定のポートフォリオ効果によるリスク分散がなされております。
また、投資時には厳格な「投資基準」、重要性の高い一定金額以上の投資案件については、関係部署による検討会議を行い、損益計画の妥当性、投資回収の実現性を審査したうえで、経営会議又は取締役会に上程するなど、投資判断に誤りがないよう努めております。また、投資後の急激な環境変化等により収益性が悪くなった場合は、別に定める投資案件の定期的な実績モニターの制度等により、不採算・低効率案件の改善策を策定・実行し、改善に努めるとともに、EXITルールによる資産処分・入替を行うなど、不採算・低効率の固定資産が蓄積しない仕組みを構築しております。
(6)情報セキュリティ及び情報システムに係るリスク
①リスク内容
当社ではお客様からの石油製品・LPガス・電力等の受注や請求書の発行、ホームページを通じた様々な情報発信等において、情報システムが業務の中核に位置付けられることから、想定を超えるサイバー攻撃、コンピューター・ウイルスの感染、不正アクセス、その他の要因でシステム障害、情報の喪失、漏洩、改ざん等が発生した場合には、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また、信用失墜、多額の賠償請求等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループの事業活動において、情報システムや情報ネットワークの重要性は増しており、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)及びIT企画部が中心となって、その構築・運用にあたっては適切な内部統制手続きを整備し、十分なセキュリティ確保に努めております。そして、システムやネットワークの冗長化、ネットワーク及び端末のウイルス対策、モバイルパソコンのデータレス化、ペーパレス環境の整備等、システム障害やセキュリティリスクの低減に向けた仕組みの導入を推進しております。顧客情報・個人情報を含む機密情報の管理・取扱いについては、当社グループの個人情報保護ポリシーを定め、個人情報取扱いに関する目的や管理方法をステークホルダーに広く周知しております。また、情報管理に係る基本方針や情報管理規程等、社内ルールを整備し、社内会議や社内イントラネット、eラーニング等を通じ、グループ従業員への周知・教育を行い、情報管理体制の徹底を図っております。また、情報漏洩賠償責任保険にも加入しております。
(7)コンプライアンスに係るリスク
①リスク内容
当社グループが事業を営む上で関連する法令、規制は下記のとおり多岐に亘ります。法令に抵触した場合には事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。
②対応策
コンプライアンスに係るリスクが生じないために、早期発見の上対策を講じるために、当社グループでは以下のような対策を講じております。
1.取締役、執行役員及び使用人は法令、定款はもとよりCSR・コンプライアンスプログラム、グループ行動宣言及び社員の行動規範等関連する規則に則り行動する。
2.当社はCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)、CSR・コンプライアンスに係る委員会及びコンプライアンスに係る事項を統括する部署を設置するとともに、CSR・コンプライアンスプログラムを制定し、各部署、グループ会社各社のCSR・コンプライアンス責任者・担当者の任命、コンプライアンス教育・研修実施、法令遵守マニュアルの作成、コンプライアンス問題発生時の対処方法(※)、内部通報制度の整備、並びに社員の行動規範の遵守に関するすべての取締役、執行役員及び使用人からの書面取得制度等、コンプライアンス体制の充実に努める。
(※)各管轄部門において関連法令の把握や理解に努め、法令遵守のための体制整備や教育・啓蒙に努めております。また昨年6月から改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が施行され、eラーニングや各種研修を通じたハラスメント対策や性的マイノリティ(LGBTq)への対応、メンタルヘルス等を含む職場環境の問題について、当社グループでは継続的な意識調査や職場ヒアリングを通じ実態把握に努め、必要に応じ専門家に相談するなどリスクの低減を図っております。
3.使用人は、法令、定款、社内規則の違反或いは社会通念に反する行為等が行われていることを知ったときは、CSR・コンプライアンスプログラムに基づき社内の所定の窓口に通報する。内部通報制度に関しては、公益通報者保護法に基づき、通報者の保護を図るとともに透明性を維持した迅速・的確な対処ができる体制を整備する。
4.当社は、CSR・コンプライアンスプログラムに則り、対象子会社(※)におけるCSR・コンプライアンスプログラムの制定、CSR・コンプライアンス責任者・担当者の設置、法令遵守マニュアルの整備、コンプライアンス問題発生時の対処方法、当社担当部署及び社外窓口設置の案内をしている。その上でグループ内部通報制度の整備等コンプライアンス体制の整備につき対象子会社を監査及び指導するとともに、対象子会社に対するコンプライアンス教育・研修を実施し、当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上に努める。
(※)当社が直接出資する子会社、及び当社が間接出資する主要な子会社であって当社による直接の管理・指導等を必要とする会社を指します。
5.当社は、法改正に伴う各部門で想定されるリスクをリスクマネジメント委員会にて審議し、対策を決定する。
また当社グループを取り巻く環境には、上記記載の内容以外にも様々なリスク(法令・制度変更リスク、不良債権発生リスク、金利・為替変動リスクほか)を有しておりますが、前述の体制でリスク管理に万全を期しており、甚大な影響はないものと考えております。
これらを前提として、当社グループに重要な影響を及ぼす可能性があるリスクを以下7つに選定し、それらに対する現時点における影響度、発生可能性とその時期、並びに対応策を記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
(1)事業基盤縮小によるリスク
(2)感染症の大流行(パンデミック)によるリスク
(3)自然災害によるリスク
(4)商品価格変動によるリスク
(5)固定資産の減損に係るリスク
(6)情報セキュリティ及び情報システムに係るリスク
(7)コンプライアンスに係るリスク
(1)事業基盤縮小によるリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
中~大 | 高 | 中・長期 |
①リスク内容
当社グループは日本国内を中心とした石油製品販売、LPガス・産業用ガス販売、電力販売、熱供給、車両販売等のビジネスを展開しており、国内人口の減少による顧客減少や省エネルギー化、電気自動車の増加等により、取扱商品の販売量減少等の影響を受け、この傾向は今後も継続的に変わらないものと想定されるため、何ら対策を講じない場合には、毎年一定の減収が続くことが見込まれます。
また、エネルギー市場では、自動車のEV化の加速によるガソリン需要減や地球温暖化対策の一環として脱炭素社会の実現に向けた環境配慮への対応が不可避であると同時に、事業展開において今後、炭素税の導入や温室効果ガス排出規制などの様々な制約を受ける可能性があるため、様々なグローバル基準が標準化・規格化される中において当社グループの事業はこれまで以上の競争に晒されることが予測されております。
②対応策
当社グループの対応策として、新規事業や海外事業展開を強化し、新たな顧客基盤獲得を推進しております。また、当社では事業部門制を採用しており、各々の事業部門毎の事業基盤縮小への対応策のうち、重要性の高いものは以下のとおりです。また事業の推進にあたり、環境負荷低減を掲げる「環境方針」のもと、より良い地球環境と社会との共生を目指して継続的な環境改善に努めています。中期経営計画『SHIFT!2022』の基本方針のひとつに位置付けているとおり、エネルギーの安定供給を核に脱炭素社会に向け、持続可能なスマートエネルギー社会に貢献していくとともに、これまで培った事業基盤やネットワークを利・活用することで、こうした環境問題を新たなビジネスチャンスに変えるべく対応してまいります。
事業 | 対応策 | ||
①ホームライフ事業 | ■LPガス販売 | ・国内外M&Aによる顧客数の維持・拡大 ・優良顧客優待サービスによる顧客離脱防止 ・LPWA(※)等のIT活用による業務効率化とコスト削減 | |
■産業ガス販売 | ・同業他社との事業再編による販売量維持 ・産業ガス周辺での新規事業の模索 ・当社グループ内での相互送客による新規顧客開拓 | ||
②カーライフ事業 | ・販売店との連携を強化し、地域生活者のニーズを汲み取ることによる系列CSの収益基盤強化 ・販売数量に伴う収益減に備え、自動車関連事業への参入による収益拡充 ・水素バリューチェーン構築への参画 |
③産業ビジネス事業 | ・ディーゼル車の排気ガスを無害化するアドブルー®や軽油代替となる天然ガス由来のGTL燃料など今後成長が見込まれる環境配慮型商材販売、LNG、HVO、アンモニア、水素等、石油代替燃料となる次世代エネルギーへの取組みによる収益拡充 ・船用アンモニア燃料供給拠点整備に関する研究開発と配給ネットワーク整備と普及 ・石炭・バイオマス燃料灰、スロップ(船舶燃料タンク洗浄後の排水)やスラッジ(船舶燃料未燃焼分)の再活用 | ||
④電力・ユーティリティ事業 | ・IT活用や新たなブランド構築による、電力小売事業の営業活動の強化 ・代理店網を活用した営業基盤の拡充 |
環境負荷低減・地球環境の保全の取組み | ・グループ保有電源及びグループにて資産運用業務を行う電源における再エネ比率の引き上げ ・本社で使用する電力を100%グリーンエネルギーへ変更 ・グループ会社(東京都市サービス(株))の熱供給センターによる電力負荷平準化・熱源機の高効率運転 ・ITを活用した自動検針導入や保安点検表のペーパレス化 ・スマホ給油で環境にやさしい店舗作り ・サプライチェーン向けのエコドライブ研修や「グリーン購入」「ノーネクタイ」等のエコオフィス活動の推進 |
(参考)
主な顧客基盤 | 顧客数 | 販売数量 | 動向予測 |
LPガス販売(卸売・直売) | 150万軒 | 487千トン | △1.3%/年 |
石油販売(CS向け) | 1,687CS | 4.4百万KL | △1.7%/年 |
電力販売(小売) | 19万軒 | 2,480GWh | △1.0%/年 |
こうした気候変動問題や地球環境問題に対応すべく、2021年4月より社長直轄部署「エネルギー・環境対策室」並びに「サステナビリティ推進室」を新設しました。また同年5月に発足した「サステナビリティ委員会」は、経営会議の諮問機関として、様々な環境・社会課題を審議・モニタリングし、グループ全体のサステナビリティ経営戦略を実行・牽引するための基軸となるものであります。
(2)感染症の大流行(パンデミック)によるリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
小~中 | 高 | 短期 |
①リスク内容
2020年初頭より、急速に世界中に広まった新型コロナウイルス感染症は、健康被害だけでなく経済活動の大規模な停滞を招き、企業の根幹を揺るがす事態に発展しました。国内においても緊急事態宣言による外粛自粛、テレワークの推進など、働き方や生活様式が一変する事態となりました。想定されるリスクについても直接的な被害への対策だけでなく、長期にわたり間接的に影響を及ぼしかねない、社会環境の急激な変化を想定する必要が出てきました。そのような中、当社グループにおいても社員及び取引先、関係者の健康被害とこれに伴う社会的・経済的影響の継続が危惧され、事業活動の継続が困難になるリスクを有しております。また、経済動向により、ガソリン等の需要減の影響はありますが、社会生活に不可欠なビジネスである石油・LPガス・電力・熱供給等の事業に関しては、例えば、外出自粛によりガソリン需要やオフィス等の熱需要が減少する一方、在宅により家庭用電力・LPガス等の需要が増加するなど、事業間の好不調の補完関係がある程度成立し、短期的には大きな影響はないものと考えております。一方で自動車ビジネスに関しては消費者の不要不急の購買行動に根差してきており、経済状況によっては苦戦が予想されます。新型コロナウイルスの様な大規模感染症による事業別の想定されるリスクは以下のとおりであります。
事業 | 想定されるリスク | |
社 会 生 活 に 不 ビ可 ジ欠 ネな ス | 石油製品販売 | ・ 経済活動の自粛による需要減退に伴う販売数量の減少 ・ グループ会社及び販売店従業員の罹患による休止拠点の拡大 ・ 物流従事者の罹患による受発注、デリバリー機能の停止 |
LPガス販売 産業ガス販売 | ・ 経済活動自粛による業務用・自動車用LPガスの需要減退 ・ 緊急事態宣言による工場の稼働低下や航空機関連の需要減退 ・ 製造、物流、保安の従業員罹患による機能の停止 | |
電力販売 | ・ 経済活動の自粛による業務用需要の減退 ・ 発電所従業員の罹患による発電機能の停止 | |
熱供給 | ・ 経済活動の自粛による店舗・供給先施設の需要減退 ・ オペレーションスタッフの罹患による熱供給機能の停止 | |
車両販売等のビジネス | ・ 経済活動の自粛やディーラー店舗の時短営業に伴う販売台数の減少 ・ 店舗従業員の罹患による販売・車両メンテナンス機能の停止 |
②対応策
当社では感染症が発生し国内がパンデミックとなった場合に備え、雇用の確保や事業継続の観点及び公共性ある企業としてステークホルダーに対する社会的責任を果たしてまいります。更に社内で感染者が発生した場合においても感染拡大防止を図るために、以下のとおり発生段階別基本対応を定めております。
(発生段階別の基本行動)
ステージ1(エリア発生初期)
発生状況により以下の段階で通達を発布する。
・感染予防・拡大防止策を周知、来客者に対して手指消毒を徹底
・時差出勤の奨励、行事・会議・研修の自粛
・行事・会議・研修の制限強化(中止・延期・自粛)
ステージ2(エリア感染期)
・感染者が発生した際の初動ガイドラインに基づき行動、在宅勤務率を柔軟に対応できる体制とする。また、全国における事業分野毎の状況をモニタリングしつつ、想定されるリスクに対する対策準備を行う。
ステージ3(非常事態)
・非常事態に備える体制を整備し緊急事態宣言地域は原則在宅勤務とする。
・国内外の出張を禁止、会議はWEB会議を活用し、従業員の感染防止に努める。
・継続した事業毎のモニタリングに基づき、必要に応じてパンデミックに係る事業継続計画を発動するとともに、事業に対する影響を注視し、必要に応じて対策本部にて対策を講じる。
(3)自然災害によるリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
中 | 中 | 特定不能 |
①リスク内容
当社グループは国内全域に事業展開しており、CS(給油所)、石油・ガス・アスファルト基地、ガス・熱供給設備、発電所、自動車販売店舗等で1,491億円の有形固定資産・投資不動産(内IFRS第16号適用による使用権資産含む)を有しております。国内に広範囲な大規模自然災害(地震、台風、水害等)が発生した場合、その資産毀損が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本社等の主たる機能が首都圏に多いことから、当該エリアで大規模自然災害が生じた場合には事業継続が困難となるリスクを有しております。
②対応策
1.設備毀損対策
当社グループが保有する資産は日本全国各エリアに分散保有しており、自然災害によって毀損するリスクも分散されております。また、保有設備の耐震構造については、関連法令等に示される耐震基準に従い建設、維持しており、これまでの大規模自然災害においても、大きな被害は生じておりません。
更に、保険付保による対策を講じており、火災保険については大部分の設備に付保しております。一方、地震保険については、経済性も考慮し、石油基地、アスファルト基地等一部の設備への付保としております。
2.事業継続
当社ではあらゆる地域で大規模災害が生じた場合に備え、全国の支店及びグループ会社でBCPを策定しております。また、実効性を高めるための訓練を定期的に実施し、課題を洗い出しながら、継続的に見直しを図るマネジメント体制も構築しております。
(当社グループのBCP体制)
当社の経営理念である「社会とくらしのパートナー」としての責務を果たすため、当社では事業継続の脅威となる大規模な地震や火災・爆発、津波や洪水等によるエネルギーの供給停止や通信の遮断、物流の寸断などの不測の事態が発生した場合に備え、策定したBCP基本方針に基づき、体制整備に努めております。
■エネクスグループの事業継続に向けた基本方針
①人命尊重を最優先とする。 ②従業員とその家族の安全を確保したうえで「社会とくらしのパートナー」として可能な限り当社取扱製品の販売とサービスの提供に努める。 ③地域社会と協力して二次災害の防止・被災地の復旧・復興支援を行う。 ④本計画と社内規程及びマニュアルの整合性を確保し、継続的改善に努める。 |
■BCP体制図
当社では、非常時の事業継続に迅速に対応するために、災害対策本部、部門対策本部、支店・エリア・グループ対策本部の3階層としており、的確に情報収集ができる体制としております。また本社被災時には代替拠点として、九州支店と中四国支店へ本部機能や重要業務を移管することで、事業継続の体制を維持しております。
■石油製品等の受注・発注業務におけるBCP体制
不測の事態発生に対応するため、2013年から受発注センターを東西に分割しました。これにより、一方の受発注センターの機能が消失した場合であっても、他方の受発注センターを活用して、速やかに国内全域をカバーできる体制に切り替えが可能です。また定期的に人材交流を実施し、両エリアに対応できる人材を育成し、体制整備に努めております。
(参考)防災への取組
当社では災害にいち早く対応するインフラ体制構築の一環として、「災害用発電設備CS」を141か所配備、「中核充填所」を14か所配備し、非常時に病院・避難所などへの電力の優先的供給、緊急車両等への給油など災害対応能力の強化を図っております。
人材面では全国に約250名の防災士・約2,700名の危険物取扱者・約1,500名の液化石油ガス設備士を有し、防災ネットワークを支える人材として地域の生活インフラを支えております。また各地域の消防や自治体等と連接して、災害対応に取り組むべく協定を締結し、有事の際に備えております。
(4)商品価格変動によるリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
中~大 | 中 | 中・長期 |
①リスク内容
当社グループでは石油製品、LPガス、電力の取引において、以下の商品価格変動によるリスクを有しております。
1.石油製品
ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルト、GTL燃料で年間販売量9百万KL超(月間販売量約1百万KL)の取扱いがあり、その取引においては、相場動向を考慮したうえで先物取引等による買越及び売越ポジションを持つことがあります。更に、ヘッジ目的で商品先物・先渡契約等を行っております。その結果商品バランス(※)を生じ、市況変動によって損益に影響を及ぼす可能性があります。
(※)商品バランスとは売約残と買約残の差のことであり、売約残とは販売先と契約して未だに引渡ししていない固定価格の売り契約残及び先物取引の売り建玉のことです。また、買約残とは仕入先と契約して未だに引き取りをしていない固定価格の買い契約残及び先物取引の買い建玉、現物在庫のことです。
2.LPガス
LPガスは、一般家庭や業務用店舗等への小売販売を中心として、年間販売量450~550千トンの取扱いがあり、主として顧客の軒先に設置されている容器内の在庫(軒先在庫)や一部のグループ会社で有している備蓄在庫が価格変動リスクに晒されております。
また、市況価格はCP(※)との相関が高くなっております。
(※)CP(Contract Price)とは、LPガスの最大の輸出国であったサウジアラビアが1994年10月から導入した、輸入国の取引先と交わす契約価格。世界のLPGスポット落札価格・世界市場の相場・有力情報誌の市況情報を参考に、サウジアラビアの国営企業であるサウジアラムコ社の価格決定委員会にて決定されます。現在はMB(Mont Belvieu=米国テキサス州モントベルビュー市場での取引価格)を織り込んだ価格フォーミュラを導入しており、以前に比べCPによる価格影響は弱まっているものの、現在もLPガス輸入価格の主要指標となっております。
3.電力
電力(小売)は、法人及び一般消費者向けに年間約2,480GWh(取次分含む)を販売しておりますが、これらの大半が1年間固定価格での販売となっております。一方、当社は自社発電、相対契約、SPOT(JEPX等)から電源を調達しており、SPOT価格が高騰した場合は当社の売買損益に影響を及ぼします。
②対応策
1.石油製品
石油製品は仕入価格に連動する販売価格を設定し、原則的には価格変動リスクを負わないビジネスモデルとなっております。加えて行き過ぎた買越及び売越ポジション、商品先物・先渡契約等を抑制するため、「商品バランス管理規程」を策定し、その中で商品バランス枠(最大±160千KL)及び部署毎に年間損失限度額を設定し、管理しております。これらは、商品取扱い部門の主管部署において毎週損益状態のモニタリングを実施し、管理部門でその状態を再チェックするなど、不測の損失が発生しない体制を構築しております。
2.LPガス
CP等と連動する販売価格フォーミュラを設定し、顧客への価格転嫁を図ることで、価格変動リスクの抑制を図っております。一部のグループ会社で保有する備蓄在庫(11万トン、4か月程度保有)の評価損益が期間損益に与える影響は避けられませんが、中長期的な視点では価格変動による損益は収斂されるため、経営に大きな影響を与えるものでなく、一過性のものとして判断しております。
3.電力
大手電力会社とのアライアンスや電力先物取引市場等のデリバティブ活用により、SPOT市況変動リスクの抑制を図っております。昨年末より続くSPOT市況高騰により、当社グループの電力事業においても調達単価が上昇いたしました。当社の基本方針として、これまで電力価格変動リスクを抑制するための策を講じてまいりましたが、今後はその適用範囲を拡大してまいります。
(5)固定資産の減損に係るリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
小~中 | 中 | 中・長期 |
①リスク内容
当社グループは事業活動上、様々な事業に係る店舗用不動産、エネルギー供給設備、発電用設備等を保有、賃借しております。これらの当社グループの保有する有形固定資産は1,363億円(内IFRS第16号適用による使用権資産含む)、投資不動産は128億(同左)、無形資産は197億円、のれんは5億円となっております。事業等のリスクが顕在化したこと等により、それらの資産価値や収益性が低下した場合には、減損処理が必要となり、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループの保有する固定資産は複数事業に分散し、かつ日本全国各地に分散して保有していることから、一定のポートフォリオ効果によるリスク分散がなされております。
また、投資時には厳格な「投資基準」、重要性の高い一定金額以上の投資案件については、関係部署による検討会議を行い、損益計画の妥当性、投資回収の実現性を審査したうえで、経営会議又は取締役会に上程するなど、投資判断に誤りがないよう努めております。また、投資後の急激な環境変化等により収益性が悪くなった場合は、別に定める投資案件の定期的な実績モニターの制度等により、不採算・低効率案件の改善策を策定・実行し、改善に努めるとともに、EXITルールによる資産処分・入替を行うなど、不採算・低効率の固定資産が蓄積しない仕組みを構築しております。
(6)情報セキュリティ及び情報システムに係るリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
中~大 | 低 | 特定不能 |
①リスク内容
当社ではお客様からの石油製品・LPガス・電力等の受注や請求書の発行、ホームページを通じた様々な情報発信等において、情報システムが業務の中核に位置付けられることから、想定を超えるサイバー攻撃、コンピューター・ウイルスの感染、不正アクセス、その他の要因でシステム障害、情報の喪失、漏洩、改ざん等が発生した場合には、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また、信用失墜、多額の賠償請求等により当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②対応策
当社グループの事業活動において、情報システムや情報ネットワークの重要性は増しており、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)及びIT企画部が中心となって、その構築・運用にあたっては適切な内部統制手続きを整備し、十分なセキュリティ確保に努めております。そして、システムやネットワークの冗長化、ネットワーク及び端末のウイルス対策、モバイルパソコンのデータレス化、ペーパレス環境の整備等、システム障害やセキュリティリスクの低減に向けた仕組みの導入を推進しております。顧客情報・個人情報を含む機密情報の管理・取扱いについては、当社グループの個人情報保護ポリシーを定め、個人情報取扱いに関する目的や管理方法をステークホルダーに広く周知しております。また、情報管理に係る基本方針や情報管理規程等、社内ルールを整備し、社内会議や社内イントラネット、eラーニング等を通じ、グループ従業員への周知・教育を行い、情報管理体制の徹底を図っております。また、情報漏洩賠償責任保険にも加入しております。
(7)コンプライアンスに係るリスク
影響度 | 発生可能性 | 発生可能性の時期 |
小 | 中 | 特定不能 |
①リスク内容
当社グループが事業を営む上で関連する法令、規制は下記のとおり多岐に亘ります。法令に抵触した場合には事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。
ホームライフ事業 | 高圧ガス保安法、液化石油ガス法、ガス事業法、消防法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法 他 |
カーライフ事業 | 消防法、産業廃棄物処理法、土壌汚染対策法、独占禁止法 他 |
産業ビジネス事業 | 消防法、産業廃棄物処理法、PCB処理特別措置法、大気汚染防止法、品確法、船員法、海洋汚染防止法、温対法、石油備蓄法、毒劇物取締法、関税法、ガス事業法、石油コンビナート等災害防止法、国際船舶・港湾保安法(ソーラス条約)、貨物自動車運送事業法、高圧ガス保安法、電気事業法、計量法、水質汚濁防止法、瀬戸内法 他 |
電力・ユーティリティ事業 | 電力事業法、熱供給事業法、金融商品取引法、電力小売営業に関する指針、エネルギー供給構造高度化法、容量市場、低効率石炭火力廃止規制、景品表示法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、騒音規制法、省エネ法、労働安全衛生法 他 |
共通 | 会社法、金融商品取引法、各種税法、独占禁止法、不正競争防止法、消費者保護法、個人情報保護法、労働法、高年齢者雇用安定法、障碍者雇用促進法、働き方改革関連法、最低賃金法、厚生年金保険法 他 |
②対応策
コンプライアンスに係るリスクが生じないために、早期発見の上対策を講じるために、当社グループでは以下のような対策を講じております。
1.取締役、執行役員及び使用人は法令、定款はもとよりCSR・コンプライアンスプログラム、グループ行動宣言及び社員の行動規範等関連する規則に則り行動する。
2.当社はCCO(チーフ・コンプライアンス・オフィサー)、CSR・コンプライアンスに係る委員会及びコンプライアンスに係る事項を統括する部署を設置するとともに、CSR・コンプライアンスプログラムを制定し、各部署、グループ会社各社のCSR・コンプライアンス責任者・担当者の任命、コンプライアンス教育・研修実施、法令遵守マニュアルの作成、コンプライアンス問題発生時の対処方法(※)、内部通報制度の整備、並びに社員の行動規範の遵守に関するすべての取締役、執行役員及び使用人からの書面取得制度等、コンプライアンス体制の充実に努める。
(※)各管轄部門において関連法令の把握や理解に努め、法令遵守のための体制整備や教育・啓蒙に努めております。また昨年6月から改正労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)が施行され、eラーニングや各種研修を通じたハラスメント対策や性的マイノリティ(LGBTq)への対応、メンタルヘルス等を含む職場環境の問題について、当社グループでは継続的な意識調査や職場ヒアリングを通じ実態把握に努め、必要に応じ専門家に相談するなどリスクの低減を図っております。
3.使用人は、法令、定款、社内規則の違反或いは社会通念に反する行為等が行われていることを知ったときは、CSR・コンプライアンスプログラムに基づき社内の所定の窓口に通報する。内部通報制度に関しては、公益通報者保護法に基づき、通報者の保護を図るとともに透明性を維持した迅速・的確な対処ができる体制を整備する。
4.当社は、CSR・コンプライアンスプログラムに則り、対象子会社(※)におけるCSR・コンプライアンスプログラムの制定、CSR・コンプライアンス責任者・担当者の設置、法令遵守マニュアルの整備、コンプライアンス問題発生時の対処方法、当社担当部署及び社外窓口設置の案内をしている。その上でグループ内部通報制度の整備等コンプライアンス体制の整備につき対象子会社を監査及び指導するとともに、対象子会社に対するコンプライアンス教育・研修を実施し、当社グループ全体でのコンプライアンス意識の向上に努める。
(※)当社が直接出資する子会社、及び当社が間接出資する主要な子会社であって当社による直接の管理・指導等を必要とする会社を指します。
5.当社は、法改正に伴う各部門で想定されるリスクをリスクマネジメント委員会にて審議し、対策を決定する。
また当社グループを取り巻く環境には、上記記載の内容以外にも様々なリスク(法令・制度変更リスク、不良債権発生リスク、金利・為替変動リスクほか)を有しておりますが、前述の体制でリスク管理に万全を期しており、甚大な影響はないものと考えております。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E02643] S100LJCT)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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