有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LFJN (EDINETへの外部リンク)
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 事業等のリスク (2021年2月期)
当社は、経営の健全性と事業の効率性を確保しつつ、当社グループの永続的な維持・発展のため、事業継続に関わる各種リスクの適切な管理に取り組んでいます。この取り組みにより認識されたリスクのうち、リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の程度を踏まえて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下に記しています。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、これらのリスクはそれぞれ独立したものではなく、ある事象の発生により、他の様々なリスクが増大する可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループのリスク管理プロセスでは、管理すべきリスクをガバナンスリスク、業務リスク、B/Sリスク及び事業リスクの4つの大分類に分けて管理しております。有価証券報告書においては、投資者の判断に資する情報開示を目的に、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類し、それぞれ以下のように定義いたします。
「戦略リスク」・・・事業戦略の計画及び遂行により期待する成果に対して実現する成果が上振れまたは下振れする程度及びその発生可能性であり、戦略に大きく影響するリスク、または健全な範囲で敢えて選択して取るリスク。
「オペレーショナルリスク」・・・戦略遂行を支えるオペレーションに起因する損失額及びその発生可能性であり、発生を回避・低減すべきリスク。
当社及び事業会社は、自社のリスク管理全体を統括する部署を事務局とするリスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会は、原則半期に1回開催され、各種リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めています。
一方、各種リスクについては、当社リスク管理統括部署を主体とするグループ横断の会議体等を通じて、該当するリスクに係わるグループ方針、各社リスク低減の取り組み、さらにリスクが顕在化する兆候を示す社内外の各種事例等の共有を図っています。
当社グループのリスク管理は、グループ共通のリスク調査票をもとに、網羅的なリスクの洗い出しと定量化を行い、「リスクの評価と改善策の立案」「優先順位付け」「改善活動とモニタリング」を実施しています。
また各社監査室は、自社のリスク管理全体を担当する部署及び各種リスク管理統括部署に対する定期的な内部監査を通じ、独立した立場で、リスク管理が効果的に実施されていることを検証し、必要に応じて各部署に対し、リスク管理向上のために必要な助言を行っています。
当社グループは5つの事業戦略を定めております。
① 海外コンビニエンスストア事業戦略
② 国内コンビニエンスストア事業戦略
③ グループ食品戦略
④ 大型商業拠点戦略
⑤ DX・金融戦略
以下に記載するリスク毎に、関連する戦略を①から⑤の数字で示しています。
■ 戦略リスク
1.新型コロナウイルス感染症のリスク 関連する戦略:①②③④⑤
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、今後も中長期にわたって当社グループの事業活動へ影響が発生することが想定されます。ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループとしては、会社レベルでは時差出勤・在宅勤務の実施や会議ルールの変更、外出・出張ルールの変更等、従業員レベルでは出勤前の検温、通勤時・勤務時におけるマスク着用や手洗い・アルコール消毒の実施等の新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底し、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、営業継続に努めてまいります。加えて、営業継続に対してはお取引先様との緊密な連携体制の構築やサプライチェーンの維持に努めてまいります。また、感染拡大による差別や不当解雇の有無についても確認し、人権保護に努めています。
しかしながら、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮、営業店舗の限定等の措置をとる可能性やサプライチェーンの操業中断等により商品を提供できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症により生じた価値観・行動の変化(テイクアウト・宅配やオンライン消費の台頭、ソーシャルディスタンス、リモートワーク等)に対して、お客様の日々の暮らしに寄り添いながら、新たな顧客体験価値を創出することに努めてまいります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様の購買力又は消費意欲の減退、予想外の消費行動の変化等が生じた場合、売上の低下につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2.グループの成長戦略に関わるリスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、これからの時代に求められるお客様との接点の多様化、そして豊かで快適なお買い物体験を広げる取り組みなど、新たな生活様式に対応し、時代の変化をリードするため、様々な成長戦略を策定しています。
海外コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの海外コンビニエンスストア事業の中心である7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持ち分を取得する契約(以下「本件取引」といいます。)を、2020年8月3日付で締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて2021年5月14日付で本件取引を完了いたしました。また、本件取引と同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約を同社と締結いたしました。
統合後の事業において、事業環境や競合状況の変化等により本件取引により取得した事業から得られる成長機会もしくは統合によるコスト削減等のシナジー効果等の買収の効果が当初の想定通りに実現されない場合、または、統合プロセスや法規制及び税制上のリスク等を適切に管理できない場合、または適用される割引率が高くなった場合等には、本件取引に伴い計上した多額ののれん及び無形資産等の減損損失の計上により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、本件取引に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当初想定した利益の創出、その他資産の処分等を通じて、レバレッジの低下が速やかに実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの債務には財務制限条項が付されているものがあり、かかる財務制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7-Eleven, Inc.は、一部店舗ではガソリンスタンドを併設しておりますが、本件取引によりガソリン売上の同社チェーン全店売上に占める比率は上昇することが想定されます。ガソリン事業のリスクについては、サプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしていますが、急激な価格の変動等、事業環境の予期しない変化により、売上低下や原価率上昇を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、米国における自動車排出ガス規制や一部州での中長期的なガソリン車販売規制の方針等の影響及び電気自動車等の浸透等により、米国市場におけるガソリン需要が縮小する場合、ガソリン販売量の減少を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7-Eleven, Inc.は、当社グループに属さないエリアライセンシー及び当該エリアライセンシーが展開する店舗において、不祥事その他の事由により、ロイヤリティの減少・売上の減少が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「共存共栄」の精神に基づき、株主やお客様をはじめとするすべてのステークホルダーに最善の価値を提供するべく成長機会を追求するため、随時、企業買収を実施する可能性があります。一方、世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。買収後も統合によるシナジー効果を最大限発揮する事業モデルを構築し、統合の進捗状況をモニタリングしていますが、取得した資産の価値が下落し、評価損発生などが生じた場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
国内コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの国内コンビニエンスストア事業の中心である株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、主にフランチャイズ・システムからなり、「セブン‐イレブン」という同一店舗名でチェーン展開を行っています。同システムは、加盟店と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であり、加盟店オーナーの皆様とともに持続可能な成長を実現するため、2019年4月に発表した行動計画に沿ったオーナーヘルプ制度の充実や省力化投資の継続実施、加盟店アンケートの実施に加えて、様々な取り組みを実施しております。
例えば加盟候補者への説明状況及び加盟店との取引方法等について自主点検を実施し、自主点検結果を踏まえて加盟候補者への事前説明の充実化や、社員教育の充実化とそれを通じた社員理解度の向上・均一化を図る等の対策を実施しております。また、加盟店との持続的かつ良好な関係を維持するため、オーナー様専用相談窓口の設置や、オーナー様意見交換会の実施により、率直なご意見やご要望を伺うなど、加盟店との建設的な対話を通じてコミュニケーション強化を図ってまいります。
しかしながら、加盟店及び当社グループ間の信頼関係が適切に構築・維持できないことにより、多くの加盟店との間で契約が維持できなくなった場合、もしくは加盟店のパフォーマンス・生産性及び「セブン‐イレブン」ブランドの支持が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、従来から起きている少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった国内の社会構造変化に加え、コロナ禍による消費行動の変化を踏まえ、改めて将来に向けてのコンビニエンスストアの存在意義を見直し、店舗レイアウトの変更や商品・サービスの継続的な質の向上による顧客体験価値の提供に取り組んでまいります。
しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しており、新たな価値を提供できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
グループ食品戦略について、当社グループでは、国内における、外食を含む食品分野において約6%の売上シェアを有し、グループ全体の食品売上は約4兆7千億円、売上構成比は60%を超えています。首都圏は、緩やかな人口減少と高齢者の増加、さらにお客様によって経済性やライフスタイルなどが多様であるという特徴があります。そうした環境下で食品スーパーにはまだ出店余地があり、日常の食品提供に関するビジネスチャンスが広がっています。当社グループでは、こうした首都圏食品市場への取り組みを本格化するため、グループ内の食品スーパー事業の統合再編を行うなど、グループシナジーを活かした商品提案力の強化を図り、競争力の強化を図っております。また、当社が保有する土地などを活用してセントラルキッチンやプロセスセンター等のグループインフラやノウハウを構築・共有することによる、高効率な商品供給体制の構築にも挑戦しております。商品開発においては生鮮食品の強みを活かしたオリジナル商品の開発を強化しております。
しかしながら、特に首都圏においてはセントラルキッチンやプロセスセンター等を新設又は強化するための土地を確保することは容易ではなく、適切な土地確保ができない、またはセンター化に向けたビジネストランスフォーメーションが想定通りに進まないなどの要因により、結果として当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
大型商業拠点戦略について、当社グループではお客様の購買行動が大きく変化するなかで、大型商業施設を展開するスーパーストア事業、百貨店事業の事業構造改革を一段と加速させる必要があります。事業構造改革では、優良な立地を見極めながら既存店舗網の見直しを行うと同時に、成長戦略として、これまで培ってきた強みを最大限活かしながら店舗構造改革を進めております。店舗構造改革では、一店一店の商圏の徹底的な分析を行い、これに基づいて商品構成・フロアレイアウトの見直しを行っています。株式会社イトーヨーカ堂では生活シーン別の買い回りしやすい売場展開と、新しい生活様式に応じた商品政策・テナント拡充を進めています。この改革はwithコロナで高まるワンストップショッピングのニーズにも合致し、集客力の向上、収益性の改善といった成果をあげています。また、株式会社そごう・西武では、立地の強み、これまで培ってきたお取引先とのネットワーク、お客様への対応力といった「優良資産」を最大限に活かしながら、専門店の導入やフロア構成の改革を実施し、集客力の向上などの成果をあげています。こうした成功事例をもとに地域ニーズに合った館づくりを進め、全店舗での改革を加速させていきます。しかしながら、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
DX戦略について、当社グループではグループDX戦略マップを策定し、グループ全社横断のDX施策を推進しています。グループ全社を守るDX施策としては、グループ共通でのセキュリティ対策の実施、運用の効率化やグループシナジーの発揮を目的としたグループ共通インフラ基盤の推進等に取り組んでいます。グループ各社のビジネスを加速させるDX施策については、環境変化を捉えた対応を行うため、PoC(Proof of Concept)による実現性や競争力の検証、ゲートによる段階的な投資判断等の組織スキームを設けて実行しています。また、DX戦略を支える体制の強化のため、内製化の推進及び専門性の高い人財の獲得に努めております。
特に、当社グループではあらゆる食のニーズに対応するため、店舗にお客様をお迎えすることを前提とした販売だけでなく、お客様が希望する日時と場所に商品をお届けするラストワンマイルへの対応が不可欠であると考えております。当社グループの持つ安全・安心・新鮮な生鮮及び国内約22,600店舗の強みを活かして、ネットスーパーにおいては大型センター化による事業規模拡大、専用アプリを活用したインターフェースと買物体験の向上、店頭受取や店内ロッカー等の受取方法の多様化に挑戦しております。食材・定期宅配においては鮮度と質にこだわった生鮮商品や子育て世帯向け商品の展開に挑戦しております。移動販売においては株式会社とくし丸と連携し、日常のお買物にお困りの方へ、お買物体験を提供することで社会的意義・役割を果たすとともに、当社グループの価値向上を図っております。飲食店による出前においては、実店舗に頼らない宅配専用店舗の設置や、出来立て惣菜を始めとした品揃え豊富で高品質な中食のお届けに挑戦しております。
しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しております。また、競合他社においても強固な既存顧客基盤や新しい技術を活用し、ラストワンマイルへの対応を強化しております。そのような環境下において、当社グループが現在の競争力を維持できない場合、売上の低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
金融戦略においては、お客様との関係性を強化するための基盤となる取り組みとして、グループ共通のID「7iD」を導入し、お客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行っております。そこで得られた情報と金融関連情報を活用し、「ローン」「資産運用」「貯蓄」「保険」など当社グループならではの、お客様の利便性に資する金融商品・サービスの開発を推進している他、当社及び事業会社が緊密に連携し、小売・金融を横断したお客様への新たな価値の提供を目指しております。
当社グループの金融・決済関連システムについては、システム運用部門を始めとして情報セキュリティ部門やDX部門及び外部委託先等が連携、個人情報保護等の観点も十分留意し、お客様に安全・安心にご利用頂けるシステムの開発・運用に努めております。また、IT・セキュリティ等に関する高い専門知識と経験を有する人財の確保・育成にも努めております。
しかしながらこのような優秀な人財の確保・育成が想定通りに進まない場合、テクノロジーの活用によるサービスの高度化や生産性の向上を十分に実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
3.既存事業リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・取引先・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。特に、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、今後中長期的に農産品の栽培適地や漁場の変化が生じる可能性もあり、それらへの対応からも分散調達と一次生産者との収穫量向上に向けた協働等に努めています。しかし、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、仕入ルートの一部が寸断した場合、それにより当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
当社グループの取扱商品の中には、天候による需給の変化や原油等原材料価格変動の影響を受ける商品等、外的な要因により仕入価格が変動する商品があります。加えて、将来的に、商品製造段階における電力をはじめとするエネルギー価格が、気候変動に伴う規制・政策により高騰した場合にも仕入価格が影響を被る可能性があります。これら仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、国連にて、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」、2015年には「持続可能な開発のための2030アジェンダ(Sustainable Development Goals:SDGs)」が採択され、企業は、取り扱う商品・サービスにおけるお取引先様を含めたサプライチェーン全体の人権の尊重と保護、法令遵守、労働安全、地球環境保全、情報管理などへ責任をもって取り組むことが、社会的使命として求められています。当社グループは自然資源の将来世代にわたる持続可能な利用のために「持続可能な調達基本方針」を定め、地球と社会の持続可能性を保ちながら、企業も持続的に成長するためにステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体で持続可能な調達に努めております。また、持続可能な社会の実現に貢献するため、お取引先様とともに「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」の推進及びその実効性の検証などを目的としたCSR監査の実施など、様々なステークホルダーと連携して取り組みを進めております。2020年10月に外務省より公表された「ビジネスと人権に関する行動計画(2020ー2025)」に基づき、サプライチェーンにおける人権・コンプライアンスのデュー・ディリジェンスを推進してまいります。
しかしながら当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、当社グループに対するお客様の信頼低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国内において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。そのため、日本及び事業を展開している国または地域の景気や個人消費の動向などの経済状態が悪化した場合、お客様の購買力又は消費意欲が減退し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化し、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいて様々な分野のメーカー様やベンダー様とチームMD(マーチャンダイジング)による商品開発を行うほか、各社アプリ等を通じてグループ共通のID「7iD」に登録されたお客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行い、販促活動等の効果につなげております。
しかしながら、商品の取扱い・開発を積極的に行っていますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、お客様のニーズの変化に的確に対応していくため、より高品質で魅力的な商品開発を推進するとともに、お客様とのコミュニケーション強化、生産性の向上に取り組んでおります。また、スーパーストア事業や百貨店事業においては不採算店舗の閉店等、事業構造改革にも取り組んでおります。
しかしながら日本では少子高齢化による労働力人口減少などといった厳しい雇用環境が続くなど、店舗経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。また、お客様のニーズの多様化、競合他社の積極的な販売促進活動等により、当社グループの事業分野における多様な競合他社との競争は著しく高まっております。そのような環境下において、競合他社との価格競争に伴う商品・サービス価格低下圧力及び人件費を始めとしたコスト上昇圧力に晒されることにより、将来を通して継続的に現在の競争力を維持できる保証はなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗出店に際しては、「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けています。店舗出店に際しては当社グループ会社により関連法令、市場及び出店候補地に関する情報収集を行なっておりますが、これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、将来の潜在的な出店候補地が減少した場合、及び新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
4.環境リスク 関連する戦略:①②③④
当社グループは、これまでさまざまな社会環境の変化に対応し、価値ある商品やサービスの提供を通じて、お客様の豊かで便利なくらしへの貢献に努めてまいりました。一方、世界では気候変動やプラスチック問題など、さまざまな環境問題や外部不経済などの社会課題が顕在化しています。そのような社会ニーズの変化や環境問題など、社会環境の変化に対応するために、グループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定したほか、TCFDコンソーシアムへの参加、RE100への参画、水素バリューチェーン推進協議会への参画等、お客様やお取引先様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様とともに“豊かで持続可能な社会”の実現に向けて取り組んでまいります。
一方で、当社グループは、食品廃棄物、プラスチックをはじめとする容器包装リサイクル、廃棄物処理及び気候変動対策などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。将来、これらの法令による規制は、例えば気候変動対策では、温室効果ガス排出規制が強化されたり、炭素税などの新しい法規制・政策が導入されたりする可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限されたりする可能性があります。加えて、規制強化によって電力・水・ガスなどエネルギー費用が変動することで、店舗運営に関わる費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
5.人事・労務関連リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループが主要な事業を行う日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、多くの店舗を展開する当社グループでは、店舗従業員の人数を確保することに加え、多様な人財に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援していくこと、さらには、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことが重要な課題であると捉えております。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指しております。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方の実現に向けて積極的に取り組んでおります。
しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、その目的を達成できない場合に当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業には、お客様を始めとする様々なステークホルダーとの良好なコミュニケーション力を有する人財が不可欠ですが、今後、各事業分野及び地域における人財獲得競争の激化等により、人財を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇し相応しい人財の獲得が困難となる場合や、人財の社外流出が生じた場合、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
6.市場リスク(為替・金利等) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループでは、金利等の変動リスクの軽減、資金調達コストの低減、将来のキャッシュフローを最適化するために為替予約及び金利スワップ等のデリバティブ取引を行っておりますが、金利の変動は受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があるため、為替相場の変動により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7.法務リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、事業の遂行に関して、日本及び米国をはじめとする各国において消費者保護、公正競争、汚職禁止、食品衛生、労働環境、環境等に関する訴訟等及び規制当局による様々な法的手続きに服するリスクを有しています。現在までのところ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、多額の損害賠償金の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、より厳格な法規制が導入されたり、規制当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、多大な法的責任、不利な措置が課された場合や、法的手続きへの対応に多大なコストがかかる場合、当社グループの事業活動や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令や社会的規範の遵守を経営の柱とし、健全なコーポレートガバナンス(企業統治)が機能し、かつ確保されるよう配慮しています。例えば当社グループでは国内各事業会社のFT(公正取引)担当者で構成する「FTプロジェクト」を設けています。このプロジェクトでは、取引に関する法令の最新情報や、公正取引委員会から公表された不公正な取引事案、グループ各社における改善施策を共有することで、法令違反の防止に取り組んでいます。
また、当社グループでは常に変化し続けるお客様のニーズに対して、取引先各社と製造・物流・販売・それらを支える情報システムの仕組みを革新しながら、差別化された高品質の商品や生活をサポートする便利なサービスを構築してきました。しかしながら、取引先各社との業務上の関係が維持できない状況が発生した場合、または取引先各社の技術力等が著しく低下した場合は、商品開発力の低下や商品製造コスト及び配送コストの上昇等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
8.資産リスク(固定資産等) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、有形固定資産やのれん等多くの固定資産を保有しており、減損会計を適用しています。店舗等の収益管理を実施しておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■ オペレーショナルリスク
9.情報管理リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、小売業や金融事業を始めとする各種事業において、お客様に新たな価値やサービスを提供するために、お客様やお取引先様などの個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。これらの情報を正しく管理するため、情報管理に関する規程をグループ全体として整備するとともに、各社において情報管理統括責任者を任命し、情報管理委員会による重要情報の整備、及び人的、組織的、物理的、技術的な安全対策を統合的に実施しております。
当社グループでは2019年7月、バーコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」を開始いたしましたが、一部アカウントに対する不正アクセスが発生したことを受け、その対応について検討を重ねた結果、既存のスキームに基づいたサービスの継続は困難であるとの判断に至り、2019年9月30日をもって当該サービスを廃止いたしました。再発防止策として、セキュリティに関するポリシー、ガイドライン等の再整備、セキュリティについて専門性を有する人財を拡充し、セキュリティ意識をグループ内に浸透させるための社内教育等の取り組み等の対応を進めております。特に、サイバーセキュリティへの対策強化として、「グループIT戦略推進本部(現:グループDX戦略本部)」に、サイバーセキュリティを担う専門組織を設置し、情報システム及びその運用のセキュリティレビューを行うとともに、第三者機関による脆弱性診断や不正アクセスの監視、脆弱性への対応など、セキュリティ事故を防ぐためのサイバーセキュリティ対策の向上に努め、グループの情報セキュリティに関する業務を統括する「セキュリティ統括室」を業務執行から独立した組織として設定いたしました。当社は、情報セキュリティが、お客様に提供するサービスとして欠かせないものであるという認識を踏まえ、情報セキュリティの強化をより一層図ってまいります。
しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの攻撃は日々多様化・高度化しており、また内部の人為ミスや委託先の管理不備などにより重要な情報が外部に流出するリスクや改ざんされるリスクは完全に回避できるものではなく、被害の規模によってはお客様やお取引先様などからの損害賠償請求や信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
10.事業継続リスク(災害、パンデミックを含む) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループの本社及び主要な事業の店舗等は日本にあるほか、世界各地で事業を展開しています。また、ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループでは、風水害の被害が発生した場合、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開が求められます。台風の進路予想等事前情報に基づいて、当社及び当社の連結子会社一体となって事前対策会議を実施し、想定する被害状況、対策本部の設置及び営業継続判断等を検討する仕組みを運用しております。
しかしながら、地震、台風、洪水、津波、気候変動に伴う異常気象の頻発等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等の違法行為により、サプライチェーンの寸断や事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用が発生し、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業を始め主要な事業の店舗等が集中している首都圏において大きな災害等が発生した場合、その影響も大きくなることが予想されます。
11.商品の品質管理・表示リスク 関連する戦略:①②③④
当社グループは、関係法令の規制に基づき、食品衛生に関わる設備の充実、QC説明会等、取引先を含めた一貫した商品管理の徹底、CSR監査等のチェック体制の確立など、お客様に安全な商品と正確な情報を伝えるよう努めていますが、当社グループの取組みを超えた問題が発生した場合には、それによる当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、セブンプレミアムやグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
12.システムリスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが安定的に稼働できるように、要件定義・設計段階からのレビュー、リリース前の十分なテストの実施、システムの冗長化、ネットワークの冗長化、運用状況のモニタリング等の対策を講じております。加えて、SOC(Security Operation Center)による外部からのサイバー攻撃の監視、監視結果に基づく対応、専門家によるセキュリティレビューの実施等の、セキュリティ対策を実施しております。また、不測の事態発生時に、事業を継続するための体制の整備に取り組んでおります。しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の災害、停電、ハードウェアの多重障害、人為的なミス、サイバー攻撃によるネットワークやシステムへの不正アクセス等によりシステム障害が起こりえます。システム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのリスク管理プロセスでは、管理すべきリスクをガバナンスリスク、業務リスク、B/Sリスク及び事業リスクの4つの大分類に分けて管理しております。有価証券報告書においては、投資者の判断に資する情報開示を目的に、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類し、それぞれ以下のように定義いたします。
「戦略リスク」・・・事業戦略の計画及び遂行により期待する成果に対して実現する成果が上振れまたは下振れする程度及びその発生可能性であり、戦略に大きく影響するリスク、または健全な範囲で敢えて選択して取るリスク。
「オペレーショナルリスク」・・・戦略遂行を支えるオペレーションに起因する損失額及びその発生可能性であり、発生を回避・低減すべきリスク。
当社及び事業会社は、自社のリスク管理全体を統括する部署を事務局とするリスクマネジメント委員会を設置しています。リスクマネジメント委員会は、原則半期に1回開催され、各種リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めています。
一方、各種リスクについては、当社リスク管理統括部署を主体とするグループ横断の会議体等を通じて、該当するリスクに係わるグループ方針、各社リスク低減の取り組み、さらにリスクが顕在化する兆候を示す社内外の各種事例等の共有を図っています。
当社グループのリスク管理は、グループ共通のリスク調査票をもとに、網羅的なリスクの洗い出しと定量化を行い、「リスクの評価と改善策の立案」「優先順位付け」「改善活動とモニタリング」を実施しています。
また各社監査室は、自社のリスク管理全体を担当する部署及び各種リスク管理統括部署に対する定期的な内部監査を通じ、独立した立場で、リスク管理が効果的に実施されていることを検証し、必要に応じて各部署に対し、リスク管理向上のために必要な助言を行っています。
当社グループは5つの事業戦略を定めております。
① 海外コンビニエンスストア事業戦略
② 国内コンビニエンスストア事業戦略
③ グループ食品戦略
④ 大型商業拠点戦略
⑤ DX・金融戦略
以下に記載するリスク毎に、関連する戦略を①から⑤の数字で示しています。
■ 戦略リスク
1.新型コロナウイルス感染症のリスク 関連する戦略:①②③④⑤
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、今後も中長期にわたって当社グループの事業活動へ影響が発生することが想定されます。ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループとしては、会社レベルでは時差出勤・在宅勤務の実施や会議ルールの変更、外出・出張ルールの変更等、従業員レベルでは出勤前の検温、通勤時・勤務時におけるマスク着用や手洗い・アルコール消毒の実施等の新型コロナウイルス感染症拡大防止策を徹底し、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、営業継続に努めてまいります。加えて、営業継続に対してはお取引先様との緊密な連携体制の構築やサプライチェーンの維持に努めてまいります。また、感染拡大による差別や不当解雇の有無についても確認し、人権保護に努めています。
しかしながら、感染拡大や蔓延状況に応じて、営業時間の短縮、営業店舗の限定等の措置をとる可能性やサプライチェーンの操業中断等により商品を提供できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症により生じた価値観・行動の変化(テイクアウト・宅配やオンライン消費の台頭、ソーシャルディスタンス、リモートワーク等)に対して、お客様の日々の暮らしに寄り添いながら、新たな顧客体験価値を創出することに努めてまいります。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様の購買力又は消費意欲の減退、予想外の消費行動の変化等が生じた場合、売上の低下につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2.グループの成長戦略に関わるリスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、これからの時代に求められるお客様との接点の多様化、そして豊かで快適なお買い物体験を広げる取り組みなど、新たな生活様式に対応し、時代の変化をリードするため、様々な成長戦略を策定しています。
海外コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの海外コンビニエンスストア事業の中心である7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。)との間で、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業(但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。)を運営する複数の会社の株式その他持ち分を取得する契約(以下「本件取引」といいます。)を、2020年8月3日付で締結し、7-Eleven, Inc.の完全子会社として設立されたSEI Speedway Holdings, LLCを通じて2021年5月14日付で本件取引を完了いたしました。また、本件取引と同時に、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約を同社と締結いたしました。
統合後の事業において、事業環境や競合状況の変化等により本件取引により取得した事業から得られる成長機会もしくは統合によるコスト削減等のシナジー効果等の買収の効果が当初の想定通りに実現されない場合、または、統合プロセスや法規制及び税制上のリスク等を適切に管理できない場合、または適用される割引率が高くなった場合等には、本件取引に伴い計上した多額ののれん及び無形資産等の減損損失の計上により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、本件取引に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当初想定した利益の創出、その他資産の処分等を通じて、レバレッジの低下が速やかに実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの債務には財務制限条項が付されているものがあり、かかる財務制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7-Eleven, Inc.は、一部店舗ではガソリンスタンドを併設しておりますが、本件取引によりガソリン売上の同社チェーン全店売上に占める比率は上昇することが想定されます。ガソリン事業のリスクについては、サプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしていますが、急激な価格の変動等、事業環境の予期しない変化により、売上低下や原価率上昇を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、米国における自動車排出ガス規制や一部州での中長期的なガソリン車販売規制の方針等の影響及び電気自動車等の浸透等により、米国市場におけるガソリン需要が縮小する場合、ガソリン販売量の減少を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7-Eleven, Inc.は、当社グループに属さないエリアライセンシー及び当該エリアライセンシーが展開する店舗において、不祥事その他の事由により、ロイヤリティの減少・売上の減少が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「共存共栄」の精神に基づき、株主やお客様をはじめとするすべてのステークホルダーに最善の価値を提供するべく成長機会を追求するため、随時、企業買収を実施する可能性があります。一方、世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。買収後も統合によるシナジー効果を最大限発揮する事業モデルを構築し、統合の進捗状況をモニタリングしていますが、取得した資産の価値が下落し、評価損発生などが生じた場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
国内コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの国内コンビニエンスストア事業の中心である株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、主にフランチャイズ・システムからなり、「セブン‐イレブン」という同一店舗名でチェーン展開を行っています。同システムは、加盟店と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であり、加盟店オーナーの皆様とともに持続可能な成長を実現するため、2019年4月に発表した行動計画に沿ったオーナーヘルプ制度の充実や省力化投資の継続実施、加盟店アンケートの実施に加えて、様々な取り組みを実施しております。
例えば加盟候補者への説明状況及び加盟店との取引方法等について自主点検を実施し、自主点検結果を踏まえて加盟候補者への事前説明の充実化や、社員教育の充実化とそれを通じた社員理解度の向上・均一化を図る等の対策を実施しております。また、加盟店との持続的かつ良好な関係を維持するため、オーナー様専用相談窓口の設置や、オーナー様意見交換会の実施により、率直なご意見やご要望を伺うなど、加盟店との建設的な対話を通じてコミュニケーション強化を図ってまいります。
しかしながら、加盟店及び当社グループ間の信頼関係が適切に構築・維持できないことにより、多くの加盟店との間で契約が維持できなくなった場合、もしくは加盟店のパフォーマンス・生産性及び「セブン‐イレブン」ブランドの支持が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、従来から起きている少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった国内の社会構造変化に加え、コロナ禍による消費行動の変化を踏まえ、改めて将来に向けてのコンビニエンスストアの存在意義を見直し、店舗レイアウトの変更や商品・サービスの継続的な質の向上による顧客体験価値の提供に取り組んでまいります。
しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しており、新たな価値を提供できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
グループ食品戦略について、当社グループでは、国内における、外食を含む食品分野において約6%の売上シェアを有し、グループ全体の食品売上は約4兆7千億円、売上構成比は60%を超えています。首都圏は、緩やかな人口減少と高齢者の増加、さらにお客様によって経済性やライフスタイルなどが多様であるという特徴があります。そうした環境下で食品スーパーにはまだ出店余地があり、日常の食品提供に関するビジネスチャンスが広がっています。当社グループでは、こうした首都圏食品市場への取り組みを本格化するため、グループ内の食品スーパー事業の統合再編を行うなど、グループシナジーを活かした商品提案力の強化を図り、競争力の強化を図っております。また、当社が保有する土地などを活用してセントラルキッチンやプロセスセンター等のグループインフラやノウハウを構築・共有することによる、高効率な商品供給体制の構築にも挑戦しております。商品開発においては生鮮食品の強みを活かしたオリジナル商品の開発を強化しております。
しかしながら、特に首都圏においてはセントラルキッチンやプロセスセンター等を新設又は強化するための土地を確保することは容易ではなく、適切な土地確保ができない、またはセンター化に向けたビジネストランスフォーメーションが想定通りに進まないなどの要因により、結果として当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
大型商業拠点戦略について、当社グループではお客様の購買行動が大きく変化するなかで、大型商業施設を展開するスーパーストア事業、百貨店事業の事業構造改革を一段と加速させる必要があります。事業構造改革では、優良な立地を見極めながら既存店舗網の見直しを行うと同時に、成長戦略として、これまで培ってきた強みを最大限活かしながら店舗構造改革を進めております。店舗構造改革では、一店一店の商圏の徹底的な分析を行い、これに基づいて商品構成・フロアレイアウトの見直しを行っています。株式会社イトーヨーカ堂では生活シーン別の買い回りしやすい売場展開と、新しい生活様式に応じた商品政策・テナント拡充を進めています。この改革はwithコロナで高まるワンストップショッピングのニーズにも合致し、集客力の向上、収益性の改善といった成果をあげています。また、株式会社そごう・西武では、立地の強み、これまで培ってきたお取引先とのネットワーク、お客様への対応力といった「優良資産」を最大限に活かしながら、専門店の導入やフロア構成の改革を実施し、集客力の向上などの成果をあげています。こうした成功事例をもとに地域ニーズに合った館づくりを進め、全店舗での改革を加速させていきます。しかしながら、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
DX戦略について、当社グループではグループDX戦略マップを策定し、グループ全社横断のDX施策を推進しています。グループ全社を守るDX施策としては、グループ共通でのセキュリティ対策の実施、運用の効率化やグループシナジーの発揮を目的としたグループ共通インフラ基盤の推進等に取り組んでいます。グループ各社のビジネスを加速させるDX施策については、環境変化を捉えた対応を行うため、PoC(Proof of Concept)による実現性や競争力の検証、ゲートによる段階的な投資判断等の組織スキームを設けて実行しています。また、DX戦略を支える体制の強化のため、内製化の推進及び専門性の高い人財の獲得に努めております。
特に、当社グループではあらゆる食のニーズに対応するため、店舗にお客様をお迎えすることを前提とした販売だけでなく、お客様が希望する日時と場所に商品をお届けするラストワンマイルへの対応が不可欠であると考えております。当社グループの持つ安全・安心・新鮮な生鮮及び国内約22,600店舗の強みを活かして、ネットスーパーにおいては大型センター化による事業規模拡大、専用アプリを活用したインターフェースと買物体験の向上、店頭受取や店内ロッカー等の受取方法の多様化に挑戦しております。食材・定期宅配においては鮮度と質にこだわった生鮮商品や子育て世帯向け商品の展開に挑戦しております。移動販売においては株式会社とくし丸と連携し、日常のお買物にお困りの方へ、お買物体験を提供することで社会的意義・役割を果たすとともに、当社グループの価値向上を図っております。飲食店による出前においては、実店舗に頼らない宅配専用店舗の設置や、出来立て惣菜を始めとした品揃え豊富で高品質な中食のお届けに挑戦しております。
しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しております。また、競合他社においても強固な既存顧客基盤や新しい技術を活用し、ラストワンマイルへの対応を強化しております。そのような環境下において、当社グループが現在の競争力を維持できない場合、売上の低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
金融戦略においては、お客様との関係性を強化するための基盤となる取り組みとして、グループ共通のID「7iD」を導入し、お客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行っております。そこで得られた情報と金融関連情報を活用し、「ローン」「資産運用」「貯蓄」「保険」など当社グループならではの、お客様の利便性に資する金融商品・サービスの開発を推進している他、当社及び事業会社が緊密に連携し、小売・金融を横断したお客様への新たな価値の提供を目指しております。
当社グループの金融・決済関連システムについては、システム運用部門を始めとして情報セキュリティ部門やDX部門及び外部委託先等が連携、個人情報保護等の観点も十分留意し、お客様に安全・安心にご利用頂けるシステムの開発・運用に努めております。また、IT・セキュリティ等に関する高い専門知識と経験を有する人財の確保・育成にも努めております。
しかしながらこのような優秀な人財の確保・育成が想定通りに進まない場合、テクノロジーの活用によるサービスの高度化や生産性の向上を十分に実現できず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
3.既存事業リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・取引先・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。特に、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、今後中長期的に農産品の栽培適地や漁場の変化が生じる可能性もあり、それらへの対応からも分散調達と一次生産者との収穫量向上に向けた協働等に努めています。しかし、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、仕入ルートの一部が寸断した場合、それにより当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。
当社グループの取扱商品の中には、天候による需給の変化や原油等原材料価格変動の影響を受ける商品等、外的な要因により仕入価格が変動する商品があります。加えて、将来的に、商品製造段階における電力をはじめとするエネルギー価格が、気候変動に伴う規制・政策により高騰した場合にも仕入価格が影響を被る可能性があります。これら仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、国連にて、2011年に「ビジネスと人権に関する指導原則」、2015年には「持続可能な開発のための2030アジェンダ(Sustainable Development Goals:SDGs)」が採択され、企業は、取り扱う商品・サービスにおけるお取引先様を含めたサプライチェーン全体の人権の尊重と保護、法令遵守、労働安全、地球環境保全、情報管理などへ責任をもって取り組むことが、社会的使命として求められています。当社グループは自然資源の将来世代にわたる持続可能な利用のために「持続可能な調達基本方針」を定め、地球と社会の持続可能性を保ちながら、企業も持続的に成長するためにステークホルダーと連携しながら、サプライチェーン全体で持続可能な調達に努めております。また、持続可能な社会の実現に貢献するため、お取引先様とともに「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」の推進及びその実効性の検証などを目的としたCSR監査の実施など、様々なステークホルダーと連携して取り組みを進めております。2020年10月に外務省より公表された「ビジネスと人権に関する行動計画(2020ー2025)」に基づき、サプライチェーンにおける人権・コンプライアンスのデュー・ディリジェンスを推進してまいります。
しかしながら当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、当社グループに対するお客様の信頼低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、日本国内において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。そのため、日本及び事業を展開している国または地域の景気や個人消費の動向などの経済状態が悪化した場合、お客様の購買力又は消費意欲が減退し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化し、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいて様々な分野のメーカー様やベンダー様とチームMD(マーチャンダイジング)による商品開発を行うほか、各社アプリ等を通じてグループ共通のID「7iD」に登録されたお客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行い、販促活動等の効果につなげております。
しかしながら、商品の取扱い・開発を積極的に行っていますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、お客様のニーズの変化に的確に対応していくため、より高品質で魅力的な商品開発を推進するとともに、お客様とのコミュニケーション強化、生産性の向上に取り組んでおります。また、スーパーストア事業や百貨店事業においては不採算店舗の閉店等、事業構造改革にも取り組んでおります。
しかしながら日本では少子高齢化による労働力人口減少などといった厳しい雇用環境が続くなど、店舗経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。また、お客様のニーズの多様化、競合他社の積極的な販売促進活動等により、当社グループの事業分野における多様な競合他社との競争は著しく高まっております。そのような環境下において、競合他社との価格競争に伴う商品・サービス価格低下圧力及び人件費を始めとしたコスト上昇圧力に晒されることにより、将来を通して継続的に現在の競争力を維持できる保証はなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの店舗出店に際しては、「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」等様々な法令に基づく規制を受けています。店舗出店に際しては当社グループ会社により関連法令、市場及び出店候補地に関する情報収集を行なっておりますが、これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、将来の潜在的な出店候補地が減少した場合、及び新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
4.環境リスク 関連する戦略:①②③④
当社グループは、これまでさまざまな社会環境の変化に対応し、価値ある商品やサービスの提供を通じて、お客様の豊かで便利なくらしへの貢献に努めてまいりました。一方、世界では気候変動やプラスチック問題など、さまざまな環境問題や外部不経済などの社会課題が顕在化しています。そのような社会ニーズの変化や環境問題など、社会環境の変化に対応するために、グループの環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定したほか、TCFDコンソーシアムへの参加、RE100への参画、水素バリューチェーン推進協議会への参画等、お客様やお取引先様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様とともに“豊かで持続可能な社会”の実現に向けて取り組んでまいります。
一方で、当社グループは、食品廃棄物、プラスチックをはじめとする容器包装リサイクル、廃棄物処理及び気候変動対策などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。将来、これらの法令による規制は、例えば気候変動対策では、温室効果ガス排出規制が強化されたり、炭素税などの新しい法規制・政策が導入されたりする可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限されたりする可能性があります。加えて、規制強化によって電力・水・ガスなどエネルギー費用が変動することで、店舗運営に関わる費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
5.人事・労務関連リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループが主要な事業を行う日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、多くの店舗を展開する当社グループでは、店舗従業員の人数を確保することに加え、多様な人財に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援していくこと、さらには、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことが重要な課題であると捉えております。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指しております。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方の実現に向けて積極的に取り組んでおります。
しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、その目的を達成できない場合に当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業には、お客様を始めとする様々なステークホルダーとの良好なコミュニケーション力を有する人財が不可欠ですが、今後、各事業分野及び地域における人財獲得競争の激化等により、人財を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇し相応しい人財の獲得が困難となる場合や、人財の社外流出が生じた場合、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
6.市場リスク(為替・金利等) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループでは、金利等の変動リスクの軽減、資金調達コストの低減、将来のキャッシュフローを最適化するために為替予約及び金利スワップ等のデリバティブ取引を行っておりますが、金利の変動は受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があるため、為替相場の変動により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
7.法務リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、事業の遂行に関して、日本及び米国をはじめとする各国において消費者保護、公正競争、汚職禁止、食品衛生、労働環境、環境等に関する訴訟等及び規制当局による様々な法的手続きに服するリスクを有しています。現在までのところ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、業績に大きな影響を及ぼす訴訟や社会的影響の大きな訴訟等が発生し、当社グループに不利な判断がなされた場合には、多額の損害賠償金の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、より厳格な法規制が導入されたり、規制当局の法令解釈が従来よりも厳しくなることなどにより、多大な法的責任、不利な措置が課された場合や、法的手続きへの対応に多大なコストがかかる場合、当社グループの事業活動や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令や社会的規範の遵守を経営の柱とし、健全なコーポレートガバナンス(企業統治)が機能し、かつ確保されるよう配慮しています。例えば当社グループでは国内各事業会社のFT(公正取引)担当者で構成する「FTプロジェクト」を設けています。このプロジェクトでは、取引に関する法令の最新情報や、公正取引委員会から公表された不公正な取引事案、グループ各社における改善施策を共有することで、法令違反の防止に取り組んでいます。
また、当社グループでは常に変化し続けるお客様のニーズに対して、取引先各社と製造・物流・販売・それらを支える情報システムの仕組みを革新しながら、差別化された高品質の商品や生活をサポートする便利なサービスを構築してきました。しかしながら、取引先各社との業務上の関係が維持できない状況が発生した場合、または取引先各社の技術力等が著しく低下した場合は、商品開発力の低下や商品製造コスト及び配送コストの上昇等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
8.資産リスク(固定資産等) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、有形固定資産やのれん等多くの固定資産を保有しており、減損会計を適用しています。店舗等の収益管理を実施しておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■ オペレーショナルリスク
9.情報管理リスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、小売業や金融事業を始めとする各種事業において、お客様に新たな価値やサービスを提供するために、お客様やお取引先様などの個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。これらの情報を正しく管理するため、情報管理に関する規程をグループ全体として整備するとともに、各社において情報管理統括責任者を任命し、情報管理委員会による重要情報の整備、及び人的、組織的、物理的、技術的な安全対策を統合的に実施しております。
当社グループでは2019年7月、バーコード決済サービス「7pay(セブンペイ)」を開始いたしましたが、一部アカウントに対する不正アクセスが発生したことを受け、その対応について検討を重ねた結果、既存のスキームに基づいたサービスの継続は困難であるとの判断に至り、2019年9月30日をもって当該サービスを廃止いたしました。再発防止策として、セキュリティに関するポリシー、ガイドライン等の再整備、セキュリティについて専門性を有する人財を拡充し、セキュリティ意識をグループ内に浸透させるための社内教育等の取り組み等の対応を進めております。特に、サイバーセキュリティへの対策強化として、「グループIT戦略推進本部(現:グループDX戦略本部)」に、サイバーセキュリティを担う専門組織を設置し、情報システム及びその運用のセキュリティレビューを行うとともに、第三者機関による脆弱性診断や不正アクセスの監視、脆弱性への対応など、セキュリティ事故を防ぐためのサイバーセキュリティ対策の向上に努め、グループの情報セキュリティに関する業務を統括する「セキュリティ統括室」を業務執行から独立した組織として設定いたしました。当社は、情報セキュリティが、お客様に提供するサービスとして欠かせないものであるという認識を踏まえ、情報セキュリティの強化をより一層図ってまいります。
しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの攻撃は日々多様化・高度化しており、また内部の人為ミスや委託先の管理不備などにより重要な情報が外部に流出するリスクや改ざんされるリスクは完全に回避できるものではなく、被害の規模によってはお客様やお取引先様などからの損害賠償請求や信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
10.事業継続リスク(災害、パンデミックを含む) 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループの本社及び主要な事業の店舗等は日本にあるほか、世界各地で事業を展開しています。また、ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループでは、風水害の被害が発生した場合、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開が求められます。台風の進路予想等事前情報に基づいて、当社及び当社の連結子会社一体となって事前対策会議を実施し、想定する被害状況、対策本部の設置及び営業継続判断等を検討する仕組みを運用しております。
しかしながら、地震、台風、洪水、津波、気候変動に伴う異常気象の頻発等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等の違法行為により、サプライチェーンの寸断や事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用が発生し、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業を始め主要な事業の店舗等が集中している首都圏において大きな災害等が発生した場合、その影響も大きくなることが予想されます。
11.商品の品質管理・表示リスク 関連する戦略:①②③④
当社グループは、関係法令の規制に基づき、食品衛生に関わる設備の充実、QC説明会等、取引先を含めた一貫した商品管理の徹底、CSR監査等のチェック体制の確立など、お客様に安全な商品と正確な情報を伝えるよう努めていますが、当社グループの取組みを超えた問題が発生した場合には、それによる当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、セブンプレミアムやグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
12.システムリスク 関連する戦略:①②③④⑤
当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが安定的に稼働できるように、要件定義・設計段階からのレビュー、リリース前の十分なテストの実施、システムの冗長化、ネットワークの冗長化、運用状況のモニタリング等の対策を講じております。加えて、SOC(Security Operation Center)による外部からのサイバー攻撃の監視、監視結果に基づく対応、専門家によるセキュリティレビューの実施等の、セキュリティ対策を実施しております。また、不測の事態発生時に、事業を継続するための体制の整備に取り組んでおります。しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の災害、停電、ハードウェアの多重障害、人為的なミス、サイバー攻撃によるネットワークやシステムへの不正アクセス等によりシステム障害が起こりえます。システム障害が発生した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
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ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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