有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L1BN (EDINETへの外部リンク)
アサヒグループホールディングス株式会社 研究開発活動 (2020年12月期)
アサヒグループでは、第7次中期経営計画の達成に向けて、酒類、飲料、食品の各事業においてこれまでにない新たな価値創造に基づく商品の開発を進めると共に、環境への配慮、健康への貢献といった持続可能な社会の実現のため、革新的な技術開発に取り組んでいます。また、コロナ禍による環境変化に対しても迅速かつ柔軟に研究開発戦略の見直しを行い、研究開発現場においてもテレワークを最大限活用出来る体制を整備することで、新時代に即した成果の創出を行っています。従来の枠に捉われない研究開発に取り組むため、先端技術やオープンイノベーション、グループ内のシナジーを積極的に活用しています。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、13,189百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は2,978百万円、飲料事業に係る研究開発費は2,000百万円、食品事業に係る研究開発費は1,640百万円、国際事業に係る研究開発費は3,008百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は3,561百万円です。
[酒類事業]
(商品開発関連)
アサヒビール㈱は、「スーパードライ」のブランドメッセージである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を訴求するビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出する様々な取り組みに注力致しました。特に素材や優良酵母のさらなる厳選、酸化を防ぐ取り組みや工場特性に合わせた醸造技術の最適化などあらゆる工程で改善に取り組んだ結果、当社の専門パネリスト※1による官能評価において過去最高の評価を獲得し、“スーパードライの史上最高のうまさ”を実現しました。“できたてのうまさ”を追求した商品『アサヒスーパードライ 鮮度実感パック』を年間6回発売し、“進化をとげたスーパードライ史上最高のうまさ。”を訴求したパッケージデザインのリニューアルを実施しました。また、限定醸造品を発売しました。『アサヒスーパードライ 北海道工場限定醸造』は北海道厚真産米を用いて北海道工場で製造し、北海道限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 東北復興応援缶』は岩手県産ホップと宮城県産の「希望の大麦」※2を一部使用し福島工場で製造、岩手県、宮城県、福島県限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 福島工場限定醸造』は、福島県産米“天のつぶ”※3を用いて福島工場で製造し、福島県限定で発売しました。中元ギフト限定商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル爽涼(そうりょう)』を発売しました。「ジャパンスペシャル」の特長である国産原料100%のこだわりはそのままに、アルコール度数を5.5%から5%にすることで、爽快に飲みやすい味わいに仕上げました。また、通常よりも発酵度を上げた「高発酵醸造」を採用することで、「ジャパンスペシャル」の上質な飲みごたえに加え、清々しい後味を実現しました。歳暮ギフト限定の特別限定醸造商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り芳醇』を発売しました。国産原料100%のこだわりはそのままに、「ジャパンスペシャル」よりも高い濃度の麦汁で発酵させる「高濃度醸造」で、アルコール度数6%の飲みごたえと贅沢な余韻、芳醇な香りを実現しました。更には、ビール市場における若年層を中心としたターゲットに向けて飲用体験を創出する『アサヒスーパードライ ザ・クール』のリニューアルを行いました。ドイツ産ホップ「ポラリス」を原材料に使用し、当社独自のホップ配合技術を活用することで、苦味や渋みを抑えた冷涼感のある爽快なおいしさを実現しました。アルコール度数は5%から4%へ変更し、発酵度を調整することで、軽快な飲み口とビールらしい飲みごたえを両立しました。
その他限定商品として、特別限定醸造の生ビール『アサヒ ザ・ゴールド』は、ゴールデン麦芽とチェコザーツ産の最高級ホップを一部使用し発売しました。
発泡酒市場では、『アサヒスタイルフリー』のクオリティアップを行いました。『アサヒスタイルフリー』は、すっきり爽快な飲みやすさとしっかりとした麦の味わいが特長の“糖質ゼロ※4”の発泡酒です。今回のクオリティアップでは、麦の風味豊かなミュンヘン麦芽を原材料として新たに採用することで、麦の豊かな味わいや“ビールらしい”本格的な飲みごたえを高めました。
新ジャンル市場では、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を目指した『アサヒ ザ・リッチ』を新発売しました。当社新ジャンル商品として最大級※5の原麦汁エキス濃度にすることで、コク深い味わいを実現しました。醸造の仕込み工程では、煮沸に使用する蒸気の注入時間を可能な限り低減させる「微煮沸製法」をアサヒビールで初めて採用し、煮沸開始時と終了時の合計数分程度だけ蒸気を注入しました。蒸気の注入時間を分単位で制御管理することで、十分な殺菌と麦の芳醇な香りの担保を両立しました。
また、『クリアアサヒ』はクオリティアップを行いました。原材料の配合を見直し、『クリアアサヒ』史上最高の後キレを実現することで“ゴクゴク飲める”味わいを実現しました。季節限定商品は、春限定商品『クリアアサヒ 桜の宴』はアロマホップのモチュエカ、アマリロ、マンダリナババリアを一部使用し、「クリアアサヒ」ならではの“爽快な飲みごたえ”はそのままに、3種のホップ由来の華やかな香りで春らしい味わいに仕上げました。夏限定商品『クリアアサヒ 夏日和』は、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとした爽快な刺激とキレを実現しました。秋限定商品『クリアアサヒ 秋の宴』は、ローストした麦芽を一部使用し麦の香りを引き出す仕込み技術を採用することで、秋らしい焙煎香としっかりとしたコクのある味わいを実現しました。冬限定商品『クリアアサヒ 冬の旨口』は、原麦汁エキス濃度を高め、発酵度をやや低くすることで、コクのあるまろやかな味わいを実現しました。更に地域限定商品『クリアアサヒ 北海道の恵み』『クリアアサヒ 東北の恵み』を発売しました。 『クリアアサヒ』は2008年の発売以来、「すっきり・爽快・キレ」を求めるお客さまのニーズに応える商品として継続的に品質価値向上に取り組んでおり、今回のクオリティアップを通じて新ジャンルの主力ブランド『クリアアサヒ』の飲用価値向上に取り組みました。
その他、『アサヒ 極上』はクオリティアップを実施し、中味特長の“冴えるキレ”はそのままに、ホップの使用量を増やし、心地よい苦みによるビールらしい飲みごたえを強化しました。『アサヒ オフ』は、スパイシーでフローラルな香りを特長とするホップの使用量を増やすなど、ホップの配合を見直すことでビールらしい厚みのある味わいや香りを強化しました。糖質やプリン体などに配慮したビール類は、特に健康を気にするビール類飲用者の方々から高い支持を得ています。
ビールテイスト清涼飲料市場では、『アサヒドライゼロ』のクオリティアップを行いました。「ドライゼロ」の特長である“キレ”はそのままに、麦の香りを感じられる香料を使用することで、よりビールらしい味わいを実現しました。その他限定商品として『アサヒドライゼロ スペシャルパッケージ』『アサヒ ドライゼロサマーショット』を発売しました。
RTD※6市場では、レモン本来の風味と香りを追求したチューハイの新商品『アサヒ ザ・レモンクラフト 極上レモン』『アサヒ ザ・レモンクラフト グリーンレモン』を発売しました。原材料に5種類のレモン素材※7を贅沢に使用することで、レモンのさわやかでみずみずしい風味と、深みと飲みごたえが調和され、豊かな果実味をお楽しみいただけます。製造工程では、レモンの香りをより際立たせるため、アサヒビールで初めて「レモンオイル滴下技術」を導入しました。バーテンダーがカクテルをつくるときに、レモンの果皮を指先でひねり、そこに含まれるオイル分で香りづけする技法から着想したものです。缶容器一本ずつにオイルを0.01秒の高速で添加する新製法を確立することにより、レモンオイルで香りがあふれるチューハイに仕上げました。さらに、レモンの香りを最大限に味わっていただくよう、容器は口の広いボトル缶を採用しました。キャップと液面の間に含まれるレモン香気成分の濃度を高めたことで、キャップを開けた瞬間に豊かなレモンの香りが広がります。
また、『樽ハイ倶楽部レモンサワー』『樽ハイ倶楽部大人のサワー』を発売しました。「樽ハイ倶楽部」は、1984年にニッカウヰスキー社と共同開発し、2019年末現在で約13万店の飲食店で取り扱われており、35年以上の歴史がある人気のブランドです。今回発売した『樽ハイ倶楽部レモンサワー』は、レモンとウォッカをバランス良く配合した、アルコール度数8%のレモンサワーです。『樽ハイ倶楽部大人のサワー』は、ほのかな柑橘の風味が感じられるアルコール度数8%のプレーン味のサワーです。そのまま飲んでも、柑橘系のフルーツなどを組み合せても楽しめます。
『アサヒ贅沢搾り』はリニューアルを実施し、全フレーバーで“本物の果物をまるごとかじったような味わい”を目指し、開けた瞬間からより果実の香りを感じられるよう香り立ちをアップさせました。“果汁量”はそのままに、フレーバーごとに原材料の配合比率を見直し、より本物の果物を食べたときのような味わいを実現しました。追加フレーバーとして『アサヒ贅沢搾りぶどう』を通年発売しました。また、「贅沢搾りプラス」シリーズとして、「贅沢搾り」の“果物をまるごとかじったような味わい”というコンセプトはそのままに、果物以外のものを組み合わせることで、“果物を起点とした新しいお酒の楽しみ方”を提案しました。『アサヒ贅沢搾りプラス 柑橘ミックスヨーグルトテイスト』『アサヒ贅沢搾りプラス ベリーミックスヨーグルトテイスト』を通年商品として発売、限定商品として『アサヒ贅沢搾りプラス期間限定レモンとはちみつ』を発売しました。
『アサヒもぎたて』は『アサヒもぎたてSTRONG』としてリニューアルし、6フレーバー、計12アイテムを通年商品として発売しました。その他、『ニッカ淡麗辛口ハイボール』『ウィルキンソン・ハイボール』『アサヒチューハイ果実の瞬間』『カルピスサワー』『アサヒカクテルパートナー』などでリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。
サワーテイスト清涼飲料※8市場においては、機能性表示食品である「アサヒスタイルバランス」の基幹フレーバーとして『アサヒスタイルバランス カシスオレンジテイスト』を発売しました。1缶あたり1000㎎のコラーゲンを配合したサワーテイスト清涼飲料です。「アサヒスタイルバランス」の特長である“アルコール0.00%”“カロリーゼロ※4”“糖類ゼロ※4”はそのままに、カシスとオレンジの風味でしっかりとした甘味と酸味実現しました。その他期間限定商品も発売しました。
ウイスキー市場では、『竹鶴ピュアモルト』『シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『ニッカ セッション』のリニューアル及び数量限定で発売しました。
焼酎市場では焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランド「かのか」から『麦焼酎 かのか 吟麗すっきり仕立て』『麦焼酎 琥珀かのか』の限定商品の発売と、季節限定商品を発売しました。
ワイン市場では、『サントネージュ 酸化防止剤無添加のやさしいワイン サングリア』を発売しました。また『ニッカ シードル紅玉リンゴ』『ニッカシードル トキりんご』『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2020』を期間限定で発売しました。
※1:特別な訓練を積み、官能試験を突破した味覚のスペシャリストです。全国に約80名おり、研究所と全8工場に配置されています。
※2:「希望の大麦」は、(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)とアサヒグループの協働プロジェクト「希望の大麦プロジェクト」により誕生しました。本プロジェクトは、宮城県東松島市の被災した土地で栽培した「大麦」を通じて、地域に「なりわい」と「にぎわい」を創出することを目指しています。
※3:“天のつぶ”は、福島県が15年の歳月をかけて開発した品種で、穂が出るときに天に向かってまっすぐ伸びる稲の力強さと、天の恵みを受けて豊かに実る一粒一粒のお米をイメージして命名されました。粒ぞろいが良く、光沢があり、しっかりとした食感が楽しめるお米です。出典:うつくしま、ふくしま米情報センターHP引用。
※4:食品表示基準による。以下同様。
※5:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における原麦汁エキス濃度の比較において。
※6:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※7:レモンオイル/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁。
※8:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。
(技術開発関連)
中味開発において、『麦焼酎 かのか 25度』が、International Taste Institute(以下、ITI)※1の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞“三ツ星”を4年連続で受賞しました。
容器包装分野では、環境に配慮したパッケージ開発の一環として業界最軽量となる取手付き4リットルPETボトルを開発しました。これまで使用していた容器より1本あたり31.5gのプラスチック樹脂を削減し、約22%の軽量化を実現しました。これによりプラスチック使用量は年間で37.8t、CO2排出量は年間で約90t削減できる見込みです。本資材は焼酎ブランド「かのか」で使用します。今回開発したPETボトルは、強度などの製品品質を確保しながら、PETボトル全体のプラスチック使用量を減らすことで軽量化を図りました。
また、食べられるコップ「もぐカップ」を株式会社丸繁製菓と共同開発しました。「もぐカップ」は国産のじゃがいもでん粉が原料の飲料容器です。高温高圧で原料を焼き固めることにより、耐水性を向上させ、中に入れた液体が漏れにくくなります。容器自体にそれぞれ味付けをし、飲み物や食べ物との組み合わせを楽しめるよう工夫しています。使い捨てプラスチック問題に関心が集まる中、「もぐカップ」を展開することで、“使い捨て容器”から“使い食べ容器”という新しい食のライフスタイルを提案します。
研究・技術開発分野では、パナソニックの開発した「高濃度セルロースファイバー成形材料」※2を活用した世界初※3のエコカップ「森のタンブラー」(愛称「森タン」)が、2020年度「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」は、循環型社会の形成の推進に資することを目的として、2006年度に環境省によって設けられました。この制度は、廃棄物の発生量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の適切な推進に顕著な功績があった個人、企業、団体を表彰し、その功績をたたえるものです。今回「森のタンブラー」は、有機資源を55%以上使用した原材料を活用しているという技術的な先進性と、その新規性が高く評価され、受賞しました。アサヒビールが「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞するのは、今回が初めてです。また、株式会社オルタナが主催する「サステナブル・セレクション」において二ツ星を獲得しました。「サステナブル・セレクション」は、エコ・エシカル・グリーン・サーキュラーエコノミーなど、サステナブル(持続可能)な手法で開発された製品・サービス・ブランドを選定して紹介する仕組みです。今回「森のタンブラー」は、地域の余剰産物を活用して、地域オリジナルの「森のタンブラー」を製造する地産地消の取り組みが高く評価され、二ツ星を獲得しました。その他、世界的に権威あるデザイン賞「iFデザインアワード2020」を受賞しました。パナソニックとの共同受賞で、アサヒビールとして「iFデザインアワード」は初の受賞となります。「iFデザインアワード」は、ドイツ・ハノーバーに本拠地をおくインターナショナルフォーラムデザインが主催するデザイン賞で、1953年に設立されました。優れたデザインの証として世界で最も認知されているデザインアワードです。賞は、プロダクト、コミュニケーション、パッケージ、サービスデザイン、建築、インテリア・内装、プロフェッショナルコンセプトの7分野で構成されています。本年は、56か国からエントリーされた7,298件の応募デザインから厳正な審査を経て受賞作品が決定しました。その他、第7回ソーシャルプロダクツ・アワード2020」において「生活者審査員賞」を受賞しました。「森のタンブラー」は、使い捨てプラスチックカップ削減のために“マイカップ”としての使用を提案しているエコカップです。CO2排出量増加による気候危機や使い捨てプラスチックによる海洋汚染などの社会課題を解決し持続可能な世界を実現するために、“使い捨て”という消費行動を変革していくことを目的とした取り組みです。今後は生産体制の構築と一般への販売体制を確立し、持続可能な事業を創出していきます。
※1:International Taste Instituteは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。
※2:パナソニック㈱が独自に開発したナノ~マイクロに微細化されたパルプ成分を55%以上含有する新開発の樹脂です。同社独自の金型・樹脂成形技術により、独特の風合いと強度を実現できます。パナソニックが受託した環境省の委託業務(2015年度~2017年度セルロースナノファイバー製品製造工程におけるCO2排出削減に関する技術開発)で得られた成果を活用しています。
※3:当社調べ
[飲料事業]
(商品開発関連)
アサヒ飲料㈱は「炭酸カテゴリーの強化と新価値創造商品の投入で、業界のリーディングカンパニーを目指す」との方針のもと、これまでに磨いてきた強みを活かし、「三ツ矢」「ウィルキンソン」などの炭酸カテゴリーの強化と、「カルピス」ブランド等への新価値創造商品の投入によりさらなる成長を目指しております。また、「健康」「環境」「地域共創」といった社会的価値の向上に向けた取り組みを強化し、お客様に「100年のワクワクと笑顔を。」を約束する企業として、業界におけるリーディングカンパニーを目指しております。
研究開発部門においては、「三ツ矢」、「ウィルキンソン」、「カルピス」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、および新規領域の強化に取り組んで参りました。
「三ツ矢」ブランドにおいては、2020年特別限定復刻シリーズとして、「『三ツ矢サイダー』レモラ」、「『三ツ矢サイダー』シルバー」、「『三ツ矢サイダー』ライト」、「『三ツ矢サイダー』クラシック」の4品を開発しました。オリジナルの良さを生かしながら現代風の味にアレンジしたことで「三ツ矢サイダー」の歴史を感じて頂くとともに爽やかなおいしさを体感頂くことでさらなるブランド価値の向上を図りました。また、有糖炭酸飲料に対する「さっぱりしたい」「リフレッシュしたい」といったニーズに応えるため、本格的な果実の味わいや爽やかな酸味を追求した「『三ツ矢』特濃」シリーズとして「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」、「『三ツ矢』特濃グレープフルーツスカッシュ」など4品を展開しました。一方で、「三ツ矢」136年の歴史で初のゼリー商品となる、「『三ツ矢サイダー』ゼリー」、暑い夏の健康的な生活のサポートに適した「三ツ矢」史上最高に酸っぱい「『三ツ矢』アセロラ」といった製品も開発し、多様な消費者のニーズに対応して参りました。
「ウィルキンソン」ブランドにおいては、ブランドロイヤリティの強化と新規ユーザーの拡大を目指し、「『ウィルキンソン タンサン』ピーチ」、「『ウィルキンソン タンサン』マスカット」といった炭酸水市場においては新奇性の高いフレーバー展開を実施しました。また、多様な飲用シーンに合わせてマルチパック商品の展開や環境配慮への取り組みとしてECチャネル向けのレベルレス商品を展開しました。新商品の売上が大きく寄与し、過去最高の売り上げを更新するとともに、炭酸飲料販売一億函を達成する事ができました。
「カルピス」ブランドでは、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプ、炭酸タイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。また他発酵素材との組み合わせによる新しい味わいが楽しめる「発酵BLEND」シリーズ、ホットで楽しむ「ほっとカルピス」と幅広い味わいを提案しました。
さらに本年度は乳原料を使用せず豆乳で作った、乳アレルギーを持つ方でも安心して「カルピス」の味わいを楽しむことが出来る、「GREEN CALPIS」を開発・発売し、高い評価を頂きました。
「ワンダ」ブランドでは、ボトル缶市場への継続的な商品展開と、伸長傾向にある無糖ブラックコーヒー市場に新商品を投入しました。
ボトル缶市場に向けては、昨年に引き続き「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開し、「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「老舗珈琲店の甘くないラテ」を発売し、飲用機会の拡大を図りました。
また、“極限の苦み”と“コク”に爽やかな後味を実現した、新感覚のブラックコーヒー「『X-BITTER』ブラック」を発売。働き方改革の推進に伴う、短時間での“気分の切り替え”ニーズへの提案を進めました。
「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2020年で16年目をむかえました。2020年は、東洋健康思想に基づく、複数の素材をブレンドした独自のおいしさと健康価値を改めて感じていただけるように中味・パッケージともに一新しました。主原料の配合と焙煎を見直し、より後味すっきりで飲み飽きない味わいを実現しました。
また、健康機能価値を付与した「十六茶プラス」シリーズを展開。内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』3つのはたらき」、「ストレスを和らげる」「睡眠の質を高める」効果を持つL-テアニンを配合した機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』やすらぎブレンド」を発売しました。その他、「十六茶麦茶」、「十六茶ジャスミン」を展開し、「十六茶」ブランドの飲用機会拡大を図りました。
「おいしい水」ブランドにおいては、「ラベルレス」ボトルの更なる販売拡大を図ることで、環境負荷低減という新たな価値の提供を進めて参ります。
また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しております。「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地の嗜好に合わせた現地製造品を展開しております。2020年より、米国のCALPIS BEVERAGE U.S.A., INC.がアサヒ飲料㈱の子会社となり、従来の「CALPICO」ブランドに加え、「十六茶」ブランドもラインナップに加え、展開を開始いたしました。
また、新規領域の強化については、コロナ禍において、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。
その中で、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、「アサヒ飲料㈱=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。
“ココロとカラダの健康”に関して、本年も継続して「炭酸水」のもつ健康効果の解明に取り組みました。理化学研究所 水野敬先生との取り組みでは、炭酸水を継続的に飲用することにより抗疲労をはじめ様々な健康効果があることがわかってきました。「炭酸水」の健康効果を明らかにする研究はまだ始まったばかりで今後の研究成果に期待が持たれます。引き続き21年度も力を入れて推進していく予定にしています。
また、本年は発売30周年を迎える「カルピスウォーター」の飲用により気分にどのような変化が起こったかについて理化学研究所 片岡洋祐先生の技術指導のもと「KOKOROスケール」※1で試験を行いました。「カルピスウォーター」を飲むと「爽やかな気分」や「ココロが満たされる」方向に気分が高まることを科学的に明らかにすることができました。
これらの結果を活用することで、お客様にとってアサヒ飲料㈱の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。
“カラダの健康”に関しては、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズとして、100mlの小型PETボトルの展開を進めて参りました。「L-92乳酸菌」を配合した「守る働く乳酸菌」に加え、機能性表示食品として、「ストレス・睡眠」、「腸内環境改善」領域では「ガセリ菌CP2305株」を機能性関与成分とした「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」、「血圧」領域では「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」を機能性関与成分とした「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「体脂肪」領域では「乳酸菌CP1563株由来10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-HOA)」を機能性関与成分とした「ラクトスマート」を展開しております。
また本年、植物ミルクを使用した「PLANT TIME」シリーズを発売いたしました。豆乳を使用した「SOY MILK TEA」と「SOY LATTE」の2品展開で、ナチュラル志向のお客様に向け提案いたしました。
今後ともアサヒグループの確かなエビデンスに裏打ちされた機能性素材や素材活用技術を用いて、新たな健康価値の提案を目指し、積極的な研究開発を推進して参ります。
※1 KOKOROスケール:個人の主観的な気分を時間・場所を選ばずスマートフォンなどで簡単に入力できる、理化学研究所が開発した気分測定ツール。
(技術開発関連)
製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究について継続して取り組んで参りました。これまでの研究成果が認められ、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズに活用している当社独自開発技術である「清涼飲料水中に添加した殺菌乳酸菌体の菌株判別手法の開発」に関する研究発表が2020年度日本清涼飲料研究会賞を受賞しました。
環境配慮型の容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、リサイクルPETおよび、原料の一部にバイオマス素材を使用したPETの各種容器へ採用拡大に向けた評価を行いました。また、プラスチック使用量削減に貢献するラベルレス商品の拡大に向け、従来ラベルに印刷されていたリサイクルマークをPETボトル自体に刻印表示するよう設計変更、評価を行い、「ウィルキンソン」、「おいしい水」に展開しました。さらに、カットテープと呼ばれる開封用プラスチックテープを無くしつつ、開封性を維持できる段ボールケースの展開等、ユーザビリティを両立可能な段ボールケースの開発を行いました。
マーケティング戦略と連動した容器包装開発では、植物性ミルクを使用した「PLANT TIME」専用の新規PETボトル開発において、ターゲットである女性の視点を重視し、女子美術大学と共同で制作に取り組みました。ユーザビリティ向上のため、持ちやすさやカバンにいれやすい形状を追求すると共に、商品コンセプトから想起される“植物素材がからだになじむ”“内側から輝かせてくれる”といったイメージを具現化するデザインを検討しました。また、容量増が求められる商品への対応として、「ドデカミン」PET600mlボトル、ホット販売対応PET480mlボトル等の開発を行いました。
[食品事業]
(食品開発関連)
アサヒグループ食品㈱は「多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案により、新たな需要を創出し、アクティブな生活をサポートする」の方針のもと、主要ブランドを中心に商品ラインアップの強みを生かし、お客様のさらなる満足を追求しています。
「ミンティア」ブランドは、タブレット菓子としてのおいしさや、食感、パッケージに至るまで全てにこだわった多彩な商品ラインアップの提案を通して年々好調に売上を拡大しています。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大防止の取組みに伴い、新しい生活様式が求められている中、「ミンティア」の本質価値である“リフレッシュ”を強みに、オフィス勤務をはじめ、マスク着用時やテレワーク時などにも対応した広告・販促施策を統合的に展開し、これからの時代の新しいリフレッシュシーンを訴求したTV/Web CMを全国でオンエアいたしました。また、フレーバーチップをこれまでより多い18%配合し、片手でも両手でもジッパーをずらして開けられる特殊技術を採用した『ミンティアテイスティ ベリー&ベリー』、ミンティアブランドとして初となる「コーヒー」を用いた『ミンティアコーヒー』、必須アミノ酸「BCAA」を用いた『ミンティア フローズンシトラス』など、タブレットの新たな喫食シーンの創出を図る新価値提案商品の発売にも多数取り組みました。
「キャンディ」では、国内大手の声優事務所に所属する39名の声優にインタビューを行う事でのど飴の共同開発を実施し、味やパッケージ・ネーミングに至るまで声のプロが納得する、声のプロ公認ののど飴『うるおいボイスのど飴』を発売し、のどの潤いをサポートする商品を提案しました。
小袋タブレット市場は持ち運びに便利なサイズであることや各社の新商品投入などにより、大きく伸長しています。4粒で1日分のビタミンCとコラーゲン40mgが摂れる栄養機能食品(ビタミンC)のタブレット菓子 『タブレットサプリ1日分のビタミンC』、「濃ーい」ブランドから栄養機能食品(ビオチン)の『濃ーいブルーベリータブレット』、3粒当たりに乳酸菌142億個・ビタミンC600mgを配合した『そなえるカラダタブレット』『そなえるカラダタブレット(小袋)』を発売し、お客様の健康をサポートするとともに、タブレット菓子のユーザー層や喫食機会の拡大を図りました。
健康食品カテゴリーにおいて、伸長しているプロテイン市場に向け「1本満足バー プロテイン」シリーズからフルーツフレーバー『1本満足バー プロテインストロベリー』を発売しました。また、「クリーム玄米ブラン」では1製品当たりたんぱく質10gを配合した『クリーム玄米ブラン ブルーベリー』『クリーム玄米ブラン カカオ』『クリーム玄米ブラン クリームチーズ』『クリーム玄米ブラン メープル』にリニューアルし、忙しい朝の栄養補給にピッタリの“たんぱく栄養食”として訴求をいたしました。
カップスープカテゴリーでは、近年著しく伸長している糖質コントロール市場向けに、寒天とコンニャクで作った麺が入った「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズを発売しております。2020年はシリーズ展開として、カップに麺と水を入れ約5分待ち、水を切るだけで糖質ゼロの麺ができあがる『汁なし麺0(ゼロ)中華醤油』『汁なし麺0(ゼロ)胡麻だれ』を発売しました。お湯を沸かす必要がなく、水で麺を戻すことで夏に嬉しいヒンヤリとした汁なし麺を作ることができ、小腹満たしの軽食や糖質が気になる方の「手軽に糖質をコントロールしたい」というニーズに応えました。
「アマノフーズ」ブランドのフリーズドライ食品カテゴリーでは、健康志向の高まりに対応した「健康応援」シリーズ商品として『うちのおみそ汁 しょうがと長ねぎ5食』『うちのおみそ汁 ごぼうとえのき5食』を新たに追加しました。「アマノフーズ」ブランドの主力である「いつものおみそ汁」シリーズの全面リニューアルを行い、同時に新商品『いつものおみそ汁 小松菜』『いつものおみそ汁 里いも』『減塩いつものおみそ汁 ほうれん草』3品を追加し、フリーズドライみそ汁・お吸いもの市場売上No.1メーカー※1として、お客様の更なるフリーズドライの利用機会拡大に取り組んでいます。また「Theうまみ」シリーズをリニューアルし、化学調味料を使用しないこだわりの オリジナルレシピで素材と具材のうまみを楽しむことに注力した即席スープの『Theうまみ 揚げなすの完熟トマトスープ』『Theうまみ ねばねば具材の和風スープ』2品を発売し、お客様の毎日の食卓に健やかで笑顔のある食生活を提案しました。
「和光堂」ブランドのベビーフードカテゴリーでは、おうち時間が増えたことで、増加した手作りニーズに向けて「1食分の野菜入り そのまま素材」シリーズを新展開しました。野菜やたんぱく素材を月齢に合わせたサイズにカットしているため、加熱するだけで離乳食の下ごしらえの負担を減らすことができる商品となっております。また、手軽に作れる初のおやきシリーズとして『赤ちゃんのやさしいおやきミックス にんじんとほうれん草』『赤ちゃんのやさしいおやきミックス 鶏レバーとかぼちゃ』を展開しました。さらに、ご好評頂いている「はじめてのシリアル」シリーズから『はじめてのシリアル 緑黄色野菜といちごヨーグルト』を発売し、これまでの鉄・カルシウム・食物繊維に加え、シリーズとしては初めての乳酸菌を配合することで、今後の更なる子育てサポートに貢献できる商品となりました。
シニア向けカテゴリーでは、介護食「バランス献立」からブランド初となる老舗日本料理店「なだ万」と共同開発した「バランス献立 なだ万監修」シリーズを展開しました。なだ万監修の具材や味わいにこだわった『バランス献立 なだ万監修 かに入り茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛と野菜の煮こごり』『バランス献立 なだ万監修 なめらか茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛だしの煮こごり風』の4品と「バランス献立」初めてのデザート商品となる『バランス献立 なだ万監修 やわらかようかん』『バランス献立 なだ万監修 和風黒糖プリン』『バランス献立 なだ万監修 なめらかかぼちゃプリン』の3品を発売しました。
サプリメントカテゴリーでは、「ディアナチュラ」ブランドで展開する「ディアナチュラスタイル」から、健康と美容のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for WOMEN』(20日分)と健康と活力のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for MEN』(20日分)により、男女にそれぞれ嬉しい成分が手軽に摂れるサプリメントを展開しました。また、「ディアナチュラゴールド」シリーズでは、2015年に開始されて以降年々市場が拡大傾向にある機能性表示食品制度に対応したサプリメント商品を展開し、好調に推移しております。『ディアナチュラゴールド 松樹皮由来ポリフェノール』は、悪玉(LDL)コレステロールが正常域で高めの方の悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能が報告されている機能性表示食品となっております。
スキンケア化粧品カテゴリーでは、「素肌しずく」ブランドより、ブランド初となるクレンジング商品『素肌しずく クレンジングジェル』『素肌しずく クレンジングミルク』の2品の大容量ポンプタイプを展開しました。
その他、新型コロナウイルスの感染対策・予防として、消毒用品を家庭や外出先で使用する方が増え、手指消毒剤市場が急激に拡大しています。国内製造の指定医薬部外品として、持ち運びにも便利な携帯タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒ジェル』と速乾性で置き型タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒液』を発売し、感染症対策・予防に取り組んでいる方のニーズに対応して参りました。
通信販売を手掛けるアサヒカルピスウェルネス㈱では、新しい取り組みとして、お客様のより良い腸内環境づくりをサポートし、健やかな毎日をお送りいただきたいとの想いから、腸内フローラのセルフチェックサービス「マイフローラ」を発売しました。また、機能性表示食品サプリメントの拡充も継続し、「CP2305ガゼリ菌」を配合し、精神的ストレス緩和、睡眠の質(眠りの深さ)の向上、腸内環境改善の3つの働きをサポートする商品としてメンタルサポート「ココカラケア」や、ものごとを忘れやすいと感じている健常な中高年の方向けに、酸乳由来の独自成分「ラクトノナデカペプチド」を配合した「すらすらケア」を発売しました。アサヒカルピスウェルネス㈱は2021年にはアサヒグループ食品㈱に統合され、お客様の健康的な暮らしを応援する商品の開発を更に強化していきます。
※1 資料出所:インテージSRI:みそ汁、吸物類フリーズドライ市場2018年7月~2020年6月メーカー別累計販売金額
[先端研究]
(健康素材)
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活かして、従来とは異なる健康機能を有する新たな素材の開発を行うとともに、微生物による発酵技術の展開、目的物質を量産的に高生産するための培養制御技術開発に取り組んでいます。具体的な研究成果のひとつとして、従来、日本酒をはじめとする酒類の発酵時に生み出される吟醸香や、果実の完熟香として知られていた香気成分であるカプロン酸エチルに安静状態における脂質代謝を増加させる働きがあることを初めて明らかとし、論文発表、特許出願を行いました。これは従来と異なり、代謝に働きかけることができるという独自性とともに、おいしさと健康の両方に寄与することの出来る素材であります。またアレルギー症状の緩和などについて既に論文発表を行っている、乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株について、メカニズムに関する論文発表を行うなど、免疫との関わりについての研究を進めており、コロナ禍においてその研究をさらに加速させています。
(開発イノベーション)
最先端の技術を積極的に取り入れ、非連続な技術革新にも挑戦しています。AI技術の活用もそのひとつです。例えば、AI技術を活用してパッケージングデザインを自動生成する「AIクリエーターシステム」を開発いたしました。従前は属人的であったデザインの世界に革新をもたらし、これまで思いつくことの出来なかったようなデザイン案の作成を容易に行うことを可能といたします。さらにこの技術と連動することの出来る、VRを活用した開発支援システムも開発しました。これらのシステムを組合せて用いることで、次々に作成される斬新なデザインを、実際に作成することなく、バーチャル空間内であたかも実際の店舗内の一商品として再現することが可能となり、様々なパターンを効率よく検証することができるようにいたしました。
従来から万全を期している食の安全については、これまでの「生ビール製造における微生物品質保証技術の開発」についての研究が認められ、当社研究員が「紫綬褒章」を受章しました。この分野では現在も、食品業界で他社に先駆けて次々世代シーケンサーであるナノポアシーケンサーの導入を果たし、国内・海外のグループ各社の品質保証体制の充実を図っています。
(環境価値創出)
アサヒグループ環境ビジョン2050達成に向けて、様々な取り組みを行っています。アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、CO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて環境省補助事業のもと開始し、メタンガスによる発電に成功しております。本発電システムで得られるエネルギーは完全にカーボンニュートラルなエネルギーとなります。もう一つの環境省補助事業として、日中に再生可能エネルギー(太陽光)を用いた水の電気分解により水素を貯蔵、夜間に水素発電して工場で使用できる蓄電技術を試験稼働し、最適なシステム設計を検討しています。また、敷地内にボイラーの排ガスからCO2を回収する試験設備を設置して性能評価を行っており、こちらについても順調に連続稼働を続けております。回収されたCO2は大気に放出されず、CO2排出量の削減に繋がります。現在、この回収された炭酸ガスのさらなる有用資源化についても検討を開始しています。また、昨今のプラスチック問題を踏まえて、ペットボトルのリサイクル技術やバイオ由来素材の実用化にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。
(新規事業)
グループ事業におけるシナジー効果の獲得、環境価値創出など社会課題の解決、また従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野を自社のポートフォリオへ加えること、を目的としてベンチャー企業への投資や協業を通じ、オープンイノベーションにも力を入れています。具体的には、コーヒー副産物に含まれる成分が農作物の凍霜害を防止することを見出した知見をもとに、ベンチャー企業と提携し、凍霜害防止剤の事業化を目指し、試験販売を実施しています。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献します。また、外部企業2社との協業により、グループ会社であるニッカウヰスキー㈱のシードルを作成する際に発生するりんご搾り残渣を発酵・蒸留することで、新たにリンゴエタノールの精製に成功いたしました。蒸留後の残渣は家畜の飼料として活用し、廃棄物を出さない循環型プロセスを実現しています。このリンゴエタノールは除菌ウェットシートとして協業先より販売されております。衛生への意識が高まり、除菌関連商品への需要が高まる中、環境へも配慮した商品として発売することが出来ました。今後さらに3社での連携を深め、化粧品や飲料などへのリンゴエタノールの有効活用を検討していきます。その他のグループから出てくる副産物の利活用として、ビール製造工程中の副産物であるビール粕の利活用についても外部企業との協業を軸に検討を進めています。また、食品業界で先駆的に導入していたComputer Aided Engineering(CAE)技術の豊富な経験を活かし、CAEソリューションサービスの試験事業を開始しています。これらの活動を通じて、非連続な成長を遂げるためのイノベーション創出を推進してまいります。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、13,189百万円です。そのうち酒類事業に係る研究開発費は2,978百万円、飲料事業に係る研究開発費は2,000百万円、食品事業に係る研究開発費は1,640百万円、国際事業に係る研究開発費は3,008百万円、その他の事業又は全社(共通)の研究開発費は3,561百万円です。
[酒類事業]
(商品開発関連)
アサヒビール㈱は、「スーパードライ」のブランドメッセージである「ビールがうまい。この瞬間がたまらない。」を訴求するビール飲用価値の再発見と特別な飲用体験を演出する様々な取り組みに注力致しました。特に素材や優良酵母のさらなる厳選、酸化を防ぐ取り組みや工場特性に合わせた醸造技術の最適化などあらゆる工程で改善に取り組んだ結果、当社の専門パネリスト※1による官能評価において過去最高の評価を獲得し、“スーパードライの史上最高のうまさ”を実現しました。“できたてのうまさ”を追求した商品『アサヒスーパードライ 鮮度実感パック』を年間6回発売し、“進化をとげたスーパードライ史上最高のうまさ。”を訴求したパッケージデザインのリニューアルを実施しました。また、限定醸造品を発売しました。『アサヒスーパードライ 北海道工場限定醸造』は北海道厚真産米を用いて北海道工場で製造し、北海道限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 東北復興応援缶』は岩手県産ホップと宮城県産の「希望の大麦」※2を一部使用し福島工場で製造、岩手県、宮城県、福島県限定で発売しました。『アサヒスーパードライ 福島工場限定醸造』は、福島県産米“天のつぶ”※3を用いて福島工場で製造し、福島県限定で発売しました。中元ギフト限定商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル爽涼(そうりょう)』を発売しました。「ジャパンスペシャル」の特長である国産原料100%のこだわりはそのままに、アルコール度数を5.5%から5%にすることで、爽快に飲みやすい味わいに仕上げました。また、通常よりも発酵度を上げた「高発酵醸造」を採用することで、「ジャパンスペシャル」の上質な飲みごたえに加え、清々しい後味を実現しました。歳暮ギフト限定の特別限定醸造商品は『アサヒスーパードライ ジャパンスペシャル 香り芳醇』を発売しました。国産原料100%のこだわりはそのままに、「ジャパンスペシャル」よりも高い濃度の麦汁で発酵させる「高濃度醸造」で、アルコール度数6%の飲みごたえと贅沢な余韻、芳醇な香りを実現しました。更には、ビール市場における若年層を中心としたターゲットに向けて飲用体験を創出する『アサヒスーパードライ ザ・クール』のリニューアルを行いました。ドイツ産ホップ「ポラリス」を原材料に使用し、当社独自のホップ配合技術を活用することで、苦味や渋みを抑えた冷涼感のある爽快なおいしさを実現しました。アルコール度数は5%から4%へ変更し、発酵度を調整することで、軽快な飲み口とビールらしい飲みごたえを両立しました。
その他限定商品として、特別限定醸造の生ビール『アサヒ ザ・ゴールド』は、ゴールデン麦芽とチェコザーツ産の最高級ホップを一部使用し発売しました。
発泡酒市場では、『アサヒスタイルフリー』のクオリティアップを行いました。『アサヒスタイルフリー』は、すっきり爽快な飲みやすさとしっかりとした麦の味わいが特長の“糖質ゼロ※4”の発泡酒です。今回のクオリティアップでは、麦の風味豊かなミュンヘン麦芽を原材料として新たに採用することで、麦の豊かな味わいや“ビールらしい”本格的な飲みごたえを高めました。
新ジャンル市場では、“プレミアムビールのような上質さ、贅沢感”を目指した『アサヒ ザ・リッチ』を新発売しました。当社新ジャンル商品として最大級※5の原麦汁エキス濃度にすることで、コク深い味わいを実現しました。醸造の仕込み工程では、煮沸に使用する蒸気の注入時間を可能な限り低減させる「微煮沸製法」をアサヒビールで初めて採用し、煮沸開始時と終了時の合計数分程度だけ蒸気を注入しました。蒸気の注入時間を分単位で制御管理することで、十分な殺菌と麦の芳醇な香りの担保を両立しました。
また、『クリアアサヒ』はクオリティアップを行いました。原材料の配合を見直し、『クリアアサヒ』史上最高の後キレを実現することで“ゴクゴク飲める”味わいを実現しました。季節限定商品は、春限定商品『クリアアサヒ 桜の宴』はアロマホップのモチュエカ、アマリロ、マンダリナババリアを一部使用し、「クリアアサヒ」ならではの“爽快な飲みごたえ”はそのままに、3種のホップ由来の華やかな香りで春らしい味わいに仕上げました。夏限定商品『クリアアサヒ 夏日和』は、冷涼感を感じられる香料を使用することで、冷たくひんやりとした爽快な刺激とキレを実現しました。秋限定商品『クリアアサヒ 秋の宴』は、ローストした麦芽を一部使用し麦の香りを引き出す仕込み技術を採用することで、秋らしい焙煎香としっかりとしたコクのある味わいを実現しました。冬限定商品『クリアアサヒ 冬の旨口』は、原麦汁エキス濃度を高め、発酵度をやや低くすることで、コクのあるまろやかな味わいを実現しました。更に地域限定商品『クリアアサヒ 北海道の恵み』『クリアアサヒ 東北の恵み』を発売しました。 『クリアアサヒ』は2008年の発売以来、「すっきり・爽快・キレ」を求めるお客さまのニーズに応える商品として継続的に品質価値向上に取り組んでおり、今回のクオリティアップを通じて新ジャンルの主力ブランド『クリアアサヒ』の飲用価値向上に取り組みました。
その他、『アサヒ 極上』はクオリティアップを実施し、中味特長の“冴えるキレ”はそのままに、ホップの使用量を増やし、心地よい苦みによるビールらしい飲みごたえを強化しました。『アサヒ オフ』は、スパイシーでフローラルな香りを特長とするホップの使用量を増やすなど、ホップの配合を見直すことでビールらしい厚みのある味わいや香りを強化しました。糖質やプリン体などに配慮したビール類は、特に健康を気にするビール類飲用者の方々から高い支持を得ています。
ビールテイスト清涼飲料市場では、『アサヒドライゼロ』のクオリティアップを行いました。「ドライゼロ」の特長である“キレ”はそのままに、麦の香りを感じられる香料を使用することで、よりビールらしい味わいを実現しました。その他限定商品として『アサヒドライゼロ スペシャルパッケージ』『アサヒ ドライゼロサマーショット』を発売しました。
RTD※6市場では、レモン本来の風味と香りを追求したチューハイの新商品『アサヒ ザ・レモンクラフト 極上レモン』『アサヒ ザ・レモンクラフト グリーンレモン』を発売しました。原材料に5種類のレモン素材※7を贅沢に使用することで、レモンのさわやかでみずみずしい風味と、深みと飲みごたえが調和され、豊かな果実味をお楽しみいただけます。製造工程では、レモンの香りをより際立たせるため、アサヒビールで初めて「レモンオイル滴下技術」を導入しました。バーテンダーがカクテルをつくるときに、レモンの果皮を指先でひねり、そこに含まれるオイル分で香りづけする技法から着想したものです。缶容器一本ずつにオイルを0.01秒の高速で添加する新製法を確立することにより、レモンオイルで香りがあふれるチューハイに仕上げました。さらに、レモンの香りを最大限に味わっていただくよう、容器は口の広いボトル缶を採用しました。キャップと液面の間に含まれるレモン香気成分の濃度を高めたことで、キャップを開けた瞬間に豊かなレモンの香りが広がります。
また、『樽ハイ倶楽部レモンサワー』『樽ハイ倶楽部大人のサワー』を発売しました。「樽ハイ倶楽部」は、1984年にニッカウヰスキー社と共同開発し、2019年末現在で約13万店の飲食店で取り扱われており、35年以上の歴史がある人気のブランドです。今回発売した『樽ハイ倶楽部レモンサワー』は、レモンとウォッカをバランス良く配合した、アルコール度数8%のレモンサワーです。『樽ハイ倶楽部大人のサワー』は、ほのかな柑橘の風味が感じられるアルコール度数8%のプレーン味のサワーです。そのまま飲んでも、柑橘系のフルーツなどを組み合せても楽しめます。
『アサヒ贅沢搾り』はリニューアルを実施し、全フレーバーで“本物の果物をまるごとかじったような味わい”を目指し、開けた瞬間からより果実の香りを感じられるよう香り立ちをアップさせました。“果汁量”はそのままに、フレーバーごとに原材料の配合比率を見直し、より本物の果物を食べたときのような味わいを実現しました。追加フレーバーとして『アサヒ贅沢搾りぶどう』を通年発売しました。また、「贅沢搾りプラス」シリーズとして、「贅沢搾り」の“果物をまるごとかじったような味わい”というコンセプトはそのままに、果物以外のものを組み合わせることで、“果物を起点とした新しいお酒の楽しみ方”を提案しました。『アサヒ贅沢搾りプラス 柑橘ミックスヨーグルトテイスト』『アサヒ贅沢搾りプラス ベリーミックスヨーグルトテイスト』を通年商品として発売、限定商品として『アサヒ贅沢搾りプラス期間限定レモンとはちみつ』を発売しました。
『アサヒもぎたて』は『アサヒもぎたてSTRONG』としてリニューアルし、6フレーバー、計12アイテムを通年商品として発売しました。その他、『ニッカ淡麗辛口ハイボール』『ウィルキンソン・ハイボール』『アサヒチューハイ果実の瞬間』『カルピスサワー』『アサヒカクテルパートナー』などでリニューアル(クオリティアップ)や季節限定商品を発売しました。
サワーテイスト清涼飲料※8市場においては、機能性表示食品である「アサヒスタイルバランス」の基幹フレーバーとして『アサヒスタイルバランス カシスオレンジテイスト』を発売しました。1缶あたり1000㎎のコラーゲンを配合したサワーテイスト清涼飲料です。「アサヒスタイルバランス」の特長である“アルコール0.00%”“カロリーゼロ※4”“糖類ゼロ※4”はそのままに、カシスとオレンジの風味でしっかりとした甘味と酸味実現しました。その他期間限定商品も発売しました。
ウイスキー市場では、『竹鶴ピュアモルト』『シングルモルト余市 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ』『ニッカ セッション』のリニューアル及び数量限定で発売しました。
焼酎市場では焼酎甲類乙類混和売上No.1ブランド「かのか」から『麦焼酎 かのか 吟麗すっきり仕立て』『麦焼酎 琥珀かのか』の限定商品の発売と、季節限定商品を発売しました。
ワイン市場では、『サントネージュ 酸化防止剤無添加のやさしいワイン サングリア』を発売しました。また『ニッカ シードル紅玉リンゴ』『ニッカシードル トキりんご』『ニッカ シードルヌーヴォスパークリング2020』を期間限定で発売しました。
※1:特別な訓練を積み、官能試験を突破した味覚のスペシャリストです。全国に約80名おり、研究所と全8工場に配置されています。
※2:「希望の大麦」は、(一社)東松島みらいとし機構(HOPE)とアサヒグループの協働プロジェクト「希望の大麦プロジェクト」により誕生しました。本プロジェクトは、宮城県東松島市の被災した土地で栽培した「大麦」を通じて、地域に「なりわい」と「にぎわい」を創出することを目指しています。
※3:“天のつぶ”は、福島県が15年の歳月をかけて開発した品種で、穂が出るときに天に向かってまっすぐ伸びる稲の力強さと、天の恵みを受けて豊かに実る一粒一粒のお米をイメージして命名されました。粒ぞろいが良く、光沢があり、しっかりとした食感が楽しめるお米です。出典:うつくしま、ふくしま米情報センターHP引用。
※4:食品表示基準による。以下同様。
※5:発泡酒をベースとした当社「リキュール(発泡性)①」(限定商品を除く)における原麦汁エキス濃度の比較において。
※6:「Ready to Drink」の略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※7:レモンオイル/グリーンレモンオイル、旬果レモンスピリッツ、凍結レモンピールエキス、瀬戸内産レモンエキス、シチリア産レモン果汁。
※8:ノンアルコールでサワーやカクテルのような味わいを楽しめる清涼飲料の総称です。
(技術開発関連)
中味開発において、『麦焼酎 かのか 25度』が、International Taste Institute(以下、ITI)※1の世界的な食品・飲料品のコンテストにおいて、“極めて優秀”と認められた製品に贈られる、最高レベルの優秀味覚賞“三ツ星”を4年連続で受賞しました。
容器包装分野では、環境に配慮したパッケージ開発の一環として業界最軽量となる取手付き4リットルPETボトルを開発しました。これまで使用していた容器より1本あたり31.5gのプラスチック樹脂を削減し、約22%の軽量化を実現しました。これによりプラスチック使用量は年間で37.8t、CO2排出量は年間で約90t削減できる見込みです。本資材は焼酎ブランド「かのか」で使用します。今回開発したPETボトルは、強度などの製品品質を確保しながら、PETボトル全体のプラスチック使用量を減らすことで軽量化を図りました。
また、食べられるコップ「もぐカップ」を株式会社丸繁製菓と共同開発しました。「もぐカップ」は国産のじゃがいもでん粉が原料の飲料容器です。高温高圧で原料を焼き固めることにより、耐水性を向上させ、中に入れた液体が漏れにくくなります。容器自体にそれぞれ味付けをし、飲み物や食べ物との組み合わせを楽しめるよう工夫しています。使い捨てプラスチック問題に関心が集まる中、「もぐカップ」を展開することで、“使い捨て容器”から“使い食べ容器”という新しい食のライフスタイルを提案します。
研究・技術開発分野では、パナソニックの開発した「高濃度セルロースファイバー成形材料」※2を活用した世界初※3のエコカップ「森のタンブラー」(愛称「森タン」)が、2020年度「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞しました。「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」は、循環型社会の形成の推進に資することを目的として、2006年度に環境省によって設けられました。この制度は、廃棄物の発生量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の適切な推進に顕著な功績があった個人、企業、団体を表彰し、その功績をたたえるものです。今回「森のタンブラー」は、有機資源を55%以上使用した原材料を活用しているという技術的な先進性と、その新規性が高く評価され、受賞しました。アサヒビールが「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞するのは、今回が初めてです。また、株式会社オルタナが主催する「サステナブル・セレクション」において二ツ星を獲得しました。「サステナブル・セレクション」は、エコ・エシカル・グリーン・サーキュラーエコノミーなど、サステナブル(持続可能)な手法で開発された製品・サービス・ブランドを選定して紹介する仕組みです。今回「森のタンブラー」は、地域の余剰産物を活用して、地域オリジナルの「森のタンブラー」を製造する地産地消の取り組みが高く評価され、二ツ星を獲得しました。その他、世界的に権威あるデザイン賞「iFデザインアワード2020」を受賞しました。パナソニックとの共同受賞で、アサヒビールとして「iFデザインアワード」は初の受賞となります。「iFデザインアワード」は、ドイツ・ハノーバーに本拠地をおくインターナショナルフォーラムデザインが主催するデザイン賞で、1953年に設立されました。優れたデザインの証として世界で最も認知されているデザインアワードです。賞は、プロダクト、コミュニケーション、パッケージ、サービスデザイン、建築、インテリア・内装、プロフェッショナルコンセプトの7分野で構成されています。本年は、56か国からエントリーされた7,298件の応募デザインから厳正な審査を経て受賞作品が決定しました。その他、第7回ソーシャルプロダクツ・アワード2020」において「生活者審査員賞」を受賞しました。「森のタンブラー」は、使い捨てプラスチックカップ削減のために“マイカップ”としての使用を提案しているエコカップです。CO2排出量増加による気候危機や使い捨てプラスチックによる海洋汚染などの社会課題を解決し持続可能な世界を実現するために、“使い捨て”という消費行動を変革していくことを目的とした取り組みです。今後は生産体制の構築と一般への販売体制を確立し、持続可能な事業を創出していきます。
※1:International Taste Instituteは、ベルギーブリュッセルに本部を置き、世界中の食品や飲料品の味覚を審査し、優れた製品を表彰・プロモーションする機構です。審査員はヨーロッパで最も権威ある15の調理師協会および国際ソムリエ協会(ASI)に属する一流シェフやソムリエで構成されています。
※2:パナソニック㈱が独自に開発したナノ~マイクロに微細化されたパルプ成分を55%以上含有する新開発の樹脂です。同社独自の金型・樹脂成形技術により、独特の風合いと強度を実現できます。パナソニックが受託した環境省の委託業務(2015年度~2017年度セルロースナノファイバー製品製造工程におけるCO2排出削減に関する技術開発)で得られた成果を活用しています。
※3:当社調べ
[飲料事業]
(商品開発関連)
アサヒ飲料㈱は「炭酸カテゴリーの強化と新価値創造商品の投入で、業界のリーディングカンパニーを目指す」との方針のもと、これまでに磨いてきた強みを活かし、「三ツ矢」「ウィルキンソン」などの炭酸カテゴリーの強化と、「カルピス」ブランド等への新価値創造商品の投入によりさらなる成長を目指しております。また、「健康」「環境」「地域共創」といった社会的価値の向上に向けた取り組みを強化し、お客様に「100年のワクワクと笑顔を。」を約束する企業として、業界におけるリーディングカンパニーを目指しております。
研究開発部門においては、「三ツ矢」、「ウィルキンソン」、「カルピス」、「ワンダ」、「十六茶」、「おいしい水」の6つの重点ブランドについて、ブランド価値向上、および新規領域の強化に取り組んで参りました。
「三ツ矢」ブランドにおいては、2020年特別限定復刻シリーズとして、「『三ツ矢サイダー』レモラ」、「『三ツ矢サイダー』シルバー」、「『三ツ矢サイダー』ライト」、「『三ツ矢サイダー』クラシック」の4品を開発しました。オリジナルの良さを生かしながら現代風の味にアレンジしたことで「三ツ矢サイダー」の歴史を感じて頂くとともに爽やかなおいしさを体感頂くことでさらなるブランド価値の向上を図りました。また、有糖炭酸飲料に対する「さっぱりしたい」「リフレッシュしたい」といったニーズに応えるため、本格的な果実の味わいや爽やかな酸味を追求した「『三ツ矢』特濃」シリーズとして「『三ツ矢』特濃オレンジスカッシュ」、「『三ツ矢』特濃グレープフルーツスカッシュ」など4品を展開しました。一方で、「三ツ矢」136年の歴史で初のゼリー商品となる、「『三ツ矢サイダー』ゼリー」、暑い夏の健康的な生活のサポートに適した「三ツ矢」史上最高に酸っぱい「『三ツ矢』アセロラ」といった製品も開発し、多様な消費者のニーズに対応して参りました。
「ウィルキンソン」ブランドにおいては、ブランドロイヤリティの強化と新規ユーザーの拡大を目指し、「『ウィルキンソン タンサン』ピーチ」、「『ウィルキンソン タンサン』マスカット」といった炭酸水市場においては新奇性の高いフレーバー展開を実施しました。また、多様な飲用シーンに合わせてマルチパック商品の展開や環境配慮への取り組みとしてECチャネル向けのレベルレス商品を展開しました。新商品の売上が大きく寄与し、過去最高の売り上げを更新するとともに、炭酸飲料販売一億函を達成する事ができました。
「カルピス」ブランドでは、希釈して飲用するコンクタイプ、そのまま飲用するストレートタイプ、炭酸タイプにおいて、季節ごとに様々な種類の果実と「カルピス」を組み合わせた新商品を数多く展開しました。また他発酵素材との組み合わせによる新しい味わいが楽しめる「発酵BLEND」シリーズ、ホットで楽しむ「ほっとカルピス」と幅広い味わいを提案しました。
さらに本年度は乳原料を使用せず豆乳で作った、乳アレルギーを持つ方でも安心して「カルピス」の味わいを楽しむことが出来る、「GREEN CALPIS」を開発・発売し、高い評価を頂きました。
「ワンダ」ブランドでは、ボトル缶市場への継続的な商品展開と、伸長傾向にある無糖ブラックコーヒー市場に新商品を投入しました。
ボトル缶市場に向けては、昨年に引き続き「ワンダ 極」シリーズを積極的に展開し、「微糖」、「ブラック」、「カフェオレ」に加えて「老舗珈琲店の甘くないラテ」を発売し、飲用機会の拡大を図りました。
また、“極限の苦み”と“コク”に爽やかな後味を実現した、新感覚のブラックコーヒー「『X-BITTER』ブラック」を発売。働き方改革の推進に伴う、短時間での“気分の切り替え”ニーズへの提案を進めました。
「十六茶」ブランドにおいては、「アサヒ 十六茶」が2005年から「カフェインゼロ」として生まれ変わり、2020年で16年目をむかえました。2020年は、東洋健康思想に基づく、複数の素材をブレンドした独自のおいしさと健康価値を改めて感じていただけるように中味・パッケージともに一新しました。主原料の配合と焙煎を見直し、より後味すっきりで飲み飽きない味わいを実現しました。
また、健康機能価値を付与した「十六茶プラス」シリーズを展開。内臓脂肪、脂肪、糖のトリプルヘルスクレームの機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』3つのはたらき」、「ストレスを和らげる」「睡眠の質を高める」効果を持つL-テアニンを配合した機能性表示食品「『アサヒ 十六茶プラス』やすらぎブレンド」を発売しました。その他、「十六茶麦茶」、「十六茶ジャスミン」を展開し、「十六茶」ブランドの飲用機会拡大を図りました。
「おいしい水」ブランドにおいては、「ラベルレス」ボトルの更なる販売拡大を図ることで、環境負荷低減という新たな価値の提供を進めて参ります。
また、海外展開の取り組みとして、台湾においては、「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ワンダ」ブランド、「三ツ矢」ブランド、「ウィルキンソン」ブランド、「ほっとレモン」を展開しております。「カルピス」ブランド、「十六茶」ブランド、「ほっとレモン」は現地の嗜好に合わせた現地製造品を展開しております。2020年より、米国のCALPIS BEVERAGE U.S.A., INC.がアサヒ飲料㈱の子会社となり、従来の「CALPICO」ブランドに加え、「十六茶」ブランドもラインナップに加え、展開を開始いたしました。
また、新規領域の強化については、コロナ禍において、社会として健康意識が高まる中、日本中のみなさまが毎日の「飲みもの」を通じて、ココロもカラダも健康になれる事を目指し、健康課題解決に向けた取り組みを推進しています。
その中で、アサヒグループ独自の確かなエビデンスを有した素材を使用した製品の開発や、「安全」「安心」といった各ブランドがもつベーシックな「健康」価値の訴求を強化することで、「アサヒ飲料㈱=健康に強みを持つ会社」というイメージの醸成を目指して積極的な取り組みを実施しています。
“ココロとカラダの健康”に関して、本年も継続して「炭酸水」のもつ健康効果の解明に取り組みました。理化学研究所 水野敬先生との取り組みでは、炭酸水を継続的に飲用することにより抗疲労をはじめ様々な健康効果があることがわかってきました。「炭酸水」の健康効果を明らかにする研究はまだ始まったばかりで今後の研究成果に期待が持たれます。引き続き21年度も力を入れて推進していく予定にしています。
また、本年は発売30周年を迎える「カルピスウォーター」の飲用により気分にどのような変化が起こったかについて理化学研究所 片岡洋祐先生の技術指導のもと「KOKOROスケール」※1で試験を行いました。「カルピスウォーター」を飲むと「爽やかな気分」や「ココロが満たされる」方向に気分が高まることを科学的に明らかにすることができました。
これらの結果を活用することで、お客様にとってアサヒ飲料㈱の商品は確かな価値ある商品であることの理解促進と満足度を高めて参ります。
“カラダの健康”に関しては、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズとして、100mlの小型PETボトルの展開を進めて参りました。「L-92乳酸菌」を配合した「守る働く乳酸菌」に加え、機能性表示食品として、「ストレス・睡眠」、「腸内環境改善」領域では「ガセリ菌CP2305株」を機能性関与成分とした「届く強さの乳酸菌W(ダブル)」、「血圧」領域では「ラクトトリペプチド(VPP、IPP)」を機能性関与成分とした「『アミール』やさしい発酵乳仕立て」、「体脂肪」領域では「乳酸菌CP1563株由来10-ヒドロキシオクタデカン酸(10-HOA)」を機能性関与成分とした「ラクトスマート」を展開しております。
また本年、植物ミルクを使用した「PLANT TIME」シリーズを発売いたしました。豆乳を使用した「SOY MILK TEA」と「SOY LATTE」の2品展開で、ナチュラル志向のお客様に向け提案いたしました。
今後ともアサヒグループの確かなエビデンスに裏打ちされた機能性素材や素材活用技術を用いて、新たな健康価値の提案を目指し、積極的な研究開発を推進して参ります。
※1 KOKOROスケール:個人の主観的な気分を時間・場所を選ばずスマートフォンなどで簡単に入力できる、理化学研究所が開発した気分測定ツール。
(技術開発関連)
製品、工程、ご指摘品解析に必要な安全・安心技術(新規分析技術、解析技術)の拡充と、品質に影響を及ぼす微生物の検出技術、同定技術、静菌技術の研究について継続して取り組んで参りました。これまでの研究成果が認められ、「カルピスの乳酸菌科学」シリーズに活用している当社独自開発技術である「清涼飲料水中に添加した殺菌乳酸菌体の菌株判別手法の開発」に関する研究発表が2020年度日本清涼飲料研究会賞を受賞しました。
環境配慮型の容器包装開発においては、持続可能な容器包装の実現に向けて制定した「容器包装2030」に基づき、リサイクルPETおよび、原料の一部にバイオマス素材を使用したPETの各種容器へ採用拡大に向けた評価を行いました。また、プラスチック使用量削減に貢献するラベルレス商品の拡大に向け、従来ラベルに印刷されていたリサイクルマークをPETボトル自体に刻印表示するよう設計変更、評価を行い、「ウィルキンソン」、「おいしい水」に展開しました。さらに、カットテープと呼ばれる開封用プラスチックテープを無くしつつ、開封性を維持できる段ボールケースの展開等、ユーザビリティを両立可能な段ボールケースの開発を行いました。
マーケティング戦略と連動した容器包装開発では、植物性ミルクを使用した「PLANT TIME」専用の新規PETボトル開発において、ターゲットである女性の視点を重視し、女子美術大学と共同で制作に取り組みました。ユーザビリティ向上のため、持ちやすさやカバンにいれやすい形状を追求すると共に、商品コンセプトから想起される“植物素材がからだになじむ”“内側から輝かせてくれる”といったイメージを具現化するデザインを検討しました。また、容量増が求められる商品への対応として、「ドデカミン」PET600mlボトル、ホット販売対応PET480mlボトル等の開発を行いました。
[食品事業]
(食品開発関連)
アサヒグループ食品㈱は「多様化するライフスタイルを見据えた主要ブランドの新価値提案により、新たな需要を創出し、アクティブな生活をサポートする」の方針のもと、主要ブランドを中心に商品ラインアップの強みを生かし、お客様のさらなる満足を追求しています。
「ミンティア」ブランドは、タブレット菓子としてのおいしさや、食感、パッケージに至るまで全てにこだわった多彩な商品ラインアップの提案を通して年々好調に売上を拡大しています。2020年は、新型コロナウイルス感染拡大防止の取組みに伴い、新しい生活様式が求められている中、「ミンティア」の本質価値である“リフレッシュ”を強みに、オフィス勤務をはじめ、マスク着用時やテレワーク時などにも対応した広告・販促施策を統合的に展開し、これからの時代の新しいリフレッシュシーンを訴求したTV/Web CMを全国でオンエアいたしました。また、フレーバーチップをこれまでより多い18%配合し、片手でも両手でもジッパーをずらして開けられる特殊技術を採用した『ミンティアテイスティ ベリー&ベリー』、ミンティアブランドとして初となる「コーヒー」を用いた『ミンティアコーヒー』、必須アミノ酸「BCAA」を用いた『ミンティア フローズンシトラス』など、タブレットの新たな喫食シーンの創出を図る新価値提案商品の発売にも多数取り組みました。
「キャンディ」では、国内大手の声優事務所に所属する39名の声優にインタビューを行う事でのど飴の共同開発を実施し、味やパッケージ・ネーミングに至るまで声のプロが納得する、声のプロ公認ののど飴『うるおいボイスのど飴』を発売し、のどの潤いをサポートする商品を提案しました。
小袋タブレット市場は持ち運びに便利なサイズであることや各社の新商品投入などにより、大きく伸長しています。4粒で1日分のビタミンCとコラーゲン40mgが摂れる栄養機能食品(ビタミンC)のタブレット菓子 『タブレットサプリ1日分のビタミンC』、「濃ーい」ブランドから栄養機能食品(ビオチン)の『濃ーいブルーベリータブレット』、3粒当たりに乳酸菌142億個・ビタミンC600mgを配合した『そなえるカラダタブレット』『そなえるカラダタブレット(小袋)』を発売し、お客様の健康をサポートするとともに、タブレット菓子のユーザー層や喫食機会の拡大を図りました。
健康食品カテゴリーにおいて、伸長しているプロテイン市場に向け「1本満足バー プロテイン」シリーズからフルーツフレーバー『1本満足バー プロテインストロベリー』を発売しました。また、「クリーム玄米ブラン」では1製品当たりたんぱく質10gを配合した『クリーム玄米ブラン ブルーベリー』『クリーム玄米ブラン カカオ』『クリーム玄米ブラン クリームチーズ』『クリーム玄米ブラン メープル』にリニューアルし、忙しい朝の栄養補給にピッタリの“たんぱく栄養食”として訴求をいたしました。
カップスープカテゴリーでは、近年著しく伸長している糖質コントロール市場向けに、寒天とコンニャクで作った麺が入った「おどろき麺0(ゼロ)」シリーズを発売しております。2020年はシリーズ展開として、カップに麺と水を入れ約5分待ち、水を切るだけで糖質ゼロの麺ができあがる『汁なし麺0(ゼロ)中華醤油』『汁なし麺0(ゼロ)胡麻だれ』を発売しました。お湯を沸かす必要がなく、水で麺を戻すことで夏に嬉しいヒンヤリとした汁なし麺を作ることができ、小腹満たしの軽食や糖質が気になる方の「手軽に糖質をコントロールしたい」というニーズに応えました。
「アマノフーズ」ブランドのフリーズドライ食品カテゴリーでは、健康志向の高まりに対応した「健康応援」シリーズ商品として『うちのおみそ汁 しょうがと長ねぎ5食』『うちのおみそ汁 ごぼうとえのき5食』を新たに追加しました。「アマノフーズ」ブランドの主力である「いつものおみそ汁」シリーズの全面リニューアルを行い、同時に新商品『いつものおみそ汁 小松菜』『いつものおみそ汁 里いも』『減塩いつものおみそ汁 ほうれん草』3品を追加し、フリーズドライみそ汁・お吸いもの市場売上No.1メーカー※1として、お客様の更なるフリーズドライの利用機会拡大に取り組んでいます。また「Theうまみ」シリーズをリニューアルし、化学調味料を使用しないこだわりの オリジナルレシピで素材と具材のうまみを楽しむことに注力した即席スープの『Theうまみ 揚げなすの完熟トマトスープ』『Theうまみ ねばねば具材の和風スープ』2品を発売し、お客様の毎日の食卓に健やかで笑顔のある食生活を提案しました。
「和光堂」ブランドのベビーフードカテゴリーでは、おうち時間が増えたことで、増加した手作りニーズに向けて「1食分の野菜入り そのまま素材」シリーズを新展開しました。野菜やたんぱく素材を月齢に合わせたサイズにカットしているため、加熱するだけで離乳食の下ごしらえの負担を減らすことができる商品となっております。また、手軽に作れる初のおやきシリーズとして『赤ちゃんのやさしいおやきミックス にんじんとほうれん草』『赤ちゃんのやさしいおやきミックス 鶏レバーとかぼちゃ』を展開しました。さらに、ご好評頂いている「はじめてのシリアル」シリーズから『はじめてのシリアル 緑黄色野菜といちごヨーグルト』を発売し、これまでの鉄・カルシウム・食物繊維に加え、シリーズとしては初めての乳酸菌を配合することで、今後の更なる子育てサポートに貢献できる商品となりました。
シニア向けカテゴリーでは、介護食「バランス献立」からブランド初となる老舗日本料理店「なだ万」と共同開発した「バランス献立 なだ万監修」シリーズを展開しました。なだ万監修の具材や味わいにこだわった『バランス献立 なだ万監修 かに入り茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛と野菜の煮こごり』『バランス献立 なだ万監修 なめらか茶碗蒸し』『バランス献立 なだ万監修 鯛だしの煮こごり風』の4品と「バランス献立」初めてのデザート商品となる『バランス献立 なだ万監修 やわらかようかん』『バランス献立 なだ万監修 和風黒糖プリン』『バランス献立 なだ万監修 なめらかかぼちゃプリン』の3品を発売しました。
サプリメントカテゴリーでは、「ディアナチュラ」ブランドで展開する「ディアナチュラスタイル」から、健康と美容のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for WOMEN』(20日分)と健康と活力のサポートを目的とした『ディアナチュラスタイル ALL for MEN』(20日分)により、男女にそれぞれ嬉しい成分が手軽に摂れるサプリメントを展開しました。また、「ディアナチュラゴールド」シリーズでは、2015年に開始されて以降年々市場が拡大傾向にある機能性表示食品制度に対応したサプリメント商品を展開し、好調に推移しております。『ディアナチュラゴールド 松樹皮由来ポリフェノール』は、悪玉(LDL)コレステロールが正常域で高めの方の悪玉(LDL)コレステロールを下げる機能が報告されている機能性表示食品となっております。
スキンケア化粧品カテゴリーでは、「素肌しずく」ブランドより、ブランド初となるクレンジング商品『素肌しずく クレンジングジェル』『素肌しずく クレンジングミルク』の2品の大容量ポンプタイプを展開しました。
その他、新型コロナウイルスの感染対策・予防として、消毒用品を家庭や外出先で使用する方が増え、手指消毒剤市場が急激に拡大しています。国内製造の指定医薬部外品として、持ち運びにも便利な携帯タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒ジェル』と速乾性で置き型タイプの『ハンドクリン アサヒ 手指の消毒液』を発売し、感染症対策・予防に取り組んでいる方のニーズに対応して参りました。
通信販売を手掛けるアサヒカルピスウェルネス㈱では、新しい取り組みとして、お客様のより良い腸内環境づくりをサポートし、健やかな毎日をお送りいただきたいとの想いから、腸内フローラのセルフチェックサービス「マイフローラ」を発売しました。また、機能性表示食品サプリメントの拡充も継続し、「CP2305ガゼリ菌」を配合し、精神的ストレス緩和、睡眠の質(眠りの深さ)の向上、腸内環境改善の3つの働きをサポートする商品としてメンタルサポート「ココカラケア」や、ものごとを忘れやすいと感じている健常な中高年の方向けに、酸乳由来の独自成分「ラクトノナデカペプチド」を配合した「すらすらケア」を発売しました。アサヒカルピスウェルネス㈱は2021年にはアサヒグループ食品㈱に統合され、お客様の健康的な暮らしを応援する商品の開発を更に強化していきます。
※1 資料出所:インテージSRI:みそ汁、吸物類フリーズドライ市場2018年7月~2020年6月メーカー別累計販売金額
[先端研究]
(健康素材)
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、グローカルな独自価値創造の源泉となることを長期ビジョンに掲げ、研究開発を推進しています。その中で、酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活かして、従来とは異なる健康機能を有する新たな素材の開発を行うとともに、微生物による発酵技術の展開、目的物質を量産的に高生産するための培養制御技術開発に取り組んでいます。具体的な研究成果のひとつとして、従来、日本酒をはじめとする酒類の発酵時に生み出される吟醸香や、果実の完熟香として知られていた香気成分であるカプロン酸エチルに安静状態における脂質代謝を増加させる働きがあることを初めて明らかとし、論文発表、特許出願を行いました。これは従来と異なり、代謝に働きかけることができるという独自性とともに、おいしさと健康の両方に寄与することの出来る素材であります。またアレルギー症状の緩和などについて既に論文発表を行っている、乳酸菌ラクトバチルス・アシドフィルス L-92株について、メカニズムに関する論文発表を行うなど、免疫との関わりについての研究を進めており、コロナ禍においてその研究をさらに加速させています。
(開発イノベーション)
最先端の技術を積極的に取り入れ、非連続な技術革新にも挑戦しています。AI技術の活用もそのひとつです。例えば、AI技術を活用してパッケージングデザインを自動生成する「AIクリエーターシステム」を開発いたしました。従前は属人的であったデザインの世界に革新をもたらし、これまで思いつくことの出来なかったようなデザイン案の作成を容易に行うことを可能といたします。さらにこの技術と連動することの出来る、VRを活用した開発支援システムも開発しました。これらのシステムを組合せて用いることで、次々に作成される斬新なデザインを、実際に作成することなく、バーチャル空間内であたかも実際の店舗内の一商品として再現することが可能となり、様々なパターンを効率よく検証することができるようにいたしました。
従来から万全を期している食の安全については、これまでの「生ビール製造における微生物品質保証技術の開発」についての研究が認められ、当社研究員が「紫綬褒章」を受章しました。この分野では現在も、食品業界で他社に先駆けて次々世代シーケンサーであるナノポアシーケンサーの導入を果たし、国内・海外のグループ各社の品質保証体制の充実を図っています。
(環境価値創出)
アサヒグループ環境ビジョン2050達成に向けて、様々な取り組みを行っています。アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、CO2排出量削減の新たなモデルとして、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を、アサヒビール茨城工場にて環境省補助事業のもと開始し、メタンガスによる発電に成功しております。本発電システムで得られるエネルギーは完全にカーボンニュートラルなエネルギーとなります。もう一つの環境省補助事業として、日中に再生可能エネルギー(太陽光)を用いた水の電気分解により水素を貯蔵、夜間に水素発電して工場で使用できる蓄電技術を試験稼働し、最適なシステム設計を検討しています。また、敷地内にボイラーの排ガスからCO2を回収する試験設備を設置して性能評価を行っており、こちらについても順調に連続稼働を続けております。回収されたCO2は大気に放出されず、CO2排出量の削減に繋がります。現在、この回収された炭酸ガスのさらなる有用資源化についても検討を開始しています。また、昨今のプラスチック問題を踏まえて、ペットボトルのリサイクル技術やバイオ由来素材の実用化にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。
(新規事業)
グループ事業におけるシナジー効果の獲得、環境価値創出など社会課題の解決、また従来のバリューチェーンを脅かす可能性のある分野を自社のポートフォリオへ加えること、を目的としてベンチャー企業への投資や協業を通じ、オープンイノベーションにも力を入れています。具体的には、コーヒー副産物に含まれる成分が農作物の凍霜害を防止することを見出した知見をもとに、ベンチャー企業と提携し、凍霜害防止剤の事業化を目指し、試験販売を実施しています。この取組みにより、グループ内の飲料工場から排出されるコーヒー副産物を有効活用しながら、安定的な農作物収穫に貢献します。また、外部企業2社との協業により、グループ会社であるニッカウヰスキー㈱のシードルを作成する際に発生するりんご搾り残渣を発酵・蒸留することで、新たにリンゴエタノールの精製に成功いたしました。蒸留後の残渣は家畜の飼料として活用し、廃棄物を出さない循環型プロセスを実現しています。このリンゴエタノールは除菌ウェットシートとして協業先より販売されております。衛生への意識が高まり、除菌関連商品への需要が高まる中、環境へも配慮した商品として発売することが出来ました。今後さらに3社での連携を深め、化粧品や飲料などへのリンゴエタノールの有効活用を検討していきます。その他のグループから出てくる副産物の利活用として、ビール製造工程中の副産物であるビール粕の利活用についても外部企業との協業を軸に検討を進めています。また、食品業界で先駆的に導入していたComputer Aided Engineering(CAE)技術の豊富な経験を活かし、CAEソリューションサービスの試験事業を開始しています。これらの活動を通じて、非連続な成長を遂げるためのイノベーション創出を推進してまいります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00394] S100L1BN)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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