有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100QLQO (EDINETへの外部リンク)
ダイドーグループホールディングス株式会社 事業等のリスク (2023年1月期)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況などに重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント体制
当社グループでは、企業理念に基づく経営戦略達成において発生する様々な阻害要因をリスクと位置付け「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、当社グループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、リスク管理の効率的かつ確実な運用を図っています。常設委員会として、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしております。「グループリスク管理委員会」は、リスク管理の方針や重要リスクの評価及び対策の承認、統制状況の効果検証・是正指導等の役割を担っております。
当連結会計年度のグループリスク管理委員会においては、昨今の外部環境の変化に伴い、リスク項目を「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類して整理いたしました。また、各事業セグメントにおけるリスクの抽出・評価における抜け漏れの発生を防止すべく、リスク項目の追加と名称の一部変更を実施すると共に、より適切な評価につながるよう「影響度」「発生可能性」に関する評価基準についても見直しを行いました。
(2)グループ重要リスク及びその影響度・発生可能性の評価
当連結会計年度のグループリスク管理委員会におきましては、影響度・発生可能性の高い重要リスクを抽出し、足元の業績に影響を与えるリスクが高まっている「原材料・資材の調達」及び「生産・物流体制」について議論を行いました。また、「海外情勢」に関するリスクについては、近年、地政学的リスクの顕在化が経済やビジネスに影響を与える頻度が増加していることから、海外飲料事業に限らず、各事業がリスクとして捉え、対策を検討していくべきとの認識が示されました。
これらを踏まえ、当連結会計年度のグループリスク管理委員会が評価した重要リスクと対応策等は、次の通りであります。
(3)経営成績等に与える影響の内容及び当該リスクへの対応策等
①事業横断的なリスク
ⅰ.原材料・資材の調達
当社グループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されておりますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様であり、直近のエネルギーコスト上昇も相俟って、原材料・資材の調達コストの高騰は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、海外飲料事業(トルコ飲料事業)においては、一部の資材調達が外貨建てであることから、トルコリラの為替レートの変動によって、その調達価格は大きな影響を受けます。原材料・資材価格の高騰は、製造コストの上昇につながり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
原材料・資材の調達価格の大幅な上昇は、当社グループの収益を大きく圧迫する要因となっており、原材料をはじめとするあらゆるコストの上昇傾向は、今後も続くことが想定されます。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業及び食品事業において、2022年10月より一部商品の価格改定を実施したほか、海外飲料事業(トルコ事業)においては、積極的な価格改定を継続的に実施する等、適正な限界利益率の確保による収益構造の改善に取り組んでおります。
また、コーヒー豆については、国内焙煎業者との連携による情報収集を強化すると共に、調達先の分散や調達スキーム変更等、調達価格の安定化に向けた取り組みを進めるほか、コーヒーのみに依存しない魅力ある商品ラインアップの開発を推進しております。
ⅱ.生産・物流体制
当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、生産・物流を外部へ委託するファブレス方式とすることにより、経営資源を商品の企画・開発や自販機のオペレーションといった、お客様と直接関わる分野に集中しております。全国の協力工場へ商品の生産を分散して委託することにより、物流コストの低減や、大規模な自然災害や渇水等により、一部地域での生産が困難になった場合でも柔軟な対応が可能な体制としております。
近年、生産・物流を取り巻く経営環境は大きく変化しており、人手不足やコンプライアンスの厳格化を背景とした物流コストの大幅な上昇や、物流の逼迫による供給リスクが高まっております。
社会情勢の変化を背景とした物流コストの上昇リスクは、当面続くことが想定されることから、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、澁澤倉庫株式会社との合弁によるダイドー・シブサワ・グループロジスティクス株式会社を2018年6月に設立し、物流業界との連携強化による安定的な物流網の確保、「物流の2024年問題」を見据えた配送拠点の見直し等の取り組みを推進しております。
ⅲ.海外情勢
ロシア・ウクライナ情勢に起因した資材価格・原油価格の高騰、為替相場の急激な変動等、近年、地政学リスクをはじめとする海外情勢の変化が、日本国内での事業活動にも影響を及ぼす可能性が高まっております。
また、海外における事業展開には、各国の法令・制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないこと等により、事業展開の継続や投資回収が困難になった場合には、減損損失や事業撤退損失等が発生する可能性があるほか、中長期的な海外事業戦略の推進にも支障が出る等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制とし、既存のトルコ・中国事業の基盤を活かしながら、海外事業戦略の再構築を進めてまいります。
ⅳ.企業買収及び事業・資本提携
当社グループは、「グループミッション2030」に掲げた2030年のありたい姿の実現に向けて、企業買収及び事業・資本提携等の戦略的投資も事業拡大を加速するための有効な手段として、その可能性を常に検討しております。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した戦略的投資効果を得られない場合には、成長戦略の推進に遅れが生じる等、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、企業買収等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。
企業買収等にあたっては、対象企業の事業計画や財務内容、契約関係等についての詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、事前に把握できなかった問題の発生や事業展開が計画通り進まない場合、のれん等の固定資産の減損処理を行う必要性が生じる等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、取締役会の実効性評価を毎年1回実施し、その評価結果をふまえて、取締役会のモニタリング機能の実効性をさらに高める等、迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスの継続的改善に向けた取り組みを進めております。
ⅴ.業界における市場競争
日本国内の清涼飲料業界の市場環境は、少子高齢化の影響により、中長期的には大きな成長を見込みにくい状況が続いています。そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、原材料価格の高騰や物流費の上昇が、自販機ビジネスの収益構造に大きな影響を与えました。その結果、現在では、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっております。
また、コンビニエンスストアや量販店等の流通市場においては、業界各社の販売数量確保に向けた販売競争が引き続き熾烈なものとなっております。
当社グループの商品戦略・販売戦略・価格戦略が、このような市場環境の変化のスピードに対応できなかった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、グループスローガンである「こころとからだに、おいしいものを。」を追求した商品やサービスによるお客様への価値提供や、自販機ロケーションの特性にあった商品ラインアップの最適化に取り組み、業界における市場競争に対応してまいります。
ⅵ.環境問題への対応(気候変動問題)
気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっております。
また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、グループとしてのCO2排出削減目標を設定し、2050年の自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラルをめざすと共に、国内飲料事業では、循環型社会への貢献に向けた3つの環境目標を設定し、事業を通じた環境問題への取り組みを推進しております。
また、気候変動リスクは中長期的に顕在化する可能性を有することから、短期のみならず、中長期の時間軸でリスクを評価する体制を構築すべく、「グループリスク管理委員会」と「グループサステナビリティ委員会」を設置し、両委員会を中心としたそれぞれの取り組みを連動させながらマネジメントを行っております。
②事業特有のリスク
ⅰ.トルコ国内のハイパーインフレに関連するリスク
海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、トルコ国内のインフレ率上昇、急激な為替変動による輸入原材料価格の高騰等、足元の事業環境は激しく変化しておりますが、主力ブランドであるミネラルウォーター「Saka(サカ)」は、消費者の健康志向を背景に着実に成長を続けており、中長期的にも成長が期待されております。
一方、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを示したため、当社グループは、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断いたしました。このため、当社グループは、トルコの子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、当連結会計年度より、会計上の調整を加えております。今後、トルコにおけるインフレがさらに深刻化した場合、会計上の調整が多額にのぼり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、固定資産の修正再表示額は、通常の固定資産と同様に減損の要否を検討し、その修正再表示額が回収可能価額を超過する場合は回収可能価額まで減損する必要がある等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対応するため、持株会社の財務部による、収益管理、キャッシュ・コンバージョンサイクルに関する管理体制を強化・拡充すると共に、トルコの子会社におきましては、継続的な価格改定の実施による適正な限界利益率の確保や、トルコからの輸出取引の拡大等によるリスクの低減に努めております。
ⅱ.既存の自販機ビジネスへの集中・依存
当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、日本国内における自販機の普及の歴史と共に発展してまいりました。地域に根差した営業活動を展開することにより、業界有数の自販機網と品質の高いオペレーション体制を構築し、当連結会計年度において、国内飲料事業における自販機チャネルの売上比率は約80%となっており、業界平均を大きく上回っております。
自販機チャネルは、本来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能ですが、近年、自販機オペレーションを担う人手不足の問題等もあり、自販機市場全体の総台数は減少傾向にあります。また、コロナ禍を契機として、自販機市場を取り巻く環境は大きく変化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっております。当社グループの既存の自販機ビジネスが、これらの環境変化に対応できなかった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造」をマテリアリティに掲げ、市場の変化に柔軟に対応できる持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざしております。
今後の労働力不足の時代に対応すべく、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むと共に、カーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開を進めております。今後とも、自販機の設置先との協働も含め、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立してまいります。
ⅲ.希少疾病用医薬品事業への参入
当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月に、ダイドーファーマを設立いたしました。希少疾病用医薬品事業のビジネスモデルは、様々なフィールドのパートナーとの協業、提携をベースとしており、希少疾病治療に関わる創薬シーズに関する提携や開発候補品のライセンスイン、特に日本における独占的な製造販売権の獲得によって、開発・承認取得を行います。臨床開発業務に関してはCRO(Contract Research Organization)、医薬品製造に関してはCMO(Contract Manufacturing Organization)等の外部機関を活用いたします。
世界のバイオベンチャーが開発した新薬候補を、導入・開発・承認取得して、一刻も早く患者様にお届けすべく事業展開を進めてまいりますが、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、キャッシュ・フローはマイナスが続くことから、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、希少疾病用医薬品の開発には不確実性を伴うことから、開発候補品への投資にあたっては、発生する研究開発費総額の見積り、開発品の上市時期、上市後の薬価の推移、潜在的な患者数及び将来の年平均増加数等の前提条件について、十分な検討を行った上で、経営判断を行っておりますが、個々の開発プロジェクトは、開発の延長や中止を行う可能性、想定通りの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認に想定以上の時間を要する可能性、想定していた薬価を下回る可能性等があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマの事業計画に対するモニタリングの強化を図っております。
また、希少疾病用医薬品事業における投資対象については、すでに相応の開発が進行している案件に絞り込むと共に、複数のパイプラインの開発を手掛けていくことにより、事業基盤の構築を図っていく方針であります。
なお、希少疾病用医薬品事業には、医薬品医療用機器法等の関連法規による厳格な規制があります。また、知的財産権や研究開発に係るリスクのほか、製造物責任や副作用等のリスクがあることを常に認識しておく必要があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界の経験を長く積んだ、事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整えると共に、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら、事業運営を推進してまいります。
上記以外にも事業活動を進めていく上において、経済情勢の変化、法規制、感染症等の外部要因によるリスクのほか、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。当社グループを取り巻くリスクを可視化し、発生時の影響を最小限に抑えるための対策を強化すべく、毎年、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることにより、リスクマネジメントを推進しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)リスクマネジメント体制
当社グループでは、企業理念に基づく経営戦略達成において発生する様々な阻害要因をリスクと位置付け「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、当社グループにおけるリスク管理体制に関する基本的事項を定め、リスク管理の効率的かつ確実な運用を図っています。常設委員会として、代表取締役社長を委員長とする「グループリスク管理委員会」を年2回開催するほか、必要に応じて都度開催することとしております。「グループリスク管理委員会」は、リスク管理の方針や重要リスクの評価及び対策の承認、統制状況の効果検証・是正指導等の役割を担っております。
当連結会計年度のグループリスク管理委員会においては、昨今の外部環境の変化に伴い、リスク項目を「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類して整理いたしました。また、各事業セグメントにおけるリスクの抽出・評価における抜け漏れの発生を防止すべく、リスク項目の追加と名称の一部変更を実施すると共に、より適切な評価につながるよう「影響度」「発生可能性」に関する評価基準についても見直しを行いました。
(2)グループ重要リスク及びその影響度・発生可能性の評価
当連結会計年度のグループリスク管理委員会におきましては、影響度・発生可能性の高い重要リスクを抽出し、足元の業績に影響を与えるリスクが高まっている「原材料・資材の調達」及び「生産・物流体制」について議論を行いました。また、「海外情勢」に関するリスクについては、近年、地政学的リスクの顕在化が経済やビジネスに影響を与える頻度が増加していることから、海外飲料事業に限らず、各事業がリスクとして捉え、対策を検討していくべきとの認識が示されました。
これらを踏まえ、当連結会計年度のグループリスク管理委員会が評価した重要リスクと対応策等は、次の通りであります。
(3)経営成績等に与える影響の内容及び当該リスクへの対応策等
①事業横断的なリスク
ⅰ.原材料・資材の調達
当社グループの商品には、多種多様な原料・資材が使用されておりますが、中でも国内飲料事業の主要原料であるコーヒー豆は国際市況商品であり、その価格は、商品相場だけでなく為替レートの変動の影響を受けます。価格変動の影響を受けることについては、他の原材料・資材についても同様であり、直近のエネルギーコスト上昇も相俟って、原材料・資材の調達コストの高騰は、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、海外飲料事業(トルコ飲料事業)においては、一部の資材調達が外貨建てであることから、トルコリラの為替レートの変動によって、その調達価格は大きな影響を受けます。原材料・資材価格の高騰は、製造コストの上昇につながり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
原材料・資材の調達価格の大幅な上昇は、当社グループの収益を大きく圧迫する要因となっており、原材料をはじめとするあらゆるコストの上昇傾向は、今後も続くことが想定されます。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、国内飲料事業及び食品事業において、2022年10月より一部商品の価格改定を実施したほか、海外飲料事業(トルコ事業)においては、積極的な価格改定を継続的に実施する等、適正な限界利益率の確保による収益構造の改善に取り組んでおります。
また、コーヒー豆については、国内焙煎業者との連携による情報収集を強化すると共に、調達先の分散や調達スキーム変更等、調達価格の安定化に向けた取り組みを進めるほか、コーヒーのみに依存しない魅力ある商品ラインアップの開発を推進しております。
ⅱ.生産・物流体制
当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、生産・物流を外部へ委託するファブレス方式とすることにより、経営資源を商品の企画・開発や自販機のオペレーションといった、お客様と直接関わる分野に集中しております。全国の協力工場へ商品の生産を分散して委託することにより、物流コストの低減や、大規模な自然災害や渇水等により、一部地域での生産が困難になった場合でも柔軟な対応が可能な体制としております。
近年、生産・物流を取り巻く経営環境は大きく変化しており、人手不足やコンプライアンスの厳格化を背景とした物流コストの大幅な上昇や、物流の逼迫による供給リスクが高まっております。
社会情勢の変化を背景とした物流コストの上昇リスクは、当面続くことが想定されることから、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、澁澤倉庫株式会社との合弁によるダイドー・シブサワ・グループロジスティクス株式会社を2018年6月に設立し、物流業界との連携強化による安定的な物流網の確保、「物流の2024年問題」を見据えた配送拠点の見直し等の取り組みを推進しております。
ⅲ.海外情勢
ロシア・ウクライナ情勢に起因した資材価格・原油価格の高騰、為替相場の急激な変動等、近年、地政学リスクをはじめとする海外情勢の変化が、日本国内での事業活動にも影響を及ぼす可能性が高まっております。
また、海外における事業展開には、各国の法令・制度、政治・経済・社会情勢、文化・宗教・商習慣の違いや為替レートの変動をはじめとした様々なリスクが存在します。事前に想定できなかった問題の発生やこれらのリスクに対処できないこと等により、事業展開の継続や投資回収が困難になった場合には、減損損失や事業撤退損失等が発生する可能性があるほか、中長期的な海外事業戦略の推進にも支障が出る等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、持株会社の海外事業統括部が海外子会社を管理・統括する体制とし、既存のトルコ・中国事業の基盤を活かしながら、海外事業戦略の再構築を進めてまいります。
ⅳ.企業買収及び事業・資本提携
当社グループは、「グループミッション2030」に掲げた2030年のありたい姿の実現に向けて、企業買収及び事業・資本提携等の戦略的投資も事業拡大を加速するための有効な手段として、その可能性を常に検討しております。しかしながら、有効な投資機会を見出せない場合や、当初期待した戦略的投資効果を得られない場合には、成長戦略の推進に遅れが生じる等、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、企業買収等により新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業・市場固有のリスクが新たに加わる可能性があります。
企業買収等にあたっては、対象企業の事業計画や財務内容、契約関係等についての詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、事前に把握できなかった問題の発生や事業展開が計画通り進まない場合、のれん等の固定資産の減損処理を行う必要性が生じる等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、取締役会の実効性評価を毎年1回実施し、その評価結果をふまえて、取締役会のモニタリング機能の実効性をさらに高める等、迅速・果断な意思決定を行うための仕組みであるコーポレート・ガバナンスの継続的改善に向けた取り組みを進めております。
ⅴ.業界における市場競争
日本国内の清涼飲料業界の市場環境は、少子高齢化の影響により、中長期的には大きな成長を見込みにくい状況が続いています。そのような中、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、原材料価格の高騰や物流費の上昇が、自販機ビジネスの収益構造に大きな影響を与えました。その結果、現在では、自販機に対する業界各社の取り組み姿勢は二極化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっております。
また、コンビニエンスストアや量販店等の流通市場においては、業界各社の販売数量確保に向けた販売競争が引き続き熾烈なものとなっております。
当社グループの商品戦略・販売戦略・価格戦略が、このような市場環境の変化のスピードに対応できなかった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、グループスローガンである「こころとからだに、おいしいものを。」を追求した商品やサービスによるお客様への価値提供や、自販機ロケーションの特性にあった商品ラインアップの最適化に取り組み、業界における市場競争に対応してまいります。
ⅵ.環境問題への対応(気候変動問題)
気候変動をはじめとする環境問題への企業の取り組み姿勢に対するステークホルダーからの評価や市場の価値観の変化は、消費者の商品・サービスの選択に大きく影響するものとなっており、気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や地球温暖化対策等の法令等の規制も強まっております。
また、気候変動に起因する水資源の枯渇、コーヒーをはじめとする原材料への影響、大規模な自然災害による製造設備の被害等のサプライチェーンに関わる物理的リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、グループとしてのCO2排出削減目標を設定し、2050年の自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラルをめざすと共に、国内飲料事業では、循環型社会への貢献に向けた3つの環境目標を設定し、事業を通じた環境問題への取り組みを推進しております。
また、気候変動リスクは中長期的に顕在化する可能性を有することから、短期のみならず、中長期の時間軸でリスクを評価する体制を構築すべく、「グループリスク管理委員会」と「グループサステナビリティ委員会」を設置し、両委員会を中心としたそれぞれの取り組みを連動させながらマネジメントを行っております。
②事業特有のリスク
ⅰ.トルコ国内のハイパーインフレに関連するリスク
海外飲料事業の中で大きなウエイトを占めるトルコ飲料事業は、トルコ国内のインフレ率上昇、急激な為替変動による輸入原材料価格の高騰等、足元の事業環境は激しく変化しておりますが、主力ブランドであるミネラルウォーター「Saka(サカ)」は、消費者の健康志向を背景に着実に成長を続けており、中長期的にも成長が期待されております。
一方、トルコにおける3年間の累積インフレ率が100%を超えたことを示したため、当社グループは、トルコリラを機能通貨とするトルコの子会社について、超インフレ経済下で営業活動を行っていると判断いたしました。このため、当社グループは、トルコの子会社の財務諸表について、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」に定められる要件に従い、当連結会計年度より、会計上の調整を加えております。今後、トルコにおけるインフレがさらに深刻化した場合、会計上の調整が多額にのぼり、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、固定資産の修正再表示額は、通常の固定資産と同様に減損の要否を検討し、その修正再表示額が回収可能価額を超過する場合は回収可能価額まで減損する必要がある等、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これらのリスクに対応するため、持株会社の財務部による、収益管理、キャッシュ・コンバージョンサイクルに関する管理体制を強化・拡充すると共に、トルコの子会社におきましては、継続的な価格改定の実施による適正な限界利益率の確保や、トルコからの輸出取引の拡大等によるリスクの低減に努めております。
ⅱ.既存の自販機ビジネスへの集中・依存
当社グループのコアビジネスである国内飲料事業は、日本国内における自販機の普及の歴史と共に発展してまいりました。地域に根差した営業活動を展開することにより、業界有数の自販機網と品質の高いオペレーション体制を構築し、当連結会計年度において、国内飲料事業における自販機チャネルの売上比率は約80%となっており、業界平均を大きく上回っております。
自販機チャネルは、本来、価格安定性・販売安定性が比較的高く、収益性の高い缶コーヒーを主力商材として、安定的なキャッシュ・フローを確保することが可能ですが、近年、自販機オペレーションを担う人手不足の問題等もあり、自販機市場全体の総台数は減少傾向にあります。また、コロナ禍を契機として、自販機市場を取り巻く環境は大きく変化し、上位寡占化の傾向がより強いものとなっております。当社グループの既存の自販機ビジネスが、これらの環境変化に対応できなかった場合、当社グループの経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「自販機ビジネスの進化による社会的価値の創造」をマテリアリティに掲げ、市場の変化に柔軟に対応できる持続可能な自販機ビジネスモデルの確立をめざしております。
今後の労働力不足の時代に対応すべく、最新のテクノロジーを活用したスマート・オペレーションのさらなる進化に取り組むと共に、カーボンニュートラルに対応した“お客様と共にサステナブルな未来を創る”自販機「LOVE the EARTHベンダー」の展開を進めております。今後とも、自販機の設置先との協働も含め、DyDoの店舗である自販機を通じて、お客様の求める価値をお届けすることにより、自販機市場における確固たる優位性を確立してまいります。
ⅲ.希少疾病用医薬品事業への参入
当社グループは、成長性の高いライフサイエンス分野をはじめとするヘルスケア関連市場を次なる成長領域と定め、その中でも希少疾病と呼ばれる国内患者数が5万人未満の難病に着目し、2019年1月に、ダイドーファーマを設立いたしました。希少疾病用医薬品事業のビジネスモデルは、様々なフィールドのパートナーとの協業、提携をベースとしており、希少疾病治療に関わる創薬シーズに関する提携や開発候補品のライセンスイン、特に日本における独占的な製造販売権の獲得によって、開発・承認取得を行います。臨床開発業務に関してはCRO(Contract Research Organization)、医薬品製造に関してはCMO(Contract Manufacturing Organization)等の外部機関を活用いたします。
世界のバイオベンチャーが開発した新薬候補を、導入・開発・承認取得して、一刻も早く患者様にお届けすべく事業展開を進めてまいりますが、事業基盤が安定するまでの先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、キャッシュ・フローはマイナスが続くことから、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、希少疾病用医薬品の開発には不確実性を伴うことから、開発候補品への投資にあたっては、発生する研究開発費総額の見積り、開発品の上市時期、上市後の薬価の推移、潜在的な患者数及び将来の年平均増加数等の前提条件について、十分な検討を行った上で、経営判断を行っておりますが、個々の開発プロジェクトは、開発の延長や中止を行う可能性、想定通りの内容で薬事承認が下りない又は薬事承認に想定以上の時間を要する可能性、想定していた薬価を下回る可能性等があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界における豊富な知識と経験を有する独立社外取締役を選任し、個々の開発プロジェクトに基づくダイドーファーマの事業計画に対するモニタリングの強化を図っております。
また、希少疾病用医薬品事業における投資対象については、すでに相応の開発が進行している案件に絞り込むと共に、複数のパイプラインの開発を手掛けていくことにより、事業基盤の構築を図っていく方針であります。
なお、希少疾病用医薬品事業には、医薬品医療用機器法等の関連法規による厳格な規制があります。また、知的財産権や研究開発に係るリスクのほか、製造物責任や副作用等のリスクがあることを常に認識しておく必要があります。
当社グループは、これらのリスクの低減を図るため、医薬品業界の経験を長く積んだ、事業開発、新薬開発、薬事、メディカルアフェアーズ、そして承認取得後の体制を含めたエキスパート人材を整えると共に、外部の有識者、機関、企業等の協力や支援を仰ぎながら、事業運営を推進してまいります。
上記以外にも事業活動を進めていく上において、経済情勢の変化、法規制、感染症等の外部要因によるリスクのほか、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、こうしたリスクを回避、またはその影響を最小限に抑えるため、リスク管理体制の強化に取り組んでおります。当社グループを取り巻くリスクを可視化し、発生時の影響を最小限に抑えるための対策を強化すべく、毎年、リスクの影響度・発生可能性を分析した「リスクマップ」を作成し、環境の変化に応じた重要リスクを決定・対策を講じることにより、リスクマネジメントを推進しております。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00424] S100QLQO)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
ご利用にあたっては、こちらもご覧ください。「ご利用規約」「どんぶり会計β版について」。
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