有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LLG2 (EDINETへの外部リンク)
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 事業等のリスク (2021年3月期)
(1)当社グループのリスク管理
① リスク管理基本方針
当社では、リスク管理を経営の最重要課題と位置づけ、「MS&ADインシュアランスグループリスク管理基本方針」を定め、グループ内で共有された基本的な考え方のもとでリスク管理を実行しております。
「MS&ADインシュアランスグループリスク管理基本方針」には、リスク管理の基本プロセスと体制、保険グループとして認識すべきリスクの定義や管理の考え方等が定められております。
グループ国内保険会社では、この基本方針に沿って各社の実態に合わせた「リスク管理方針」を制定し、主体的にリスク管理を行っております。
② リスク管理体制
当社では、取締役会の課題別委員会の1つであるERM委員会にてリスク管理に係るモニタリング等を行い、重要事項についてはERM委員会の協議を踏まえてグループ経営会議、及び取締役会に報告を行う体制としております。
グループ国内保険会社は、国内外の子会社も含め各社それぞれのリスク管理を実行します。リスク管理部は、グループ全体のリスク及び各社のリスク管理の状況をモニタリングし、グループ全体の統合リスク管理を行い、ERM委員会へその結果を報告しております。
③ ERMをベースにしたグループ経営
ERM(Enterprise Risk Management)は、保険会社の経営において重要な収益(リターン)、リスク、資本という3つの経営指標をバランスよく管理していく機能を担っております。
当社グループでは、中期経営計画「Vision 2021」において、ERMサイクルをグループ経営のベースにおき、健全性の確保を前提に、収益力と資本効率の向上のための取組みを強化しております。
a.ERMの機能と役割
ERMでは、リスクを取って収益を求める際、ROR(後述b.(b))やVA※1の高いものや高まる取り方を考え、資本の健全性(ESR※2)を維持しつつ、目標とする資本効率性(グループ修正ROE※3)の達成を図ります。これら3者の関係は下図のようになります。
※1 VA(Value Added):リスクを引き受けることによって、どれだけの価値が得られるか示す指標。
※2 ESR(Economic Solvency Ratio):(経済価値ベースのソルベンシー・レシオ)=「時価純資産」÷「統合リスク量」
※3 グループ修正ROE:グループ修正利益÷[修正純資産(連結純資産+異常危険準備金等-のれん・
その他無形固定資産)の期初・期末平均]
※4 資本コスト:資本資産価格モデル(CAPM)により推計。
b.ERMで注視する指標
※5 統合リスク量:200年に一度の確率で当社グループ全体が被る損失の予想額(時価)。
※6 時価純資産:経営のバッファとしての純資産管理を徹底するために使用している指標(修正純資産+保険負債の含み損益+その他資本性負債等)
(a)ESR(Economic Solvency Ratio)とは
リスク量に対する資本の充実度を示す指標です。リスク量は、事業や資産に係る損失や価値変動のリスクを統計的に数値化したものであり、統合リスク量は当社グループ全体のリスクの総額となります。
(b)ROR(Return on Risk)とは
リスク量に対して利益(リターン)がどの程度確保されているか(リスク量対比の収益性)を示す指標です。
リスクを引き受けるためには、それに見合う資本の確保が必要になります。したがって、RORが高い(すなわち、引き受けたリスクに対して得られる利益が大きい)事業は、必要な資本に対して、得られる利益がより大きい事業と言えます。
(c)VA(Value Added)とは
リスクを引き受けることによって、どれだけの付加価値が得られるかを示す指標です。
④ ERMとリスク管理
当社グループでは、リスク選好方針に沿って経営計画を策定し、ERMサイクルをベースに、健全性の確保と、収益力と資本効率の向上を図っております。ERMサイクルに沿って、リスクに見合った資本の配賦を行い、引き受けたリスクに対するリターン(ROR)のモニタリングを通じて、リスクコントロールやアンダーライティングの強化等を行っております。
a.ERMサイクル
ERMは、企画・執行・モニタリングのサイクルを通じて実践しております。
b.ROR向上に向けた取組み
引き受けたリスクに対しどれだけの利益が得られるかを示すRORの推移は、当社グループのリスクポートフォリオの収益力の状況を表しております。当社グループでは、ERMサイクルをベースにRORの向上に取り組んでおります。
c.ストレステストの実施
当社グループは自然災害の発生、資産価値の下落など、様々な事象の発現による影響を分析して、資本の十分性、期間損益への影響、ポートフォリオの脆弱性の確認を行うためにストレステストを実施しております。
また、事象発現時の状況を分析し、資本を毀損する因子の洗出しを行い、リスク耐性の向上に有効な対策の検討にも活用しております。
(2)当社グループの主要なリスク
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。
なお、本項に記載した将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① グループ重要リスク
グループ各社が洗い出した主要なリスク事象リストに基づき、経営が管理すべき重要なリスク事象を「グループ重要リスク」として捉え、管理取組計画の策定を行い、各リスクの状況を定期的にモニタリングしております。
なお、2021年度は、現在の状況を精査した結果、以下のリスク事象については、グループ重要リスクに追加して、経営による管理と関連部門による取組みを強化しております。
・デジタライゼーションの急速な進展※7
・気候変動※7
・少子高齢化の進展※7
・新型コロナウイルスの影響長期化
これらのリスク事象はいずれもグループ重要リスクの多くにまたがり影響を与えるものであるため、下表のとおり、グループ重要リスクのそれぞれの「主な想定シナリオ」に具体的なリスク事象として含めております。
※7 前事業年度の有価証券報告書にはグループエマージングリスクとして記載しておりました。
グループ重要リスク | ||
主な想定シナリオ | ||
1 | 大規模自然災害の発生 | |
・国内風水災・地震、米国風水災の発生 | ||
・気候変動の影響も受けた大規模自然災害の発生確率・規模等の変化 | ||
・大規模自然災害の発生によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態 | ||
2 | 金融マーケットの大幅な変動 | |
・新型コロナウイルスの影響長期化・経済活動の停滞の懸念による株価の急落 | ||
・各国の大規模な金融緩和により上昇した資産価値の剥落 | ||
3 | 信用リスクの大幅な増加 | |
・信用市場の混乱による資産価値の急落 | ||
・新型コロナウイルスの影響長期化・実体経済の悪化によるデフォルトの多発 | ||
・企業の気候変動への対応に伴う「移行リスク」の顕在化(環境関連の政策・規制の強化、脱炭素技術の進展、商品・サービスの需要の変化、訴訟の増加、社会・消費者による評価の低下等)による当社グループの保有資産の価値下落 | ||
4 | グループの企業価値の著しい毀損や社会的信用の失墜につながる行為の発生 | |
(注)企業価値の著しい毀損・社会的信用の失墜につながる行為とは、グループ事業に関連する法令等違反行為、重大な労務問題(長時間労働・ハラスメント等)、データガバナンスの不備等に加え、顧客本位の視点の欠如・不徹底等(コンダクトリスク)に起因するものをいいます。 | ||
・上記の(注)に記載する行為の発生 | ||
・当社グループにおける気候変動対応への遅れ、公表内容と活動の隔たり等による評判の低下 | ||
・リモートワークの進展に伴う不祥事の増加 | ||
5 | サイバー攻撃による大規模・重大な業務の停滞・情報漏えい・保険金支払の発生 | |
・当社グループに対するサイバー攻撃による業務の停滞・情報漏えいの発生 | ||
・サイバー攻撃に起因する保険金支払の増加 | ||
・サイバー攻撃の巧妙化や在宅勤務・デジタライゼーション等の進展に伴う被害の拡大 | ||
6 | システム障害の多発や重大なシステム障害の発生、大規模システムの開発計画の進捗遅延・未達・予算超過・期待効果未実現 | |
・在宅勤務・デジタライゼーションの進展による影響が増大したシステム障害の発生 | ||
・システム開発の遅延や開発予算の超過 | ||
・大規模自然災害の発生等によりシステム関連施設が罹災することによる業務の停滞 |
グループ重要リスク | ||
主な想定シナリオ |
7 | 新型インフルエンザ等の感染症の大流行 | |
・世界的な感染拡大に伴う経済活動の縮小 | ||
・保険金・給付金支払の増加 | ||
・地球温暖化や気候の変化に起因する感染地域の拡大、新種の感染症の発生・大流行 | ||
・感染症の大流行によりグループが適切にビジネス・サービスを実行できない状態 |
8 | 保険市場の変化 | |
・デジタルプラットフォーマーの台頭等によるビジネスモデルの大きな変革、運転支援・自動運転技術の進展による自動車事故の減少に伴う自動車保険市場の変化 | ||
・気候変動対応の技術革新・新型コロナウイルスの影響長期化による特定業種の市場規模の大幅な変化 | ||
・少子高齢化の進展・人口減少による保険市場の変化 |
② グループエマージングリスク
中長期的な視点から当社グループ経営に影響を与える可能性のある事象や、現時点では当社グループ経営への影響の大きさ、発生時期の把握が難しいものの、経営が認識すべき事象を次のとおり「グループエマージングリスク」として特定し、定期的にモニタリングしております。
グループエマージングリスク | |
1 | 経済・消費者行動・ビジネスモデルの大きな変化・変革を及ぼす新たな仕組みや革新的な技術の出現・台頭 |
2 | 資源の枯渇 |
3 | 環境災害(環境に甚大な損害を与える人為的な汚染や事故) |
4 | 当社グループに大きな影響を及ぼす可能性がある国内外の法令・制度の新設・改廃 |
5 | 国内労働需給の大きな変化 |
6 | 国家統治・政治の大きな混乱、機能不全、崩壊、国家間紛争、日本の安全保障の危機 |
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E03854] S100LLG2)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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