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有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LME7 (EDINETへの外部リンク)

有価証券報告書抜粋 不二製油グループ本社株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)


事業等のリスクメニュー株式の総数等

当社グループは長年積み重ねてきた研究成果と先進の技術力を生かし、植物性油脂とたん白を基礎とする新しい機能を持つ食品素材の開発に取り組んできました。特に近年はESG経営の推進のもと、短期視点、長期視点の両軸で社会課題へアプローチし、Plant-Based Food Solutionsを実現する新製品・新技術・新ビジネス創出を目指した研究開発活動を実施しています。また、イノベーションを推進するため、国内外の大学や研究機関とのオープンイノベーションや顧客との共創活動を強化しています。世界中の人々の食べることの歓びと健康に貢献することをモットーに、社会になくてはならない会社になるための研究開発活動に努めています。
当社グループの中核研究開発施設である日本国内の「不二サイエンスイノベーションセンター」、「つくば研究開発センター」、及びシンガポールの「アジアR&Dセンター」、そして全世界9箇所の「フジサニープラザ」では、基礎研究や素材開発、及び多数のお客様、企業・研究機関の方をお迎えしての「共創」による研究開発を行っております。
日本国内を統括する不二製油(株)は、各素材別の研究開発室と、これら素材を用いたアプリケーションを開発する「価値づくり市場開発室」を併せた研究開発部門として運営しています。この体制により、各素材の融合による新規複合素材の開発を効率良く行うと共に、開発された新素材をすぐさまお客様へ提案し、お客様と共創による価値づくりを実現します。また、生産技術開発部門では、「安全、品質、環境」にこだわり、コア技術の強化・革新に関する研究開発を進めております。
未来創造研究所は、当社グループの将来を支えるための新規事業を創造する研究所としての位置付けのもと、積極的に国内外の大学等の公的研究機関や企業との共同研究やコラボレーション、及び研究員の派遣に取り組んでいます。国内では、茨城大学とは、クロスアポイントメント制度により大学教員を招聘していますが、2021年度には新たな取組みとして「食の創造」講座を設置します。当社研究員が教員として学生を指導し、共同研究を通して次世代のPlant-based Food Ingredientsの創出を目指します。海外では、シンガポールの研究機関ICESとの共同研究、オランダのワーゲニンゲン大学への研究員の派遣等を行っております。
「アジアR&Dセンター」は、東南アジア地域のニーズに合わせた製品研究・開発、並びに、国際食品企業との連携、及び現地大学機関、関連省庁との共同研究による社会課題の解決において重要な拠点になっております。日本とシンガポールのR&Dセンター、及び海外の各拠点R&Dとの定期的な会合や人的交流を実施することで世界的課題の共有とその解決に取り組むと共に、新たなテーマの発掘や、製品開発と課題解決のスピードアップに努めています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は4,994百万円です。

研究開発活動の概要は次のとおりです。
(植物性油脂事業)
安全・安心で環境に配慮した油脂の製造技術、新機能を有する油脂製品、及びその最適な応用法に関する研究開発を通して、お客様のご要望を形にし、新しいおいしさの創造に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果としては、劣化風味発生を抑制した安定化DHA・EPA油脂素材については、市販プロセスチーズ、乳飲料用途への採用実績化を達成しております。また、島根大学との共同研究により、認知機能へのDHA素材の有効性を実証し、研究論文を発表するに至りました。今後も幅広いカテゴリーの食品用途への素材開発を継続し、健康寿命を支える素材として実績化を進めて参ります。また、弊社独自の分散技術である、DTR技術(*)は、収斂味低減、甘味増強等の新機能性に加え、利用時の作業性の向上にも役立ち、少量添加での機能発現を実現する、粉末製品への応用展開も行いました。形態多様化により、幅広い市場への販売も期待されます。また、同技術及び物性機能加工技術を併用して、油脂の風味発現の向上に加え、可塑性付与により、作業性を向上させた油脂の開発を行い、弊社の掲げる植物性素材でのお客様への価値提供(PBFS)を推進しております。更に油脂結晶制御技術、エステル交換、分別技術を利用し、部分硬化油不使用の機能性チョコレート用油脂等、グローバル市場要望にも対応可能な油脂素材の開発を行い、今後海外展開を拡大されるお客様へのご提案が可能な製品の開発を継続しております。
また、食品安全のグローバル対応のため、油脂の精製技術の向上について弊社グループ間での技術情報交換会を実施致しました。健康への貢献と共に、安全・安心な油脂素材の提供維持に向けた取り組みを継続して参ります。
当事業の研究開発費は782百万円です。
*DTR技術:水溶性成分を油脂に微分散させる技術で、素材の呈味(塩味、旨味、辛味など)や保存安定性を付与増強する技術。


(業務用チョコレート事業)
チョコレートの新技術・新製品開発、及び想定した社会的課題や消費者への価値を具現化したアプリケーションを組み合わせたソリューション提案を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、コロナ禍から消費者の健康意識が高まり、健康訴求製品が期待されている中、美味しさと健康を両立した弊社通販ソヤファームクラブ「ヘルシーカカオ ハイカカオ」を発売しました。また不二製油グループはWHO(世界保健機関)の指針に沿って、2023年度にトランス脂肪酸を2g-TFA/100g-oil以下に低減していくことを目指しています。その一環として、パンや洋菓子に使用するコーティング用チョコレート製品中の部分硬化油の低減に取り組んでおります。
グローバルでの取り組みとしましては、当社グループ会社の各拠点R&Dとの市場・技術情報交換を中心とした定期的なミーティングを実施する「チョコレート開発分科会」を2020年度はコロナ禍からWEBで開催しました。当社グループ全体でのチョコレート開発組織がグローバルに機能する様、各拠点間でのシナジー創出を目指し、引き続き取り組んでまいります。
当事業の研究開発費は980百万円です。

(乳化・発酵素材事業)
ホイップクリーム、調理用クリーム、ドリンクベース、マーガリン、チーズ風味素材、パイ製品等、乳製品代替素材を中心にした新技術・新製品開発、及びアプリケーション開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、美味しさと機能性を両立した製品開発に取り組む一方、植物性素材の価値追求を行いました。コロナ禍において、サステナビリティの観点からも植物性食への期待が高まり、「植物性ホイップクリーム」、「豆乳チーズ」、「豆乳クリームのバター」の市場導入が加速されると共に、顧客とのコラボレーションで「とんこつ風スープベース」も新たに発売しました。また、コペンハーゲン大学との共同研究の成果として、乳酸菌の大豆たん白分解活性に関する論文が「Food Chemistry」に掲載されました。参画中のオランダの研究機関NIZO(*)が主管するコンソーシアム(共同事業体)での成果も取り入れながら植物性素材のさらなる革新を図ります。
当事業の研究開発費は835百万円です。
*NIZO:食品と健康における受託研究の世界的大手企業

(大豆加工素材事業)
大豆たん白、大豆たん白食品、大豆多糖類等の開発を行っております。
当連結会計年度の主な成果としては、拡大するたん白摂取を目的とした市場の商品開発に対して焼き菓子用途向けに作業性と風味食感を両立させた粉末状大豆たん白「ニューフジプロPTS」を開発し、製パン市場向け用途としては高たん白配合に対応した「プロリーナCP01」を開発し採用拡大に努めました。また、プロテインパウダー、プロテインバー等の栄養健康市場向け「プロリーナ」シリーズも引き続き好調です。粒状大豆たん白素材は、商品開発が加速する大豆ミート市場に対してより肉様の食感に近づけた品質改善に取り組むとともに製造現場作業で手間となっている水戻し作業の大幅時間短縮可能な「アペックス2000SP」を開発し、顧客の現場課題解決の提案にも取り組みました。PBF(プラントベースドフード)商品の展開としては、昨年に引き続き大丸心斎橋店にて「UPGRADE Plant based kitchen」での大豆ミート、USS素材を使った新メニュー料理を提案販売、PBF啓蒙活動を行うと共にコンビニエンスストアやファーストフード店向けには日本人の好みに合った大豆ミートのパティ、ベジバーグ、ソイナゲット等の製品開発を進め、PBF商品の採用拡大に努めました。冷凍豆腐関連では、従来品よりたん白を高配合した豆腐、厚揚げを開発し、市場の高たん白化要望に対応するとともに自然解凍により喫食可能な冷凍厚揚げを開発し利便性の向上にも対応しました。大豆多糖類においては、飲料用安定剤「ソヤファイブシリーズ」の性能をさらに高める製品開発に取り組むとともに、新たな生産設備の本格稼働による生産能力の増強とコストダウンに取り組みました。また、欧米市場に向けて、新規素材エンドウ多糖類の海外製造拠点の立ち上げ準備と、市場開拓に取り組んでおります。
当事業の研究開発費は1,108百万円です。


(中長期視点での研究活動)
未来創造研究所では、経営課題である「おいしさと健康」に拘った食の市場を創造するための研究や、新規事業に繋がる新技術開発に取り組んでおります。また、産学連携によるオープンイノベーションにも引き続き取り組んでおります。
近年、気候変動対策や世界的な人口増加などの社会課題に対して、将来を見据えた地球との共生への取り組みが企業にも求められています。未来創造研究所では2050年のありたい社会像を創造し、バックキャスティングにより取り組むべき社会課題として「高齢化社会」と「サステナブルな食資源」にフォーカスし、課題解決に繋がる研究テーマを設定、検討を開始しました。
その他の取り組みとしましては、Plant-based Food(植物性食品)をよりおいしくする技術ブランド“MIRACORE(ミラコア)™”を立ち上げました。本技術はAnimal-based Food(動物性食品)が持つおいしさと満足感を植物ベースで実現する技術であり、植物性に拘って油脂とたん白の研究を続けてきた当社の技術を集結した画期的な新技術です。和食・洋食・中華・アジア料理等の世界の食をターゲットに展開する計画です。また、当社独自の酸化劣化しにくい安定化DHA・EPAに関する臨床試験でも研究成果を得ています。島根大学医学部と共同研究を実施し、1日297 mgの安定化DHA・EPAを含む乳飲料の摂取が高齢者の加齢に伴う認知機能の低下を抑制することを明らかにしました。本研究結果は国際学術誌「Journal of Functional Foods」に掲載されました。今後は食による高齢者の健康課題解消に向けた研究を加速する計画です。また、新たな油脂生産技術の獲得に向けた取り組みも進めています。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスマートセルプロジェクトの成果(油脂生産性を向上させた油脂酵母の開発に成功)を受け、今年度より新プロジェクトの「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」に参画しています。開発した油脂酵母による地球環境に優しいパーム油代替油脂生産技術の実用化を目指して参ります。また、米国のScrum Venturesが運営するFood Tech Studio Bites! (*)に参画し、スタートアップベンチャー企業との協業について検討を開始し、技術シナジーや研究へのAIの導入などを検討して参ります。
当事業の研究開発費は1,286百万円です。
*Food Tech Studio Bites!:日本の食品メーカーと世界中のスタートアップが共に、「食」を通じた持続可能な社会を実現する「新“食”産業」を創出するグローバル・オープンイノベーション・プログラム


事業等のリスク株式の総数等


このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00431] S100LME7)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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