有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100L1HG (EDINETへの外部リンク)
楽天グループ株式会社 事業等のリスク (2020年12月期)
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしており、これらの企業活動の遂行には様々なリスクを伴います。本項では当社グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると認識している主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しています。ただし、当社グループで発生する全てのリスクを網羅しているものではありません。当社グループの経営陣は、これらリスクの発生可能性の程度及び時期を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。しかしながら、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に与える影響並びにその対応策を合理的に予見することが困難である事項もあります。したがって、当社の有価証券に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も合わせて、総合的かつ慎重に検討した上で行う必要があると考えています。
なお、以下の記載事項のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1 当社グループの経営陣が考えるリスクとは
当社グループは、リスクを「経営目標の達成に影響を及ぼしうる不確実性」と定義しており、経営目標達成の確度を向上させるために、定期的なリスクの洗い出しを行った上で、当該リスクが当社グループの将来の経営成績等に与える影響の程度や発生可能性に応じた重要性(マテリアリティ)の評価を行い、当該評価に応じた対応策を策定し実行しています。
今後も、現在の活動を継続しつつ、経営判断や事業運営に貢献するリスク管理体制の高度化を推進してまいります。
3 経営環境・戦略に関するリスク
(1) マクロ経済環境に関するリスク
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしており、当社グループの業績は国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向、社会情勢及び地政学的リスク等に影響されます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)により、人・物の動き及び経済活動が制限されたことで、世界的な経済停滞が生じました。当社グループを取り巻くマクロ経済環境について注視しながら、事業展開、サービスの提供等を進めていく方針ですが、今後の内外経済環境の先行きについては引き続き不透明な状況にあり、今後世界経済の低迷、社会情勢の混乱及び地政学的リスク等が現実化した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、重大なリスクと考えています。
当連結会計年度においては、感染防止を目的とした外出制限や自粛要請、渡航制限等によって、観光、宿泊、外食、興行等の人同士が接点を持つ対面サービスの機会及び需要が世界的に減少しました。その一方で、対面サービスの機会及び需要の減少を補うように経済・社会のデジタル化が加速し、当社グループでは、EC、オンラインでの映像提供サービス、インターネット・バンキング・サービス、インターネット経由の保険申し込み等の非対面サービスの需要が拡大しました。また、人々の行動様式の変容に伴い、クレジットカードのリボルビング払い、キャッシング、銀行のカードローン等の資金需要は減少した一方で、キャッシュレス決済の需要の拡大が見受けられました。
これらの変容による当社グループサービスの機会及び需要の増減は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、非対面サービスの機会及び需要の拡大においては、デジタル化を加速させることで当社グループサービスの更なる需要喚起を目指します。一方で、対面サービスの機会及び需要の減少においては、規模の縮小や制限等の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の流行動向に合わせ感染対策に努めながらユーザーが安心して利用できるサービスの提供を行っていきます。
その他、対面サービスの機会及び需要の減少は「Rakuten」ブランドの露出減少に繋がり、当社グループに対する好感度及び認知度の減少に影響する可能性があります。当社グループは、各事業におけるコロナ禍の生活を支援する取組の発信、ソーシャルディスタンスのプロモーション活動、ロゴの制作及びその周知活動並びにスポンサーシップにおけるブランド露出をオフラインからオンラインにシフトする取組等を通じて、ブランド認知の向上に取り組んでいます。
また、当社グループでは、役職員に新型コロナウイルス感染症が流行することによって事業運営に支障が生じるリスクがあります。当社グループでは、役職員の感染リスク、クラスター発生のリスクを低減するため、社内執務エリアにおける各種感染防止対応策を実施し、流行状況に応じて役職員に対して在宅勤務を推奨する等の取組を行っています。
しかしながら、今後の新型コロナウイルス感染症の流行動向は依然として先行きが不透明です。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の流行の動向を注視し、サービスの機会及び需要の増減を把握しつつ当社グループへの影響を低減するように努めています。また、新型コロナウイルス感染症による安全対策を推進し、ブランドの認知向上を通じた社会への働きかけを通して、事業に貢献してまいりますが、かかる取組にも関わらず、その取組が期待した効果を発揮しなかった場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合環境
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループが展開するいずれの事業においても多数の競合事業者が存在しており、激しい競争関係にあると考えています。また、他業種の事業者等を含む新規参入者が新たな競合事業者となった場合、より一層競争が熾烈化する可能性があります。
当社グループは、競合事業者の動向を注視しつつ、引き続き顧客ニーズ等への対応を図り、サービス拡大に結び付けていく方針ですが、これらの取組が期待通りの効果を上げられず、サービスの競争力を失った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業界における技術変化等
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループが展開するいずれの事業においても技術分野における進歩及び変化が著しく、新しいサービス及び商品が頻繁に導入されています。
当社グループは、常に最新の技術動向及び市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験並びに他社との提携の検討等を通して競争力を維持するための施策を講じています。しかしながら、何らかの要因により、当社グループにおいて当該変化等への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化及び競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応可能な場合であったとしても、既存システム等の改良、新たなシステム等の開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、これらの動向及び対応の巧拙によっては当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業運営の障害となりうる技術が開発される可能性もあり、このような技術が広く一般に普及した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 経営体制・事業戦略に関するリスク
① 経営体制(コーポレート・ガバナンス)に関するリスク
当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていきます。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、以下の経営体制を含む様々な施策を講じています。
当社は、監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、社外監査役が過半数を占める構成となっています。また、当社は経営の監督と業務執行の分離を図るため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。
当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役を中心として客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営に関する多角的な議論を自由闊達に行っています。更に、取締役会とは別にグループ経営戦略等に関する会議等を開催し、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない中長期的視野に立った議論も行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。
加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。しかしながら、これらの経営体制を含む各施策から期待通りの効果を得られなかった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業戦略に関するリスク
当社グループは、保有するメンバーシップ(会員情報)、サービス利用にかかる各種データ、「Rakuten」ブランドを核とする「楽天エコシステム」において、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、ひいては当社グループ利益の最大化を目指すという事業戦略を掲げています。この事業戦略のもと、個々のビジネスの成長及び事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップ、データ及び「楽天ポイント」を使用したリワードプログラム等の活用を行っています。具体的には、1億以上の会員IDに基づくオンラインとオフライン双方のデータを活用することにより、それぞれの事業におけるサービスの向上を図りつつ、これに加えオンラインとオフラインの垣根を超えるサービスの相互利用を促進しています。しかしながら、それら施策から期待通りの効果を得られなかった場合、当社グループの展開するサービスの一部あるいは複数が停止し相互利用の促進に障壁が生じた場合、及びメンバーシップデータの利用方法やリワードプログラムに関する法令等が当社グループにとって不利益な内容に改正された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業の拡大・展開に関するリスク
1) 投資及び買収
当社グループは、国外市場への進出、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わず買収(M&A)や合弁事業の展開を行っており、これらを経営の重要戦略として位置付けています。
買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めていますが、案件の性質、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務が発生する可能性及び未認識債務が判明する可能性があります。また、新規サービスの展開に当たってはその性質上、当該新規サービスが当社グループの事業、経営成績及び財政状態へ与える影響を正確に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りにサービスが進展せず、投下資本の回収に想定以上の期間を要する又はその回収ができない可能性やのれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、被買収企業と情報システムの統合、内部統制システム等の統一及び被買収企業の役職員及び顧客の維持・承継等が計画通りに進まない可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
合弁事業及び業務提携の展開においても、パートナーとなる事業者の経営成績及び財政状態について詳細な調査を行うとともに、将来の事業計画及びシナジー効果について事前に十分に議論することによって極力リスクを回避するように努めていますが、サービス開始後に双方の経営方針に相違が生じ、期待通りのシナジー効果が得られない可能性もあります。かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に計画以上の期間を要する又はその回収ができない可能性があります。
その他、ベンチャー企業への投資等、様々な企業に対する投資活動を行っていますが、このような投資活動においても、経営環境の変化、投資先の業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられず、投下資本の回収可能性が低下する場合には、投資の一部又は全部が損失となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) 海外への事業展開
当社グループは、収益機会の拡大に向けてグローバル展開を主要な経営戦略の一つとして掲げ、米州、欧州、アジア等の多くの地域でECを含む各種サービスを展開しています。また、国内外のユーザーが国境を越えて日本又は海外の商品及びサービスを購入するためのクロスボーダーサービス等も順次拡大しています。今後とも在外サービス拠点及び研究開発拠点を拡大していくとともに、各国サービス間の連携強化等に取り組みながら、海外でのサービスの充実を図っていく予定です。
一方、グローバルにサービスを展開していく上では、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、経済的・政治的不安定性、通信環境や商慣習の違い等の様々なリスク及びグローバルに事業を展開する競合他社との競争が熾烈化するリスクが存在します。また、外国政府及び国際機関により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。更に、サービスの国際展開では、サービス立上げ時に、現地における法人設立、人材の採用、システム開発等に係る経費が発生するほか、既存サービスにおいても、継続的に法令の変更へ対応のために支出が見込まれ、戦略的にビジネスモデルを変更する場合等においても追加的な支出が見込まれることから、これらの費用が一時的に当社グループの収益を圧迫する可能性があります。また、新たなサービスが安定的な収益を生み出すためには、一定の期間が必要なことも予想されます。
これらのリスクに対応するため、当社グループは、各国情勢を注視し、現地法令等へ適正に対応するとともに、各現地グループ会社でコンプライアンス体制を適切に構築し、法令遵守に努めています。また、サービスの展開においては、KPIを用いた常時業績管理、「楽天エコシステム」を活用した収益構造の効率化等による迅速な事業の立ち上げ、柔軟なビジネスモデルの変更を行うとともに、適時適切なコストコントロールを行い、当社グループの収益を圧迫するリスクの低減に努めています。しかし、ビジネスモデルに重大な影響を及ぼす規制・制度の変更、市場競争環境の変化等によりかかるリスクが現実化した場合には、対応に想定外の費用を要する可能性又は事業継続が困難となりサービス停止や事業撤退を余儀なくされる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
3) サービス領域の拡大
当社グループは、技術及びビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる事業をサービス領域としています。その中で、新規サービスの創出及び時代の流れに即したビジネスモデルの構築を目的とし、新規サービス領域に参入しています。新規サービスを開始するに当たって、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、当該サービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスクでも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。
また、新規に参入した市場の拡大スピード及び成長規模によっては、当初想定していた成果を上げることができない可能性があります。加えて、サービスの停止、撤退等においては、当該事業用資産の処分及び償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。当社グループは、サービス領域の拡大の場面において適時適切な対応を講じ、リスク低減に努めていますが、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4 ビジネスセグメント固有の事業運営に関するリスク
(1) インターネットサービスセグメント
① マーケットプレイス型のサービス
『楽天市場』のようなオンライン・ショッピングモール・サービス、『楽天トラベル』のような宿泊予約サービス、『Rakuten Rewards』のようなオンライン・キャッシュバックサービス等においては、取引の場を提供することをその基本的形態としています。当社グループは売買契約等の当事者とはならず、規約においても、販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者との間で生じたトラブルについて、当社グループはその責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めていますが、他方で、マーケットプレイス型サービスにおける取引の場の健全性確保のため、多くの事業では偽造品その他の権利侵害品の排除等に自主的に努めています。具体的には、出品商品に関するガイドラインによるルールの明文化や、事前の商材審査、定期モニタリングの実施、社外からの通報窓口設置等を行っています。しかしながら、マーケットプレイス型のサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループも取引の場を提供する者として責任を問われ、更には、当社グループのブランドイメージが毀損される可能性もあります。近時、マーケットプレイス型サービスを含むプラットフォームビジネスについては、ネットワーク効果や規模の利益が働きやすいことから、優越的地位の濫用を含む不公正な取引方法に該当する事例その他の独占禁止法上の問題が生じやすいことが指摘されています。当社グループは、前述のように販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者に健全で信頼される取引の場を提供するとともに、これらの者との健全な関係の維持に努めています。また、当社グループは「5 事業運営に伴うその他リスク (3) 法規制等に関するリスク ①法令・コンプライアンスに関するリスク」にも記載しているように、法令遵守を重要な企業の責務と位置づけ、コンプライアンス体制を構築し、必要に応じて弁護士その他の専門家への相談、監督官庁との協議等を行い、法令遵守の徹底を図っています。しかしながら、当社グループのかかる施策にも関わらず、公正取引委員会の見解と当社グループの見解が異なること等により、独占禁止法への抵触の問題が発生する可能性は完全には否定できません。公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令等を受けた場合、企図していた施策が実現できなくなることに加えて、当社グループの社会的信用が毀損され、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、利便性及び信頼性の高いシステムに加え、集客力に優れた取引の場を継続的に提供することに努めていますが、それらの取組が期待通りの効果を上げられなかった場合には、販売者・役務提供者が減少し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 宿泊予約サービス
『楽天トラベル』のような宿泊予約サービスは、パンデミックや自然災害によって大きな影響を受けます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の流行により、政府や自治体による旅行を含む外出の自粛要請のみならず、緊急事態宣言の発令もあり、旅行業全体において需要が大きく落ち込みました。今後も新型コロナウイルス感染症の流行の先行きは不透明であり、また、異常気象、自然災害その他の要因による旅行需要の減少の可能性も否定することはできません。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の流行の動向を注視しつつ宿泊施設と連携して感染予防に努め、また、自然災害については想定される災害発生に備えて準備を行い、当社グループへの影響を低減するように努めています。しかしながら、かかる取組にも関わらず、何らかの理由で旅行需要の減少が起きた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 直販型のサービス
当社グループが一般消費者に対して商品・役務を直接提供する『Rakuten 24(旧爽快ドラッグ及びケンコーコム)』、『楽天ブックス』、『Rakuten Fashion』等のサービスにおいては、当社グループは売買契約等の当事者となり、商品・役務の品質及び内容に責任を負っています。商品の販売及び役務の提供に際しては、関係法令を遵守し、品質管理に万全を期していますが、欠陥のある商品を販売又は欠陥のあるサービスを提供した場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、商品回収、損害賠償責任等の費用の発生、ユーザーからの信用低下による売上高の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、商品については、一部でデータ活用を用いて予測した需要に従って、仕入及び在庫水準の管理等を行っていますが、想定した需要が得られない場合並びに技術革新及び他社商品との競争の結果、商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性があり、その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 広告ビジネス
当社グループでは、デジタル広告等に関する広告ビジネスの売上高がグループ全体の売上に対して一定の比率を占めていますが、広告市場は特に景気動向の影響を受けやすい傾向があり、景気が後退した場合には広告主による予算減少の影響を受ける可能性があります。また、デジタル広告の分野においては技術の進展によって多様な広告手法が生み出されており、新規の参入者も多いことから、特に激しい競争にさらされています。
更に、広告配信プラットフォーム等の技術的な手法に、プライバシーに配慮した制約や変更が生じ、従来可能であった広告手法の変更やさらなる技術開発が必要となる可能性があります。かかる事業環境において、当社グループはこれらの競争や環境変化に対応するため、独自プラットフォーム上での広告の拡大やデジタル広告の技術開発を含む様々な施策を講じていますが、これらの施策が十分でない場合には、サービスの競争力を失い、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 物流事業
当社グループは、『楽天市場』等におけるユーザー、販売者又は役務提供者である出店企業の利用満足度を一層高めるべく、出店企業の物流業務の受託サービスの拡大等を通じた配送品質の向上に注力しています。
物流事業においては、何らかのシステム障害が発生して物流業務の遂行が不可能になること、物流拠点内の事故、配送時における交通事故の発生、自社物流網における新型コロナウイルス感染症を含む感染症の流行及び自然災害による物流拠点の稼働停止等のリスクがあります。当社グループは、システム障害発生の未然防止、障害発生原因に対する恒久対応策の実施、庫内・配送における安全業務遂行のための安全衛生委員会の設置及び自然災害を想定したリスク管理体制の構築を行っています。特に、配送における新型コロナウイルス感染症の感染防止対応策として、「置き配」サービスの提供等非対面受渡を行っています。しかしながら、これらの施策が不十分であった場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、物流拠点の拡大にあたり、設備として賃貸物件等を活用し、倉庫内設備投資等は将来見込まれる受注量を予測して実施していますが、当該設備の構築及び稼動開始までには一定の時間を要するため、かかる支出は先行的な投資負担になる場合があるほか、実際の受託業務での収益が予測を下回る場合には先行費用を補えず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、設備の移転、廃止等が決定された場合には、当該資産の処分及び償却を行うことにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) フィンテックセグメント
① フィンテックグループ共通リスク-法的規則
楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)等の金融サービスを提供するグループ会社(以下、「当社金融グループ会社」といいます)においては、各種業法、金融関連諸法令、監督官庁の指針(ガイドライン)、金融商品取引所及び業界団体等の自主規制機関による諸規則等を受け、遵守しています。しかし、当社金融グループ会社において、サービスを提供するために必要な許認可につき、将来、何らかの事由により免許等の取消等がなされ、若しくは業務停止が求められた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、関連法令諸規則の新設、改正等により、他社の新規参入が容易になる場合や提供するサービスに関する規制が強化された場合、競争の激化、規制強化に対応するための想定外の追加コストの発生及びビジネスモデルの見直し等が必要になる可能性があります。一方、当該関連法令諸規則等の変更や緩和により当該サービスの提供にあたり有利に影響する場合には事業展開に追い風となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社金融グループ会社は、金融庁組織規則に規定される金融コングロマリットに該当し、金融庁の定めた旧金融コングロマリット監督指針に基づき、グループガバナンス体制を構築し、業務の健全性、適切性を確保しています。しかしながら、何らかの理由によりグループガバナンス体制に不備があり監督官庁から行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一方、当該金融コングロマリットに該当しない楽天ペイメント(株)、楽天ウォレット(株)等は、内部統制基本方針、リスク管理細則等の社内規程に加え、金融商品取引法の財務報告に係る内部統制等を参考にした内部統制の整備をそれぞれ個別に行っています。しかしながら、何らかの理由により監督官庁から行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② フィンテックグループ共通リスク-マーケット
当社金融グループ会社の各事業は、資産負債の時価変動についてリスクを負っています。当社金融グループ会社は、資産負債管理(ALM)を適切に実行し対応していますが、市場動向等により金利が大幅に変動した場合、期待通り適切に対応できない可能性があります。かかる場合には当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社金融グループ会社では、個人・法人向けの貸付債権を保有しているほか、国債・社債等の債券を保有しています。経済状況が悪化した場合及び債務者・債券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合、当該貸付債権・保有債券の信用力が低下し、元利金の支払いが不履行となる可能性があるとともに、当該貸付債権への引当金計上及び保有債券の市場価格の下落により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、市場リスクをヘッジするために行っている金利スワップ、通貨スワップ、為替予約、オプション等のデリバティブ取引についても、カウンターパーティリスク(取引の相手方が破綻して約定どおりの支払いが受けられないリスク)があります。当社金融グループ会社は、これらのリスクに対し、当該貸付債権、保有債券及びデリバティブ取引の相手方の信用状況について、適宜精査をしており、早期の対応を図っていますが、当該対応が間に合わず、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このほか、当社金融グループ会社を含む当社グループ全体に関わるマーケットリスクについては、「5 事業運営に伴うその他リスク (5) マーケットに関するリスク」をご参照ください。
③ フィンテックグループ個別リスク
当社金融グループ会社は、各事業において固有のリスクを有しています。特に投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については以下のとおりです。これらのリスクは互いに独立したものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが同時に発生する可能性があります。
1) 楽天カード(株)
楽天カード(株)は、クレジットカード決済等における加盟店契約業務を提供しており、加盟店からの手数料を収入源としています。競合他社との競争激化等による加盟店の流出、加盟店手数料率の低下が生じる可能性がありますが、同社は恒常的な業務改善を通じて、コスト削減等に取り組み対応しています。しかしながら、その取組が十分功を奏せず又は競合他社との競争に劣後した場合には、手数料ビジネスの利益率の悪化や加盟店数の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、クレジットカードの不正利用等については、24時間体制で利用状況のモニタリングを行っていますが、想定を超える不正利用が発生した場合には、同様の影響を及ぼす可能性があります。
また、経済環境の悪化に伴い、自己破産及び多重債務者の増加、消費の落ち込みによるサービス需要の低下並びに求償債権の増加による引受信用保証の収益性の悪化の可能性があります。これらのリスクに対して与信管理を適切に行っていますが、想定を超え経済環境が悪化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、同社では不動産投資も行っており、投資資産の価値が変動する可能性がありますが、当社グループの事業、経営成績及び財政状態への影響は限定的であると認識しています。
2) 楽天銀行(株)
楽天銀行(株)は、銀行法及び金融商品取引法等に基づく監督を受けています。同社は、法令等により一定の自己資本比率の維持を求められており、財政状態を健全に保ち、最低自己資本比率を下回ることがないように留意していますが、財政状態の悪化により定められた自己資本比率が下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。更に同社は、登録金融機関として外国為替証拠金取引を取り扱っており、金融商品取引法その他の関係法令及び一般社団法人金融先物取引業協会の規則を遵守するとともに、各種禁止行為を行うことがないよう留意し事業を行っています。しかし、かかる取組や対応策が不十分であった場合、同社は顧客からの信頼を失う可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社では、インターネット・バンキング・サービスを提供しており、普通預金の引き出し、定期預金の解約、他の金融機関への送金又は振込がインターネット上で行えます。そのため、経済環境の悪化や同社及び当社グループのレピュテーションに悪影響を及ぼす不測の事態が発生した場合には、他の金融機関と比較して速いペースで想定を超えた資金流出が著しく発生する可能性があります。かかるリスクに対して、インシデント発生の未然防止又は早期発見のための定期的なモニタリング及び内部監査を内部統制の取組として実施しています。しかしながら、それらの取組の結果、期待通りの効果を得られなかった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、同社においては、適切な収益確保とマーケティングコストの管理を行っていますが、競争環境の激化により、ローン金利の引き下げ、預金調達コストの増加及び多額のマーケティングコストが発生した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、同社は、独自のATMネットワークを有していないため、ATMの利用に関わる契約を締結している他の金融機関との関係が悪化した場合又はこれらの業務若しくは関連するシステムに障害が生じた場合等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3) 楽天証券(株)
楽天証券(株)は、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を行っており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令諸規則等の適用を受けています。これに対し同社は、定期的なモニタリング、内部監査等の内部統制の取組を実施しており、法令等を遵守しています。また、法令等により一定の自己資本規制比率を保つよう義務付けられており、一定の財政状態を健全に保つように努めています。しかしながら、同社の取組が期待通りの成果を発揮しなかった場合及び最低自己資本規制比率を下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。
また、同社は、適切な収益確保のため、競合他社の動向調査を行い、収益の維持に努めています。しかし、競争環境の激化により手数料の引き下げ等を行った場合、収益性が悪化する可能性があります。新型コロナウイルス感染症の流行動向は世界経済に大きな影響を与えるため、金融市場のボラティリティの上昇要因となり得ます。金融市場のボラティリティが上昇した場合、国内外の株式の売買高の増加に繋がり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4) 楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)
楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)は、保険業法その他関連法令諸規則等に基づく金融庁の監督を受けています。主として契約者保護を目的とした保険業法その他関連法令により、業務範囲及び資産運用方法の制限を受け、また、準備金の積み立て、ソルベンシー・マージン比率の維持等に関する規定が定められています。両社は、社内規程等を整備し、ソルベンシー・マージン比率等についてのリスク許容度の設定やモニタリング管理を行っており、適宜対応できる体制を整備しています。しかしながら、何らかの要因により、業務運営、資産運用上の諸前提に大きな乖離が生じる等して、当該比率を適切に維持できず金融庁からの行政指導等が行われた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
楽天生命保険(株)は、定期保険や医療保険等、楽天損害保険(株)は、自動車保険、火災保険等を販売しており、保険契約者からの保険料収入及びそれを原資とした資産運用による収益を主な収入源としており、商品の拡販のため各種施策等の実施や保有契約の継続率向上に努めています。しかしながら、経済環境の悪化等の原因により、新規契約の減少、想定を超えた中途解約の増加等により、保有契約の著しい減少が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、資産運用に関しては、価格変動リスクの大きい有価証券の売却、回避並びにリスク許容度に応じたリスクの限度額管理を行うことで適切なリスク管理に努めていますが、保有する国内外の有価証券等について想定を超える価格変動等が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、大規模な自然災害の発生やパンデミックに備え、再保険の活用、異常危険準備金の積み立て等を行っていますが、想定を超える頻度及び規模の保険金支払いが生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5) 楽天ペイメント(株)
楽天ペイメント(株)は、QRコード決済、プリペイド決済、ポイント決済等のキャッシュレス決済サービスを提供しています。キャッシュレス決済サービスの競争環境は激しいものとなっており、その中で同社は、適切な収益確保とマーケティングコストの管理を行い、サービスを提供しています。しかしながら、競合他社とのマーケティング競争が更に激化し、加盟店手数料の引き下げ又は一時的な減免を行った場合及び多額のマーケティングコストが発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
同社のキャッシュレス決済サービスに関連するシステムに障害や不正アクセス等が発生した場合、同社ひいては当社グループのセキュリティに対する信頼性及びレピュテーションが低下し、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があります。特に、キャッシュレス決済サービスのユーザーは、容易に他の事業者の決済手段に切り替えることができるため、ユーザーの離反とそれに伴う取扱高の減少の規模は大きくなる可能性があります。同社は、キャッシュレス決済関連システムの障害発生及び不正アクセスを防ぐため、システムの冗長構成(バックアップ体制の構築)、セキュリティの強化等に努めていますが、かかる取組が期待通りの効果を得られなかった場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6) 楽天ウォレット(株)
楽天ウォレット(株)は、ビットコイン、イーサリアム等の暗号資産(仮想通貨)に係る交換所として取引サービスを提供しています。暗号資産(仮想通貨)の取引価格は短期間に大きく変動することがあり、それに伴い取引需要も大きく変動することがあります。また、暗号資産(仮想通貨)取引に関して、投資者に影響を与える税法の制定及び改正等によっても取引需要が変動する場合があります。仮に取引需要が大きく落ち込んだ場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社は、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を行っており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令諸規則等の適用を受けています。法令等により義務付けられる自己資本比率が、最低自己資本規制比率を下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。
同社は、顧客の資産保全に向けて顧客から預託を受けた金銭を、信託口座を経由した銀行預金にて自己資金とは分離して管理を行っているほか、顧客保有分の全ての暗号資産(仮想通貨)をコールドウォレット(外部のネットワークに接続されていないウォレット)で保管し、一部の通貨を除き秘密鍵も複数の署名を必要とするマルチシグネチャーで管理しています。更に、ログイン時、出金時、出庫時にそれぞれ二段階認証の実施を必須としています。しかしながら、仮にこれらのリスク管理措置が十分有効に機能せず、顧客の資産が流出等した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) モバイルセグメント
① モバイル事業
1) モバイル事業-法的規制等
楽天モバイル(株)が提供する通信サービスは、日本及び今後事業展開を予定する各国において、通信事業に関する法令、安全保障上に関する制約、事業・投資にかかる許認可等、規制の改廃、政策決定等により、直接又は間接の影響を受ける可能性があります。また、同社は、電気通信役務の円滑な提供のために他の電気通信事業者の通信設備と同社の通信設備を相互接続するため相互接続協定を結んでいます。現在、電気通信設備を有する者は他事業者に対して原則として接続義務を有していますが、電気通信事業法等の改正等により、接続義務の撤廃や緩和等の措置が取られ、同社の負担すべき使用料、相互接続料等が増加する等、同社にとって不利な形で条件変更がなされる可能性があります。
同社は当社グループと協働し、日本及び今後事業展開を予定する各国の通信事業に関する法令諸規則等の改廃、政策決定等の動向を注視し、適宜、弁護士等をはじめとする外部専門家及び当局に事前相談すること等により、必要な情報を早期収集するとともに当該動向に適合するようすみやかに運用方法を変える等しかるべき対応策を講じ、またそれら対応策の実施状況をモニタリングしています。このような必要な対応策を講じ、リスクの軽減に努めていますが、これらのリスクが現実化する時期を完全に予測することは困難であり、また完全に回避できる保証もありません。
その場合、これらの法令等の改廃、政策決定等の動向により、同社のサービスの提供に制約等を受け又は不測の費用が発生する可能性があります。また、同社がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、行政機関から行政処分等を受ける可能性があります。かかる場合、当社グループの信頼性の低下、事業展開の制約等が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) モバイル事業-他事業者との競争、市場及び事業環境
本事業の市場は、強固な顧客基盤を有する大手競合他社が存在し、また、仮想移動体通信事業者(MVNO)との価格競争等が生じています。そのような事業環境の中、同社は独自の革新的な技術を用いた仮想無線ネットワークの実現により、安価で高速な通信環境を生かした通信サービスをユーザーに提供しています。また、当社グループの「楽天エコシステム」を生かし、当社グループの他の魅力的なサービスへアクセスを容易にすることにより、競合他社と差別化を図り、ユーザーの獲得を図っています。しかし、大手競合他社も安価な通信サービスを相次いで発表し始める等、価格競争が激化する様相を呈しています。携帯通信業界全体が大きな構造変化に直面しているため、かかる施策を推進しても、当社グループが提供する優位性を生かせず、逆に競合他社が既存の優位性に加え、安価な通信サービス等を展開することにより、同社において新規ユーザーの獲得及び維持することが困難になり、同社及び当社グループが、期待通りにサービス及び関連商品を提供できない可能性があります。
また、通信事業者が提供するサービスの同質化及びMVNO各社による格安SIMサービス等の普及が進み、通信事業者が新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大する等、事業環境は大きく変化しています。かかる状況の下、前述の施策によっても他通信事業者との競争に対抗しきれない場合、同社及び当社グループにおいて、計画通り収益を獲得できない可能性があります。
3) モバイル事業-設備
同社による移動体通信事業者(MNO)サービスの拡大及び品質向上に向けて、基地局及び伝送・交換等を行う通信設備を設置するための地権者との協議、通信ネットワークを構築するための他通信事業者が保有する通信回線設備との連携、通信機器やネットワーク機器の調達等を行っていますが、これらの協議等が計画通りに進まない場合には、同社及び当社グループにおいて当該サービスを計画通りに拡大できない可能性及び追加費用が発生する可能性があります。
4) モバイル事業-安定的な通信サービスの提供
同社は、通信という社会インフラを提供する社会的使命を認識し、安定的な通信サービスの提供に努めています。また、危機管理基本方針を定め、それに基づき事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時の初動対応、重要業務の継続及び早期復旧に対応できるよう努めています。同時に、ネットワークの品質とセキュリティ向上に努め、外部からの攻撃への対応策を実施しています。しかしながら、同社の想定を大きく上回るサイバー攻撃等の外部からの攻撃、自然災害・事故等による通信障害等の不測の事態が発生する可能性を否定することはできず、万が一、これらが発生した場合には、サービス提供の制約又は一時的な停止を余儀なくされ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5) モバイル事業-第三者との提携等
同社では、自社の基地局及び伝送・交換等を行う通信設備の拡充を行っていますが、地域によっては、同社が他の電気通信事業者(ローミング事業者)の回線を使用して、そのサービス(ローミングサービス)を提供しています。同社は、自社の基地局及び通信設備の拡充の状況を地域ごとに勘案し、ローミング事業者との提携の継続要否に関する協議を行い、安定的なサービス提供に努めています。しかしながら、何らかの理由により、提携するローミング事業者が回線の利用料を引き上げた場合、同提携が終了するに至った場合又は当該ローミング事業者の通信設備が自然災害等により利用が困難になった場合等には、同社が提供するサービスの変更を余儀なくされる又はサービス提供に支障をきたす可能性が否定できません。かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6) モバイル事業-新規事業の開発
同社は、世界中の通信事業者や企業が、安全でオープンなモバイルネットワークを迅速かつ低コストで簡単に構築できるクラウドネイティブなプラットフォーム『Rakuten Communications Platform』(以下、『RCP』といいます)を政府機関、通信事業者や企業向けにグローバル展開することを目指し、コスト管理を行いつつ開発を進めています。また、潜在顧客のニーズを把握するためのマーケティングも行い、期待される製品の性能を満たすよう開発に努めています。しかしながら、技術上又は潜在顧客のニーズの変化等の理由により、同社が開発計画を変更する必要が生じ、開発工数が増加した結果、開発遅延を引き起こし、当初予定していた『RCP』のローンチが遅延する可能性があります。また開発遅延、ローンチ遅延及び潜在顧客のニーズへの対応に当初計画より多額の費用が発生した場合、当初、同社及び当社グループが計画していた収益化の時期が後退する可能性があり、かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② エネルギー関連事業
楽天モバイル(株)が行う電力小売事業は、卸電力取引市場で電力を調達しているため、電力調達価格の価格変動リスクを負っています。
同社は、卸電力取引市場での電力調達価格の変動に備えるため、電力調達の一部を固定価格で電力調達契約を締結しています。しかし、電力調達価格の価格変動リスクを完全に回避できる保証はなく、卸電力取引市場における電力取引価格の変動により同社の電力仕入価格が高騰する等の事態が発生した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ コンテンツ関連事業
1) デジタルコンテンツサービス
当社グループでは、電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービス及びミュージックストリーミングサービスコンテンツ等のデジタルコンテンツの提供を行っています。当該デジタルコンテンツ素材を調達する際に、当社グループが提供するサービスフォーマットへ変換を要する場合があります。また、映像等の使用許諾に加え、ライセンサー等に対し、事前に最低保証料等の支払いを求められる場合があり、かかる先行的な対応や支払いのため、コンテンツ調達の為の費用が一時的に発生するほか、コンテンツ収入が当該調達費用を下回る場合には、当事業の収益に影響を及ぼす場合があります。当社グループでは、ライセンサー等と契約交渉するにあたり、ライセンサーへの費用の支払いを最低保証金等ではなく可能な限り売上分配型の形態を採るよう交渉に努めています。また、新型コロナウイルス感染症対応策により興行・イベント自体が自粛又は開催の規模を縮小して実施することになった影響を加味し、デジタルコンテンツ事業に関するイベントをオフラインからオンライン型へ移行を強化することにより新たな収益源の確保に努めています。更に、「楽天エコシステム」を生かし、楽天モバイル(株)が販売する携帯端末から当社グループが提供するデジタルコンテンツへのアクセスを容易にすることによりモバイル事業とのシナジーを生かした事業展開を行っています。しかしながら、かかる施策を講じても必ずしも期待通りの効果が生じる保証はなく、その場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) チケット事業
新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年2月下旬から開始した政府からのイベント自粛要請等に従って、全国規模で興行・イベントの中止・延期が相次ぎ、多くのチケットの払い戻し費用が発生しました。また、第二波、第三波と新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、今後の興行・イベント開催の実施は引き続き不透明です。対応策として、無観客ライブのオンラインチケット販売等、オンライン型への移行を中心とした戦略を策定・実行中です。しかしながら、今後も新型コロナウイルス感染症の流行動向により興行・イベントの企画自体が減少し、計画された興行・イベントの中止・延期が発生する事態となった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
5 事業運営に伴うその他リスク
(1) 情報セキュリティに関するリスク
① 個人情報に関するリスク
当社グループは、『楽天市場』に代表される当社グループが提供する全てのサービスの利用にあたり、ユーザーに「楽天ID」を付与し、当社グループがそのデータを保有して国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループは、「楽天ID」をユーザーの氏名及び住所と結びつけられた個人情報として取り扱っており、当社グループの各種ハードウエア、ソフトウエア等の情報システムからなる情報資産とともに事業展開をする上で不可欠な資産であると認識しています。したがって、当社グループでは、全てのユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できることを最優先とし、情報セキュリティ体制及び個人情報の保護の観点から情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の確立等、各種施策に取り組んでいます。
また、各国で展開するビジネスにおいて、その国の個人情報保護に関する法令に準拠することを徹底しています。特に、個人情報保護のベストプラクティスとなっているGDPR(General Data Protection Regulation)への準拠を図るべく、拘束的企業準則(Binding Corporate Rules:BCR)と呼ばれる世界水準のプライバシー保護基準を導入し、欧州のデータ保護機関の正式な承認を受けています。更に、クレジットカードを含むペイメントカードを取り扱うビジネスにおいては、カード会員データのセキュリティに関する国際標準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠を徹底しています。加えて、一部の当社グループ会社は、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合し、個人情報について適切な保護措置を講じる体制を整備している事業者として外部機関から認定され、プライバシーマークの付与を受けています。
しかしながら、各国の個人情報管理に関する法令、グローバルなデータの移管に関する法令、情報セキュリティに関する法令等、プライバシー関連法令等は、益々高度で複雑になってきています。これらに適時適切に対応できず、当該法令等に違反した場合、レピュテーションリスクの発生、業務停止命令、訴訟等を含む紛争に発展する可能性があります。また、プライバシー関連法令及び企業の自主的な規制強化への対応が円滑に行えない場合、当社グループのデータ活用ビジネス及び収益に影響する可能性があります。
これらのリスク発生回避のため、前述の取組のほか、社内規程の整備、プライバシー関連法令に関する知識の周知及び社内教育を行っています。また、連絡、相談体制の整備による違反の可能性の早期発見等に努めるとともに、関係部署とプライバシー担当部門との緊密な連携を図ることで法令等の内容を迅速、的確に情報システム及び業務に適用するように努めています。しかしながら、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反、補償費用の発生等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループのサービスの多くはコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。そのためネットワーク若しくはコンピュータシステム上のハードウエア又はソフトウエアの不具合、欠陥、コンピュータウイルス・フィッシングメール等によるマルウエア、外部からの不正な手段による当社グループのコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為等により情報システムの可用性又は情報の機密性及び完全性を確保できない可能性があります。それにより当社グループのサービスの不正な利用、重要なデータの消失及び不正取得等が発生する可能性もあります。
これらのリスク発生の回避又は低減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対応策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分等を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 営業秘密等の情報漏洩に関するリスク
当社グループは、役職員や業務委託先等の業務遂行上の不備、アクセス権等の悪用等により当社グループにおける営業秘密等の情報が漏洩するリスクがあります。それにより漏洩した営業秘密等が外部の第三者に悪用される又は競合他社に利用された場合、当社グループの収益機会が喪失する可能性があります。かかるリスク発生の回避又は低減のため、役職員や業務委託先等への教育、啓発活動を行うほか、管理体制を定め、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 情報システムに関するリスク
当社グループのサービスの多くは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。当社グループは、適用でき得る限りの最新の技術と対応を行い通信ネットワークが正常に機能し、サービスの提供に支障がないよう努めています。しかし、かかる対応策によっても通信ネットワーク若しくはコンピュータシステム上のハードウエア又はソフトウエアの不具合、欠陥といった当社グループの情報システムに脆弱性又は不備が生じる可能性があります。加えて、人的な業務過誤により正常なサービスの提供に支障を生じる可能性があるほか、当社サービスの不正な利用、重要なデータの消失、機密情報の不正取得及び漏洩等が発生する可能性もあります。
これらのリスク発生の回避又は軽減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種の対応策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループのシステムが一時的に停止する等の事態が発生し、ユーザー及び取引先の信頼低下及び離反を招くのみならず、システム停止によってユーザー及び取引先が被った損失に対する損害賠償請求等がなされる可能性もあります。また、監督官庁からの行政処分等を受ける可能性もあり、かかる場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法規制等に関するリスク
① 法令・コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。各国、地域において、各種事業活動に関連する法令諸規制等があり、前述のフィンテックセグメント及びモバイルセグメントの各項目に記載した法令諸規制等のほか、電気通信事業、運送業、資金移動業を含む各種業法令はもちろん、個人情報・プライバシー保護、消費者保護、公正競争、汚職禁止、自然環境、労働環境、犯罪防止、開示、納税の適正、人権、輸出入、投資、為替に関する国内外の各種法令諸規制等が広く適用されます。中でも、「デジタルプラットフォーム事業者に対する規制」、各国の個人情報管理に関する法規制、グローバルなデータの移管に関する法規制及び情報セキュリティに関する法規制等は、特に当社グループの事業運営に影響を及ぼす最も重要な法令諸規制等と認識しています。
こうした関連諸法令の制定及び改正、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受けた場合又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、COO(Chief Operating Officer)、Function CCO(Function Chief Compliance Officer:COOの下でグループ全体のコンプライアンスを統括する責任者)及び社内カンパニー制に基づくCompany Compliance Officerによりコンプライアンスに対するグループ横断的な取組を進め、グループリスク・コンプライアンス委員会及び取締役会へその取組状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長直轄の独立組織である内部監査部及び子会社の内部監査部門による内部監査を実施し、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っています。しかしながら、コンプライアンスに関するリスク(監督官庁の見解と当社グループの見解が異なるリスクを含む)及びそれに付随して当社グループの社会的信用が毀損されるリスクは完全に排除できるものではなく、当社グループのみならず取引先に起因するものを含め、当社グループがこれらのリスクに対処できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟等に関するリスク
当社グループは、各種サービスの展開を図る上で、販売者又は役務提供者、購入者又は役務利用者、その他のユーザーによる違法行為及びトラブルに巻き込まれた場合、システム障害等によって販売者又は役務提供者、購入者又は役務利用者その他のユーザー又は消費者に対し損害を与えた場合、当局による諸規制等に違反した場合等においては、当社グループに対して訴訟を提起される可能性及びその他の請求や行政処分や高額な課徴金の支払い命令を受ける可能性があります。楽天モバイル(株)、Rakuten Kobo Inc.が販売する携帯端末、電子書籍端末等については、それらグループ会社がメーカーの立場及び第三者に製造を委託している立場として製造物の欠陥等に伴う製造物責任等を負う可能性があります。また、新たに発生し又は今まで現実化しなかったビジネスリスクによって、現時点では予測できない訴訟等が提起され、その結果、高額な損害賠償金の支払い義務を負う可能性があります。一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害される又は第三者の行為により損害を被った場合には、当社グループの権利が保護されない可能性及び当社グループの権利保護のための訴訟等の遂行に多大な費用を要する可能性もあります。
当社グループでは、適宜、弁護士等をはじめとする外部専門家及び当局に事前相談すること等により、適切かつ適法なサービスの提供に努めていますが、全ての訴訟等の可能性を排除することは困難であり、かかるリスクが現実化した場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては特別損害が発生し、また、当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、ひいては当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 無形資産に関するリスク
① 「Rakuten」ブランドの保全と推進に関するリスク
当社グループは、多様なサービス展開、広告宣伝活動等を通じて「Rakuten」ブランドの確立を図っており、そのユーザー等に対して一定の認知が得られているものと認識しています。事業規模の更なる拡大等を目的として、各サービスブランドの「Rakuten」ブランドへの統合推進、会員データベースの一元化、リワードプログラムの共通化を媒介とした会員IDの統合等を推進しています。ブランドの展開及びブランド統合による認知度向上のための施策並びに費用については事前に十分な計画を立てていますが、思うような成果が現れず計画比で費用が超過する可能性もあります。また、これらの施策の過程においてブランド名称やロゴ、会員IDの変更により既存会員のロイヤリティの低下及び会員組織からの離脱を招く可能性もあります。ブランド統合推進が期待通りの効果を得られない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、ブランド統合により、各サービスブランドの施策が当社グループ全体に影響を与えるため、一つのサービスブランドにおいて、サービス展開におけるトラブル及び役職員による不正等が発覚し、当社グループのブランドの信頼性及びブランド価値を毀損するような事案等が発生した場合、当社グループ全体に影響を及ぼし、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権に関するリスク
当社グループが展開するいずれの事業においても技術分野における進歩及び変化が著しいため事業展開を行う各国において自社グループの技術、ブランド、コンテンツ等を保護することが継続的な事業運営に必要不可欠であると考えています。そのため、特許権、商標権、著作権、ドメインネーム及びその他の知的財産権を取得するとともに、必要に応じて第三者から知的財産権のライセンスを受けています。
しかしながら、知的財産権が取得できないことで、当社グループが使用する技術、ブランド及びコンテンツ等を保護できない可能性があります。また、第三者から知的財産権等の侵害を主張されることで、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性、知的財産権のライセンスの取得等のために多額の費用が発生する可能性及び当社グループの事業が差し止められ、多額の損害賠償金が課せられる可能性等があります。
これらのリスクの発生を回避するため、当社グループにおいては、特許権、商標権、著作権、ドメインネームその他の知的財産権の積極的な取得及び第三者の権利侵害を回避するための対応策の実施を進めています。しかしながら、かかる対応策にもかかわらず、リスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人的資源に関するリスク
当社グループでは、各サービス分野において専門性及び多様性(ダイバーシティ)を有する人材が必要であり、今後とも事業拡大及び国際展開に応じて、継続してグローバルに人材を確保、育成すること及びダイバーシティを実現することが必要です。更に、日本においては少子高齢化や労働人口の減少が進行していることを踏まえ、市場ニーズの変化による採用、生産性の向上や採用した人材の定着(リテンション)及びマネジメント層の育成も継続した課題と認識しています。
当社グループでは、月次の人員計画の更新、運用を実施し、その変動を注視しつつ採用チャネルの多様化、リクルーターの増員等を行い、採用活動を行っています。海外からの人材の採用に際しては、政府のガイダンスに従い、新型コロナウイルス感染症の流行動向に応じた対応に留意しながら実施しています。加えて、採用した人材に対する職階に応じた教育・研修の実施等を通じて、人材育成や当社グループへのエンゲージメントの強化に取り組んでいます。マネジメント層の育成では、当社グループ内で実施するリーダーシップサミット等で当社グループのマネジメント層同士が議論する機会を設け、グループ横断的な連携及びリーダーシップの強化を図っています。しかしながら、かかる施策にもかかわらず、競合他社との人材獲得競争の激化により採用が計画通りに進まなかった場合、並びに人材の育成及び多種多様な人材が活躍できる就労環境の整備が順調に進まず、在職する人材の社外流出が生じた場合には、労働力が不足し、労働生産性が低下する恐れがあり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は、当社グループの創業者であり、創業以来CEOとして当社グループの経営に携わり、重要な役割を果たしているため、同氏の離職又は業務執行が困難となる不測の事態が生じた場合、当社グループに重大な影響を与える可能性があります。当社グループは社内カンパニー制を敷き、職務権限表に基づき各カンパニーごとにカンパニープレジデントを設置し、また執行役員制度を採用して適切に業務遂行の権限移譲を行っています。更に、グローバルで多岐に渡る当社グループの事業展開を担うことができる人材の育成も行い、同氏が離職又は業務執行が困難となった場合のリスクを低減しています。しかしながら、同氏の離職又は業務執行が困難となる不測の事態が突如生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) マーケットに関するリスク
① 金利変動及び有価証券、金銭信託等の価格変動に関するリスク
当社、楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)等では、必要な事業資金について銀行等からの借入等を行っていますが、当該事業資金の調達が金利変動の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは有価証券、金銭信託等の金融商品を多く保有しており、これらの有価証券等は金融商品市場の動向等により価格が変動する可能性があります。一部の有価証券等は、価格変動のリスクを低減するためデリバティブ取引等を活用していますが、完全にリスクを回避及び低減できる保証はなく、金融商品市場における価格変動により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替変動に関するリスク
当社グループが行う外貨建投資及び外貨建取引においては、経済動向を注視しつつ、為替変動リスクを極力回避する方針としています。しかし、当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債は、現地通貨で発生したものを円換算し、連結財務諸表を作成しているため、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、外国為替相場の変動により当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 財務・資金に関するリスク
① 資金調達に関するリスク
当社グループは、金融機関等と締結しているローン契約、コミットメントライン契約等の借入に係る契約に財務制限条項が規定されている場合があり、当社グループの経営成績、財政状態又は信用力が悪化した場合には、これらの条項に基づき金融機関等から既存借入金の一括返済、金利及び手数料率の引上げ、担保権の設定等を迫られる可能性があります。また、当社グループの信用力の悪化により格付機関による信用格付が引き下げられた場合及び金融市場の影響等に起因して金融機関等における調達環境が悪化し、当社グループに対する貸出条件、社債発行条件等に影響する場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループのサービス展開の制約要因となる可能性があります。当社グループは金融機関、格付機関、資本市場等との良好な取引関係の維持、調達先の分散、調達手段の多様化等により、かかるリスクを極力低減するようにしていますが、かかるリスクが現実化した場合及び金融市場が不安定な場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 繰延税金資産に関するリスク
当社及び一部の連結子会社においては、IFRSに基づき、将来における税金負担額の軽減効果を繰延税金資産として計上しています。当社グループは、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングをし、回収可能な繰延税金資産を計上していますが、将来課税所得の見積りが下方修正されたことに伴い当社及び当該連結子会社における繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合若しくは税制及び会計基準の変更が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害及びパンデミック等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、パンデミックが発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があり、重大なリスクと認識しています。
これらの災害及びパンデミック等が発生する場合には、社会全体の経済活動が停滞し、当社グループの提供するサービスに対する需要が減少する可能性がある一方、災害等の態様によっては急激にその需要が拡大することもあるため、それに伴い当社グループの業務対応能力を超えた場合には、サービスの提供等が遅延又は一時停止する可能性があります。また、当社グループの営業及び物流拠点、データセンターをはじめとする主要な拠点が、これらの災害及びパンデミック等により直接的又は間接的に被害を受けた場合には、物理的、人的な被害及び影響が生じかつ通信ネットワークや情報システム等が正常に稼働しなくなり、当社グループの事業活動自体が困難となる結果、サービスの提供等に制約が生じ、やむを得ずサービスの提供を一時停止せざるを得ない可能性があります。加えて役職員の安全の確保のため、状況に応じて役職員の出勤を制限又は停止する等、業務の運営様態を変更せざるを得ないことにより、業務の生産性の低下並びに情報セキュリティ及びプライバシー保護に関して一定レベルのリスク上昇が生じる可能性があります。
当社グループにおいては、これらの災害及びパンデミック等が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)等を策定し、訓練等を通じ役職員の安全性の確保や情報システムのバックアップシステム等の立ち上げの想定をする等、更に高度化しつつ、かかるリスクを最小限にするよう努めていますが、災害及びパンデミック等の規模がその想定を超える場合には、当該リスクが現実化し、事業の継続自体が困難又は不可能となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 気候変動に関するリスク
度重なる異常気象の発生や気候パターンの変化等、気候変動は地球環境や人類、企業活動に重大な影響を与えるとともに、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある重要なリスクと認識しています。気候変動リスクは、主に気候変動に伴う物理的リスクと低炭素社会への移行に伴う各種規制拡大等の移行リスクに大別されます。
当社グループは、3年連続して日本で発生した特定非常災害(著しく異常かつ激甚な非常災害として指定されたもの)等による事業への影響を物理的リスクの一つとして認識しています。具体的には、『楽天市場』で購入された商品の発送・配達の遅延リスク、楽天損害保険(株)の保険金支払額の増加による営業損失リスクが現実化しています。『楽天市場』では、天候不良に伴う配送遅延のお知らせを商品購入画面でユーザーへ通知し、自社配送サービス『Rakuten EXPRESS』のウェブサイトにも随時掲載する等して、ユーザーに配送遅延による支障ができる限り生じないように対応しています。その他、ハザードマップ等をもとに自社運営の物流拠点における浸水リスクを調査し、災害時の避難拠点を周知して、物流拠点において商品の破損や発送・配送時に支障が生じないように努めています。また、楽天損害保険(株)では、大規模な台風や豪雨の被害による多額の保険金支払いに備えて、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っており、このように各事業で対応策をとり物理的リスクの低減に努めています。
一方、CO2の排出を抑え低炭素社会へ移行することに伴い、当社グループが事業展開をする日本を含む各国政府から炭素税等の各種法規制等が予告なく課される可能性があります。それらの課税や各種法規制等への対応の為、一時的にコストがかさみ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響する可能性を移行リスクの一つとして認識しています。当社グループは事業活動に伴い排出するCO2の90%以上が電力消費によるものです。当社は自社のCO2の排出削減に取り組むため、国際イニシアチブ「RE100」(Renewable Electricity 100%)に加盟し、2025年までに自社のオフィス、データセンター、物流センター等で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることをコミットし、低炭素社会への移行を促進し、移行リスクの低減を図っています。
当社グループでは、気候変動リスクの低減に努めていますが、想定を超える気候変動リスクが現実化した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 事務・オペレーションリスク
① 財務報告に関するリスク
当社グループは、信頼性の高い財務報告を作成するため、金融商品取引法が定める内部統制報告制度に基づき、財務報告に係る内部統制を整備し、その評価を実施しています。しかしながら、当社グループの内部統制が適切に機能しない又は内部不正を阻止できない等、重要な不備が生じた場合には、当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 業務効率に関するリスク
当社グループは、業務の正確性、効率性を高めるために、様々な取組を実施しています。具体的には、全従業員参加型の改善活動の実施、業務遂行過程における各種情報システムの活用、担当者以外の第三者が業務内容を二重に確認する再鑑制度の実施、社内規程及び事務手続きの標準化並びに文書化等に取り組んでいます。しかしながら、一部において専用の情報システムが導入されておらず、人的な対応に委ねられている業務もあり、役職員の誤認識、誤操作等により事務手続きの不備が発生する可能性があります。また当社グループの急速な拡大に伴う事務量の増加、新サービスの展開等により、業務遂行に必要な知識の共有及び継承が不十分になる可能性があります。それらの結果、事務手続きの不備の増加や生産性の低下により安定的なサービスの供給の妨げ、経済的な損失及び個人情報等の流出等に繋がる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 風評に関するリスク
SNS等各種メディアを通じ、当社グループの事業及び役職員に関する様々な内容の報道及び情報が流布されています。これらの報道及び情報の流布は、正確な情報に基づいていないもの及び憶測に基づいたものが含まれている場合があり、それらの内容の正確性や当社グループへの該当の有無に関わらず、当社サービスのユーザーや投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性があります。
当社の株価に重大な影響を与えかねない内容に関する不明確な情報が発生した場合、東京証券取引所の注意喚起に応じ、これらの不明確な情報に対する当社グループの見解を直ちに開示する等、投資者が正しい情報に則って当社株式の評価ができるよう資本市場に適切な情報を開示します。また同時に、当社グループのコーポレートサイトを通じて適切な情報発信に努めています。しかしながら、かかる報道及び情報の流布により結果的に当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、以下の記載事項のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1 当社グループの経営陣が考えるリスクとは
当社グループは、リスクを「経営目標の達成に影響を及ぼしうる不確実性」と定義しており、経営目標達成の確度を向上させるために、定期的なリスクの洗い出しを行った上で、当該リスクが当社グループの将来の経営成績等に与える影響の程度や発生可能性に応じた重要性(マテリアリティ)の評価を行い、当該評価に応じた対応策を策定し実行しています。
2 当社グループのリスク管理体制
当社グループは、リスク管理に関するグループ規程、細則及び事務マニュアルを整備し、リスクの適切な把握、対応策の策定と実行、その結果のモニタリングのサイクル(いわゆるPDCAサイクル)を確立しリスク管理体制を整備しています。特に重要なリスクについては、その対応状況を取締役会等にて経営陣に報告し、協議しています。また、グループ横断的なリスクについては、その対策状況を年4回開催されるグループリスク・コンプライアンス委員会にて報告し議論しています。更に重要リスクの一つである情報管理については、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要求事項に準拠した体制を整えています。今後も、現在の活動を継続しつつ、経営判断や事業運営に貢献するリスク管理体制の高度化を推進してまいります。
3 経営環境・戦略に関するリスク
(1) マクロ経済環境に関するリスク
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしており、当社グループの業績は国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向、社会情勢及び地政学的リスク等に影響されます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行(パンデミック)により、人・物の動き及び経済活動が制限されたことで、世界的な経済停滞が生じました。当社グループを取り巻くマクロ経済環境について注視しながら、事業展開、サービスの提供等を進めていく方針ですが、今後の内外経済環境の先行きについては引き続き不透明な状況にあり、今後世界経済の低迷、社会情勢の混乱及び地政学的リスク等が現実化した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新型コロナウイルス感染症の影響
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、重大なリスクと考えています。
当連結会計年度においては、感染防止を目的とした外出制限や自粛要請、渡航制限等によって、観光、宿泊、外食、興行等の人同士が接点を持つ対面サービスの機会及び需要が世界的に減少しました。その一方で、対面サービスの機会及び需要の減少を補うように経済・社会のデジタル化が加速し、当社グループでは、EC、オンラインでの映像提供サービス、インターネット・バンキング・サービス、インターネット経由の保険申し込み等の非対面サービスの需要が拡大しました。また、人々の行動様式の変容に伴い、クレジットカードのリボルビング払い、キャッシング、銀行のカードローン等の資金需要は減少した一方で、キャッシュレス決済の需要の拡大が見受けられました。
これらの変容による当社グループサービスの機会及び需要の増減は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、非対面サービスの機会及び需要の拡大においては、デジタル化を加速させることで当社グループサービスの更なる需要喚起を目指します。一方で、対面サービスの機会及び需要の減少においては、規模の縮小や制限等の影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の流行動向に合わせ感染対策に努めながらユーザーが安心して利用できるサービスの提供を行っていきます。
その他、対面サービスの機会及び需要の減少は「Rakuten」ブランドの露出減少に繋がり、当社グループに対する好感度及び認知度の減少に影響する可能性があります。当社グループは、各事業におけるコロナ禍の生活を支援する取組の発信、ソーシャルディスタンスのプロモーション活動、ロゴの制作及びその周知活動並びにスポンサーシップにおけるブランド露出をオフラインからオンラインにシフトする取組等を通じて、ブランド認知の向上に取り組んでいます。
また、当社グループでは、役職員に新型コロナウイルス感染症が流行することによって事業運営に支障が生じるリスクがあります。当社グループでは、役職員の感染リスク、クラスター発生のリスクを低減するため、社内執務エリアにおける各種感染防止対応策を実施し、流行状況に応じて役職員に対して在宅勤務を推奨する等の取組を行っています。
しかしながら、今後の新型コロナウイルス感染症の流行動向は依然として先行きが不透明です。当社グループは、新型コロナウイルス感染症の流行の動向を注視し、サービスの機会及び需要の増減を把握しつつ当社グループへの影響を低減するように努めています。また、新型コロナウイルス感染症による安全対策を推進し、ブランドの認知向上を通じた社会への働きかけを通して、事業に貢献してまいりますが、かかる取組にも関わらず、その取組が期待した効果を発揮しなかった場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合環境
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループが展開するいずれの事業においても多数の競合事業者が存在しており、激しい競争関係にあると考えています。また、他業種の事業者等を含む新規参入者が新たな競合事業者となった場合、より一層競争が熾烈化する可能性があります。
当社グループは、競合事業者の動向を注視しつつ、引き続き顧客ニーズ等への対応を図り、サービス拡大に結び付けていく方針ですが、これらの取組が期待通りの効果を上げられず、サービスの競争力を失った場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 業界における技術変化等
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループが展開するいずれの事業においても技術分野における進歩及び変化が著しく、新しいサービス及び商品が頻繁に導入されています。
当社グループは、常に最新の技術動向及び市場動向の調査、技術的優位性の高いサービスの導入に向けた実証実験並びに他社との提携の検討等を通して競争力を維持するための施策を講じています。しかしながら、何らかの要因により、当社グループにおいて当該変化等への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化及び競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応可能な場合であったとしても、既存システム等の改良、新たなシステム等の開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、これらの動向及び対応の巧拙によっては当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業運営の障害となりうる技術が開発される可能性もあり、このような技術が広く一般に普及した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 経営体制・事業戦略に関するリスク
① 経営体制(コーポレート・ガバナンス)に関するリスク
当社グループは、イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすることを経営の基本理念としています。ユーザー及び取引先企業へ満足度の高いサービスを提供するとともに、多くの人々の成長を後押しすることで、社会を変革し豊かにしていきます。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、以下の経営体制を含む様々な施策を講じています。
当社は、監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、社外監査役が過半数を占める構成となっています。また、当社は経営の監督と業務執行の分離を図るため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。
当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役を中心として客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営に関する多角的な議論を自由闊達に行っています。更に、取締役会とは別にグループ経営戦略等に関する会議等を開催し、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない中長期的視野に立った議論も行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。
加えて、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するために社内カンパニー制を導入しています。しかしながら、これらの経営体制を含む各施策から期待通りの効果を得られなかった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業戦略に関するリスク
当社グループは、保有するメンバーシップ(会員情報)、サービス利用にかかる各種データ、「Rakuten」ブランドを核とする「楽天エコシステム」において、国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果の創出、ひいては当社グループ利益の最大化を目指すという事業戦略を掲げています。この事業戦略のもと、個々のビジネスの成長及び事業間シナジーの最大限の追求に加え、当社グループが持つメンバーシップ、データ及び「楽天ポイント」を使用したリワードプログラム等の活用を行っています。具体的には、1億以上の会員IDに基づくオンラインとオフライン双方のデータを活用することにより、それぞれの事業におけるサービスの向上を図りつつ、これに加えオンラインとオフラインの垣根を超えるサービスの相互利用を促進しています。しかしながら、それら施策から期待通りの効果を得られなかった場合、当社グループの展開するサービスの一部あるいは複数が停止し相互利用の促進に障壁が生じた場合、及びメンバーシップデータの利用方法やリワードプログラムに関する法令等が当社グループにとって不利益な内容に改正された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事業の拡大・展開に関するリスク
1) 投資及び買収
当社グループは、国外市場への進出、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わず買収(M&A)や合弁事業の展開を行っており、これらを経営の重要戦略として位置付けています。
買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように努めていますが、案件の性質、時間的な制約等から十分なデューデリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務が発生する可能性及び未認識債務が判明する可能性があります。また、新規サービスの展開に当たってはその性質上、当該新規サービスが当社グループの事業、経営成績及び財政状態へ与える影響を正確に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りにサービスが進展せず、投下資本の回収に想定以上の期間を要する又はその回収ができない可能性やのれんの減損処理を行う必要が生じる等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、被買収企業と情報システムの統合、内部統制システム等の統一及び被買収企業の役職員及び顧客の維持・承継等が計画通りに進まない可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
合弁事業及び業務提携の展開においても、パートナーとなる事業者の経営成績及び財政状態について詳細な調査を行うとともに、将来の事業計画及びシナジー効果について事前に十分に議論することによって極力リスクを回避するように努めていますが、サービス開始後に双方の経営方針に相違が生じ、期待通りのシナジー効果が得られない可能性もあります。かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に計画以上の期間を要する又はその回収ができない可能性があります。
その他、ベンチャー企業への投資等、様々な企業に対する投資活動を行っていますが、このような投資活動においても、経営環境の変化、投資先の業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられず、投下資本の回収可能性が低下する場合には、投資の一部又は全部が損失となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) 海外への事業展開
当社グループは、収益機会の拡大に向けてグローバル展開を主要な経営戦略の一つとして掲げ、米州、欧州、アジア等の多くの地域でECを含む各種サービスを展開しています。また、国内外のユーザーが国境を越えて日本又は海外の商品及びサービスを購入するためのクロスボーダーサービス等も順次拡大しています。今後とも在外サービス拠点及び研究開発拠点を拡大していくとともに、各国サービス間の連携強化等に取り組みながら、海外でのサービスの充実を図っていく予定です。
一方、グローバルにサービスを展開していく上では、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、経済的・政治的不安定性、通信環境や商慣習の違い等の様々なリスク及びグローバルに事業を展開する競合他社との競争が熾烈化するリスクが存在します。また、外国政府及び国際機関により関係する諸規制が予告なく変更されるリスクも存在します。更に、サービスの国際展開では、サービス立上げ時に、現地における法人設立、人材の採用、システム開発等に係る経費が発生するほか、既存サービスにおいても、継続的に法令の変更へ対応のために支出が見込まれ、戦略的にビジネスモデルを変更する場合等においても追加的な支出が見込まれることから、これらの費用が一時的に当社グループの収益を圧迫する可能性があります。また、新たなサービスが安定的な収益を生み出すためには、一定の期間が必要なことも予想されます。
これらのリスクに対応するため、当社グループは、各国情勢を注視し、現地法令等へ適正に対応するとともに、各現地グループ会社でコンプライアンス体制を適切に構築し、法令遵守に努めています。また、サービスの展開においては、KPIを用いた常時業績管理、「楽天エコシステム」を活用した収益構造の効率化等による迅速な事業の立ち上げ、柔軟なビジネスモデルの変更を行うとともに、適時適切なコストコントロールを行い、当社グループの収益を圧迫するリスクの低減に努めています。しかし、ビジネスモデルに重大な影響を及ぼす規制・制度の変更、市場競争環境の変化等によりかかるリスクが現実化した場合には、対応に想定外の費用を要する可能性又は事業継続が困難となりサービス停止や事業撤退を余儀なくされる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
3) サービス領域の拡大
当社グループは、技術及びビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる事業をサービス領域としています。その中で、新規サービスの創出及び時代の流れに即したビジネスモデルの構築を目的とし、新規サービス領域に参入しています。新規サービスを開始するに当たって、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、当該サービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスクでも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。
また、新規に参入した市場の拡大スピード及び成長規模によっては、当初想定していた成果を上げることができない可能性があります。加えて、サービスの停止、撤退等においては、当該事業用資産の処分及び償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。当社グループは、サービス領域の拡大の場面において適時適切な対応を講じ、リスク低減に努めていますが、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4 ビジネスセグメント固有の事業運営に関するリスク
(1) インターネットサービスセグメント
① マーケットプレイス型のサービス
『楽天市場』のようなオンライン・ショッピングモール・サービス、『楽天トラベル』のような宿泊予約サービス、『Rakuten Rewards』のようなオンライン・キャッシュバックサービス等においては、取引の場を提供することをその基本的形態としています。当社グループは売買契約等の当事者とはならず、規約においても、販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者との間で生じたトラブルについて、当社グループはその責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めていますが、他方で、マーケットプレイス型サービスにおける取引の場の健全性確保のため、多くの事業では偽造品その他の権利侵害品の排除等に自主的に努めています。具体的には、出品商品に関するガイドラインによるルールの明文化や、事前の商材審査、定期モニタリングの実施、社外からの通報窓口設置等を行っています。しかしながら、マーケットプレイス型のサービスにおいて、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループも取引の場を提供する者として責任を問われ、更には、当社グループのブランドイメージが毀損される可能性もあります。近時、マーケットプレイス型サービスを含むプラットフォームビジネスについては、ネットワーク効果や規模の利益が働きやすいことから、優越的地位の濫用を含む不公正な取引方法に該当する事例その他の独占禁止法上の問題が生じやすいことが指摘されています。当社グループは、前述のように販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者に健全で信頼される取引の場を提供するとともに、これらの者との健全な関係の維持に努めています。また、当社グループは「5 事業運営に伴うその他リスク (3) 法規制等に関するリスク ①法令・コンプライアンスに関するリスク」にも記載しているように、法令遵守を重要な企業の責務と位置づけ、コンプライアンス体制を構築し、必要に応じて弁護士その他の専門家への相談、監督官庁との協議等を行い、法令遵守の徹底を図っています。しかしながら、当社グループのかかる施策にも関わらず、公正取引委員会の見解と当社グループの見解が異なること等により、独占禁止法への抵触の問題が発生する可能性は完全には否定できません。公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令等を受けた場合、企図していた施策が実現できなくなることに加えて、当社グループの社会的信用が毀損され、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、利便性及び信頼性の高いシステムに加え、集客力に優れた取引の場を継続的に提供することに努めていますが、それらの取組が期待通りの効果を上げられなかった場合には、販売者・役務提供者が減少し、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 宿泊予約サービス
『楽天トラベル』のような宿泊予約サービスは、パンデミックや自然災害によって大きな影響を受けます。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の流行により、政府や自治体による旅行を含む外出の自粛要請のみならず、緊急事態宣言の発令もあり、旅行業全体において需要が大きく落ち込みました。今後も新型コロナウイルス感染症の流行の先行きは不透明であり、また、異常気象、自然災害その他の要因による旅行需要の減少の可能性も否定することはできません。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の流行の動向を注視しつつ宿泊施設と連携して感染予防に努め、また、自然災害については想定される災害発生に備えて準備を行い、当社グループへの影響を低減するように努めています。しかしながら、かかる取組にも関わらず、何らかの理由で旅行需要の減少が起きた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 直販型のサービス
当社グループが一般消費者に対して商品・役務を直接提供する『Rakuten 24(旧爽快ドラッグ及びケンコーコム)』、『楽天ブックス』、『Rakuten Fashion』等のサービスにおいては、当社グループは売買契約等の当事者となり、商品・役務の品質及び内容に責任を負っています。商品の販売及び役務の提供に際しては、関係法令を遵守し、品質管理に万全を期していますが、欠陥のある商品を販売又は欠陥のあるサービスを提供した場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、商品回収、損害賠償責任等の費用の発生、ユーザーからの信用低下による売上高の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、商品については、一部でデータ活用を用いて予測した需要に従って、仕入及び在庫水準の管理等を行っていますが、想定した需要が得られない場合並びに技術革新及び他社商品との競争の結果、商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性があり、その結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 広告ビジネス
当社グループでは、デジタル広告等に関する広告ビジネスの売上高がグループ全体の売上に対して一定の比率を占めていますが、広告市場は特に景気動向の影響を受けやすい傾向があり、景気が後退した場合には広告主による予算減少の影響を受ける可能性があります。また、デジタル広告の分野においては技術の進展によって多様な広告手法が生み出されており、新規の参入者も多いことから、特に激しい競争にさらされています。
更に、広告配信プラットフォーム等の技術的な手法に、プライバシーに配慮した制約や変更が生じ、従来可能であった広告手法の変更やさらなる技術開発が必要となる可能性があります。かかる事業環境において、当社グループはこれらの競争や環境変化に対応するため、独自プラットフォーム上での広告の拡大やデジタル広告の技術開発を含む様々な施策を講じていますが、これらの施策が十分でない場合には、サービスの競争力を失い、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 物流事業
当社グループは、『楽天市場』等におけるユーザー、販売者又は役務提供者である出店企業の利用満足度を一層高めるべく、出店企業の物流業務の受託サービスの拡大等を通じた配送品質の向上に注力しています。
物流事業においては、何らかのシステム障害が発生して物流業務の遂行が不可能になること、物流拠点内の事故、配送時における交通事故の発生、自社物流網における新型コロナウイルス感染症を含む感染症の流行及び自然災害による物流拠点の稼働停止等のリスクがあります。当社グループは、システム障害発生の未然防止、障害発生原因に対する恒久対応策の実施、庫内・配送における安全業務遂行のための安全衛生委員会の設置及び自然災害を想定したリスク管理体制の構築を行っています。特に、配送における新型コロナウイルス感染症の感染防止対応策として、「置き配」サービスの提供等非対面受渡を行っています。しかしながら、これらの施策が不十分であった場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、物流拠点の拡大にあたり、設備として賃貸物件等を活用し、倉庫内設備投資等は将来見込まれる受注量を予測して実施していますが、当該設備の構築及び稼動開始までには一定の時間を要するため、かかる支出は先行的な投資負担になる場合があるほか、実際の受託業務での収益が予測を下回る場合には先行費用を補えず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、設備の移転、廃止等が決定された場合には、当該資産の処分及び償却を行うことにより、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) フィンテックセグメント
① フィンテックグループ共通リスク-法的規則
楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)等の金融サービスを提供するグループ会社(以下、「当社金融グループ会社」といいます)においては、各種業法、金融関連諸法令、監督官庁の指針(ガイドライン)、金融商品取引所及び業界団体等の自主規制機関による諸規則等を受け、遵守しています。しかし、当社金融グループ会社において、サービスを提供するために必要な許認可につき、将来、何らかの事由により免許等の取消等がなされ、若しくは業務停止が求められた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、関連法令諸規則の新設、改正等により、他社の新規参入が容易になる場合や提供するサービスに関する規制が強化された場合、競争の激化、規制強化に対応するための想定外の追加コストの発生及びビジネスモデルの見直し等が必要になる可能性があります。一方、当該関連法令諸規則等の変更や緩和により当該サービスの提供にあたり有利に影響する場合には事業展開に追い風となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社金融グループ会社は、金融庁組織規則に規定される金融コングロマリットに該当し、金融庁の定めた旧金融コングロマリット監督指針に基づき、グループガバナンス体制を構築し、業務の健全性、適切性を確保しています。しかしながら、何らかの理由によりグループガバナンス体制に不備があり監督官庁から行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。一方、当該金融コングロマリットに該当しない楽天ペイメント(株)、楽天ウォレット(株)等は、内部統制基本方針、リスク管理細則等の社内規程に加え、金融商品取引法の財務報告に係る内部統制等を参考にした内部統制の整備をそれぞれ個別に行っています。しかしながら、何らかの理由により監督官庁から行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② フィンテックグループ共通リスク-マーケット
当社金融グループ会社の各事業は、資産負債の時価変動についてリスクを負っています。当社金融グループ会社は、資産負債管理(ALM)を適切に実行し対応していますが、市場動向等により金利が大幅に変動した場合、期待通り適切に対応できない可能性があります。かかる場合には当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社金融グループ会社では、個人・法人向けの貸付債権を保有しているほか、国債・社債等の債券を保有しています。経済状況が悪化した場合及び債務者・債券の発行体の信用状況が著しく悪化した場合、当該貸付債権・保有債券の信用力が低下し、元利金の支払いが不履行となる可能性があるとともに、当該貸付債権への引当金計上及び保有債券の市場価格の下落により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、市場リスクをヘッジするために行っている金利スワップ、通貨スワップ、為替予約、オプション等のデリバティブ取引についても、カウンターパーティリスク(取引の相手方が破綻して約定どおりの支払いが受けられないリスク)があります。当社金融グループ会社は、これらのリスクに対し、当該貸付債権、保有債券及びデリバティブ取引の相手方の信用状況について、適宜精査をしており、早期の対応を図っていますが、当該対応が間に合わず、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このほか、当社金融グループ会社を含む当社グループ全体に関わるマーケットリスクについては、「5 事業運営に伴うその他リスク (5) マーケットに関するリスク」をご参照ください。
③ フィンテックグループ個別リスク
当社金融グループ会社は、各事業において固有のリスクを有しています。特に投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については以下のとおりです。これらのリスクは互いに独立したものではなく、ある事象の発生により複数のリスクが同時に発生する可能性があります。
1) 楽天カード(株)
楽天カード(株)は、クレジットカード決済等における加盟店契約業務を提供しており、加盟店からの手数料を収入源としています。競合他社との競争激化等による加盟店の流出、加盟店手数料率の低下が生じる可能性がありますが、同社は恒常的な業務改善を通じて、コスト削減等に取り組み対応しています。しかしながら、その取組が十分功を奏せず又は競合他社との競争に劣後した場合には、手数料ビジネスの利益率の悪化や加盟店数の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、クレジットカードの不正利用等については、24時間体制で利用状況のモニタリングを行っていますが、想定を超える不正利用が発生した場合には、同様の影響を及ぼす可能性があります。
また、経済環境の悪化に伴い、自己破産及び多重債務者の増加、消費の落ち込みによるサービス需要の低下並びに求償債権の増加による引受信用保証の収益性の悪化の可能性があります。これらのリスクに対して与信管理を適切に行っていますが、想定を超え経済環境が悪化した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、同社では不動産投資も行っており、投資資産の価値が変動する可能性がありますが、当社グループの事業、経営成績及び財政状態への影響は限定的であると認識しています。
2) 楽天銀行(株)
楽天銀行(株)は、銀行法及び金融商品取引法等に基づく監督を受けています。同社は、法令等により一定の自己資本比率の維持を求められており、財政状態を健全に保ち、最低自己資本比率を下回ることがないように留意していますが、財政状態の悪化により定められた自己資本比率が下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。更に同社は、登録金融機関として外国為替証拠金取引を取り扱っており、金融商品取引法その他の関係法令及び一般社団法人金融先物取引業協会の規則を遵守するとともに、各種禁止行為を行うことがないよう留意し事業を行っています。しかし、かかる取組や対応策が不十分であった場合、同社は顧客からの信頼を失う可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社では、インターネット・バンキング・サービスを提供しており、普通預金の引き出し、定期預金の解約、他の金融機関への送金又は振込がインターネット上で行えます。そのため、経済環境の悪化や同社及び当社グループのレピュテーションに悪影響を及ぼす不測の事態が発生した場合には、他の金融機関と比較して速いペースで想定を超えた資金流出が著しく発生する可能性があります。かかるリスクに対して、インシデント発生の未然防止又は早期発見のための定期的なモニタリング及び内部監査を内部統制の取組として実施しています。しかしながら、それらの取組の結果、期待通りの効果を得られなかった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、同社においては、適切な収益確保とマーケティングコストの管理を行っていますが、競争環境の激化により、ローン金利の引き下げ、預金調達コストの増加及び多額のマーケティングコストが発生した場合等には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、同社は、独自のATMネットワークを有していないため、ATMの利用に関わる契約を締結している他の金融機関との関係が悪化した場合又はこれらの業務若しくは関連するシステムに障害が生じた場合等、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3) 楽天証券(株)
楽天証券(株)は、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を行っており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令諸規則等の適用を受けています。これに対し同社は、定期的なモニタリング、内部監査等の内部統制の取組を実施しており、法令等を遵守しています。また、法令等により一定の自己資本規制比率を保つよう義務付けられており、一定の財政状態を健全に保つように努めています。しかしながら、同社の取組が期待通りの成果を発揮しなかった場合及び最低自己資本規制比率を下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。
また、同社は、適切な収益確保のため、競合他社の動向調査を行い、収益の維持に努めています。しかし、競争環境の激化により手数料の引き下げ等を行った場合、収益性が悪化する可能性があります。新型コロナウイルス感染症の流行動向は世界経済に大きな影響を与えるため、金融市場のボラティリティの上昇要因となり得ます。金融市場のボラティリティが上昇した場合、国内外の株式の売買高の増加に繋がり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4) 楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)
楽天生命保険(株)、楽天損害保険(株)は、保険業法その他関連法令諸規則等に基づく金融庁の監督を受けています。主として契約者保護を目的とした保険業法その他関連法令により、業務範囲及び資産運用方法の制限を受け、また、準備金の積み立て、ソルベンシー・マージン比率の維持等に関する規定が定められています。両社は、社内規程等を整備し、ソルベンシー・マージン比率等についてのリスク許容度の設定やモニタリング管理を行っており、適宜対応できる体制を整備しています。しかしながら、何らかの要因により、業務運営、資産運用上の諸前提に大きな乖離が生じる等して、当該比率を適切に維持できず金融庁からの行政指導等が行われた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
楽天生命保険(株)は、定期保険や医療保険等、楽天損害保険(株)は、自動車保険、火災保険等を販売しており、保険契約者からの保険料収入及びそれを原資とした資産運用による収益を主な収入源としており、商品の拡販のため各種施策等の実施や保有契約の継続率向上に努めています。しかしながら、経済環境の悪化等の原因により、新規契約の減少、想定を超えた中途解約の増加等により、保有契約の著しい減少が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、資産運用に関しては、価格変動リスクの大きい有価証券の売却、回避並びにリスク許容度に応じたリスクの限度額管理を行うことで適切なリスク管理に努めていますが、保有する国内外の有価証券等について想定を超える価格変動等が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に、大規模な自然災害の発生やパンデミックに備え、再保険の活用、異常危険準備金の積み立て等を行っていますが、想定を超える頻度及び規模の保険金支払いが生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5) 楽天ペイメント(株)
楽天ペイメント(株)は、QRコード決済、プリペイド決済、ポイント決済等のキャッシュレス決済サービスを提供しています。キャッシュレス決済サービスの競争環境は激しいものとなっており、その中で同社は、適切な収益確保とマーケティングコストの管理を行い、サービスを提供しています。しかしながら、競合他社とのマーケティング競争が更に激化し、加盟店手数料の引き下げ又は一時的な減免を行った場合及び多額のマーケティングコストが発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
同社のキャッシュレス決済サービスに関連するシステムに障害や不正アクセス等が発生した場合、同社ひいては当社グループのセキュリティに対する信頼性及びレピュテーションが低下し、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があります。特に、キャッシュレス決済サービスのユーザーは、容易に他の事業者の決済手段に切り替えることができるため、ユーザーの離反とそれに伴う取扱高の減少の規模は大きくなる可能性があります。同社は、キャッシュレス決済関連システムの障害発生及び不正アクセスを防ぐため、システムの冗長構成(バックアップ体制の構築)、セキュリティの強化等に努めていますが、かかる取組が期待通りの効果を得られなかった場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6) 楽天ウォレット(株)
楽天ウォレット(株)は、ビットコイン、イーサリアム等の暗号資産(仮想通貨)に係る交換所として取引サービスを提供しています。暗号資産(仮想通貨)の取引価格は短期間に大きく変動することがあり、それに伴い取引需要も大きく変動することがあります。また、暗号資産(仮想通貨)取引に関して、投資者に影響を与える税法の制定及び改正等によっても取引需要が変動する場合があります。仮に取引需要が大きく落ち込んだ場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、同社は、金融商品取引法に基づく金融商品取引業の登録等を行っており、金融商品取引法及び同法施行令等の関連法令諸規則等の適用を受けています。法令等により義務付けられる自己資本比率が、最低自己資本規制比率を下回る場合には、金融庁から営業の全部又は一部の停止を含む行政上の措置が課される可能性があります。
同社は、顧客の資産保全に向けて顧客から預託を受けた金銭を、信託口座を経由した銀行預金にて自己資金とは分離して管理を行っているほか、顧客保有分の全ての暗号資産(仮想通貨)をコールドウォレット(外部のネットワークに接続されていないウォレット)で保管し、一部の通貨を除き秘密鍵も複数の署名を必要とするマルチシグネチャーで管理しています。更に、ログイン時、出金時、出庫時にそれぞれ二段階認証の実施を必須としています。しかしながら、仮にこれらのリスク管理措置が十分有効に機能せず、顧客の資産が流出等した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) モバイルセグメント
① モバイル事業
1) モバイル事業-法的規制等
楽天モバイル(株)が提供する通信サービスは、日本及び今後事業展開を予定する各国において、通信事業に関する法令、安全保障上に関する制約、事業・投資にかかる許認可等、規制の改廃、政策決定等により、直接又は間接の影響を受ける可能性があります。また、同社は、電気通信役務の円滑な提供のために他の電気通信事業者の通信設備と同社の通信設備を相互接続するため相互接続協定を結んでいます。現在、電気通信設備を有する者は他事業者に対して原則として接続義務を有していますが、電気通信事業法等の改正等により、接続義務の撤廃や緩和等の措置が取られ、同社の負担すべき使用料、相互接続料等が増加する等、同社にとって不利な形で条件変更がなされる可能性があります。
同社は当社グループと協働し、日本及び今後事業展開を予定する各国の通信事業に関する法令諸規則等の改廃、政策決定等の動向を注視し、適宜、弁護士等をはじめとする外部専門家及び当局に事前相談すること等により、必要な情報を早期収集するとともに当該動向に適合するようすみやかに運用方法を変える等しかるべき対応策を講じ、またそれら対応策の実施状況をモニタリングしています。このような必要な対応策を講じ、リスクの軽減に努めていますが、これらのリスクが現実化する時期を完全に予測することは困難であり、また完全に回避できる保証もありません。
その場合、これらの法令等の改廃、政策決定等の動向により、同社のサービスの提供に制約等を受け又は不測の費用が発生する可能性があります。また、同社がこれらの法令等に違反する行為を行った場合、行政機関から行政処分等を受ける可能性があります。かかる場合、当社グループの信頼性の低下、事業展開の制約等が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) モバイル事業-他事業者との競争、市場及び事業環境
本事業の市場は、強固な顧客基盤を有する大手競合他社が存在し、また、仮想移動体通信事業者(MVNO)との価格競争等が生じています。そのような事業環境の中、同社は独自の革新的な技術を用いた仮想無線ネットワークの実現により、安価で高速な通信環境を生かした通信サービスをユーザーに提供しています。また、当社グループの「楽天エコシステム」を生かし、当社グループの他の魅力的なサービスへアクセスを容易にすることにより、競合他社と差別化を図り、ユーザーの獲得を図っています。しかし、大手競合他社も安価な通信サービスを相次いで発表し始める等、価格競争が激化する様相を呈しています。携帯通信業界全体が大きな構造変化に直面しているため、かかる施策を推進しても、当社グループが提供する優位性を生かせず、逆に競合他社が既存の優位性に加え、安価な通信サービス等を展開することにより、同社において新規ユーザーの獲得及び維持することが困難になり、同社及び当社グループが、期待通りにサービス及び関連商品を提供できない可能性があります。
また、通信事業者が提供するサービスの同質化及びMVNO各社による格安SIMサービス等の普及が進み、通信事業者が新たな収益の確保に向けて通信以外のサービスへ事業領域を拡大する等、事業環境は大きく変化しています。かかる状況の下、前述の施策によっても他通信事業者との競争に対抗しきれない場合、同社及び当社グループにおいて、計画通り収益を獲得できない可能性があります。
3) モバイル事業-設備
同社による移動体通信事業者(MNO)サービスの拡大及び品質向上に向けて、基地局及び伝送・交換等を行う通信設備を設置するための地権者との協議、通信ネットワークを構築するための他通信事業者が保有する通信回線設備との連携、通信機器やネットワーク機器の調達等を行っていますが、これらの協議等が計画通りに進まない場合には、同社及び当社グループにおいて当該サービスを計画通りに拡大できない可能性及び追加費用が発生する可能性があります。
4) モバイル事業-安定的な通信サービスの提供
同社は、通信という社会インフラを提供する社会的使命を認識し、安定的な通信サービスの提供に努めています。また、危機管理基本方針を定め、それに基づき事業継続計画(BCP)を策定し、危機発生時の初動対応、重要業務の継続及び早期復旧に対応できるよう努めています。同時に、ネットワークの品質とセキュリティ向上に努め、外部からの攻撃への対応策を実施しています。しかしながら、同社の想定を大きく上回るサイバー攻撃等の外部からの攻撃、自然災害・事故等による通信障害等の不測の事態が発生する可能性を否定することはできず、万が一、これらが発生した場合には、サービス提供の制約又は一時的な停止を余儀なくされ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
5) モバイル事業-第三者との提携等
同社では、自社の基地局及び伝送・交換等を行う通信設備の拡充を行っていますが、地域によっては、同社が他の電気通信事業者(ローミング事業者)の回線を使用して、そのサービス(ローミングサービス)を提供しています。同社は、自社の基地局及び通信設備の拡充の状況を地域ごとに勘案し、ローミング事業者との提携の継続要否に関する協議を行い、安定的なサービス提供に努めています。しかしながら、何らかの理由により、提携するローミング事業者が回線の利用料を引き上げた場合、同提携が終了するに至った場合又は当該ローミング事業者の通信設備が自然災害等により利用が困難になった場合等には、同社が提供するサービスの変更を余儀なくされる又はサービス提供に支障をきたす可能性が否定できません。かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
6) モバイル事業-新規事業の開発
同社は、世界中の通信事業者や企業が、安全でオープンなモバイルネットワークを迅速かつ低コストで簡単に構築できるクラウドネイティブなプラットフォーム『Rakuten Communications Platform』(以下、『RCP』といいます)を政府機関、通信事業者や企業向けにグローバル展開することを目指し、コスト管理を行いつつ開発を進めています。また、潜在顧客のニーズを把握するためのマーケティングも行い、期待される製品の性能を満たすよう開発に努めています。しかしながら、技術上又は潜在顧客のニーズの変化等の理由により、同社が開発計画を変更する必要が生じ、開発工数が増加した結果、開発遅延を引き起こし、当初予定していた『RCP』のローンチが遅延する可能性があります。また開発遅延、ローンチ遅延及び潜在顧客のニーズへの対応に当初計画より多額の費用が発生した場合、当初、同社及び当社グループが計画していた収益化の時期が後退する可能性があり、かかる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② エネルギー関連事業
楽天モバイル(株)が行う電力小売事業は、卸電力取引市場で電力を調達しているため、電力調達価格の価格変動リスクを負っています。
同社は、卸電力取引市場での電力調達価格の変動に備えるため、電力調達の一部を固定価格で電力調達契約を締結しています。しかし、電力調達価格の価格変動リスクを完全に回避できる保証はなく、卸電力取引市場における電力取引価格の変動により同社の電力仕入価格が高騰する等の事態が発生した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ コンテンツ関連事業
1) デジタルコンテンツサービス
当社グループでは、電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービス及びミュージックストリーミングサービスコンテンツ等のデジタルコンテンツの提供を行っています。当該デジタルコンテンツ素材を調達する際に、当社グループが提供するサービスフォーマットへ変換を要する場合があります。また、映像等の使用許諾に加え、ライセンサー等に対し、事前に最低保証料等の支払いを求められる場合があり、かかる先行的な対応や支払いのため、コンテンツ調達の為の費用が一時的に発生するほか、コンテンツ収入が当該調達費用を下回る場合には、当事業の収益に影響を及ぼす場合があります。当社グループでは、ライセンサー等と契約交渉するにあたり、ライセンサーへの費用の支払いを最低保証金等ではなく可能な限り売上分配型の形態を採るよう交渉に努めています。また、新型コロナウイルス感染症対応策により興行・イベント自体が自粛又は開催の規模を縮小して実施することになった影響を加味し、デジタルコンテンツ事業に関するイベントをオフラインからオンライン型へ移行を強化することにより新たな収益源の確保に努めています。更に、「楽天エコシステム」を生かし、楽天モバイル(株)が販売する携帯端末から当社グループが提供するデジタルコンテンツへのアクセスを容易にすることによりモバイル事業とのシナジーを生かした事業展開を行っています。しかしながら、かかる施策を講じても必ずしも期待通りの効果が生じる保証はなく、その場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2) チケット事業
新型コロナウイルス感染症の流行により、2020年2月下旬から開始した政府からのイベント自粛要請等に従って、全国規模で興行・イベントの中止・延期が相次ぎ、多くのチケットの払い戻し費用が発生しました。また、第二波、第三波と新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、今後の興行・イベント開催の実施は引き続き不透明です。対応策として、無観客ライブのオンラインチケット販売等、オンライン型への移行を中心とした戦略を策定・実行中です。しかしながら、今後も新型コロナウイルス感染症の流行動向により興行・イベントの企画自体が減少し、計画された興行・イベントの中止・延期が発生する事態となった場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
5 事業運営に伴うその他リスク
(1) 情報セキュリティに関するリスク
① 個人情報に関するリスク
当社グループは、『楽天市場』に代表される当社グループが提供する全てのサービスの利用にあたり、ユーザーに「楽天ID」を付与し、当社グループがそのデータを保有して国内外において多岐にわたる事業展開をしています。当社グループは、「楽天ID」をユーザーの氏名及び住所と結びつけられた個人情報として取り扱っており、当社グループの各種ハードウエア、ソフトウエア等の情報システムからなる情報資産とともに事業展開をする上で不可欠な資産であると認識しています。したがって、当社グループでは、全てのユーザーが安心して当社グループのサービスを利用できることを最優先とし、情報セキュリティ体制及び個人情報の保護の観点から情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の確立等、各種施策に取り組んでいます。
また、各国で展開するビジネスにおいて、その国の個人情報保護に関する法令に準拠することを徹底しています。特に、個人情報保護のベストプラクティスとなっているGDPR(General Data Protection Regulation)への準拠を図るべく、拘束的企業準則(Binding Corporate Rules:BCR)と呼ばれる世界水準のプライバシー保護基準を導入し、欧州のデータ保護機関の正式な承認を受けています。更に、クレジットカードを含むペイメントカードを取り扱うビジネスにおいては、カード会員データのセキュリティに関する国際標準であるPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)への準拠を徹底しています。加えて、一部の当社グループ会社は、日本工業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム―要求事項」に適合し、個人情報について適切な保護措置を講じる体制を整備している事業者として外部機関から認定され、プライバシーマークの付与を受けています。
しかしながら、各国の個人情報管理に関する法令、グローバルなデータの移管に関する法令、情報セキュリティに関する法令等、プライバシー関連法令等は、益々高度で複雑になってきています。これらに適時適切に対応できず、当該法令等に違反した場合、レピュテーションリスクの発生、業務停止命令、訴訟等を含む紛争に発展する可能性があります。また、プライバシー関連法令及び企業の自主的な規制強化への対応が円滑に行えない場合、当社グループのデータ活用ビジネス及び収益に影響する可能性があります。
これらのリスク発生回避のため、前述の取組のほか、社内規程の整備、プライバシー関連法令に関する知識の周知及び社内教育を行っています。また、連絡、相談体制の整備による違反の可能性の早期発見等に努めるとともに、関係部署とプライバシー担当部門との緊密な連携を図ることで法令等の内容を迅速、的確に情報システム及び業務に適用するように努めています。しかしながら、かかるリスクが現実化した場合には、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反、補償費用の発生等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② サイバーセキュリティに関するリスク
当社グループのサービスの多くはコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。そのためネットワーク若しくはコンピュータシステム上のハードウエア又はソフトウエアの不具合、欠陥、コンピュータウイルス・フィッシングメール等によるマルウエア、外部からの不正な手段による当社グループのコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為等により情報システムの可用性又は情報の機密性及び完全性を確保できない可能性があります。それにより当社グループのサービスの不正な利用、重要なデータの消失及び不正取得等が発生する可能性もあります。
これらのリスク発生の回避又は低減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対応策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分等を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 営業秘密等の情報漏洩に関するリスク
当社グループは、役職員や業務委託先等の業務遂行上の不備、アクセス権等の悪用等により当社グループにおける営業秘密等の情報が漏洩するリスクがあります。それにより漏洩した営業秘密等が外部の第三者に悪用される又は競合他社に利用された場合、当社グループの収益機会が喪失する可能性があります。かかるリスク発生の回避又は低減のため、役職員や業務委託先等への教育、啓発活動を行うほか、管理体制を定め、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種対策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招くのみならず、損害賠償請求等がなされる可能性のほか、監督官庁から行政処分を受ける可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 情報システムに関するリスク
当社グループのサービスの多くは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されています。当社グループは、適用でき得る限りの最新の技術と対応を行い通信ネットワークが正常に機能し、サービスの提供に支障がないよう努めています。しかし、かかる対応策によっても通信ネットワーク若しくはコンピュータシステム上のハードウエア又はソフトウエアの不具合、欠陥といった当社グループの情報システムに脆弱性又は不備が生じる可能性があります。加えて、人的な業務過誤により正常なサービスの提供に支障を生じる可能性があるほか、当社サービスの不正な利用、重要なデータの消失、機密情報の不正取得及び漏洩等が発生する可能性もあります。
これらのリスク発生の回避又は軽減のため、監視体制を強化するとともに、技術的、物理的にも各種の対応策を講じていますが、かかるリスクが現実化した場合、当社グループのシステムが一時的に停止する等の事態が発生し、ユーザー及び取引先の信頼低下及び離反を招くのみならず、システム停止によってユーザー及び取引先が被った損失に対する損害賠償請求等がなされる可能性もあります。また、監督官庁からの行政処分等を受ける可能性もあり、かかる場合、当社グループに対する社会的信用が毀損され、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法規制等に関するリスク
① 法令・コンプライアンスに関するリスク
当社グループは、国内外において多岐にわたる事業展開をしています。各国、地域において、各種事業活動に関連する法令諸規制等があり、前述のフィンテックセグメント及びモバイルセグメントの各項目に記載した法令諸規制等のほか、電気通信事業、運送業、資金移動業を含む各種業法令はもちろん、個人情報・プライバシー保護、消費者保護、公正競争、汚職禁止、自然環境、労働環境、犯罪防止、開示、納税の適正、人権、輸出入、投資、為替に関する国内外の各種法令諸規制等が広く適用されます。中でも、「デジタルプラットフォーム事業者に対する規制」、各国の個人情報管理に関する法規制、グローバルなデータの移管に関する法規制及び情報セキュリティに関する法規制等は、特に当社グループの事業運営に影響を及ぼす最も重要な法令諸規制等と認識しています。
こうした関連諸法令の制定及び改正、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受けた場合又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、COO(Chief Operating Officer)、Function CCO(Function Chief Compliance Officer:COOの下でグループ全体のコンプライアンスを統括する責任者)及び社内カンパニー制に基づくCompany Compliance Officerによりコンプライアンスに対するグループ横断的な取組を進め、グループリスク・コンプライアンス委員会及び取締役会へその取組状況を報告し、適正な職務執行を徹底するとともに、代表取締役社長直轄の独立組織である内部監査部及び子会社の内部監査部門による内部監査を実施し、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っています。しかしながら、コンプライアンスに関するリスク(監督官庁の見解と当社グループの見解が異なるリスクを含む)及びそれに付随して当社グループの社会的信用が毀損されるリスクは完全に排除できるものではなく、当社グループのみならず取引先に起因するものを含め、当社グループがこれらのリスクに対処できない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟等に関するリスク
当社グループは、各種サービスの展開を図る上で、販売者又は役務提供者、購入者又は役務利用者、その他のユーザーによる違法行為及びトラブルに巻き込まれた場合、システム障害等によって販売者又は役務提供者、購入者又は役務利用者その他のユーザー又は消費者に対し損害を与えた場合、当局による諸規制等に違反した場合等においては、当社グループに対して訴訟を提起される可能性及びその他の請求や行政処分や高額な課徴金の支払い命令を受ける可能性があります。楽天モバイル(株)、Rakuten Kobo Inc.が販売する携帯端末、電子書籍端末等については、それらグループ会社がメーカーの立場及び第三者に製造を委託している立場として製造物の欠陥等に伴う製造物責任等を負う可能性があります。また、新たに発生し又は今まで現実化しなかったビジネスリスクによって、現時点では予測できない訴訟等が提起され、その結果、高額な損害賠償金の支払い義務を負う可能性があります。一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害される又は第三者の行為により損害を被った場合には、当社グループの権利が保護されない可能性及び当社グループの権利保護のための訴訟等の遂行に多大な費用を要する可能性もあります。
当社グループでは、適宜、弁護士等をはじめとする外部専門家及び当局に事前相談すること等により、適切かつ適法なサービスの提供に努めていますが、全ての訴訟等の可能性を排除することは困難であり、かかるリスクが現実化した場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては特別損害が発生し、また、当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、ひいては当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 無形資産に関するリスク
① 「Rakuten」ブランドの保全と推進に関するリスク
当社グループは、多様なサービス展開、広告宣伝活動等を通じて「Rakuten」ブランドの確立を図っており、そのユーザー等に対して一定の認知が得られているものと認識しています。事業規模の更なる拡大等を目的として、各サービスブランドの「Rakuten」ブランドへの統合推進、会員データベースの一元化、リワードプログラムの共通化を媒介とした会員IDの統合等を推進しています。ブランドの展開及びブランド統合による認知度向上のための施策並びに費用については事前に十分な計画を立てていますが、思うような成果が現れず計画比で費用が超過する可能性もあります。また、これらの施策の過程においてブランド名称やロゴ、会員IDの変更により既存会員のロイヤリティの低下及び会員組織からの離脱を招く可能性もあります。ブランド統合推進が期待通りの効果を得られない場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、ブランド統合により、各サービスブランドの施策が当社グループ全体に影響を与えるため、一つのサービスブランドにおいて、サービス展開におけるトラブル及び役職員による不正等が発覚し、当社グループのブランドの信頼性及びブランド価値を毀損するような事案等が発生した場合、当社グループ全体に影響を及ぼし、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権に関するリスク
当社グループが展開するいずれの事業においても技術分野における進歩及び変化が著しいため事業展開を行う各国において自社グループの技術、ブランド、コンテンツ等を保護することが継続的な事業運営に必要不可欠であると考えています。そのため、特許権、商標権、著作権、ドメインネーム及びその他の知的財産権を取得するとともに、必要に応じて第三者から知的財産権のライセンスを受けています。
しかしながら、知的財産権が取得できないことで、当社グループが使用する技術、ブランド及びコンテンツ等を保護できない可能性があります。また、第三者から知的財産権等の侵害を主張されることで、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性、知的財産権のライセンスの取得等のために多額の費用が発生する可能性及び当社グループの事業が差し止められ、多額の損害賠償金が課せられる可能性等があります。
これらのリスクの発生を回避するため、当社グループにおいては、特許権、商標権、著作権、ドメインネームその他の知的財産権の積極的な取得及び第三者の権利侵害を回避するための対応策の実施を進めています。しかしながら、かかる対応策にもかかわらず、リスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人的資源に関するリスク
当社グループでは、各サービス分野において専門性及び多様性(ダイバーシティ)を有する人材が必要であり、今後とも事業拡大及び国際展開に応じて、継続してグローバルに人材を確保、育成すること及びダイバーシティを実現することが必要です。更に、日本においては少子高齢化や労働人口の減少が進行していることを踏まえ、市場ニーズの変化による採用、生産性の向上や採用した人材の定着(リテンション)及びマネジメント層の育成も継続した課題と認識しています。
当社グループでは、月次の人員計画の更新、運用を実施し、その変動を注視しつつ採用チャネルの多様化、リクルーターの増員等を行い、採用活動を行っています。海外からの人材の採用に際しては、政府のガイダンスに従い、新型コロナウイルス感染症の流行動向に応じた対応に留意しながら実施しています。加えて、採用した人材に対する職階に応じた教育・研修の実施等を通じて、人材育成や当社グループへのエンゲージメントの強化に取り組んでいます。マネジメント層の育成では、当社グループ内で実施するリーダーシップサミット等で当社グループのマネジメント層同士が議論する機会を設け、グループ横断的な連携及びリーダーシップの強化を図っています。しかしながら、かかる施策にもかかわらず、競合他社との人材獲得競争の激化により採用が計画通りに進まなかった場合、並びに人材の育成及び多種多様な人材が活躍できる就労環境の整備が順調に進まず、在職する人材の社外流出が生じた場合には、労働力が不足し、労働生産性が低下する恐れがあり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、当社代表取締役会長兼社長である三木谷浩史氏は、当社グループの創業者であり、創業以来CEOとして当社グループの経営に携わり、重要な役割を果たしているため、同氏の離職又は業務執行が困難となる不測の事態が生じた場合、当社グループに重大な影響を与える可能性があります。当社グループは社内カンパニー制を敷き、職務権限表に基づき各カンパニーごとにカンパニープレジデントを設置し、また執行役員制度を採用して適切に業務遂行の権限移譲を行っています。更に、グローバルで多岐に渡る当社グループの事業展開を担うことができる人材の育成も行い、同氏が離職又は業務執行が困難となった場合のリスクを低減しています。しかしながら、同氏の離職又は業務執行が困難となる不測の事態が突如生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5) マーケットに関するリスク
① 金利変動及び有価証券、金銭信託等の価格変動に関するリスク
当社、楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)等では、必要な事業資金について銀行等からの借入等を行っていますが、当該事業資金の調達が金利変動の影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは有価証券、金銭信託等の金融商品を多く保有しており、これらの有価証券等は金融商品市場の動向等により価格が変動する可能性があります。一部の有価証券等は、価格変動のリスクを低減するためデリバティブ取引等を活用していますが、完全にリスクを回避及び低減できる保証はなく、金融商品市場における価格変動により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替変動に関するリスク
当社グループが行う外貨建投資及び外貨建取引においては、経済動向を注視しつつ、為替変動リスクを極力回避する方針としています。しかし、当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債は、現地通貨で発生したものを円換算し、連結財務諸表を作成しているため、為替変動による影響を完全に排除することは困難であり、外国為替相場の変動により当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 財務・資金に関するリスク
① 資金調達に関するリスク
当社グループは、金融機関等と締結しているローン契約、コミットメントライン契約等の借入に係る契約に財務制限条項が規定されている場合があり、当社グループの経営成績、財政状態又は信用力が悪化した場合には、これらの条項に基づき金融機関等から既存借入金の一括返済、金利及び手数料率の引上げ、担保権の設定等を迫られる可能性があります。また、当社グループの信用力の悪化により格付機関による信用格付が引き下げられた場合及び金融市場の影響等に起因して金融機関等における調達環境が悪化し、当社グループに対する貸出条件、社債発行条件等に影響する場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループのサービス展開の制約要因となる可能性があります。当社グループは金融機関、格付機関、資本市場等との良好な取引関係の維持、調達先の分散、調達手段の多様化等により、かかるリスクを極力低減するようにしていますが、かかるリスクが現実化した場合及び金融市場が不安定な場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 繰延税金資産に関するリスク
当社及び一部の連結子会社においては、IFRSに基づき、将来における税金負担額の軽減効果を繰延税金資産として計上しています。当社グループは、将来の課税所得と実行可能なタックス・プランニングをし、回収可能な繰延税金資産を計上していますが、将来課税所得の見積りが下方修正されたことに伴い当社及び当該連結子会社における繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合若しくは税制及び会計基準の変更が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 自然災害及びパンデミック等に関するリスク
地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、パンデミックが発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があり、重大なリスクと認識しています。
これらの災害及びパンデミック等が発生する場合には、社会全体の経済活動が停滞し、当社グループの提供するサービスに対する需要が減少する可能性がある一方、災害等の態様によっては急激にその需要が拡大することもあるため、それに伴い当社グループの業務対応能力を超えた場合には、サービスの提供等が遅延又は一時停止する可能性があります。また、当社グループの営業及び物流拠点、データセンターをはじめとする主要な拠点が、これらの災害及びパンデミック等により直接的又は間接的に被害を受けた場合には、物理的、人的な被害及び影響が生じかつ通信ネットワークや情報システム等が正常に稼働しなくなり、当社グループの事業活動自体が困難となる結果、サービスの提供等に制約が生じ、やむを得ずサービスの提供を一時停止せざるを得ない可能性があります。加えて役職員の安全の確保のため、状況に応じて役職員の出勤を制限又は停止する等、業務の運営様態を変更せざるを得ないことにより、業務の生産性の低下並びに情報セキュリティ及びプライバシー保護に関して一定レベルのリスク上昇が生じる可能性があります。
当社グループにおいては、これらの災害及びパンデミック等が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)等を策定し、訓練等を通じ役職員の安全性の確保や情報システムのバックアップシステム等の立ち上げの想定をする等、更に高度化しつつ、かかるリスクを最小限にするよう努めていますが、災害及びパンデミック等の規模がその想定を超える場合には、当該リスクが現実化し、事業の継続自体が困難又は不可能となり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 気候変動に関するリスク
度重なる異常気象の発生や気候パターンの変化等、気候変動は地球環境や人類、企業活動に重大な影響を与えるとともに、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性のある重要なリスクと認識しています。気候変動リスクは、主に気候変動に伴う物理的リスクと低炭素社会への移行に伴う各種規制拡大等の移行リスクに大別されます。
当社グループは、3年連続して日本で発生した特定非常災害(著しく異常かつ激甚な非常災害として指定されたもの)等による事業への影響を物理的リスクの一つとして認識しています。具体的には、『楽天市場』で購入された商品の発送・配達の遅延リスク、楽天損害保険(株)の保険金支払額の増加による営業損失リスクが現実化しています。『楽天市場』では、天候不良に伴う配送遅延のお知らせを商品購入画面でユーザーへ通知し、自社配送サービス『Rakuten EXPRESS』のウェブサイトにも随時掲載する等して、ユーザーに配送遅延による支障ができる限り生じないように対応しています。その他、ハザードマップ等をもとに自社運営の物流拠点における浸水リスクを調査し、災害時の避難拠点を周知して、物流拠点において商品の破損や発送・配送時に支障が生じないように努めています。また、楽天損害保険(株)では、大規模な台風や豪雨の被害による多額の保険金支払いに備えて、再保険の活用や異常危険準備金等の積み立てを行っており、このように各事業で対応策をとり物理的リスクの低減に努めています。
一方、CO2の排出を抑え低炭素社会へ移行することに伴い、当社グループが事業展開をする日本を含む各国政府から炭素税等の各種法規制等が予告なく課される可能性があります。それらの課税や各種法規制等への対応の為、一時的にコストがかさみ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響する可能性を移行リスクの一つとして認識しています。当社グループは事業活動に伴い排出するCO2の90%以上が電力消費によるものです。当社は自社のCO2の排出削減に取り組むため、国際イニシアチブ「RE100」(Renewable Electricity 100%)に加盟し、2025年までに自社のオフィス、データセンター、物流センター等で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることをコミットし、低炭素社会への移行を促進し、移行リスクの低減を図っています。
当社グループでは、気候変動リスクの低減に努めていますが、想定を超える気候変動リスクが現実化した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9) 事務・オペレーションリスク
① 財務報告に関するリスク
当社グループは、信頼性の高い財務報告を作成するため、金融商品取引法が定める内部統制報告制度に基づき、財務報告に係る内部統制を整備し、その評価を実施しています。しかしながら、当社グループの内部統制が適切に機能しない又は内部不正を阻止できない等、重要な不備が生じた場合には、当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 業務効率に関するリスク
当社グループは、業務の正確性、効率性を高めるために、様々な取組を実施しています。具体的には、全従業員参加型の改善活動の実施、業務遂行過程における各種情報システムの活用、担当者以外の第三者が業務内容を二重に確認する再鑑制度の実施、社内規程及び事務手続きの標準化並びに文書化等に取り組んでいます。しかしながら、一部において専用の情報システムが導入されておらず、人的な対応に委ねられている業務もあり、役職員の誤認識、誤操作等により事務手続きの不備が発生する可能性があります。また当社グループの急速な拡大に伴う事務量の増加、新サービスの展開等により、業務遂行に必要な知識の共有及び継承が不十分になる可能性があります。それらの結果、事務手続きの不備の増加や生産性の低下により安定的なサービスの供給の妨げ、経済的な損失及び個人情報等の流出等に繋がる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 風評に関するリスク
SNS等各種メディアを通じ、当社グループの事業及び役職員に関する様々な内容の報道及び情報が流布されています。これらの報道及び情報の流布は、正確な情報に基づいていないもの及び憶測に基づいたものが含まれている場合があり、それらの内容の正確性や当社グループへの該当の有無に関わらず、当社サービスのユーザーや投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性があります。
当社の株価に重大な影響を与えかねない内容に関する不明確な情報が発生した場合、東京証券取引所の注意喚起に応じ、これらの不明確な情報に対する当社グループの見解を直ちに開示する等、投資者が正しい情報に則って当社株式の評価ができるよう資本市場に適切な情報を開示します。また同時に、当社グループのコーポレートサイトを通じて適切な情報発信に努めています。しかしながら、かかる報道及び情報の流布により結果的に当社グループの社会的信用が毀損され、ユーザー及び取引先の離反を招く可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E05080] S100L1HG)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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