有価証券報告書 抜粋 ドキュメント番号: S100LMW1 (EDINETへの外部リンク)
大成建設株式会社 研究開発活動 (2021年3月期)
当社グループは、「建設事業を核とした成長基盤を構築する」という基本方針のもと、「本業の強みを発揮できる注力分野(エネルギー・環境、都市開発・PPP、リニューアル、エンジニアリング)の高付加価値化」、「高付加価値化につながる技術の研究開発」、「省人化・省力化施工技術の開発」等を重点施策と位置づけ、建設生産システムの革新による生産性向上を目指し、経営資源を戦略的に投入しております。
具体的には「環境関連の評価技術、土壌浄化技術による受注支援」、「老朽化インフラの大規模更新・修繕工事の受注推進」、「IoT・AI等を活用した省人化技術の差別化提案による受注拡大」、「差別化につながる施工技術の開発」、「計画技術の高度化」、「オープンイノベーションによる技術開発の推進」、「先端技術を取り入れた技術センター施設の更なる機能拡充」、「ICT活用による自律化機械、遠隔制御技術の開発」、「構工法の開発や3Dプリンタによる新しい形状部材の製作」等を推進しております。
当連結会計年度における研究開発費は142億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。
(土木事業)
(1) 建設機械の協調運転制御システム「T-iCraft®」の開発
複数の自動運転建設機械の協調運転を制御するシステム「T-iCraft®」を開発しました。本システムは、建設機械のメーカーを問わず自動運転・有人運転のいずれにも対応し、最大32台までの複数機種の建設機械の協調制御が可能となります。実際の造成現場において4機種の自動建機により「掘削・積込」、「運搬」、「敷均し」、「転圧」の施工を制御し、業界に先駆けて協調運転の実用性を確認しました。今後、本システムをダム本体建設工事に導入し施工データを蓄積することにより、施工エリア・運搬ルートを入力するだけで工程最適化を図ることができる機能及びデジタルツイン技術を利用したモニタリングシステムを追加・実装し、施工における「DX」の推進につなげてまいります。(2) 津波浸水解析結果の可視化技術「T-Tsunami Viewer」の開発
津波の浸水解析結果を短時間かつ正確に3次元映像やVR映像に自動変換する可視化技術「T-Tsunami Viewer」を開発しました。従来の可視化手法では、津波や浸水を平面的に表現していたため直感的に理解することが困難でしたが、本技術により、広域から街区まで、様々なスケールで押し寄せる津波の挙動や浸水状況を3次元で分かりやすく可視化し、より効果的なBCPの策定が可能となります。今後、津波の来襲や浸水等が予想される沿岸域の自治体及び工場等の施設を保有する企業に対して、積極的に提案してまいります。
(3) コンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に対するAI自動検出機能の追加
開発済のコンクリートひび割れ画像解析技術「t.WAVE®」に、AIを用いたひび割れ自動検出機能を追加しました。本機能を用いたひび割れを特定する作業に関する実証の結果、一定の精度を保ちつつ作業時間の短縮と費用の削減を実現しました。今後、コンクリート構造物の維持管理業務をさらに正確かつ迅速、安価に実施できるよう、AIの活用拡大を進め、老朽化したインフラ構造物の長寿命化の実現に寄与してまいります。
(4) 連結子会社における研究開発の主なもの
大成ロテック㈱において、生産性向上・働き方改革に寄与する技術として「i-Pavement/ICT対応技術の開発」、循環型社会・低炭素社会の構築に寄与する技術として「アスファルトの再生利用技術の高度化に関する研究」等を実施しております。また、舗装や道路構造物の耐久性向上・長寿命化を目指した技術や維持修繕・メンテナンス技術として「適用箇所の要求性能に応じた改質アスファルトの開発」、「路盤強化工法を用いた舗装の長寿命化技術に関する共同研究」や「アスファルト舗装やコンクリート舗装用の高耐久な補修材料の開発」を実施しております。(建築事業)
(1) 人流シミュレーションシステム「T-MultiAgent JINRYU」の開発
建物内における歩行者の属性を考慮し、緊急時・平常時の混雑や避難経路の制約等、周辺状況を踏まえて行動を予測・再現し、あらゆる状況下での歩行者の移動を定量的に評価するシステム「T-MultiAgent JINRYU」を開発しました。従来は、多様な歩行者の行動を詳細に再現し、幅広い用途に対して万能に機能する仕組みを構築することは困難でしたが、本システムによりあらゆる場面を想定して施設内の様々な歩行者の移動を予測することが可能となります。今後、多くの人々が集まる商業施設や劇場・ホール等の大規模集客施設を対象とするだけでなく、超高層オフィスビル、集合住宅、地下インフラ施設等からの避難や施設自体の活性化にも適用し、より安全性と快適性の高い、魅力的な空間づくりを進めてまいります。(2) 意匠性に優れた木材利用耐震構法「T-WOOD®BRACE」の開発
集成材・CLT等の木質系材料と鋼板を組合せ、意匠性と構造性能を兼ね備えた耐震工法「T-WOOD®BRACE」を開発しました。従来の耐震構法は、耐震部材が意匠性に乏しく、見た目が画一的な印象になりがちでしたが、本耐震工法は、鋼板と木質系材料を組合せることで、従来と同等の構造性能を確保しながらデザインの自由度を高めることが可能となります。今後、本耐震構法をはじめとした独自の木材利用技術「T-WOOD®」シリーズの更なる普及・展開を通じ、国産木材の利用促進に貢献するとともに、安全・安心で利用者が親しみや温もりを感じられる建物を提供してまいります。
(3) 「T-EAGLE®杭工法」における評定の取得
大口径多段拡径場所打ちコンクリート杭工法「T-EAGLE®杭工法」における、(-財)ベターリビングの評定(CBL FPO12-19号)を取得しました。本工法により、杭の引抜き抵抗力と鉛直支持力の増加・向上による敷地面積の有効活用と工期短縮、コスト削減が可能となります。また、本評定の取得により、従来は超高層建築物のみに使用されてきた本工法が、高さ40m程度の中層建築物にも適用することが可能となります。今後、都市部等で計画される中層から超高層までの幅広い建築物の基礎工事に対して、合理的な施工法として積極的に提案してまいります。(4) 外壁・窓で発電する外装システム「T-Green®Multi Solar」の普及展開
建物の外装(壁面や窓)と太陽電池モジュールを一体化させた外装システム「T-Green®Multi Solar」を開発し、普及展開を進めております。本システムは、都市部の新築中高層ビルの垂直な外装を利用して発電するもので、太陽電池モジュールを外装パネル化した「ソリッドタイプ」と、窓ガラスに太陽電池をストライプ(縞)状に配置した「シースルータイプ」の2つのタイプがあり、これらを組み合わせることで様々な建物の外装に適用することが可能となります。「シースルータイプ」は、発電機能に加え、窓に必要な眺望・採光・遮熱・断熱の各機能を備えております。また、本システムは平常時の消費電力削減だけではなく、災害時には独立した非常用電源としても機能します。今後、都市型ZEBを実現する創エネルギー技術として、環境経営に積極的に取り組む企業、BCPを強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、LCPを強化したい集合住宅等に対し、積極的に提案してまいります。(5) 深紫外線を利用した空間殺菌灯「T-LED DUV Light」と安全制御システムの開発
ウィルス等に強い殺菌力を有する深紫外線(DUV)を照射する空間殺菌灯「T-LED DUV Light」と、DUV照射を安全に制御するシステムを併せて開発しました。従来の蛍光灯ランプの殺菌灯は、寿命が短く、使用するランプに合わせ器具が大きくなるといった課題がありましたが、LEDを光源とすることで長寿命化と軽量化等を実現しました。本製品は一般的な天井高さの施設において、机上面へ2~3時間のDUV照射をすることにより一般的な細菌やウィルスを99%程度殺菌できます。また、本システムの設定により、人が不在の場合のみ室内全体にDUV照射を行うことで利用者の安全を確保します。今後、感染リスクが高い不特定多数の人が利用する学校、病院といった公共施設や、BCPを強化する企業等に対し、接触感染防止のための設備として、積極的に提案してまいります。(土木事業・建築事業共通)
(1) カーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」の開発
工場の排気ガス等より回収したCO2から製造する炭酸カルシウムを用いて、コンクリート製造過程で排出する量を上回るCO2を内部に固定することで、CO2収支をマイナスとすることが可能となるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を開発しました。今後、炭酸カルシウム等カーボンリサイクル材料の開発・市販の状況を踏まえ、現場打ちコンクリートや二次製品等の多様な建設資材に取り入れてまいります。また、利用者に広く提供できるよう、「T-eConcrete研究会」と連携し商品化に向けた更なる技術開発を進めてまいります。
(2) 映像・IoTデータを活用した現場管理システム「T-iDigital Field」の開発
カメラ映像やIoT機器から得られたデータを用いて建設現場の施工状況を可視化し、遠隔地からリアルタイムに工事関係者間で情報共有できるシステム「T-iDigital Field」を開発しました。本システムにより建設機械稼働状況やコンクリート性状、作業進捗等の施工情報を容易に閲覧することができ、関係者間の情報共有や生産性の向上を図ることが可能となります。また、クレーン衝突防止、建設機械と作業員の位置・動線管理のための機能を活用することで、的確な安全指導による災害防止や安全意識の向上による災害リスクの低減を図ることが可能となります。今後、デジタルデータを活用した統合的な現場管理システムを構築することにより、工事関係者間における的確な判断と施工・安全管理を支援し、更なる働き方改革、生産性の向上を目指してまいります。(3) 塩素化エチレン類を無害化する細菌を用いた地下水浄化工程の効率化
有害な塩素化エチレン類を無害なエチレンまで完全に浄化できる「デハロコッコイデス属細菌UCH007株」を大量培養した状態で輸送し、汚染帯水層に注入する技術を独自に確立しました。本技術により、汚染された地下水の浄化工程の効率化を図ることが可能となります。今後、短期間での浄化が求められるような地下水汚染サイトに本技術を適用してまいります。
(4) 希少動植物の保全計画ツール「水辺コンシェルジュ」の開発
建設工事に際し、水辺に生息する希少動植物の保全を目的として、代償地の創出を検討する等、保全計画の迅速な立案を可能とするツール「水辺コンシェルジュ」を開発しました。本ツールを導入したタブレット端末を用いて保全計画策定に必要な情報をビジュアルでわかりやすく提示することで、関係者とのスムーズな合意形成及び情報共有を図り、適切な代償候補地の選定等早期に保全計画を立案することが可能となります。今後、本ツールを自然豊かな地域における建設事業へ適用することにより、希少動植物の保全に積極的に取り組み、豊かな生物多様性を備えた社会の実現を目指してまいります。
(5) 装置内での多様な試験が可能な「高出力・高精細X線CT試験装置」の運用を開始
建設工事で使用する材料の内部の様子を非破壊・3次元で可視化できる「高出力・高精細X線CT試験装置」を、国内の建設会社で初めて導入し、運用を開始しました。従来は、破壊試験や切断による内部の確認による評価が一般的でしたが、本装置により材料の内部に浸透する流体の動きや、材料の分布に基づいて生じる実際の現象を非破壊で観察できるため、精密な評価が可能となります。今後、建設材料の安全性や耐久性等の品質を可視化し、各種試験中における材料内部の状態を正確に理解することにより、新しい視点による研究開発を進め、新材料の開発、シミュレーション技術の高度化等の技術開発を推進し、更なる技術力の向上を目指してまいります。
このコンテンツは、EDINET閲覧(提出)サイトに掲載された有価証券報告書(文書番号: [E00052] S100LMW1)をもとにシーフル株式会社によって作成された抜粋レポート(以下、本レポート)です。有価証券報告書から該当の情報を取得し、小さい画面の端末でも見られるようソフトウェアで機械的に情報の見栄えを調整しています。ソフトウェアに不具合等がないことを保証しておらず、一部図や表が崩れたり、文字が欠落して表示される場合があります。また、本レポートは、会計の学習に役立つ情報を提供することを目的とするもので、投資活動等を勧誘又は誘引するものではなく、投資等に関するいかなる助言も提供しません。本レポートを投資等の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。本レポートを利用して生じたいかなる損害に関しても、弊社は一切の責任を負いません。
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